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▶ 株式会社苫米地技研工業の特許一覧

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  • 特開-長いも植え付け溝再生装置 図1
  • 特開-長いも植え付け溝再生装置 図2
  • 特開-長いも植え付け溝再生装置 図3
  • 特開-長いも植え付け溝再生装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012399
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】長いも植え付け溝再生装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 5/06 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
A01C5/06 H
A01C5/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021135213
(22)【出願日】2021-07-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】596016937
【氏名又は名称】株式会社苫米地技研工業
(72)【発明者】
【氏名】苫米地 力
(57)【要約】
【課題】土壌消毒を必要とする圃場は、一旦、深耕畝のみを形成して燻煙消毒によって病害虫を消滅させた後に、改めて畝中心部に種芋を植え付ける工程になる。しかし、10日以上のビニール被覆による土壌消毒の後では深耕畝の中心部の見分けがつかなくなり、種芋の植え付けに当たっては既設の深耕畝の中心部をいちいち探して植え付け溝を作成していたので手間取っていた問題があった。
【解決手段】前記課題を解決するために、トラクタの後部に連結した機枠に、既設の長いも用深耕畝の内壁に倣って進行するガイド体を有した縦切り刃を配置し、このガイド体の後部に掘削土を集める集土カバーを配置するとともに集土カバーの後方には後面視略V字状の植え付け溝成形器を配置したことを特徴とする長いもの植え付け溝再生装置を提供したものであり、また、前記した植え付け溝再生装置の植え付け溝成形機は、機枠の基軸に対して側面視において独立的に上下方向に搖動可能に構成するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタの後部に連結した機枠に、既設の長いも用深耕畝の内壁に倣って進行するガイド体を有した縦切り刃を配置し、このガイド体の後部に掘削土を集める集土カバーを配置するとともに集土カバーの後方には後面視略V字状の植え付け溝成形器を配置したことを特徴とする長いもの植え付け溝再生装置
【請求項2】
植え付け溝成形器は機枠の基軸に対して側面視において独立的に上下方向に搖動可能に構成した請求項1記載の長いもの植え付け溝再生装置
【請求項3】
ガイド体は既設の深耕畝の左右内壁面に当接する平面部を有してなる請求項2記載の長いもの植え付け溝再生装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長芋を植え付ける溝の再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
根菜類の種芋植え付け溝形成に関する技術として同一出願人は特開2019-000087号「根菜類の種芋植え付け溝成形器」を出願している。この技術では細幅の深耕畝を形成すると同時に深耕畝の中心部に植え付け溝を成形して、作られた植え付け溝に種いもを連続的に植え付け可能に構成した装置である。一般に長いもの栽培は15cm程度の細幅で深さ略1m20cmの深耕畝を構成してその植え付け溝に種芋を植え付けて、深耕畝の掘削内壁に倣って種芋が下方に垂下して成長する特性を利用したものである。一方、近年、長いもを同じ圃場で長年にわたり継続栽培した時に土壌が細菌や病害虫に汚染される問題が発生している。この病害虫の汚染除去は掘削した土壌を密閉消毒することが有効となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-000087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した長いもの土壌消毒処理は、その汚染された土壌をビニール被覆材などで被覆して消毒剤を投入して、1週間から2週間程度燻煙するものである。土壌消毒技術は例えば特開平9-33987号が知られる。また前述した特許文献1の「根菜類の種芋植え付け溝成形器」は細幅の深耕畝を形成すると同時に深耕畝の中心部に一連に植え付け溝を成形することが特徴である。従って土壌消毒を実施するには、一旦、深耕畝のみを形成して掘削土表面にビニールフイルム等で被覆し2週間程度の燻煙消毒をして病害虫を消滅させる。その後に、ビニールフイルムを剥離して、改めて深耕畝中心を探して植え付け溝を成形して種芋を植え付ける工程になる。しかし、10日以上のビニール被覆による土壌消毒の後では深耕畝中心部の見分けがつかなくなり、種芋の植え付けに当たっては既設の深耕畝の中心をいちいち探して確認して植え付け溝を作成していたので手間取っていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した問題点を解決するために、トラクタの後部に連結した機枠に、既設の長いも用深耕畝の内壁に倣って進行するガイド体を有した縦切り刃を配置し、このガイド体の後部に掘削土を集める集土カバーを配置するとともに集土カバーの後方には後面視略V字状の植え付け溝成形器を配置したことを特徴とする長いもの植え付け溝再生装置を提供したものである。
また、前記した植え付け溝再生装置の植え付け溝成形機は、機枠の基軸に対して側面視において独立的に上下方向に搖動可能に構成するものである。
また、植え付け溝再生装置のガイド体は、既設の深耕畝の左右内壁面に当接する平面部を有してなるものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のような構成にしたので、病害虫に汚染された圃場に於いての長いもの種芋植え付け作業は、一旦、深耕畝のみを形成して、掘削表面にビニール等で被覆し消毒剤を注入し2週間程度放置して病害虫を消滅させる。この土壌消毒の後に、ビニールを剥離して、改めて植え付け溝を成形する際に、本発明の深耕畝の内壁に倣って進行するガイド体を有した縦切り刃を既設の深耕畝に挿入することで畝の中心部上に植え付け溝が形成される。従って土壌消毒の後、既設の深耕畝の中心部に植え付け溝が確実に再生され種芋の植え付けミスがなくなる。
また溝成形器は機枠に対して側面視において独立的に上下方向に搖動可能に形成したので、トラクタが圃場の凹凸による姿勢変化があっても溝成形器は常に水平状態を保つ効果がある。また植え付け溝再生装置のガイド体は、既設の深耕畝の左右内壁面に当接する平面部を有しているので、深耕畝の内壁の接触反力を確実に受けて溝中心を保持して案内進行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明を実施した外観側面図
図2】本発明の後方斜視図
図3】植え付け溝再生作用の説明図
図4】本発明のその他の実施例図
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
本発明はトラクタの後部に連結した機枠に、既設の長いも用深耕畝の内壁に倣って進行するガイド体を有した縦切り刃を配置し、このガイド体の後部に掘削土を集める集土カバーを配置するとともに集土カバーの後方には後面視略V字状の植え付け溝成形器を配置したことを特徴とする長いもの植え付け溝再生装置であり、また、前記した植え付け溝再生装置の植え付け溝成形機は、機枠の基軸に対して側面視において独立的に上下方向に搖動可能に構成したものであり、かつ、植え付け溝再生装置のガイド体は、既設の深耕畝の左右内壁面に当接する平面部を有してなる形態である。
【0009】
本発明を実施した図面に基づいて構成を説明する。図1は本発明を実施した外観側面図であり、1はトラクタ後部を示し、2は機枠を示しガイド体14を下端に有した縦切り刃6を支承する。機枠2はトラクタ後部に装着する三点リンクとトップリンク5、ロアリンク4によって装着され、油圧アーム3によって縦切り刃6を上下に昇降させる。16は縦切り刃6の下端前方に設けた刃先を示し、左右のガイド体14を支持材14によって支持する。12は集土カバーで上部に連結材7を設けて機枠2の基軸18に回動自在に連結したもので、前記の縦切り刃6の刃先16の進行によって後方に向けて掘削された砕土を集めて盛り土する。9は集土板8の後部に設けたブラケットで、ボス扞11を支承する。ボス扞11の下部にはボックスフレーム12を装備してゲージ輪15を支承する。ゲージ輪15は深耕畦25幅より狭く形成されて、深耕畦の内部を圧縮して締めると同時に機体を一定の高さに保持する。ボックスフレーム12の後端には支持扞27を介して後面視V字状の溝成形器13を取り付ける。ボス扞11の上部には適宜にウエート10を載置して溝成形器13の溝深さを調節する。
図2は本発明の後方斜視図である。2は機枠でトラクタに連結するための左右にロアピン19を設けて頂部にトップブラケット20を設けてなる。機枠2の後方には縦切り刃6を垂設して下端の左右には平面部を有したガイド体14を支持材17によって一対設ける。前記の平面部は既設の深耕畝25の内壁に当接しながら倣って反力を受けて縦切り刃6は前進する。連結材7の前方は機枠2の基軸18に回動自在に固着されて、後端が集土カバー8を搖動自在に支承する。ボス扞11の上部にはウエート台21を設けて適宜のウエートを装着する。ボス扞11の後部にはゲージ輪15を装備したボックスフレーム12が連結される。ボックスフレーム12の後端には支持扞27を介して溝成形器13を装備する。溝成形器13は板材を折り曲げて左右の裾を切除したもので、平面視でV字状に、更に後面視においてもV字状に形成されて、既設の深耕畝の中心部を進行しながら掘削土の上面に断面V字状の植え付け溝を再生する。
図3は植え付け溝再生作用の説明図である。(イ)は病害虫に汚染された畝にビニール被覆材を掛けた状態の深耕畝を示し、24は消毒剤投入管で消毒剤を投入後、密閉のまま10日から2週間程度放置する。(ロ)は左右一対のガイド体を設けた縦切り刃6の作業中の断面図を示し、刃先16が深耕畝に進入後は左右のガイド体16が内壁26の反力を受けながらA,A-1の畝の中心線上を進行する。(ハ)は16の植え付け溝成形器の後面図を示して、略V字状の植え付け溝を形成する状態を示している。溝成形器13は板材をV字状折り曲げて形成し、左右の下端部を切除したものであり、平面視はV字状で且つ後面視もV字状である。
図4は本発明のその他の実施例を示したものである。前記した図2の集土カバー8の後端のブラケット9に直接に13の溝成形器の支持扞27を取り付けた構成で本発明の主旨を越脱するものではない。機体が軽量になり小馬力のトラクタや、土質状況が良質な場合に適する。
【産業上の利用可能性】
【0010】
長いも栽培の長年にわたる圃場利用に於いても、深耕畝を掘削造成した後に、土壌を消毒し、改めてその深耕畝の中心部を探す工程を経ること無く簡便に種芋の植え付け溝を形成することが出来て種芋の植え付けが容易になり大規模栽培に適する。
【符号の説明】
【0011】
1はトラクタ後部
2は機枠
3は油圧アーム
4はロアリンク
5はトップリンク
6は縦切り刃
7は連結材
8は集土カバー
9はブラケット
10はウエート
11はボス扞
12はボックスフレーム
13は溝成形器
14はガイド体
15はゲージ輪
16は刃先
17は支持材
18は基軸
19はロアピン
20はトップブラケット
21はウエート台
22はビニール
23は掘削土
24は消毒剤投入管
25は深耕畝
26は内壁
27は支持扞
図1
図2
図3
図4