(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123947
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】浴槽装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/20 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
A47K3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027449
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】榎 将剛
(72)【発明者】
【氏名】神出 真緒
(72)【発明者】
【氏名】石井 悠和
(72)【発明者】
【氏名】坪井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】市川 由有
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 慧
(72)【発明者】
【氏名】東 賢輔
(72)【発明者】
【氏名】宇野 涼子
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132FA03
2D132FB02
2D132FD04
2D132FF03
2D132FF04
2D132FH11
2D132FK04
(57)【要約】
【課題】入浴者に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感を与えやすくできる浴槽装置を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の浴槽装置は、浴槽本体の上方に設けられる吐水部8と、循環流路に設けられる循環ポンプ6と、吐水部に供給される湯水の温度を調整する温度調整部7と、浴槽本体内の湯水の温度を検知する検知部22と、吐水部に供給される湯水の温度を制御する制御部16と、を備え、制御部は、吐水部に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、吐水部に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水部から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水部から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える温度変化モードを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に湯水を供給する浴槽装置であって、
湯水を貯留するための浴槽本体と、
上記浴槽本体内の湯水を取水する取水口部と、
この浴槽本体の上方に設けられ、上記取水口部から取水した湯水を上記浴槽本体内に向けて吐水する吐水部と、
上記取水口部と上記吐水部とを連通する循環流路と、
上記循環流路に設けられ上記取水口部から取水した湯水を上記循環流路において送水する循環ポンプと、
上記吐水部に供給される湯水の温度を調整する温度調整部と、
上記浴槽本体内の湯水の温度を検知する検知部と、
上記吐水部に供給される湯水の温度を制御する制御部と、を備え、
上記制御部は、上記吐水部に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、上記吐水部に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、使用者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水部から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水部から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える上記温度変化モードを備えることを特徴とする浴槽装置。
【請求項2】
上記制御部の上記温度変化モードにおける上記温度下降制御は、上記吐水部から吐水させる湯水の温度を所定回数の間欠動作において下降させる、請求項1に記載の浴槽装置。
【請求項3】
上記制御部の上記温度変化モードにおいて、上記温度下降制御における所定回数の間欠動作を実行する第2吐水時間は、上記温度上昇制御の第1吐水時間より長い、請求項2に記載の浴槽装置。
【請求項4】
上記制御部の上記温度変化モードにおいて、上記温度下降制御における1回の間欠動作の時間は、上記温度上昇制御の第1吐水時間より短い、請求項2又は3に記載の浴槽装置。
【請求項5】
上記制御部の上記温度変化モードは、上記温度上昇制御の第1吐水時間と上記温度下降制御の第2吐水時間との間において、上記温度上昇制御の第1吐水時間の開始時の温度変化及び上記温度下降制御の第2吐水時間の開始時の温度変化のいずれよりも温度変化が少ない吐水をさせる温度変化抑制制御を備える、請求項1乃至4の何れか1項に記載の浴槽装置。
【請求項6】
上記温度調整部は、上記循環流路に接続され、外部の供給源から湯水又は水を供給する給水流路を備える、請求項1乃至5の何れか1項に記載の浴槽装置。
【請求項7】
上記制御部は、上記温度上昇制御においては上記浴槽本体内の湯水の温度よりも高い温度の湯水を上記給水流路から供給させ、
上記温度下降制御においては上記浴槽本体内の湯水の温度よりも低い温度の湯水又は水を上記給水流路から供給させる、請求項6に記載の浴槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽装置に関し、特に、浴槽に湯水を供給する浴槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、入浴者の体温が上昇したか否かを判別する体温判別手段を備えた浴室システムが知られている。この浴室システムにおいては、入浴者の体温が上昇したことが判定された場合に、入浴者の体温を下げる動作、例えば、送風や冷水の投入等の動作を実行することで、入浴者がのぼせたり体調をくずしたりすることを防止する。
【0003】
特許文献2に示すように、入浴者の体内温度を快適温度ゾーン内に収め続けるように、首や背中を加温ヒータで加温する浴槽装置が知られている。この浴槽装置により、長時間入浴しても、体内温度と温感の両方をそれぞれの快適温度ゾーン内に収め続けることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-58299号公報
【特許文献2】特開2018-121851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1や特許文献2に示すように、入浴中ののぼせ等を防ぎながら、比較的長時間入浴することで、入浴者の深部体温を上昇させ、入浴効果を向上させることが検討されている。
しかしながら、浴槽水を吐水装置から循環吐水させながら入浴する浴槽水循環型吐水装置において、入浴者が比較的長時間入浴したい場合、吐水装置から吐水される湯水の温度も浴槽内の湯水の温度となるため、吐水装置から吐水される湯水の温度が浴槽内の湯水の温度で一定となり、入浴者に退屈感を与えてしまうという恐れがあった。
【0006】
従って、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、入浴者(使用者)に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感を与えやすくできる浴槽装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、浴槽に湯水を供給する浴槽装置であって、湯水を貯留するための浴槽本体と、上記浴槽本体内の湯水を取水する取水口部と、この浴槽本体の上方に設けられ、上記取水口部から取水した湯水を上記浴槽本体内に向けて吐水する吐水部と、上記取水口部と上記吐水部とを連通する循環流路と、上記循環流路に設けられ上記取水口部から取水した湯水を上記循環流路において送水する循環ポンプと、上記吐水部に供給される湯水の温度を調整する温度調整部と、上記浴槽本体内の湯水の温度を検知する検知部と、上記吐水部に供給される湯水の温度を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、上記吐水部に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、上記吐水部に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、使用者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水部から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水部から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える上記温度変化モードを備えることを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部は、上記吐水部に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、上記吐水部に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水部から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水部から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える上記温度変化モードを備える。これにより、入浴者に吐水部から吐水された湯水の温度の変化感を与えやすくでき、入浴者に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感や快適感を与えやすくできる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記制御部の上記温度変化モードにおける上記温度下降制御は、上記吐水部から吐水させる湯水の温度を所定回数の間欠動作において下降させる。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部の上記温度変化モードにおける上記温度下降制御は、上記吐水部から吐水させる湯水の温度を所定回数の間欠動作において下降させる。これにより、温度下降制御において、水を長時間連続して入浴者に当てて入浴者の身体的な負担を生じさせることを抑制すると共に間欠的な湯水の温度変化により入浴者を飽きさせにくい冷感を提供できる。
また、例えば上記温度調整部が、上記循環流路に接続され、外部の供給源から湯水又は水を供給する給水流路を備える場合には、上記制御部の上記温度変化モードにおける上記温度下降制御は、上記給水流路から上記循環流路への水の所定回数の間欠供給により上記吐水部に供給される湯水の温度を下降させる。これにより、温度下降制御において、水を長時間連続して入浴者に当てて入浴者の身体的な負担を生じさせることを抑制すると共に間欠的な湯水の温度変化により入浴者を飽きさせにくい冷感を提供できる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記制御部の上記温度変化モードにおいて、上記温度下降制御の第2吐水時間は、上記温度上昇制御の第1吐水時間より長い。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部の上記温度変化モードにおいて、上記温度下降制御の第2吐水時間は、上記温度上昇制御の第1吐水時間より長い。これにより、入浴において既に身体が温まっている入浴者に対し、温度下降制御により温度低下された吐水の吐水時間を、温度上昇制御により温度上昇された吐水の吐水時間よりも長くし、入浴者が吐水の温度低下によるリフレッシュ感や快適感を受けやすくできる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記制御部の上記温度変化モードにおいて、上記温度下降制御における1回の間欠動作の時間は、上記温度上昇制御の第1吐水時間より短い。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部の上記温度変化モードにおいて、上記温度下降制御における1回の間欠動作の時間は、上記温度上昇制御の第1吐水時間より短い。入浴により既に身体が温まっている入浴者に対し、温度上昇制御により上昇された温度の湯水が吐水される場合に比べて、温度下降制御により下降された温度の湯水が吐水される場合に入浴者に温度差のギャップを感じさせやすい。よって、温度下降制御により下降された温度の湯水が吐水される場合には、温度下降制御における1回の間欠動作を、温度上昇制御の第1吐水時間より短く、比較的短くすることで、入浴者の体への負担をさらにかけにくくすることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記制御部の上記温度変化モードは、上記温度上昇制御の第1吐水時間と上記温度下降制御の第2吐水時間との間において、上記温度上昇制御の第1吐水時間の開始時の温度変化及び上記温度下降制御の第2吐水時間の開始時の温度変化のいずれよりも温度変化が少ない吐水をさせる温度変化抑制制御を備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部の温度変化モードは、温度上昇制御の第1吐水時間と上記温度下降制御の第2吐水時間との間において、上記温度上昇制御の第1吐水時間の開始時の温度変化及び上記温度下降制御の第2吐水時間の開始時の温度変化のいずれよりも温度変化が少ない吐水をさせる温度変化抑制制御を備える。これにより、温度上昇制御の第1吐水時間と上記温度下降制御の第2吐水時間との間における温度変化抑制制御により温度変化が少ない吐水を行わせ、入浴者に吐水温度に慣れる機会を設けることができる。これにより、入浴者の体により負担をかけにくくすることができると共に、吐水の温度変化によるリフレッシュ感や快適感をより与えやすくできる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記温度調整部は、上記循環流路に接続され、外部の供給源から湯水又は水を供給する給水流路を備える。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部は、上記給水流路から供給される湯水により上記吐水部に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、上記吐水部に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水部から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水部から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える上記温度変化モードを備える。これにより、給水流路から供給される湯水又は水を用いて吐水される湯水の温度を調整する場合にも、入浴者に吐水部から吐水された湯水の温度の変化感を与えやすくでき、入浴者に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感や快適感を与えやすくできる。
また、給水流路により循環流路に湯水又は水を供給する湯水供給方式を採用することにより、循環流路にヒーター等の温度調整部を設ける方式と比べて、より高い効率で吐水部から吐水される湯水の温度を調整でき、例えば湯水が比較的大流量で吐水部から吐水される場合であっても、比較的高い効率で吐水部から吐水される湯水の温度を調整できる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記温度上昇制御においては上記浴槽本体内の湯水の温度よりも高い温度の湯水を上記給水流路から供給させ、上記温度下降制御においては上記浴槽本体内の湯水の温度よりも低い温度の湯水又は水を上記給水流路から供給させる。
このように構成された本発明の一実施形態においては、上記制御部は、浴槽本体内の湯水の温度よりも高い温度の湯水を上記給水流路から供給させることにより、上記吐水部に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、浴槽本体内の湯水の温度よりも低い温度の湯水又は水を上記給水流路から供給させることにより上記吐水部に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水部から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水部から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える上記温度変化モードを備える。これにより、給水流路から供給される湯水又は水を用いて吐水される湯水の温度を調整する場合にも、入浴者に浴槽本体内の湯水の温度に対して吐水部から吐水された湯水の温度の変化感を与えやすくでき、入浴者に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感や快適感を与えやすくできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の浴槽装置によれば、入浴者に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感を与えやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による浴槽装置を設置した浴室全体を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿って見た断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による浴槽装置の吐水装置、循環流路、チャンバを浴槽本体の短辺側の側方から見た状態を示す側面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿って見た断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽本体の裏側に配置された循環流路、給水流路、貯留部等を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による浴槽装置における湯水の供給系統を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による浴槽装置の作用を示すフローチャートである。
【
図8】
図7の温度変化モードのうちの温度上昇制御のサブルーチンのフローチャートである。
【
図9】
図7の温度変化モードのうちの温度下降制御のサブルーチンのフローチャートである。
【
図10】
図9の温度下降制御のサブルーチンのうちの間欠供給制御のサブルーチンのフローチャートである。
【
図11】
図7の温度変化モードにおける吐水装置から吐水される湯水の温度と時刻との関係を示すタイムチャートである。
【
図12】
図11の温度変化モードのうちの温度下降制御の一部における吐水装置から吐水される湯水の温度と時刻との関係を拡大して示すタイムチャートである。
【
図13】本発明の第2実施形態による浴槽装置の温度変化モードにおける吐水装置から吐水される湯水の温度と時刻との関係を示すタイムチャートである。
【
図14】本発明の第3実施形態による浴槽装置の温度変化モードにおける吐水装置から吐水される湯水の温度と時刻との関係を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による浴槽装置を説明する。本開示の実施形態は例示として説明され、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変形、変更及び置換ができることが当業者に明らかとなる。従って、本発明は、開示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細について、種々の変形、変更等が可能である。
図1は本発明の一実施形態による浴槽装置を設置した浴室全体を示す斜視図であり、
図2は
図1のII-II線に沿って見た断面図であり、
図3は本発明の一実施形態による浴槽装置の吐水装置、循環流路、チャンバを浴槽本体の短辺側の側方から見た状態を示す側面図であり、
図4は
図3のIV-IV線に沿って見た断面図であり、
図5は本発明の一実施形態による浴槽装置の浴槽本体の裏側に配置された循環流路、給水流路、貯留部等を示す斜視図であり、
図6は本発明の一実施形態による浴槽装置における湯水の供給系統を示す図である。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態の浴槽装置1は、浴室R内に設置され、浴槽に湯水を供給する浴槽装置である。本発明の一実施形態の浴槽装置1は、湯水を貯留するための浴槽本体2と、浴槽本体2内の湯水を取水する取水口部(浴槽取水口)9bと、この浴槽本体2の上方に設けられ、取水口部9bから取水した湯水を浴槽本体2内に向けて吐水する吐水部である吐水装置8と、取水口部9bと吐水装置8とを連通する循環流路4と、循環流路4に設けられ取水口部9bから取水した湯水を循環流路4において送水する循環ポンプである第1ポンプ(循環ポンプ)6と、吐水装置8に供給される湯水の温度を調整する温度調整部7と、給水流路10に設けられるとともに供給される湯水又は水を貯留する貯留部12と、給水流路(供給管路)10において貯留部12の下流側に設けられ、貯留部12内の湯水又は水を循環流路4に向けて送水する第2ポンプ(加圧ポンプ)14と、循環流路4に設けられ、循環流路4内の湯水の温度を測定する第1温度センサ(吐水温度センサ)22と、第1ポンプ6及び第2ポンプ14を制御する制御部16と、を備える。
【0018】
浴槽装置1は、浴槽本体2内の湯水を取水口部9bから取水して吐水装置8から浴槽本体2内に向けて循環させる循環装置として機能する。また、浴室Rの壁面には、リモコン18が取り付けられており、このリモコン18により、浴槽装置1を操作できるようになっている。リモコン18は入浴者の温度調節のための操作入力を受けつけるように構成されている。リモコン18は制御部16と電気的に接続され、操作入力信号を制御部16に伝達できる。リモコン18は浴室R内に配置されているが、浴室R外に配置されていてもよい。また、リモコン18において、浴槽本体2内の湯水の温度、吐水装置8から吐水される湯水の温度、浴槽本体2内の湯水の温度TB、後述する温度TH、後述する温度TL等を任意に設定できるようになっている。また、後述する所定時間th、所定時間tf、所定時間tj、所定時間tg等の時間も任意に設定できるようになっている。制御部16は設定された温度や時間に基づいて所定の制御を実行できる。また、リモコン18において、
図7に示すような温度上昇制御と温度下降制御との組合せの順序や回数等を自由に変更したり選択できる。
【0019】
浴槽本体2は、平面視において略長方形の箱形に形成され、内部に湯水を貯留するように構成されている。本実施形態においては、浴槽本体2は、その1つの長辺、及びその両側の2つの短辺全体が、浴室Rの内壁面に接するように配置されている。また、浴槽本体2の一方の短辺を構成する内壁面は、入浴者が寄りかかるように形成された第1の内壁面である背もたれ面2aとして構成されている。取水口部9は、浴槽本体2の長辺側の側壁面2bに形成されている。
【0020】
吐水装置8は、浴槽本体2の上縁に設けられている。吐水装置8は、浴槽本体2の背もたれ面2aの上部に設けられ、浴槽本体2の内方に向けて湯水を吐出するように構成されている。本実施形態において、吐水装置8は、背もたれ面2a上縁に沿って延びる扁平で幅広な吐水口8aを備えており、背もたれ面2aに寄りかかった入浴者の首、肩、背中に向けて湯水を吐出する肩湯吐水を行えるように構成されている。また、吐水装置8は、取水口部9bから引き込まれた湯水の一部を吐水口8aから吐出させるように構成されている。このため、浴槽本体2内の湯水は、取水口部9bから吸い込まれ、吐水口8aから吐出されて浴槽本体2内に流入するように循環する。さらに、取水口部9bから引き込まれた湯水の一部は、浴槽本体2の背もたれ面2aに設けられた浴槽吐水口9aからも吐出される。
【0021】
また、本実施形態において、吐水装置8の吐水口8aは扁平で幅広に形成されているため、吐水口8aから吐出された湯水は、幅の広い帯状の水膜となって吐出され、浴槽本体2内に貯留された湯水の水面において、背もたれ面2aから離れた位置に着水する。さらに、本実施形態において、吐水装置8は第1ポンプ6による加圧強度を、「強」、「中」、「弱」の3段階に切り替え可能に構成されている。
【0022】
循環流路4は、取水口部9bから吐水装置8の吐水口8aまで延びている。浴槽装置1は、浴槽本体2の内壁面に設けられた取水口部9bから浴槽本体2内の湯水を吸い込み、循環流路4を介して吐水装置8の吐水口8aから浴槽本体2内に湯水を吐出させるように構成されている。循環流路4は、第1ポンプ6の下流側において浴槽本体2の背もたれ面2aに設けられた浴槽吐水口9a側の流路と、チャンバ11側に延びる流路とに分岐される。よって、取水口部9bから吸い込まれた湯水の一部は、循環流路4を介して浴槽本体2の背もたれ面2aに設けられた浴槽吐水口9aから吐出される。
【0023】
循環流路4は、循環流路に設けられた上記浴槽本体内の湯水の引き込み用のチャンバ11と、第1ポンプ6が設けられる噴射部側流路(第1管路)4aと、チャンバ11に接続され、浴槽本体2内の湯水をチャンバ11に導入する導入流路(第2管路)4bと、チャンバ11から吐水装置8側に延びる吐水装置側流路(第3管路)4cとを備える。
【0024】
噴射部側流路4aのチャンバ11への出口には、ジェットノズル(ノズル)20が設けられている。ジェットノズル20は、第1ポンプ6の下流側に配置され且つ第1ポンプ6から供給された湯水をチャンバ11を通るように噴射する噴射部を形成している。ジェットノズル20により噴射された湯水がジェットポンプ作用によりチャンバ11内の湯水を引き込み、ジェットノズル20から噴射された湯水の流量に、チャンバ11内から引き込まれる湯水の流量が加算され、より大流量の湯水が吐水装置側流路4cに供給される。吐水装置側流路4cは、ジェットノズル20の延長線上に延びている。
【0025】
第1ポンプ6は、噴射部側流路4a内の湯水をジェットノズル20に向けて圧送させ、第1ポンプ6から供給された湯水をチャンバ11を通るように噴射させる。第1ポンプ6は、内部の回転体の回転数が可変に構成されている。よって、第1ポンプ6は、内部の回転体の回転数を変更することにより、下流側に送出する湯水の設定流量を変更できる。
【0026】
チャンバ11は、浴槽本体2内の規定水位W1(例えば吐水装置8の使用時に必要な所定水位)より下方に位置し、チャンバ11内には浴槽本体2内の湯水が満たされた状態となっている。チャンバ11は、湯水を貯留できるような貯留室を形成している。よって、ジェットノズル20により噴射された湯水がチャンバ11内を通る際に、チャンバ11内の湯水が噴射された湯水に引き込まれより大流量の流れを形成する。チャンバ11には、噴射部側流路4aと、噴射部側流路4aと対向する上面に吐水装置側流路4cとが接続されている。吐水装置側流路4cの管径は、ジェットノズル20の口径よりも大きい。チャンバ11には、さらに、導入流路と、給水流路10とが接続されている。よって、ジェットノズル20により噴射された湯水がチャンバ11内の湯水を引き込むとき、導入流路4b内の湯水、給水流路10内の湯水又は水がチャンバ11内を通って吐水装置側流路に引き込まれる。このようなチャンバ11、ジェットノズル20及び吐水装置側流路4cは、ジェットポンプユニットを構成し、比較的大流量の湯水を吐水装置8に供給しようとする場合にも、比較的簡易な構成且つ比較的小型の構造物により比較的大流量の湯水を供給できるため、浴室R内の浴槽本体2とそのケーシング(エプロン)2cとの間の制約された小空間において、比較的大流量の湯水を供給できる浴槽装置1が形成できる。
【0027】
また、チャンバ11は、取水口部9bから吸い込まれ第1ポンプ6によって加圧された湯水と、給水流路10から供給された湯水又は水とを混合させ、下流側の吐水装置側流路4cに供給させるようになっている。循環流路4を湯水が流れているときにチャンバ11は湯水でほぼ満たされた状態となる。
【0028】
第1温度センサ22は、吐水装置側流路4cに設けられ、吐水装置8から吐水される湯水の温度を測定するようになっている。第1温度センサ22は、浴槽本体2内の湯水の温度を検知する検知部としても機能する。第1温度センサ22は、例えばサーミスタである。
【0029】
温度調整部7は、循環流路4に接続され、循環流路4の湯水の温度を調節するように外部の供給源から湯水又は水を供給する給水流路10を備える。給水流路10は、吐水部に供給される湯水の温度を調整する温度調整部として機能する。給水流路10は、循環流路4への湯水の供給経路を形成する。給水流路10は、チャンバ11において、循環流路4内を流れる湯水の流れにより負圧を生じさせる負圧発生部11aに接続される。チャンバ11において、ジェットノズル20の正面の天井部分(吐水装置側流路4cの入口部分)は、湯水の流れにより正圧を生じさせる部分である。一方、チャンバ11において、ジェットノズルの正面の天井部分以外の天井部分、側壁部分、底部分は負圧発生部11aを構成している。チャンバ11に接続される給水流路10の下流端10aは、ジェットノズル20の正面の天井部分以外の部分に配置される。温度調整部7は、給水流路10に代えて温度調整部として機能する他の装置、例えば循環流路4内の湯水の温度を上昇させるヒータ等の装置、湯水の温度を下降させるクーラ等の装置等により構成されてもよい。
【0030】
給水流路10の上流側には、浴槽本体2内に貯留された湯水の温度よりも高い温度の湯水を供給する高温湯水供給管(給湯管)40a、及び浴槽本体2内に貯留された湯水の温度よりも低い温度の水を供給する低温湯水供給管(給水管)40bが接続される。
【0031】
また、高温湯水供給管40a、低温湯水供給管40bは、夫々、高温側電磁弁(湯用電磁弁)56、低温側電磁弁(水用電磁弁)58を介して貯留部12に接続され、高温側電磁弁56、低温側電磁弁58により、湯水又は水の供給開始及び供給停止が制御される。また、水量比例弁26により各供給管から貯留部12に流入する湯水又は水の量が制御されるようになっている。さらに、本実施形態においては、高温湯水供給管40aに対しては、浴槽本体2内に貯留された湯水の温度よりも高い温度の湯水、例えば給湯器52において設定されている湯温の湯水が、給湯器52から供給される。即ち、外部の供給源としての上水道54から供給された水道水は、分岐部54aにおいて分岐され、一方が給湯器52に供給され、他方は低温湯水供給管40bに直接流入する。給湯器52に供給された水道水は、浴槽本体2内に貯留された湯水の温度よりも高い温度に加熱され、高温湯水供給管40aに供給される。高温湯水供給管40aには湯水又は水の逆流を防止する逆止弁45が設けられ、低温湯水供給管40bには、水の逆流を防止する逆止弁47が設けられている。
【0032】
これにより、循環流路4や貯留部12の湯水の温度を上昇させようとする場合には、高温側電磁弁56が開かれ、外部の供給源としての給湯器52から湯水が貯留部12に供給される。一方、循環流路4や貯留部12の湯水の温度を低下させようとする場合には、低温側電磁弁58が開かれ、低温湯水供給管40bから供給された水道水が貯留部12に供給される。なお、高温側電磁弁56及び低温側電磁弁58が同時期に開かれ、湯水と水とが混合されながら貯留部12に供給されながら温度調整が行われてもよい。
【0033】
さらに、浴槽本体2内に貯留された湯水の温度は、第1温度センサ22により測定されているが、浴槽本体2に取り付けられた浴槽温度センサによって検出されてもよい。また、各湯水及び水の温度について、検出するとしているが、各センサから得られたデータに基づき、各湯水及び水の温度を推定しても良い。
【0034】
これらの温度センサによって検出された温度は制御部16に送られ、制御部16は、これらの検出温度に基づいて、第2ポンプ14の回転数を調整し、所要の温度の湯水を吐水装置8から吐出させる。
【0035】
第2ポンプ14は、給水流路10内の貯留部12に貯水された湯水又は水をチャンバ11に向けて圧送させる。第2ポンプ14は、内部の回転体の回転数が可変に構成されている。よって、第2ポンプ14は、内部の回転体の回転数を変更することにより、下流側に送出する湯水の設定流量を変更できる。
【0036】
浴槽装置1は、さらに、給水流路10の貯留部12と高温側電磁弁56及び低温側電磁弁58との間において、湯水又は水の流量を測定する水量センサ24と、湯水又は水の流量を制御する水量比例弁(流調バルブ)26と、水圧にかかわらず通水路を通る水流の最大流量を制限する定流量弁28と、貯留部12に至る給水流路10の湯水の温度を測定する第2温度センサ(流入側温度センサ)30と、貯留部12内に設けられる第3温度センサ(貯留タンク温度センサ)32と、貯留部12から下流側に流出する湯水又は水の温度を測定する第4温度センサ(流出側温度センサ)34と、第2ポンプ14の下流側に設けられる水量センサ36と、湯水又は水の逆流を防止する逆止弁38と、流路を電磁的に開閉する電磁弁40と、を備える。
【0037】
水量センサ24、水量比例弁26、定流量弁28及び第2温度センサ30は、給水流路10の貯留部12と高温側電磁弁56及び低温側電磁弁58の下流側の合流部43との間に設けられている。合流部43は、高温湯水供給管40aと低温湯水供給管40bとが接続され両者の流れが合流される部分である。
【0038】
第2温度センサ30は、給水流路10の貯留部12より上流側の流路に設けられ、高温湯水供給管40aと低温湯水供給管40bとから貯留部12に供給される湯水又は水の温度を測定するようになっている。第2温度センサ30は、例えばサーミスタである。第3温度センサ32は、貯留部12内に貯留された湯水又は水の温度を測定するようになっている。第3温度センサ32は、例えばサーミスタである。
【0039】
第4温度センサ34、水量センサ36、逆止弁38、電磁弁40は、給水流路10の貯留部12とチャンバ11との間に設けられている。第4温度センサ34は、貯留部12から下流側に流出した湯水又は水の温度を測定するようになっている。第4温度センサ34は、例えばサーミスタである。水量センサ36は、給水流路10内を通水する湯水又は水の流量を測定できる。
【0040】
制御部16は、吐水装置8に供給される湯水の温度を制御する。制御部16は、給水流路10から循環流路4への湯水又は水の供給を制御する。制御部16は、第1ポンプ6、第2ポンプ14、リモコン18、第1温度センサ22、水量センサ24、水量比例弁26、第2温度センサ30、第3温度センサ32、第4温度センサ34、水量センサ36、電磁弁40、高温側電磁弁56、低温側電磁弁58と電気的に接続されている。これらの電気的な接続は、その全体又は一部が赤外線通信、その他の方式等の無線通信により接続されていてもよい。制御部16は、CPU等の演算装置及びメモリ等の記憶装置を内蔵し、記憶された所定の制御プログラム等に基づいて電気的に接続された機器の制御を行うことができる。例えば、制御部16は、温度調節準備制御、温度調節制御、その他の浴槽に湯水を供給するための制御プログラムを記憶装置に記憶している。
【0041】
制御部16は、吐水装置8に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御(温度上昇制御モード)と、吐水装置8に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御(温度下降制御モード)と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水装置8から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水部から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える温度変化モードを備える。
【0042】
次に、貯留部12について詳細に説明する。
貯留部12は、給水流路10の上流側と下流側との間の流路の縁切りを行うように形成される。貯留部12は、フロートスイッチ42によって規定される所定水位まで湯水又は水を貯留するようになっている。よって、貯留部12内の上部には、上部空間12aが形成され、貯留部12は、上部空間12aに給水流路流入口を形成する下流端10bが接続されるように形成されている。一方、貯留部12の底面には、給水流路流出口10cが接続される。
【0043】
貯留部12には、貯留部12の内部に配置されるフロートスイッチ42と、オーバーフロー管44とが設けられる。フロートスイッチ42は、フロートスイッチ42の棒状の軸部を形成するステム42aと、貯留部12内の水位の変動に応じて、水位に応じた浮力を受けながらステム42aに沿って上下動するフロート部(フロート)42bと、を備えている。よって、フロートスイッチ42は、フロート部42bが水位に合わせてステム42aに沿って水位検出位置まで上昇するとき、貯留部12内の湯水又は水が上部の所定水位に到達していることを検出できる。フロートスイッチ42が湯水又は水が上部の所定水位に到達していることを検出している場合には、貯留部12内の水位は少なくとも上部の所定水位となっており、制御部16が貯留部12内に所定水量の湯水又は水が貯留されていると判断できる。フロートスイッチ42は、制御部16と電気的に接続されている。
【0044】
オーバーフロー管44は、貯留部12内で上下方向に延びるように形成されている。オーバーフロー管44は、貯留部12内の上部で開口されており、貯留部12内から貯留部12の外側の排水流路上に延びている。よって、オーバーフロー管44は、貯留部12から湯水又は水が溢水することを防ぐために設けられ、貯留部12内の水位が、オーバーフロー管44の上端開口44aの高さを超えた場合には、湯水又は水がオーバーフロー管44内へ流入し排水流路へ排水されるようになっている。
【0045】
高温湯水供給管40aから供給された湯水、及び低温湯水供給管40bから供給された水は、貯留部12に導かれ、貯留部12内で混合された状態で一時的に貯留される。貯留部12は、所定水量を貯留できるような大きさに形成される。貯留部12においてオーバーフロー管44の上端開口44aより下側の貯水容量として規定される所定水量は、チャンバ11の容積よりも大きい。例えば、貯留部12は、約0.5L~約3.0Lの範囲の所定水量の貯水容量を有する。また、貯留部12は、チャンバ11より上方の位置に設けられている。
【0046】
制御部16は、貯留部12内に湯水又は水を貯留しようとする場合には、貯留部12から下流側に流出する湯水又は水の流量(単位時間当たりの流量)は、貯留部12の上流側から貯留部12に流入する湯水又は水の流量(単位時間当たりの流量)よりも少なくなるように、水量比例弁26を制御する。貯留部12内の貯水量が所定水位W0よりもさらに増加する場合には、オーバーフロー管44を利用して貯留部12内の上部の水位を一定に保っている。
【0047】
制御部16は、貯留部12を枯渇させずに、貯留部12からチャンバ11に湯水又は水を供給しようとする場合には、貯留部12から下流側に流出する湯水又は水の流量は、貯留部12の上流側から貯留部12に流入する湯水又は水の流量よりも少なくなるように、又は、貯留部12から下流側に流出する湯水又は水の流量が、貯留部12に流入する湯水又は水の流量とほぼ同じになるように、水量比例弁26を制御する。
【0048】
次に、
図7を参照して、本発明の一実施形態による浴槽装置1の作用を説明する。
図7は本発明の一実施形態による浴槽装置の作用を示すフローチャートであり、
図8は
図7の温度変化モードのうちの温度上昇制御のサブルーチンのフローチャートであり、
図9は
図7の温度変化モードのうちの温度下降制御のサブルーチンのフローチャートであり、
図10は
図9の温度下降制御のサブルーチンのうちの間欠供給制御のサブルーチンのフローチャートであり、
図11は
図7の温度変化モードにおける吐水装置から吐水される湯水の温度と時刻との関係を示すタイムチャートであり、
図12は
図11の温度変化モードのうちの温度下降制御の一部における吐水装置から吐水される湯水の温度と時刻との関係を拡大して示すタイムチャートである。
【0049】
図7に示すフローチャートは、制御部16による制御を示すフローである。
図7において、Sは各ステップを示している。
まず、制御部16は、スタートにおいて、入浴者によるリモコン18の温度変化モードを選択する操作入力を受けて浴槽装置1の温度変化モードの制御を開始させ、ステップS1に進む。なお、制御部16は、入浴者によるリモコン18の操作によらず自身の記憶装置内に記憶した制御プログラムにより自身の判断で温度変化モードを開始してもよい。スタート時点において、電磁弁40、高温側電磁弁56及び低温側電磁弁58は閉状態となっているが、温度変化モードは、浴槽装置1において吐水装置8からの吐水が既に実行されている状況で、開始されてもよい。
【0050】
次に、ステップS1においては、制御部16は、入浴者が入浴を開始したものと推定し、S2に進む。なお、制御部16は、人感センサ等により入浴者が入浴を開始したことを検知し、入浴者が入浴を開始したと判断してもよい。なお、S1の時点において、浴槽本体2内に湯水が所定水位W1まで貯水されていてもよいし、S1の時点において、浴槽本体2内に湯水が貯留されていない場合には、S2までの時点において制御部16は、給湯器52から浴槽本体2内に湯水を供給させ、所定水位W1まで湯水を供給してもよい。
【0051】
ステップS2において、制御部16は、時刻t0において吐水装置8からの吐水を開始させ、肩湯循環の稼働を開始させ、ステップS3に進む。ステップS2においては、制御部16は、吐水装置8からの吐水を開始させるため第1ポンプ6を起動させ、浴槽本体2内の湯水を取水口部9bから取水して、第1ポンプ6により下流側に圧送させる。ジェットノズル20により噴射された湯水がチャンバ11内の湯水を引き込むとき、導入流路4b内の湯水、電磁弁40が開状態である場合には給水流路10内の湯水又は水がチャンバ11内を通って吐水装置側流路4cに引き込まれる。吐水装置側流路4cに流入した湯水は、吐水装置8から浴槽本体2内に向けて吐水され、浴槽本体2内に循環される。吐水装置8から吐水される湯水は、例えば浴槽本体2内で背もたれ面2aに背中を接して座っている入浴者の首や肩等の上半身にかかり、入浴者に肩湯浴をさせることができる。
【0052】
ステップS12において、制御部16は、第1温度センサ22により吐水装置8から吐水される湯水の温度を浴槽本体2内の湯水の温度TBとして取得する。このとき、湯水又は水の給水流路10から循環流路4への供給は行われておらず、浴槽本体2内の湯水は、循環流路4を介して吐水装置8から吐水され、浴槽本体2内に戻るように循環されている。従って、第1温度センサ22は、循環流路4上において浴槽本体2内の湯水の温度TBを検出できる。なお、第1温度センサ22以外の温度検知手段により、浴槽本体2内の湯水の温度を、例えば浴槽本体2内等の別の位置において検出してもよい。
【0053】
ステップS3において、制御部16は、温度上昇制御のサブルーチンを実行させるため、
図8の温度上昇制御のサブルーチンのスタートを実行させる。次に、ステップS11において、制御部16は、制御を開始する時刻t0(
図11参照)から時刻t1までの所定時間tfが経過したか否かを判定する。所定時間tfは、制御部16において、予め定められている。所定時間tfは、好ましくは30秒~120秒の範囲内の時間、例えば30秒に設定されている。制御部16は、時刻t0からの所定時間tfが経過していない場合には、吐水装置8からの吐水を開始させてから所定時間が経過していないと判断できるので、入浴中の裸の入浴者に急激な温度変化を与えることを抑制するように、S11に戻る。制御部16は、時刻t0からの所定時間tfが経過している場合には、吐水装置8からの吐水を開始させてから所定時間tfが経過し、入浴中の裸の入浴者が吐水装置8からの吐水の湯水の温度に慣れてきていると判断できるので、S12に進む。ステップS11の経過時間が時刻t1を超えていない間において、制御部16は、後のS12において浴槽本体2内の湯水の温度TBから温度THまで吐水装置8から吐水される湯水の温度を上昇させるために貯留部12内に貯留される湯水又は水の温度を決定し、高温側電磁弁56及び/又は低温側電磁弁58を制御して貯留部12内に決定された温度の湯水又は水を貯留させる。制御部16は、第1ポンプ6の回転体の回転数又は出力から循環流路4内を流れる湯水の流量、例えば、噴射部側流路4a内の湯水の流量、吐水装置側流路4cを推定できる。制御部16は、例えば、吐水装置側流路4c内を流れる湯水の流量を推定し、循環流量として取得できる。これに対し、制御部16は、第2ポンプ14の回転体の回転数又は出力から給水流路10から供給される湯水等の給水量も推定できる。従って、制御部16は、後のS12において循環流路4内の湯水の温度をTBからTHに変更するために必要な貯留部12内の湯水又は水の温度が決定できる。本実施形態において、浴槽本体2内の湯水の温度TBは、好ましくは約38℃~約40℃の温度範囲内の温度、例えば約38℃に設定されている。
【0054】
ステップS12において、制御部16は、第1温度センサ22によって検知された浴槽本体2内の湯水の温度TBよりも高い温度の湯水を給水流路10から循環流路4に供給させ、吐水装置8から吐水される湯水の温度を温度THに変更させる。温度THは温度TBよりも高い温度(例えば約2℃高い温度)であり、好ましくは約40℃~約42℃の温度範囲内の温度、例えば約40℃である。制御部16は、S11の間において、吐水装置8から吐水される湯水の温度を温度TBから温度THまで上昇させるために必要な貯留部12内に貯留される湯水又は水の温度を決定し、高温側電磁弁56及び/又は低温側電磁弁58を制御して貯留部12内に決定された温度の湯水又は水を貯留させている。よって、制御部16は、電磁弁40を閉状態から開状態とし、第2ポンプ14を駆動させて給水流路10から循環流路4への供給を行わせる。これにより、循環流路4内の湯水の温度TBは、より高い温度の給水流路10からの湯水又は水の供給により、温度THまで上昇される。制御部16は、ステップS11の経過時間が時間tfを超えていない間において、予め貯留部12内に決定された温度の湯水又は水を準備しているので、S12において比較的早期に吐水される湯水の温度を温度TBから温度THに上昇させることができる。制御部16は、吐水装置8から吐水される湯水の温度を温度THに到達させた後、吐水の温度を温度THに保つように、給水流路10から循環流路4への湯水の供給を継続し、ステップS13に進む。
【0055】
ステップS13において、制御部16は、時刻t1から時刻t2までの所定時間th(
図11参照)が経過したか否かを判定する。所定時間thは、温度上昇制御における第1吐水時間C1であり、制御部16において、予め定められている。所定時間thは、好ましくは30秒~120秒の範囲内の時間、例えば30秒に設定されている。制御部16は、時間t1から所定時間thが経過していない場合には、S13に戻る。制御部16は、時刻t1から所定時間thが経過している場合には、温度上昇制御による浴槽本体2内の湯水の温度TBよりも高い温度THの湯水の吐水により、入浴者の首、肩等の上半身が温められ温浴効果を入浴者に一定程度与えることができたと判断できるので、温度上昇制御を停止させるため第2ポンプ14を停止すると共に電磁弁40を閉弁させ、温度上昇制御のサブルーチンのリターンに進む。
【0056】
制御部16は、温度上昇制御のサブルーチンのリターンに到達した場合には、
図7のS3に戻る。制御部16は、給水流路10から循環流路4への供給を停止させた状態で、第1ポンプ6の駆動を継続させている。よって、浴槽本体2内の湯水は、取水口部9bから取水され、循環流路4を通過して、吐水装置8から浴槽本体2内に向けて吐水され、浴槽本体2内に循環される。制御部16は、以後の処理を続行するためS4に進む。
【0057】
ステップS4において、制御部16は、温度下降制御のサブルーチンを実行させるため、
図9の温度下降制御のサブルーチンのスタートを実行させる。
次に、ステップS21において、制御部16は、時刻t2から時刻t3までの所定時間tfが経過したか否かを判定する。所定時間tfは、温度上昇制御における所定時間tfと同じであるが、温度下降制御の所定時間tfは、温度上昇制御の所定時間tfと異なる時間に設定されてもよい。時刻t2から時刻t3までの所定時間tfは、好ましくは30秒~120秒の範囲内の時間、例えば30秒に設定されている。制御部16は、時刻t2から所定時間tfが経過していない場合には、入浴中の裸の入浴者に急激な温度変化を与えることを抑制するように、S21に戻る。ステップS21の経過時間が時間tfを超えていない間において、制御部16は、後のS22において浴槽本体2内の湯水の温度TBから温度TLまで吐水装置8から吐水される湯水の温度を低下させるために貯留部12内に貯留される湯水又は水の温度を決定し、高温側電磁弁56及び/又は低温側電磁弁58を制御して貯留部12内に決定された温度の湯水又は水を貯留させる。このとき、貯留部12内に既にある温度の湯水等が貯水されている場合には、決定された温度まで湯水等の温度を調節する。制御部16は、第1ポンプ6の回転体の回転数又は出力から循環流路4内を流れる湯水の流量、例えば、噴射部側流路4a内の湯水の流量、吐水装置側流路4cを推定できる。制御部16は、例えば、吐水装置側流路4c内を流れる湯水の流量を推定し、循環流量として取得できる。これに対し、制御部16は、第2ポンプ14の回転体の回転数又は出力から給水流路10からの湯水等の給水量も推定できる。従って、制御部16は、後のS22等において循環流路4内の湯水の温度をTBからTLに変更するために必要な貯留部12内の湯水又は水の温度が決定できる。制御部16は、時刻t2からの所定時間tfが経過している場合には、吐水装置8からの吐水を開始させてから所定時間tfが経過し、入浴中の裸の入浴者が吐水装置8からの吐水の湯水の温度低下に慣れてきていると判断できるので、S22に進む。
【0058】
ステップS21において、制御部16は、時刻t2以後、時刻t3まで、吐水される湯水の温度を温度TBでほぼ一定とした吐水装置8からの吐水を継続させている。このように、制御部16は、温度変化モードにおいて、温度上昇制御における第1吐水時間C1と後述する温度下降制御における第2吐水時間C2との間において、温度上昇制御の第1吐水時間C1の開始時の温度変化(温度TBから温度TH)及び温度下降制御の第2吐水時間C2の開始時の温度変化(温度TBから温度TL)のいずれよりも温度変化が少ない吐水をさせる温度変化抑制制御を備える。制御部16は、温度変化抑制制御において、例えば、吐水される湯水の温度を温度TBでほぼ一定とした吐水装置8からの吐水を継続させている。温度変化抑制制御は、第1吐水時間C1と第2吐水時間C2との間の第3吐水時間C3において行われている。第3吐水時間C3は、所定時間tfである。温度変化抑制制御は、第3吐水時間C3において温度変化の小さい又は温度変化のほぼない吐水を実現している。温度変化抑制制御は、第3吐水時間C3において、好ましくは温度TB+0.5℃~温度TB-0.5℃の範囲内、例えば約40.5℃~約39.5℃の範囲内の温度変化となるように設定されている。制御部16の温度変化モードにおいて、温度下降制御における第2吐水時間C2は、温度上昇制御の第1吐水時間C1より長い。制御部16の温度変化モードにおいて、温度変化抑制制御の第3吐水時間C3は、温度変化抑制制御よりも短い。
【0059】
ステップS22において、制御部16は、
図10の間欠供給制御のサブルーチンのスタートを実行させる。制御部16は、ステップS31に進み、第1温度センサ22によって検知された浴槽本体2内の湯水の温度TBよりも低い温度の湯水又は水を給水流路10から循環流路4に供給させ、吐水装置8から吐水される湯水の温度を温度TLに変更させる。制御部16は、予め貯留部12内に決定された温度の湯水又は水を準備しているので、S31において比較的早期に吐水される湯水の温度を温度TBから温度TLに下降させることができる。制御部16は、吐水装置8から吐水される湯水の温度を温度TLに到達させた後、吐水の温度を温度TLに保つように、給水流路10から循環流路4への湯水の供給を継続し、ステップS32に進む。温度TLは温度TBよりも低い温度(例えば約3℃~約4℃低い温度)であり、好ましくは約34℃~約37℃の温度範囲内の温度、例えば36℃である。
【0060】
次に、ステップS32において、
図12に示すように、制御部16は、時刻t3から時刻t4までの所定時間tjが経過したか否かを判定する。所定時間tjは、温度下降制御における1回の間欠供給の供給時間である。所定時間tjは、所定回数の間欠動作のうち1回の間欠動作(間欠吐水動作)による温度TLの低温吐水の実行時間である。所定時間tjは、制御部16において、予め定められている。所定時間tjは、好ましくは5秒~30秒の範囲内の時間、例えば5秒に設定されている。制御部16は、時刻t3から所定時間tjが経過していない場合には、入浴者に冷感を与える程度に吐水が継続されていないと判断できるので、S32に戻る。ステップS32の所定時間tjを経過していない間において、制御部16は、時刻t3以後、時刻t4まで、吐水される湯水の温度を温度TLでほぼ一定とした吐水装置8からの吐水を継続させている。制御部16は、時刻t3から所定時間tjが経過した場合には、入浴者に冷感を与える程度に吐水が継続され、さらに比較的温度の低い水を長時間連続して入浴者に当てて入浴者の身体的な負担を生じさせることを抑制するように、S33に進む。なお、制御部16の温度変化モードにおいて、温度下降制御における1回の間欠供給の供給時間である所定時間tjは、温度上昇制御の第1吐水時間C1より短い。
【0061】
ステップS33において、制御部16は、吐水装置8から吐水される湯水の温度を温度TLから温度TBに上昇するように変更させる。制御部16は、所定回数の間欠動作間において吐水される湯水の温度を温度TLから温度TBに復帰させ、間欠的な温度制御を実行している。
【0062】
次に、ステップS34において、制御部16は、時刻t4から時刻t5までの所定時間tgが経過したか否かを判定する。所定時間tgは、低温の吐水を行う間欠動作(間欠吐水動作)に対応する1回の温度TBの吐水の実行時間である。所定時間tgは、制御部16において、予め定められている。所定時間tgは、好ましくは5秒~30秒の範囲内の時間、例えば5秒に設定されている。制御部16は、時刻t4から所定時間tgが経過していない場合には、入浴者の身体的な負担を生じさせることを抑制するように浴槽本体2内の湯水の温度TBの温感を所定時間tgの間再び入浴者に与えることができるように、S34に戻る。ステップS34の所定時間tgを経過していない間において、制御部16は、時刻t4以後、時刻t5まで、温度TBでほぼ一定とした吐水装置8からの吐水を継続させている。制御部16は、所定時間tgが経過した場合には、再び入浴者に冷感を与えることにより、入浴者に温度が変化感を感じさせるように、間欠供給制御のサブルーチンのリターンに進む。
【0063】
制御部16は、間欠供給制御のサブルーチンのリターンに到達した場合には、
図7のS22に戻る。
【0064】
次に、制御部16は、ステップS22からステップS23に進み、ステップS23においても、
図10においてS31からS34までに示すような間欠供給制御のサブルーチンを実行させる。ステップS23における間欠供給制御のサブルーチンの処理は、ステップS22における間欠供給制御のサブルーチンの処理と同じであるので説明を省略する。ステップS23における間欠供給制御のサブルーチンの処理が終了すると、再び、
図7のS23に戻り、同様にステップS24に進む。以後、ステップS24、ステップS25、ステップS26においても間欠供給制御のサブルーチンの処理を繰り返している。
【0065】
図9のステップS22乃至ステップS26、
図11等に示すように、制御部16の温度変化モードにおける温度下降制御は、給水流路10から循環流路4への湯水又は水の所定回数の間欠供給により吐水装置8に供給される湯水の温度を下降させている。本実施形態においては5回の間欠供給が行われているが、間欠供給の回数は1回以上の数で任意に変更可能である。間欠供給の回数は、好ましくは、2回~10回の範囲内の回数である。
【0066】
制御部16は、ステップS26における間欠供給制御のサブルーチンの処理が終了すると、温度下降制御を停止させるため第2ポンプ14を停止すると共に電磁弁40を閉弁させ、温度下降制御のサブルーチンのリターンに進む。
【0067】
制御部16は、温度下降制御のサブルーチンのリターンに到達した場合には、
図7のS4に戻る。制御部16は、
図11に示すように、時刻t8から給水流路10から循環流路4への供給を停止させた状態で、第1ポンプ6の駆動を継続させている。よって、浴槽本体2内の湯水は、取水口部9bから取水され、循環流路4を通過して、吐水装置8から浴槽本体2内に向けて吐水され、浴槽本体2内に循環される。制御部16は、以後の処理を続行するためS5に進む。
【0068】
ステップS5において、制御部16は、温度上昇制御のサブルーチンを実行させる。ステップS5における温度上昇制御のサブルーチンは、ステップS3における温度上昇制御のサブルーチンと同様であるので説明を省略する。なお、ステップS5における温度上昇制御のサブルーチンにおける時刻t8は、ステップS3における温度上昇制御のサブルーチンにおける時刻t0に対応している。制御部16は、時刻t9から所定時間thが経過して時刻t10となった場合には、温度上昇制御を停止させるため第2ポンプ14を停止すると共に電磁弁40を閉弁させ、温度上昇制御のサブルーチンのリターンに進む。
【0069】
制御部16は、温度上昇制御のサブルーチンのリターンに到達した場合には、
図7のS5に戻る。制御部16は、給水流路10から循環流路4への供給を停止させた状態で、第1ポンプ6の駆動を継続させている。よって、浴槽本体2内の湯水は、取水口部9bから取水され、循環流路4を通過して、吐水装置8から浴槽本体2内に向けて吐水され、浴槽本体2内に循環される。制御部16は、以後の処理を続行するためS6に進む。
【0070】
ステップS6において、制御部16は、
図9に示す温度下降制御のサブルーチンを実行させる。ステップS6における温度下降制御のサブルーチンは、ステップS4における温度下降制御のサブルーチンと同様であるので説明を省略する。なお、ステップS6における温度下降制御のサブルーチンにおける時刻t10は、ステップS4における温度下降制御のサブルーチンにおける時刻t2に対応している。制御部16は、ステップS26における間欠供給制御のサブルーチンの処理が終了すると、温度下降制御を停止させるため第2ポンプ14を停止すると共に電磁弁40を閉弁させ、温度下降制御のサブルーチンのリターンに進む。
【0071】
制御部16は、時刻t11において温度下降制御のサブルーチンのリターンに到達した場合には、
図7のS6に戻る。制御部16は、このように温度上昇制御と温度下降制御とを組合せて実行した後、ステップS7に進む。制御部16は、少なくとも温度上昇制御と温度下降制御とを組合せて実行する。制御部16は、温度上昇制御と温度下降制御との組合せ等に基づいて、ステップS3からステップS6までの回数や順序等を変更可能である。変形例として例えば、制御部16は、ステップS3及びステップS4を実行してステップS7に進んでもよい。
【0072】
ステップS7において、制御部16は、第1ポンプ6を停止させ、吐水装置8からの吐水を停止させ、エンドに進む。
【0073】
制御部16は、エンドに進んだ場合には、一連の制御処理を終了させる。
【0074】
このように構成された本発明の一実施形態においては、制御部16は、吐水装置8に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、吐水装置8に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水装置8から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水装置8から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える温度変化モードを備える。これにより、入浴者に吐水装置8から吐水された湯水の温度の変化感を与えやすくでき、入浴者に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感や快適感を与えやすくできる。
【0075】
このように構成された本発明の一実施形態においては、制御部16の温度変化モードにおける温度下降制御は、吐水装置8から吐水させる湯水の温度を所定回数の間欠動作において下降させる。これにより、温度下降制御において、水を長時間連続して入浴者に当てて入浴者の身体的な負担を生じさせることを抑制すると共に間欠的な湯水の温度変化により入浴者を飽きさせにくい冷感を提供できる。また、例えば温度調整部7が、循環流路4に接続され、外部の供給源から湯水又は水を供給する給水流路10を備える場合には、制御部16の温度変化モードにおける温度下降制御は、給水流路10から循環流路4への水の所定回数の間欠供給により吐水装置8に供給される湯水の温度を下降させる。これにより、温度下降制御において、水を長時間連続して入浴者に当てて入浴者の身体的な負担を生じさせることを抑制すると共に間欠的な湯水の温度変化により入浴者を飽きさせにくい冷感を提供できる。
【0076】
このように構成された本発明の一実施形態においては、制御部16の温度変化モードにおいて、温度下降制御の第2吐水時間は、温度上昇制御の第1吐水時間より長い。これにより、入浴において既に身体が温まっている入浴者に対し、温度下降制御により温度低下された吐水の吐水時間を、温度上昇制御により温度上昇された吐水の吐水時間よりも長くし、入浴者が吐水の温度低下によるリフレッシュ感や快適感を受けやすくできる。
【0077】
このように構成された本発明の一実施形態においては、制御部16の温度変化モードにおいて、温度下降制御における1回の間欠動作の時間は、温度上昇制御の第1吐水時間より短い。入浴により既に身体が温まっている入浴者に対し、温度上昇制御により上昇された温度の湯水が吐水される場合に比べて、温度下降制御により下降された温度の湯水が吐水される場合に入浴者に温度差のギャップを感じさせやすい。よって、温度下降制御により下降された温度の湯水が吐水される場合には、温度下降制御における1回の間欠動作を、温度上昇制御の第1吐水時間より短く、比較的短くすることで、入浴者の体への負担をさらにかけにくくすることができる。
【0078】
このように構成された本発明の一実施形態においては、制御部16の温度変化モードは、温度上昇制御の第1吐水時間と温度下降制御の第2吐水時間との間において、温度上昇制御の第1吐水時間の開始時の温度変化及び温度下降制御の第2吐水時間の開始時の温度変化のいずれよりも温度変化が少ない吐水をさせる温度変化抑制制御を備える。これにより、温度上昇制御の第1吐水時間と温度下降制御の第2吐水時間との間における温度変化抑制制御により温度変化が少ない吐水を行わせ、入浴者に吐水温度に慣れる機会を設けることができる。これにより、入浴者の体により負担をかけにくくすることができると共に、吐水の温度変化によるリフレッシュ感や快適感をより与えやすくできる。
【0079】
このように構成された本発明の一実施形態においては、制御部16は、給水流路10から供給される湯水により吐水装置8に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、吐水装置8に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水装置8から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水装置8から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える温度変化モードを備える。これにより、給水流路10から供給される湯水又は水を用いて吐水される湯水の温度を調整する場合にも、入浴者に吐水装置8から吐水された湯水の温度の変化感を与えやすくでき、入浴者に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感や快適感を与えやすくできる。また、給水流路10により循環流路4に湯水又は水を供給する湯水供給方式を採用することにより、循環流路4にヒーター等の温度調整部を設ける方式と比べて、より高い効率で吐水装置8から吐水される湯水の温度を調整でき、例えば湯水が比較的大流量で吐水部から吐水される場合であっても、比較的高い効率で吐水部から吐水される湯水の温度を調整できる。
【0080】
このように構成された本発明の一実施形態においては、制御部16は、浴槽本体2内の湯水の温度よりも高い温度の湯水を上記給水流路10から供給させることにより、吐水装置8に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、浴槽本体2内の湯水の温度よりも低い温度の湯水又は水を上記給水流路10から供給させることにより吐水装置8に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水装置8から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水装置8から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える温度変化モードを備える。これにより、給水流路10から供給される湯水又は水を用いて吐水される湯水の温度を調整する場合にも、入浴者に浴槽本体2内の湯水の温度に対して吐水装置8から吐水された湯水の温度の変化感を与えやすくでき、入浴者に退屈感を与えにくくできると共に吐水の温度変化によるリフレッシュ感や快適感を与えやすくできる。
【0081】
次に、
図13により、本発明の第2実施形態による浴槽装置を説明する。第2実施形態は、本発明による浴槽装置の温度下降制御を異なるタイミングで実行する例である。
図13は本発明の第2実施形態による浴槽装置の温度変化モードにおける吐水装置から吐水される湯水の温度と時刻との関係を示すタイムチャートである。
第2実施形態による浴槽装置1は、上述した第1実施形態による浴槽装置1と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。なお、第2実施形態による浴槽装置1は、上述した第1実施形態による浴槽装置1と構造がほぼ同じであるため、第1実施形態による浴槽装置1の
図1乃至
図6を参照することとして構造の図示等を省略する。
【0082】
制御部16は、スタートにおいて、浴槽装置1の温度変化モードの制御を開始させ、
図7に示すようなステップS1、ステップS2を実行する。ステップS1、ステップS2は、第1実施形態のステップS1及びステップS2と同様のため説明を省略する。
【0083】
制御部16は、ステップS3において、制御部16は、温度上昇制御のサブルーチンを実行させる。制御部16は、
図8に示すような温度上昇制御のサブルーチンのスタートを実行させ、ステップS11において、制御部16は、時刻t0から時刻t1(
図13参照)までの所定時間tf(
図13参照)が経過したか否かを判定する。制御部16は、時刻t0からの所定時間tfが経過していない場合には、吐水装置8からの吐水を開始させてから所定時間が経過していないと判断できるので、入浴中の裸の入浴者に急激な温度変化を与えることを抑制するように、S11に戻る。制御部16は、時刻t0からの所定時間tfが経過している場合には、吐水装置8からの吐水を開始させてから所定時間tfが経過し、入浴中の裸の入浴者が吐水装置8からの吐水の湯水の温度に慣れてきていると判断できるので、S12に進む。ステップS12において、制御部16は、第1温度センサ22によって検知された浴槽本体2内の湯水の温度TBよりも高い温度の湯水を給水流路10から循環流路4に供給させ、吐水装置8から吐水される湯水の温度を温度THに変更させる。制御部16は、吐水装置8から吐水される湯水の温度を温度THに到達させた後、吐水の温度を温度THに保つように、給水流路10から循環流路4への湯水の供給を継続し、ステップS13に進む。
【0084】
ステップS13において、制御部16は、時刻t1から時刻t2までの所定時間thが経過したか否かを判定する。所定時間thは、温度上昇制御における第1吐水時間C1であり、制御部16において、予め定められている。制御部16は、時間t1から所定時間thが経過していない場合には、S13に戻る。制御部16は、時刻t1から所定時間thが経過している場合には、温度上昇制御による浴槽本体2内の湯水の温度TBよりも高い温度THの湯水の吐水により、入浴者の首、肩等の上半身が温められ温浴効果を入浴者に一定程度与えることができたと判断できるので、温度上昇制御を停止させるため第2ポンプ14を停止すると共に電磁弁40を閉弁させ、温度上昇制御のサブルーチンのリターンに進む。
【0085】
第2実施形態においては、電磁弁40が閉弁され、給水流路10から循環流路4への湯水の供給が停止されることにより、吐水装置8に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御が開始される。本実施形態の温度下降制御においては、給水流路10から循環流路4への湯水の供給を停止しつつ取水口部9bからの湯水を循環流路4を介して吐水装置8から吐水させている。よって、制御部16は温度下降制御を時刻t2から開始させ、時刻t12まで継続させている。この間、吐水装置8から吐水される湯水の温度は、循環により温度THから温度TBまで徐々に低下される。制御部16の温度下降制御により、吐水される湯水の温度をTBまで戻すように制御する。温度下降制御は、例えば、0.4℃/秒~4℃/秒の範囲内の温度変化をさせるようになっている。このように、制御部16は、吐水装置8に供給される湯水の温度を上昇させる温度上昇制御と、吐水装置8に供給される湯水の温度を下降させる温度下降制御と、を組み合わせた温度変化モードであって、入浴者に温度の変化感を与えやすくなるように、吐水装置8から吐水される湯水の温度の上昇の変化感と、吐水装置8から吐水される湯水の温度の下降の変化感との両方を組み合わせて入浴者に与える上記温度変化モードを実行できる。制御部16は、温度下降制御実行後は、給水流路10から循環流路4への供給を停止させた状態で吐水装置8からの吐水を継続している。
【0086】
次に、
図14により、本発明の第3実施形態による浴槽装置を説明する。第3実施形態は、本発明による浴槽装置の温度上昇制御や温度下降制御を異なる順で実行する例である。
図14は本発明の第3実施形態による浴槽装置の温度変化モードにおける吐水装置から吐水される湯水の温度と時刻との関係を示すタイムチャートである。
第3実施形態による浴槽装置1は、上述した第1実施形態による浴槽装置1と構造がほぼ同じであるため、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。なお、第3実施形態による浴槽装置1は、上述した第1実施形態による浴槽装置1と構造がほぼ同じであるため、第1実施形態による浴槽装置1の
図1乃至
図6を参照することとして構造の図示等を省略する。
【0087】
上述した第1実施形態においては、
図7及び
図11に示すように、制御部16は、温度上昇制御(ステップS3)、温度下降制御(ステップS4)、温度上昇制御(ステップS5)、温度下降制御(ステップS6)をこの順に実行している。これに対し、第3実施形態においては、
図14に示すように、制御部16は、温度上昇制御を3回連続で実行した後、第1実施形態において記載したような温度下降制御を実行している。このように、温度変化モードにおける温度上昇制御、温度下降制御の組み合わせの順、回数等は変更可能である。例えば、他の変形例として、制御部16は、温度上昇制御を1回、温度下降制御を1回実行して温度変化モードの制御を終了してもよい。また、さらに他の変形例として、制御部16は、温度変化モードの制御開始以後、先に温度下降制御を実行した後、温度上昇制御を実行してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 :浴槽装置
2 :浴槽本体
4 :循環流路
6 :第1ポンプ(循環ポンプ)
7 :温度調整部
9 :取水口部
9b :取水口部(浴槽取水口)
10 :給水流路(供給管路)
16 :制御部
52 :給湯器