(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123954
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】道路反射鏡
(51)【国際特許分類】
E01F 9/608 20160101AFI20230830BHJP
E01F 9/619 20160101ALI20230830BHJP
【FI】
E01F9/608
E01F9/619
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027458
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064AA22
2D064BA13
2D064DA09
2D064EA13
2D064EB23
2D064GA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カメラの設置が簡単にでき、ミラーに映る運転者から見えない像をカメラにより撮像して注意喚起等の積極的な報知を可能とする。
【解決手段】道路反射鏡10は、湾曲した鏡面に外部の像を映すと共に外部の像を透過するハーフミラー18の裏側に形成された暗室にCCDカメラ26が配置されてハーフミラー18を透過した外部の像を撮像し、制御盤40はCCDカメラ26により撮像された画像を記録すると共に、CCDカメラ26により撮像された画像から接近する移動体を認識した場合に、ハーフミラー18の外側に配置された接近表示灯34により危険度を表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した鏡面に外部の像を映すと共に前記外部の像を透過するハーフミラーと、
前記ハーフミラーの裏側に形成された暗室に配置され、前記ハーフミラーを透過した前記外部の像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を記録すると共に所定の処理を行う制御部と、
が設けられたことを特徴とする道路反射鏡。
【請求項2】
請求項1記載の道路反射鏡に於いて、
前記撮像部は、前記ハーフミラーを透過して前記暗室に配置された全方位ミラーに映る全方位像を撮像することを特徴とする道路反射鏡。
【請求項3】
請求項2記載の道路反射鏡に於いて、
前記撮像部は、前記ハーフミラーの裏側で前記全方位ミラーの前方の所定位置にアーム部材に支持されて配置されることを特徴とする道路反射鏡。
【請求項4】
請求項3記載の道路反射鏡に於いて、前記撮像部を支持するアーム部材には、反射防止テープが巻着されたことを特徴とする道路反射鏡。
【請求項5】
請求項2記載の道路反射鏡に於いて、前記全方位ミラーとして球面ミラー又は双曲線ミラーが設けられたことを特徴とする道路反射鏡。
【請求項6】
請求項1記載の道路反射鏡に於いて、
更に、前記ハーフミラー外側に配置され、外部から視認可能な表示部が設けられ、
前記制御部は前記撮像部により撮像された画像から接近する移動体を認識した場合に前記表示部により危険度を表示させることを特徴とする道路反射鏡。
【請求項7】
請求項6記載の道路反射鏡に於いて、
前記表示部は、
前記ハーフミラーの外側周縁部の全周又は一部に配置されたライトガイドと、
前記ライトガイドに光を入射して発光させる光源部と、
が設けられたことを特徴とする道路反射鏡。
【請求項8】
請求項6又は7記載の道路反射鏡に於いて、
前記制御部は、前記接近する移動体を認識していない場合は前記表示部により所定の安全色を表示させ、前記接近する移動体を認識した場合は前記表示部により所定の注意色又は危険色を表示させることを特徴とする道路反射鏡。
【請求項9】
請求項1記載の道路反射鏡に於いて、
前記制御部は前記撮像部により撮像された画像から通過車両を検出して渋滞状況を監視し、前記渋滞状況を通信部により外部に送信することを特徴とする道路反射鏡。
【請求項10】
請求項1記載の道路反射鏡に於いて、更に、所定の自然エネルギーを利用して発電する発電部により動作電源を供給することを特徴とする道路反射鏡。
【請求項11】
湾曲した鏡面に外部の像を映すと共に前記外部の像を透過するハーフミラーと、
前記ハーフミラーの裏側に形成された暗室に配置され、前記ハーフミラーを透過した前記外部の像を撮像する撮像部と、
前記ハーフミラー外側に配置され、外部から視認可能な表示部と、
前記撮像部により撮像された画像から接近する移動体を認識した場合に前記表示部により危険度を表示させる制御部と、
が設けられたことを特徴とする道路反射鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の交差点や曲がり角に設置される道路反射鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーブミラーとして知られた道路反射鏡は、信号機の無い交差点、道路の曲がり角や急カーブ等の見通しの悪い場所に設置されており、運転席からは見えない場所にいる車や歩行者を映して、その存在を認識できるようにしている。
【0003】
道路反射鏡は、道路の角部等に起立される支柱の頂部に、ブラケットの前面に所定の曲率を持った球面構造のミラーが設けられ、ミラーには直径80センチメートルの大型ミラーと、直径60センタメートルの小型ミラーがあり、ガラス、ステンレス、メタクリル樹脂、又はポリカーボネート樹脂等を材質とし、ミラー上部にはミラー表面に雨や雪が付着するのを防ぐフードが設けられている(特許文献1)。
【0004】
また、従来のカーブミラーを改良したものとして、カーブミラーにカメラを設置し、撮影映像データを送信する装置(特許文献2)、ミラーに代えて映像ディスプレイを備えるカーブ情報装置(特許文献3)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07-062616号公報
【特許文献2】特開2008-534935号公報
【特許文献3】特開2015-215858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のカメラを設けた道路反射鏡にあっては、視界を確保するためにカメラをミラーの上部の高い位置に設置しており、カメラが風雨にさらされることから、防水構造を持った筐体にカメラを収納して設置する必要があり、構造が大型化して重量も増加し、コストアップにもなるという問題がある。
【0007】
また、長期間使用していると、カメラを収納した筐体のガラス窓に汚れが付着して画質が低下することから、定期的な清掃が必要であり、維持管理に手間と時間がかかる問題もある。
【0008】
更に、従来の道路反射鏡は、運転席からは見えない場所にいる車や歩行者を像として反射して、その存在を認識させるが、車や歩行者の存在を積極的に知らせるような形態とはなっておらず、天候等により道路反射鏡を見ても車や人の存在が確認しづらい場合があり、出会い頭の事故防止には限界がある。
【0009】
本発明は、カメラの設置が簡単にでき、ミラーに映る運転者から見えない像をカメラにより撮像して注意喚起等の積極的な報知を可能とする道路反射鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(道路反射鏡)
本発明は、道路反射鏡であって、
鏡面に外部の像を映すと共に外部の像を透過するハーフミラーと、
ハーフミラーの裏側に形成された暗室に配置され、ハーフミラーを透過した外部の像を撮像する撮像部と、
撮像部により撮像された画像を記録すると共に所定の処理を行う制御部と、
が設けられたことを特徴とする。
【0011】
(全方位ミラー)
撮像部は、ハーフミラーを透過して暗室に配置された全方位ミラーに映る全方位像を撮像する。
【0012】
(撮像部の支持構造)
撮像部は、ハーフミラーの裏側で全方位ミラーの前方となる所定位置にアーム部材に支持されて配置される。
【0013】
(反射防止テープ)
撮像部を支持するアーム部材には、反射防止テープが巻着される。
【0014】
(危険度の表示)
更に、ハーフミラーの外側に配置され、外部から視認可能な表示部が設けられ、
制御部は撮像部により撮像された画像から接近する移動体を認識した場合に表示部により危険度を表示させる。
【0015】
(表示部の構造)
表示部は、
ハーフミラーの外側周縁部の全周又は一部に配置されたライトガイドと、
ライトガイドに光を入射して発光させる光源部と、
が設けられる。
【0016】
(表示部の表示方法)
制御部は、接近する移動体を認識していない場合は表示部により所定の安全色を表示させ、接近する移動体を認識した場合は表示部により所定の注意色又は危険色を表示させる。
【0017】
(渋滞状況の監視)
制御部は、撮像部により撮像された画像から通過車両を検出して渋滞状況を監視し、渋滞状況を通信部により外部に送信する。
【0018】
(発電部)
更に、所定の自然エネルギーを利用して発電する発電部により動作電源を供給する。
【0019】
(危険度を表示する道路反射鏡)
本発明の別の形態にあっては、
鏡面に外部の像を映すと共に外部の像を透過するハーフミラーと、
ハーフミラーの裏側に形成された暗室に配置され、ハーフミラーを透過した外部の像を撮像する撮像部と、
ハーフミラーの外側に配置され、外部から視認可能な表示部と、
撮像部により撮像された画像から接近する移動体を認識した場合に表示部により危険度を表示させる制御部と、
が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
(基本的な効果)
本発明は、道路反射鏡であって、鏡面に外部の像を映すと共に外部の像を透過するハーフミラーと、ハーフミラーの裏側に形成された暗室に配置され、ハーフミラーを透過した外部の像を撮像する撮像部と、撮像部により撮像された画像を記録すると共に所定の処理を行う制御部とが設けられたため、撮像部として機能するカメラは、ハーフミラーの裏側に形成された暗室に配置されることから、防水構造の筐体に収納することなく簡単且つ容易に設けることかでき、また、筐体の窓ガラスの清掃等の保守作業も不要であり、カメラで撮像された画像を少なくとも記録することで、周囲で起きた事故や渋滞等の道路状況を、記録画像を再生することで適切に判断できる。
【0021】
(全方位ミラーによる効果)
また、撮像部は、ハーフミラーを透過して暗室に配置された全方位ミラーに映る全方位像を撮像するようにし、全方位ミラーとして球面ミラー又は双曲線ミラーを設けたため、全方位ミラーと撮像部を組み合わせることで、簡単な光学系により撮像部をハーフミラーを介して入射する全方位の像を撮像する全方位カメラとして機能させることを可能とする。
【0022】
(撮像部の支持構造による効果)
また、撮像部は、ハーフミラーの裏側で全方位ミラーの前方となる所定位置にアーム部材に支持されて配置されるようにしたため、全方向ミラーの像が結像する暗室空間の位置にCCD等の撮像部を適切に配置できる。
【0023】
(反射防止テープの効果)
また、撮像部を支持するアーム部材には、反射防止テープが巻着されているため、アーム部材に当たったハーフミラーからの入射光による撮像部に対する反射光が低減され、鮮明な全方位像を撮像できる。
【0024】
(危険度の表示による効果)
更に、ハーフミラー外側の周縁部に沿って外部から視認可能な表示部が設けられ、
制御部は撮像部により撮像された画像から接近する移動体を認識した場合に表示部により危険度を表示させるようにしたため、ミラー面に映る像が天候などにより見えづらい場合にも、ミラー面の周囲に配置している表示部が危険度を表示することで、運転者から見えない車や歩行者が存在することを確実に認識でき、出会い頭事故を防止可能とする。
【0025】
(表示部の構造による効果)
また、表示部は、ハーフミラーの外側周縁部の全周又は一部に配置されたライトガイドと、ライトガイドに光を入射して発光させる光源部とが設けられたため、運転者から見えない車や歩行者が存在することが、ミラー面の周囲がリング状又は円弧状に光ることで、確実に認識できる。
【0026】
(表示部の表示方法による効果)
また、制御部は、接近する移動体を認識していない場合は表示部により所定の安全色を表示させ、接近する移動体を認識した場合は表示部により所定の注意色又は危険色を表示させるようにしたため、接近する車や歩行者がいない場合は、ミラー面の周囲が緑又は青の安全色で例えばリング状に点灯しており、接近する車や歩行者がある場合は、ミラー面の周囲が赤又は黄の危険色で例えばリング状に点滅又は明滅することで、ミラー面の像を見ることなく、安全か、接近する車や歩行者がいて危険かが一目でわかり、事故防止に大きく寄与できる。
【0027】
(渋滞状況の監視による効果)
また、制御部は、撮像部により撮像された画像から通過車両を検出して渋滞状況を監視し、渋滞状況を通信部により外部に送信するようにしたため、既存の通行量測定装置の設置場所に加えて道路反射鏡の設置場所での渋滞等の交通情報が得られ、より精度の高い道路交通の管理を可能とする。
【0028】
(発電部の効果)
更に、所定の自然エネルギーを利用して発電する発電部により動作電源を供給するようにしたため、例えば道路反射鏡の上部の高い位置に太陽発電パネルを設置しておくことで、商用交流電源の供給を必要とすることなく、自然エネルギーを利用した発電により、撮像部や表示部を備えた道路反射鏡に供給する電源を簡単に確保して動作させることができる。
【0029】
(危険度を表示する道路反射鏡の効果)
本発明の別の形態にあっては、鏡面に外部の像を映すと共に外部の像を透過するハーフミラーと、ハーフミラーの裏側に形成された暗室に配置され、ハーフミラーを透過した外部の像を撮像する撮像部と、ハーフミラー外側に配置され、外部から視認可能な表示部と、撮像部により撮像された画像から接近する移動体を認識した場合に表示部により危険度を表示させる制御部とが設けられたため、前述した危険度の表示によると同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】道路反射鏡の実施形態を示した説明図である。
【
図2】道路反射鏡に設けられた接近表示灯を取り出して示した説明図である。
【
図3】道路反射鏡に設けられた制御盤の機能構成を示したブロック図である。
【
図4】
図3の制御盤による監視制御を示したフローチャートである。
【
図5】太陽電池パネルが設けられた道路反射鏡の実施形態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る道路反射鏡の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0032】
[道路反射鏡の構造]
図1は道路反射鏡の実施形態を示した説明図であり、
図1(A)に正面を示し、
図1(B)に内部構造の断面を側面から示している。
【0033】
(道路反射鏡の概要)
図1に示すように、本実施形態の道路反射鏡10は、路肩等に設置される基台12にポール14が起立されており、ポール14の先端側に取付金具15により反射鏡本体16が取り付けられ、路面から反射鏡本体16の下端までの高さは設置指針に従って2.5メートルとしている。また、基台12側には制御盤40が配置されている。
【0034】
(反射鏡本体の構造)
反射鏡本体16は所定の曲率の球面を備えたハーフミラー18と、ハーフミラー18の背後に固定されてポール14に支持するためのブラケット20で構成され、ハーフミラー18とブラケット20で仕切られた内部に暗室が形成されている。
【0035】
ハーフミラー18は大型ミラーの場合は直径が80センチメートル、小型ミラーの場合は直径が60センチメートルとなり、ガラスやアクリル等の有機ガラスに、錫や銀のメッキや蒸着により反射膜をごく薄く形成して半透明としており、反射光と透過光の割合は反射膜の厚みで調整している。
【0036】
ハーフミラー18の上部にはフード22が設けられ、ハーフミラー18の鏡面に雨や雪が付着するのを防いでいる。
【0037】
ハーフミラー18とブラケット20で囲まれた暗室には、全方位ミラーとして機能する球面ミラー24と、撮像部として機能するCCDカメラ26が配置されている。球面ミラー24は支持部材28によりブラケット20の内側に取り付けられており、球面ミラー24の斜線部で示す鏡面の位置にハーフミラー18を透過した外部の像を球面画像として映している。
【0038】
CCDカメラ26は、ブラケット20の内側に固定された支持アーム30により球面ミラー24の前方に配置されており、球面ミラー24の斜線部で示す鏡面に映っているハーフミラー18を透過した外部の全方位の像を球面画像の動画として撮像し、信号線32を介して基台12側に設置された制御盤40に動画信号を出力している。
【0039】
また、CCDカメラ26を支持した支持アーム30には、例えばニードルテープとして知られた反射防止テープが巻着されており、ハーフミラー18を透過した光による支持アーム30による反射を防ぎ、CCDカメラ26で撮像する画像の画質低下を押さえている。
【0040】
また、全方位ミラーとして設けられた球面ミラー24に代えて双曲面ミラーを配置しても良い。双曲面ミラーは、鏡面として二葉双曲面が形成されており、二葉双曲面は二つの焦点をもち、ミラー内側の焦点に向かう光は全てミラー外側の焦点に向かって反射する性質があることから、ミラー外側の焦点にCCDカメラ26を配置することで、ハーフミラー18を透過した全方位の像を撮像することができる。
【0041】
ハーフミラー18の外部表側となるフード22の内側には接近表示灯34が配置されている。接近表示灯34は、
図2(A)に取り出して示すように、光源として機能するLED36とその両側に配置された円弧状のライトガイド38で構成される。
【0042】
LED36は例えば赤と青又は緑に発光する2色LEDを使用しており、LED36を発光駆動するとライトガイド38が赤又は緑、或いは赤又は青に光り、車や歩行者の接近を知らせる。
【0043】
また、接近表示灯34としては、
図2(B)に示すように、LED36の両側に配置するライトガイド38を半円形としても良く、これにより接近表示灯34は、ハーフラー18の周囲をリング状に光らせることができ、更に高い視認性が確保される。
【0044】
(制御盤の機能構成)
図3は道路反射鏡に設けられた制御盤の機能構成を示したブロック図である。
図3に示すように、制御部として機能する制御盤40には、画像変換部42、監視制御部44、通信部46、録画部48及び録画出力部52が設けられる。
【0045】
ここで、画像変換部42、監視制御部44、通信部46、録画部48及び録画出力部50は、CPU、メモリ、各種入出力ポート、通信インタフェースを備えたコンピュータ回路で構成され、CPUによるプログラムの実行により各機能が実現される。
【0046】
画像変換部42は、CCDカメラ26から出力された例えば毎秒30フレーム又は60フレームの動画信号、球面画像をフレーム単位に入力し、平面画像に変換して監視画像として監視制御部44及び録画部48に出力する。
【0047】
監視制御部44はフレーム単位に入力した監視画像の処理により車や歩行者等の移動体の接近の有無を認識し、この認識結果に基づき接近表示灯34の制御を行う。監視制御部44による移動物体の接近を認識する画像処理は、例えば、監視画像のエッジ抽出により車又は歩行者等の対象物を抽出し、対象物の時間的な位置変化と移動方向から移動体の接近を認識する。
【0048】
監視制御部44による接近表示灯34の制御は、監視画像の処理により移動体の接近がないことを認識している場合は、接近表示灯34のLED36を緑又は青に点灯し、
図1のハーフミラー18の上側外周に設けられた接近表示灯34を緑又は青に光らせ、車や歩行者の接近がないことを知らせる。
【0049】
これに対し監視制御部44が監視画像の処理により移動体の接近を認識した場合は、接近表示灯34のLED36を赤に点滅又は明滅し、
図1のハーフミラー18の上側外周に設けられた接近表示灯34を赤で点滅又は明滅させて、車や歩行者が接近していることを知らせる。
【0050】
また、監視制御部44は、監視画像の処理により車の接近を認識した場合に、通行車両台数のカウント値をカウントアップして交通量を監視しており、例えば1分に1回といった通信タイミングを判別すると通信部46に指示し、1分間当りの通行車両台数を外部の交通センター等に送信し、道路反射鏡10の設置場所での渋滞情報等の生成に利用させている。
【0051】
また、監視制御部44は、画像変換部42から出力される監視画像を録画部48に記録させており、録画部48に記録された監視画像、即ち監視動画は必要に応じて読み出され、通信部46に指示して外部の交通センター等に送信されるか、録画端子52にモニタ装置を接続することで、録画出力部50により監視動画を出力してモニタ装置に監視動画を再生することができる。
【0052】
更に、監視制御部44は、CCDカメラ26の制御を行う。監視制御部44は画像変換部42から入力された監視画像の輝度を監視しており、監視輝度が所定の範囲に収まるようにCCDカメラ26の感度を調整する制御を行う。このため昼間に比べ夜間にはCCDカメラ26は高い感度に制御され、また、晴天時に対し雨天時にもCCDカメラ26は高い感度に制御され、周囲の明るさに影響されることなく道路反射鏡10の周囲の監視画像が撮像できるようにしている。
【0053】
[道路反射鏡による監視制御]
図4は
図3の制御盤による監視制御を示したフローチャートであり、
図3の制御盤40に設けられた監視制御部44による制御動作となる。
【0054】
図4に示すように、監視制御部44は、ステップS1で画像変換部42から出力される監視画像をフレーム単位に読み込み、ステップS2に進んで移動体の接近を認識する画像処理を行い、ステップS3で移動体の接近が判別されない場合はステップS4に進み、接近表示灯34を例えば緑色に点灯駆動する。
【0055】
一方、監視制御部44は、ステップS3で移動体の接近を判別した場合は、ステップS5に進み、接近表示灯34を赤色で点滅駆動し、車又は歩行者の接近を知らせる。
【0056】
続いて、監視制御部44は、ステップS6に進み、通過車両台数を1つカウントし、続いて、ステップS7で交通情報の送信タイミングを判別するとステップS8に進み、そのときの通過車両台数をセットした交通情報信号を通信部46に指示し、外部の交通センター等に送信させる。
【0057】
続いて、監視制御部44は、ステップS9で録画再生要求を判別するとステップS10に進み、録画部48に記録している監視動画を、録画出力部50を介して読み出し、通信部46から外部の交通センター等に送信して再生させるか、録画出力端子52に接続しているモニタ装置に出力して再生させる。
【0058】
[自然エネルギーを利用した発電機能を備えた道路反射鏡]
図5は太陽電池パネルが設けられた道路反射鏡の実施形態を示した説明図である。
図5に示すように、道路反射鏡10の反射鏡本体16が支持されたポール14の先端には、連結ポール62と角度調整継手64を介して太陽電池パネル60が配置され、太陽電池パネル60で太陽光を含む自然光により発電した電力を電源線66により制御盤40に供給している。
【0059】
制御盤40には太陽電池パネル60に対応して二次電池と充放電回路部が設けられ、太陽電池パネル60で発電した電力で二次電池を充電すると共に、二次電池の放電により制御盤40に動作電力を供給して監視制御を行っている。それ以外の構成及び機能は、
図1の実施形態と同じになることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0060】
このように道路反射鏡10に太陽電池パネル60が設けられたことで、商用交流電源の供給を必要とすることなく、自然エネルギーを利用した発電により、道路反射鏡10の制御盤40に供給する電源を簡単に確保して動作させることができる。
【0061】
なお、制御盤40の動作電源として商用交流電源を供給し、昼間の時間帯は商用交流電源により制御盤40を動作して二次電池を太陽光パネル60の発電電力で充電し、夜間の時間帯に二次電池からの放電に切り替えて制御盤40を動作させるようにしても良い。
【0062】
また、本実施形態は、自然エネルギーを利用した発電として太陽電池パネル60を例にとっているが、風力発電や振動による電歪素子や磁歪素子を用いた発電等であっても良い。
【0063】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、道路反射鏡の制御盤により、接近表示制御、車両通過台数の監視制御、監視画像の録画再生制御を行っているが、他の実施形態として、制御盤に車や歩行者等の接近を認識して接近表示灯により危険度を知らせる制御機能のみを設けた接近制御専用の道路反射鏡としても良い。
【0064】
また、上記の実施形態は、公共道路に設置される道路反射鏡を例にとるものであったが、ビルの駐車場出口に私的に設置される小型の道路反射鏡についても、同様に適用できる。この場合、制御盤には車や歩行者等の接近を認識して接近表示灯により危険度を知らせる制御機能のみを設けることが望ましい。
【0065】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等ができる。
【0066】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0067】
10:道路反射鏡
12:基台
14:ポール
15:取付金具
16:反射鏡本体
18:ハーフミラー
20:ブラケット
22:フード
24:球面ミラー
26:CCDカメラ
28:支持部材
30:支持アーム
32:信号線
34:接近表示灯
36:LED
38:ライトガイド
40:制御盤
42:画像変換部
44:監視制御部
46:通信部
48:録画部
50:録画出力部
52:録画出力端子
60:太陽電池パネル
62:連結ポール
64:角度調整継手
66:電源線