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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123945
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230830BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230830BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20230830BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H01L29/78 657G
H01L29/78 657F
H01L29/78 657A
H01L29/78 652S
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/86 301D
H01L29/86 301M
H01L29/48 M
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027445
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 建瑠
(72)【発明者】
【氏名】毛利 友紀
(72)【発明者】
【氏名】末松 知夏
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB08
4M104BB09
4M104BB14
4M104BB21
4M104BB30
4M104GG03
4M104GG09
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる共に、半導体装置の信頼性を確保する。
【解決手段】半導体装置は、MOSFET1Qと、MOSFET1Qに流れる過電流を検出し、その過電流を制限するための遮断機能回路とを備える。遮断機能回路は、MOSFET2Q、3Qと、抵抗素子4Qと、ショットキーバリアダイオード5Qとによって構成される。ショットキーバリアダイオード5Qは、ゲート配線GWと、ドレイン領域ND3とで構成される。ゲート配線GWは、ゲート電極GE1、GE2およびドレイン領域ND3に電気的に接続され、ソース電極SEは、ソース領域NS1、NS3、ボディ領域PB1、PB2および抵抗素子4Qに電気的に接続されている。ソース領域NS2は、抵抗素子4Qを介してソース領域NS3およびソース電極SEに電気的に接続され、ゲート電極GE3は、配線10によってソース領域NS2に電気的に接続されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および裏面を有し、且つ、炭化珪素からなるn型の半導体基板と、
前記半導体基板の表面の上方に形成されたソース電極、ゲート配線および第1配線と、
前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型の第1ボディ領域と、
前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型の第2ボディ領域と、
前記半導体基板の裏面下に形成されたドレイン電極と、
第1MOSFETと、
第2MOSFETと、
第3MOSFETと、
ショットキーバリアダイオードと、
抵抗素子と、
を備え、
前記第1MOSFETは、
前記第1ボディ領域に形成されたn型の第1ソース領域と、
前記半導体基板の裏面側において、前記半導体基板に形成され、且つ、前記ドレイン電極に電気的に接続されたn型の第1ドレイン領域と、
前記半導体基板の表面上に、第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、
を有し、
前記第2MOSFETは、
前記第2ボディ領域に形成されたn型の第2ソース領域と、
前記第1ドレイン領域と、
前記半導体基板の表面上に、第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、
を有し、
前記第3MOSFETは、
前記第2ボディ領域に形成されたn型の第3ソース領域と、
前記第2ボディ領域に形成されたn型の第3ドレイン領域と、
前記半導体基板の表面上に、第3ゲート絶縁膜を介して形成された第3ゲート電極と、
を有し、
前記ショットキーバリアダイオードは、前記ゲート配線に含まれる導電性材料と、前記第3ドレイン領域とがショットキー接合することで構成され、
前記ゲート配線は、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極および前記第3ドレイン領域に電気的に接続され、
前記ソース電極は、前記第1ソース領域、前記第3ソース領域、前記第1ボディ領域、前記第2ボディ領域および前記抵抗素子に電気的に接続され、
前記第2ソース領域は、前記抵抗素子を介して前記第3ソース領域および前記ソース電極に電気的に接続され、
前記第3ゲート電極は、前記第1配線によって前記第2ソース領域に電気的に接続され、
前記第2MOSFET、前記第3MOSFET、前記ショットキーバリアダイオードおよび前記抵抗素子は、前記第1MOSFETに流れる過電流を検出し、その過電流を制限するための遮断機能回路を構成している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
平面視において前記第1MOSFETおよび前記遮断機能回路を囲むように、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型のターミネーション領域を更に備える、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記抵抗素子は、前記第2ボディ領域に形成され、且つ、前記第3ソース領域よりも低い不純物濃度を有するn型の第1拡散領域からなる、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記抵抗素子は、第4MOSFETによって構成され、
前記第4MOSFETは、
前記第2ボディ領域に形成されたn型の第2拡散領域と、
前記第2ソース領域と、
前記半導体基板の表面上に、第4ゲート絶縁膜を介して形成された第4ゲート電極と、
を有し、
前記第2拡散領域は、前記ソース電極に電気的に接続され、
前記第4ゲート電極は、前記ゲート配線に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
その底部が前記第1ボディ領域または前記第2ボディ領域よりも下方に位置するように、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成された第1トレンチと、
を更に備え、
前記第1MOSFETまたは前記第2MOSFETは、前記第1トレンチを有し、
前記第1ゲート絶縁膜または前記第2ゲート絶縁膜は、前記第1トレンチの内部において、前記半導体基板の表面上に形成され、
前記第1ゲート電極または前記第2ゲート電極は、前記第1トレンチの内部を埋め込むように、前記第1ゲート絶縁膜上または前記第2ゲート絶縁膜上に形成されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ゲート配線は、外部接続用部材に接続するためのゲートパッド領域を有し、
前記第3MOSFETおよび前記ショットキーバリアダイオードは、前記ゲートパッド領域の直下にも設けられている、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記ゲートパッド領域の直下に位置する前記第3ゲート電極は、平面視において蛇行形状を成し、
前記ゲートパッド領域の直下に位置する前記第3ドレイン領域および前記第3ソース領域は、前記第3ゲート電極下の前記第2ボディ領域を挟むように、前記第3ゲート電極に沿って形成されている、半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第3MOSFETは、複数設けられ、
前記複数の前記第3MOSFETは、並列接続され、
前記複数の前記第3MOSFETのゲート幅は、互いに異なり、
前記複数の前記第3MOSFETの各々の前記第3ゲート電極と、前記第1配線との接続は、適宜切替可能である、半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ソース電極、前記ゲート配線および前記第1配線は、同層に形成されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置において、
それらの底部が前記第2ボディ領域内に位置するように、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成された複数の第2トレンチと、
を更に備え、
前記第3MOSFETは、前記複数の第2トレンチを有し、
前記第3ゲート絶縁膜は、前記複数の第2トレンチの内部において、前記半導体基板の表面上に形成され、
前記第3ゲート電極は、前記複数の第2トレンチの内部を埋め込むように、前記第3ゲート絶縁膜上に形成されている、半導体装置。
【請求項11】
表面および裏面を有し、且つ、炭化珪素からなるn型の半導体基板と、
前記半導体基板の表面の上方に形成されたソース電極、ゲート配線および第1配線と、
前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型の第1ボディ領域と、
前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型の第2ボディ領域と、
前記半導体基板の裏面下に形成されたドレイン電極と、
第1MOSFETと、
第3MOSFETと、
JFETと、
ショットキーバリアダイオードと、
抵抗素子と、
を備え、
前記第1MOSFETは、
前記第1ボディ領域に形成されたn型の第1ソース領域と、
前記半導体基板の裏面側において、前記半導体基板に形成され、且つ、前記ドレイン電極に電気的に接続されたn型の第1ドレイン領域と、
前記半導体基板の表面上に、第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、
を有し、
前記第3MOSFETは、
前記第2ボディ領域に形成されたn型の第3ソース領域と、
前記第2ボディ領域に形成されたn型の第3ドレイン領域と、
前記半導体基板の表面上に、第3ゲート絶縁膜を介して形成された第3ゲート電極と、
を有し、
前記抵抗素子は、第4MOSFETによって構成され、
前記第4MOSFETは、
前記第2ボディ領域に形成されたn型の第2拡散領域と、
前記第2ボディ領域から、前記第1ボディ領域と前記第2ボディ領域との間の前記半導体基板に渡って形成されたn型の第3拡散領域と、
前記半導体基板の表面上に、第4ゲート絶縁膜を介して形成された第4ゲート電極と、
を有し、
前記JFETは、
前記第1ボディ領域と、
前記第2ボディ領域と、
前記第3拡散領域と、
前記第1ボディ領域と前記第2ボディ領域との間の前記半導体基板と、
を有し、
前記ショットキーバリアダイオードは、前記ゲート配線に含まれる導電性材料と、前記第3ドレイン領域とがショットキー接合することで構成され、
前記ゲート配線は、前記第1ゲート電極、前記第4ゲート電極および前記第3ドレイン領域に電気的に接続され、
前記ソース電極は、前記第1ソース領域、前記第3ソース領域、前記第2拡散領域、前記第1ボディ領域および前記第2ボディ領域に電気的に接続され、
前記第3ゲート電極は、前記第1配線によって前記第3拡散領域に電気的に接続され、
前記JFET、前記第3MOSFET、前記ショットキーバリアダイオードおよび前記抵抗素子は、前記第1MOSFETに流れる過電流を検出し、その過電流を制限するための遮断機能回路を構成している、半導体装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置において、
平面視において前記第1MOSFETおよび前記遮断機能回路を囲むように、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型のターミネーション領域を更に備える、半導体装置。
【請求項13】
請求項11に記載の半導体装置において、
その底部が前記第1ボディ領域よりも下方に位置するように、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成された第1トレンチと、
を更に備え、
前記第1MOSFETは、前記第1トレンチを有し、
前記第1ゲート絶縁膜は、前記第1トレンチの内部において、前記半導体基板の表面上に形成され、
前記第1ゲート電極は、前記第1トレンチの内部を埋め込むように、前記第1ゲート絶縁膜上に形成されている、半導体装置。
【請求項14】
請求項11に記載の半導体装置において、
前記ゲート配線は、外部接続用部材に接続するためのゲートパッド領域を有し、
前記第3MOSFETおよび前記ショットキーバリアダイオードは、前記ゲートパッド領域の直下にも設けられている、半導体装置。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置において、
前記ゲートパッド領域の直下に位置する前記第3ゲート電極は、平面視において蛇行形状を成し、
前記ゲートパッド領域の直下に位置する前記第3ドレイン領域および前記第3ソース領域は、前記第3ゲート電極下の前記第2ボディ領域を挟むように、前記第3ゲート電極に沿って形成されている、半導体装置。
【請求項16】
請求項11に記載の半導体装置において、
前記第3MOSFETは、複数設けられ、
前記複数の前記第3MOSFETは、並列接続され、
前記複数の前記第3MOSFETのゲート幅は、互いに異なり、
前記複数の前記第3MOSFETの各々の前記第3ゲート電極と、前記第1配線との接続は、適宜切替可能である、半導体装置。
【請求項17】
請求項11に記載の半導体装置において、
それらの底部が前記第2ボディ領域内に位置するように、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成された複数の第2トレンチと、
を更に備え、
前記第3MOSFETは、前記複数の第2トレンチを有し、
前記第3ゲート絶縁膜は、前記複数の第2トレンチの内部において、前記半導体基板の表面上に形成され、
前記第3ゲート電極は、前記複数の第2トレンチの内部を埋め込むように、前記第3ゲート絶縁膜上に形成されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、炭化珪素からなる半導体基板を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)において、従来では、珪素(Si)基板を用いたパワーMOSFET(SiパワーMOSFET)が主流であった。しかし、炭化珪素(SiC)における絶縁破壊に対する電界強度は、Siにおける電界強度と比較して、約1桁大きい。
【0003】
このため、SiC基板を用いたパワーMOSFET(SiCパワーMOSFET)では、SiパワーMOSFETと比較して、耐圧を保持するためのドリフト層の厚さを約1/10に薄くし、上記ドリフト層の不純物濃度を100倍程度高くすることができる。その結果、SiCパワーMOSFETにおいて、理論上、素子抵抗を3桁以上低くすることができる。また、SiCはSiに対してバンドギャップが約3倍大きいので、SiCパワーMOSFETは、同耐圧におけるオン抵抗を低くでき、高温環境下における動作も可能である。それ故、SiC半導体素子には、Si半導体素子を超える性能が期待されている。
【0004】
パワーMOSFETの使用例として、直列接続した2つのパワーMOSFETを負荷に接続し、2つのパワーMOSFETのオン動作およびオフ動作を交互に切り替えることで、負荷に係る電位を調整することが行われている。1つのパワーMOSFETにおいて、オン状態では電流が流れるが電圧は掛からず、オフ状態では電流が流れないが電圧が掛かるようになっている。ここで、一方のパワーMOSFETがオン状態である場合に、故障または誤動作などによって、他方のパワーMOSFETがオン状態になると、一方のパワーMOSFETに電流および電圧の両方が導通する短絡状態が発生する。
【0005】
短絡状態が発生すると、パワーMOSFETは、大電流によって発熱し、ある程度の時間が経過すると破壊される。その場合、パワーMOSFETが短絡状態のままとなり、パワーMOSFETが搭載された電気機器において、故障または火災などが発生する。それ故、通常では、電気機器に保護回路が搭載されている。この保護回路によって、パワーMOSFETが破壊される前に、パワーMOSFETは短絡から保護される。しかし、保護回路が、短絡状態を検知し、パワーMOSFETの短絡の遮断を完了するまでには、ある程度の時間が必要になる。その間、パワーMOSFETは短絡状態に耐える必要がある。
【0006】
例えば特許文献1には、パワーMOSFETに流れる過電流を検出し、電流を制限するための過電流制限回路を備えた半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-332446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
パワーMOSFETの性能を向上させるためには、オン抵抗を低減するなど、低損失なデバイス構造にすることが有効である。一方で、低損失化を促進すると、短絡時にも大電流が流れ易くなるので、パワーMOSFETが短絡状態に耐えられる時間(短絡耐量)も短くなる。例えば、SiパワーMOSFETでは、短絡耐量が10μsec程度であったが、SiCパワーMOSFETでは、低損失化を大幅に促進できるので、短絡耐量が2μsec程度になる場合もある。そのような短絡耐量を考慮して、あえて損失を増加したデバイス構造を採用する場合もある。
【0009】
パワーMOSFETに、特許文献1のような過電流制限回路を設けた場合でも、パワーMOSFETに至る電気経路、または、過電流制限回路を構成する各素子の間の電気経路において、配線インダクタンスが大きくなるという問題がある。特に、これらの電流経路を後工程によって実現しようとすると、その問題が更に顕著になる。
【0010】
配線インダクタンスが大きくなると、ノイズによってパワーMOSFETが誤動作を行う恐れがある。ノイズを低減するためにローパスフィルタを用いることも考えられるが、積分に時間が掛かるので、例えば3μsec以上の時間を要することになる。そうすると、SiCパワーMOSFETでは、短絡の遮断速度が間に合わなくなってしまう。
【0011】
以上を考慮すると、1つの半導体チップ内に遮断機能を備えた回路を形成し、配線インダクタンスを極小にすることが出来れば、低損失であり、且つ、短絡耐量を短くしたパワーMOSFETを提供できる。本願の主な目的は、そのようなSiCパワーMOSFETを開発することで、半導体装置(半導体チップ)の性能を向上し、且つ、半導体装置の信頼性を確保することにある。
【0012】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
一実施の形態である半導体装置は、表面および裏面を有し、且つ、炭化珪素からなるn型の半導体基板と、前記半導体基板の表面の上方に形成されたソース電極、ゲート配線および第1配線と、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型の第1ボディ領域と、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型の第2ボディ領域と、前記半導体基板の裏面下に形成された前記ドレイン電極と、第1MOSFETと、第2MOSFETと、第3MOSFETと、ショットキーバリアダイオードと、抵抗素子とを備える。ここで、前記第1MOSFETは、前記第1ボディ領域に形成されたn型の第1ソース領域と、前記半導体基板の裏面側において、前記半導体基板に形成され、且つ、前記ドレイン電極に電気的に接続されたn型の第1ドレイン領域と、前記半導体基板の表面上に、第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極とを有する。また、前記第2MOSFETは、前記第2ボディ領域に形成されたn型の第2ソース領域と、前記第1ドレイン領域と、前記半導体基板の表面上に、第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極とを有する。また、前記第3MOSFETは、前記第2ボディ領域に形成されたn型の第3ソース領域と、前記第2ボディ領域に形成されたn型の第3ドレイン領域と、前記半導体基板の表面上に、第3ゲート絶縁膜を介して形成された第3ゲート電極とを有する。また、前記ショットキーバリアダイオードは、前記ゲート配線に含まれる導電性材料と、前記第3ドレイン領域とがショットキー接合することで構成されている。また、前記ゲート配線は、前記第1ゲート電極、前記第2ゲート電極および前記第3ドレイン領域に電気的に接続され、前記ソース電極は、前記第1ソース領域、前記第3ソース領域、前記第1ボディ領域、前記第2ボディ領域および前記抵抗素子に電気的に接続され、前記第2ソース領域は、前記抵抗素子を介して前記第3ソース領域および前記ソース電極に電気的に接続され、前記第3ゲート電極は、前記第1配線によって前記第2ソース領域に電気的に接続されている。また、前記第2MOSFET、前記第3MOSFET、前記ショットキーバリアダイオードおよび前記抵抗素子は、前記第1MOSFETに流れる過電流を検出し、その過電流を制限するための遮断機能回路を構成している。
【0015】
一実施の形態である半導体装置は、表面および裏面を有し、且つ、炭化珪素からなるn型の半導体基板と、前記半導体基板の表面の上方に形成されたソース電極、ゲート配線および第1配線と、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型の第1ボディ領域と、前記半導体基板の表面側において、前記半導体基板に形成されたp型の第2ボディ領域と、前記半導体基板の裏面下に形成された前記ドレイン電極と、第1MOSFETと、第3MOSFETと、JFETと、ショットキーバリアダイオードと、抵抗素子とを備える。ここで、前記第1MOSFETは、前記第1ボディ領域に形成されたn型の第1ソース領域と、前記半導体基板の裏面側において、前記半導体基板に形成され、且つ、前記ドレイン電極に電気的に接続されたn型の第1ドレイン領域と、前記半導体基板の表面上に、第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極とを有する。また、前記第3MOSFETは、前記第2ボディ領域に形成されたn型の第3ソース領域と、前記第2ボディ領域に形成されたn型の第3ドレイン領域と、前記半導体基板の表面上に、第3ゲート絶縁膜を介して形成された第3ゲート電極とを有する。また、前記抵抗素子は、第4MOSFETによって構成され、前記第4MOSFETは、前記第2ボディ領域に形成されたn型の第2拡散領域と、前記第2ボディ領域から、前記第1ボディ領域と前記第2ボディ領域との間の前記半導体基板に渡って形成されたn型の第3拡散領域と、前記半導体基板の表面上に、第4ゲート絶縁膜を介して形成された第4ゲート電極とを有する。また、前記JFETは、前記第1ボディ領域と、前記第2ボディ領域と、前記第3拡散領域と、前記第1ボディ領域と前記第2ボディ領域との間の前記半導体基板とを有する。また、前記ショットキーバリアダイオードは、前記ゲート配線に含まれる導電性材料と、前記第3ドレイン領域とがショットキー接合することで構成されている。また、前記ゲート配線は、前記第1ゲート電極、前記第4ゲート電極および前記第3ドレイン領域に電気的に接続され、前記ソース電極は、前記第1ソース領域、前記第3ソース領域、前記第2拡散領域、前記第1ボディ領域および前記第2ボディ領域に電気的に接続され、前記第3ゲート電極は、前記第1配線によって前記第3拡散領域に電気的に接続されている。また、前記JFET、前記第3MOSFET、前記ショットキーバリアダイオードおよび前記抵抗素子は、前記第1MOSFETに流れる過電流を検出し、その過電流を制限するための遮断機能回路を構成している。
【発明の効果】
【0016】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上できる共に、半導体装置の信頼性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す回路図である。
図2】実施の形態1における半導体装置を示す斜視図である。
図3】実施の形態1における半導体装置を示す斜視図である。
図4】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図5】ショットキーバリアダイオードの代わりにPNダイオードを用いた場合の問題点を示す模式図である。
図6】変形例1における半導体装置を示す斜視図である。
図7】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
図8】本願発明者らによるシミュレーション結果を示すグラフである。
図9】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
図10】本願発明者らによるシミュレーション結果を示すグラフである。
図11】本願発明者らによるシミュレーション結果を示すグラフである。
図12】実施の形態4における半導体装置を示す平面図である。
図13】変形例2における半導体装置を示す平面図である。
図14】実施の形態5における半導体装置の一部を示す回路図である。
図15】本願発明者らによるシミュレーション結果を示す表である。
図16】実施の形態6における半導体装置の一部を示す斜視図である。
図17】実施の形態6における半導体装置の一部を示す断面図である。
図18】実施の形態6における半導体装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0019】
また、本願で説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の縦方向、上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面視」という表現は、X方向およびY方向によって構成される面を、Z方向から見ることを意味する。
【0020】
(実施の形態1)
<半導体装置の構成>
図1は、実施の形態1における半導体装置100を示す回路図である。半導体装置100は、ゲート配線GW、ドレイン電極DEおよびソース電極SEを備え、電気機器に接続されている。ゲート配線GWは、電気機器のゲートドライバ電圧Vg_GDの正端子に、ゲート抵抗Rgを介して接続されている。ドレイン電極DEは、電気機器の電源電圧Vccの正端子に接続されている。ソース電極SEは、ゲートドライバ電圧Vg_GDの負端子と、電源電圧Vccの負端子とに接続されている。
【0021】
半導体装置100は、半導体チップであり、遮断機能回路50およびMOSFET1Qを備える。MOSFET1Qは、SiCパワーMOSFETであり、半導体装置100の主要デバイスである。
【0022】
遮断機能回路50は、MOSFET1Qに流れる過電流を検出し、その過電流を制限するための回路である。実施の形態1では、遮断機能回路50は、MOSFET2Q、MOSFET3Q、抵抗素子4Q、ショットキーバリアダイオード5Qおよび配線10によって構成されている。MOSFET2Qは、電流検出用の素子として使用され、MOSFET3Qは、過電流の遮断用の素子として使用される。
【0023】
以下に図2図4を用いて、半導体装置100の構造と、遮断機能回路50およびMOSFET1Qの電気的な接続関係とについて説明する。
【0024】
図2および図3に示されるように、半導体装置100は、表面および裏面を有する半導体基板SUBを備える。半導体基板SUBの表面の上方には、ゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10が形成されている。半導体基板SUBの大部分は、MOSFET1Qが形成されるアクティブ領域ARになっている。図2では図示していないが、ソース電極SEの大部分は、アクティブ領域ARの上方を覆っている。配線10と、ソース電極SEの一部と、ゲート配線GWの一部とは、図3に示されるように、遮断機能回路50に設けられている。
【0025】
なお、実際には、半導体装置100のアクティブ領域ARには複数のMOSFETが形成されており、これらは並列接続されている。MOSFET1Qは、並列接続された上記複数のMOSFETを、等価回路的に1つのMOSFETとして見做したものである。
【0026】
ゲート配線GWは、ボンディングワイヤまたはクリップ(銅板)などのような外部接続用部材に接続するためのゲートパッド領域GWaを有する。また、ソース電極SEも、外部接続用部材に接続するためのソースパッド領域を有している。ゲートパッド領域GWa上およびソースパッド領域上に、外部接続用部材が接続されることで、半導体装置100が、他の半導体チップ、配線基板または電気機器の端子などに電気的に接続される。
【0027】
また、半導体基板SUBの表面側において、半導体基板SUBには、p型のターミネーション領域TMが形成されている。ターミネーション領域TMは、平面視においてMOSFET1Qおよび遮断機能回路50を囲んでいる。
【0028】
図4に示されるように、半導体基板SUBは、低濃度のn型のドリフト領域NVを有する。ここでは、半導体基板SUBはn型の炭化珪素基板(SiC基板)であり、半導体基板SUB自体がドリフト領域NVを構成している。なお、ドリフト領域NVは、n型のSiC基板と、SiC基板上にエピタキシャル成長法によって燐(P)を導入しながら成長させたn型のSiC層との積層体であってもよい。本願では、そのような積層体も半導体基板SUBであるとして説明する。
【0029】
半導体基板SUBの表面側において、半導体基板SUBには、p型のボディ領域PB1およびp型のボディ領域PB2が形成されている。ボディ領域PB1およびボディ領域PB2は、これらの間に位置するドリフト領域NVによって物理的に分離されている。また、ボディ領域PB2は、ターミネーション領域TMに接している。
【0030】
ボディ領域PB1には、n型のソース領域NS1が形成されている。ソース領域NS1は、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。
【0031】
ボディ領域PB2には、n型のソース領域NS2、n型のソース領域NS3、n型のドレイン領域ND3、n型の拡散領域NR1およびn型の拡散領域NR2が形成されている。ソース領域NS2、ソース領域NS3、ドレイン領域ND3および拡散領域NR2は、ドリフト領域NVおよび拡散領域NR1よりも高い不純物濃度を有する。
【0032】
ボディ領域PB1およびボディ領域PB2には、p型の拡散領域PRが形成されている。p型の拡散領域PRは、ボディ領域PB1およびボディ領域PB2よりも高い不純物濃度を有する。
【0033】
ゲート電極GE1は、ゲート絶縁膜GI1を介して半導体基板SUBの表面上に形成されている。ゲート電極GE2は、ゲート絶縁膜GI2を介して半導体基板SUBの表面上に形成されている。ゲート電極GE3は、ゲート絶縁膜GI3を介して半導体基板SUBの表面上に形成されている。ゲート電極GE1~GE3は、例えばn型の多結晶シリコン膜である。ゲート絶縁膜GI1~GI3は、例えば酸化シリコン膜である。
【0034】
半導体基板SUBの裏面側において、半導体基板SUBには、n型のドレイン領域ND1が形成されている。ドレイン領域ND1は、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。半導体基板SUBの裏面下には、ドレイン電極DEが形成されている。ドレイン電極DEは、ドレイン領域ND1およびドリフト領域NVに電気的に接続され、ドレイン領域ND1にドレイン電位を供給する。ドレイン電極DEは、例えばアルミニウム膜、チタン膜、ニッケル膜、金膜若しくは銀膜のような単層の金属膜、または、これらの金属膜を適宜積層させた積層膜からなる。
【0035】
図示はしないが、ゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10は、層間絶縁膜を介して半導体基板SUBの表面の上方に形成されている。層間絶縁膜中には、複数のコンタクトホールが形成されている。複数のコンタクトホールの内部にゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10の各々の一部を埋め込むことで、ゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10と、各ゲート電極および各不純物領域とが、電気的に接続される。
【0036】
ゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10は、導電性材料によって構成されている。そのような導電性材料は、例えば、窒化チタン膜と、窒化チタン膜上に形成されたアルミニウム膜との積層膜からなる。ゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10と、各ゲート電極および各不純物領域とは、後述のショットキーバリアダイオード5Qを除いて、オーミック接触が成されている。オーミック接触を成すために、図示はしないが、ゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10と、各ゲート電極および各不純物領域との間には、ニッケルシリサイド膜のようなシリサイド膜が形成されている。
【0037】
なお、実施の形態1では、ゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10の何れかが、多層配線構造になっている。すなわち、半導体基板SUBの上方に1層目の層間絶縁膜が形成され、1層目の層間絶縁膜上に1層目の導電性材料が形成されている。1層目の導電性材料を覆う2層目の層間絶縁膜が形成され、2層目の層間絶縁膜上に2層目の導電性材料が形成されている。2層目の導電性材料を覆う3層目の層間絶縁膜が形成され、3層目の層間絶縁膜上に3層目の導電性材料が形成されている。
【0038】
ここでは多層配線構造が3層構造である場合を例示している。すなわち、ソース電極SEが1層目の導電性材料によって構成され、配線10が1層目および2層目の導電性材料によって構成され、ゲート配線GWが、1層目、2層目および3層目の導電性材料によって構成されている。しかし、ゲート配線GW、ソース電極SEおよび配線10を構成する導電性材料の層数は、上述の構成に限られず、適宜変更できる。
【0039】
MOSFET1Qは、ソース領域NS1と、ドレイン領域ND1と、ゲート絶縁膜GI1と、ゲート電極GE1とを有する。MOSFET2Qは、ソース領域NS2と、ドレイン領域ND1と、ゲート絶縁膜GI2と、ゲート電極GE2とを有する。MOSFET3Qは、ソース領域NS3と、ドレイン領域ND3と、ゲート絶縁膜GI3と、ゲート電極GE3とを有する。
【0040】
ショットキーバリアダイオード5Qは、ゲート配線GWに含まれる導電性材料(窒化チタン膜)と、ドレイン領域ND3とがショットキー接合することで構成されている。実施の形態1では、抵抗素子4Qは、拡散領域NR1からなる。拡散領域NR1は、ソース領域NS2、ソース領域NS3、ドレイン領域ND3および拡散領域NR2よりも低い不純物濃度を有する。
【0041】
ゲート配線GWは、ゲート電極GE1、ゲート電極GE2およびドレイン領域ND3に電気的に接続されている。ソース電極SEは、ソース領域NS1、ソース領域NS3および拡散領域NR2に電気的に接続されている。また、ソース電極SEは、拡散領域PRを介してボディ領域PB1およびボディ領域PB2に電気的に接続されている。
【0042】
抵抗素子4Q(拡散領域NR1)は、拡散領域NR2を介してソース電極SEに電気的に接続されている。ソース領域NS2は、抵抗素子4Qを介して、ソース領域NS3およびソース電極SEに電気的に接続されている。ゲート電極GE3は、配線10によってソース領域NS2に電気的に接続されている。
【0043】
<半導体装置の動作および主な効果>
図1を参照して、半導体装置100の動作について説明する。例えば、ゲート配線GWに正電圧が印加されている間に、半導体装置100に接続されている負荷が短絡故障して、MOSFET2Qに大電流が流れたとする。その際、大電流の一部は、MOSFET2Qおよび抵抗素子4Qを経由して流れる。抵抗素子4Qでは電圧降下が発生し、配線10の電位Vstoが0Vよりも大きくなるので、MOSFET3Qがオン状態となる。そうすると、ゲート配線GWからソース電極SEに電流が流れ、ゲートソース電圧Vgsが低下し、短絡電流が抑制される。すなわち、大電流時のみゲートソース電圧Vgsを低下できるので、短絡電流を自動的に抑制できる。
【0044】
また、半導体装置100では、MOSFET1Qおよび遮断機能回路50が、平面視においてターミネーション領域TMに囲まれている。ドレイン電極DEに高電圧を掛けると、半導体装置100の側面にも高電圧が掛かるので、横方向で絶縁破壊が発生する恐れがある。ターミネーション領域TMの内側であれば、低電圧の範囲内で遮断機能回路50を形成できる。また、短絡の保護対象となるアクティブ領域ARの近くに遮断機能回路50を形成できるので、配線インダクタンスの低減を図り易くなる。
【0045】
MOSFET2Qの幅は、5μm程度である。抵抗素子4Qの抵抗値は、拡散領域NR1の不純物濃度を調整することで任意に設定できるが、抵抗素子4Qの幅は、1μm程度にすることもできる。MOSFET3Qの幅は、1μm程度である。ショットキーバリアダイオード5Qの幅は、1μm程度である。配線間マージンを考慮しても、ショットキーバリアダイオード5Qからアクティブ領域AR(MOSFET1Q)までの配線長を、10μm程度にすることができる。
【0046】
例えば、MOSFET1Qを有する半導体チップと、遮断機能回路50を有する半導体チップとが別々のモジュールであった場合、遮断機能回路50からゲート配線GWまでの配線長は、最低でも5cm程度になる。MOSFET1Qを有する半導体チップと、遮断機能回路50を有する半導体チップとが同一のモジュールであった場合でも、遮断機能回路50からゲート配線GWまでの配線長は、最低でも1cm程度になる。
【0047】
従って、実施の形態1の配線長は、これらのモジュール形態の配線長に対して、1/1000程度に低減できる。相互インダクタンスによるノイズ起電力は「V=Mdφ/dt」であるので、実施の形態1のノイズは、これらのモジュール形態のノイズに対して、1/1000程度に低減できる。
【0048】
以上のように、実施の形態1によれば、オン抵抗を低減するなど、低損失な半導体装置100を提供できる。同時に、配線インダクタンスを極小にでき、短絡耐量を例えば3μsec以上にすることができる。従って、半導体装置100の性能を向上し、且つ、半導体装置100の信頼性を確保することができる。
【0049】
また、以下に図5を用いて、ショットキーバリアダイオード5Qの優位性について説明する。図5は、ショットキーバリアダイオード5Qに代えてPNダイオードを適用した場合の問題点を示している。このPNダイオードは、ドレイン領域ND3をカソードとし、ドレイン領域ND3内に形成されたp型のアノード領域PAをアノードとしている。
【0050】
図5に示されるように、短絡時には、バイポーラ電流が流れるため、pn接合によって絶縁されていたゲート配線GWとドレイン電極DEとが導通してしまう恐れがある。また、ゲート配線GWに負バイアスを印加した際、ボディダイオードが導通するが、正孔がpnダイオードを通過できるので、ゲート配線GWとソース電極SEとが導通してしまう恐れがある。
【0051】
例えば、遮断機能回路50とMOSFET1Qとの回路構成を、上述の各モジュール形態で構成する場合には、ダイオードは、ショットキーバリアダイオードでもよいし、pnダイオードでもよい。しかし、実施の形態1のように同一の半導体基板SUBに遮断機能回路50とMOSFET1Qとを形成する場合には、上述のような問題が発生するので、ショットキーバリアダイオード5Qを用いることが適切である。
【0052】
(変形例1)
図6は、実施の形態1の図3の変形例1を示している。図3に示されるように、実施の形態1では、ソース電極SE、ゲート配線GWおよび配線10の何れかが、多層配線構造になっていた。変形例1では、ソース電極SE、ゲート配線GWおよび配線10は、同層に形成されている。すなわち、半導体基板SUBの上方に1層目の層間絶縁膜が形成され、1層目の層間絶縁膜上に1層目の導電性材料が形成されている。ソース電極SE、ゲート配線GWおよび配線10は、1層目の導電性材料からなる。そのような導電性材料は、例えば、窒化チタン膜と、窒化チタン膜上に形成されたアルミニウム膜との積層膜からなる。
【0053】
実施の形態1のような多層配線構造を適用する場合、遮断機能回路50の各素子を最短経路で接続するなど、配線インダクタンスが小さくなるように、自由に配線設計を行うことができる。
【0054】
一方で、変形例1では、ソース電極SE、ゲート配線GWおよび配線10を1層目の導電性材料のみで設計できるので、製造コストの増加を抑制することができる。変形例1では、遮断機能回路50の各素子を結線するための平面積が、実施の形態1よりも若干広くなり、ゲートパッド領域GWaの幅が若干狭くなる。しかし、その幅は30μm程度であるので、外部接続用部材を接続するための十分な面積は確保される。
【0055】
(実施の形態2)
以下に図7および図8を用いて、実施の形態2における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0056】
実施の形態1では、抵抗素子4Qとして拡散領域NR1を適用していた。実施の形態2では、抵抗素子4QとしてMOSFET(抵抗MOS)を適用する。
【0057】
図7に示されるように、この抵抗MOSは、拡散領域NR2、ソース領域NS2、ゲート絶縁膜GI4およびゲート電極GE4を有する。ゲート電極GE4は、ゲート絶縁膜GI4を介して半導体基板SUB上に形成されている。ゲート絶縁膜GI4は、例えば酸化シリコン膜であり、ゲート電極GE4は、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜である。
【0058】
ソース領域NS2は、配線10によってゲート電極GE3に電気的に接続されている。拡散領域NR2は、ソース電極SEに電気的に接続されている。ゲート電極GE4は、ゲート配線GWに電気的に接続されている。
【0059】
図8に示されるように、抵抗素子4Qとして拡散領域NR1を用いた場合(拡散層抵抗)、配線10の電位Vstoは、ドレイン電流Idsに対してほぼ線形に上昇する。従って、飽和特性は緩やかである。
【0060】
一方で、抵抗素子4Qとして抵抗MOSを用いた場合、配線10の電位Vstoは、抵抗MOSの飽和電流値を超えると、急速に上昇する。従って、ほぼ平坦で、且つ、急峻な飽和特性が得られる。そのため、抵抗MOSのオン/オフの切り替えが早くなるので、異常動作時における故障電流の抑制能力が向上する。なお、通常動作時は、電圧がほぼ発生しないので、MOSFET1Qへの悪影響が無い。また、抵抗MOSの飽和電流値として短絡電流値を設計者が設定しやすいことも利点である。
【0061】
また、図7に示されるように、MOSFET1Q、2Qは、トレンチゲート型構造であってもよい。その場合、MOSFET1Q、2Qは、トレンチTR11を有する。トレンチTR1は、その底部がボディ領域PB1、PB2よりも下方に位置するように、半導体基板SUBの表面側において、半導体基板SUBに形成されている。ゲート絶縁膜GI1、GI2は、トレンチTR1の内部において、半導体基板SUBの表面上に形成されている。ゲート電極GE1、GE2は、トレンチTR1の内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI1、GI2上に形成されている。
【0062】
図7では、MOSFET1Q、2Qの両方がトレンチゲート型構造になっているが、MOSFET1Q、2Qの一方のみが、トレンチゲート型構造になっていてもよい。その場合、MOSFET1Q、2Qを個別に設計することができ、MOSFET1Q、2Qの各々の閾値電圧を個別に設計することができる。
【0063】
例えば、MOSFET2Qで短チャネル効果が発生し易いように、MOSFET2Qの閾値電圧を調整することもできる。異常動作時には、1000Vのような大電圧が発生するが、その際にのみMOSFET2Qの閾値電圧が下がる。これにより、異常動作時に大電流を流すことができ、配線10の電位Vstoは急速に上昇し、故障電流の抑制能力が向上する。
【0064】
(実施の形態3)
以下に図9図11を用いて、実施の形態3における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態2との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0065】
実施の形態2では、電流検出用の素子としてMOSFET2Qを適用していた。実施の形態3では、電流検出用の素子としてJFET(Junction Field Effect Transistor)6Qを適用する。
【0066】
図9に示されるように、JFET6Qは、ボディ領域PB1、ボディ領域PB2、拡散領域NR3、および、ボディ領域PB1とボディ領域PB2との間の半導体基板SUB(JFET領域NVa)を有する。拡散領域NR3は、ボディ領域PB2からJFET領域NVaに渡って形成され、配線10によってゲート電極GE3に電気的に接続されている。拡散領域NR3は、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。
【0067】
また、実施の形態3でも抵抗素子4QとしてMOSFET(抵抗MOS)が適用されている。なお、実施の形態3の抵抗MOSは、ソース領域NS2に代えて、拡散領域NR3を有する。JFET6Qを適用する場合には、ゲート電極GE2が無くなってしまうので、抵抗素子4Qとして、拡散領域NR1ではなく、抵抗MOSを採用する必要がある。
【0068】
図10に示されるように、実施の形態2では、配線10の電位Vstoが上がると、ゲート配線GWの電位が下がるだけでなく、MOSFET2Qのソース電位が上昇し、MOSFET2Qのゲートソース電圧Vgsが低下する。その場合、アクティブ領域ARのMOSFET1Qと比較して、MOSFET2Qのゲートソース電圧Vgsが大きくズレ易くなる。それ故、遮断機能回路50が動作するに連れて、短絡電流を検知し難くなるので、優れた遮断特性を得難くなるという課題がある。
【0069】
また、MOSFET1Qに並列接続されるMOSFET2Qについて、後工程で遮断機能回路50を実現する場合には、各素子が独立しているので、MOSFET2Qのゲートソース電圧Vgsを変動しないように結線することができる。しかし、同一の半導体基板SUB内で遮断機能回路50を実現する場合には、ボディ電位が共有されている関係上、MOSFET2Qのゲートソース電圧Vgsが変動してしまう。それ故、この電位変動の影響下でも動作できる構造が必要である。
【0070】
図10に示されるように、MOSFET2Qの使用時には、ゲート配線GWの電位の低下に加えて、配線10の電位Vstoが上昇する分、MOSFET1Qと比較して、MOSFET2Qのゲートソース電圧Vgsが低下する。その結果、MOSFET2Qのドレイン電流Idsの上昇が抑制され、配線10の電位Vstoの上昇が鈍るので、MOSFET1Qのゲートソース電圧Vgsを十分に低減できなくなる可能性がある。
【0071】
実施の形態3では、MOSFET2Qに代えてJFET6Qを適用することで、遮断機能回路50が動作しても、ゲートソース電圧Vgsの変化を小さくすることができる。図11に示されるように、JFET6Qでは、ゲート電位は常に0V(ソース電位)であるので、配線10の電位Vstoの上昇分だけが、JFET6Qのゲートソース電圧Vgsの変動となり、MOSFET1Qと比較して、ドレイン電流Idsが低下しない。その結果、効果的に配線10の電位Vstoを上昇させることができ、MOSFET1Qのゲートソース電圧Vgsを抑制することができる。また、設計によっては、ゲートソース電圧Vgsが大きい領域において、ゲートソース電圧Vgsの増加と共に、MOSFET1Qのドレイン電流Idsが減少する負性微分抵抗を実現できる。
【0072】
(実施の形態4)
以下に図12を用いて、実施の形態4における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0073】
短絡時にゲートソース電圧Vgsをどの程度抑制できるかは、ゲート抵抗RgとMOSFET3Qの特性から計算することができる。MOSFET3Qの抵抗値をRsto(Vsto)とする。定常状態でMOSFETに掛かるゲートソース電圧Vgsは、以下の「式1」のように計算できる。
【0074】
Vgs=Vgs_GD × Rsto/(Rg+Rsto) ・・・式1
【0075】
大電流がMOSFET2Qに流れる際には、配線10の電位Vstoが増加する。その結果、MOSFET3Qのゲートソース電圧Vgsが増加することで、MOSFET3Qの抵抗Rstoが減少し、「式1」によりMOSFET2Qのゲートソース電圧Vgsが0Vに近づく。なお、MOSFET3Qのゲートソース電圧Vgsが負の場合には、ショットキーバリアダイオード5Qが無限大の抵抗成分として作用するので、電流が流れてもMOSFET2Qのゲートソース電圧Vgsが0Vに近づくことはない。
【0076】
「式1」は、MOSFET3Qの抵抗Rstoの特性設計が、ゲート抵抗Rgに対応している必要があることを示している。例えば、Vgs_GDが15Vである場合に、抵抗Rstoが異常時の1Ωから通常時の1000Ωまで変化すると仮定すると、以下のようになる。
【0077】
Rgが1Ωである場合、MOSFET3Qのゲートソース電圧Vgsは、15.0~7.5Vまで変動可能であると判る。この範囲であれば、十分に短絡の抑制が可能である。
【0078】
Rgが1000Ωである場合、MOSFET3Qのゲートソース電圧Vgsは、7.5~0.0Vまで変動可能であると判る。この範囲だと、低電流でも意図しないゲートソース電圧Vgsの抑制が発生してしまう恐れがある。
【0079】
Rgが0.1Ωである場合、MOSFET3Qのゲートソース電圧Vgsは、15.0~14.9Vまで変動可能であると判る。この範囲だと、短絡時でも、ほとんどゲートソース電圧Vgsの抑制ができない。
【0080】
以上から、MOSFET3Qを用いた方式では、以下の課題がある。まず、MOSFET3Qの抵抗Rstoが、ゲート抵抗Rgに対して適切なオーダーの特性を持っている必要がある。一般的には、アクティブ領域ARの面積の縮小を避けるために、遮断機能回路50の面積を小さく抑えたい。しかし、その場合、MOSFET1Qと比較して、MOSFET3Qのチャネル幅が数桁小さくなるので、チャネル抵抗が大きくなる。すなわち、MOSFET3Qの抵抗Rstoが大きくなる。
【0081】
従って、MOSFET3Qのチャネル抵抗の低減を図れる工夫が必要になる。なお、SiCパワーMOSFETでは、チャネル抵抗が大きいので、上記の課題は、特に顕著になる。また、SiC基板自体も高価であるので、アクティブ領域ARの面積を縮小することで、半導体装置100のコストパフォーマンスの低下も顕著になる。
【0082】
図12は、上記の課題を解決するための手段であって、実施の形態4における半導体装置100の平面図を示している。
【0083】
通常、ゲート配線GWのゲートパッド領域GWaの直下では、ソース電極SEと結線できなくなるので、アクティブ領域ARを配置することができない。言い換えれば、ゲートパッド領域GWaの直下の領域は、元々、アクティブ領域ARとして使用されない領域である。
【0084】
図12に示されるように、実施の形態4では、MOSFET3Qおよびショットキーバリアダイオード5Qは、ゲートパッド領域GWaの直下にも設けられている。すなわち、ボディ領域PB2、ゲート電極GE3、ドレイン領域ND3、ソース領域NS3および拡散領域PRが、ゲートパッド領域GWaの直下にも設けられている。
【0085】
これにより、アクティブ領域ARの面積を減らすことなく、MOSFET3Qのチャネル幅を増加させることができる。すなわち、MOSFET3Qのチャネル抵抗を低減できるので、上述の抵抗Rstoの高抵抗化に伴う問題を解決できる。言い換えれば、遮断機能回路50が十分な電流量を取り扱えるようになるので、故障電流の抑制能力が向上する。
【0086】
なお、実施の形態4に開示した技術は、実施の形態1だけでなく、実施の形態2および実施の形態3にも適用できる。
【0087】
(変形例2)
図13は、実施の形態4の変形例2を示している。変形例2では、MOSFET3Qのチャネル幅を更に増加させる工夫が施されている。
【0088】
図13に示されるように、ゲートパッド領域GWaの直下に位置するゲート電極GE3は、平面視において蛇行形状を成している。言い換えれば、ゲートパッド領域GWaの直下に位置するゲート電極GE3は、Y方向に延在する箇所とX方向に延在する箇所とが、交互に繋がった連続屈曲形状を成している。
【0089】
また、ゲートパッド領域GWaの直下に位置するドレイン領域ND3およびソース領域NS3は、ゲート電極GE3下のボディ領域PB2を挟むように、ゲート電極GE3に沿って形成されている。これにより、アクティブ領域ARの面積を減らすことなく、MOSFET3Qのチャネル幅を更に増加させることができる。
【0090】
なお、実施の形態4と同様に、変形例2に開示した技術は、実施の形態1だけでなく、実施の形態2および実施の形態3にも適用できる。
【0091】
(実施の形態5)
以下に図14および図15を用いて、実施の形態5における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0092】
図14に示されるように、実施の形態5では、MOSFET3Qは、複数設けられ、並列接続されたMOSFET3Qa、3Qb、3Qcとして図示されている。配線10上にはスイッチが設けられ、スイッチの切り替えによって、複数のMOSFET3Qa、3Qb、3Qcの各々のゲート電極GE3と、配線10との接続は、適宜切替可能である。スイッチによって配線10との接続が切断されているMOSFET3Qは、導通しなくなり、MOSFET3Qのチャネル幅として計算されなくなる。
【0093】
なお、スイッチは、他のMOSFETなど半導体素子を用いて形成されていてもよいし、レーザなどによって配線10を切断することで実現されてもよい。
【0094】
このように、使用時のゲート抵抗Rgに応じて、適切にスイッチの状態を調整することで、単一設計の半導体チップでも複数のアプリケーションに対応可能となり、汎用性を高めることができる。
【0095】
すなわち、遮断機能回路50を同一の半導体基板SUBで実現する場合、後工程のように電子部品の付け替えで仕様を調整することができないので、汎用性が低下するという問題がある。例えば、後工程では、10種類の製品に対して1種類の半導体チップを作り、電子部品の付け替えによって各製品の仕様に対応すればよい。しかし、遮断機能回路50を同一の半導体基板SUBで実現する場合、10種類の半導体チップを作る必要がある。同一の半導体基板SUBの場合であっても、様々な仕様の製品に対応できれば、汎用性を更に高めることができる。
【0096】
そのため、実施の形態5では、複数のMOSFET3Qa、3Qb、3Qcにおいて、各ゲート幅を異ならせることで、各チャネル幅を異ならせ、各抵抗Rstoの値を異ならせている。
【0097】
図15は、MOSFET3Qcの抵抗Rstoの値がMOSFET3Qbの抵抗Rstoの値よりも10倍程度大きく、MOSFET3Qbの抵抗Rstoの値がMOSFET3Qaの抵抗Rstoの値よりも10倍程度大きい場合について、合成されたMOSFET3Qのゲートソース電圧Vgsと、ゲート抵抗Rgの変化との対応関係を示すグラフである。
【0098】
例えば、Vgs_GDが15Vであり、ゲート抵抗Rgが1Ωである場合に、MOSFET3QをMOSFET3Qaのみで構成すると、抵抗Rstoが異常時の1Ωから通常時の1000Ωまで変化する。この際、MOSFET3Qのゲートソース電圧Vgsは15.0~7.5Vまで変動可能である。この範囲であれば、十分に短絡の抑制が可能である。また、この構成では、ゲート抵抗Rgが10Ωである場合にも、ゲートソース電圧Vgsは14.9~1.4Vまで変動可能であり、遮断機能回路50は、仕様に耐え得る。
【0099】
図15の表では、遮断機能回路50が仕様に耐え得る範囲が、破線で示されている。同様に、ゲート抵抗Rgが100Ωまたは1000Ωのような他の値であったとしても、複数のMOSFET3Qa、3Qb、3Qcの組み合わせによって、適切に短絡を抑制することができる。このように、実施の形態5では、半導体装置100の汎用性を高めることができる。また、MOSFET3Qの数は、3つ(MOSFET3Qa、3Qb、3Qc)に限られず、4つ以上であってもよく、多い程に様々なゲート抵抗Rgに対応できる。
【0100】
なお、実施の形態5に開示した技術は、実施の形態1だけでなく、実施の形態2~4にも適用できる。
【0101】
(実施の形態6)
以下に図16図18を用いて、実施の形態6における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点についての説明を省略する。
【0102】
図16は、過電流の遮断用の素子であるMOSFET3Qの変形例を示す斜視図である。図17は、図16に示されるA-A線に沿った断面図である。図18は、図16に示されるB-B線に沿った断面図である。なお、図16では、トレンチTR2の構成を判り易くするために、ゲート絶縁膜GI3およびゲート電極GE3の図示を省略している。
【0103】
実施の形態6では、図16図18に示されるように、半導体基板SUBの表面側において、半導体基板SUBに複数のトレンチTR2が形成されている。MOSFET3Qは、複数のトレンチTR2を有し、複数のトレンチTR2は、ドレイン領域ND3とソース領域NS3との間に位置し、複数のトレンチTR2の各々の底部は、ボディ領域PB2内に位置している。
【0104】
ゲート絶縁膜GI3は、複数のトレンチTR2の内部において、半導体基板SUBの表面上に形成されている。ゲート電極GE3は、複数のトレンチTR2の内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI3上に形成されている。
【0105】
すなわち、各トレンチTR2の間に位置するボディ領域PB2が、MOSFET3Qのチャネル領域を構成している。このため、実施の形態6では、実施の形態1と同じ平面積で比較した場合、MOSFET3Qのチャネル幅が大幅に増加する。そうすると、実施の形態4で説明したような理由で、MOSFET3Qのチャネル抵抗を低減できるので、抵抗Rstoの高抵抗化に伴う問題を解決できる。従って、遮断機能回路50が更に多くの電流量を取り扱えるようになるので、故障電流の抑制能力が更に向上する。
【0106】
なお、実施の形態6に開示した技術は、実施の形態1だけでなく、実施の形態2~5にも適用できる。
【0107】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0108】
1Q~3Q、3a、3b、3c MOSFET
4Q 抵抗素子
5Q ショットキーバリアダイオード
6Q JFET
AR アクティブ領域
GE1~GE4 ゲート電極
GI1~GI4 ゲート絶縁膜
GW ゲート配線
GWa ゲートパッド領域
ND1、ND3 ドレイン領域
NR1~NR3 拡散領域
NS1~NS3 ソース領域
NV ドリフト領域
NVa JFET領域
PA アノード領域
PB1、PB2 ボディ領域
SE ソース電極
SUB 半導体基板
TM ターミネーション領域
TR トレンチ
10 配線
50 遮断機能回路
100 半導体装置
図1
図2
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図4
図5
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