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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124003
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230830BHJP
   B60L 53/36 20190101ALI20230830BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60L53/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027527
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】梅田 洵平
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA11
5H125AC12
5H125AC24
5H125DD02
5H125FF14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動体の地上高を確保しながらも、設置場所を選ばずに移動体を案内する給電装置を提供する。
【解決手段】走行部71によって自走する移動体Aが有する移動体側端子部材85に接触して移動体Aに給電する給電側端子部材42を有した給電装置Bであって、給電装置Bは、移動体Aが乗り上げることができる載置部11を備える。載置部11は、移動体Aを旋回不可能にさせるガイド板15と、を備える。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部によって自走する移動体が有する移動体側端子部材に接触して前記移動体に給電する給電側端子部材を有した給電装置であって、
前記給電装置は前記移動体が乗り上がることができる載置部と、
前記載置部には、前記移動体が旋回不可能にさせるガイド板と、
を備えたことを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記ガイド板は載置部に載置状態の前記移動体の走行部を挟んで対向させて一対設けるとともに、前記一対のガイド板間は前記走行部の全幅距離より僅かに大きく設けた対向距離を有し、
前記ガイド板の前記移動体の進行方向と平行向きの距離は、前記走行部の軸距より長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記載置部は、前記走行部が接触する以外の個所は、前記移動体に対して下方に開放された開放部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記載置部は前記移動体が給電側端子部材に向かって進入する進入路を有し、
前記進入路は一端側を前記載置部に位置させるとともに、前記一端側は前記移動体の進入方向と交差する水平軸によって他端側が上下方向に旋回が可能であるスロープと、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の給電装置。
【請求項5】
前記載置部は設置面に接触可能に設けるとともに設置高さを調整可能なアジャスタと、
を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の給電装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は給電装置に係る。詳細には、移動体に給電あるいは充電する給電装置に係る。
【背景技術】
【0002】
充放電可能なバッテリを備えた移動体において、外部の給電装置に接触してバッテリに給電あるいは充電する発明としては、例えば特許文献1記載の装置が開示されている。特許文献1によれば、記載発明は、座板部と、給電側端子部と、自走体の走行方向を修正するガイド手段と、ガイド手段が走行方向を修正する動作を開始するのに先立って自走体を転向させる転向手段とを有する自走体バッテリの充電装置である。
この構造によって、自走体が充電装置に正常に進入できない方向を向いても走行方向を適正な向きにできる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-271631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のガイド手段は、移動体である自走体のフレーム部の下面部に設けることとなるため、地上高を確保することができない問題点を有する。また、自走体の駆動力が大きくなるにつれて、ガイド手段もこれに対応するべく強度や寸法を大きくすることとなり、自走体の地上高の確保がさらに困難になる。
さらに、ガイド手段と係合可能な第1部材を有する座板部は床面に設置することが前提であり、不整地面に設置することは考慮されていない。したがって、不整地面に設置した特許文献1の給電装置は、安定性を欠いてしまい、同じく不整地面上に位置した自走体と適正な接触をすることができず、給電不良を起こす場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、
走行部によって自走する移動体が有する移動体側端子部材に接触して前記移動体に給電する給電側端子部材を有した給電装置であって、
前記給電装置は前記移動体が乗り上がることができる載置部と、
前記載置部には、前記移動体が旋回不可能にさせるガイド板と、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0006】
この発明は、更に、
前記ガイド板は、載置部に載置状態の前記移動体の走行部を挟んで対向させて一対設けるとともに、前記一対のガイド板間は前記走行部の全幅距離より僅かに大きく設けた対向距離を有し、
前記ガイド板の前記移動体の進行方向と平行向きの距離は、前記走行部の軸距より長い、
ことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0007】
この発明は、更に、
前記載置部は、前記走行部が接触する以外の個所は、前記移動体に対して下方に開放された開放部と、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0008】
この発明は、更に、
前記載置部は前記移動体が給電側端子部材に向かって進入する進入路を有し、
前記進入路は一端側を前記載置部に位置させるとともに、前記一端側は前記移動体の進入方向と交差する水平軸によって他端側が上下方向に旋回が可能であるスロープと、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
前記載置部は設置面に接触可能に設けるとともに設置高さを調整可能なアジャスタと、
を備えたことを特徴とする給電装置、
に係る。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上記課題に着眼してなされたものであり、移動体の地上高を確保しながらも、設置場所を選ばずに移動体を案内することができる給電装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施例に係る給電装置単体の平面図である。
図2】この発明の実施例に係る給電装置単体の側面図である。第2アームは、格納姿勢の状態を示す。
図3】この発明の実施例に係る給電装置単体の正面図である。
図4】この発明の実施例に係る給電装置における給電部の拡大平面図である。第2アームが格納姿勢を示す。カバーの一部を切り欠いてあらわしている。
図5】この発明の実施例に係る給電装置における給電部の拡大正面図である。保護カバーは、一部を切り欠いてあらわしている。第2アームが格納姿勢の状態をあらわす。
図6】この発明の実施例に係る給電装置における給電部の拡大断面側面図である。第2アームが格納姿勢の状態をあらわす。
図7】この発明の実施例に係る移動体単体の正面図である。移動体側端子部は、電極カバーによって閉鎖状態である。
図8】この発明の実施例に係る移動体単体の側面図である。移動体側端子部は、電極カバーによって閉鎖状態である。
図9】この発明の実施例に係る移動体単体の底面図である。移動体側端子部は、電極カバーによって閉鎖状態である。
図10】この発明の実施例に係る移動体側端子部周辺の拡大側面図であって、移動体側端子部は、電極カバーによって閉鎖状態である。
図11】この発明の実施例に係る移動体側端子部周辺の拡大側面図であって、移動体側端子部は、電極カバーから露出状態である。
図12】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が給電装置に進入する前の状態の側面をあらわす。移動体の電極カバーは閉鎖状態である。第2アームは格納姿勢あるいは格納状態である。
図13】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が給電装置に進入する前の状態の平面をあらわす。移動体の電極カバーは閉鎖状態である。第2アームは格納姿勢あるいは格納状態である。
図14】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が給電装置の進入路上に位置し、移動体が給電装置に進入途中の状態の側面をあらわす。移動体の電極カバーは閉鎖状態である。第2アームは格納姿勢あるいは格納状態である。
図15】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が給電装置の載置部に進入した状態であって、移動体が給電部に向かって載置部上を移動している状態の要部拡大側面をあらわす。移動体の電極カバーは閉鎖状態である。第2アームは格納姿勢あるいは格納状態である。操作部と本体フレーム間に突出片の突起部が位置している。移動体の進行方向に対する左右のずれは、ガイド板により規制され、移動体は給電部に向かって進行する。突起片の先端である突出部が、本体フレームと操作部の間に進入する状態をあらわす。
図16】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が給電装置の載置部に進入した状態であって、移動体が給電部に向かって載置部上を移動している状態の要部拡大平面をあらわす。移動体の電極カバーは閉鎖状態である。第2アームは格納姿勢あるいは格納状態である。操作部と本体フレーム間に突出片の突起部が位置している。
図17】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が給電装置の載置部上を移動して、突出片の傾斜部によって移動体の電極カバーを押し下げた状態であって、移動体が第1アームに接触した瞬間の状態を示す要部拡大側面図である。移動体の電極カバーは操作部と本体フレーム間に突出片によって操作部を操作して、露出側に向かって回動途中の状態である。第2アームは格納姿勢あるいは格納状態である。
図18】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が給電装置の給電部に向かって載置部上を移動して、突出片の傾斜部によって移動体の電極カバーを更に押し下げ、且つ、移動体によって第1アームを後方に押して第2アームが浮き上がり、保護カバー(遮蔽カバーのスリット)を通過中の状態の要部拡大側面をあらわす。移動体の電極カバーは、突出片によって露出側に向かって回動途中の状態である。第1アームは移動体先端である側部に押されて支柱側に揺動し、第2アームは第1アームに連動して給電姿勢側に向かって回動途中の状態をあらわす。
図19】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。移動体が移動した傾斜部によって移動体の電極カバーを更に押し下げ、移動体によって第1アームを後方に押して第2アームが浮き上がり、給電側端子部材が移動体端子部材(受電部)に接触して給電姿勢となったときの要部拡大側面図である。移動体の電極カバーは、突出片によって露出側に向かって回動した露出状態である。第1アームは移動体先端である側部に押されて更に支柱側に揺動した状態をあらわす。第2アームは移動体端子部材に接触した給電姿勢の状態をあらわす。
図20】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。給電側端子部材と移動体端子部材が接触した状態で、移動体を更に後方側(支柱部側)に移動させて移動体先端である側部が第1アームを揺動させてスイッチを操作した状態の側面をあらわす。電極カバーは露出状態であって、突出片によって更に露出側に向かって回動した状態をあらわす。第1アームは、移動体先端である側部に押されて揺動してスイッチを押し、付勢体が伸長した状態をあらわす。
図21】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。給電側端子部材と移動体端子部材が接触した状態で、第1アームを揺動させてスイッチを操作した状態の正面をあらわす。移動体の電極カバーは、露出状態である。第1アームはスイッチを押し、付勢体が伸長した状態をあらわす。
図22】この発明の実施例に係る移動体と給電装置の動作説明図である。給電側端子部材と移動体端子部材が接触した状態で、移動体を更に後方側(支柱部側)に移動させて移動体先端である側部が第1アームを揺動させてスイッチを操作した状態の平面図をあらわす。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施例に係る移動体Aと、給電装置Bについて図面にしたがって説明する。
給電装置Bの給電に係る構成の概略を説明する。
給電装置Bは、移動体Aが進入可能な進入路12を一端側に有した載置部11と、移動体Aに給電作業を行う給電部Cと、載置部11の他端側に設けた支柱部21とからなる。
給電部Cは、支柱部21に回動自在に支持された第1アーム31と、同じく支柱部21に回動自在に支持され給電側端子部材42を設けた第2アーム41と、第2アーム41を第1アーム31側に回動する力を与える付勢体35と、第1アーム31が第2アーム41側への近接を規制する規制部33とを備えている。
34は、取付位置調整部である。取付位置調整部34は、第1アーム31に対する規制部33の取り付け位置を調整可能にする部位であり、規制部33の位置を変更することで、第1アーム31が第2アーム41側への近接する距離を規制することができる。
【0013】
載置部11は、給電装置Bに設ける。載置部11は、移動体Aが乗り上げることが可能である。
載置部11の一端側には移動体Aが給電側端子部材42に向かって進入する進入路12を有する。
移動体Aは、載置部11が有する進入路12から給電部Cに向かって進入するとともに載置部11に乗り上がり、やがて、移動体Aの受電部Dが給電部Cと接触することで給電状態になる。
受電部Dは、給電装置Bにおける給電部Cが有する給電側端子部材42と接触する移動体端子部材85を含む。
【0014】
載置部11は、平面視においてコ字状あるいはU字状に台状の載置台として設ける。載置部11のコ字状あるいはU字状の凹部中央部に給電部Cを配置する。開口された側の端部には、進入路12を形成する。移動体Aは進入路12から、載置部11に乗り上がることができる。走行部71が乗り上がる進入路12は載置部11の一端側である2か所に設けている。
コ字状あるいはU字状からなる載置部11には、給電状態の移動体Aの下方が開放された開放部Eを設ける。載置部11に周囲を覆われる開放部Eは、走行部71が接触する以外の個所は、移動体Aに対して下方に開放される。
開放部Eによって、給電装置Bを設置する際の接地面積を減少させることができる。接地面積の減少は、給電装置Bを設置面に設置する際に安定して接地させる機会を向上させる。実施例の場合、開放部Eによって、給電装置Bを設置する設置面と移動体Aの下方は遮蔽物がない状態となっている。
【0015】
載置部11である載置面間に移動体Aに向かって上方に突出した障害物等が有っても、載置面はこの障害物を跨いで避けるように、設置面に設置することができるので、設置面の状態に影響を受けることを減少させる。また、この障害物の高さは、載置部11に乗り上げた移動体が跨ぐことができる高さである、本体フレーム75の下方近傍に達する高さであってもよい。
開放部Eは必ずしも設置面と移動体の下方に遮蔽物がない状態とは限らない。開放部Eは互いの載置部11間において、設置面と直接接触する部分がなければ、開放部Eには、設置面に接地はしないが、移動体Aの進行方向左右それぞれの載置部11を繋ぐ連繋部材を有していてもよい。この場合、障害物を回避しながらも、連繋部材に給電装置Bの機能を拡張できる機材及び部材を取り付けることができ、有用である。
【0016】
移動体Aが給電状態での載置部11の移動体Aに対する前後方向の距離は、移動体Aの走行部71の軸距である前輪軸と後輪軸の距離より長く設ける。実施例の場合においては、載置部11の移動体Aに対する前後方向の距離は、走行部71の前後接地長より長く設けている。そのため、給電状態での走行部71の全ては、載置部11上に位置することが可能で、移動体Aは給電装置B上への安定した配置が可能である。
【0017】
移動体Aの走行部71を載置部11上に位置する構成とすることで、給電装置Bごと移動体Aを移動させることができる。
例えば、給電装置Bをクレーン装置等で釣り上げたり、給電装置Bの下方からリフト装置等で持ち上げたりすることで、移動体Aを別途支えることなく、給電装置Bと移動体Aとを一体的に移動させることが可能である。
【0018】
移動体Aが進入路12から給電部Cに向かう場合、移動体Aの受電部Dの位置及び向きと、給電部Cの位置及び向きとを合わせながら、互いに正対するように移動体Aを進入させる。すなわち、移動体Aは、本体フレーム75下部の進行方向に対する左右中央部に位置した受電部Dと第2アーム41の位置を合わせながら、第2アーム41の回動軸と交差する方向に後進で第2アーム41側に向かって載置部11に進入させ、さらに給電部Cである第2アーム41に向かって載置部11上を適正に移動させる必要がある。
【0019】
15は、ガイド板である。載置部11には、ガイド板15を設ける。ガイド板15は、矩形の板状部材からなる。ガイド板15は、載置部11に載置された移動体Aの進行方向に対する左右外側側部に、移動体Aの走行部71を挟んで対向させて一対それぞれ設ける。
ガイド板15は、それぞれの載置部11の進入路12に沿って、進入路12から給電部C側に向かって配置する。ガイド板15の上部は、載置部11の外側に向かって斜めに折り曲げられた折返し部16が設けられている。
【0020】
ガイド板15上部の折返し部16によって、ガイド板15に沿って移動する移動体Aが、強制的にガイド板15上に乗り上がろうとしても、折返し部16の傾斜に沿って滑るように下方に落下する。したがって、ガイド板15は、移動体Aを旋回不可能にさせるばかりでなく、ガイド板15の乗り越えも防止できる。また、図示するクローラを備えた走行部71のように、図示しない車輪が主体の走行部71より強力な接地駆動力を有していても、ガイド板15に沿いながら走行して折返し部16に乗り上がった走行部71は滑り落ちる。したがって、走行部71がガイド板15を乗り越えて載置部11から逸脱することを防止できる。
ガイド板15は、移動体Aの適正な載置部11への進入と、移動体Aを載置部11上の給電部C側に向かうように適正な移動をさせ、移動体Aを旋回不可能にさせる。
【0021】
互いのガイド板15の対向させた面の距離である対向距離は、一対の走行部71の全幅距離より僅かに大きく設けている。実施例では、ガイド板15の対向距離は、移動体Aに左右一対に設けた走行部71の全幅より、101~105%程度僅かに大きく設ける。この対向距離によって、進入路12から進入した移動体Aの受電部Dと給電部Cとの移動体Aに対する左右方向の位置を正確に合わせることができる。
ガイド板15の移動体Aに対する前後方向距離は、軸間距離より長く、進入路12から給電部C側に向かって連続的に設ける。すなわち、ガイド板15の長さは接地長よりも長い。ガイド板15の前記移動体Aの進行方向と平行向きの距離は、前記走行部71の前輪軸と後輪軸の軸間距離より長いとも言える。
【0022】
このようにすることで、受電部Dと給電部Cとの左右位置を合わせながら進入路12から進入した移動体Aは、進入後も走行部71をガイド板15で挟まれるように配置されているため、旋回することなく、ガイド板15に沿って給電部Cに向かうことができる。
移動体Aの進行方向と平行に配置したガイド板15の長さを走行部71に対して長く連続的に設けているので、装置部上を移動中の移動体Aが不意に旋回動作をしようとしても、ガイド板15によって旋回不可能に規制されている。すなわち、進入路12から進入した移動体Aは、給電部Cと受電部Dの進行方向左右に対する位置関係を維持することができる。
【0023】
それぞれのガイド板15の進入路12側には、進入路12から進入する移動体Aが、ガイド板15間に強制的に位置させる進入ガイド部14を設ける。進入ガイド部14は板状からなり、平面視で、給電部から進入路12側に向かって互いの幅が広くなるように設けている。進入ガイド部14によって、移動体Aの向きや位置が給電部Cに対してずれていても、操縦者や監視者が特別な操作をすることなく、進入ガイド部14に沿って走行することで移動体Aはガイド板15間に位置させることができ、給電部Cと受電部Dとの位置と向きの関係を合わせる、又は、維持することができる。
【0024】
進入路12には、スロープ13を設ける。スロープ13は載置部11の進入路12側に設け、一端側は移動体Aの進行方向に対し交差する左右に向けた水平軸18で、他端側が上下方向に回動旋回が可能に設ける。スロープ13は、凹凸があるような設置面でも、回動することで先端が設置面に接地して、移動体Aの載置部11への進入を補助できる。進入路12が設置面から浮き上がるような場合でも、スロープ13の他端側が設置面に接地できるので、給電装置Bの設置場所を限定しない。
【0025】
載置部11の下部には、設置面に接触可能に設けるとともに設置高さを調整可能なアジャスタ17をもうける。アジャスタ17は、載置部11の下面から上下方向に出没調整が可能である。
アジャスタ17は、載置部11の下方が凹凸等を有する不整地であっても、給電装置Bが傾いたり揺動したりすることを防いで、移動体Aが容易に載置部11に進入できる。
【0026】
この発明の給電装置Bは、移動体Aが給電装置Bの有する載置台の進入路12から後進して侵入し、給電可能な給電位置に接近することによって、給電側端子部材42が移動体Aに設ける移動体側端子部材85に接触して通電が可能になる。
より詳細には、給電装置Bは、自走する移動体Aが支柱部21に接近するにしたがって、給電側端子部材42を有する倒伏状態の第2アーム41が起立することによって起立状態となって、移動体Aに設ける移動体側端子部材85に接触して移動体Aに給電側端子部材42が給電する。なお、実施例における給電電力は直流であるものとして説明をする。
【0027】
移動体側端子部材85は、移動体Aの一端側である後方部の本体フレーム75の下部に配置する。移動体側端子部材85は平板状の伝導性部材で、面が下方に向くように設ける。また、移動体側端子部材85は、プラス電極とマイナス電極を一対設け、本体フレーム75の進行方向に対する左右中央部に、それぞれを左右並べて配置する。移動体側端子部材85のプラス電極とマイナス電極が、給電側端子部材42のプラス電極とマイナス電極のそれぞれを接触させることで給電が可能な状態になる。
【0028】
第1アーム31は、給電装置Bに、移動体Aの進行に伴って移動体Aに押されることで、移動体Aの進行方向に揺動可能に設ける。
第1アーム31は、上部を移動体Aに寄せるように斜め上方に向けられた長尺状の部材であって、一端側を回動支点軸32を支点にして、他端側である上部が前後に揺動するように支柱部21の下部に、回動自在に支持する。第1アーム31の揺動支点軸は、移動体Aの進行方向と交差する方向に向けている。
第1アーム31は、移動体Aの進行に伴って移動体Aに押されることで、移動体Aの進行方向に揺動可能である。
【0029】
第2アーム41は、長尺状の部材であって、一端側を支柱部21に支持し、他端側が上下動可能に設ける。実施例では、第2アーム41の一端側は、第1アーム31の一端側と同軸の回動支点軸32に設けているが、必ずしもこれに限定はしない。例えば、第2アーム41の一端側の回動支点軸32を、第1アーム31の一端側の支点軸と別な位置且つ平行に設けていてもよい。
第2アーム41の材質は絶縁体で構成され、第2アーム41の他端側先端部に設ける伝導性部材である給電側端子部材42に流れる電気が、第2アーム41を介して給電装置Bの他の部材(例えば、第1アーム31や支柱部21など)に伝わらないようにされている。実施例において、第2アーム41はプラスチック系樹脂で構成しているが、第2アーム41を構成する材質に限定はなく、絶縁の目的を達成できる絶縁体で構成されていればよい。
【0030】
第2アーム41は対を成すように2本設け、互いに平行に対をなすように配置する。第2アーム41は長尺方向をほぼ水平方向に向けて伏せた格納姿勢から、長尺方向を水平方向から起き上がった給電姿勢まで、回動支点軸32を軸にして他端側が上下回動する。なお、2本ある第2アーム41は、それぞれが独立して回動支点軸32周りに回動するとともに、第1アーム31と第2アーム41は、それぞれ独立して回動する。
第2アーム41は、第1アーム31に連動して揺動可能で、第1アーム31が移動体Aに押されることで移動体A側に設ける移動体側端子部材85に近づくとともに移動体側端子部材85に接触可能な給電側端子部材42を有する。
【0031】
付勢体35は、第1アーム31に設ける。付勢体35は、第2アーム41を第1アーム31側に近接する方向に力を与える。
付勢体35は、第1アーム31の中間部と第2アーム41の中間部のそれぞれに架け渡すように設ける。実施例では付勢体35は、弾性体である引張りコイルバネを使用していて、常時、第1アーム31と第2アーム41のそれぞれの他端側が、互いに近接するように付勢力が働いている。付勢体35は、2つの第2アーム41のそれぞれに設ける。
【0032】
規制部33は、実施例では、五角形状の片部材で、第1アーム31の中間部の側部に設けている。規制部33の一辺が第2アーム41に接触することで、第1アーム31及び第2アーム41が互いに近接する方向への回動が規制される。規制部33は、付勢体35による第1アーム31と第2アーム41の過剰な近接を抑止するために設ける。
第1アーム31及び第2アーム41は予め決められた挟み角度以下にならず、互いの他端部の距離が定められた距離以下にならないように規制部33を設けている。これにより、第2アーム41が載置部11と平行に伏せた状態の格納姿勢のときにおいて、第1アーム31の下方への過剰な傾倒を防止できる。規制部33は取付位置調整部34によって第1アーム31に対する取付位置をずらすことが可能に設け、第1アーム31及び第2アーム41の挟み角度を適宜調整が可能にされている。取付位置調整部34によって第1アーム31を適正な姿勢にでき、第1アーム31と移動体Aとの接触位置を適正にすることができる。
【0033】
規制部33は、第1アーム31と第2アーム41との挟み角を調整可能に設けているので、移動体Aが有する走行部71の摩耗(実施例に示す履帯の摩耗や、図示しない実施例であるタイヤ等の摩耗)によって上下する移動体Aの第1アーム31の接触位置を適正な位置に適宜調整が可能になっている。つまり、第1アーム31の同じ位置を移動体Aが押すことができるため、第2アーム41の起き上がるタイミングを、移動体Aの高さによらず同じにすることができる。
【0034】
支柱部21は、第1アーム31の支点側であり、載置台である給電装置Bに設ける載置部11に固定する。支柱部21は、移動体Aによって押されたり衝突されたりしても変形しない程度に、強固に上方に突出させて設ける。
支柱部21は、第1アーム31の移動体Aの進行に伴って押された方向への揺動を規制するとともに、第1アーム31を介して移動体Aの進行を強制的に止める。
支柱部21に対して回動自在な第1アーム31の他端側である上部は、移動体Aが進入路12から侵入して徐々に第1アーム31に近づいた後、移動体Aの先端である側部77が第1アーム31に接触する。さらに、移動体Aを支柱部21側に進行させて、第1アーム31が移動体Aの側部77に押されることで支柱部21側に揺動する。
第1アーム31が支柱部21側に揺動すると、第1アーム31は支柱部21に接触して、それ以上の揺動が規制される。そして、移動体Aは第1アーム31を介した支柱部21によって、これ以上の進行が規制される。
【0035】
22は、スイッチである。スイッチ22は、給電装置Bの支柱部21の上部に設ける。スイッチ22は、移動体Aが第1アーム31を介して、支柱部21側に押すことで操作される。スイッチ22の操作有無の条件が、給電側端子部材42及び移動体側端子85を介して、移動体Aの蓄電装置であるバッテリ76に給電をするか否かの判定条件の一つとなっている。
スイッチ22は、第1アーム31の揺動によって操作可能に設け、給電部Cは該操作の完了と移動体側端子部材85と前記給電側端子部材42の接触が完了したことを条件にバッテリ76に給電を開始させる。
【0036】
給電側端子部材42について説明する。
給電側端子部材42は、移動体Aの下方に向かって露出可能な移動体側端子部材85に接触して移動体Aに給電する。
2本ある第2アーム41の他端側の先端部に給電側端子部材42をそれぞれ配置する。給電側端子部材42の一方はプラス電極であり、給電側端子部材42の他方はマイナス電極である。また、移動体A側の受電側端子部材である移動体側端子部材85も、一対設け、移動体側端子部材85の一方はプラス電極であり、他方はマイナス電極となるように設ける。給電側端子部材42が取り付けられる第2アーム41は絶縁体で構成するため、給電側端子部材42に印加される電気が他の部材に漏電することはない。
【0037】
給電側端子部材42のプラス電極と移動体側端子部材85のプラス電極を接触させ、尚且つ、給電側端子部材42のマイナス電極と移動体側端子部材85のマイナス電極を接触させ、さらに、給電装置B側から直流の電圧をかけることで、移動体Aに設けた蓄電装置であるバッテリ76に給電し、充電させることができる。
【0038】
給電側端子部材42の移動体側端子部材85との接触面43は平面に設け、給電側端子部材42は接触面43が第2アーム41に対して、前後方向に傾斜揺動を可能にさせる端子用支点部44を設ける。端子用支点部44の軸方向は、第1アーム31及び第2アーム41の回動支点軸32と平行に設けている。第2アーム41が格納姿勢のときの接触面43は、上方且つやや第2アーム41の他端に向けて傾斜するように配置されている。
給電側端子部材42は第2アーム41側に向けて突出させた規制ピン46を設け、第2アーム41の他端側に設けた孔47内に配置する。規制ピン46は孔47内を移動可能に設け、給電側端子部材42の端子用支点部44周りの回動を、規制ピン46が孔47の縁に接触するまでの範囲内で回動するように規制する。
端子用支点部44は、第2アーム41は第1アーム31に対して揺動可能に設ける。
【0039】
45は、端子用付勢体である。端子用付勢体45は、給電側端子部材42に設ける。端子用付勢体45は、端子用支点部44周りに回動する給電側端子部材42を一方の方向に回動させる。実施例の場合、端子用付勢体45は接触面43が第2アーム41の他端側を向くように、端子用付勢体45を配置させている。実施例での端子用付勢体45は、板バネを用いて給電側端子部材42の少なくとも一辺に力を加えることによって、給電側端子部材42に回転力を与えているが、付勢体の形式は、例えば、コイルバネや巻きバネ等の弾性体であればよく、形式は問わない。
【0040】
給電装置Bが有する給電部Cの側方である第2アーム41の側方に突出片61を設ける。突出片61は給電装置Bの支柱部21側から移動体Aの前方に向けた先端に側面視で嘴状の突起部63を有した部材で、載置台である載置部11に固定されている。突出片61は、給電装置Bに固定するとともに給電側端子部材42より移動体A側に向かって突出する。
実施例での突出片61は板状部材で形成され、第2アーム41に隣接した移動体Aの前進方向に対する左側に設けている。
【0041】
64は、傾斜部である。傾斜部64は、突出片61に、突出片61下部に至る移動体A側の先端部から支柱部21側且つ下方に向かって傾斜させて設ける。
傾斜部64の上部は、側面視において、給電側端子部材42よりも移動体A側に突出して配置され、突起部63の下部に至る。
突起部63の上部は、突出片61の上端から移動体Aの進入路12から支柱部21に向かう方向に向かうにつれて、徐々に下方に傾斜するように円弧状に設ける。
【0042】
突起部63の尖った先端から移動体Aの進入路12から支柱部21に向かう方向に向かうにつれて下方に円弧状に傾斜するように傾斜部64を設けている。この実施例では傾斜部64は円弧状からなる。そのため、傾斜部64を摺動する部材の動作は円滑となる。
傾斜部64は移動体Aの進入路12から支柱部21に向かう方向且つ下端に向かうにつれて、傾斜角度が徐々に垂直になるように設ける。突出片61の下部に位置した傾斜部64はほぼ垂直になるように設けている。実施例での傾斜部64は円弧状に湾曲させて設けているが、複数の直線部を組み合わせて構成してもよい。
【0043】
突出片61と第2アーム41との位置関係について説明する。
突出片61の突起部63及び傾斜部64は、第2アーム41の一端側から他端側に向かう方向であって、他端側の方向に向かってさらに延長させた位置に配置する。換言すれば、傾斜部64は、側面視において、給電側端子部材42よりも移動体A側に突出して配置される。これによって、第2アーム41が格納姿勢から給電姿勢へ移行する前に、後述する移動体Aに配置する電極カバー81が閉鎖状態から露出状態に向かう回動を開始させることができる。また、上記した突出片61と第2アーム41との位置関係によって、第2アーム41の給電側端子部材42が移動体A側に設ける移動体側端子部材85に向かうまでの間に、第2アーム41と電極カバー81が互いに干渉することを防ぐ。
【0044】
突出片61と移動体Aとの位置関係について説明する。
突出片61は、移動体Aの電極カバー81に設けた後述する操作部82と、移動体Aの進行方向に対する幅方向の位置関係が一致している。さらに、突出片61の上端は移動体Aの本体フレーム75の下面より低くなるように設けている。この構成により、移動体Aが進入路12から載置台である載置部11に進入してきた際に、突出片61が本体フレーム75に干渉することなく、突起部63が操作部82に到達できる。さらに、移動体Aが進入に伴って、突起部63下部の傾斜部64に操作部82が押し当てられることよって、操作部82を下方に移動させる。つまり、突出片61と操作部82との接触によって、電極カバー81が閉鎖状態から露出状態になるように回動させることができる。
【0045】
給電時の突出片61と移動体Aとの位置関係について説明する。
突出片61が有する突起部63から形成される傾斜部64の下部は、移動体Aが給電可能な状態である電極カバー81が完全な露出状態において、移動体側端子部材85よりも移動体Aの前進方向に対する前方に配置されている。つまり、側面視において、移動体Aが給電状態の移動体側端子部材85の前端は、傾斜部64の下部と移動体Aの前後方向と重なり合わない位置に配置される。これによって、操作部82を移動体Aの下方及び前方側に大きく移動させて電極カバー81を大きく開放させることができる。
【0046】
突出片61の分割構成について説明する。
突出片61は分割させて給電装置Bに固定させてもよい。実施例での突出片61は、操作部82を操作する突起部63を有した突出片本体611と、突出片本体611を給電装置Bに固定させるための突出片61の取付部62とに分割させている。突出片61の取付部62と突出片本体611は、互いを固定するためにボルト・ナットからなる締結部材で固定されている。
突出片61の取付部には長孔65を有していて、締結部材での締結位置を長孔65内で調整することで、突出片61の上端の高さ位置を調整が可能である。これにより、移動体Aが有する走行部71(実施例の場合はクローラ)の摩耗で、給電装置Bに対する本体フレーム75の相対高さが変化しても、突出片61本体の上下方向の位置を調整することで、突出片61を本体フレーム75に干渉させること無く、且つ、傾斜部64での操作部82操作を確実に行うことができる。
【0047】
51は、保護カバーである。保護カバー51は、第2アーム41の他端部の周囲を覆うように載置部11に設け、第2アーム41を移動体側端子部材85に向かって出没可能に設けるとともに第2アーム41が通過可能な切欠き部511を有する。
保護カバー51は、第2アーム41が格納姿勢のとき、第2アーム41の他端側及び給電側端子部材42の上部を覆う。保護カバー51は、第2アーム41が格納姿勢と給電姿勢との間の回動によって、第2アーム41の他端部及び給電側端子部材42が通過可能にする切欠き部511を上部に設けている。さらに、切欠き部511を覆うように遮蔽カバー52を設ける。遮蔽カバー52は可撓性部材且つ、不導体である非通電性質の材質を用いている。実施例ではゴム状の板を用いている。
【0048】
遮蔽カバー52は、格納姿勢の第2アーム41の長尺方向に沿う方向に、スリット521を設けている。スリット521は通常状態において閉じられていて、第2アーム41の回動によって、遮蔽カバー52を第2アーム41他端部及び給電側端子部材42が押し退けることで開き、保護カバー51から、第2アーム41他端部及び給電側端子部材42が出没可能にされている。また、遮蔽カバー52のスリット521は、遮蔽カバー52が互いに重なるように配置されていることで形成する。遮蔽カバー52及びスリット521によって、格納姿勢の第2アーム41の上方を覆うことで、給電側端子部材42への異物の付着を防止できる。遮蔽カバー52を重ねて形成したスリット521によって隙間がしっかりと閉じることができるので、異物が容易にスリット521を通過して遮蔽カバー52の下方に侵入しないようにされている。
【0049】
移動体Aについて説明する。
移動体Aは、この実施例では自走式草刈機である。移動体Aは、遠隔操作を含む人為的操作であるか、自律的な制御による自立走行であるかは問わず、本発明に適用できる。
移動体Aは前後進行及び、前後進行に伴って左右への旋回進行が可能である。移動体Aは、本体フレーム75と、本体フレーム75の進行方向左右先端のそれぞれに走行部71を設ける。
【0050】
実施例の場合の走行部71は履帯を備えたクローラ装置からなり、左右旋回は左右の履帯の速度差によって、移動体Aが前後進行及び旋回動作を行う。走行部71は電動モーターで駆動輪72を駆動することによって、履帯を周回動作させて移動体Aを移動させる。
移動体は後進で給電部Cに接近するように進入する。走行部71は図示するクローラ装置によらず、複数の車輪(好ましくは4輪)を有した走行部71でもよい。
【0051】
クローラ装置の場合は、少なくとも駆動輪72及び遊動輪73を有し、さらに1つ以上の転輪74を有していてもよい。この発明の実施例では、駆動輪72及び遊動輪73及び転輪74のうちのいずれかであって、クローラ装置の接地長を形成する進行方向に対する後進側に位置するものを後輪、進行方向に対する前進側に位置するものを前輪と呼ぶことがある。
実施例では後方側に位置する転輪74を後輪と呼称し、前方側に位置する遊動輪73を前輪と呼称することがある。また、実施例では左右それぞれの後方側に配した駆動輪72にモータ(図示なし)を備え付け、バッテリ76からの電力によって回転駆動する。
【0052】
バッテリ76は、本体フレーム75上に設置する。バッテリ76は、電動モーターの電力源となる蓄電装置である。バッテリ76の電力を消費することによって電動モーターが回転駆動する。移動体Aの一端側である後方部の本体フレーム75の下部には、移動体側端子部材85を設け、給電装置Bに設けた給電側端子部材42が接触することでバッテリ76に給電が可能にされている。このように構成することで、移動体Aから蓄電装置であるバッテリ76を取り外さなくでも、バッテリ76を充電することができる。
【0053】
電極カバー81は、移動体Aに、移動体側端子部材85の周囲である側方及び下方を囲うように設ける。電極カバー81は器型の箱状部材であり、移動体Aの他端側である前方側に回動支点83を配置し、回動自在に設ける。
電極カバー81は、移動体側端子部材85の周囲を覆って異物の侵入を阻止する閉鎖状態と移動体側端子部材85を露出させて給電側端子部材42との接続が可能な状態にさせる露出状態との間で位置変更が可能である。
電極カバー81は突出片61に操作されることによってカバーを閉鎖状態から露出状態に位置変更させる操作部82を備える。
【0054】
電極カバー81は図10に図示するように、移動体側端子部材85の周囲を覆って異物に侵入を阻止する閉鎖状態と、図11に図示するように、移動体側端子部材85を露出させて、給電側端子部材42との接続が可能な状態にさせる露出状態との間で自由に位置を変更するように回動する。
閉鎖状態における電極カバー81の回動支点83と対になる反対側の側面である後側面のうち、内側の面は、露出状態に移行するにしたがって、徐々に移動体Aの上方に向かう。さらに、電極カバー81が露出状態に向かう回動方向の終端に達すると、前記内側の面は移動体Aの上方且つ後方に向かうように傾斜する。つまり、仮に電極カバー81内に異物等があったとしても、電極カバー81を露出状態に移行することによって、前記内側の面に沿って異物等が自重によって下方に落下することができる。
【0055】
電極カバー81は閉鎖状態から露出状態にすることによって、内側の面を傾斜させ異物等を重力に従って落下可能であるが、露出状態時の操作部82は、移動体側端子部材85に対して前方に位置している。露出状態時の操作部82は、電極カバー81の回動支点83より前方に位置するまで電極カバー81が回動するともいえる。このような位置関係とすることで、電極カバー81の内側の面を確実に傾斜させる。
【0056】
84は、弾性体である。弾性体84は、電極カバー81が閉鎖状態となる側に常時力を与える。弾性体84は、電極カバー81の回動支点83付近に設ける。実施例では弾性体84は、巻きバネを用いていて、回動支点83であるヒンジ部に巻きバネを組み込んだものを使用している。弾性体84は回動自在な電極カバー81を閉鎖状態側に回動するように、常時電極カバー81に力を与える。
【0057】
電極カバー81には、移動体Aの進行方向の後方側である一端側の端部に操作部82を設ける。操作部82は電極カバー81の進行方向に対する左右いずれかの側面から、進行方向に対する左右方向に突出させたピン状部材である。実施例での操作部82は、電極カバー81の進行方向に対する後方側且つ左側面から、進行方向に対する左側面に向かって突出させるように設ける。電極カバー81は操作部82を操作することによって、閉鎖状態から露出状態との間で回動させることができる。操作部82は、露出状態では、側面視において、給電状態の移動体Aが有する移動体側端子部材85に対する上下方向と重なり合わない位置に配置する。つまり、露出状態の操作部82は、移動体側端子部材85より移動体Aの前方側である他端側に位置する。
【0058】
閉鎖状態での操作部82は本体フレーム75の下面との間に間隔を設けて配置している。この間隔内に操作部82を操作する部材である突出片61を侵入させて、電極カバー81を閉鎖状態から露出状態にさせる。
電極カバー81の操作部82が配置される側の側面である後方面は、露出状態において下方に傾斜するように設け、異物の排出を容易にさせる。
【0059】
この発明の実施例の作用・効果について、実際の作業に即して説明する。
移動体Aが、載置台である載置部11に積載されていない状態における、第2アーム41の格納姿勢について説明する。
図1乃至図6図12図13に図示する状態では、移動体Aは載置部11に積載されていない。第2アーム41は、図1乃至図6に図示するように、自重によって下方に回動し格納姿勢を取っている。この時、給電側端子部材42の接触面43は、端子用付勢体45によって付勢を受けながら、上方且つやや水平方向に向けて傾斜するように配置されているので、接触面43上の異物は傾斜に沿って落下し、接触面43は清浄に保つことが可能である。
給電側端子部材42の上方は、保護カバー51及び遮蔽カバー52で覆っているので、上方からの異物が落下しても接触面43に付着させることがない。またスリット511が互いに重なり合うように設けているので、スリット511がめくれて隙間を作り、この隙間から異物が侵入する事を防ぐ。
【0060】
第1アーム31は、付勢体35によって第2アーム41に近接するよう力をかけられている。この時、規制部33によって、第1アーム31が第2アーム41側に倒れ切ってしまうことを規制されているので、第1アーム31は支柱部21に対して斜めに倒れた状態を維持できる。
図12図13は、移動体Aが給電装置Bに進入する前の状態で、移動体Aの電極カバー81は閉鎖状態である。第2アーム41は格納姿勢あるいは格納状態である。
【0061】
移動体Aの載置台である載置部11への進入について説明する。
移動体Aが、図12乃至図13に図示する状態から、図14に図示するように進入路12から載置台に進入し、徐々に支柱部21側に接近する。
図14に図示するように、移動体Aが給電装置Bの進入路12上に位置し、移動体Aが給電装置Bに進入途中の状態となる。移動体Aの電極カバー81は閉鎖状態である。第2アーム41は格納姿勢あるいは格納状態である。
【0062】
移動体Aは後進状態で進入路12に侵入し、支柱部21側に接近する。進入を続けると、やがて移動体Aの先端に位置する側部77が倒伏状態の第1アーム31の上部に接触する。
移動体Aが給電装置Bに後進させて進入を続けるにしたがって、操作部82が本体フレーム75の下方に位置する突出片61に向かって相対移動し、やがて図15に図示するように、操作部82と本体フレーム75の間に突起部63の先端が位置するとともに、この間に進入する。
【0063】
図15図16に図示するように、移動体Aが給電装置B上に進入し、給電部Cに向かって載置部11上を移動すると、第2アーム41は格納姿勢あるいは格納状態のまま、操作部82と本体フレーム75間に突出片61の突起部63が位置する。
図15図16では、移動体Aの電極カバー81は閉鎖状態である。移動体Aの進行方向に対する左右のずれは、ガイド板15により規制され、移動体Aは給電部Cに向かって進行する。
【0064】
図17に図示するように、図15図16に図示する状態から移動体Aが更に、給電装置Bの載置部11上を給電部Cに向かって移動すると、突出片61の傾斜部64によって移動体Aの電極カバー81を押し下げ、移動体Aが第1アーム31に接触し、移動体Aの電極カバー81は操作部82と本体フレーム75間に突出片61によって操作部82を操作して、露出側に向かって回動途中の状態となる。第2アーム41は格納姿勢あるいは格納状態である。
移動体A先端である側部77が第1アーム31の上部に接触した状態のまま、さらに後進を続行すると、第1アーム31は、揺動支点軸を中心に支柱部21側に回動する。
さらに移動体Aを支柱部21側に移動させるに伴って、操作部82が突出片61の傾斜部64に沿って摺動しながら押し下げられることによって、電極カバー81は閉鎖状態から露出状態にする方向に回動する。
【0065】
図18に図示するように、図17に図示する状態から更に、移動体Aが給電装置Bの給電部Cに向かって載置部11上を移動すると、突出片61の傾斜部64によって移動体Aの電極カバー81を更に押し下げ、且つ、移動体Aによって第1アーム31を後方に押して第2アーム41が浮き上がり、保護カバー51(遮蔽カバー52のスリット521)を通過する。
移動体Aの電極カバー81は、突出片61によって露出側に向かって回動途中の状態である。第1アーム31は移動体A先端である側部77に押されて支柱部21側に揺動し、第2アーム41は第1アーム31に連動して給電姿勢側に向かって回動途中である。
【0066】
第1アーム31の回動を受け、第2アーム41は、付勢体35を介して格納姿勢から起き上がり動作を開始し、第2アーム41は第1アーム31の揺動に連動して徐々に起き上がる。
操作部82が傾斜部64の下端部に差し掛かると、第2アーム41は移動体Aによって支柱部21側に揺動する第1アーム31と連動して、起立するようにして給電姿勢に移行する。この時、電極カバー81は、傾斜部64の下端部によって操作部82を移動体Aの前進方向側に向けて操作されているので、第2アーム41の移動時に電極カバー81と干渉することがない。
【0067】
図19に図示するように、図18に図示する状態から更に、移動体Aが給電装置B上を給電部Cに向かって移動すると、操作部が傾斜部64を摺動することによって移動体Aの電極カバー81を露出状態にする方向に更に押し下げ、移動体Aによって第1アーム31を後方である支柱部21側に押して第2アーム41が浮き上がり、給電側端子部材42が移動体端子部材85(受電部D)に接触して給電姿勢となり、移動体Aの電極カバー81は、突出片61によって露出側に向かって回動し、露出状態となる。第1アーム31は移動体A先端である側部77に押されて更に支柱側に揺動し、給電側端子部材42は移動体端子部材85に接触した給電姿勢の状態をとる。ただし、図19に示す移動体Aと給電装置Bの位置関係の状態では、給電は開始されない。
第2アーム41の起き上がり動作によって、第2アーム41の他端部及び給電側端子部材42は、保護カバー51のスリット511を押し退けて保護カバー51の上方に位置する。また、移動体Aの後進が進むことによって、移動体側端子部材85は給電側端子部材42の上方に位置し、やがて互いに接触することとなる。
【0068】
図19図20図21図22に基づき給電姿勢について説明する。
図19に図示する状態から、図20図21図22に図示するように、更に、移動体Aの後進が進み給電装置B上を移動する。すると、給電側端子部材42と移動体端子部材85が接触した状態で、移動体Aを更に後方側(支柱部21側)に移動させて移動体A先端である側部77が第1アーム31を揺動させてスイッチ22を操作した状態をとる。
電極カバー81は露出状態であって、突出片61によって更に露出側に向かって回動し、第1アーム31は、移動体A先端である側部77に押されて揺動してスイッチ22を押し、付勢体35が伸長した状態をとる。付勢体35によって給電姿勢となった第2アーム41は、揺動を固定された状態でも第1アーム31が第2アームに対して単独で揺動できる。
第1アーム31を支柱部21側に回動することによって、第2アーム41を上方に回動させ、第2アーム41の給電側端子部材42が移動体側端子部材85に接触し、第2アーム41は給電姿勢になる。
【0069】
移動体Aを支柱部21側に移動させると、傾斜部64の下端部で操作部82を押されて、電極カバー81を回動方向終端部まで回動して露出状態にさせ同時に、第2アーム41が有する給電側端子部材42が移動体側端子部材85に接触し、給電可能な給電姿勢となる。
電極カバー81が回動方向終端部まで回動することによって、電極カバー81後方側の内側の面が傾斜するので、電極カバー81をひっくり返したようにすることができ、電極カバー81内に異物等があった場合は、内側の面に沿って下方に落下させることができる。したがって、電極カバー81内は、給電をするごとに清浄され、常時綺麗な状態を保つことができる。
【0070】
給電側端子部材42は、端子用支点部44周りに端子用付勢体45から回転力を付与されながら回動可能な構成なので、接触面43が移動体側端子部材85に面で接触させることを可能にしている。つまり、移動体Aが有する走行部71の摩耗(実施に示す履帯の摩耗や、図示しない実施例であるタイヤ等の摩耗)によって、第2アーム41に対する移動体側端子部材85の上下方向の位置関係や前後の相対角度がずれたとしても、給電側端子部材42が端子用支点部44周りに回動することで、接触面43が移動体側端子部材85に接触する面積を確保できる。そして端子用付勢体45によって、この接触を確実に行うことができる。
【0071】
また、一対の第2アーム41はそれぞれが独立して回動可能であり、且つ、それぞれの第2アーム41に付勢体35によって上方側に力が加えられているので、移動体A自体が給電装置Bに対して前後左右に傾斜していても、一対の給電側端子部材42と一対の移動体側端子部材85のそれぞれが互いに確実に接触できる。
【0072】
給電側端子部材42が移動体側端子部材85に接触したとしても、まだ給電は行われない。給電を開始するには、さらに、移動体Aによって第1アーム31を支柱部21側に揺動させる必要がある。移動体Aを、さらに支柱側に後進させると、第1アーム31が支柱部21側に回動する。この一方で、第2アーム41は、給電側端子部材42と移動体側端子部材85とが接触しているので回動はせず、第1アーム31と第2アーム41間に設けた付勢体35が伸長する。第1アーム31と共に移動する規制部33も第2アーム41から離れた状態になる。
【0073】
給電開始操作について説明する。
図20図21に図示する状態になると、第1アーム31が回動し、第1アーム31が支柱部21に接触すると、第1アーム31はスイッチ22を操作する。給電装置Bが有する制御部(図示なし)は、スイッチ22を操作されたこと、及び、給電側端子部材42が移動体側端子部材85に接触(正確には、給電側端子部材42と移動体側端子部材85の互いのプラス電極と、給電側端子部材42と移動体側端子部材85の互いのマイナス電極の接触)を受けると、給電側端子部材42と移動体側端子部材85の導通確認工程を経て、給電に際し問題となる異常が無いと判断されると、移動体A側の蓄電装置であるバッテリ76に給電される。なお、給電装置Bは、交流電源を直流電源に変換する変換装置(図示なし)、交流電源及び直流電源の監視・制御する制御部(図示なし)を介して、移動体Aに直流電源を供給し、移動体Aに給電する。
【0074】
給電終了から格納姿勢について説明する。
図20図21に図示する状態から、給電装置Bから移動体Aを移動させたい場合は、移動体Aを給電部Cから進入路12側に前進させる。第2アーム41を格納姿勢にするには、前述の給電開始に至る工程と逆の手順を辿る。移動体Aを前進させると、移動体Aが第1アーム31を支柱部21側に押さえつける力が無くなるので、第1アーム31は支柱部21との接触状態を解除される。つまり、第1アーム31によるスイッチ22の操作が解除されるので、この時点で、制御部は給電動作を終了させる。
【0075】
さらに、前進を進めると、第1アーム31が自重で倒れるように第2アーム41側に回動する。第1アーム31が倒れることによって、第1アーム31は付勢体35に引き寄せられるように、規制部33によって規制されるまで第2アーム41に近接する。移動体Aの前進によって、第1アーム31は下方からの支えが無くなるので、第2アーム41と共に自重で下方に回動する。
【0076】
第2アーム41は、格納姿勢に至る途中で保護カバー51のスリット511を通過し、給電側端子部材42が保護カバー51及び遮蔽カバー52の下方に位置した格納姿勢となる。
保護カバー51及び遮蔽カバー52によって、給電側端子部材42の上方を覆っているので、載置部11上を移動する移動体Aから異物が落下したとしても、容易に異物が給電側端子部材42に付着することがない。また、スリット521も重なり合わせて配置しているので、スリット521が開いて意図せず隙間を形成することがないので、異物がこの隙間から分け入って給電側端子部材42側に落下しない。
【0077】
また、給電側端子部材42の接触面43は、上方且つやや水平方向に向けて傾斜するように配置されているので、接触面43上の異物は傾斜に沿って落下させる。したがって、給電側端子部材42は給電後においても清浄に保つことができるので、次回使用するときもわざわざ異物を除去する作業は必要なく、異物の影響による給電不良を減少させた給電作業を行うことができる。
【0078】
電極カバー81の露出状態から閉鎖状態への移行について説明する。
給電装置Bから移動体Aを移動させたい場合は、移動体Aを前進させる。電極カバー81を露出状態から閉鎖状態にするには、前述の閉鎖状態から露出状態にする工程と逆の手順を辿る。
【0079】
電極カバー81の回動支点83には弾性体84を設けているので、傾斜部64による押し下げが無くなっても、自動的に露出状態から閉鎖状態に向かう方向に電極カバー81を回動させる。移動体Aを前進させるにしたがって、操作部82は傾斜部64及び突起部63を摺動しながら、上方に移動する。操作部82への傾斜部64及び突起部63の支えが無くなると、電極カバー81は完全に閉じた閉鎖状態になる。閉鎖状態での電極カバー81は、移動体側端子部材85を周囲の塵、ゴミ、障害物等の異物から保護し、確実な給電を保証する。
【符号の説明】
【0080】
A 移動体
B 給電装置
E 開放部
11 載置部
12 進入路
13 スロープ
15 ガイド板
17 アジャスタ
18 水平軸
42 給電側端子部材
71 走行部
85 移動体側端子部材

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