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特開2023-12396サーバ装置、システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012396
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】サーバ装置、システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230118BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20230118BHJP
【FI】
G16H20/00
G16Y20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116023
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】520496235
【氏名又は名称】株式会社World Life Mapping
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】下田 彬
(72)【発明者】
【氏名】ガニエ マーク智也
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザの心身状態をより適切に管理することが可能なサーバ装置、システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、サーバとして機能する管理装置10は、ユーザの心身状態を改善又は維持する支援情報を記憶する記憶部である支援情報管理部150と、第1ユーザ及び第2ユーザのユーザデータを取得する取得部であるユーザ情報管理部110と、第1ユーザ及び第2ユーザのユーザデータに基づいて、第1ユーザを支援する支援情報を第2ユーザに通知する通知部であり、かつ、第1ユーザ及び第2ユーザの思考力を示すデータを取得し、第1ユーザ及び第2ユーザの思考力の差に基づいて、第2ユーザに通知され第1ユーザを支援する支援情報を切り替える切替部でもある支援情報決定部170と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶する記憶部と、
第1ユーザおよび第2ユーザのユーザデータを取得する取得部と、
前記第1ユーザおよび前記第2ユーザのユーザデータに基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知する通知部と、
を備える、サーバ装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知し、前記第2ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知する
請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記第2ユーザに対して、前記第1ユーザを支援する支援情報よりも、前記第2ユーザを支援する支援情報を優先して通知する
請求項2記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記第2ユーザを支援する支援情報を実行するのに要する時間に基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知する
請求項3記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記第1ユーザを支援する支援情報を、前記第2ユーザに通知するとともに前記第1ユーザに通知する
請求項1記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記第2ユーザに対して前記第1ユーザを支援する支援情報を通知した後に、前記第1ユーザに対して前記第1ユーザを支援する支援情報を通知する
請求項5記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記第2ユーザに対して前記第1ユーザを支援する支援情報を通知した後に、前記第2ユーザの変化が確認されてから前記第1ユーザに対して前記第1ユーザを支援する支援情報を通知する
請求項6記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記ユーザデータは、ユーザの思考力を示すデータ、ユーザの性格傾向を示すデータ、ユーザのレジリエンスを示すデータの少なくとも一つを含む
請求項1乃至7のいずれか1項記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記第1ユーザがいる環境の情報を取得する環境情報取得部を備え、
前記通知部は、前記環境の情報に基づいて、前記第2ユーザに前記第1ユーザを支援する支援情報を通知する
請求項1乃至8のいずれか1項記載のサーバ装置。
【請求項10】
前記第1ユーザおよび前記第2ユーザを構成員とする集団に対する前記第1ユーザの信頼度を取得する信頼度取得部を備え、
前記通知部は、前記信頼度が高い場合に前記第2ユーザに通知される前記第1ユーザを支援する支援情報において前記第1ユーザを特定し、前記信頼度が低い場合に前記第2ユーザに通知される前記第1ユーザを支援する支援情報において前記第1ユーザを特定しない
請求項9記載のサーバ装置。
【請求項11】
端末と、サーバ装置と、を備えるシステムであって、
前記サーバ装置は、
ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶する記憶部と、
第1ユーザおよび第2ユーザのユーザデータを取得する取得部と、
前記第1ユーザおよび前記第2ユーザのユーザデータに基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知する通知部と、
を備える、システム。
【請求項12】
ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶するステップと、
第1ユーザおよび第2ユーザのユーザデータを取得するステップと、
前記第1ユーザおよび前記第2ユーザのユーザデータに基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知するステップと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項13】
ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶する記憶部と、
第1ユーザおよび第2ユーザの思考力を示すデータを取得する取得部と、
前記第1ユーザおよび前記第2ユーザの思考力の差に基づいて、前記第2ユーザに通知され前記第1ユーザを支援する支援情報を切り替える切替部と、
を備える、サーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、社員が負担なく継続的にストレスチェックを自己申告することが可能な健康管理システムが開示されている。この健康管理システムにおける制御装置は、メンタル値を受け付けた場合に、自動販売機で商品を無料で提供可能に制御し、メンタル値を受け付けなかった場合に、自動販売機で商品を無料で提供不能に制御する。また、制御装置は、ユーザの識別情報とメンタル値とを管理サーバに送信する。管理サーバは、ユーザの識別情報に対応付けてメンタル値を蓄積して管理し、注意条件を満たすと判断されたユーザがいる場合に、監督者に注意情報を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-72964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術においては、注意条件を満たすと判断されたユーザの情報がユーザの監督者に通知される。しかしながら、例えば、監督者の精神状態が良くない場合には、監督者に情報が通知されても、例えば監督者の精神状態も良くないと監督者によって適切な行動が起こされないことがある。その結果、ユーザの心身状態が適切に管理されない。
【0005】
そこで、本発明では、ユーザの心身状態をより適切に管理することが可能なサーバ装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶する記憶部と、第1ユーザおよび第2ユーザのユーザデータを取得する取得部と、前記第1ユーザおよび前記第2ユーザのユーザデータに基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知する通知部と、を備える、サーバ装置である。
また、前記通知部は、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知し、前記第2ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知するとよい。
また、前記通知部は、前記第2ユーザに対して、前記第1ユーザを支援する支援情報よりも、前記第2ユーザを支援する支援情報を優先して通知するとよい。
また、前記通知部は、前記第2ユーザを支援する支援情報を実行するのに要する時間に基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知するとよい。
また、前記通知部は、前記第1ユーザを支援する支援情報を、前記第2ユーザに通知するとともに前記第1ユーザに通知するとよい。
また、前記通知部は、前記第2ユーザに対して前記第1ユーザを支援する支援情報を通知した後に、前記第1ユーザに対して前記第1ユーザを支援する支援情報を通知するとよい。
また、前記通知部は、前記第2ユーザに対して前記第1ユーザを支援する支援情報を通知した後に、前記第2ユーザの変化が確認されてから前記第1ユーザに対して前記第1ユーザを支援する支援情報を通知するとよい。
また、前記ユーザデータは、ユーザの思考力を示すデータ、ユーザの性格傾向を示すデータ、ユーザのレジリエンスを示すデータの少なくとも一つを含むとよい。
また、前記第1ユーザがいる環境の情報を取得する環境情報取得部を備え、前記通知部は、前記環境の情報に基づいて、前記第2ユーザに前記第1ユーザを支援する支援情報を通知するとよい。
また、前記第1ユーザおよび前記第2ユーザを構成員とする集団に対する前記第1ユーザの信頼度を取得する信頼度取得部を備え、前記通知部は、前記信頼度が高い場合に前記第2ユーザに通知される前記第1ユーザを支援する支援情報において前記第1ユーザを特定し、前記信頼度が低い場合に前記第2ユーザに通知される前記第1ユーザを支援する支援情報において前記第1ユーザを特定しないとよい。
【0007】
さらに他の観点から捉えると、本明細書に開示される技術は、端末と、サーバ装置と、を備えるシステムであって、前記サーバ装置は、ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶する記憶部と、第1ユーザおよび第2ユーザのユーザデータを取得する取得部と、前記第1ユーザおよび前記第2ユーザのユーザデータに基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知する通知部と、を備える、システムである。
【0008】
さらに他の観点から捉えると、本明細書に開示される技術は、ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶するステップと、第1ユーザおよび第2ユーザのユーザデータを取得するステップと、前記第1ユーザおよび前記第2ユーザのユーザデータに基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知するステップと、をコンピュータに実行させる、プログラムである。
【0009】
さらに他の観点から捉えると、本明細書に開示される技術は、ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶する記憶部と、第1ユーザおよび第2ユーザの思考力を示すデータを取得する取得部と、前記第1ユーザおよび前記第2ユーザの思考力の差に基づいて、前記第2ユーザに通知され前記第1ユーザを支援する支援情報を切り替える切替部と、を備える、サーバ装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザの精神状態をより適切に管理することが可能なサーバ装置等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態が適用される情報処理システムの全体構成例を示した図である。
図2】管理装置の構成例を説明するための図である。
図3】(A)は登録情報TBの一例を示す図であり、(B)は相性度TBの一例を示す図である。
図4】(A)はチーム状態TBの一例を示す図であり、(B)は関係性TBの一例を示す図である。
図5】(A)はユーザストレス度TBの一例を示す図であり、(B)はユーザ生理情報TBの一例を示す図であり、(C)はチームストレス度TBの一例を示す図であり、(D)は環境情報TBの一例を示す図である。
図6-1】(A)は自己要因支援情報TBの一例を示す図である。
図6-2】(B)は他者要因支援情報TBの一例を示す図である。
図7】(A)乃至(D)は自己要因支援情報および他者要因支援情報を説明するための図である。
図8】情報処理システムの概略動作を示すフローチャートである。
図9】支援情報決定部が実行する支援情報選択処理を示すフローチャートである。
図10】支援情報決定部が実行する個別提示設定処理を示すフローチャートである。
図11】支援情報決定部が実行する段階対応出力処理を示すフローチャートである。
図12】管理装置のハードウェア構成例を示した図である。
図13】支援情報決定部が実行する支援切替処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の他の実施の形態について説明する。
<情報処理システム1>
図1は、本実施の形態が適用される情報処理システム1の全体構成例を示した図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、管理装置10と、端末30、40、50、60とを有する。管理装置10および端末30、40、50、60は、ネットワーク90を介して互いに接続されている。
【0013】
管理装置10は、コンピュータ装置によって構成される。この管理装置10は、情報処理システム1におけるサーバとして機能する。本実施の形態の管理装置10は、端末30、40、50、60の間においてユーザの精神状態を改善するために必要な各種制御を実行する。
【0014】
端末30、40、50、60の各々は、スマートフォン、ノート型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、ウェアラブルデバイス、あるいは携帯電話等のコンピュータ装置によって構成される。端末30、40、50、60は、情報処理システム1におけるクライアントとして機能する。なお、以下の説明においては、端末30、40、50、60の各々を区別しないときは、端末30等ということがある。
【0015】
ここで、端末30、40、50、60は、それぞれ情報処理システム1のユーザであるユーザA、ユーザB、ユーザCおよびユーザDによって操作される。なお、図示の例においては、4つの端末30、40、50、60が示されているが、その数は特に限定されず、端末30、40、50、60以外の端末を含んでもよい。
【0016】
ネットワーク90は、装置間のデータ交換に用いられる通信ネットワークである。図示のネットワーク90は、インターネットにより構成されるが、特に限定されない。ネットワーク90は、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)であってもよい。また、ネットワーク90の通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用してもよい。
【0017】
情報処理システム1は、管理装置10が特定のサービスを提供することにより、端末30等を操作するユーザがそのサービスを利用することを可能とする。更に説明すると、情報処理システム1は、管理装置10がユーザの不調を感知する、またはユーザが将来不調となることを感知すると、当該ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報をユーザに通知する。すなわち、情報処理システム1は、不調であるまたは将来不調となることが予測されるユーザ(不調ユーザ)に対して支援情報を通知することで、不調ユーザを支援する。また、本実施の形態の情報処理システム1においては、不調ユーザが所属する集団における他のユーザに対して、不調ユーザを支援するための情報を通知することがある。この支援情報に従い、他のユーザが不調ユーザを支援することで、不調ユーザの心身状態が改善または維持される。すなわち、情報処理システム1は、他のユーザを介して不調ユーザを間接的に支援する。また、情報処理システム1は、不調ユーザを支援するために、不調ユーザーの原因となりうる周囲(他のユーザ)に、思想変容、行動変容を促す。付言すると、情報処理システム1が、他のユーザに支援情報を通知し、不調ユーザが置かれている環境を変化させることで、不調ユーザの心身の状態が改善または維持される。ここで、不調ユーザの心身の状態が改善または維持されることにより、集団に所属する他のユーザへの影響が低減される。その結果として、集団のパフォーマンスが向上し得る。言い替えると、情報処理システム1は、ユーザの精神状態および/または身体的な状態を管理することで、集団のパフォーマンスを向上させる。
【0018】
ここで、ユーザの心身状態を改善または維持するとは、ユーザの精神的な状態および身体的な状態の少なくとも一方を改善または維持することをいう。また、ユーザの不調とは、ユーザの精神的な状態および身体的な状態の少なくとも一方が、ユーザが所属する集団において好ましくない状態であることをいう。例えば、ユーザの不調とは、対象とするユーザがストレスを強く感じている状態、対象とするユーザと他のユーザとの間で衝突が起きそうな状態、対象とするユーザの体調がすぐれない状態等を含む。ここで、ユーザの不調は、ユーザ自身が不調であることを認識していることを要件としない。すなわち、ユーザの不調は、ユーザ自身が不調であることを認識していないものの、ユーザの精神的な状態および/または身体的な状態が通常の状態(定常状態)から変化している状態を含む。
【0019】
以下の例においては、ユーザA、ユーザB、ユーザCおよびユーザDは、会社組織における一つの部署(集団、グループA)に所属するメンバー(社員)である。なお、集団は、複数の構成員を含むものであれば、特に限定されない。例えば、集団は、会社の部署だけでなく、会社全体、学校、クラス、地域団体、スポーツチーム、政府、国際組織、国会、大学、研究室、家族等であってもよい。
【0020】
<管理装置10>
図2は、管理装置10の構成例を説明するための図である。
次に、図1および図2を参照しながら管理装置10の構成例について説明をする。
【0021】
管理装置10は、ユーザ情報管理部110と、環境情報管理部130と、支援情報管理部150と、支援情報決定部170とを有する。なお、ユーザ情報管理部110、環境情報管理部130、支援情報管理部150および支援情報決定部170の各々は、情報処理システム1のサブシステムとして捉えることができる。
【0022】
ユーザ情報管理部110は、ユーザに関する情報であるユーザ情報(ユーザデータ)を端末30等から取得し登録する。ユーザ情報管理部110は、取得したユーザ情報に基づいて、ユーザごとにアカウントを作成する。
【0023】
ユーザ情報管理部110は、登録情報TB(table)111、相性度TB113、チーム状態TB15、関係性TB117、ユーザストレス度TB119、ユーザ生理情報TB121およびチームストレス度TB123を記憶している。なお、登録情報、相性度、チーム状態、関係性、ユーザ生理情報、チームストレス度等は、ユーザデータの一例である。
【0024】
環境情報管理部130は、ユーザがいる環境に関する情報である環境情報を端末30等から取得し登録する。環境情報管理部130は、環境情報TB131を記憶している。
【0025】
支援情報管理部150は、ユーザの支援に関する情報である支援情報を取得し登録する。支援情報管理部150は、自己要因支援情報TB151と、他者要因支援情報TB153とを記憶している。
【0026】
支援情報決定部170は、上記各TBに基づいて、支援が必要なユーザを特定し、特定されたユーザの精神状態を改善あるいは維持するための支援情報を決定する。そして、決定した情報を、ユーザが操作する端末30等に出力する。
【0027】
<テーブルの構成>
上記各テーブルは、各ユーザが端末30等を介して入力した情報、または、各端末30等を介して取得した情報に基づいて生成された情報を管理する。以下、各テーブルについて説明する。
【0028】
<登録情報TB111>
図3(A)は、登録情報TB111の一例を示す図である。登録情報TB111は、各ユーザによって登録されたユーザの基本情報を管理する。この例においては、ユーザごとに、登録情報として、ユーザ名、所属、役職、年齢、社歴(勤務歴)、思考力、性格傾向、レジリエンス、環境耐性に関する情報が管理されている。この登録情報は、情報処理システム1の利用開始時に、端末30等を介してユーザから指示を受け付け、登録情報TB111に記憶される。また、登録情報は、所定期間(例えば2か月)ごとに、端末30等に表示される入力画像を介してユーザからの指示を受け付けることで、更新される。
【0029】
ここで、役職は、ユーザが所属する会社組織における役目や職務を示す。ここで、役職が下位のユーザは、役職が上位のユーザの言動によりストレスを受ける可能性が相対的に高い。同様に、年齢が若いユーザは、年齢が高いユーザの言動によりストレスを受ける可能性が相対的に高い。
【0030】
社歴は、対象とするユーザの勤続年数を示す。ここで、社歴が短いユーザよりも、社歴が長いユーザのほうが、会社内での地位が高いことや影響力が大きいことが推定される。また、社歴が短いユーザは、社歴が長いユーザの言動によりストレスを受ける可能性が相対的に高い。
【0031】
思考力は、ユーザの思考する能力を示す。図示の例における思考力は、端末30等においてIQ(Intelligence Quotient)、EQ(Emotional Intelligence Quotient)、GMAT(Graduate Management Admission Test)、SAT(Scholastic Aptitude Test)、SPI(Synthetic Personality Inventory)、特定の分野における資格取得の試験(例えば司法試験)等のテストが実行され、テスト結果(スコア)が6段階の数値(1乃至6)で評価されている。なお、この思考力の数値が高いほど、思考力が高いことを示す。また、端末30等においてテストを実行せず、IQ等のスコアをユーザから受け付け、思考力を示す情報として登録情報TB111に記憶させてもよい。
【0032】
性格傾向は、ユーザの物の見方や感じ方を示す。性格傾向は、端末30等において実行されるビッグファイブ(Big Five personality traits)、MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)、キャリアアンカー、NEO-FFI、NEO-PI-R等のテストにより評価される。図示の例の性格傾向は、協調性、神経症的傾向、開放性、誠実性、外向性の各項目を6段階の数値(1乃至6)で評価されている。なお、各数値が高いほど、対象項目の要素を満たしていることを示す。
【0033】
レジリエンス(resilience)は、外環境の変化やストレス環境の変化に対するユーザの心理的な耐性を示す。レジリエンスは、端末30等において実行されるテストにより評価される。図示の例のレジリエンスは、「自分の軸」、「しなやかな思考」、「対応力」、「人とのつながり」、「セルフコントロール」、「ライフスタイル」の各項目を6段階の数値(1乃至6)で評価されている。なお、各数値が高いほど、対象項目の要素を満たしていることを示す。ここで、「自分の軸」は、内なる強さを持ち、困難な状況でも冷静に対処できる能力を表す。「しなやかな思考」は、自分の考え方の癖(パターン)を自覚して、違う意見を取り入れることができる能力を表す。「対応力」は、問題を解決する力を表す。「人とのつながり」は、いざというときに心の支えとなってくれる人、心の支えになってあげられる人がいかに存在するかということを表す。「セルフコントロール」は、自分の感情をコントロールする力を表す。「ライフスタイル」は、食事、運動、睡眠や新しいことを始める、楽しみを定期的に見つけること等を基本とすることを表す。
【0034】
環境耐性は、光、音、気圧等、物理的な環境に対するユーザの身体的な耐性を示す。図示の例の環境耐性は、光に対する耐性が低い光過敏、音に対する耐性が低い音過敏、低気圧時に不調となる等気圧の変化に対する耐性が低い低気圧時不調等により評価される。環境耐性は、端末30等を介してユーザから指示を受け付けて、登録情報TB111に記憶される。
【0035】
<相性度TB113>
図3(B)は、相性度TB113の一例を示す図である。相性度TB113は、同一の所属部署(図示の例ではグループA)に所属するユーザ同士の相性を管理する。この例においては、相性度は、登録情報TB111に記憶されるユーザの性格傾向に基づいて、ユーザ同士の組み合わせの相性をパターン分けして管理されている。さらに説明をすると、「パターンA」は「相性がよさそう」である組み合わせであることを示す。同様に、「パターンB」は「衝突が起きそう」、「パターンC」は「パワハラが起きそう」、「パターンD」は「適度な距離が保てそう」な組み合わせであることを示す。付言すると、「パターンA」は相対的に相性度が良いことを示し、「パターンB」および「パターンC」は相性度が悪いことを示し、「パターンD」は相性度が中庸であることを示す。この相性度は、情報処理システム1の利用開始時に登録情報TB111に記憶される性格傾向や趣味に基づいて相性度TB113に記憶される。なお、ユーザ本人あるいは他のユーザなどに対して質問(アンケート)をして回答を得ることや、ユーザ同士の会話あるいは通信の内容を解析すること等により相性度を決定してもよい。また、相性度は、所定期間(例えば2か月)ごとに実行される登録情報TB111の更新にともない、更新される。例えば、ユーザ情報のうち性格傾向や趣味などより多くの部分が一致する場合に、相性が良いと判断し、パターンAとしても良い。
【0036】
<チーム状態TB115>
図4(A)は、チーム状態TB115の一例を示す図である。チーム状態TB115は、同一の所属部署(図示の例ではグループA)に所属する各ユーザの心身の状態を管理する。この例においては、ユーザごとに、心理的安全性、パワハラ度、セクハラ度、生活習慣、忙しさに関する情報が管理されている。このチーム状態は、情報処理システム1の利用開始時に、端末30等を介してユーザから指示を受け付け、チーム状態TB115に記憶される。また、チーム状態は、所定期間(例えば2週間)ごとに、端末30等に表示される入力画像を介してユーザからの指示を受け付けることで、更新される。なお、チーム状態の更新は、上記登録情報の更新よりも頻度が高いとよい。登録情報よりも更新頻度を高くすることにより、チーム状態をよりきめ細かく把握することが可能となる。
【0037】
ここで、心理的安全性は、対象ユーザが、自身の所属する集団(チーム)で自分の考えを自由に発言したり行動に移したりできると考える心理状態を示す。この例の心理的安全性は、6段階の数値(1乃至6)で評価されている。なお、数値が高いほど、心理的安全性が高いことを示す。また、図示の例においては、心理的安全性が低い(例えば3以下)の場合には、心理的安全性が低い原因となっているユーザ(原因ユーザ)に関連する情報を端末30等を介して受け付ける。なお、原因ユーザは、原因ユーザが誰であるのかを対象ユーザに質問することで特定してもよいし、上記登録情報や相性度等、他のデータに基づいて推定してもよい。ここで、心理的安全性は、複数の要素(評価項目)ごとに評価されてもよい。例えば、「このチームではミスをしても、決まって咎められるということはない」、「このチームでは、メンバーが困難や難題を提起することができる。」、「このチームの人々は、他の人とは違っていることを認めないということはない」、「このチームでは、安心してリスクをとることができる」、「このチームのメンバーには気軽に支援を求めることができる」、「このチームには、私の努力を踏みにじるような行動を故意にする人は誰もいない」、「このチームのメンバーと仕事をするときは、私ならではのスキルと能力が高く評価され、活用されている。」という複数の評価項目ごとに数値評価(例えば、6段階の数値1乃至6)されてもよい。
【0038】
また、パワハラ度は、対象とするチームにおけるパワハラ(パワーハラスメント)が発生している程度を示す。この例のパワハラ度は、6段階の数値(1乃至6)で評価されている。なお、数値が高いほど、パワハラ度が高い、すなわちパワハラが高頻度で発生していること、あるいは酷いパワハラが発生していることを示す。なお、図示の例においては、パワハラ度が高い(例えば3以上)の場合には、パワハラの原因となっているユーザに関連する情報を端末30等を介して受け付ける。なお、パワハラの原因となっているユーザは、対象ユーザに質問をすることで特定してもよいし、上記登録情報や相性度等、他のデータに基づいて推定してもよい。
【0039】
また、セクハラ度は、対象とするチームにおけるセクハラ(セクシャルハラスメント)が発生している程度を示す。この例のセクハラ度は、6段階の数値(1乃至6)で評価されている。なお、数値が高いほど、セクハラ度が高い、すなわちセクハラが高頻度で発生していること、あるいは酷いセクハラが発生していることを示す。なお、図示の例においては、セクハラ度が高い(例えば数値が3以上)の場合には、セクハラの原因となっているユーザに関連する情報を端末30等を介して受け付ける。なお、セクハラの原因となっているユーザは、対象ユーザに質問をすることで特定してもよいし、上記登録情報や相性度等、他のデータに基づいて推定してもよい。
【0040】
また、生活習慣は、対象ユーザの生活習慣の程度を示す。この生活習慣は、運動、睡眠、食事の項目で評価される。また、各項目は、6段階の数値(1乃至6)で評価されている。なお、各項目の数値が高いほど、対象とする項目の生活習慣が悪い、すなわちユーザの心身に負荷がかかる状態であることを示す。なお、生活習慣の情報は、対象ユーザに質問をすることで特定をするが、対象ユーザが装着する装置(ウェアラブルデバイス、不図示)等を介して取得してもよい。ここで、対象ユーザの生活習慣の情報を取得することにより、対象ユーザ自身が自覚していない状態であっても、対象ユーザの心身に負担がかかっている状態を検知することができる。
【0041】
また、忙しさは、対象ユーザの忙しさの程度を示す。この忙しさは、6段階の数値(1乃至6)で評価されている。なお、忙しさの数値が高いほど、ユーザが忙しい、すなわちユーザの心身に負荷がかかる状態であることを示す。なお、忙しさの情報は、対象ユーザに質問をすることで特定をするが、対象ユーザのスケジュール管理ソフト等を介して取得してもよい。ここで、対象ユーザの忙しさの情報を取得することにより、対象ユーザ自身が自覚していない状態であっても、対象ユーザの心身に負担がかかっている状態を検知することができる。
【0042】
<関係性TB117>
図4(B)は、関係性TB117の一例を示す図である。関係性TB117は、同一の所属部署(図示の例ではグループA)に所属する各ユーザ同士の親睦度を管理する。この例においては、ユーザごとに、他のユーザとの親睦度を数値で管理する。さらに説明をすると、100を満点とした数値を端末30等において受け付けて管理する。例えば、ユーザAにおいて、ユーザBとの親睦度は70であり、ユーザCとの親睦関係は80であり、ユーザDとの親睦関係は40である。なお、得点が高いほど親睦関係が良好であることを示す。また、図示の例の関係性TB117においては、他のユーザとの親睦度の平均値をチームへの信頼度として算出し、ユーザごとに記憶する。すなわち、親睦度の平均値が高いほど、対象ユーザのチームへの信頼度が高いことを示す。また、関係性の情報は、所定期間(例えば2週間)ごとに、端末30等を介してユーザからの指示を受け付け、更新される。なお、関係性の情報の更新は、上記登録情報の更新よりも頻度が高いとよい。登録情報よりも更新頻度を高くすることにより、関係性をよりきめ細かく把握することが可能となる。なお、関係性の情報は、端末30等を介してユーザからの指示を受け付けるものに限定されず、端末30等を介したユーザ同士の通信の履歴等を分析することにより特定されてもよい。
【0043】
<ユーザストレス度TB119>
図5(A)は、ユーザストレス度TB119の一例を示す図である。ユーザストレス度TB119は、各ユーザのストレス値を管理する。各ユーザのストレス値は、端末30等において実行されるストレスチェック、あるいは気分や心の健康度を聞く質問等、メンタル状態に関する質問に対する各ユーザの回答から算出される。この例においては、ストレス値を6段階の数値(1乃至6)を端末30等において受け付けて評価している。なお、数値が高いほど、ストレスが高い、すなわち対象とするユーザが強いストレスを感じていることを示す。また、ユーザストレス度は、所定期間ごと(例えば毎日)に、端末30等を介してユーザからの指示を取得し、取得した日時とともに記憶される。ユーザストレス度の取得頻度(更新頻度)を高くすることにより、ユーザの心理的な負担をよりきめ細かく把握することが可能となる。また、図示の例のユーザストレス度TB119においては、ストレス度が高い(例えば5以上)、ストレス度が急増した(例えば前日と比べて2上昇)等、所定の条件を満たす場合には、ストレスの原因(例えばパワハラ、低気圧、失恋、大切な人の喪失)を質問する表示が端末30等においてなされ、ユーザストレス度TB119はユーザから受け付けた質問の回答を記憶する。また同様に、ストレス度が低い、(例えば2以下)、ストレス度が急低下した等、所定の条件を満たす場合にも、ストレス低下の原因(例えば好きな映画を見た、宝くじに当たった)をユーザに質問してユーザから回答を得る。そして、ストレス度が急上昇した場合などに、当該回答に基づいて、ストレス低下の原因となったことを行う(例えば「映画を見てみましょう」)アドバイスを提示してもよい。このようにストレスの原因を記憶することにより、より適切な支援情報が選択され得る。ここで、ストレスの原因に対応したアドバイスを提示してもよい。例えば、失恋が原因であった場合、「一度時間をおいて、仕事に打ち込みましょう」といったアドバイスを提示する。なお、ストレス値の取得は、ユーザからの回答に限定されない。ユーザの生理情報から取得してもよいし、端末30等に設けられたセンサ(不図示)を介して脳波から取得してもよい。さらに説明をすると、ストレス値は、例えば、ストレスチェックや気分を聞く質問、心の健康度を聞く質問等を含むメンタル状態に関する質問に対する各ユーザの回答(入力情報)から算出される。入力情報には、例えば、食事に関する情報、生理周期に関する情報等が含まれてもよい。また、ストレス値は、例えば、端末30等に設けられたセンサによって取得されたユーザ情報(心拍数、血圧、脳波、体温、呼吸頻度、睡眠時間、生活習慣、悩み度等)の分析結果から算出されてもよいし、画像認識によって得られた表情を含む身体の特徴データ等の分析結果から算出されてもよい。また、ストレス値は、上記入力情報およびユーザ情報の一部又は全部の分析結果を統合することによって算出されてもよい。すなわち、ストレス値は、ユーザの精神的な状態を少なくとも部分的に示す指標であってもよいし、ユーザの身体的な状態を少なくとも部分的に示す指標であってもよいし、ユーザの精神的及び身体的な状態を少なくとも部分的に示す指標であってもよい。
【0044】
<ユーザ生理情報TB121>
図5(B)は、ユーザ生理情報TB121の一例を示す図である。ユーザ生理情報TB121は、各ユーザの生理状態を管理する。図示の例のユーザ生理情報TB121においては、端末30等に設けられたセンサ(不図示)によって取得された生体情報(体温、心拍数)の分析結果や、カメラによって取得されたユーザの顔画像(身体の特徴データ)の分析結果等から算出して記憶される。また、端末30等においてユーザからの指示を受け付けることで、月経周期における生理期間であることがユーザ生理情報TB121に記憶される。また、ユーザ生理情報の情報は、所定期間(例えば毎日)ごとに、端末30等を介してユーザからの指示を受け付け、更新される。ユーザ生理情報の更新頻度を高くすることにより、体調の変化にともなうユーザの心理的な負担をよりきめ細かく把握することが可能となる。なお、生理状態は、生理状態に関する質問に対する各ユーザの回答から算出されてもよい。さらに説明をすると、例えば「体温は何度ですか?」、「生理周期に入りましたか?」などの質問に対するユーザの回答から生理状態を算出してもよい。
【0045】
<チームストレス度TB123>
図5(C)は、チームストレス度TB123の一例を示す図である。チームストレス度TB123は、各所属部署(チーム)のストレス値を管理する。チームストレス度は、例えば、同一の所属部署(図示の例ではグループA)に所属するユーザのストレス値の平均値である。チームストレス度TB123における各ユーザのストレス値は、上記のユーザストレス度TB119から取得される。チームストレス度TB123は、ユーザストレス度TB119が毎日更新されることにともない更新されるため、チーム全体の心理的な負担をよりきめ細かく把握することが可能となる。ここで、ユーザストレス度とは別にチームストレス度を取得することにより、例えば各ユーザが感じるストレスは大きくないものの、チーム全体としてはストレスが大きい状態等を把握して、支援情報をユーザに通知することができる。
【0046】
<環境情報TB131>
図5(D)は、環境情報TB131の一例を示す図である。環境情報TB131は、各所属部署(チーム)の外的な環境の情報を管理する。図示の例においては、環境情報TB131は、外気温、気圧、湿度、室内気温等を管理する。環境情報は、例えば、端末30等から受け付けてもよいし、ネットワーク90を介して他の装置から受け付けてもよい。また、環境情報は、所定期間(例えば毎日)ごとに、端末30等を介して取得され、更新される。ここで、図示の例の環境情報は、その時点における環境情報だけでなく、将来(例えば6時間後)の環境情報を含む。環境情報として、将来の環境情報、いわば環境情報の予測値を含めることにより、環境の変化にともなうユーザの心身の負担を予測し、支援情報をユーザに通知することができる。
【0047】
<自己要因支援情報TB151>
図6―1(A)は、自己要因支援情報TB151の一例を示す図である。
次に、図6―1(A)を参照しながら、自己要因支援情報TB151について説明をする。
【0048】
図6―1(A)に示すように、自己要因支援情報TB151は、自己要因支援情報(詳細は後述)をユーザごとに管理する。図示の自己要因支援情報TB151は、対象ユーザをユーザAとするものである。図示の例においては、自己要因支援情報TB151は、支援内容、アドバイス被提示者、所要時間、優先順位、条件(条件1、条件2)、選択可否を管理する。また、自己要因支援情報は、上記各テーブルが更新されることにともない更新される。自己要因支援情報の更新頻度を高くすることにより、不調ユーザの心理的な負担をより効果的に軽減することが可能となる。
【0049】
ここで、支援内容は、支援の具体的な内容を示す。図示の例における「アンガーマネジメントアドバイス」は、対象ユーザ(ユーザA)に対して、「怒りをコントロールすることはビジネスパーソンとして非常に重要です」等のアドバイス(支援情報)が端末30等に出力される。この支援情報を受信した端末30等は、ユーザに支援情報を通知する。ここで、支援情報を通知する態様は、ユーザが支援情報の内容を認識可能であれば特に限定されず、文字を含む画像を表示する態様や、音楽を含む音声を出力する態様であってよい。
【0050】
同様に、「マインドフルネスアドバイス」は、その時点における対象ユーザの状態に意識を向けて対象ユーザの心理状態を整える技法であるマインドフルネスを実行することのアドバイスを出力する。「ライフスタイルアドバイス」は、対象ユーザに生活習慣(図4(A)参照)の改善を促すアドバイスを出力する。「ストレッチアドバイス」は、対象ユーザに運動としてストレッチを実行することのアドバイスを出力する。「ワークアドバイス」は、対象ユーザに感謝ダイアリー等の作業を実行することのアドバイスを出力する。
【0051】
また、「マインドセット切替アドバイス」は、認知行動療法(CBT)を含む対象ユーザの思考様式や心理状態等を切り替える(変化させる)アドバイスを出力する。「保健師カウンセリング利用アドバイス」、「産業医カウンセリング利用アドバイス」、「メンタルカウンセリング利用アドバイス」、「キャリアカウンセリング利用アドバイス」の各々は、保健師、産業医、メンタルカウンセラー、キャリアカウンセラーに相談をすることを対象ユーザに促すアドバイスを出力する。
【0052】
また、「環境アドバイス」は、対象ユーザが将来(例えば6時間後)、環境変化により心身の状態が悪くなることが予想されることを通知し、予め準備をすることのアドバイスを通知する。「対話機会を設ける」は、対象ユーザおよびその上司等、ユーザ同士が対話する機会を設けることのアドバイスを出力する。「段階対応アドバイス」は、対象ユーザの上司に対してアドバイスを出力し意識変容をさせた後で、部下である対象ユーザに意識変容をさせるアドバイスを出力する(詳細は後述)。
【0053】
さて、自己要因支援情報TB151のアドバイス被提示者は、支援内容を通知する対象者であるユーザを示す。
所要時間は、支援情報をユーザが実行するのに要する時間(分)を示す数値である。図示の例においては、0.5分~3分の間で支援情報ごとに予め定められている。例えば、支援情報の一つであるマインドフルネスにおいて所要時間が1分と設定されている場合、マインドフルネスを実行するための画像および音声などが端末30等において1分間出力される。この画像および音声などに従い、ユーザが1分間マインドフルネスを実行することが可能となる。
優先順位は、支援情報を選択する際に選択される優先度を順位として示すものである。なお、図示の例においては、優先順位の数値が小さい支援情報ほど、より優先して選択されることを示す。
【0054】
条件は、対象とする支援情報を選択するための条件を示す。なお、条件が複数設定されている場合、すなわち条件1および条件2が設定されている場合には、条件の全てが満たされた場合に、対象とする支援情報が選択可能となる。
選択可否は、対象とする支援情報が、対象ユーザにおいて選択可能であるか否かを示す。なお、図示の例における「OK」は、選択可能であること、すなわち対象とする支援情報の条件が全て満たされ、対象とする支援情報が選択可能であることを示す。また、図示の例における「NG」は、選択不可能であること、すなわち対象とする支援情報の条件が全て満たされず、対象とする支援情報が選択不可能であることを示す。なお、自己要因支援情報TB151におけるいずれかの支援情報が選択可能(図中「OK」)である場合は、対象ユーザが支援すべきユーザ、すなわち不調ユーザであることを示す。
【0055】
ここで、図6-1(A)の自己要因支援情報TB151における支援情報の具体例を説明する。図中「No.」が「1」の「アンガーマネジメントアドバイス」の支援情報が通知される「アドバイス被提示者」は「ユーザA」であり、所要時間は「3分」、優先順位は「1」である。また、支援情報が出力(提示)される「条件」は、対象ユーザ(ユーザA)の「ストレス値」が「6」(「条件1」参照)である。この条件を満たすと、「No.1」の支援情報が出力可能であると判断される。なお、図示の例においては、条件を満たさず「選択可否」は「NG」であることを示す。また、図中「No.」が「16」の「環境アドバイス」の支援情報が通知される「アドバイス被提示者」は「ユーザA」であり、所要時間は「0.5分」、優先順位は「8」である。また、支援情報が出力(提示)される「条件」は、将来(例えば6時間後)に低気圧となること(「条件1」参照)、および対象ユーザ(ユーザA)の環境耐性が「低気圧時不調」(「条件2」参照)である。この条件を満たすと、「No.16」の支援情報が出力可能であると判断される。なお、図示の例においては、条件を満たさず「選択可否」は「NG」であることを示す。
【0056】
なお、詳細は後述するが、自己要因支援情報の条件は、対象ユーザのユーザ情報だけでなく、対象ユーザ以外のユーザ情報等によって設定されるものがある。例えば、「No.3」においては、対象ユーザの「ストレス値」とともに、対象ユーザと他のユーザとの「相性度」が条件となる。さらに説明をすると、図示の例における「条件2」は、対象ユーザ(ユーザA)と同一のチームに相性度が「パターンB」であるメンバーがいることを条件とすることを示す。このように、対象ユーザ以外のユーザ情報等を条件として自己要因支援情報を設定することにより、対象ユーザの支援がより確実に実行され得る。
【0057】
<他者要因支援情報TB153>
図6―2(B)は、他者要因支援情報TB153の一例を示す図である。
次に、図6―2(B)を参照しながら、他者要因支援情報TB153について説明をする。図示の他者要因支援情報TB153は、対象ユーザをユーザAとするものである。また、不調ユーザはユーザDとするものである。そして、他者要因支援情報TB153は、不調ユーザ(ユーザD)を支援するための支援情報として、対象ユーザ(ユーザA)に対してどのような支援情報を通知するかを規定する。いわば、他者要因支援情報TB153は、不調ユーザ(ユーザD)を間接的に支援するために、対象ユーザ(ユーザA)に対して通知する支援情報を規定する。
【0058】
図6―2(B)に示すように、他者要因支援情報TB153は、他者要因支援(詳細は後述)をユーザごとに管理する。図示の例においては、他者要因支援情報TB153は、支援内容、支援を提示する対象者(アドバイス被提示者)、所要時間、優先順位、条件(条件1、条件2)を管理する。また、他者要因支援情報は、ユーザストレス度TB119が更新されることにともない更新される。他者要因支援情報の更新頻度を高くすることにより、不調ユーザの心理的な負担をより効果的に実行することが可能となる。
【0059】
ここで、図示の例における「サポートアドバイス」は、対象ユーザ(ユーザA)に対して、不調ユーザ(例えばユーザD)に声をかける等のサポートを行うことを促すアドバイスを出力する。いわば、「サポートアドバイス」は、不調ユーザ(ユーザD)を間接的に支援するために、対象ユーザ(ユーザA)に対してアドバイスを出力する。「コミュニケーション能力向上アドバイス」は、対象ユーザに対して、「他者を尊敬する気持ちを大事にしながら発言をしましょう」や「私はこうしてほしい、というような私(アイ)を主語にした発言(アイメッセージ)を行いましょう」等という対象ユーザの行動を変化させるためのアドバイスを出力する。さらに説明をすると、「コミュニケーション能力向上アドバイス」は、チームビルドするためのアドバイスを出力する。ここで、「コミュニケーション能力向上アドバイス」は、対象ユーザによる行動の変化を促して、不調ユーザが置かれている環境を変化させる。このことにより、間接的に不調ユーザを支援する。
【0060】
「一般不調情報提示」は、気圧の変化等、特定の因子により体調を崩す人がいる(存在する)という情報の提示であり、対象ユーザの人間科学のリテラシーを向上させるアドバイスを対象ユーザに通知する。また、「個別不調情報提示」は、特定のユーザ(例えばユーザD)という人が、気圧の変化等、特定の因子によって体調を崩すことがあるという情報を対象ユーザに通知する。また、「対話機会設定アドバイス」は、不調ユーザ(例えばユーザD)と対象ユーザとで体調について対話する機会を持つよう促すアドバイスを通知する。なお、この対話においては、対象ユーザおよび不調ユーザが、お互いにどんなときに体調が悪いかを話し合う。この話し合いを通じて、対象ユーザが不調となる因子を認識し、不調ユーザの支援がより確実に実行され得る。例えば、「一般不調情報提示」におけるアドバイスは、「本日体調などが不調なメンバーがいた場合、その人のパフォーマンスが低下したりコミュニケーション能力が低下したりするので、それをできる限り許容するようにしましょう」というものを含んでもよい。
【0061】
「一般不調情報提示」、「個別不調情報提示」および「対話機会設定アドバイス」が対象ユーザに通知されることにより、不調ユーザの支援が間接的に実行される。ここで、「一般不調情報提示」、「個別不調情報提示」および「対話機会設定アドバイス」は、気圧の変化等、特定の因子(不調因子)によって不調となるユーザ(不調ユーザ)がいることを条件として、対象ユーザにアドバイスが通知される点で共通する。一方で、「一般不調情報提示」、「個別不調情報提示」および「対話機会設定アドバイス」は、不調要因および不調ユーザをアドバイスの中で特定するか否かで異なる。具体的には、「一般不調情報提示」は、不調要因を特定し、不調ユーザを特定しない。このことにより、不調ユーザを開示せずに、不調要因に関して他のユーザの教育を実行することが可能となる。「個別不調情報提示」は、不調要因を特定し、かつ不調ユーザを特定する。このことにより、不調ユーザに対する他のユーザの支援がより確実に実行され得る。「対話機会設定アドバイス」は、不調要因を特定せず、かつ不調ユーザを特定しない。そして、「対話機会設定アドバイス」は、例えば「体調について話しましょう」等の画像や音声を出力することで、不調ユーザと対象ユーザとの間における対話を促す。このことにより、不調ユーザと対象ユーザとの間における対話を通じて不調要因が判明したときに、互いに分かり合えたという経験を不調ユーザと対象ユーザが共有でき、不調ユーザと対象ユーザとの関係性が向上し得る。なお、個別不調情報を提示する個別提示の可否を設定である個別提示設定処理については、後述する。
【0062】
「休暇取得指示アドバイス」は、対象ユーザ(ユーザA)に対して、不調ユーザ(例えばユーザD)に休暇取得の指示を出すことを促すアドバイスを通知する。「ワーケーション利用指示アドバイス」は、対象ユーザに対して、不調ユーザ(例えばユーザD)に、休暇先で仕事をするワーケーションの制度を利用する指示を出すことを促すアドバイスを通知する。「カーテン開閉アドバイス」は、対象ユーザに対して、カーテンの開閉をして居室内の明るさを調整することを促すアドバイスを通知する。「照明調整アドバイス」は、対象ユーザに対して、照明の設定を切り替え居室内の明るさを調整することを促すアドバイスを通知する。「エアコン調整アドバイス」は、対象ユーザに対して、エアコンの設定温度を切り替え居室内の温度を調整することを促すアドバイスを通知する。
【0063】
「休暇取得指示アドバイス」、「ワーケーション利用指示アドバイス」、「カーテン開閉アドバイス」、「照明調整アドバイス」、「エアコン調整アドバイス」は、対象ユーザに対して、不調ユーザの環境を変化させることを促すアドバイスとして捉えることができる。なお、「休暇取得指示アドバイス」および「ワーケーション利用指示アドバイス」は、重役(Executive)、不調ユーザの上司の上司等、チームのリーダー(チームメンバーの一人)ではなく、チームを監督するユーザに通知する態様としてもよい。このことにより、より確実に休暇取得やワーケーションが実行され得る。ここで、例えば、部下のユーザの性格傾向など当該部下のユーザの現状の精神状態に基づいて、休暇取得指示を通知してもよい。また、部下のユーザの神経症傾向が高くストレス耐性が低い性格傾向であり、ストレス値が高い場合に、休暇取得指示を通知してもよい。また、複数ユーザが所属するチーム(ユーザ群の一例)における各ユーザのストレス値(図5(A)参照)の平均値が所定値以上(例えば5以上)であり、チームの忙しさが所定値以下(例えば3以下)である場合に、チームメンバーの一人であるチームのリーダー(上司、特定ユーザの一例)に休暇取得指示やワーケーション利用指示を出してもよい。なお、チームを構成する各ユーザの忙しさの平均値は、ユーザ群のユーザデータの一例である。ここで、各ユーザのストレス値の平均値は、ユーザ群のユーザデータの一例であり、例えば各ユーザの忙しさの最大値や最小値など他の数値を採用してもよい。また、ユーザ群のユーザデータは、ストレス値だけでなく、忙しさやレジリエンスなどを示す情報であってもよい。また、第1ユーザのユーザ情報である第1ユーザ情報、および第2ユーザのユーザ情報である第2ユーザ情報は、特定の単数のユーザ情報に限られない。例えば、複数のユーザ情報を第1ユーザ情報および第2ユーザ情報としてもよい。この場合、複数のユーザ情報の値を平均して、ユーザ情報としてもよい。また、複数のユーザ情報の値の最大値や最小値(例えば、ストレス値、忙しさ、等)をユーザ情報としてもよい。また、複数のユーザ情報を組み合わせてユーザ情報としてもよい。
【0064】
<自己要因支援情報および他者要因支援情報>
図7(A)乃至図7(D)は、自己要因支援情報および他者要因支援情報を説明するための図である。なお、図7(C)におけるユーザAは、ユーザDの上司である。図7(D)におけるユーザAは、ユーザCと高親睦の関係である。
次に、図6―1(A)、図6―2(B)および図7(A)乃至7(D)を参照しながら、自己要因支援情報および他者要因支援情報について説明をする。
【0065】
まず、自己要因支援情報および他者要因支援情報は、両者とも不調ユーザを支援するための情報である点で共通する。一方で、自己要因支援情報および他者要因支援情報は、支援情報を通知する通知先が、不調ユーザ自身であるか否かで異なる。具体的には、自己要因支援情報は、不調ユーザ自身に通知される支援情報である。言い替えると、自己要因支援情報は、ユーザがユーザ自身を支援するための情報である。一方、他者要因支援情報は、不調ユーザ以外のユーザに通知される支援情報である。言い替えると、他者要因支援情報は、ユーザが他のユーザを支援するための情報である。
【0066】
以下、図6―1(A)、図6―2(B)および図7(A)乃至7(D)を参照しながら、自己要因支援情報および他者要因支援情報について具体的に説明をする。
まず、図6―1(A)および図7(A)を参照しながら、自己要因支援情報TB151における「No.1」の「アンガーマネジメントアドバイス」が選択される場合について説明をする。この例においては、「ユーザA」が不調ユーザであり、「ユーザA」に対してアドバイスが通知される。
【0067】
さらに説明をすると、図6―1(A)における自己要因支援情報TB151における「No.1」の「条件」を満たす場合、すなわち「ユーザA」の「ストレス値」が「6」である場合には、「No.1」の「アンバーマネジメントアドバイス」が選択可能となる。このとき、図6―1(A)に示すように、「アドバイス被提示者」は「対象ユーザ」すなわち「ユーザA」である。以上のことから、図7(A)に示すように、「不調ユーザ」である「ユーザAにアドバイス」が通知される。
【0068】
次に、図6―1(A)および図7(B)を参照しながら、自己要因支援情報TB151における「No.4」の「アンガーマネジメントアドバイス」が選択される場合について説明をする。この例においては、「ユーザA」が不調ユーザであり、「ユーザA」に対してアドバイスが通知される。
【0069】
さらに説明をすると、図6―1(A)における自己要因支援情報TB151における「No.4」の「条件」を満たす場合、すなわちユーザAの「ストレス値」が「3」であり、かつ「部下の神経性傾向」が「高い」場合には、「No.4」の「アンバーマネジメントアドバイス」が選択可能となる。このとき、図6―1(A)に示すように、「アドバイス被提示者」は「対象ユーザ」すなわち「ユーザA」である。以上のことから、図6(B)に示すように、「ユーザA」が「不調ユーザ」であり、「ユーザD」が「神経性傾向」が「高」い場合において、「ユーザAにアドバイス」が通知される。
【0070】
次に、図6―2(B)および図7(C)を参照しながら、他者要因支援情報TB153における「No.1」の「サポートアドバイス」が選択される場合について説明をする。この例においては、「ユーザD」が不調ユーザであり、不調ユーザとは異なるユーザである「ユーザA」に対してアドバイスが通知される。
【0071】
さらに説明をすると、図6―2(B)における他者要因支援情報TB153における「条件」を満たす場合、すなわち「不調ユーザ」である「ユーザD」が「ユーザA」の部下であり、「ユーザA」自身の「ストレス値」が「5以下」である場合に、「No.1」の「サポートアドバイス」が選択可能となる。このとき、図6―2(B)に示すように、「アドバイス被提示者」は「不調ユーザの上司」すなわち「ユーザA」である。以上のことから、図7(C)に示すように、「ユーザA」の「ストレス値」が「5以下」であり、「ユーザD」が「不調ユーザ」である場合において、「ユーザAにアドバイス」が出力される。
【0072】
次に、図6―2(B)および図7(D)を参照しながら、他者要因支援情報TB153における「No.2」の「サポートアドバイス」が選択される場合について説明をする。この例においては、「ユーザC」が不調ユーザであり、不調ユーザとは異なるユーザである「ユーザA」に対してアドバイスが出力される。
【0073】
さらに説明をすると、図6―2(B)における他者要因支援情報TB153における「条件」を満たす場合、すなわち「不調ユーザ」である「ユーザC」が「ユーザA」の「高親睦」メンバーであり、「ユーザA」自身の「ストレス値」が「3以下」である場合に、「No.2」の「サポートアドバイス」が選択可能となる。このとき、図6―2(B)に示すように、「アドバイス被提示者」は「不調ユーザの高親睦メンバー」すなわち「ユーザA」である。以上のことから、図7(D)に示すように、「ユーザA」が「高親睦」メンバーでかつ「ストレス値」が「3以下」であり、「ユーザC」が「不調ユーザ」である場合において、「ユーザAにアドバイス」が出力される。
【0074】
ここで、本実施の形態においては、支援情報が、不調ユーザのユーザ情報に基づいて出力される(図7(A)参照)だけでなく、不調ユーザおよび不調ユーザ以外のユーザのユーザ情報に基づいて、選択および出力されることがある(図7(B)乃至図7(D)参照)。このように、不調ユーザとともに不調ユーザ以外のユーザのユーザ情報に基づいて、支援情報を選択することで、不調ユーザを支援するのにより適したユーザに対して支援情報を出力することができる。ここで、支援するのに適したユーザとは、例えば不調ユーザを支援するだけの心理的なゆとりがある(例えばストレス値が低い)ユーザや、不調ユーザが心理的に支援を受け入れやすい関係性がある(例えば高親睦である)ユーザ等が含まれる。
【0075】
さらに説明をすると、図7(B)に示すように、対象ユーザ(図7(B)の例においてはユーザA)のユーザ情報(ストレス値)と、他のユーザ(ユーザD)のユーザ情報(神経性傾向)とに基づいて、対象ユーザ(ユーザA)に対して支援情報が出力される。なお、この例においては、ユーザAのストレス値が高い。したがって、ユーザAが、例えばささいなことを契機として他人への配慮に欠ける発言することが想定される。そして、ユーザDは、神経性傾向が高いことから、ユーザAの配慮に欠ける発言により不快な思いをする等、ストレスを感じる可能性がある。そこで、ユーザAに対して、アンガーマネジメントのアドバイスやユーザAに楽しみ(例えば、休暇を取り旅行に行く、ライブに行く、好きな映画を見る、好きなスポーツを楽しむなど)を見つけさせたり、マインドフルネスをさせたりすることでストレスを軽減させるアドバイスを提示することで、ユーザAとユーザDとの間でパワハラ等のトラブルが発生することを未然に防ぐことができる。いわば、ユーザDを支援する情報がユーザAに対して通知される。また、例えば、ユーザAのセルフコントロールが低い、またはEQの値が低い場合、上記のようにささいなことを契機として他人への配慮に欠ける発言するような状況などが起きやすいため、これらの施策を促すアドバイスを出力する頻度を高めてもよい。なお、この例においては、ユーザAに対して、アンガーマネジメントのアドバイスを提示することで、ユーザDがストレスを感じることが回避され得る。すなわち、ユーザAに対してアドバイスを提示することで、ユーザDの心身状態を維持または改善することにつながり、ユーザDが間接的に支援される。したがって、この例は、ユーザDを支援する情報を、ユーザAに対して通知する態様として捉えることもできる。
【0076】
また、図7(C)に示すように、不調ユーザ(ユーザD)のユーザ情報(ストレス値)と、不調ユーザ(ユーザD)との関係性(ユーザDの上司)とに基づいて、対象ユーザ(ユーザA)に支援情報が出力される。なお、この例においては、ユーザDのストレス値が高い。また、ユーザAは、ユーザDの上司であるため、ユーザDに対して支援をしやすい立場である。また、ユーザAは、ストレス値が低く、ユーザDを支援するだけの心理的なゆとりがある。そこで、ユーザAに対して、ユーザDを支援する支援情報(サポートアドバイス)を提示することで、ユーザDのストレスを軽減させ得る。すなわち、アドバイスが提示されたユーザAが行動することで、ユーザDの心身状態を維持または改善することにつながり、ユーザDが間接的に支援される。なお、図示の例においては、対象ユーザ(ユーザA)のストレス値が所定値以下であることを要件としているが、これを要件としてなくてもよい。この場合、対象ユーザ(ユーザA)のストレス値を要件とせずに支援情報が選択されるため、ユーザDに対する支援がより実行されやすくなる。
【0077】
また、図7(D)に示す例においては、不調ユーザ(ユーザC)のユーザ情報(ストレス値)と、不調ユーザ(ユーザC)と対象ユーザ(ユーザA)との関係性(ユーザCの高親睦)とに基づいて、対象ユーザ(ユーザA)に支援情報が出力される。なお、この例においては、ユーザCのストレス値が高い。また、ユーザAは、ユーザCと高親睦の関係であるため、ユーザCが心理的に支援を受けやすいユーザである。また、ユーザAは、ストレス値が低く、ユーザCを支援するだけの心理的なゆとりがある。そこで、ユーザAに対して、ユーザCを支援するアドバイス(サポートアドバイス)を提示することで、ユーザCのストレスを軽減させ得る。なお、図示の例においては、対象ユーザ(ユーザA)のストレス値が所定値以下であることを要件としているが、これを要件としてなくてもよい。この場合、対象ユーザ(ユーザA)のストレス値を要件とせずに支援情報が選択されるため、ユーザCに対する支援がより実効されやすくなる。
【0078】
ここで、図7(C)に示す例においては、上記のように対象ユーザであるユーザAに他者要因支援情報TB153に従って支援情報が出力されるとともに、不調ユーザであるユーザDに対しては、自己要因支援情報TB151に従って、自己支援情報が出力される。このことにより、不調ユーザであるユーザDに対して、ユーザD自身の支援と、他者であるユーザAの支援が実行され得る。詳細は省略するが、図7(D)に示す例においても、ユーザAに他者要因支援情報が出力されるとともに、不調ユーザであるユーザCに自己支援情報が出力されることで、ユーザCの支援がより確実となる。
【0079】
また、例えば図7(B)および図7(C)の両者に該当する場合もある。すなわち、ユーザA自身が不調ユーザであり、かつユーザAが他者(ユーザD)を支援するユーザとなる場合である。この場合においては、上記のように対象ユーザであるユーザAに対して、自己要因支援情報TB151に従って自己支援情報が出力され、かつ他者要因支援情報TB153に従って支援情報が出力される。このことにより、不調ユーザであるユーザA自身の支援と、他者(ユーザD)の支援とが実行され得る。
【0080】
なお、不調ユーザが、同一の集団の他のユーザから支援を受けると、集団に対する信頼度が向上し得る。言い替えると、不調ユーザが、同一の集団の他のユーザから支援を受けることにともない、不調ユーザの集団への帰属意識が向上し得る。
【0081】
<情報処理システム1の概略動作>
図8は、情報処理システム1の概略動作を示すフローチャートである。
次に、図8を参照しながら情報処理システム1の概略動作について説明をする。なお、以下の説明においては、管理装置10は、ユーザAが端末30を操作することにともない、ユーザAのサービス利用開始時のユーザ登録を予め完了しているものとする。
【0082】
まず、管理装置10のユーザ情報管理部110が、端末30に対してユーザ情報を入力するための画像である入力画像を表示する指示を出力する(S801)。そして、端末30は、入力画像を表示する(S802)。端末30は、入力画像を介して、ユーザAからユーザ情報を受け付け、管理装置10に出力する(S803)。
【0083】
次に、管理装置10のユーザ情報管理部110がユーザ情報を受け付け、記憶する(S804)。具体的には、ユーザ情報管理部110が、登録情報TB111、相性度TB113、チーム状態TB115、関係性TB117、ユーザストレス度TB119、ユーザ生理情報TB121およびチームストレス度TB123を更新する。そして、管理装置10の環境情報管理部130が環境情報を受け付け、記憶する(S805)。具体的には、環境情報管理部130が、取得した環境情報に基づいて環境情報TB131を更新する。そして、支援情報管理部150は、自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153を更新する(S806)。
【0084】
次に、管理装置10の支援情報決定部170が、更新された自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153に基づいて、支援情報を選択する(S807)。そして、管理装置10の支援情報決定部170が、選択された支援情報に従い端末30に対して出力する(S808)。そして、端末30は、受け付けた支援情報を示す画像を表示する(S809)。この端末30に表示される支援情報に従い、ユーザAは自身または他のユーザの支援を実行することが可能となる。
【0085】
本実施の形態においては、ユーザのストレスチェックを日々行い、ストレス値を取得する。そして、このストレス値の変化に応じてアドバイスを提示する。また、例えば上司と部下の性格傾向として、相性がいいか(例えば、上司や同一チームの他のメンバーが怒りやすい、パワハラしやすい性格傾向であるか)に応じて、アドバイスが提示される。すなわち、特定のユーザがパワハラしやすい場合に、パワハラを抑制するためのアドバイスが出力される。また、部下、同僚の性格傾向がパワハラに耐えられないことが予想される場合に、パワハラを抑制するためのアドバイスが出力される。
【0086】
<支援情報選択処理>
図9は、支援情報決定部170が実行する支援情報選択処理を示すフローチャートである。
次に、図9を参照しながら支援情報決定部170が実行する支援情報選択処理について説明をする。
【0087】
まず、支援情報決定部170は、自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153から、出力可能な支援情報を選択する。ここで、選択された支援情報は、端末30等に対して出力される(上記図8のS808参照)。ここで、支援情報は、支援情報決定部170によって自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153に基づいて選択される。また、自己要因支援情報TB151において複数の支援情報が選択可能である場合においては、支援情報決定部170は、予め定められた優先順位に従って支援情報を選択する。同様に他者要因支援情報TB153において複数の支援情報が選択可能である場合においては、支援情報決定部170は、予め定められた優先順位に従って支援情報を選択する。さらに、支援情報は、複数の支援情報が選択されてもよい。例えば、同一のユーザに対して通知される支援情報として、自己要因支援情報および他者要因支援情報の両者が選択されてもよい。
【0088】
図示の例においては、所定条件を満たす場合に、複数の支援情報が選択される。具体的には、支援情報を対象ユーザが実行するための所要時間の合計が予め定めた時間内(3分以下)である場合に、複数の支援情報が選択可能である。所要時間が予め定めた時間内に設定されることにより、ユーザの拘束時間が長くなることが抑制され、支援情報が通知されるユーザの利便性が向上する。なお、ここでは所定の条件の例として、支援情報を実行するための所要時間を説明したが、これに限定されない。例えば、一度に出力される支援情報の数や、支援内容の属性等、他の条件に基づいて支援情報を選択してもよい。
【0089】
また、図示の例においては、自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153から支援情報が選択されるときに、自己要因支援情報が他者要因支援情報よりも優先して選択される。このことにより、自身が不調であるユーザに対して、他者の支援を促す情報が出力され、結果として心理的に余力のない不調ユーザの心理的な負担がさらに増すことが抑制される。図示の例においては、自己要因支援情報が選択された後に、所要時間の制限内であれば他者要因支援情報が選択される。ここで、自己要因支援情報を、他者要因支援情報よりも優先する態様は、選択の順番に限られるものではない。例えば自己要因支援情報は、他者要因支援情報よりも選択される確率が高くなる態様や、自己要因支援情報が他者要因支援情報よりも通知に要する時間(例えば表示時間)が長く設定される態様や、自己要因支援情報が他者要因支援情報よりもユーザにより視認されやすく出力する態様(例えば文字や音量が大きい)であってもよい。
【0090】
以下、図9を参照しながら、管理装置10の支援情報決定部170が実行する支援情報選択処理について具体的に説明をする。
まず、支援情報決定部170は、自己要因支援情報TB151において選択可能な自己要因支援候補が有るか否かを判断する(S901)。自己要因支援候補が有る場合(S901でYES)、支援情報決定部170は、自己要因支援候補を選択する(S902)。このとき、支援情報決定部170は、自己要因支援候補における最も優先順位が高い(数値が小さい)ものを1つ選択する。そして、支援情報決定部170は、選択されている自己要因支援候補の所要時間の合計が3分以下である否かを判断する(S903)。
【0091】
選択されている自己要因支援候補の所要時間が3分以下である場合(S903でYES)、支援情報決定部170は、選択可能な他の自己要因支援候補が有るか否かを判断する(S904)。他の自己要因支援候補が無い場合(S904でNO)、支援情報決定部170は、他者要因支援情報TB153において選択可能な他者要因支援候補が有るか否かを判断する(S905)。他者要因支援候補が有る場合(S905でYES)、支援情報決定部170は、他者要因支援候補を選択する(S906)。このとき、支援情報決定部170は、他者要因支援候補における最も優先順位が高いものを選択する。
【0092】
次に、支援情報決定部170は、選択されている支援候補の所要時間の合計が3分以下である否かを判断する(S907)。そして、選択されている支援候補の所要時間の合計が3分以下である場合(S907でYES)、支援情報決定部170は、選択可能な他の他者要因支援候補が有るか否かを判断する(S908)。そして、他の他者要因支援候補がない場合(S908でNO)、支援情報決定部170は、選択されている支援候補を出力支援情報として設定する(S909)。
【0093】
ここで、選択可能な他の自己要因支援候補が有る場合(S904でYES)、支援情報決定部170は、他の自己要因支援候補を選択(追加)する(S910)。このとき、支援情報決定部170は、他の自己要因支援候補における最も優先順位が高いものを選択する。そして、支援情報決定部170は、選択されている支援候補の所要時間の合計が3分以下である否かを判断する(S903)。
【0094】
また、選択可能な他の他者要因支援候補が有る場合(S908でYES)、支援情報決定部170は、他の他者要因支援候補を選択(追加)する(S911)。このとき、支援情報決定部170は、他の他者要因支援候補における最も優先順位が高いものを選択する。そして、支援情報決定部170は、選択されている支援候補の所要時間の合計が3分以下である否かを判断する(S907)。
【0095】
上記のように出力支援情報を設定することにより、ユーザの拘束時間を抑制しながら、自己要因支援候補を他者要因支援候補よりも優先させることが可能となる。
【0096】
<個別提示設定処理>
図10は、支援情報決定部170が実行する個別提示設定処理を示すフローチャートである。
次に、図10を参照しながら支援情報決定部170が実行する個別提示設定処理について説明をする。
【0097】
上述のように、支援情報決定部170は、不調ユーザを特定しながら、不調因子によって体調を崩すことを表示する個別不調情報提示を実行するか否かを判断する個別提示設定処理を実行する。この個別提示設定処理においては、不調ユーザのユーザ情報に応じて、個別不調情報提示を実行するかを判断する。図示の例においては、ユーザ情報として、対象ユーザ(不調ユーザ)の意思(同意)および対象ユーザの所属チームに対する信頼度に応じて、個別不調情報提示を実行するかが判断される。
【0098】
具体的には、図10に示すように、支援情報決定部170は、まず対象ユーザ(不調ユーザ)が個別提示することに同意しているか否かを判断する(S1001)。対象ユーザが個別提示することに同意している場合(S1001でYES)、支援情報決定部170は、対象ユーザ(不調ユーザ)の所属チームに対する信頼度が閾値以上であるかを判断する(S1002)。対象ユーザの所属チームに対する信頼度が閾値以上である場合(S1002でYES)、支援情報決定部170は、個別提示を行うことを許可する個別提示許可設定を実行する(S1003)。
【0099】
一方、対象ユーザが個別提示することに同意していない場合(S1001でNO)、あるいは対象ユーザの所属チームに対する信頼度が閾値未満である場合(S1002でNO)、支援情報決定部170は、個別提示を行うことを不可とする個別提示不可設定を実行する(S1004)。
【0100】
このように、対象ユーザが個別提示することに同意していることを条件として個別提示設定を行うことで、対象ユーザの意思に反して対象ユーザの情報が他のユーザに通知されることが抑制される。また、対象ユーザの所属チームに対する信頼度を条件として個別提示設定を行うことで、所属するチームに対する信頼度が低い状態で、対象ユーザの情報が他のユーザに通知されることが抑制される。なお、個別提示することに対する同意は、例えばシステム登録時に各ユーザから取得してもよいし、個別不調情報提示を実行する直前に対象ユーザから同意を取ってもよい。また、ここでは、チームに対する信頼度を例に説明をしたが、心理的安全性等、他のデータに基づいて、個別提示することの可否を判断してもよい。また、ここでは、対象ユーザが個別提示することに同意していること、および対象ユーザの所属チームに対する信頼度を条件として、個別提示設定を行うことを説明したが、いずれか一方のみを条件として個別提示することの可否を判断してもよい。
【0101】
<段階対応出力処理>
まず、支援情報決定部170は、所定の条件を満たす場合、支援情報を受けるユーザを複数設定することがある。具体的には、対象ユーザにおける心理的安全性の数値(図4(A)参照)が低い場合、対象ユーザとともに対象ユーザと同一のチームに所属する他のユーザにも支援情報を通知することがある。さらに説明をすると、対象ユーザの心理的安全性が低い原因ユーザ(図4(A)参照)や、上司のユーザ、あるいは対象ユーザとの相性度が特定のパターンであるユーザ(図4(B)参照)等に対して、支援情報を通知することがある。そして、例えば、対象ユーザに対して通知する支援情報が、「上司の上司がいるときにおいて、上司の発言が合理的に考えて間違っている場合、部下は上司の発言が誤っていることを指摘してもいい」であるものとする。この場合において、仮に対象ユーザの上司(強権を持つユーザ)が部下の発言を許容することができないと、支援情報を出力することにより対象ユーザと上司との間で不和が起こり得る。そこで、支援情報決定部170は、上司に対して先に支援情報を通知し、上司の意識変容が完了した後で、部下である対象ユーザに意識変容をさせる処理を実行する。この段階的な処理は、段階対応出力処理の一例である。なお、段階対応出力処理は、対象ユーザとは異なる他のユーザ(例えば不調ユーザの上司)に支援情報を通知し、当該他のユーザの変容を要件として、対象ユーザに支援情報を通知する処理ものである。このように、他のユーザの変容は、対象ユーザの置かれている環境を変化させる。すなわち、他のユーザの変容は、対象ユーザの心身状態を維持または改善することにつながり、間接的に対象ユーザを支援することとなる。なお、ここでは、不調ユーザと、不調ユーザの上司のユーザとの関係を説明するが、ユーザ同士の関係はこれに限定されない。ユーザ同士の関係において、集団における権能に差異(例えば職位の上下関係、社歴における先輩後輩の関係、特定の意識決定権の所持等)や、集団における影響力の差異(例えば大小関係)があればよい。例えば、ユーザの社歴(先輩および後輩の関係)に基づいて、まず先輩のユーザに対して支援情報を出力した後、先輩のユーザの変容を要件として、後輩のユーザに対して支援情報を出力してもよい。この態様においては、先輩のユーザの変容が予め完了しているため、後輩のユーザの支援がより効果的に実行され得る。
【0102】
図11は、支援情報決定部170が実行する段階対応出力処理を示すフローチャートである。
次に、図11を参照しながら支援情報決定部170が実行する段階対応出力処理について説明をする。
【0103】
図11に示すように、支援情報決定部170は、まず、対象ユーザ(不調ユーザ)の上司が操作する端末30等に支援情報を出力する(S1101)。そして、支援情報決定部170は、上司の変容を確認するタイミングである変容確認タイミング(例えば前回の支援情報を出力してから1週間後)であるかを判断する(S1102)。
【0104】
変容確認タイミングである場合(S1102でYES)、支援情報決定部170は、上司が操作する端末30等において変容の確認を行う(S1103)。具体的には、例えば上司に対して前回出力された支援情報によって、上司自身の行動や考え方が変化したかを質問し、その質問に対する回答を端末30等を介して受け付ける。
【0105】
そして、支援情報決定部170は、上司の変容が確認できたか否かを判断する(S1104)。上司の変容が確認された場合(S1104でYES)、対象ユーザ(不調ユーザ)が操作する端末30等に支援情報を出力する(S1105)。一方、上司の変容が確認されない場合(S1104でNO)、支援情報決定部170は、上司が操作する端末30等に支援情報を出力する(S1101)。なお、上記のように段階対応出力処理を実行することにより、不調ユーザの支援がより効率的に実行される。
【0106】
<管理装置10のハードウェア構成>
図12は、管理装置10のハードウェア構成例を示した図である。
図12に示すように、管理装置10は、CPU101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、通信I/F105とを備える。
【0107】
CPU101は、ROM103等に記憶された各種プログラムをRAM102にロードして実行することにより、管理装置10の上記各機能を実現する。
RAM102は、CPU101の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM103は、CPU101が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
HDD104は、ユーザ情報等を記憶する例えば磁気ディスク装置である。
通信I/F105は、ネットワーク90(図1参照)を介して他の装置との間で各種情報の送受信を行う。
【0108】
ここで、CPU101によって実行されるプログラムは、半導体メモリ等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、管理装置10へ提供し得る。また、CPU101によって実行されるプログラムは、管理装置10を介して端末30等へダウンロードしてもよい。例えば、管理装置10の上記各機能を実現するプログラムを、アプリケーションソフトウェアとして端末30等へダウンロードしてもよい。そして、ユーザは、端末30等にて、ダウンロードしたアプリケーションソフトウェアをインストールして、上記サービスの利用を開始する。
【0109】
<変形例>
上記の説明においては、支援情報管理部150が、自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153に規定された各条件に従い支援情報を選択し出力することを説明した。ここで、各条件に従い選択された支援情報を選択された出力することに替えて、あるいは出力することともに、選択された支援情報を出力する頻度を変更してもよい(増加させてもよい)。さらに説明をすると、上記の実施形態とは異なり、自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153に記憶される各支援情報に、対象とする支援情報を出力する周期を設定し、設定された周期に従い支援情報が繰り返し出力されてもよい。そして、支援情報管理部150が選択された支援情報の周期を短くすることで、その支援情報が出力される頻度を上昇させてもよい。
【0110】
ここで、自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153に周期を設定する構成においては、登録情報TB111によって記憶される思考力や性格傾向等ユーザ情報に応じて周期を変更する構成としてもよい。具体的には、所謂忘却曲線と呼ばれる、記憶したことが時間の経過にともない忘却されていく態様を示すグラフ等を用いて、上記支援情報が出力される周期を変更してもよい。例えば、思考力が高めで物事の記憶に適正があるユーザに対しては周期を長めに設定し、思考力が低めで物事の記憶に適正がないユーザに対しては周期を短めに設定してもよい。さらに説明をすると、IQのスコアが閾値よりも高い(例えば100以上)ユーザである場合には、特定期間(例えば10日)を周期として設定し、IQのスコアが閾値よりも低い(例えば100未満)ユーザである場合には、より物事を忘却しやすく、記憶した知識を忘却するまでの期間を示す忘却期間が短いユーザーと判定され、特定期間よりも短い期間(例えば8日)を周期として設定してもよい。このことにより、ユーザによる忘却を効率的に抑制しながら、支援情報をユーザに記憶させることが容易となる。
【0111】
また、上記の実施形態とは異なる他の例としては、自己要因支援情報TB151および他者要因支援情報TB153に、各支援情報が出力される確率を設定してもよい。そして、支援情報管理部150によって選択された支援情報において、その支援情報が選択される確率を高めることで、その支援情報が出力される頻度を上昇させてもよい。例えば、神経性傾向が高いユーザに対して、マインドフルネスアドバイスやワークアドバイス(感謝ダイアリー)がより頻度高く出力されてもよい。また、レジリエンスの人とのつながりが低めのユーザに対して、他者との交流を促すアドバイスや、他者に感謝できることを思い出すアドバイスなど人とのつながりを高めるためのアドバイスが頻度高く出力されてもよい。なお、各ユーザのレジリエンスの上記6項目のうち、スコアが低い項目を向上させる支援情報を出力し、ユーザの短所(弱み)を改善してもよいし、高い項目をさらに向上させる支援情報を出力し、ユーザの長所(強み)を伸ばしてもよい。さらに説明をすると、例えばレジリエンスの上記6項目のうちの項目「自分の軸」のスコアが低いユーザに対して、自分の価値観を確認し、その価値観に最近の自身の言動や環境が合っているかを考えるワークを行わせるアドバイスを出力してもよいし、あるいはこのアドバイスを出力する頻度を増加させてもよい。また、例えば、項目「セルフコントロール」のスコアが低いユーザに対して、アンガーマネジメントや感情マネジメントのアドバイスを出力してもよいし、あるいはこのアドバイスを出力する頻度を増加させてもよい。また、例えば項目「対応力」のスコアが低いユーザに対して、仕事の優先順位づけを効率的に行うためのアドバイスを出力してもよいし、あるいはこのアドバイスを出力する頻度を増加させてもよい。また、例えば項目「人とのつながり」のスコアが低いユーザに対して、人とのつながりを高めるため、例えば、他者との交流を促すアドバイスや、他者に感謝できることを思い出すアドバイスを出力してもよいし、あるいはこのアドバイスを出力する頻度を増加させてもよい。また、例えば項目「しなやかな思考」のスコアが低いユーザに対して、他者の意見受け入れを促進するアドバイスを出力してもよいし、あるいはこのアドバイスを出力する頻度を増加させてもよい。また、例えば項目「ライフスタイル」のスコアが低いまたは生活習慣における、睡眠の質や量、食事の質や量、運動の質や量が低いユーザに対して、睡眠改善や食生活改善、運動改善のアドバイスを出力してもよいし、あるいはこのアドバイスを出力する頻度を増加させてもよい。
【0112】
ここで、上記の説明においては、支援情報に基づいて精神的な状態を改善または維持することを主として説明したが、支援情報に基づいて身体的な状態を改善または維持してもよい。例えばユーザ生理状態における体温が高いことが検知された不調ユーザに対して、不調ユーザおよび/または不調ユーザ以外の他のユーザに支援情報を出力する態様であってもよい。このことにより、不調ユーザが自身の身体的な状態を改善する行動をとることや、不調ユーザ以外の他のユーザが不調ユーザに対して身体的な状態の改善を促すことなどにより、不調ユーザの身体的な状態が改善され得る。さらに説明をすると、熱が出ている不調ユーザが睡眠を長くとることにより、熱が下がることがある。また、運動不足の不調ユーザがストレッチをすることにより、睡眠の質が向上することがある。また、肩こりや腰痛などを感じている不調ユーザが整体やマッサージを受けたり自身でつぼ押しをすることにより、肩こりなどが解消することがある。したがって、これらの睡眠を長くとる、ストレッチをする、整体やマッサージを受ける、自身でつぼ押しをすることなど不調ユーザが実行するようなアドバイスを、不調ユーザおよび/または不調ユーザ以外の他のユーザに出力してもよい。
【0113】
ここで、上記の説明においては、ストレス値が高い等、ユーザの精神状態が悪化しているまたは将来悪化することが推定される場合に、各支援情報を出力すること等を説明した。ここで、対象ユーザが通常の状態と異なる精神状態となるまたは異なる精神状態となることが推定される場合に、支援情報を出力する態様であれば上記の説明に限定されない。例えば、もともと開放性が高いユーザの開放性が前日と比較して急増した場合等、ユーザ情報の初期値から大きく変動した場合に、支援情報を出力する態様であってもよい。さらに説明をすると、現在のユーザ情報だけでなく、過去のユーザ情報および/または未来のユーザ情報に基づいて支援情報を出力する態様であってもよい。
【0114】
また、上記においては、出力する支援情報により、ユーザの精神状態の悪化を改善または維持することで、集団のパフォーマンスを向上させることを説明した。ここで、支援情報は、ユーザの精神状態を変化させて集団のパフォーマンスを向上させるものであればよい。例えば、支援情報は、思考のしなやかさが高いユーザに対して、しなやかさをさらに向上させるためのアドバイスを行ってもよい。すなわち、ユーザの強みを延ばすための支援情報を出力することで、集団のパフォーマンスを向上させてもよい。
【0115】
また、上記の説明においては、一のユーザに対して、自己要因支援情報および他者要因支援情報の両者が出力される場合において、自己要因支援情報および他者要因支援情報がともに出力されることを説明したが、各支援情報が出力されるタイミングは同時に限定されない。例えば、一のユーザに対して、自己要因支援情報および他者要因支援情報の両者が出力される場合において、自己要因支援情報および他者要因支援情報が出力されるタイミングが互いに異なってもよい。例えば、自己要因支援情報の出力が完了した後に、予め定めた時間(例えば2時間)が経過した後、他者要因支援情報が出力される態様でもよい。出力されるタイミングを異ならせることで、ユーザが各支援情報に従って行動をとりやすくなる。
【0116】
また、上記の図9の説明においては、自己要因支援情報の選択処理と、他者要因支援情報の選択処理と順に行うことを説明したが、これに限定されない。例えば、自己要因支援情報および他者要因支援情報を共通のテーブルで記憶し、自己要因支援情報および他者要因支援情報で共通の優先順位を設定することで、自己要因支援情報の選択処理と、他者要因支援情報の選択処理とを同時に行ってもよい。付言すると、この例における自己要因支援情報の優先順位は、他者要因支援情報の優先順位よりも高く設定されるとよい。
【0117】
また、上記の説明においては、自己要因支援情報を他者要因支援情報よりも優先して選択することを説明したが、これに限定されない。例えば、他者要因支援情報を自己要因支援情報よりも優先して選択してもよいし、自己要因支援情報および他者要因支援情報の両者が必ず選択される態様とする態様でもよい。
【0118】
また、上記図3(B)に示す相性度TB113の説明においては、性格傾向に基づいてユーザ同士の相性度を管理することを説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザ同士の年齢、社歴、および思考力等に基づいて、ユーザ同士の相性度や関係性を管理してもよい。例えば、ユーザ同士の思考力(IQ等)の差が閾値以上の場合、一般的にパワハラが起こりやすい。したがって、この場合には、相性度が悪いとしてもよい。付言すると、例えば上司のIQが高く、部下のIQが上司よりも大幅に低い場合には、上司に対して、部下の精神状態に注力するアドバイスを通知し、部下に対して、上司に対する報告を頻繁にするようアドバイスを通知してもよい。
【0119】
ここで、ユーザ同士の思考力の差に応じて、ユーザに対して出力されるアドバイスが切り替わる構成であってもよい。例えば、上司のIQが高く、部下のIQが上司よりも大幅に低い場合には、上司が部下の意見を都度聞きながら業務を進めるよりも、上司が部下の意見を聞かずに自身の判断で業務を進めたほうが、会社全体(集団全体)のパフォーマンスを向上させることがある。同様に、例えば上司の特定の分野における思考力が高く(当該分野においてより長く勉強し知恵を持っている、当該分野において資格を有している、当該分野のテストにおいて高いスコアを出したことがある、当該分野における経験が長い、当該分野において実績を出したことがある)、部下の当該分野における思考力が低い場合に、ユーザに対して出力されるアドバイスが切り替わる構成であってもよい。
【0120】
そこで、ユーザ同士の思考力の差に応じて支援情報の内容を切り替える支援切替処理を行ってもよい。この支援切替処理においては、上記のような通常の支援情報の選択を行う通常支援設定と、ユーザ同士の思考力の差が大きい場合に実行される特殊支援設定とが切り替えられる。さらに説明をすると、例えば特殊支援設定においては、通常支援設定と比較して、対象とする部下の心理的安全性を高める支援情報が出力されることが変更(例えば制限)される。なお、特殊支援設定においては、通常支援設定と比較して、思考力が高い上司のユーザの裁量が大きくなり、自身の判断で業務を進めることが許容される。また、例えば通常支援設定および特殊支援設定の各々で用いられる他者要因支援情報TB153(図6―2(B)参照)を異ならせることで、各々の設定における支援情報を互いに異ならせることができる。
【0121】
ここで、通常支援設定と特殊支援設定において出力されるアドバイスの具体例について説明をする。まず、通常支援設定においては「部下とディスカッションを積極的に行いましょう」という、対象とする部下の心理的安全性を高めるアドバイスが上司に出力される。一方、特殊支援設定においては「業務においてあなたが自信がない分野については部下とディスカッションしましょう」という、アドバイスが上司に出力される。すなわち、特殊支援設定においては、対象とする部下の心理的安全性を高めることが相対的に制限されたアドバイスが出力される。ここで、対象とする部下の心理的安全性を高める支援情報が出力されることが制限される例としては、思考力の高い上司のユーザ対して通常支援設定と異なるアドバイスが出力される態様以外に、通常支援設定では出力される特定のアドバイスが出力されない態様や、特定のアドバイスが出力される頻度を通常支援設定と異ならせる態様などであってもよい。
【0122】
図13は、支援情報決定部170が実行する支援切替処理を示すフローチャートである。
例えば、図13に示すように、まず支援情報決定部170が、対象ユーザおよび対象ユーザの上司の思考力を示す情報(上記図3(A)に示す登録情報TB111参照)を取得する(S1301)。そして、支援情報決定部170は、上司の思考力が部下の思考力よりも閾値以上大きいかを判断する(S1302)。
【0123】
上司の思考力が部下の思考力よりも閾値以上高い場合(S1302でYES)、支援情報決定部170は、特殊支援設定(S1303)を行う。一方、上司の思考力が部下の思考力よりも閾値以上高くない場合(S1302でNO)、支援情報決定部170は、通常支援設定(S1304)を行う。
【0124】
さて、ユーザ同士の思考力の差に応じて、ユーザに対して出力されるアドバイスが切り替わる他の構成としては、例えば思考力が高い上司のユーザに対して、部下のユーザのパワハラ度が高いことに基づくアドバイスを出力しない構成としてもよい。さらに説明をすると、上司と部下の思考力の差が閾値未満である場合、部下が上司から受けるパワハラによるストレスが大きいと感じていると、当該部下のストレス値が高いことに基づくアドバイスを上司に出力する。一方で、上司および部下の思考力の差が閾値以上である場合、部下がパワハラによるストレスが大きいと感じていても、当該部下のストレス値が高いことに基づくアドバイスを上司に出力しない処理(禁則処理)を行ってもよい。このことにより、部下の思考力が十分でないことが理由で当該部下がストレスを感じている場合に、上司が部下の対応のために時間を費やし、結果として上司の業務が影響を受けることが抑制される。付言すると、上司のユーザの思考力が高く、部下のユーザの思考力が上司のユーザよりも大幅に低い関係であることに加えて、当該上司が他のユーザからの低い評価をされていないことを条件として、上記禁則処理を行ってもよい。ここで、他のユーザからの低い評価とは、例えば他のユーザが、当該上司を上記図4(A)における原因ユーザとして評価することである。このことにより、例えば上司にパワハラ等の原因がある場合にまで部下のストレス値が改善されないことが回避される。
【0125】
また、ユーザ同士の思考力の差以外に、例えばストレスを感じているユーザ(不調ユーザ)の性格傾向や不調ユーザが所属するチームにおける当該不調ユーザの評価など、他の条件に応じて、他のユーザに出力されるアドバイスが切り替わる構成であってもよい。例えば、部下が上司から受けるパワハラによりストレスが大きいと感じている場合であっても、部下のユーザのパワハラ度が高いことに基づくアドバイスを出力しない構成としてもよい。さらに説明をすると、部下の性格傾向が特定の条件(例えば神経性傾向が5以上)である場合、部下がパワハラによるストレスが大きいと感じていても、当該部下のストレス値が高いことに基づくアドバイスを上司に出力しない処理(禁則処理)を行ってもよい。このことにより、部下が自身の性格傾向により上司の言動に過剰に反応してストレスを感じているといった、部下の性格傾向に当該問題の主因があると考えられる場合において、上司が部下の対応のために時間を費やし、結果として上司の業務が影響を受けることが抑制される。また、当該部下が他のユーザからの低い評価をされていることを条件として、上記禁則処理を行ってもよい。ここで、他のユーザからの低い評価とは、例えば他のユーザが、当該部下を上記図4(A)における原因ユーザとして評価することである。このことにより、部下自身の言動に問題がある場合において、上司が部下の対応のために時間を費やし、結果として上司の業務が影響を受けることが抑制される。またこの時、当該部下には「マインドセット切替アドバイス」などの施策を出したり、カウンセラーと繋げたりすることで、当該部下の認知をまず改善してもよい。
【0126】
また、上記の説明においては、対象とするチームにおけるパワハラ度、セクハラ度、心理的安全性度は対象ユーザから取得することを説明したが、対象とするチームのメンバーに対する意識調査、もしくは部長(他のメンバー)から見た評価によって取得してもよい。すなわち、上司部下という区切りに限らず、同僚同士、先輩、後輩等、他のユーザからデータを取得してもよい。また、パワハラ度およびセクハラ度は、ハラスメントの程度を示す例である。このハラスメントの程度は、例えばアカハラ(アカデミックハラスメント)、マタハラ(マタニティハラスメント)など他のハラスメントの程度を用いてもよい。
【0127】
また、例えばあるチームに不調ユーザがいると判定された場合に、そのチームのメンバーに通知されるアドバイスの頻度や重み付けをメンバーごとに変化させてもよい。例えば、不調ユーザ、不調ユーザの上司や先輩に対しては重点的にアドバイスを通知し、それ以外のメンバーに対しては全員に対して軽くアドバイスを通知してもよい。
【0128】
また、心理的安全性等、対象とするチームに欠けている要素(閾値よりも低い要素)がある場合、欠けている要素を補充すべく上司にチーム内のルール設定するアドバイスを通知してもよい。また、上司の意識を変えるアドバイス、部下に意識を変えるアドバイス、上司と部下もしくは部下間にてそれについて話し合わせるようにするアドバイス等を通知してもよい。また、例えば、心理的安全性アドバイスの出力頻度を、当該チームのメンバーの心理的安全性スコアの平均値が2以下の場合、より高頻度(例えば、通常は週に1回である頻度を週に2回にする等)で出力してもよい。
【0129】
なお、上記のように心理的安全性は、「このチームではミスをしても、決まって咎められるということはない」など複数の評価項目(7つの評価項目)で評価されることがある。そして、支援情報決定部170は、複数の評価項目のうち、閾値よりも低い評価項目(例えば3以下)がある場合、その評価項目の評価を向上させるルール設定をするアドバイスを通知してもよい。支援情報決定部170は、例えば「このチームではミスをしても、決まって咎められるということはない」という評価項目の評価が低いときに、その評価項目の評価を改善するアドバイスとして「メンバーに対して、任せたタスクや、全体のプロジェクトが、失敗を積み重ねていき、進んでいくものであるという、仕事の複雑さや不確実性を共有する」というアドバイスを上司のユーザに出力してもよい。なお、ユーザ情報管理部110が、上司のユーザに対して質問(意識調査)を行い、質問の回答をユーザ情報として取得してもよい。そして、支援情報決定部170が、このユーザ情報に基づいて、上司のユーザに対して心理的安全性を向上させるアドバイスを出力してもよい。ここで、意識調査としては、「失敗を恥ずかしいものではないとするために、できる限りのことをしているか」、「悪い知らせを誰かが持ってきたとき、どうすれば確実にそれを前向きな経験にできるか考えているか」、「進んで部下に支援の手を差し伸べて、次のステップへ導いているようにしているか」などであってもよい。
【0130】
また、支援情報決定部170は、「何かに対して批判するときには、個人を批判するのではなく、プロジェクトやタスクといった行動やアウトプットに対して、ある程度の理論を伴って批判するようにしましょう」というルールを設定するアドバイスを上司またはチームに所属するユーザ全員に出力してもよい。付言すると、支援情報決定部170が特定の評価項目の評価を向上させるルール設定をするアドバイスをチーム全体に出力する場合には、当該アドバイスが優先的に出力されるようにしてもよい。例えば、支援情報決定部170が特定の評価項目の評価を向上させるルール設定をするアドバイスをチーム全体に出力することが必要と判断された場合に、当該判断がされたタイミングから所定期間(例えば1週間)、当該アドバイスを出力する支援情報の優先順位(例えば図6―2(B)に示す優先順位参照)を通常の場合よりも優先度を高く(例えば数値を小さく)設定し、当該アドバイスが優先的に出力されるようにしてもよい。このようにチーム全体(チームメンバー全員)に同様のアドバイスを出すことで、チーム全体における意識行動変容がよりなされやすい。
【0131】
また、個別提示設定処理は、以下のようにして実行してもよい。すなわち、不調ユーザの不調要因が、不調ユーザの上司、あるいは同一グループのメンバーによって解決可能であるかを判断し、解決可能であることを条件として、個別提示設定処理を実行してもよい。ここで、不調ユーザであることの判断としては、グループのメンバーが、将来起こる、あるいは現時点で起こっている環境因子、気候因子、生体因子によって精神状態、体の状態が低下すると推測されるかを基準として判断してもよい。また、不調ユーザの不調要因は、特定の環境因子(明る過ぎる等)、気候因子(低気圧等)、時期によって起きる因子(生体因子、生理等)によるものであるかを基準として、解決可能かを判断してもよい。
【0132】
また、上記の説明においては、不調ユーザに対して保健師、産業医、メンタルカウンセラー、キャリアカウンセラーに相談をすることを促すアドバイスを通知することを説明した。ここで、不調ユーザ自身ではなく、同一チームの他のメンバー(あるいはチーム全体)に対して保健師、産業医、メンタルカウンセラー、キャリアカウンセラーに相談をすることを促すアドバイスを通知してもよい。また、アドバイスの通知先は、不調ユーザおよび他のメンバーに替えて、あるいは不調ユーザおよび他のメンバーに加えて、保健師、産業医、メンタルカウンセラー、キャリアカウンセラー、あるいは重役(Executive)を含めてもよい。また、ユーザ情報に基づいて、相談する相手(相談相手)を決定してもよい。例えば、ユーザに対して自分の軸やキャリアへの不安に関する質問をして、ユーザからの回答でこれらの項目において懸念や不調の原因があると判断されれば、キャリアカウンセラーに繋いでもよい。ここで、キャリアカウンセラー(すなわち相談相手)に繋ぐとは、相談相手に電話をする、予約を自動で入れる、システム内で音声通話やビデオ通話を行う、リコメンドすることなどを含む。また他の例としては、ユーザの体調(例えば、生理状態の悪化、当該スコアが3以下など)が不調の原因であると判断されれば、保健師に繋いでもよい。また、精神が不安定(例えば、心のエネルギー(健康度)の低下、当該スコアが4以下が連続する)であることが不調の原因であると判断されれば、心理カウンセラーや精神科医に繋いでもよい。また、生活習慣(例えば、生活習慣情報で、食事をあまり食べてない、もしくは過剰に食べている、当該スコアが3以下)が不調の原因であると判断されれば、医師に繋いでもよい。このように、ユーザの不調原因により詳しいとされる専門家に繋げること(例えば、キャリアに関することが原因である場合、キャリアの専門家であるキャリアカウンセラーに繋げる)で、ユーザの不調改善がよりよくなされ得る。
【0133】
また、上記の説明においては、支援情報決定部170が各ユーザに対して支援情報を出す際に、他のユーザのユーザ情報に基づいて支援情報を決定する態様を説明したがこれに限定されない。例えば、この態様に替えて、あるいはこの態様に加えて、支援情報決定部170が各ユーザ情報に基づいて、優先的に支援が必要なユーザに対して支援情報を出力する態様であってもよい。このように、支援情報決定部170が優先的に特定のユーザに対して支援情報を出力することにより、例えばより効率よくチームのパフォーマンスを向上させ得る。
【0134】
また、上記の説明においては、種々の閾値や所定値について説明をした。これらの閾値や所定値は、予め定めた数値を用いてもよいし、機械学習や深層学習等によって学習されることで得られた数値を用いてもよい。
【0135】
また、上記の説明においては、図6―1(A)および図6-2(B)などを参照しながら支援情報を説明したが、これらに限定されない。例えば、上記の説明においては、条件1および条件2を満たすことを要件として支援情報を出力することを説明したが、これに限定されない。例えば、3つ以上の条件を満たすことを要件として支援情報を出力してもよい。また、各条件はユーザ情報を用いて設定されるが、例えばユーザ情報は、少なくとも思考力、性格傾向およびレジリエンスのうちの少なくとも1つを含めばよい。さらに説明をすると、これらのうちの複数を組み合わせて条件を設定してもよい。なお、思考力、性格傾向およびレジリエンスの内の少なくとも1つを含むことにより、ユーザが思考を行う際の傾向に対応したアドバイスを出力し得る。また、ユーザ情報におけるレジリエンスに応じて、サプリメント、漢方、薬膳など、特定の食品や薬などを摂取することをユーザに促してもよい。例えば、東洋医学や漢方に関する学問において、「気」を使いすぎる状態と判断される人に有効とされる食物を摂取することを促す情報を、支援情報管理部150に保存する。さらに説明をすると、「気」を使いすぎる状態と判断されるユーザに対して出力される情報として、セロリやパセリ等の香りの強い食べ物や芋類などの「気」を補うとされている食物を食べることを促す(勧める)アドバイスが支援情報管理部150に記憶される。そして、レジリエンスにて、しなやかな思考の数値が低い(例えば、スコアが2以下)人やNEO-FFIにて神経症傾向が高い(例えば、スコアが5以上)場合に、上記の食物を食べることを促すアドバイスを出力する。なお、「気」を使いすぎる人に良いものとして、漢方薬である補中益気湯を服用することを促すアドバイスを出力してもよい。また、ユーザの生活習慣において、睡眠時間などが低い値(例えば、スコアが5以下)とき、不眠として、酸棗仁湯という漢方を摂取することを促してもよい。また、ユーザに対してキャリアアンカーや価値観を質問し、得られたユーザからの回答に基づいて、偉人等の名言を提示してもよい。例えば、家族が大切であるという価値観を回答したユーザに対し、家族に関連する名言を提示しても良い。
【0136】
さて、上記管理装置10は、
ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶する記憶部と、
特定ユーザのユーザデータおよび前記特定ユーザを含む複数のユーザからなるユーザ群のユーザデータを取得する取得部と、
前記特定ユーザおよび前記ユーザ群のユーザデータに基づいて、前記特定ユーザを支援する支援情報を前記ユーザ群に通知する通知部と、
を備える、サーバ装置として捉えることができる。
また、上記管理装置10は、
ユーザの心身状態を改善または維持する支援情報を記憶する記憶部と、
第1ユーザおよび第2ユーザを含むユーザ群を構成するユーザのユーザデータを取得する取得部と、
前記第1ユーザおよび前記第2ユーザのユーザデータに基づいて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知する通知部と、
前記第1ユーザの前記ユーザ群における評価に応じて、前記第1ユーザを支援する支援情報を前記第2ユーザに通知することを制限する制限部と、
を備える、サーバ装置として捉えることができる。
【0137】
なお、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0138】
情報処理システム1は、システムの一例である。管理装置10は、サーバ装置の一例である。支援情報管理部150は、記憶部の一例である。ユーザ情報管理部110は、所得部の一例である。支援情報決定部170は、通知部、切替部および制限部の一例である。環境情報管理部130は、環境情報取得部の一例である。関係性TB117は、信頼度取得部の一例である。
【符号の説明】
【0139】
1…情報処理システム、10…管理装置、110…ユーザ情報管理部、130…環境情報管理部、150…支援情報管理部、170…支援情報決定部
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図6-1】
図6-2】
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