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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123918
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63J 2/10 20060101AFI20230830BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20230830BHJP
   B63B 79/10 20200101ALI20230830BHJP
   F24F 11/33 20180101ALI20230830BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20230830BHJP
   F24F 11/72 20180101ALI20230830BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20230830BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20230830BHJP
   F24F 110/65 20180101ALN20230830BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20230830BHJP
【FI】
B63J2/10
G08B17/00 E
B63B79/10
F24F11/33
F24F11/64
F24F11/72
F24F11/52
F24F7/007 B
F24F110:65
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027395
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】緒方 俊之
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
5G405
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BE01
3L260AB07
3L260BA64
3L260CA11
3L260CA17
3L260CB53
3L260DA10
3L260EA07
3L260FC03
3L260GA17
3L260HA01
5G405AA06
5G405AB02
5G405CA21
5G405CA23
5G405CA27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コストを低減しつつ、有害物質の拡散を適切に抑えることができる船舶を提供する。
【解決手段】船舶は、複数の区画A内のそれぞれに複数の室8が配置された船体と、複数の区画のそれぞれに配置されたダクト部10と、船体内を監視する船内監視システム20と、を備え、ダクト部は、区画の複数の室のそれぞれに、一端が接続された複数の分岐ダクト11と、複数の分岐ダクトの他端が接続された集合ダクト12と、集合ダクト内に配置され、複数の分岐ダクトを通して複数の室内の空気を吸い出す風を発生する通風機15と、を備え、船内監視システムは、集合ダクト内に配置され、集合ダクト内の空気に含まれる有害物質を検出する検出部21と、検出部からの検出信号に基づき、集合ダクト内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、検出部が配置された集合ダクトの通風機の作動を停止させる制御部を有した監視装置60と、備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区画内のそれぞれに複数の室が配置された船体と、
複数の前記区画のそれぞれに配置されたダクト部と、
船体内を監視する船内監視システムと、を備え、
前記ダクト部は、
前記区画の複数の前記室のそれぞれに、一端が接続された複数の分岐ダクトと、
複数の前記分岐ダクトの他端が接続された集合ダクトと、
前記集合ダクト内に配置され、複数の前記分岐ダクトを通して複数の前記室内の空気を吸い出す風を発生する通風機と、を備え、
前記船内監視システムは、
前記集合ダクト内に配置され、前記集合ダクト内の空気に含まれる有害物質を検出する検出部と、
前記検出部からの検出信号に基づき、前記集合ダクト内の空気に前記有害物質が含まれていることを検出した場合、前記検出部が配置された前記集合ダクトの前記通風機の作動を停止させる制御部を有した監視装置と、備えている
船舶。
【請求項2】
前記船内監視システムは、
複数の前記分岐ダクトの前記一端が接続されたそれぞれの前記室に設置され、前記室の内部を撮影するカメラと、
前記監視装置は、複数の前記室に設置された前記カメラのそれぞれで撮影された画像を表示する表示装置と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記集合ダクト内の空気に前記有害物質が含まれていることを検出した場合、前記検出部が配置された前記ダクト部の前記カメラのそれぞれで撮影された画像を、前記表示装置に表示させる
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記船内監視システムは、
前記船体内に配置され、前記制御部で、前記検出部からの検出信号に基づき、前記集合ダクト内の空気に前記有害物質が含まれていることを検出した場合、警報を発する警報器、をさらに備える
請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記検出部は、有害物質として、火災発生時に生じる煙を検出する
請求項1から3の何れか一項に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、共通のダクトを分岐させ、その分岐させたダクトの各々に、排煙機と空調機とを設置するとともに、ダクトの分岐点にダンパを設けて、排煙機、空調機、ダンパの各々を、火災感知器などの防災端末器に接続する構成の自動火災報知システムが開示されている。このような構成によれば、火災が発生した場合、ダンパを作動させて、排煙機が設けられたダクトを共通のダクトに接続し、排煙する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-312279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ダクトが接続される各室に、火災検知器等の防災端末機を配置するだけでなく、これらの防災端末機を、火災発生時にダンパや排煙機を自動的に作動させるための制御装置に接続する必要がある。このため、多数の室を備えた船舶等においては、システムの設置コストが多大となってしまうことがある。
また、船舶においては、特に船体の上甲板の下方の複数の室が配置されている場合、火災発生時に排煙ダクトを通して排煙すると、排煙ダクトを通して、火災が発生した室とは異なる他の室や、火災が発生していない区画にも拡散してしまう虞がある。
また、火災発生時に限らず、例えば、船内でウィルス性疾病が発生した場合、有毒なガスが発生した場合などにおいても、ウィルスやガスが、排煙ダクトを通して、他の区画に拡散してしまう虞がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、コストを低減しつつ、船舶における有害物質の拡散を適切に抑えることができることができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る船舶は、複数の区画内のそれぞれに複数の室が配置された船体と、複数の前記区画のそれぞれに配置されたダクト部と、船体内を監視する船内監視システムと、を備え、前記ダクト部は、前記区画の複数の前記室のそれぞれに、一端が接続された複数の分岐ダクトと、複数の前記分岐ダクトの他端が接続された集合ダクトと、前記集合ダクト内に配置され、複数の前記分岐ダクトを通して複数の前記室内の空気を吸い出す風を発生する通風機と、を備え、前記船内監視システムは、前記集合ダクト内に配置され、前記集合ダクト内の空気に含まれる有害物質を検出する検出部と、前記検出部からの検出信号に基づき、前記集合ダクト内の空気に前記有害物質が含まれていることを検出した場合、前記検出部が配置された前記集合ダクトの前記通風機の作動を停止させる制御部を有した監視装置と、備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の船舶によれば、コストを低減しつつ、船舶における有害物質の拡散を適切に抑えることができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る船舶の概略構成を示す側面図である。
図2】上記船舶の船体内に配置されたダクト部の概略構成を示す模式図である。
図3】上記ダクト部と船内監視システムの構成を示す図である。
図4】上記船内監視システムの制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図5】上記制御装置の機能ブロック図である。
図6】上記制御装置における無線通信システムの制御方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示による船舶を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
(船舶の構成)
図1に示すように、本開示の実施形態における船舶1は、例えば艦艇であり、船体2と、ダクト部10と、船内監視システム20(図3参照)と、を備えている。
【0010】
船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底4と、上甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板からなる。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板からなる。これら一対の舷側3A,3B及び船底4により、船体2の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面において、U字状を成している。上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。船体2には、上甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。
【0011】
図2図3に示すように、船体2には、複数の室8が備えられている。複数の室8は、上部構造7を含む船体2内に配置されている。室8は、乗員や乗客の居室、食堂やロビー、階段室、浴室、洗面室等、床と、天井と、壁とによって、他の室8と隔てられている。複数の室8は、通路9に沿って配置されている。各室8は、通路9や他の室8と、扉(図示無し)等を介して連通可能とされている。
【0012】
(ダクト部の構成)
ダクト部10は、船体2内の複数の区画A毎に備えられている。船体2内の複数の室8は、複数の区画Aに区分されている。
図3に示すように、各区画Aは、例えば、通路9と、その通路9に沿って配置された複数の室8と、から構成されている。ダクト部10は、分岐ダクト11と、集合ダクト12と、通風機15と、を備えている。
【0013】
分岐ダクト11は、各区画Aの複数の室8のそれぞれに、一端11aが接続されている。分岐ダクト11は、各室8の天井裏等に配置されている。分岐ダクト11の一端11aは、各室8の天井等に形成された通風口(図示無し)を介して室8の内部に連通している。複数の分岐ダクト11の他端11bは、それぞれ集合ダクト12に接続されている。
図3の例では、分岐ダクト11の他端11bは、集合ダクト12に直接接続されているが、分岐ダクト11は、他の分岐ダクト11に接続して合流された後、集合ダクト12に接続されるようにしてもよい。各区画Aにおいて、複数の分岐ダクト11は、最終的に、一本の集合ダクト12に接続されている。すなわち、各区画Aには、一本の集合ダクト12が配置され、この一本の集合ダクト12に対し、各室8に連通する複数の分岐ダクト11が接続されている。つまり、各区画Aは、一本の集合ダクト12毎に設定されている。
【0014】
各区画Aの集合ダクト12は、メインダクト13に接続されている。メインダクト13には、複数の区画Aの複数本の集合ダクト12が接続されている。メインダクト13は、船体2に備えられた排気ダクト9の煙道に連通されている。また、各区画Aの集合ダクト12は、船体2内に配置された空気調和機等に接続される空調ダクト14に接続されていてもよい。
【0015】
通風機15は、各区画Aの集合ダクト12内に配置されている。通風機15は、集合ダクト12から複数の分岐ダクト11を通して、区画Aに配置された複数の室8内の空気を吸い出す風を発生する。通風機15の作動により、区画Aに配置された複数の室8内の空気は、分岐ダクト11,集合ダクト12を通して、メインダクト13、または空調ダクト14へと排出される。
【0016】
船内監視システム20は、船体2内の複数の室8内を監視する。船内監視システム20は、船体2内の室8等における火災等をはじめとする異常の発生の有無を監視するために備えられている。船内監視システム20は、検出部21と、カメラ25と、警報器27と、監視装置60と、表示装置80と、を備えている。
【0017】
検出部21は、集合ダクト12内に配置されている。検出部21は、集合ダクト12内の空気に含まれる有害物質を検出する。本実施形態において、検出部21で検出する有害物質は、例えば火災発生に生じる煙に含まれる物質である。検出部21としては、煙に含まれる物質を検出するセンサ、煙探知機等の火災報知器を用いることができる。検出部21としては、例えば、一酸化炭素濃度を検出するようにしてもよい。また、検出部21は、例えば酸素濃度を検出するようにしてもよい。この場合、検出部21で検出される酸素濃度が閾値以上に低下した場合、煙に含まれる有害物質が発生している、と判断することができる。検出部21は、有害物質の検出の有無、有害物質の量(濃度)等を検出し、その検出結果を示す検出信号を、監視装置60に送信する。
【0018】
カメラ25は、分岐ダクト11の一端11aが接続されたそれぞれの室8に設置されている。カメラ25は、室8の内部を、静止画、動画等により撮影する。カメラ25は、撮影した画像(映像)のデータを、監視装置60に送信する。
【0019】
警報器27は、監視装置60によりその動作が制御されている。警報器27は、船体2内の適宜箇所に設置されている。警報器27は、区画A内の室8や通路9等に配置されている。警報器27は、船体2内の全体に適宜配置されていてもよい。警報器27は、後述する監視装置60の制御部72で、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合に、制御部72からの指令に基づき、所定の警報を、音、光等によって発する。
【0020】
また、各区画Aにおいて、分岐ダクト11の一端11aが接続されている室8以外の室や通路等には、いわゆる火災報知器29等を備えるようにしてもよい。
【0021】
(ハードウェア構成図)
図4に示すように、監視装置60は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD64(Hard Disk Drive)、信号送受信モジュール65を備えるコンピュータである。
【0022】
(機能ブロック図)
図5に示すように、監視装置60のCPU61は予め自装置で記憶するプログラムを実行することにより、信号入力部71、制御部72、出力部73の各構成を備える。監視装置60は、船体2内の複数の区画Aに配置された全ての検出部21からの検出信号を監視している。
【0023】
信号入力部71は、ハードウェア的には信号送受信モジュール65であり、各検出部21からの検出信号、カメラ25からの画像データを受信する。
【0024】
制御部72は、検出部21からの検出信号に基づき、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれているか否かを検出する。制御部72は、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、検出部21が配置された集合ダクト12の通風機15の作動を停止させる。
【0025】
制御部72は、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、警報器27を作動させ、所定の警報を船体2内に発報させる。
【0026】
また、制御部72は、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、その区画Aのダクト部10に配置された全てのカメラ25からの画像データを表示装置80に表示させる。
【0027】
出力部73は、ハードウェア的には信号送受信モジュール65であり、制御部72から出力される、通風機15の作動を停止させる指令、警報器27を作動させる指令、表示装置80に表示させる画像データ等を、通風機15、警報器27、表示装置80に送信する。
【0028】
表示装置80は、複数の室8に設置されたカメラ25のそれぞれで撮影された画像を表示する。表示装置80は、監視装置60とともに、船体2内に設置された管理センター等に備えられる。
【0029】
(処理の手順)
図6に示すように、本開示の実施形態に係る船内監視システム20における船内監視方法S10は、検出部からの検出信号を受信するステップS11と、有害物質が含まれているか否かを判定するステップS12と、通風機の作動を停止させるステップS13と、警報器を作動させるステップS14と、カメラからの画像を表示させるステップS15と、を含む。監視装置60では、予め設定された時間間隔毎に、ステップS11以降の処理を繰り返し実行する。
各区画Aのダクト部10は、通常状態において、通風機15を常時作動させており、各室8内の空気を吸い出している。各区画Aに配置された集合ダクト12に配置された検出部21では、集合ダクト12内を流れる空気に含まれる有害物質の有無、濃度等を検出している。検出部21では、所定の微少間隔毎に、その検出結果を示す検出信号を、監視装置60に送信している。
【0030】
検出部からの検出信号を受信するステップS11では、監視装置60の信号入力部71が、船体2内の複数の区画Aに配置された全ての検出部21からの検出信号を受信する。
【0031】
有害物質が含まれているか否かを判定するステップS12では、検出部21からの検出信号に基づき、制御部72が、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれているか否かを判定する。全ての検出部21からの検出信号において、有害物質の発生を検出していない場合、処理を終了する。いずれかの室8で、火災等により煙が発生した場合、煙が発生した室8の分岐ダクト11に接続された集合ダクト12に配置された検出部21が、有害物質が発生していることを示す検出信号を出力する。この場合、制御部72が、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれている、と判定し、ステップS12に進む。
【0032】
通風機の作動を停止させるステップS13では、制御部72が、有害物質が発生していることを検出した検出部21が配置されている区画Aを特定する。制御部72は、特定された区画Aの集合ダクト12の通風機15の作動を停止させる指令を出力する。出力された指令は、出力部73から通風機15に送信される。指令を受けた通風機15は、その作動を停止させる。これにより、区画Aの複数の室8の室内の空気が、分岐ダクト11に吸い込まれることが中止される。すると、煙が発生した室8から、ダクト部10を通して、他の室8や区画Aに煙が拡散することが抑えられる。
【0033】
続いて、警報器を作動させるステップS14では、制御部72が、警報器27を作動させ、所定の警報を船体2内に発報させる。これにより、船体2内の乗員や乗客に、火災発生を報知する。
【0034】
続いて、カメラからの画像を表示させるステップS15では、制御部72が、有害物質が発生していると特定された区画Aに配置された、全てのカメラ25からの画像データを表示装置80に表示させる。表示装置80が配置された管理センター等においては、担当者が、表示装置80の表示を目視することで、室8における煙や火災の発生状況を確認することができる。
なお、上記のステップS12~S15は、同時に並行して行ってもよい。
【0035】
(作用効果)
上記構成の船舶1は、複数の室8が配置された区画Aに、複数の分岐ダクト11と、集合ダクト12と、通風機15と、を備えたダクト部10が配置されている。集合ダクト12内には、検出部21が配置されている。室8内で、有害物質が発生する事象が生じた場合、発生した有害物質は、室8内の空気とともに分岐ダクト11を経て集合ダクト12へと送られ、検出部21により検出される。監視装置60の制御部72は、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、検出部21が配置された集合ダクト12の通風機15の作動を停止させる。これにより、区画A内の室8で発生した有害物質が、他の区画Aに拡散するのを抑えることができる。このように、集合ダクト12に備えた検出部21により、区画A内の複数の室8で発生する、有害物質を発生する事象を検知することができる。したがって、各室8に検出部21を備える必要が無い。その結果、コストを低減しつつ、船舶1における有害物質の拡散を適切に抑えることができることができる。
【0036】
また、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、カメラ25のそれぞれで撮影された画像を、表示装置80に表示させる。これにより、有害物質が発生するような事象が生じた場合に、その区画A内の室8の様子を、それぞれの室8に配置されたカメラ25で撮影された画像によって確認することができる。
【0037】
また、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、警報器27で警報を発する。これにより、有害物質が発生するような事象が生じたことを、船体2内の乗員や乗客に報知することができる。
【0038】
また、検出部21は、有害物質として、火災発生時に生じる煙を検出する。
これにより、火災が発生した場合、有害物質として発生する煙を検出部21で検出することにより、煙を検出した検出部21が配置された集合ダクト12の通風機15の作動を停止させることができる。これにより、区画A内の室8で発生した煙が、他の区画Aに拡散するのを抑えることができる。このように、集合ダクト12に備えた検出部21により、区画A内の室8で発生した、煙を発生する事象、つまり火災を検知することができる。したがって、各室8に検出部21を備える必要が無い。その結果、コストを低減しつつ、船舶1における有害物質の拡散を適切に抑えることができることができる。
【0039】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、検出部21では、火災発生を検出するため、煙に含まれる物質を検出するようにしたが、これに限られない。また、検出部21は、煙に含まれる物質以外の有害物質、例えば、疾病の原因となるウィルス、予め定められた種類のガス等を検出するようにしてもよい。また、検出部21は、有害物質として、煙に含まれる物質、ウィルス、ガス等を検出できるものを複数種備えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、船内監視システム20における船内監視方法S10の処理の手順について説明したが、手順、各ステップにおける処理内容、処理条件等については、何ら限定するものではなく、適宜変更可能である。
また、船舶1の用途、構造、規模等については、何ら限定するものではない。
【0040】
<付記>
実施形態に記載の船舶1は、例えば以下のように把握される。
【0041】
(1)第1の態様に係る船舶1は、複数の区画A内のそれぞれに複数の室8が配置された船体2と、複数の前記区画Aのそれぞれに配置されたダクト部10と、船体2内を監視する船内監視システム20と、を備え、前記ダクト部10は、前記区画Aの複数の前記室8のそれぞれに、一端11aが接続された複数の分岐ダクト11と、複数の前記分岐ダクト11の他端11bが接続された集合ダクト12と、前記集合ダクト12内に配置され、複数の前記分岐ダクト11を通して複数の前記室8内の空気を吸い出す風を発生する通風機15と、を備え、前記船内監視システム20は、前記集合ダクト12内に配置され、前記集合ダクト12内の空気に含まれる有害物質を検出する検出部21と、前記検出部21からの検出信号に基づき、前記集合ダクト12内の空気に前記有害物質が含まれていることを検出した場合、前記検出部21が配置された前記集合ダクト12の前記通風機15の作動を停止させる制御部72を有した監視装置60と、を備えている。
検出部21で検出される有害物質としては、火災発生時に生じる煙、ウィルス、ガス等が挙げられる。
【0042】
この船舶1は、複数の室8が配置された区画Aを複数備えている。各区画Aには、複数の分岐ダクト11と、集合ダクト12と、通風機15と、を備えたダクト部10が配置されている。複数の分岐ダクト11は、各区画Aの複数の室8のそれぞれに一端11aが接続されている。複数のダクトの他端11bは、通風機15を備えた集合ダクト12に接続されている。これにより、通風機15を作動させることで、各区画Aの複数の室8内の空気が吸い出され、分岐ダクト11をへて集合ダクト12へと送られる。集合ダクト12内には、検出部21が配置されている。室8内で、有害物質が発生する事象が生じた場合、発生した有害物質は、室8内の空気とともに分岐ダクト11を経て集合ダクト12へと送られ、検出部21により検出される。監視装置60の制御部72は、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、検出部21が配置された集合ダクト12の通風機15の作動を停止させる。これにより、区画A内の室8で発生した有害物質が、他の区画Aに拡散するのを抑えることができる。このように、集合ダクト12に備えた検出部21により、区画A内の複数の室8で発生する、有害物質を発生する事象を検知することができる。したがって、各室8に検出部21を備える必要が無い。その結果、コストを低減しつつ、船舶1における有害物質の拡散を適切に抑えることができることができる。
【0043】
(2)第2の態様に係る船舶1は、(1)の船舶1であって、前記船内監視システム20は、複数の前記分岐ダクト11の前記一端11aが接続されたそれぞれの前記室8に設置され、前記室8の内部を撮影するカメラ25と、前記監視装置60は、複数の前記室8に設置された前記カメラ25のそれぞれで撮影された画像を表示する表示装置80と、をさらに備え、前記制御部72は、前記集合ダクト12内の空気に前記有害物質が含まれていることを検出した場合、前記検出部21が配置された前記ダクト部10の前記カメラ25のそれぞれで撮影された画像を、前記表示装置80に表示させる。
【0044】
これにより、集合ダクト12内の空気に有害物質が含まれていることを検出した場合、検出部21が配置されたダクト部10のカメラ25のそれぞれで撮影された画像を、表示装置80に表示させる。これにより、有害物質が発生するような事象が生じた場合に、その区画A内の室8の様子を、それぞれの室8に配置されたカメラ25で撮影された画像によって確認することができる。
【0045】
(3)第3の態様に係る船舶1は、(1)又は(2)の船舶1であって、前記船内監視システム20は、前記船体2内に配置され、前記制御部72で、前記検出部21からの検出信号に基づき、前記集合ダクト12内の空気に前記有害物質が含まれていることを検出した場合、警報を発する警報器27、をさらに備える。
【0046】
これにより、警報器27で警報器27を発することによって、有害物質が発生するような事象が生じたことを、船内に報知することができる。
【0047】
(4)第4の態様に係る船舶1は、(1)から(3)の何れか一つの船舶1であって、前記検出部21は、有害物質として、火災発生時に生じる煙を検出する。
【0048】
これにより、火災が発生した場合、有害物質として発生する煙を検出部21で検出することにより、煙を検出した検出部21が配置された集合ダクト12の通風機15の作動を停止させる。これにより、区画A内の室8で発生した煙が、他の区画Aに拡散するのを抑えることができる。このように、集合ダクト12に備えた検出部21により、区画A内の室8で発生した、煙を発生する事象、つまり火災を検知することができる。したがって、各室8に検出部21を備える必要が無い。その結果、コストを低減しつつ、船舶1における有害物質の拡散を適切に抑えることができることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 船舶
2 船体
3A 舷側
3B 舷側
4 船底
5 上甲板
6 排気塔
7 上部構造
8 室
9 通路
10 ダクト部
11 分岐ダクト
11a 一端
11b 他端
12 集合ダクト
13 メインダクト
14 空調ダクト
15 通風機
20 船内監視システム
21 検出部
25 カメラ
27 警報器
29 火災報知器
60 監視装置
61 CPU
62 ROM
63 RAM
64 HDD
65 信号送受信モジュール
71 信号入力部
72 制御部
73 出力部
80 表示装置
A 区画
FA 船首尾方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6