IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-引出扉自動組付方法 図1
  • 特開-引出扉自動組付方法 図2
  • 特開-引出扉自動組付方法 図3
  • 特開-引出扉自動組付方法 図4
  • 特開-引出扉自動組付方法 図5
  • 特開-引出扉自動組付方法 図6
  • 特開-引出扉自動組付方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123983
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】引出扉自動組付方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
F25D23/02 304B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027501
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】出町 一馬
(72)【発明者】
【氏名】興梠 優介
(72)【発明者】
【氏名】村石 徹
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA10
(57)【要約】
【課題】扉組付ロボットの移動時間の短縮することができる引出扉自動組付方法を提供する。
【解決手段】扉板1に扉枠4を固定した引出扉10を箱体に組み付ける引出扉自動組付方法であって、ネジ締め・移載ロボットによって扉枠4を扉板1にネジ締めした後に扉組付けロボットに受け渡す位置まで移動する場合、ネジ締め・移載ロボットによって扉組付けロボットが引出扉10を受け取り易い向きになるように向きを変えて扉組付けロボットに受け渡す。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉板に扉枠を固定した引出扉を箱体に組み付ける引出扉自動組付方法であって、
ネジ締め・移載ロボットによって前記扉枠を前記扉板にネジ締めした後に扉組付けロボットに前記引出扉を受け渡す位置まで移動する場合、前記ネジ締め・移載ロボットによって前記扉組付けロボットが前記引出扉を受け取り易い向きになるように向きを変えて前記引出扉を前記扉組付けロボットに受け渡す引出扉自動組付方法。
【請求項2】
請求項1に記載の引出扉自動組付方法であって、
前記ネジ締め・移載ロボットは、前記引出扉の前記扉板の正面が前記扉組付けロボットの側に向き、かつ、前記扉枠を水平向きにする引出扉自動組付方法。
【請求項3】
請求項1に記載の引出扉自動組付方法であって、
前記扉組付けロボットは、前記扉枠を掴む機構と、前記扉板を吸着する機構とを組み合わせて前記引出扉を前記箱体に組み付ける引出扉自動組付方法。
【請求項4】
請求項1に記載の引出扉自動組付方法であって、
前記引出扉を前記箱体に組み付ける場合、前記箱体に設けられたレールに対する前記扉枠の傾斜角度は、最初急で後から緩やかにする引出扉自動組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出扉自動組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、引出し扉(扉板)にフレーム(扉枠)を固定する際に、ネジ締めロボットを用いて行うネジ締めの自動化技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3991515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フレームを引出し扉にネジ締めした後の冷蔵庫本体(箱体)に扉を組み付ける作業を自動化する点については検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、扉板に扉枠を固定した引出扉を箱体に組み付ける引出扉自動組付方法であって、ネジ締め・移載ロボットによって前記扉枠を前記扉板にネジ締めした後に扉組付けロボットに前記引出扉を受け渡す位置まで移動する場合、前記ネジ締め・移載ロボットによって前記扉組付けロボットが前記引出扉を受け取り易い向きになるように向きを変えて前記引出扉を前記扉組付けロボットに受け渡す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の引出扉の組付工程図である。
図2】本実施形態の引出扉自動組付方法に用いられる装置の構成図である。
図3】引出扉をネジ締め・移載ロボットから扉組付けロボットに受け渡す際の向きを示す図である。
図4】2Dセンサでの検出範囲を示す引出扉のである。
図5】3D画像センサでの検出位置を示す箱体の正面図である。
図6】引出扉を箱体に組み付ける際の移動経路を示す側面図である。
図7】扉組付けロボットの組付け角度と挿入位置を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。
【0008】
図1は、本実施形態の引出扉の組付工程図である。
図1に示すように、本実施形態の引出扉自動組付方法は、扉板1に扉枠4をネジ締めして、引出扉10(扉板1に扉枠4をネジ締めして構成されたもの)を冷蔵庫本体20(箱体)の所定の位置(貯蔵室)に組み付ける工程を自動化したものである。なお、図1において破線で囲んだ工程を自動化したものである。この自動化工程の前に、工程S1,S2が実行される。
【0009】
工程S1で示すように、扉発泡品として扉板1を製造する。この扉板1は、四角板状のものであり、前面に配置される前板と、後面に配置される後板と、前板と後板との間の外周に配置されるフレームと、を有して構成され、内部にウレタンが充填・発泡されて構成される。
【0010】
また、工程S2に示すように、扉板1の裏面に四角枠形状のパッキン2を取り付け、さらにポリエチレンシート3を取り付ける。パッキン2は、扉板1と、冷蔵庫本体20の各貯蔵室の開口の周縁部との隙間を密閉して閉じるためのものである。
【0011】
そして、工程S3に示すように、扉板1の裏面に、扉枠4を位置決めして、後記するネジ締め・移載ロボット50(図2参照)を用いて複数のネジ5によって扉枠4を扉板1にネジ締めする。なお、扉枠4は、金属製であり、扉板1の裏面から延びる左右のガイド部4a,4aと、このガイド部4a,4aの後端(図示上端)においてガイド部4a,4a同士をつなぐ連結部4bと、扉板1にねじ固定(ネジ締め)するための固定部4c,4cと、を有している。各固定部4cには、ネジ締めする際のネジ5が挿通されるねじ挿通孔4dが形成されている。ねじ挿通孔4dにネジ5が挿通された後に扉板1に螺合されることで、扉枠4が扉板1にネジ固定される。
【0012】
そして、工程S4に示すように、扉枠4を扉板1にねじ固定して得られた引出扉10の扉枠4(ガイド部4a,4a)に、潤滑剤として流動パラフィン6を塗布する。そして、後記する扉組付ロボット81を用いて、冷蔵庫本体20の引出扉10が対応する位置(貯蔵室)に引出扉10が組み付けられる。
なお、以下の説明では、冷蔵庫本体20の製氷室20aに対応した引出扉10Aと、上段冷凍室20bに対応した引出扉10B(まとめて、引出扉10という場合もある)を例に挙げて説明するが、下段冷凍室20c、野菜室20dについても同様の引出扉組付方法を適用して組み付けることができる。
【0013】
図2は、本実施形態の引出扉自動組付方法に用いられる装置の構成図である。
図2に示すように、引出扉自動組付装置100は、扉投入・枠締め工程を実行する扉投入・枠締め装置70(右側において囲む破線参照)と、扉組付工程を実行する扉組付装置80(左側において囲む破線参照)とが組み合わせて構成されている。また、引出扉自動組付装置100は、製氷室20a用の引出扉10Aのラインと、上段冷凍室20b用の引出扉10Bのラインと、を備えている。
【0014】
扉投入・枠締め装置70は、扉・枠投入部71、枠ネジ締め治具72、2D(次元)画像センサ73、ネジ締め・移載ロボット50、ツールチェンジャ74、扉受渡し治具75を備えて構成されている。
【0015】
扉・枠投入部71は、扉板1と扉枠4とを人の手で枠ネジ締め治具72に投入するものである。
【0016】
枠ネジ締め治具72は、ネジ締めが可能となるように、扉板1と扉枠4とを位置決めする治具である。位置決めする際、扉板1は、該扉板1の裏面が上向きとなるように位置決めし、扉板1の上に、扉板1のねじ穴1s(図1参照)と扉枠4の固定部4cに形成されたねじ挿通孔4dとが互いに重なるように位置決めする。また、枠ネジ締め治具72は、扉板1の長辺と短辺の二辺に突き当てて固定する突当て部(不図示)と、残りの長辺と短辺の2辺を押圧する押圧部(不図示)と、有している。また、扉枠4は、マグネットを用いてガイド部4aを吸着して位置決めする。
【0017】
また、枠ネジ締め治具72は、2本のレール76に移動可能に支持されている。扉板1と扉枠4とが投入され、位置決めされた後に、ネジ締め・移載ロボット50の位置まで移動する。
【0018】
2D画像センサ73は、扉板1に形成されたねじ穴1s(図1参照)の位置を検出するものであり、ねじ穴1sの位置を検出後に扉枠4のねじ挿通孔4dの位置を調整する。
【0019】
ネジ締め・移載ロボット50は、扉板1に扉枠4をネジ締めした後に、扉受渡し治具75まで引出扉10(10A,10B)を移動して載置するものである。
【0020】
ツールチェンジャ74は、ネジ締め・移載ロボット50に最初に取り付けられたネジ締め用ハンドを吸着用ハンドに交換し、またネジ締め後に吸着用ハンドからネジ締め用ハンドに交換するものである。
【0021】
扉受渡し治具75は、ネジ締めが終了した引出扉10を載置する置台である。この置台に引出扉10が置かれると、扉組付ロボット81が、扉受渡し治具75に置かれた引出扉10を受け取り、扉組付動作に移行するようになっている。
【0022】
図2に示すように、扉組付装置80は、扉組付ロボット81、流動パラフィン塗布部82、2D画像センサ83、3D画像センサ84を備えて構成されている。また、扉組付装置80には、引出扉10を組み付ける冷蔵庫本体20を流すコンベア85が設けられている。
【0023】
扉組付ロボット81は、扉枠4を掴む掴みハンド81aと、扉板1を吸着する吸着ハンド81bと、を備えて構成されている。また、掴みハンド81aは、2本のアームで扉枠4の左右の根本を掴む。吸着ハンド81bは、複数の吸盤を備え、扉板1の表面を吸着する。また、扉組付ロボット81は、扉受渡し治具75に置かれた引出扉10を掴みハンド81a掴み、かつ、吸着ハンド81bで吸着して引出扉10を移動させる。
【0024】
流動パラフィン塗布部82は、扉組付ロボット81によって引出扉10を移動させながら、扉枠4に流動パラフィン(潤滑剤)6(図1参照)を塗布する。
【0025】
2D画像センサ83は、引出扉10の扉枠4の位置を検出するものであり、詳細については図3を参照して説明する。
【0026】
3D画像センサ84は、引出扉10の冷蔵庫本体20への組付位置を検出するものであり、詳細については図4を参照して説明する。
【0027】
図3は、引出扉をネジ締め・移載ロボットから扉組付けロボットに受け渡す際の向きを示す図である。
図3に示すように、扉・枠投入部71(図2参照)から扉板1と扉枠4とが投入された場合、左図に示すように、枠ネジ締め治具72には、扉板1の表面1aが下向きで、裏面1bが上向きに配置される。また、枠ネジ締め治具72には、扉枠4の左右のガイド部4aが上下方向に延び、連結部4bが水平方向に延びて配置される。この状態で、ネジ締め・移載ロボット50によってネジ締めが行われる。
【0028】
そして、ネジ締め・移載ロボット50は、ネジ締め後、吸着ハンドに切り替えて、扉板1の裏面1bを吸着し(矢印P1参照)、扉受渡し治具75まで移動させる。このとき、図3の右図に示すように、扉板1の正面が扉組付装置80側を向くように置かれる。このように、本実施形態では、ネジ締め後に引出扉10の向きを変えて、扉組付ロボット81が掴み易い向きに変更する。
【0029】
そして、扉組付装置80の扉組付ロボット81(図2参照)は、矢印P2で示すように、扉枠4の根本を掴みハンド81aで掴み、矢印P3で示すように、扉板1の表面を吸着ハンド81bで吸着する。このように、掴みハンド81aだけではなく、吸着ハンド81bを用いる理由は、掴みハンド81aだけでは引出扉10が傾くので、固定させるためである。
【0030】
図4は、2D画像センサでの検出範囲を示す引出扉のである。
図4に示すように、扉組付ロボット81によって保持された引出扉10は、扉枠4のガイド部4aの側面が上下を向くように(ローラ4eの回転中心が上下を向くように)配置される。また、2D画像センサ83は、引出扉10の上方に位置し、検出方向が下向きになるように配置されている。また、2D画像センサ83は、扉枠4のガイド部4aの先端に設けられたローラ4eの回転中心位置を検出する。
【0031】
図5は、3D画像センサでの検出位置を示す箱体の正面図である。なお、図5は、冷蔵庫本体20を正面から見た状態であり、最上段に設けられる回転扉の図示を省略している。
図5に示すように、コンベア85(図2参照)から、冷蔵庫本体20の正面が扉組付ロボット81側を向いて流れてくる。なお、冷蔵庫本体20は、コンベア85上を角度がバラバラで流れてくる。この角度とは、回転方向と傾き方向である。回転方向とは、冷蔵庫本体20を上から見たときの鉛直方向に延びる軸を中心として回転する方向である。傾き方向とは、冷蔵庫本体20を正面から見たときに右肩下がり、左肩下がりとなる方向である。また、傾き方向は、冷蔵庫本体20が前後方向(下向き、上向き)に傾く方向である。このように、コンベア85上を流れる冷蔵庫本体20の向きにばらつきがあるので、3D画像センサ84によって冷蔵庫本体20の製氷室20a(または上段冷凍室20b)の組付け位置を検出している。
【0032】
3D画像センサ84は、扉組付ロボット81の真上に配置され、製氷室20aおよび上段冷凍室20bよりも上方に位置し、斜め上方から製氷室20aおよび上段冷凍室20bの扉組付位置を検出する。また、冷蔵庫本体20は、製氷室20aと上段冷凍室20bとを仕切る仕切板21が設けられている。また、冷蔵庫本体20は、製氷室20a及び上段冷凍室20bと、下段冷凍室20cとを仕切る仕切板22が設けられている。
【0033】
3D画像センサ84は、仕切板21の上下に延びるエッジ21aと、仕切板22の仕切板21より左側に延びるエッジ22aと、を検出する。また、3D画像センサ84は、仕切板21の上下に延びるエッジ21bと、仕切板22の仕切板21より右側に延びるエッジ22bと、を検出する。
【0034】
図6は、引出扉を箱体に組み付ける際の移動経路を示す側面図である。図7は、扉組付けロボットの組付け角度と挿入位置を示すグラフである。なお、図6は、引出扉10と、製氷室20aや上段冷凍室20bに設けられる箱体レール23とを側方から見た状態を示している。また、図6および図7において、前後方向をY軸、上下方向をZ軸とする。
図6に示すように、冷蔵庫本体20の製氷室20a(または上段冷凍室20b)の左右側面には、箱体レール23が設けられている。この箱体レール23は、扉枠4のガイド部4aの先端に設けられたローラ4eを案内する案内溝23aが形成されている。
【0035】
ところで、箱体レール23には、引出扉10が落下しないようにするためのストッパ(不図示)が箱体レール23の手前に設けられている。また、引出扉10のガイド部4aにも、箱体レール23からの脱落を防止するためのストッパ(不図示)が設けられている。このため、扉枠4を水平にした状態で冷蔵庫本体20に組み付けると、ストッパ同士が干渉して引出扉10を冷蔵庫本体20に組み付けることができない。また、引出扉10を挿入時と同じ傾きで挿入を続けると今度はガイド部4aと箱体レール23とが干渉する。そこで、引出扉10を傾けた状態で挿入し、その後、引出扉10を水平に戻しながら挿入することで、引出扉10を箱体レール23に取り付けることができるようになっている。よって、引出扉10の傾き角度を大きくした状態で挿入し、その後、引出扉10を寝かせる方向に傾き角度を小さくしながら挿入することで、これまで人の手で引出扉10を組み付ける場合のような動きをまねることで、引出扉10を冷蔵庫本体20に組み付けることを可能にしたものである。このように、これまで手動で引出扉10の冷蔵庫本体20への組付けを行っていたものを、自動化することが可能になる。
【0036】
そこで、本実施形態では、図6の上段図に示すように、箱体レール23に対して傾斜角度が例えば、12°になるように引出扉10を傾ける。そして、扉枠4を傾けた状態で、ローラ4eを箱体レール23の案内溝23aに挿入する。このように、扉枠4を傾けて案内溝23aに挿入することで、扉枠4と箱体レール23のストッパ同士が干渉することなく、ローラ4eを案内溝23aに挿入することができる。なお、このときのローラ4eの位置を、Y=0とする。
【0037】
そして、図6の中段図に示すように、引出扉10が、Y=34mmとなる位置まで挿入し、かつ、例えば、傾斜角度が9°になるように傾ける。つまり、引出扉10を34mm挿入する間に、引出扉10の傾斜角度を、一例として12°から9°となるように傾きを小さくする。
【0038】
そして、図6の下段図に示すように、引出扉10が、Y=68mmとなる位置まで挿入し、かつ、例えば、傾斜角度が6°となるように傾ける。つまり、引出扉10を34mm挿入する間に、引出扉10の傾斜角度を、一例として9°から6°となるように傾きを小さくする。
【0039】
一例として、図7に示すように、P.1姿勢では、引出扉10の扉枠4の傾斜角度を例えば、13°とし、扉枠4の一番低い位置が箱体レール23の一番高い位置よりも十分に高い位置とする。そして、扉枠4の傾斜角度を例えば、13°に維持した状態で引出扉10を冷蔵庫本体20に向けてP.2姿勢まで近づけるとともに、P.1姿勢での高さよりも低い位置に降下させる。P.2姿勢は、引出扉10を冷蔵庫本体20に組み付ける直前の位置であり、箱体レール23の高さ(Z=0)よりも高い位置にある。そして、引出扉10を箱体レール23の高さ位置(Z=0)まで降下させてP.3姿勢とする。P.3姿勢では、扉枠4のローラ4eが案内溝23aの前端(Y=0)に位置し、扉枠4の傾斜角度を例えば、12°(傾斜角度が最初急)とする。そして、引出扉10を製氷室20a(または上段冷凍室20b)に挿入することで、ローラ4eが案内溝23aに案内されながら、P.4姿勢とする。また、P.3姿勢からP.4姿勢までは、扉枠4の傾斜角度を12°から6°になるように、傾斜角度を徐々に小さく(傾斜角度を後から緩やかに)しつつ引出扉10を挿入する。そして、引出扉10を製氷室20a(または上段冷凍室20b)にさらに挿入することで、ローラ4eが案内溝23aに案内されながら、P.5姿勢とする。P.4姿勢からP.5姿勢までは、扉枠4の傾斜角度を一例として、6°から4°になるように、傾斜角度を徐々に小さくしつつ引出扉10をさらに挿入する。P.5姿勢では、掴みハンド81aによる扉枠4の掴み動作を解除するとともに吸着ハンド81bによる扉板1の吸着動作を解除する。これにより、扉枠4の傾斜角度が0°になる。そして、扉板1を製氷室20a(または上段冷凍室20b)に押し込むための棒状ハンド(不図示)を用いて、扉板1の表面1aを棒状ハンドで押し込む。これにより、扉板1のパッキン2が冷蔵庫本体20に磁力によって吸着される位置まで挿入される。これにより、引出扉10の製氷室20a(または上段冷凍室20b)への組付けが完了する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の引出扉自動組付方法は、扉板1に扉枠4を固定した引出扉10を箱体に組み付ける引出扉自動組付方法であって、ネジ締め・移載ロボット50によって扉枠4を扉板1にねじ固定した後に扉組付ロボット81に受け渡す位置まで移動する場合、ネジ締め・移載ロボット50によって扉組付ロボット81が引出扉10を受け取り易い向きになるように向きを変えて扉組付ロボット81に受け渡す。これによれば、扉組付ロボット81の移動時間を短縮することができ、引出扉10の組付け時間の短縮化を図ることができる。また、引出扉10を自動で組み付けるようにすることで、これまで人の手で行っていたときに必要であった作業人員を削減することができる。
【0041】
また、本実施形態において、ネジ締め・移載ロボット50は、引出扉10の扉板1の表面1aが扉組付ロボット81の側に向き、かつ、扉枠4を水平向きにする。これによれば、扉板1の表面1aを吸着し易く、扉枠4を掴み易くなり、扉組付ロボット81の移動時間を短縮できる。
【0042】
また、本実施形態において、扉組付ロボット81は、扉枠4を掴む掴みハンド81aと、扉板1を吸着する吸着ハンド81bとを組み合わせて引出扉10を冷蔵庫本体20に組み付ける。これによれば、引出扉10を安定して保持することができ、扉枠4の傾斜角度や位置、ローラ4eの位置を精度よく設定できる。
【0043】
また、本実施形態において、引出扉10を冷蔵庫本体20に組み付ける場合、冷蔵庫本体20に設けられた箱体レール23に対する扉枠4を組み付ける際の傾斜角度は、例えば、最初急(12°)で後から緩やか(6°)にする。これは、冷蔵庫本体20の扉投入口には、落下防止用のストッパが設置されており、ストッパに干渉しないように挿入するには、引出扉10を斜めにして挿入する必要がある。ただし、斜めのまま奥まで挿入すると今度は扉枠4と冷蔵庫本体20の箱体レール23とが干渉するため、途中から挿入角度を緩やかにする必要がある。これによれば、引出扉10がストッパに干渉することなく、かつ、扉枠4と箱体レール23との干渉も防止できる。
【符号の説明】
【0044】
1 扉板
1a 表面
1b 裏面
2 パッキン
3 ポリエチレンシート
4 扉枠
4a ガイド部
4b 連結部
4c 固定部
4d ねじ挿通孔
4e ローラ
5 ネジ
6 流動パラフィン
10,10A,10B 引出扉
20 冷蔵庫本体
20a 製氷室
20b 上段冷凍室
20c 下段冷凍室
20d 野菜室
21,22 仕切板
21a,21b,22a,22b エッジ
23 箱体レール
23a 案内溝
50 ネジ締め・移載ロボット
70 扉投入・枠締め装置
71 扉・枠投入部
72 枠ネジ締め治具
73 2D画像センサ
74 ツールチェンジャ
75 扉受渡し治具
80 扉組付装置
81 扉組付ロボット
82 流動パラフィン塗布部
83 2D画像センサ
84 3D画像センサ
85 コンベア
100 引出扉自動組付装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7