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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124015
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】硬貨処理機
(51)【国際特許分類】
   G07D 3/00 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
G07D3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027545
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】安達 英之
(72)【発明者】
【氏名】板東 章
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141BA15
3E141CA06
3E141FG11
3E141GA07
3E141HA05
3E141JA10
3E141KA09
3E141KB14
3E141KC04
(57)【要約】
【課題】振分条件を多様に設定でき、取り扱いの容易な硬貨処理機を提供する。
【解決手段】硬貨処理機1は、識別結果に基づいて、複数の金種の硬貨Cを金種別に振り分けて異なる排出部70に搬送する。硬貨処理機1は、複数の金種のうちの特定金種の特定硬貨を硬貨タイプ別に更に振り分けて、設定された任意の排出部70に搬送する。排出部70は、金種の数に対応する数の金種別排出部70Aと、第1特別排出部70Bと、を備える。硬貨処理機1は、金種指定手段を備えている。金種指定手段は、指定された指定金種の入力を受け付け、指定金種が特定金種である場合、特定金種の硬貨タイプ別に排出部70を選択させ、特定金種の特定硬貨を、選択された排出部70に搬送するように設定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別結果に基づいて、複数の金種の硬貨を金種別に振り分けて異なる排出部に搬送する硬貨処理機であって、
複数の前記金種のうちの特定金種の特定硬貨を硬貨タイプ別に更に振り分けて、設定された任意の排出部に搬送することを特徴とする硬貨処理機。
【請求項2】
前記排出部は、前記金種の数に対応する数で区画された金種別排出部と、第1特別排出部と、を備え、
前記特定硬貨を前記硬貨タイプ別に振り分けて、前記金種別排出部と前記第1特別排出部とに搬送することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理機。
【請求項3】
前記排出部は、真の硬貨と識別されない前記硬貨が搬送される第2特別排出部を備え、
前記特定硬貨を前記硬貨タイプ別に振り分けて、前記金種別排出部と、前記第1特別排出部と、前記第2特別排出部と、に搬送することを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理機。
【請求項4】
識別結果に基づいて、複数の金種の硬貨を金種別に振り分けて異なる排出部に搬送する硬貨処理機であって、
前記排出部は、前記金種の数に対応する数の金種別排出部と、第1特別排出部と、を備え、
前記硬貨処理機は、金種指定手段を備え、
前記金種指定手段は、指定された指定金種の入力を受け付け、前記指定金種が特定金種である場合、前記特定金種の硬貨タイプ別に前記排出部を選択させ、前記特定金種の特定硬貨を、選択された前記排出部に搬送するように設定することを特徴とする硬貨処理機。
【請求項5】
前記指定金種が前記特定金種でない場合、
前記指定金種の指定硬貨を、前記指定金種に対応する前記金種別排出部と前記第1特別排出部とに振り分けて搬送することを特徴とする請求項4に記載の硬貨処理機。
【請求項6】
前記硬貨タイプと前記排出部との対応関係を示す表示手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の硬貨処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を選別計数する硬貨処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨を一枚ずつに分離して繰り出し搬送し、真偽を識別して、真の硬貨であると識別された硬貨を更に搬送して、金種別の振分部を介して選別する硬貨処理機が知られている(特許文献1)。
また、識別に際して、真の硬貨と識別されなかった硬貨を、振分部の前段でリジェクト箱へと振り分け、真の硬貨であると識別された硬貨であって流通には適さない汚損貨を、更に識別して、金種別の振分部より前段にある汚損貨専用の振分部で振り分ける硬貨処理機も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3405644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の硬貨処理機では、硬貨の振分条件の設定に限りがあり、硬貨の振分条件の融通性を高める余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、振分条件を多様に設定でき、取り扱いの容易な硬貨処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決する手段は、次のとおりである。
(1)本発明の一態様に係る硬貨処理機は、識別結果に基づいて、複数の金種の硬貨を金種別に振り分けて異なる排出部に搬送する硬貨処理機であって、複数の前記金種のうちの特定金種の特定硬貨を硬貨タイプ別に更に振り分けて、設定された任意の排出部に搬送する。
(2)上記(1)において、前記排出部は、前記金種の数に対応する数で区画された金種別排出部と、第1特別排出部と、を備え、前記特定硬貨を前記硬貨タイプ別に振り分けて、前記金種別排出部と前記第1特別排出部とに搬送してよい。
(3)上記(2)において、前記排出部は、真の硬貨と識別されない前記硬貨が搬送される第2特別排出部を備え、前記特定硬貨を前記硬貨タイプ別に振り分けて、前記金種別排出部と、前記第1特別排出部と、前記第2特別排出部と、に搬送してよい。
(4)本発明の一態様に係る硬貨処理機は、識別結果に基づいて、複数の金種の硬貨を金種別に振り分けて異なる排出部に搬送する硬貨処理機であって、前記排出部は、前記金種の数に対応する数の金種別排出部と、第1特別排出部と、を備え、前記硬貨処理機は、金種指定手段を備え、前記金種指定手段は、指定された指定金種の入力を受け付け、前記指定金種が特定金種である場合、前記特定金種の硬貨タイプ別に前記排出部を選択させ、前記特定金種の特定硬貨を、選択された前記排出部に搬送するように設定する。
(5)上記(4)において、前記指定金種が前記特定金種でない場合、前記指定金種の指定硬貨を、前記指定金種に対応する前記金種別排出部と前記第1特別排出部とに振り分けて搬送してよい。
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記硬貨タイプと前記排出部との対応関係を示す表示手段を備えてよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、振分条件を多様に設定でき、取り扱いの容易な硬貨処理機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る硬貨処理機を説明する斜視図である。
図2】硬貨処理機の上部を説明する斜視図である。
図3】硬貨処理機の下部を説明する斜視図である。
図4】硬貨処理機の構成を説明する概略図である。
図5】表示部に表示される初期画面を説明する説明図である。
図6】表示部に表示される設定メニュー画面を説明する説明図である。
図7】表示部に表示される計数メニュー画面を説明する説明図である。
図8】表示部に表示される計数モード設定画面を説明する説明図である。
図9】表示部に表示される指定金種設定画面を説明する説明図である。
図10】表示部に表示される計数メニュー画面を説明する説明図である。
図11】表示部に表示される500円の取扱メニュー画面を説明する説明図である。
図12】表示部に表示される新500円の取扱設定画面を説明する説明図である。
図13】表示部に表示される旧黄500円の取扱設定画面を説明する説明図である。
図14】表示部に表示される旧白500円の取扱設定画面を説明する説明図である。
図15】表示部に表示される指定金種設定画面を説明する説明図である。
図16】表示部に表示される各種設定情報表示画面を説明する説明図である。
図17】表示部に表示される初期画面を説明する説明図である。
図18】振分条件が設定された硬貨処理機の構成を説明する概略図である。
図19】振分条件が設定された硬貨処理機の構成を説明する概略図である。
図20】振分条件が設定された硬貨処理機の構成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、図面を参照し、実施形態に係る硬貨処理機1を説明する。
【0010】
実施形態に係る硬貨処理機1は、入金口10から投入された複数の金種の硬貨Cを、識別結果に基づいて、金種別に振り分けて、異なる排出部70に搬送するものである。なお、金種とは、例えば、1円、5円、10円、50円、100円及び500円の6種類である。
【0011】
図1から図3に示すように、硬貨処理機1は、投入された硬貨Cを受け入れる入金口10と、開閉自在なカバー20と、リジェクト箱79と、返却箱49と、ユーザがシュート80に取り付けられた不図示の収納袋又は硬貨収納ケースにアクセスするための開口を開閉自在に覆う収納扉50と、を有している。
【0012】
入金口10は、漏斗状に上方に開口している。入金口10の下方には、回転盤62に硬貨Cを送り込むための供給盤61が配置されている。
【0013】
カバー20は、図2に示すように、硬貨Cを供給盤61から取込部63に繰り出す回転盤62、硬貨Cを1枚ずつ分離する取込部63、硬貨Cを識別する第1搬送部64及び硬貨Cを金種別に振り分ける第2搬送部65を、閉状態において覆うことが可能になっている。そして、カバー20は、図2に示すような開状態において、取込部63、回転盤62、第1搬送部64及び第2搬送部65を露出可能になっている。カバー20は、通常、図1に示すような閉状態で、管理者(以下、ユーザともいう。)によって解除可能にロックされているが、必ずしも、これに限るものではない。
【0014】
リジェクト箱79は、偽硬貨等、硬貨処理機1によって計数又は収納を却下された硬貨Cを排出するケースである。リジェクト箱79は、第1搬送部64から分岐した第2特別排出部70C(図4参照)の下方に設けられている。リジェクト箱79は、通常、閉状態で、管理者によって解除可能にロックされているが、硬貨処理機1の停止時は、ロック解除されて、リジェクト箱79に排除された偽硬貨等を取り出しやすく制御されている。
【0015】
一時庫40は、確定操作前の硬貨Cを一時的に貯留する部分である。一時庫40は、ユーザに返却される硬貨Cを排出する部分でもあり、返却の際は、一時庫40から返却箱49に一時貯留した硬貨Cが放出される。このため、返却箱49は、通常動作時は、取り出し不可のロック状態にあり、一時庫40から返却箱49に返却されたのち、ロックが解除されて、返却箱49内に返却された硬貨を回収できるようになっている。
一時庫40は、第2搬送部65の下方に設けられている。
一時庫40は、図4に示すように、金種別に、1円用一時収容ケース41、50円用一時収容ケース42、5円用一時収容ケース43、100円用一時収容ケース44、10円用一時収容ケース45、500円用一時収容ケース46に分けられている。1円用一時収容ケース41、50円用一時収容ケース42、5円用一時収容ケース43、100円用一時収容ケース44、10円用一時収容ケース45及び500円用一時収容ケース46は、それぞれ、この順で、第2搬送部65に通じる金種別排出部70Aの下方に、硬貨Cの搬送方向に沿って並んで設けられている。1円用一時収容ケース41、50円用一時収容ケース42、5円用一時収容ケース43、100円用一時収容ケース44、10円用一時収容ケース45及び500円用一時収容ケース46の下方には、それぞれに対応して、一時庫40に一時的に収容された硬貨Cを収納袋90に送るためのシュート80が配置されている。
なお、一時庫40を省略して、硬貨Cを金種別排出部70Aから直接的にシュート80に送るようにしてもよい。
そして、シュート80を通じて、金種別の一時庫40からの硬貨Cは、対応する金種別の収納袋90(91~96)に収納される。収納袋90(91~96)は、1円用収納袋91、50円用収納袋92、5円用収納袋93、100円用収納袋94、10円用収納袋95、及び、500円用収納袋96を含んでいる。
【0016】
収納扉50は、図3に示すように、閉状態において、金種別に振り分けられた硬貨Cのシュート80を覆うことが可能になっている。なお、シュート80は、一時庫40に収容された金種別の一時収容ケースの内部と、それぞれの金種別の一時収容ケースの下方に取り付けられる不図示の収納袋(収納できる硬貨Cの枚数に応じて、大袋又は小袋ともいう。)又は硬貨収納ケースの内部との連通状態を開閉するものであってよい。そして、収納扉50は、開状態において、シュート80を露出可能になっている。収納扉50は、通常、閉状態で、管理者によって解除可能にロックされている。
【0017】
次に、硬貨処理機1の作用及び機能を、図1から図4を用いて、硬貨Cの流れに沿って説明する。
ユーザによって入金口10に投入された複数の金種の硬貨Cは、入金口10の下方に配置された供給盤61に落下する。
【0018】
供給盤61に落下した硬貨Cは、供給盤61により、回転盤62に送り込まれる。
【0019】
供給盤61から送り込まれた硬貨Cは、回転盤62の回転により、1枚ずつ分離した状態で、取込部63に繰り出される。
【0020】
取込部63に繰り出された硬貨Cは、1枚ずつ第1搬送部64に送られる。
【0021】
取込部63から送られた硬貨Cは、第1搬送部64に設けられた公知の手段である不図示の識別部により、硬貨Cの真偽、金種、汚損状態、又は、硬貨タイプ等が識別される。そして、識別された硬貨Cは、公知の手段である不図示のリジェクト振分部により、真偽に振り分けられる。ここで、識別部で真であると識別されなかった(又は偽であると識別された)硬貨Cは、リジェクト振分部で振り分けられて、第2特別排出部70Cを通り、リジェクト箱79へ送られる。識別部で真であると識別された硬貨Cは、リジェクト振分部から第2搬送部65に送られる。なお、硬貨タイプとは、同じ金種の硬貨Cであって、構造、形状、材質、模様等が物理的に異なる仕様のものである。例えば、500円硬貨の硬貨タイプは、発行時期の違いにより、白銅貨タイプ、ニッケル黄銅貨タイプ、及び、白銅で銅を挟んだものを内側としニッケル黄銅を外側とするバイカラークラッド貨タイプの3種類ある。
【0022】
第1搬送部64から送られた硬貨Cは、第2搬送部65により、公知の手段を利用して、金種別に振り分けられる。具体的には、第2搬送部65は、例えば、金種別に外径の異なる硬貨Cを小さい順に分岐させて振り分ける分岐部を、第2搬送部65における搬送方向に沿って順に設けている。第2搬送部65に設けられた各分岐部は、第2搬送部65における搬送方向に沿って配置された金種別排出部70A(排出部70)に連通している。
【0023】
排出部70は、金種の数に対応する数で区画された金種別排出部70Aを有している。
金種別排出部70Aは、第2搬送部65における搬送方向に沿って、分岐部に対応する位置に配置されている。金種別排出部70Aは、例えば、1円用金種別排出部71、50円用金種別排出部72、5円用金種別排出部73、100円用金種別排出部74、10円用金種別排出部75、及び、500円用金種別排出部76を含んでいる。1円用金種別排出部71、50円用金種別排出部72、5円用金種別排出部73、100円用金種別排出部74、10円用金種別排出部75、及び、500円用金種別排出部76は、第2搬送部65における搬送方向に沿って、この順で並んでいる。金種別排出部70Aで区画される数は、金種の数に対応して、例えば、6である。
【0024】
また、排出部70は、金種の数に対応する数で区画された金種別排出部70Aと、第1特別排出部70Bと、を備えている。すなわち、硬貨処理機1は、金種別排出部70Aが配置されている位置とは別の位置に、第1特別排出部70Bを配置している。例えば、金種別排出部70Aは、一時庫40の上方に配置されている。第1特別排出部70Bは、金種別排出部70Aの上流側に並んで一時庫40の上方に配置されている。
【0025】
第1特別排出部70Bは、例えば、硬貨Cを識別する第1搬送部64に設けられた識別部(不図示)で、汚損貨であると識別された硬貨Cを通す部分である。第1搬送部64の識別部で汚損貨と識別された硬貨Cは、金種別排出部70Aには向かわず、第1特別排出部70Bを通り、汚損貨一時収容部48へと送られる。
そして、硬貨処理機1は、後述するように、特定硬貨を硬貨タイプ別に振り分けて、金種別排出部70Aと第1特別排出部70Bとに搬送できるようになっている。これにより、同じ金種で硬貨タイプが複数ある場合、硬貨Cを、硬貨タイプ別に、金種別排出部70Aと第1特別排出部70Bとに振り分けて搬送することができる。よって、金種別排出部70Aとは異なる排出部70である第1特別排出部70Bを利用して、同じ金種で硬貨タイプの異なる硬貨Cを振り分けることができる。
なお、汚損貨一時収容部48へと送られた硬貨Cは、金種別の一時庫40に一時貯留された硬貨Cとともに、返却の際には、一括して返却箱49へ、または、収納の際には、一括してシュート80を介して金種別の収納袋90(91~96)ないしは汚損収納袋98へ導かれるようになっている。
【0026】
また、排出部70は、金種の数に対応する数で区画された金種別排出部70Aと、第2特別排出部70Cと、を備えている。すなわち、硬貨処理機1は、金種別排出部70Aが配置されている位置とは別の位置に、第2特別排出部70Cを配置している。例えば、金種別排出部70Aは、一時庫40の上方に配置されており、第2特別排出部70Cは、リジェクト箱79の上方に配置されている。
【0027】
第2特別排出部70Cは、第1搬送部64の識別部で真であると識別されなかった(又は偽であると識別された)硬貨Cを、リジェクト振分部で振り分けた後に、通す部分であってよい。第1搬送部64の識別部で真であると識別されなかった(又は偽であると識別された)硬貨Cは、リジェクト振分部で振り分けられて、第2搬送部65には向かわず、第2特別排出部70Cを通り、リジェクト箱79へと送られる。
そして、硬貨処理機1は、後述するように、特定硬貨を硬貨タイプ別に振り分けて、金種別排出部70Aと第2特別排出部70Cとに搬送できるようになっている。これにより、同じ金種で硬貨タイプが複数ある場合、硬貨Cを、硬貨タイプ別に、金種別排出部70Aと第2特別排出部70Cとに振り分けて搬送することができる。よって、金種別排出部70Aとは異なる排出部70である第2特別排出部70Cを利用して、同じ金種で硬貨タイプの異なる硬貨Cを振り分けることができる。
【0028】
第2搬送部65によって金種別に振り分けられた硬貨Cは、金種別排出部70Aを通じて、一時庫40に到達する。一時庫40には、金種別排出部70Aの下方の、金種別の1円用金種別排出部71から500円用金種別排出部76に対応する位置に、それぞれ、1円用一時収容ケース41から500円用一時収容ケース46が設けられている。よって、第2搬送部65によって金種別に振り分けられた硬貨Cは、金種別排出部70Aを通じて、金種別に、1円用一時収容ケース41から500円用一時収容ケース46のいずれかに振り分けられて収容される。
【0029】
金種別に1円用一時収容ケース41から500円用一時収容ケース46に収容された硬貨Cは、適宜、シュート80を通じて、金種別の収納袋90(又は収納ケース)に移動させて収納することができる。なお、収納袋90は、シュート80に対して着脱自在になっている。収納袋90に収納された硬貨Cは、硬貨Cが収納された収納袋90をシュート80から取り外して、収納袋90ごと回収することができる。なお、収納袋90には、例えば、容量(収納できる硬貨Cの枚数)の異なる小袋又は大袋がある。収納袋90の容量は、金種が異なっていても、同じものを用いてよい。収納袋90に収納できる硬貨Cの枚数は、金種別(例えば、大袋の場合、2000枚(500円硬貨)、5000枚(1円硬貨)、4000枚(その他硬貨)、小袋の場合、500枚(500円硬貨)、1000枚(その他金種))に規定されている。
このようにして、入金口10に投入された複数の金種の硬貨Cを、少なくとも、リジェクト箱79に排出し又は金種別に異なる収納袋90に収納して、回収することができる。
【0030】
ここで、硬貨処理機1は、複数の金種のうちの特定金種の特定硬貨を硬貨タイプ別に更に振り分けて、設定された任意の排出部70に搬送する。なお、特定金種とは、例えば、500円である。なお、特定硬貨とは、例えば、特定金種が500円である場合、500円硬貨である。詳細には、硬貨処理機1は、例えば、特定金種の特定硬貨である500円硬貨を、白銅貨タイプ、ニッケル黄銅貨タイプ、及び、バイカラークラッド貨タイプの3種類の硬貨タイプ別に振り分けるように設定できる。
このように、ユーザは、硬貨処理機1を、複数の金種のうちの特定金種の特定硬貨を硬貨タイプ別に更に振り分けて、任意の排出部70に搬送するように設定できる。これにより、硬貨処理機1は、同じ金種であっても、硬貨タイプ別に計数でき、収納できる。よって、硬貨処理機1による振分条件を多様に設定でき、硬貨処理機1の取り扱いを容易にできる。
【0031】
硬貨処理機1は、特定硬貨を硬貨タイプ別に振り分けて、金種別排出部70Aと第1特別排出部70Bと第2特別排出部70Cとに搬送してもよい。これにより、特定硬貨の硬貨タイプが複数あった場合、その複数タイプを任意の組み合わせで、金種別排出部70Aと第1特別排出部70Bと第2特別排出部70Cとに振り分けて搬送することができる。例えば、特定硬貨の硬貨タイプが3タイプあった場合、特定硬貨をそれぞれ異なる場所に振り分けて搬送することができる。よって、特定硬貨を硬貨タイプ別に独立して計数及び収納することができる。
【0032】
詳細には、硬貨処理機1を、例えば、バイカラークラッド貨タイプの新500円硬貨を、金種別排出部70Aのうちの一つである、500円用金種別排出部76に搬送し、白銅貨タイプの旧白500円硬貨及びニッケル黄銅貨タイプの旧黄500円硬貨を、リジェクト箱79に向かう途中にある第2特別排出部70Cに搬送するように設定する。
このように、ユーザは、硬貨処理機1を、特定硬貨を硬貨タイプ別に振り分けて、金種別排出部70Aと第1特別排出部70Bと第2特別排出部70Cとに搬送するように設定できる。これにより、特定金種の特定硬貨を硬貨タイプ別に振り分けて、金種別排出部70Aとは異なる位置に配置された第1特別排出部70Bと第2特別排出部70Cとに振り分けることができる。よって、例えば、新500円硬貨のみを500円用金種別排出部76に送って計数及び収納でき、旧白500円硬貨及び旧黄500円硬貨をリジェクト箱79に送って計数及び収納できる。
【0033】
(表示画面)
次に、硬貨処理機1の操作手順の一例を挙げて、表示部100に表示される表示画面に沿って、表示部100に備わる金種指定手段200及び表示手段300の作用を説明する。
【0034】
硬貨処理機1は、図5に示すように、表示部100を備えていてよい。表示部100は、主に、硬貨処理機1に設定された振分条件を含む情報を表示する。表示部100は、ユーザによる指定金種等の入力を受け付ける、いわゆるタッチパネル式のグラフィカルユーザーインターフェイスであってよい。表示部100は、少なくとも、ユーザによる指定金種の入力をし易くするために、複数の金種を表示できるようになっていてよい。
硬貨処理機1は、ユーザが指定する、指定された指定金種(例えば、500円)の入力を受け付け、指定金種が特定金種(例えば、500円)である場合、特定金種の硬貨タイプ別に排出部70を選択させ、特定金種の特定硬貨を、選択された排出部70に搬送するように設定する金種指定手段200を備えている。なお、金種指定手段200は、表示部100に設けられていてよい。
また、硬貨処理機1は、硬貨タイプと排出部70との対応関係を示す表示手段300を備えている。なお、表示手段300は、表示部100に設けられていてよい。
【0035】
まず、図5に示すように、表示部100は、初期画面110を表示する。初期画面110には、金種別に、収納袋90(91~96)に収容されている硬貨Cの枚数(ここでは、全て0枚)が表示されている。また、初期画面110には、「設定」、「金額」、「表示切替」、「情報」のそれぞれのボタン(アイコン)が表示されている。
初期画面には、囲み線Aで示すように、汚損貨一時収容部48に対応する収納袋90に収容される硬貨タイプの種類と、収容されているその硬貨タイプの硬貨Cの枚数(ここでは、硬貨タイプは100円硬貨であり、収容されている枚数は0枚)を表示させてもよい。また、初期画面には、囲み線Bで示すように、すべての金種の収納袋90(91~96)と汚損収納袋98とに収容されている硬貨Cの合計の枚数(ここでは、0枚)を表示させてもよい。
【0036】
ユーザが初期画面110の「設定」ボタンを押すと、表示部100は、図6に示すように、設定メニュー画面111を表示する。
設定メニュー画面111には、「計数」、「装置」、「保守員モード」、「戻る」のそれぞれのボタンが表示されている。ここで、ユーザが「戻る」ボタンを押すと、表示部100は、図5に示すように、初期画面110を表示する。
【0037】
ユーザが設定メニュー画面111の「計数」ボタンを押すと、表示部100は、図7に示すように、計数メニュー画面112を表示する。
計数メニュー画面112には、「計数モード」、「指定金種」、「500円の取扱」、「汚損貨機能」、「バッチモード」、「ローカルモード」、「戻る」のそれぞれのボタンが表示されている。ここで、ユーザが「戻る」ボタンを押すと、表示部100は、図6に示すように、設定メニュー画面111を表示する。
【0038】
ユーザが計数メニュー画面112の「計数モード」ボタンを押すと、表示部100は、図8に示すように、計数モード設定画面113を表示する。
計数モード設定画面113には、第1特別排出部70Bに振り分けられて汚損貨一時収容部48ないしは汚損収納袋98に収容する硬貨Cの金種(ここでは、汚損貨)を、「現在の設定」という枠表示の中に表示している。また、計数モード設定画面113には、「汚損貨」、「指定金種」、「戻る」のそれぞれのボタンが表示されている。ここで、ユーザが「戻る」ボタンを押すと、表示部100は、図7に示すように、計数メニュー画面112を表示する。
ここで、「現在の設定」に汚損貨が設定されると、硬貨処理機1は、汚損貨を第1特別排出部70Bに振り分けて、汚損貨一時収容部48ないしは汚損収納袋98に収容できるようにする。
【0039】
ユーザが計数モード設定画面113の「指定金種」ボタンを押すと、表示部100は、図9に示すように、指定金種設定画面114を表示する。
指定金種設定画面114には、第1特別排出部70Bに振り分けられて汚損貨一時収容部48に収容する硬貨Cの金種(ここでは、500円硬貨)を、「現在の設定」という枠表示の中に表示している。また、指定金種設定画面114には、「500円」、「100円」、「50円」、「10円」、「5円」、「1円」、「戻る」のそれぞれのボタンが表示されている。ユーザは、これらのボタンの中から一つのボタンを選択して押すことができる。ここで、例えば、「500円」が選択された状態で、ユーザが「戻る」ボタンを押すと、表示部100は、「現在の設定」という枠表示の中に「500円」と表示された計数モード設定画面113を表示する。
ここで、「現在の設定」に500円が設定されると、硬貨処理機1は、500円硬貨を第1特別排出部70Bに振り分けて、汚損貨一時収容部48に収容できるようにする。以下、他の金種が設定された場合も同様に、例えば、「現在の設定」に1円が設定されると、硬貨処理機1は、1円硬貨を第1特別排出部70Bに振り分けて、汚損貨一時収容部48に収容できるようにする。
【0040】
ところで、図10に示すように、計数メニュー画面112に戻り、ユーザが「500円の取扱」ボタンを押すと、表示部100は、図11に示すように、500円の取扱メニュー画面115を表示する。500円の取扱メニュー画面115には、「新500円」、「旧黄500円」、「旧白500円」、「戻る」のそれぞれのボタンが表示されている。ユーザは、これらのボタンの中から一つのボタンを選択して押すことができる。ここで、ユーザが「戻る」ボタンを押すと、表示部100は、図10に示すように、計数メニュー画面112を表示する。
このように、硬貨処理機1の表示部100に設けられる金種指定手段200は、ユーザが指定する、指定された指定金種(例えば、500円)の入力を受け付ける。
【0041】
ユーザが500円の取扱メニュー画面115の「新500円」ボタンを押すと、表示部100は、図12に示すように、新500円取扱設定画面116を表示する。新500円取扱設定画面116には、(金種別排出部70Aに含まれる500円用金種別排出部76の下方にある)500円用一時収容ケース46、(第1特別排出部70Bの下方にある)汚損貨一時収容部48又は(第2特別排出部70Cの下方にある)リジェクト箱79の中から選択された新500円硬貨の振り分け先(ここでは、500円用一時収容ケース46を「500円袋」と略して表示している。)を、「現在の設定」という枠表示の中に表示している。また、新500円取扱設定画面116には、500円用一時収容ケース46に対応する「500円袋」、汚損貨一時収容部48に対応する「汚損収納袋」、リジェクト箱79に対応する「リジェクト」、「戻る」のそれぞれのボタンが表示されている。ユーザは、これらのボタンの中から一つのボタンを選択して押すことができる。ここで、ユーザが「戻る」ボタンを押すと、表示部100は、図11に示す500円の取扱メニュー画面115を表示する。
ここで、「現在の設定」に500円袋が設定されると、硬貨処理機1は、新500円硬貨を500円用金種別排出部76に振り分けて、500円用一時収容ケース46に収容できるようにする。以下、同様に、「現在の設定」に汚損収納袋が設定されると、硬貨処理機1は、新500円硬貨を第1特別排出部70Bに振り分けて、汚損貨一時収容部48に収容できるようにする。「現在の設定」にリジェクトが設定されると、硬貨処理機1は、新500円硬貨を第2特別排出部70Cに振り分けて、リジェクト箱79に収容できるようにする。
【0042】
ところで、図11に示す500円の取扱メニュー画面115に戻り、ユーザが「旧黄500円」ボタンを押すと、表示部100は、図13に示すように、旧黄500円取扱設定画面117を表示する。旧黄500円取扱設定画面117には、500円用一時収容ケース46、汚損貨一時収容部48又はリジェクト箱79の中から選択された旧黄500円硬貨の振り分け先(ここでは、500円用一時収容ケース46を「500円袋」と略して表示している。)を、「現在の設定」という枠表示の中に表示している。また、旧黄500円取扱設定画面117には、500円用一時収容ケース46に対応する「500円袋」、汚損貨一時収容部48に対応する「汚損収納袋」、リジェクト箱79に対応する「リジェクト」、「戻る」のそれぞれのボタンが表示されている。ユーザは、これらのボタンの中から一つのボタンを選択して押すことができる。ここで、ユーザが「戻る」ボタンを押すと、表示部100は、図11に示す500円の取扱メニュー画面115を表示する。
ここで、「現在の設定」に500円袋が設定されると、硬貨処理機1は、旧黄500円硬貨を500円用金種別排出部76に振り分けて、500円用一時収容ケース46に収容できるようにする。以下、同様に、「現在の設定」に汚損収納袋が設定されると、硬貨処理機1は、旧黄500円硬貨を第1特別排出部70Bに振り分けて、汚損貨一時収容部48に収容できるようにする。「現在の設定」にリジェクトが設定されると、硬貨処理機1は、旧黄500円硬貨を第2特別排出部70Cに振り分けて、リジェクト箱79に収容できるようにする。
【0043】
また、図11に示す500円の取扱メニュー画面115に戻り、ユーザが「旧白500円」ボタンを押すと、表示部100は、図14に示すように、旧白500円取扱設定画面118を表示する。旧白500円取扱設定画面118には、500円用一時収容ケース46、汚損貨一時収容部48又はリジェクト箱79の中から選択された旧白500円硬貨の振り分け先(ここでは、500円用一時収容ケース46を「500円袋」と略して表示している。)を、「現在の設定」という枠表示の中に表示している。また、旧白500円取扱設定画面118には、500円用一時収容ケース46に対応する「500円袋」、汚損貨一時収容部48に対応する「汚損収納袋」、リジェクト箱79に対応する「リジェクト」、「戻る」のそれぞれのボタンが表示されている。ユーザは、これらのボタンの中から一つのボタンを選択して押すことができる。ここで、ユーザが「戻る」ボタンを押すと、表示部100は、図11に示す500円の取扱メニュー画面115を表示する。
ここで、「現在の設定」に500円袋が設定されると、硬貨処理機1は、旧白500円硬貨を500円用金種別排出部76に振り分けて、500円用一時収容ケース46に収容できるようにする。以下、同様に、「現在の設定」に汚損収納袋が設定されると、硬貨処理機1は、旧白500円硬貨を第1特別排出部70Bに振り分けて、汚損貨一時収容部48に収容できるようにする。「現在の設定」にリジェクトが設定されると、硬貨処理機1は、旧白500円硬貨を第2特別排出部70Cに振り分けて、リジェクト箱79に収容できるようにする。
【0044】
このように、硬貨処理機1の表示部100に設けられる金種指定手段200は、ユーザが指定する、指定された指定金種(例えば、500円)の入力を受け付け(図10参照)、指定金種が特定金種(例えば、500円)である場合、特定金種の硬貨タイプ別(図11参照)に排出部70を選択させ(図12から図14参照)、特定金種の特定硬貨を、選択された排出部70に搬送するように設定できるようになっている。これにより、ユーザは、同じ金種で複数の硬貨タイプを有する特定金種であっても、硬貨タイプ別にユーザが指定する異なる排出部70に排出し、異なる収納袋90に収納できる。よって、硬貨処理機1の振分条件の設定を多様にでき、取り扱いを容易にできる。
【0045】
指定金種設定画面114に戻り、ユーザが「100円」ボタンを押すことで、図15に示すように、「現在の設定」に100円が設定されると、硬貨処理機1は、100円硬貨を第1特別排出部70Bに振り分けて、汚損貨一時収容部48に収容できるようにする。
【0046】
ここで、初期画面110(図5参照)に戻り、ユーザが「情報」ボタンを押すと、図16に示すように、表示部100は、硬貨タイプと排出部70との対応関係を示す各種設定情報表示画面119を表示する。
各種設定情報表示画面119は、右上に、指定金種設定画面114(図9参照)で指定金種に100円が選択されている場合の例を「計数モード 指定金種」、「指定金種設定 100円」として表示している。
また、各種設定情報表示画面119は、硬貨タイプと排出部70との対応関係を示す表示手段300を有している。表示手段300は、硬貨タイプと排出部70との対応関係を示している。詳細には、表示手段300は、各種設定情報表示画面119の右上に、硬貨タイプが3種類ある金種となる500円について、新500円硬貨を500円用一時収容ケース46(金種別排出部70Aのうちの一つである500円用金種別排出部76)に振り分け、旧黄500円硬貨を500円用一時収容ケース46(金種別排出部70Aのうちの一つである500円用金種別排出部76)に振り分け、旧白500円硬貨をリジェクト箱79(第2特別排出部70C)に振り分ける設定がされている場合の例を表示している。
このように、硬貨処理機1は、硬貨タイプと排出部70との対応関係を示す表示手段300を備えている。これにより、ユーザは、硬貨処理機1に現在設定されている振分条件を簡単に把握することができる。
【0047】
各種設定情報表示画面119は、図16に示すように、各金種別の硬貨Cについて、汚損貨として検出する汚損レベルを段階的に表示してもよい。
また、各種設定情報表示画面119は、図16に示すように、各金種別の硬貨Cについて、収納袋90に収納可能な最大枚数を表示してもよい。
【0048】
所定の振分条件を設定し、硬貨処理機1を稼働して硬貨Cを収容した後、初期画面110を表示すると、図17に示すように、初期画面110には、金種別に、収納袋90(91~96)に収容されている硬貨Cの枚数(ここでは、1円用収納袋91に2500枚、50円用収納袋92に3000枚、5円用収納袋93に3000枚、100円用収納袋94に2000枚、10円用収納袋95に600枚、500円用収納袋96に1000枚)が表示されている。
また、初期画面には、囲み線AAで示すように、汚損収納袋98に収容される硬貨タイプの種類と、収容されているその硬貨タイプの硬貨Cの枚数(ここでは、硬貨タイプは汚損貨であり、収容されている枚数は21枚)を表示させてもよい。また、初期画面には、囲み線BBで示すように、収納袋90及び汚損収納袋98に収容されている硬貨Cの合計の枚数(ここでは、12121枚)を表示させてもよい。
【0049】
(振分条件の例)
次に、硬貨処理機1に設定された振分条件の例を、図18から図20を用いて説明する。
図18に示すように、硬貨処理機1には、新500円硬貨を金種別排出部70Aのうちの一つである500円用金種別排出部76に振り分け、旧黄500円硬貨及び旧白500円硬貨を第1特別排出部70Bに振り分ける振分条件が設定されている。
【0050】
ここで、500円用の収納袋90の最大枚数が、大袋設定である2000枚である場合、硬貨処理機1によって計数された新500円硬貨の枚数が2000枚に達するか、あるいは、計数された旧黄500円硬貨と旧白500円硬貨との合計が2000枚に達すると、硬貨処理機1は、硬貨Cの識別、計数及び振り分けの動作を中断し、ユーザに対して、その2000枚に達した収納袋90の交換を促す情報を表示部100に表示する。
【0051】
そして、空の収納袋90が再設定されると、硬貨処理機1は、識別、計数及び振り分けの動作袋検知信号の確認を経て、識別、計数及び振り分けの動作を再開するか否かの確認画面を表示部100に表示する。
【0052】
これらに対して、硬貨処理機1は、指定金種設定画面114において、特定金種でない、500円以外の金種が選択されると、選択された金種の硬貨Cを、その金種に対応する金種別排出部70Aに搬送するように制御する。
したがって、図19に示すように、例えば、指定金種が100円である場合、硬貨処理機1は、100円硬貨が収納袋90の最大収容枚数である4000枚(大袋の場合)に達するまでは、100円硬貨を100円用金種別排出部74に排出するように制御する。そして、100円用金種別排出部74から排出された100円硬貨は、適宜100円用一時収容ケース44を経て、対応する収納袋90(100円用収納袋)に収納される。
そして、100円用金種別排出部74へ排出された(計数された)100円硬貨の枚数が4000枚に達すると、図20に示すように、硬貨処理機1は、100円硬貨の搬送先を切り替えて、4001枚目以降の100円硬貨を、第1特別排出部70Bに排出するように制御する。そして、第1特別排出部70Bから排出された100円硬貨は、適宜、汚損貨一時収容部48を経て、対応する収納袋90(汚損収納袋)に収納される。
【0053】
すなわち、硬貨処理機1は、指定金種(上記例では、100円)が特定金種(上記例では、500円)でない場合、指定金種の指定硬貨(上記例では、100円硬貨)を、指定金種に対応する金種別排出部70A(上記例では、100円用金種別排出部74)と第1特別排出部70Bとに振り分けて搬送する。このように、硬貨Cを、ユーザの要望に沿って、更に細かく振り分ける制御をすることができる。よって、使い勝手のよい硬貨処理機1を提供できる。
【0054】
以上説明したように、実施形態に係る硬貨処理機1は、識別結果に基づいて、複数の金種の硬貨Cを金種別に振り分けて異なる排出部70に搬送する。硬貨処理機1は、複数の金種のうちの特定金種の特定硬貨を硬貨タイプ別に更に振り分けて、設定された任意の排出部に搬送する。これにより、硬貨処理機1は、同じ金種で複数の硬貨タイプを有する特定金種であっても、硬貨タイプ別にユーザが指定する異なる排出部70に排出し、異なる収納袋90に収納できる。よって、硬貨処理機1の振分条件の設定を多様にでき、取り扱いを容易にできる。
【0055】
また、実施形態に係る硬貨処理機1は、識別結果に基づいて、複数の金種の硬貨Cを金種別に振り分けて異なる排出部70に搬送する。排出部70は、金種の数に対応する数の金種別排出部70Aと、第1特別排出部70Bと、を備えている。硬貨処理機1は、金種指定手段200を備えている。金種指定手段200は、指定された指定金種の入力を受け付け、指定金種が特定金種である場合、特定金種の硬貨タイプ別に排出部70を選択させ、特定金種の特定硬貨を、選択された排出部70に搬送するように設定する。これにより、ユーザは、同じ金種で複数の硬貨タイプを有する特定金種であっても、硬貨タイプ別にユーザが指定する異なる排出部70に排出し、異なる収納袋90に収納するように設定できる。よって、硬貨処理機1の振分条件の設定を多様にでき、取り扱いを容易にできる。
【0056】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記したとおり、汚損貨一時収容部48を含めた一時庫40は、必須の要件ではない。
一時庫40は、少量の硬貨群を選別計数する際に、既に収納袋90(又は収納ケース)に収納されている硬貨群とは一緒にならないように分けて計数し、その計数結果を確認してから、収納指示することで、一時庫40の硬貨群を、シュート80を介して収納袋90(又は収納ケース)に収納させるようにするものである。したがって、一時庫40が設けられる場合には、表示部100には、少量の硬貨群を選別計数した直後には、その計数結果が表示されるものであり、収納指示した後には、収納袋90(又は収納ケース)に既に収納済みの硬貨量と選別計数した計数結果の合算された金種別の硬貨量が表示されるようになっていても良い。
さらには、振分条件の設定により、収納袋90(又は収納ケース)への収納量の制限が課せられているときには、金種別に、既に収納袋90(又は収納ケース)に収納済みの硬貨量と、選別計数して一時庫40に一時貯留した硬貨量の合算値が、振分条件の設定値である制限値に一致することで、当該時点の硬貨の選別計数が中断されて、一時貯留硬貨の収納袋90(又は収納ケース)への収納及び既定の収納量に達した収納袋90(又は収納ケース)の取り出しと、新たな空の収納袋90(又は収納ケース)の装着が表示部100に表示されるようになっていても良い。
【0057】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 硬貨処理機
10 入金口
40 一時庫
41 1円用一時収容ケース
42 50円用一時収容ケース
43 5円用一時収容ケース
44 100円用一時収容ケース
45 10円用一時収容ケース
46 500円用一時収容ケース
48 汚損貨一時収容部
49 返却箱
61 供給盤
62 回転盤
63 取込部
64 第1搬送部
65 第2搬送部
70 排出部
70A 金種別排出部
70B 第1特別排出部
70C 第2特別排出部
71 1円用金種別排出部
72 50円用金種別排出部
73 5円用金種別排出部
74 100円用金種別排出部
75 10円用金種別排出部
76 500円用金種別排出部
79 リジェクト箱
80 シュート
90 収納袋
91 1円用収納袋
92 50円用収納袋
93 5円用収納袋
94 100円用収納袋
95 10円用収納袋
96 500円用収納袋
98 汚損収納袋
C 硬貨
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20