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特開2023-123953軟質樹脂シートの破砕方法及び軟質樹脂シートの破砕設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123953
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】軟質樹脂シートの破砕方法及び軟質樹脂シートの破砕設備
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/00 20060101AFI20230830BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B02C18/00 106A
B02C18/00 106B
B29B17/04 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027457
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】519367706
【氏名又は名称】株式会社エコ・マイニング
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】相田 辰
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 拓
(72)【発明者】
【氏名】小牧 賢司
【テーマコード(参考)】
4D065
4F401
【Fターム(参考)】
4D065CA06
4D065EB14
4D065EB20
4D065ED02
4D065ED06
4D065ED12
4D065ED18
4D065ED23
4D065ED50
4D065EE02
4D065EE15
4F401AA40
4F401AD07
4F401BA04
4F401BA06
4F401CA14
4F401CA25
4F401CA84
4F401CB34
4F401CB35
(57)【要約】
【課題】一軸破砕機の利用を前提にして、スクリーンに目詰まりが発生しないような軟質樹脂シートの破砕技術を提供する。
【解決手段】図4(b)に示すように、一軸破砕機のスクリーン38のスクリーン目38aに、軟質樹脂シートのせん断片31A~31Cが詰まることがある。このときには、図4(d)に示すように、廃ゴルフボール22でせん断片31A~31Cを突き落とす。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸破砕機を用いて軟質樹脂シートを破砕する軟質樹脂シートの破砕方法であって、
前記一軸破砕機は、固定刃と、ロータと、このロータに設けられ前記固定刃とで前記軟質樹脂シートをせん断する回転刃と、せん断で得たせん断片のうちスクリーン目を通過したものを破砕片と読み替えるときにこの破砕片を排出するスクリーンと、を備えており、
前記一軸破砕機及び前記軟質樹脂シートに加えて、前記スクリーン目を通過する大きさの塊体を準備する工程と、
前記一軸破砕機に、前記軟質樹脂シートと前記塊体とを投入する工程と、
前記一軸破砕機で前記軟質樹脂シートをせん断して前記せん断片を得る工程と、
前記スクリーンから前記塊体及び前記破砕片を排出する工程と、からなり、
排出する前記塊体で、前記スクリーン目に被さる前記せん断片を突き落とすことで、前記せん断片が前記スクリーン目に詰まることを防止するようにしたことを特徴とする軟質樹脂シートの破砕方法。
【請求項2】
請求項1記載の軟質樹脂シートの破砕方法であって、
前記塊体は、廃ゴルフボールであることを特徴とする軟質樹脂シートの破砕方法。
【請求項3】
一軸破砕機と、この一軸破砕機へ軟質樹脂シートを投入する樹脂シート投入機構と、前記一軸破砕機へ塊体を投入する塊体投入機構とを備える軟質樹脂シートの破砕設備であって、
前記一軸破砕機は、ケーシングと、このケーシングの上部に取付けられ前記軟質樹脂シート及び前記塊体を前記ケーシングへ導くホッパと、前記ケーシング内に配置されると共に前記ケーシング側に固定される固定刃と、前記ケーシングに回転自在に収納されるロータと、このロータに設けられ前記固定刃と共に前記軟質樹脂シートをせん断してせん断片にする回転刃と、所定の穴径のスクリーン目を有し前記ロータの一部を囲うようにして前記ケーシングに設けられるスクリーンとを備え、
前記塊体は、前記スクリーン目を通過し得る大きさの塊であり、前記スクリーン目に前記せん断片が詰まったときに前記スクリーン目を通過して前記詰まりを解消する役割を果たす塊であることを特徴とする軟質樹脂シートの破砕設備。
【請求項4】
請求項3記載の軟質樹脂シートの破砕設備であって、
前記塊体は、前記ロータから前記スクリーンまでの距離より小径であることを特徴とする軟質樹脂シートの破砕設備。
【請求項5】
請求項4記載の軟質樹脂シートの破砕設備であって、
前記塊体は、廃ゴルフボールであることを特徴とする軟質樹脂シートの破砕設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質樹脂シートの破砕技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地球資源の有効利用及び地球環境の保全の観点から、プラスチック系ごみの回収及び有効利用が強く望まれる。有効利用にあたっては、プラスチック系ごみは、用途に応じた大きさ(サイズ)になるように破砕機で破砕される。
【0003】
代表的な破砕機として、一軸破砕機と二軸破砕機が知られている。
図8(a)、(b)に基づいて、従来の一軸破砕機と二軸破砕機とを説明する。
図8(a)に示すように、一軸破砕機100は、1本のロータ101と、このロータ101を囲うケーシング102と、このケーシング102の上に取付けられるホッパ103とからなる。
ケーシング102の底にスクリーン104が設けられ、ケーシング102に固定刃105が設けられ、ロータ101に回転刃106が設けられている。
【0004】
ホッパ103に投入された廃プラスチック108は、固定刃105と回転刃106とでせん断されて、せん断片109となる。せん断片109のうち、スクリーン104を通過し得るものは、スクリーン104を通過して排出される。排出されたものを便宜的に破砕片111と呼び、せん断片109と区別することにする。
【0005】
せん断片109のうち、スクリーン104を通過し得ない大きなものは、ロータ101で回され、多数回固定刃105と回転刃106とでせん断され、徐々に小さくなり、所定の大きさ以下になったらスクリーン104を通過して排出され、破砕片111となる。
【0006】
よって、一軸破砕機100は、排出する破砕片111の大きさが揃っているという利点がある。ただし、せん断片109が循環するため、生産性は低くなる。
【0007】
図8(b)に示すように、二軸破砕機120は、2本の回転カッター121と、この回転カッター121を囲うケーシング122と、このケーシング122の上に取付けられるホッパ123とからなる。図面では省略したが、回転カッター121は、外周に歯がついている。
ホッパ123に投入された廃プラスチック124は、2本の回転カッター121で破砕され、破砕片125となって落下する。
【0008】
二軸破砕機120は、いわゆるワンパスであるため、生産性が高いという利点がある。ただし、ワンパスであるため、破砕片125の大きさは不可避的に不揃いになる。
【0009】
一軸破砕機と二軸破砕機とで廃プラスチックを処理する技術が、提案されている(例えば特許文献1)。
特許文献1では、硬質プラスチックを一軸破砕機で破砕し、軟質プラスチックを二軸破砕機で破砕する。
【0010】
ところで、プラスチック系ごみの有効利用技術の一つに、RPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)と呼ばれる固形燃料の形態で再利用する技術がある。
この固形燃料は、廃プラスチックに古紙を適量混合して圧縮成形することで得られる。 古紙の再利用が図れるとともに、古紙を混合することで発熱量を下げることができる。
【0011】
固形燃料は、大型固形燃料と小型固形燃料との2種類が実用に供されている。
小型固形燃料は、外径が8~10mmで長さが20~50mmの円柱である。
すなわち、小型固形燃料は、サイズが50mm以下である。
【0012】
このような小型固形燃料の製造ラインに、特許文献1の技術を採用すると、以下に述べる問題が生じる。
第1に、特許文献1の技術では、軟質プラスチックの絡まりを回避するために、軟質プラスチックを二軸破砕機で破砕するが、上述したように二軸破砕機で破砕した破砕片(図8(b)、符号125)は、大きさが不揃いである。小型固形燃料は、外径が8~10mmで長さが20~50mmの円柱であって、これに50mmを超えるような大きな破砕片を混ぜようとすると、収まりが悪い。収まりが悪いため、製造に支障がでると共に製品品質が安定しない。
【0013】
第2に、特許文献1の技術では、小型固形燃料の製造ラインに、一軸破砕機と二軸破砕機との両方が必須となる。一軸破砕機と二軸破砕機との両方を調達すると、製造ラインの設置費用が嵩む。また、一軸破砕機と二軸破砕機を設置するため、製造ラインの設置面積が大きくなる。
【0014】
仮に、一軸破砕機で軟質プラスチックの処理が可能になれば、上記した第1の問題は解決する。その上、小型固形燃料の製造ラインに、一軸破砕機のみを設置すればよいので、上記した第2の問題は解決する。
【0015】
すなわち、上記した第1・第2の問題を解決するためには、一軸破砕機の利用を前提にしてスクリーンに目詰まりが発生しないような軟質樹脂シートの破砕技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第2928774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、一軸破砕機の利用を前提にして、スクリーンに目詰まりが発生しないような軟質樹脂シートの破砕技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に係る発明は、一軸破砕機を用いて軟質樹脂シートを破砕する軟質樹脂シートの破砕方法であって、
前記一軸破砕機は、固定刃と、ロータと、このロータに設けられ前記固定刃とで前記軟質樹脂シートをせん断する回転刃と、せん断で得たせん断片のうちスクリーン目を通過したものを破砕片と読み替えるときにこの破砕片を排出するスクリーンと、を備えており、
前記一軸破砕機及び前記軟質樹脂シートに加えて、前記スクリーン目を通過する大きさの塊体を準備する工程と、
前記一軸破砕機に、前記軟質樹脂シートと前記塊体とを投入する工程と、
前記一軸破砕機で前記軟質樹脂シートをせん断して前記せん断片を得る工程と、
前記スクリーンから前記塊体及び前記破砕片を排出する工程と、からなり、
排出する前記塊体で、前記スクリーン目に被さる前記せん断片を突き落とすことで、前記せん断片が前記スクリーン目に詰まることを防止するようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の軟質樹脂シートの破砕方法であって、
前記塊体は、廃ゴルフボールであることを特徴とする。
【0020】
請求項3に係る発明は、一軸破砕機と、この一軸破砕機へ軟質樹脂シートを投入する樹脂シート投入機構と、前記一軸破砕機へ塊体を投入する塊体投入機構とを備える軟質樹脂シートの破砕設備であって、
前記一軸破砕機は、ケーシングと、このケーシングの上部に取付けられ前記軟質樹脂シート及び前記塊体を前記ケーシングへ導くホッパと、前記ケーシング内に配置されると共に前記ケーシング側に固定される固定刃と、前記ケーシングに回転自在に収納されるロータと、このロータに設けられ前記固定刃と共に前記軟質樹脂シートをせん断してせん断片にする回転刃と、所定の穴径のスクリーン目を有し前記ロータの一部を囲うようにして前記ケーシングに設けられるスクリーンとを備え、
前記塊体は、前記スクリーン目を通過し得る大きさの塊であり、前記スクリーン目に前記せん断片が詰まったときに前記スクリーン目を通過して前記詰まりを解消する役割を果たす塊であることを特徴とする。
【0021】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の軟質樹脂シートの破砕設備であって、
前記塊体は、前記ロータから前記スクリーンまでの距離より小径であることを特徴とする。
【0022】
請求項5に係る発明は、請求項4記載の軟質樹脂シートの破砕設備であって、
前記塊体は、廃ゴルフボールであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る軟質樹脂シートの破砕方法によれば、仮に、スクリーン目にせん断片が詰まっても、この詰まりを塊体が突き落とす。
結果、本発明により、一軸破砕機の利用を前提にして、スクリーンに目詰まりが発生しないような軟質樹脂シートの破砕技術が提供される。
【0024】
請求項2に係る軟質樹脂シートの破砕方法では、塊体は廃ゴルフボールとした。
現在、ゴルフ場やゴルフ練習場などでは、発生する廃ゴルフボールの処理に頭を痛めていた。
本発明によれば、この問題が解決できると共に廃ゴルフボールを再利用することで、資源の有効活用を図ることができる。
【0025】
請求項3に係る軟質樹脂シートの破砕設備によれば、請求項1と同様に、仮にスクリーン目にせん断片が詰まっても、この詰まりを塊体で突き落とすことができる。
結果、本発明により、一軸破砕機の利用を前提にして、スクリーンに目詰まりが発生しないような軟質樹脂シートの破砕技術が提供される。
【0026】
加えて、請求項3によれば、既存の破砕設備に、塊体投入機構を付設するだけで済む。結果、既存の破砕設備を、スクリーンに目詰まりが発生しないような軟質樹脂シートの破砕設備に、容易に模様替えすることができる。
【0027】
請求項4に係る軟質樹脂シートの破砕設備では、塊体は、ロータからスクリーンまでの距離より小径である。
塊体はロータとスクリーンとの間を通過し得るので、塊体の形状が維持され、塊体の循環的再利用が可能となる。
【0028】
請求項5に係る軟質樹脂シートの破砕設備では、請求項2と同様に、塊体は廃ゴルフボールとした。ゴルフ場やゴルフ練習場などでは、発生する廃ゴルフボールの処理に頭を痛めていた。
本発明によれば、この問題が解決できると共に廃ゴルフボールを再利用することで、資源の有効活用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る軟質樹脂シートの破砕設備の基本構成図である。
図2】塊体投入機構の断面図である。
図3】一軸破砕機の断面図である。
図4】(a)~(d)は塊体の作用を説明する図である。
図5】本発明に係る軟質樹脂シートの破砕設備の変更例を説明する図である。
図6図5の6部拡大図である。
図7】(a)、(b)は選別機の変更例を説明する図である。
図8】(a)は従来の一軸破砕機の断面図、(b)は従来の二軸破砕機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例0031】
[軟質樹脂シートの破砕設備]
図1に示すように、軟質樹脂シートの破砕設備10は、一軸破砕機30と、この一軸破砕機30へ軟質樹脂シート11を投入する樹脂シート投入機構12と、一軸破砕機30へ塊体21を投入する塊体投入機構20とを主要素とする。
【0032】
好ましくは、軟質樹脂シートの破砕設備10に、一軸破砕機30の下に配置する第1水平コンベア41と、この第1水平コンベア41の出側に配置する選別機50と、この選別機50の上部出口51の下に配置する第2水平コンベア42と、選別機50の下部出口52の下に配置する分級網43と、この分級網43の下に配置する第1バケット44及び第2バケット45とを、付設する。
【0033】
一軸破砕機30の詳細構造は図3で説明し、塊体投入機構20の詳細構造は図2で説明する。
【0034】
[軟質樹脂シート]
軟質樹脂シート11は、レジ袋と略称されるポリエチレン製袋に代表される0.05~0.1mm程度の厚さの樹脂シートや、薄い樹脂フィルムなどの軟質樹脂系ごみである。こみであるから、軟質樹脂の種類は限定されない。
【0035】
[樹脂シート投入機構]
樹脂シート投入機構12は、図1に示すように、傾斜コンベアが好適である。ただし、樹脂シート投入機構12は、単なるホッパであってもよく、一軸破砕機30へ軟質樹脂シート12を投入することができる機構であれば、種類や形式は問わない。
【0036】
[塊体]
塊体21は、軟質樹脂シート11より高比重であって、ある程度の重さがあり、スクリーン目(図3、符号33a)を通過し得る大きさの塊である。
【0037】
塊体21は、例えば、使い古した廃ゴルフボール22である。
廃ゴルフボール22の外径は、規格で1.68インチ(42.67mm)以上と規定されている。スクリーン目が50mmであれば、廃ゴルフボール22は十分にスクリーン目を通過し得る。廃ゴルフボール22はゴム製のコア(芯)をウレタンでカバーしてなり、軟質樹脂シート11より十分に重い。
【0038】
廃ゴルフボール22は、ゴルフ場及びゴルフ練習場から大量に発生する。従来は廃ゴルフボール22は有償で処分(焼却又は埋め立て)されてきた。
本発明によれば、このような廃ゴルフボール22の有効活用が図れる。
【0039】
なお、塊体21は、廃ゴルフボール22の他、軟式野球ボールやたどん(炭団)やゴム片でもよく、要は、ある程度の重さがあり、スクリーン目を通過し得る大きさの塊であれば種類は問わない。
【0040】
一般・中学生用軟球は外径が72mmであり、小学生用軟球は外径が69mmである。スクリーン目の大きさが75mmであれば、軟球が使用可能である。従来は使い古した軟球は焼却されてきた。
本発明によれば、このような使い古した軟球の有効活用が図れる。
【0041】
たどん(炭団)は、木炭や石炭の粉末に、ふのりを混ぜて、球状に固めて乾かした燃料である。
長尺の木炭を定寸に切断するときに発生する切り屑が木炭の粉末となり、この木炭の粉末は極めて安価である。
また、石炭同士が衝突することで発生する粉が石炭の粉末となり、この石炭の粉末も極めて安価である。
たどん(炭団)の一部(粉)が、破砕片(図3、符号32)に付着するが、炭粉も燃料の一種であるため、固形燃料に炭粉が混入することは差し支えない。
【0042】
ゴム片は、古タイヤを切断して得られる。ただし、得られたゴム片は、立方体や直方体に近い形状となる。スクリーン目を円滑に通過させることを考慮すると、塊は立方体よりは球体(ほぼ球体を含む。)が好ましいため、ゴム片の使用には少々難がある。
この点、廃ゴルフボール22は球体であるため、より好ましい。
【0043】
[選別機]
一軸破砕機30から、破砕された軟質樹脂シート11のうち所定の大きさの破砕片32と、塊体21(塊体21の破片を含む。)とが排出されてくる。
選別機50は、例えば、傾斜式スクリューコンベア53である。
傾斜式スクリューコンベア53は、筒体54とこの筒体54に回転自在に収納されるスクリュー55とからなり、筒体54の一端に上部出口51を備え、筒体54の他端に下部出口52及び入口56を備え、上部出口51が上に下部出口52が下になるように傾斜させてなる。
【0044】
入口56から投入された混合物(破砕片32+塊体21)は、スクリュー55の作用により、軽い破砕片32は上部出口51に向かい、重い塊体21はスクリュー55から落下し筒体54の内面に沿って滑落し下部出口52に向かう。
以上により、破砕片32と塊体21とに選別される。
【0045】
なお、選別機50は、風力選別機や遠心式選別機であってもよく、混合物(破砕片32+塊体21)を受け入れ、破砕片32と塊体21とに選別する機構であれば、種類や形式は問わない。
【0046】
[分級網]
分級網43は、塊体21の外径よりも十分に小さな網目の網である。塊体21が外径約43mmの廃ゴルフボール22であれば、網目は40mm程度に設定する。
分級網43は、振動器46で振動される。その上で斜めに設けられる。
網目より大きな塊体21は、分級網43上を滑落して第1バケット44に回収される。第1バケット44に回収された分級網43は、コンベア等の機構により、塊体投入機構20に戻され、再利用される。
【0047】
塊体21は、頻度は小さいが、一軸破砕機30で破砕され破片23になる。
この破片23は、分級網43を通過して第2バケット45に収納される。
破片23が樹脂やゴムなどの可燃物であれば、破片23は、小型固形燃料の原料にすることができる。
破片23が非可燃物であれば、破片23は、焼却処理又は埋め立て処理に回される。
【0048】
[第2水平コンベア]
第2水平コンベア42は、選別機50の上部出口51から落下する破砕片32を、次の工程まで運搬する。次の工程は、例えば、小型固形燃料製造ラインであり、破砕片32は、軟質樹脂シートの破片であり、この破片は大きさが揃っており、リングダイ成形機に供給される。
【0049】
[塊体投入機構]
図2に示すように、塊体投入機構20は、例えば、ホッパ24と、このホッパ24の下部に設けたロータリーバルブ25と、このロータリーバルブ25を回すバルブモータ26と、このバルブモータ26を制御するモータ制御部27と、バルブモータ26の回転速度を設定する速度設定器28とからなる。
【0050】
ロータリーバルブ25は、回転軸に複数(この例では4枚)の羽根29を等ピッチで備えている。羽根29で複数(この例では4室)の室(ポケット)を形成する。
ホッパ24から一つの室に1個(又は所定個数)の廃ゴルフボール22が落下する。ロータリーバルブ25を180°回すと、廃ゴルフボール22がロータリーバルブ25から落下する。
【0051】
速度設定器28により、ロータリーバルブ25の回転速度を高めると、単位時間当たりの廃ゴルフボール22の排出数が増加し、回転速度を低めると、廃ゴルフボール22の排出数が減少する。
なお、塊体投入機構20は、廃ゴルフボール22を一列に並べて順次送り出すパーツフィーダでもよく、種類や形式は任意である。
【0052】
[一軸破砕機]
一軸破砕機は、固定刃と回転刃とのせん断により破砕を行うため、正しくは、せん断式一軸破砕機又は一軸せん断式破砕機と呼ばれる。
【0053】
図3に示すように、一軸破砕機30は、例えば、ケーシング33と、このケーシング33の上部に取付けられ軟質樹脂シート11及び塊体21を受け入れてケーシング33へ導くホッパ34と、ケーシング33内に配置されると共にケーシング33側に固定される固定刃35と、ケーシング33に回転自在に収納されるロータ36と、このロータ36に設けられ固定刃35と共に軟質樹脂シート11をせん断してせん断片31にする回転刃37と、所定の穴径(例えば50mm)のスクリーン目38aを有しロータ36の一部(底部)を囲うようにしてケーシング33に設けられるスクリーン38と、軟質樹脂シート11をロータ36へ付勢するプッシャ39とを備えている。
【0054】
固定刃35は、ケーシング33に直接固定する他、適当なブラケットを介してケーシング33に間接的に固定してもよい。なお、固定刃35を固定するときの「固定」は、固定刃35をボルトやクランプ等で着脱可能にケーシング33に固定することを含む。
【0055】
[せん断片]
固定刃35は鋏の一方の刃に相当し、回転刃37は鋏の他方の刃に相当する。固定刃35と回転刃37とで、軟質樹脂シート11をせん断する。せん断により、せん断片31が得られる。
このせん断片31は、の大きさが不揃いである。
【0056】
[破砕片]
せん断片31のうち、スクリーン目38aを通過し得る大きさのものは、スクリーン38から排出される。この排出されたものを破砕片32と呼ぶ。
スクリーン目38aより大きなせん断片31は、ロータ36に連れ回って、再度固定刃35に向かい、再度せん断される。せん断片31は、繰り返しせん断され、結果的に、破砕片32となる。
【0057】
すなわち、軟質樹脂シート11がせん断されたもののうち、スクリーン38の内側にあるものを、せん断片と呼び、スクリーン38の外側にあるものを、破砕片と呼ぶことで、両者を区別する。
【0058】
この実施例では、ロータ36からスクリーン38までの距離Dは、70mmとした。距離Dが塊体21(廃ゴルフボール22)の外径より十分に大きい。
また、固定刃35はロータ36の軸方向に連続した刃ではなく、断続した刃であり、殆どの塊体21は、固定刃35を通過する。一部が固定刃35でせん断され破片(図1、符号23)となる。
そして、塊体(塊体の破片を含む。)21は、スクリーン38を通過する。
結果、スクリーン38から、大きさが揃った破砕片32と、塊体(塊体の破片を含む。)21とが排出され、第1水平コンベア(図1、符号41)に至る。
【0059】
次に、塊体21(廃ゴルフボール22)の作用を、図4に基づいて説明する。
図4(a)に示すように、スクリーン目38aの穴径より大径のせん断片31A(英大文字は場所を区別する添え字である。)が、スクリーン目38aに被さることがある。
この大きなせん断片31Aに、別のせん断片31B、31Cが貼りつくように積層する。
【0060】
別のせん断片31B、31Cは、仮にスクリーン目38aより小径であっても、せん断片31Aに邪魔されるため、スクリーン目38aを通過し得ない。
このようにして積層体は成長して厚みを増す。厚みを増した分だけ曲げ剛性が高まり、簡単にはスクリーン目38aを通過しない。
結果、図4(b)に示すように、せん断片31A~31Cがスクリーン目38aに詰まる。
【0061】
しかし、本発明では、図4(c)に示すように、塊体21(廃ゴルフボール22)がスクリーン目38aに到達する。
すると、図4(d)に示すように、塊体21(廃ゴルフボール22)がスクリーン目38aを通過しつつ、せん断片31A~31Cを強制的に突き落とし、目詰まりを解消する。
【0062】
なお、せん断片31Aは、破砕片32より、大きいが、破砕片32の全量に占める比率は僅かであり、破砕片32に混入することは許容される。
以上により、目詰まりし易い軟質樹脂シート11に、塊体21を混ぜることにより、一軸破砕機30で軟質樹脂シート11を破砕することが可能となった。
【0063】
[軟質樹脂シートの破砕方法]
軟質樹脂シートの破砕方法は、次の通りである。
図3に示すような一軸破砕機30を用いて軟質樹脂シート11を破砕する軟質樹脂シートの破砕方法である。
【0064】
一軸破砕機30は、図3に示すように、固定刃35と、ロータ36と、このロータ36に設けられ固定刃35とで軟質樹脂シート11をせん断する回転刃37と、せん断で得たせん断片31のうちスクリーン目38aを通過したものを破砕片32と読み替えるときにこの破砕片32を排出するスクリーンと、を備えている。
【0065】
そして、本発明方法は、図3に示すように、一軸破砕機30及び軟質樹脂シート11に加えて、スクリーン目38aを通過する大きさの塊体21を準備する工程と、
一軸破砕機30に、軟質樹脂シート11と塊体21とを投入する工程と、
一軸破砕機30の固定刃35と回転刃37とにより、軟質樹脂シート11をせん断してせん断片31を得る工程と、
スクリーン38から塊体21及び破砕片32を排出する工程と、からなる。
【0066】
以上の工程群により、大きさが揃った破砕片32を得ることができる。
そして、排出する工程において、図4(d)に示すように、排出する塊体21で、スクリーン目38aに詰まったせん断片31A~31Cを強制的に突き落とすことができる。
結果、一軸破砕機30で、軟質樹脂シート11を円滑に破断することができる。
【0067】
次に、図1で説明した軟質樹脂シートの破砕設備10の変更例を、図5に基づいて説明する。
図5に示すように、変更例での軟質樹脂シートの破砕設備10は、樹脂シート投入機構12と、塊体投入機構20と、一軸破砕機30を主要素とし、これらに加えて、スクリューコンベア60と、選別機70と、第2水平コンベア42とからなる。
樹脂シート投入機構12と、塊体投入機構20と、一軸破砕機30と、第2水平コンベア42は、図1と同じであるため、図1の符号を流用して、詳細な説明は省略する。
【0068】
スクリューコンベア60は、水平(ほぼ水平を含む。)に配置され、ホッパ61で受け入れた破砕片32及び塊体21(例えば、廃ゴルフボール22)を、スクリュー62で水平に搬送し、出口63から排出する。
スクリュー62は、羽根のピッチが一定であり、回転速度が一定であるため、単位時間当たり一定量の破砕片32を排出する。すなわち、スクリュー62は、定量切り出しの作用を発揮する。
【0069】
選別機70は、傾斜コンベアであり、下位プーリ71と、上位プーリ72と、これらに掛け渡したベルト73とからなる。下位プーリ71又は上位プーリ72は減速機を介して電動機で駆動される。電動機及び減速機はある程度振動する。この振動を受けて下位プーリ71及び上位プーリ72は振動し、これを受けてベルト73も上下に振動する。
【0070】
図6図5の6部拡大図である。
図6に示すように、ベルト73は、外面(外周面)に、横桟74を等ピッチで備えている。横桟74は、ベルト73に一体形成するや、ベルト73に接着等で付設することで形成される。
【0071】
横桟74の高さは、廃ゴルフボール22の外径の半分未満(例えば廃ゴルフボール22の外径の1/4)である。
ベルト73が傾斜し且つ上下に振動するため、廃ゴルフボール22は、横桟74を乗り越えて転げ落ち、第1バケット(図5、符号44)へ落下し回収される。
【0072】
破砕片32は、廃プラスチックからなり、軽量であるため、横桟74に掛かった状態で上昇し、第2水平コンベア(図5、符号42)へ落下する。
変更例での選別機70は、構造が極めて簡単であるにも拘わらず、破砕片32と廃ゴルフボール22とを選別する。
【0073】
横桟74は、斜め桟に変更してもよい。
図7(a)に示すように、ベルト73は、外面(外周面)に、左右一対の斜め桟75を等ピッチで備えている。左右一対の斜め桟75は、Vをなすように配置される。左の斜め桟75と右の斜め桟75とは、廃ゴルフボール22が通過し得るように離して配置される。
【0074】
廃ゴルフボール22は左の斜め桟75と右の斜め桟75との間を通過しつつ、ベルト73の上面を転がり落ちる。一方、破砕片32は斜め桟75に掛かって上昇する。
以上により、破砕片32と廃ゴルフボール22とが選別される。
【0075】
また、選別機70は、平ベルトとサイドガードとの組み合わせ体であってもよい。
図7(b)に示すように、選別機70は、平ベルト76と、この平ベルト76の両サイドに沿わせた一対のサイドガード77とを有する。サイドガード77は側板であり、廃ゴルフボール22が側方に落ちることを防止する邪魔板である。
【0076】
平ベルト76は、ゴムであるため、摩擦係数が大きい。そのため、軽い破砕片32は平ベルト76で上方へ運搬される。
対して、転がり易い廃ゴルフボール22は平ベルト76の上面を転がり落ちる。このときに、一部の廃ゴルフボール22が側方から落ちることがある。この不具合を、サイドガード77で防止する。すなわち、サイドガード77を設けることで、平ベルト76が採用できる。
【0077】
平ベルト76は、メッシュベルトであってもよい。網目は廃ゴルフボール22の外経の1/8~1/2程度とする。廃ゴルフボール22はメッシュベルト上面を転がり落ち、廃ゴルフボール22の破片(図1、符号23)は、メッシュベルトの網目を通って落下する。再利用可能な廃ゴルフボール22と再利用が難しい破片とが、容易に選別される。
【0078】
このようなサイドガード77を、図6に示す横桟74付きベルト73に、追加して設けることは差し支えない。
以上に述べたように選別機(図1符号50、図5符号70)の構造は任意であり、要は、軽い破砕片32とそれより重い塊体(廃ゴルフボール22など)とを選別する機能を有すればよく、方式や構造は任意に選択できる。
【0079】
尚、塊体21として廃ゴルフボール22を推奨したが、廃ゴルフボール22が手に入らないときは、新品のゴルフボール又は使用中のゴルフボールを代用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、プラスチック系ごみの破砕技術に好適である。
【符号の説明】
【0081】
10…軟質樹脂シートの破砕設備、11…軟質樹脂シート、12…樹脂シート投入機構、20…塊体投入機構、21…塊体、22…廃ゴルフボール、30…一軸破砕機、31…せん断片、32…破砕片、33…ケーシング、34…ホッパ、35…固定刃、36…ロータ、37…回転刃、38…スクリーン、38a…スクリーン目、D…ロータからスクリーンまでの距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8