(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123963
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】屋外フード
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20230830BHJP
F24F 13/06 20060101ALI20230830BHJP
F24F 7/04 20060101ALI20230830BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20230830BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
F24F13/02 H
F24F13/06 B
F24F13/02 A
F24F7/04 B
F24F13/24 242
F24F13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027476
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 徹
(72)【発明者】
【氏名】栗本 晃来
【テーマコード(参考)】
3L058
3L080
【Fターム(参考)】
3L058BB04
3L058BC04
3L058BC06
3L058BC08
3L080AA08
3L080AA10
3L080AC03
3L080AE02
(57)【要約】
【課題】屋外フードの設置作業を簡素化すると共に、吸音材の適切な配置を担保する。
【解決手段】建物の外壁に開口するダクトの排気口の位置に貫通孔10aを有するベースプレート10を、外壁の壁面に沿って固定具で固定する。このベースプレートにフードカバー20を取り付けることで間に風路を形成し、排気口から排出される排気を風路によって吹出口へと導く。また、ベースプレートの風路側の面に、風路の音を吸収するベース吸音材17を敷設する。そして、ベースプレートに対してベース吸音材を脱離不能に固着させておき、ベースプレートにおける固定具で固定される被固定部10bと重なる箇所には、ベース吸音材の敷設を省略した省略部17bを設ける。こうすれば、被固定部が露出していることにより、ベース吸音材が固着された状態のままで、ベースプレートを固定具で外壁に固定することができる共に、ベース吸音材の取り付け忘れを防ぐことが可能となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に開口するダクトの排気口を覆って設置され、該排気口から排出される排気を吹出口へと導く風路を内部に有する屋外フードにおいて、
前記排気口の位置に貫通孔を有し、前記外壁の壁面に沿って固定具で固定されるベースプレートと、
前記ベースプレートに取り付けられることで、該ベースプレートとの間に前記風路を形成するフードカバーと、
前記ベースプレートの前記風路側の面に敷設され、該風路の音を吸収するベース吸音材と
を備え、
前記ベースプレートに対して前記ベース吸音材が脱離不能に固着されており、
前記ベースプレートにおける前記固定具で固定される被固定部と重なる箇所には、前記ベース吸音材の敷設を省略した省略部が設けられている
ことを特徴とする屋外フード。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外フードにおいて、
前記フードカバーの内面に敷設され、前記風路の音を吸収するカバー吸音材を備え、
前記ベースプレートに前記フードカバーを取り付けた状態では、前記カバー吸音材が前記省略部を前記風路から遮蔽している
ことを特徴とする屋外フード。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の屋外フードにおいて、
前記省略部は、前記排気口に対して前記吹出口とは反対側に位置している
ことを特徴とする屋外フード。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の屋外フードにおいて、
前記ベース吸音材には、前記ベースプレートとの関係で表裏の区別がある
ことを特徴とする屋外フード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁に開口するダクトの排気口を覆って設置される屋外フードに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁に開口するダクトの排気口に風雨が入り込むことを防ぐために、排気口を覆って設置される屋外フードが知られている。排気口から排出される排気は、屋外フードの内部の風路によって導かれ、吹出口から吹き出すようになっている。また、屋外フードを設置する際は、まず、排気口の位置に貫通孔を有するベースプレートを外壁の壁面に沿ってビスなどで固定し、このベースプレートに対してフードカバーを取り付けることで、ベースプレートとフードカバーとの間に風路が形成されるのが一般的である。
【0003】
こうした屋外フードでは、ダクトや風路を介して屋内から屋外に漏れる騒音、あるいは屋外から屋内に響く騒音を低減するために、ベースプレートの風路側の面や、フードカバーの内面に吸音材を敷設することが提案されている(例えば、特許文献1)。吸音材としては、厚みのあるものが用いられることが多く、外壁へのベースプレートの固定に際して、吸音材の一部をめくり上げたりしながらの作業が困難であるため、ベースプレートに対して吸音材を脱着可能としておき、外壁にベースプレートを固定した後に、ベースプレートに吸音材を重ね合わせて、フードカバーを取り付ける構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようにベースプレートに対して吸音材が脱着可能である従来の屋外フードでは、ベースプレートに対する吸音材の位置合わせが必要となるため設置作業に手間がかかると共に、吸音材の取り付けを忘れたり、吸音材の表裏を間違えたりすることがあるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、屋外フードの設置作業を簡素化すると共に、吸音材の適切な配置を担保することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の屋外フードは次の構成を採用した。すなわち、
建物の外壁に開口するダクトの排気口を覆って設置され、該排気口から排出される排気を吹出口へと導く風路を内部に有する屋外フードにおいて、
前記排気口の位置に貫通孔を有し、前記外壁の壁面に沿って固定具で固定されるベースプレートと、
前記ベースプレートに取り付けられることで、該ベースプレートとの間に前記風路を形成するフードカバーと、
前記ベースプレートの前記風路側の面に敷設され、該風路の音を吸収するベース吸音材と
を備え、
前記ベースプレートに対して前記ベース吸音材が脱離不能に固着されており、
前記ベースプレートにおける前記固定具で固定される被固定部と重なる箇所には、前記ベース吸音材の敷設を省略した省略部が設けられている
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の屋外フードでは、ベースプレートの被固定部がベース吸音材に覆われずに露出していることにより、ベースプレートにベース吸音材が固着された状態のままで(ベースプレートからベース吸音材を取り外すことなく)、外壁にベースプレートを固定具で固定することができるので、屋外フードの設置作業を簡素化すると共に、ベース吸音材の取り付け忘れを防ぐことが可能となる。加えて、本発明の省略部を設けずに、ベースプレートを固定した固定具にベース吸音材を重ねる場合とは異なり、固定具の厚みによってベース吸音材がベースプレートから浮いてしまうこともない。
【0009】
上述した本発明の屋外フードでは、フードカバーの内面に敷設されて風路の音を吸収するカバー吸音材を備えると共に、ベースプレートにフードカバーを取り付けた状態では、カバー吸音材が省略部を風路から遮蔽していてもよい。
【0010】
このようにすれば、ベース吸音材に省略部が設けられていても、ベースプレートにベースカバーを取り付けると、カバー吸音材によって省略部を補うことができるので、風路の騒音を吸収する性能の低下を抑制することが可能となる。
【0011】
こうした本発明の屋外フードでは、省略部が排気口に対して吹出口とは反対側に位置していてもよい。
【0012】
屋内で発生してダクトの排気口から放出される騒音は、風路に沿って吹出口へと向かい、吹出口から漏れ出ることから、排気口に対して吹出口の反対側は騒音の低減にあまり関与していない。このように騒音の低減への関与が低い位置に省略部を設けることにより、騒音を低減する性能が省略部によって低下してしまうことの抑制が可能となる。
【0013】
また、こうした本発明の屋外フードでは、ベースプレートとの関係でベース吸音材に表裏の区別があってもよい。
【0014】
ベース吸音材に表裏の区別がある場合でも、ベースプレートからベース吸音材を取り外すことができないので、屋外フードを設置する作業者がベース吸音材の表裏を間違えて取り付けてしまうことがなく、ベース吸音材の適切な配置を担保することができる。結果として、ベース吸音材の表裏の配置によって風路の騒音を吸収する性能が変わる場合に、性能を担保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例の屋外フード5の設置方法を示す分解斜視図である。
【
図2】建物の外壁1に設置された屋外フード5の内部構造を示した縦断面図である。
【
図3】本実施例のベース吸音材17およびカバー吸音材22の形状を示した斜視図である。
【
図4】ベース吸音材17の切欠き部17bとカバー吸音材22との位置関係を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施例の屋外フード5の設置方法を示す分解斜視図である。図示した例では、建物の外壁1に設けられたダクト穴2に屋内側からダクト3が挿通されており、ダクト3の末端の排気口3aが外壁1に開口している。この排気口3aを覆う屋外フード5を設置する際は、まず、外壁1の壁面に沿ってベースプレート10を固定する。ベースプレート10は、板金で形成されて排気口3aの位置に貫通孔10aを有しており、排気口3aと貫通孔10aとの位置合わせを行った上で、ビス11などの固定具を用いてベースプレート10の上部の左右2箇所を先に固定する。尚、固定具は、ビス11に限られず、アンカーに対するナットなどであってもよい。
【0017】
その後、ベースプレート10に対してフードカバー20を取り付ける。フードカバー20は、板金で形成され、排気口3aと対向する前面20aと、この前面20aに対して左右側面20b,20cと、上面20dとを有しており、ベースプレート10側の面と下側の面とが開放された略直方体の箱形になっている。そして、
図1では、フードカバー20から分離して表しているが、フードカバー20の下側の面を覆ってギャラリ30が予め固定されている。ギャラリ30は、平行に並んだ複数の風向板30aを有しており、フードカバー20の左右側面20b,20cに対してスポット溶接や図示しないビスなどで接合されている。
【0018】
また、フードカバー20の上面20dには、内側から外側に凹ませて左右方向の溝21が形成されている。一方、ベースプレート10の上端には、フードカバー20側に折り曲げてフランジ12が設けられており、このフランジ12から上方に突出させて左右方向の突条13が形成されている。
【0019】
ベースプレート10にフードカバー20を取り付ける際には、フランジ12の突条13に上面20dの溝21を嵌め合わせて上部の位置決めを行った後、下部を合わせてビス11などの固定具で外壁1に固定する。本実施例では、フードカバー20に予め固定されたギャラリ30と一緒に、ベースプレート10の下部の左右2箇所をビス11で共締め固定するようになっている。
【0020】
こうしてフードカバー20を取り付けると、ベースプレート10の外壁1とは反対側の面がフードカバー20によって覆われると共に、ベースプレート10とフードカバー20との間に、後述する風路が形成され、排気口3aから排出される排気は風路を通って下端の吹出口へと導かれる。そして、吹出口から吹き出す排気は、ギャラリ30の風向板30aと風向板30aとの間を通過することによって、外壁1から離れる方向(前方)に向けられる。
【0021】
図2は、建物の外壁1に設置された屋外フード5の内部構造を示した縦断面図である。図では、ダクト3の中心軸を通る垂直な平面で屋外フード5を切断した断面を表している。図示した例では、ベースプレート10の貫通孔10aがダクト3の排気口3aよりも大きく形成されており、貫通孔10aと排気口3aとがアダプタ14で接続されている。アダプタ14は、ダクト3よりも小径の筒状で、一端に貫通孔10aの孔径よりも外径が大きいフランジ部が設けられている。そして、アダプタ14の他端側が貫通孔10aおよび排気口3aに挿通されており、ダクト3の内周とアダプタ14の筒状の外周との間にはシール材15が介在している。本実施例では、シール材15としてコーキング材を使用しているが、シール機能を有していれば、これに限られず、Oリングなどを適宜選択することができる。
【0022】
ベースプレート10にフードカバー20を取り付けた状態では、前述した風路6が屋外フード5の内部に形成されている。ダクト3の排気口3aから排出される排気は、貫通孔10aを通って屋外フード5内に流入し、風路6に導かれて下端の吹出口7から吹き出す。この吹出口7はギャラリ30で覆われており、ギャラリ30には、板状部材から切り起こしによって複数の風向板30aが平行に形成されている。風向板30aは、ベースプレート10側からフードカバー20の前面20a側に向かって下方に傾斜しており、風向板30aと風向板30aとの間を通過した排気は、外壁1から離れる方向(図中の左側)に向かって吹き出すことになる。これにより、排気で外壁1が汚れることを抑制している。
【0023】
また、ベースプレート10の下端には、フードカバー20の前面20a側に向かって下る傾斜が付けられた水切り板16が設けられている。この水切り板16が、屋外フード5から滴り落ちる雨水などの水滴を、外壁1から離して滴下させることにより、外壁1の汚れを抑制することができる。
【0024】
このような屋外フード5では、ダクト3や風路6を介して屋内から屋外に騒音が漏れることがある。例えば、ダクト3の上流側に接続された衣類乾燥機や暖房機などで騒音が生じると、排気と共にダクト3や風路6を伝わることにより、吹出口7から漏れ出てしまう。また、屋外の騒音が吹出口7から風路6やダクト3を介して屋内に響くこともある。そこで、こうした騒音を低減するために、ベースプレート10の風路6側の面にベース吸音材17が敷設されていると共に、フードカバー20の内面(前面20aおよび上面20dの内側)にカバー吸音材22が敷設されている。すなわち、ベース吸音材17とカバー吸音材22とに挟まれて風路6が構成されている。
【0025】
ベース吸音材17には、ベースプレート10の貫通孔10aを囲む通気孔17aが形成されている。ダクト3の排気口3aから排気と共に放出される騒音は、図中に破線の矢印で示されるように、貫通孔10aおよび通気孔17aを通って風路6内に入ると、まず、カバー吸音材22にぶつかって一部がカバー吸音材22内に吸収される。また、カバー吸音材22に反射した騒音は、次にベース吸音材17にぶつかって一部がベース吸音材17内に吸収される。さらに、ベース吸音材17に反射した騒音は、再びカバー吸音材22にぶつかって一部がカバー吸音材22内に吸収される。これを繰り返すことによって吹出口7から漏れる騒音が低減される。
【0026】
ベース吸音材17やカバー吸音材22としては、グラスウールやウレタンフォームなどの多孔質な材料が用いられる。多孔質な材料に音が入り込んで拡散すると、その空気振動が材料内の気泡部分の空気に伝わり、気泡の面での摩擦や粘性抵抗によって音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、吸音効果を生じる。そして、本実施例のベース吸音材17およびカバー吸音材22は、2種類の材料を重ね合わせて構成されており、風路6側に吸音効果が高い材料を配置することによって、風路6の騒音を効果的に吸収することができる。
【0027】
また、本実施例の屋外フード5の工場出荷時には、ベースプレート10に対してベース吸音材17が接着剤や両面テープなどを用いて脱離不能に固着されている。同様に、フードカバー20に対してカバー吸音材22が接着材や両面テープなどを用いて脱離不能に固着されている。
【0028】
図3は、本実施例のベース吸音材17およびカバー吸音材22の形状を示した斜視図である。
図3(a)には、カバー吸音材22をフードカバー20に固着させる前の状態が示されており、
図3(b)には、ベース吸音材17をベースプレート10に固着させる前の状態が示されている。
【0029】
図3(a)に示されるように、カバー吸音材22は、フードカバー20の前面20aに対応する前面部22aと、上面20dに対応する上面部22bとで構成されており、左右側面20b,20cに対応する側面部が設けられていない。これは、風路6における騒音の吸収や反射が、主にカバー吸音材22の前面部22aとベース吸音材17とで起こるためであり、カバー吸音材22の側面部を省略することによって、屋外フード5の大型化を避けながら、風路6の断面積を確保することが可能となる。尚、カバー吸音材22に、フードカバー20の左右側面20b,20cに対応する側面部を設けることとしてもよい。
【0030】
一方、
図3(b)に示されるように、ベース吸音材17は、ベースプレート10の貫通孔10aの位置に通気孔17aが設けられており、通気孔17aの孔径は貫通孔10aの孔径よりも僅かに大きくなっている。また、ベース吸音材17は、下部の縦寸法がベースプレート10よりも短くなっており、ベースプレート10の下部の左右両端に形成された一対の下部ビス穴10cにベース吸音材17が重ならないようになっている。
【0031】
そして、本実施例のベース吸音材17は、厚みがあるため、ベースプレート10に固着された状態で一部を曲げてめくり上げながら、ベースプレート10の上部をビス11で外壁1に固定することが困難である。そこで、ベースプレート10の上部の左右両端に形成された一対の上部ビス穴10bの各々と重なる箇所には、ベース吸音材17の敷設を省略するために、切欠き部17bが設けられている。このため、ベース吸音材17が固着された状態のままで容易にベースプレート10の上部をビス11で外壁1に固定することができる。尚、本実施例の上部ビス穴10bは、本発明の「被固定部」に相当している。また、本実施例の切欠き部17bは、本発明の「省略部」に相当している。
【0032】
ベース吸音材17の切欠き部17bは、ベースプレート10の貫通孔10a(ダクト3の排気口3a)に対して風路6の末端の吹出口7とは反対側に位置している。排気口3aから排気と共に放出される騒音は、風路6に沿って吹出口7へと向かい、吹出口7から漏れ出ることから、排気口3aに対して吹出口7の反対側は騒音の低減にあまり関与していない。このように騒音の低減への関与が低い位置に切欠き部17bを設けることとすれば、騒音を低減する性能が切欠き部17bによって低下することを抑制できる。さらに、本実施例の屋外フード5では、ベース吸音材17の切欠き部17bを、カバー吸音材22によって補うようになっている。
【0033】
図4は、ベース吸音材17の切欠き部17bとカバー吸音材22との位置関係を示した縦断面図である。図では、ベースプレート10の上部ビス穴10bの中心を通って外壁1に直交する垂直な平面で屋外フード5を切断した断面を表しており、切欠き部17bの周辺が拡大されている。前述したようにベース吸音材17の切欠き部17bは、ベースプレート10の上部ビス穴10bと重なる箇所に設けられている。また、カバー吸音材22は、フードカバー20の前面20aに対応する前面部22aと、上面20dに対応する上面部22bとを備えている。
【0034】
図示されるように、ベースプレート10にフードカバー20を取り付けた状態では、カバー吸音材22の上面部22bにおけるベースプレート10側の端面が、ベース吸音材17に近接しており、切欠き部17bを風路6から遮蔽している。このように、ベース吸音材17に切欠き部17bが設けられていても、カバー吸音材22の上面部22bで切欠き部17bを補うことにより、風路6の騒音を吸収する性能の低下を抑制することができる。
【0035】
以上に説明したように本実施例の屋外フード5では、ベースプレート10に対してベース吸音材17が接着剤や両面テープなどで脱離不能に固着されており、ベースプレート10の上部ビス穴10bと重なる箇所には、ベース吸音材17の敷設を省略するために切欠き部17bが設けられている。このようにベースプレート10の上部ビス穴10bがベース吸音材17に覆われずに露出していることにより、ベースプレート10にベース吸音材17が固着された状態のままで(ベースプレート10からベース吸音材17を取り外すことなく)、外壁1にベースプレート10の上部をビス11で固定することができるので、屋外フード5の設置作業を簡素化すると共に、ベース吸音材17の取り付け忘れを防ぐことが可能となる。加えて、本実施例の切欠き部17bを設けずに、ベースプレート10を固定したビス11にベース吸音材17を重ねる場合とは異なり、ビス11の頭部の厚みによってベース吸音材17がベースプレート10から浮いてしまうこともない。
【0036】
特に、本実施例のベース吸音材17は、2種類の材料を重ね合わせて構成されており、ベースプレート10との関係で表裏の区別があるものの、ベースプレート10からベース吸音材17を取り外すことができないので、屋外フード5を設置する作業者がベース吸音材17の表裏を間違えて取り付けてしまうことがなく、ベース吸音材17の適切な配置を担保することができる。結果として、ベース吸音材17の表裏の配置によって風路6の騒音を吸収する性能が変わる場合でも、性能を担保することが可能となる。
【0037】
また、本実施例の屋外フード5では、ベースプレート10にフードカバー20を取り付けた状態で、カバー吸音材22の上面部22bが切欠き部17bを風路6から遮蔽している。このようにすれば、ベース吸音材17に切欠き部17bが設けられていても、カバー吸音材22の上面部22bで切欠き部17bを補うことができるので、風路6の騒音を吸収する性能の低下を抑制することが可能となる。
【0038】
さらに、本実施例の切欠き部17bは、ダクト3の排気口3aに対して吹出口7とは反対側に位置している。排気口3aに対して吹出口7の反対側は、排気口3aから放出されて風路6に沿って吹出口7へと向かい外部に漏れ出る騒音の低減にあまり関与していない。このような位置に切欠き部17bを設けることにより、騒音を低減する性能が低下してしまうことの抑制が可能となる。
【0039】
以上、本実施例の屋外フード5について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0040】
例えば、前述した実施例では、ベース吸音材17の上部の左右両端に切欠き部17bを設けることで、ベースプレート10の上部ビス穴10bと重なる箇所におけるベース吸音材17の敷設を省略していた。しかし、切欠き部17bを設けるのに代えて、ベース吸音材17の上部の縦寸法をベースプレート10よりも短くすることで、ベースプレート10の上部ビス穴10bと重なる箇所におけるベース吸音材17の敷設を省略してもよい。この場合、ベースプレート10の上部でベース吸音材17の敷設が省略された部分の全体を、カバー吸音材22の上面部22bにおけるベースプレート10側の端面によって風路6から遮蔽してもよい。
【0041】
また、前述した実施例では、ベースプレート10に一対の上部ビス穴10bおよび一対の下部ビス穴10cが設けられていた。しかし、ベースプレート10のビス穴は、これに限られず、ベースプレート10の縦方向の中央付近における左右両端に一対の中央ビス穴を設けてもよい。そして、この中央ビス穴の各々と重なる箇所に、ベース吸音材17の敷設を省略するための中央切欠き部を設けると共に、カバー吸音材22に、フードカバー20の左右側面20b,20cに対応する側面部を設けることとして、ベースプレート10にフードカバー20を取り付けた状態で、カバー吸音材22の側面部によって中央切欠き部を風路6から遮蔽してもよい、
【0042】
また、前述した実施例では、ベース吸音材17が2種類の材料を重ね合わせて構成されていることで、ベース吸音材17に表裏の区別があった。しかし、ベース吸音材17の表裏の区別は、これに限られず、例えば、排気口3aから排出される排気の結露で濡れるのを防ぐために、ベース吸音材17の風路6側の片面に撥水加工が施されている場合にも、ベースプレート10との関係でベース吸音材17に表裏の区別がある。
【符号の説明】
【0043】
1…外壁、 2…ダクト穴、 3…ダクト、
3a…排気口、 5…屋外フード、 6…風路、
7…吹出口、 10…ベースプレート、 10a…貫通孔、
10b…上部ビス穴、 10c…下部ビス穴、 11…ビス、
12…フランジ、 13…突条、 14…アダプタ、
15…パッキン、 16…水切り板、 17…ベース吸音材、
17a…通気孔、 17b…切欠き部、 20…フードカバー、
20a…前面、 20b…左側面、 20c…右側面、
20d…上面、 21…溝、 22…カバー吸音材、
22a…前面部、 22b…上面部、 30…ギャラリ、
30a…風向板。