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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124019
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20230830BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230830BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/44
A61Q19/00
A61K8/86
A61K8/891
A61K8/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027551
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】390041036
【氏名又は名称】株式会社日本色材工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴広
(72)【発明者】
【氏名】山口 和弘
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB352
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD222
4C083AD242
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD572
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD662
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】ニコチン酸アミドによるべたつきを抑え、かつ水中油型乳化化粧料の乳化安定性を高める水中油型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有する水中油型乳化化粧料であって、成分(A)は、ニコチン酸アミドであり、成分(B)は、二価アルコ-ルであり、成分(C)は、ポリグリセリン脂肪酸エステルであり、成分(A)の配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して1質量%以上10質量%以下であり、成分(C)のHLB値は、7以上14以下であり、成分(C)の配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して0.5質量%以上5.0質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有する水中油型乳化化粧料であって、
前記成分(A)は、ニコチン酸アミドであり、
前記成分(B)は、二価アルコ-ルであり、
前記成分(C)は、ポリグリセリン脂肪酸エステルであり、
前記成分(A)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して1質量%以上10質量%以下であり、
前記成分(B)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して25質量%以下であり、
前記成分(C)のHLB値は、7以上14以下であり、
前記成分(C)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して0.5質量%以上6.2質量%以下である、
水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(D)と成分(E)とをさらに含有し、
前記成分(D)は、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤であり、
前記成分(E)は、高級アルコ-ルであり、
前記成分(D)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して0.05質量%以上5.0質量%以下である
請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(F)をさらに含有し、
前記成分(F)は、ジメチコンであり、
前記成分(F)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して0.2質量%以上8.0質量%以下であり、
前記成分(F)の粘度は、15mPa・s以上150mPa・s以下である
請求項2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
フェノキシエタノ-ルおよびエタノ-ルを含有せず、
成分(G)をさらに含有し、
前記成分(G)は、アルキルグリセロ-ルであり、
前記成分(G)の配合量は、0.05質量%以上0.15質量%以下である
請求項3に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン酸アミドを含有する水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン酸アミドは、シワ、小ジワ、ムラ、ハリなどの加齢によって衰える肌状態を改善する成分として注目される。ニコチン酸アミドを含有する水中油型乳化化粧料の一例は、イソドテカンやイソヘキサデカンなどの重量平均分子量が100以上1000以下の分岐鎖炭化水素を含有し、これによって、(a)ニコチン酸アミドによるべたつきを抑える(例えば、特許文献1を参照)。(a)ニコチン酸アミドによるべたつきを抑える水中油型乳化化粧料の他の例は、5.5以下のHLBを有したポリグリセリン脂肪酸エステルと、アニオン性界面活性剤とを含有する(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003-502435号公報
【特許文献2】特許6921288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、ニコチン酸アミドを含有する水中油型乳化化粧料は、(a)ニコチン酸アミドによるべたつきを抑えることの他、(b)水中油型乳化化粧料の乳化安定性を高めることも要求される。上述したように、5.5以下のHLBを有したポリグリセリン脂肪酸エステルと、アニオン性界面活性剤とを含有する構成は、(a)ニコチン酸アミドによるべたつきを抑えることは可能であるが、(b)水中油型乳化化粧料の乳化安定性が十分であるとはいえない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための水中油型乳化化粧料は、成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有する水中油型乳化化粧料である。前記成分(A)は、ニコチン酸アミドであり、前記成分(B)は、二価アルコ-ルであり、前記成分(C)は、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。前記成分(A)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して1質量%以上10質量%以下であり、前記成分(B)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して25質量%以下であり、前記成分(C)のHLB値は、7以上14以下であり、前記成分(C)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して0.5質量%以上5.0質量%以下である。
【0006】
上記水中油型乳化化粧料は、成分(D)と成分(E)とをさらに含有し、前記成分(D)は、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤であり、前記成分(E)は、高級アルコ-ルであってもよい。前記成分(D)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して0.05質量%以上5.0質量%以下である。
【0007】
上記水中油型乳化化粧料は、成分(F)をさらに含有し、前記成分(F)は、ジメチコンであってもよい。前記成分(F)の配合量は、前記水中油型乳化化粧料の全量に対して0.2質量%以上8.0質量%以下であり、前記成分(F)の粘度は、15mPa・s以上150mPa・s以下である。
【0008】
上記水中油型乳化化粧料は、フェノキシエタノ-ルおよびエタノ-ルを含有せず、成分(G)をさらに含有し、前記成分(G)は、アルキルグリセロ-ルであり、前記成分(G)の配合量は、0.05質量%以上0.15質量%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
上記水中油型乳化化粧料は、(a)ニコチン酸アミドによるべたつきを抑え、かつ(b)水中油型乳化化粧料の乳化安定性を高める。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、水中油型乳化化粧料について説明する。
水中油型乳化化粧料は、成分(A)、成分(B)、および成分(C)を含有する。水中油型乳化化粧料は、成分(D)、成分(E)、成分(F)、および成分(G)を各別に独立して含有してもよい。水中油型乳化化粧料は、成分(A)~(G)の他に、保湿剤、アミノ酸、pH調整剤、ビタミン類、酸化防止剤、水溶性高分子、香料を含有してもよい。
【0011】
・成分(A):ニコチン酸アミド
・成分(B):二価アルコ-ル
・成分(C):ポリグリセリン脂肪酸エステル
・成分(D):N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤
・成分(E):高級アルコ-ル
・成分(F):ジメチコン
・成分(G):アルキルグリセロ-ル
【0012】
水中油型乳化化粧料の1つの形態は、下記効果(i)、(ii)、および(iii)を奏する。水中油型乳化化粧料の他の形態は、下記効果(i)~(iii)に加えて、さらに下記効果(iv)を奏する。
・効果(i):肌に与えるべたつきを抑える。
・効果(ii):肌に与えるハリあるいは弾力を高める。
・効果(iii):乳化安定性に優れる。
・効果(iv):刺激を抑える。
【0013】
[成分(A):ニコチン酸アミド]
ニコチン酸アミドは、ピリジン-3-カルボン酸アミドである。ニコチン酸アミドの一例は、ナイアシンアミドUSP PC(ロンザジャパン社製)、あるいはニコチン酸アミド(DSM社製)である。
【0014】
水中油型乳化化粧料が、効果(ii)の実効性を要求される場合、ニコチン酸アミドの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して1.0質量%以上であることが好ましい。水中油型乳化化粧料が、効果(i)の実効性を要求される場合、ニコチン酸アミドの配合量は、10.0質量%以下であることが好ましい。
【0015】
水中油型乳化化粧料が、効果(ii)の増強をさらに要求される場合、ニコチン酸アミドの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して3.0質量%以上が好ましく、4.0質量%以上であることがより好ましい。
【0016】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)の増強をさらに要求される場合、ニコチン酸アミドの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して8.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましい。
【0017】
[成分(B):二価アルコ-ル]
二価アルコ-ルは、炭素数が3以上5以下の脂肪族の二価アルコ-ルである。二価アルコ-ルの一例は、直鎖脂肪族アルコ-ルでもよいし、分岐脂肪族アルコ-ルでもよい。
【0018】
二価アルコ-ルは、1,3ブチレングリコ-ル、イソペンタン-2,3-ジオ-ル、1,2ペンタンジオ-ル、ジプロピレングリコ-ル、プロパンジオ-ルである。1,3ブチレングリコ-ルの一例は、1,3ブチレングリコ-ル-UK(ダイセル社製)、1,3-ブチレングリコ-ル-P(ネオケムKH株式会社製)、ハイシュガ-ケイン BG-R(高級アルコ-ル社製)である。イソペンタン-2,3-ジオ-ルの一例は、イソプレングリコ-ル-S(クラレ社製)である。ジプロピレングリコ-ルの一例は、ジプロピレングリコ-ルLo+(ダウ・ケミカル社製)である。プロパンジオ-ルの一例は、ZEMEA SELECT PROPANEDIOL(デュポン社製)である。
【0019】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)の実効性を要求される場合、二価アルコ-ルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して25質量%以下である。
水中油型乳化化粧料が、効果(ii)の実効性をさらに要求される場合、二価アルコ-ルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して6.0質量%以上である。
【0020】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)、(iii)の実効性を要求される場合、二価アルコ-ルの配合量は、20.0質量%以下である。
水中油型乳化化粧料が、効果(ii)の増強をさらに要求される場合、二価アルコ-ルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して8質量%以上が好ましく、9質量%以上がより好ましい。
【0021】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)、(iii)の増強を要求される場合、二価アルコ-ルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して15質量%以下が好ましく、12質量%以下であることがより好ましい。
【0022】
[成分(C):ポリグリセリン脂肪酸エステル]
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、直鎖不飽和脂肪酸、または分岐不飽和脂肪酸と、ポリグリセリンとのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルを生成するためのポリグリセリンの重合度は、4以上12以下である。ポリグリセリン脂肪酸エステルを生成するための不飽和脂肪酸の炭素数は、12以上18以下である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの一例は、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、あるいはイソステアリン酸ポリグリセリル-10である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの一例は、NIKKOL Hexaglyn 1-M(日光ケミカルズ社製)、NIKKOL Hexglyn 1-L(日光ケミカルズ社製)、Sフェイス IS-1001P(坂本薬品工業社製)である。
【0023】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)、(iii)を要求される場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、7以上である。水中油型乳化化粧料が、効果(i)、(iii)を要求される場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、14以下である。水中油型乳化化粧料が、効果(i)、(iii)の実効性をさらに要求される場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、8以上である。水中油型乳化化粧料が、効果(i)、(iii)を要求される場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、12以下である。
【0024】
水中油型乳化化粧料が、効果(iii)を要求される場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して0.5質量%以上である。水中油型乳化化粧料が、効果(i)の増強を要求される場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して1.0質量%以上であることが好ましく、1.7質量%以上であることがより好ましい。
【0025】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)を要求される場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して6.2質量%以下である。水中油型乳化化粧料が、効果(i)の増強を要求される場合、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して4.0質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以下であることがより好ましい。
【0026】
[成分(D):N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤]
N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤は、1級~3級のアミノ基とカルボキシル基を有する界面活性剤である。N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤は、N-アシルアミノ酸系界面活性剤、イミダゾリン系界面活性剤であるアミドアミノ酸系界面活性剤、アミノジ酢酸系界面活性剤を含む。N-アシルアミノ酸系界面活性剤は、アニオン界面活性剤を含む。
【0027】
アニオン界面活性剤は、D型アミノ酸とL型アミノ酸とを含むアミノ酸と、高級脂肪酸との縮合化合物、あるいはアミノ酸塩と、高級脂肪酸との縮合化合物である。アミノ酸の一例は、N-メチルグリシン、N-メチル-β-アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、サルコシン、バリン、セリン、フェニルアラニン、メチルタウリンからなる群から選択される少なくとも1種である。アミノ酸塩の一例は、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノ-ルアミン塩、モノエタノ-ルアミン塩からなる群から選択される少なくとも1種である。高級脂肪酸の一例は、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、パルミチン酸、ミリスチン酸からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0028】
アニオン界面活性剤の一例は、炭素数が12以上18以下の天然脂肪酸とL-グルタミン酸との縮合化合物、あるいは炭素数が12以上18以下の天然脂肪酸とL-グルタミン酸塩との縮合化合物である。アニオン界面活性剤の一例は、炭素数が12以上18以下の天然脂肪酸とL-メチルタウリンとの縮合化合物、あるいは炭素数が12以上18以下の天然脂肪酸とL-メチルタウリン塩との縮合化合物である。アニオン界面活性剤の一例は、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウムである。
【0029】
ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの一例は、アミノソフトHS-11P(F)(味の素社製)である。ミリストイルグルタミン酸ナトリウムの一例は、アミノサ-ファクタント(登録商標)AMMS-P1(旭化成ファインケム社製)である。ラウロイルグルタミン酸ナトリウムの一例は、アミノサ-ファクタント(登録商標)ALMS-P1(旭化成ファインケム社製)である。ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの一例は、NIKKOL SMT(日光ケミカルズ社製)である。ココイルメチルタウリンナトリウムの一例は、ダイヤポンK-SF(日油社製)である。
【0030】
水中油型乳化化粧料が、効果(iii)の実効性を要求される場合、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤の配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して0.05質量%以上が好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。
【0031】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)、(iv)の実効性を要求される場合、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤の配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して5.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましい。
【0032】
[成分(E):高級アルコ-ル]
高級アルコ-ルは、直鎖または分岐鎖である炭素数が12以上の飽和または不飽和高級アルコ-ルであることが好ましい。直鎖高級アルコ-ルの一例は、ラウリルアルコ-ル、セチルアルコ-ル、ステアリルアルコ-ル、ベヘニルアルコ-ル、ミリスチルアルコ-ル、オレイルアルコ-ル、セトステアリルアルコ-ルである。分岐鎖高級アルコ-ルの一例は、モノステアリルグリセリンエ-テル(バチルアルコ-ル)、2-デシルテトラデシノ-ル、ラノリンアルコ-ル、コレステロ-ル、フィトステロ-ル、ヘキシルドデカノ-ル、イソステアリルアルコ-ル、オクチルドデカノ-ルである。ベへニルアルコ-ルの一例は、ベへニルアルコ-ル(高級アルコ-ル社製)である。モノステアリルグリセリンエ-テル(バチルアルコ-ル)の一例は、NIKKOL バチルアルコ-ルEX(日光ケミカルズ社製)である。
【0033】
水中油型乳化化粧料が、効果(iii)の実効性を要求される場合、高級アルコ-ルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して0質量%よりも大きいことが好ましい。水中油型乳化化粧料が、効果(iii)の増強をさらに要求される場合、高級アルコ-ルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して1.0質量%以上6.5質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、2.0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。また、高級アルコールの種類はベへニルアルコ-ルおよびモノステアリルグリセリンエ-テル(バチルアルコ-ル)であることが好ましい。バチルアルコ-ルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して0.1質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。ベへニルアルコ-ルの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して1.0質量%以上6.5質量%以下であることがより好ましい。より好ましくは1.0質量%以上3.0質量%である。
【0034】
[成分(F):ジメチコン]
ジメチコンの一例は、DOWSIL SH 200 C Fluid 20 cSt(ダウ・東レ社製製)、OWSIL SH 200 C Fluid 30 cs(ダウ・東レ社製製)、OWSIL SH 200 C Fluid 50 cs(ダウ・東レ社製製)、OWSIL SH 200 C Fluid 100 cs(ダウ・東レ社製製)である。
【0035】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)(iii)の実効性を要求される場合、ジメチコンの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して0.2質量%以上8.0質量%以下であり、ジメチコンの粘度は、15mPa・s以上150mPa・s以下であることが好ましい。
【0036】
水中油型乳化化粧料が、効果(i)の増強を要求される場合、ジメチコンの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して3質量%以下であり、かつジメチコンの粘度は、100mPa・s以下であることが好ましい。水中油型乳化化粧料が、効果(i)(iii)の増強を要求される場合、ジメチコンの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して3質量%以下であり、かつ60mPa・s以下であることがより好ましい。水中油型乳化化粧料が、効果(i)(iii)の増強をさらに要求される場合、ジメチコンの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して1質量%以上3質量%以下であり、ジメチコンの粘度は、15mPa・s以上60mPa・s以下であることが好ましい。
【0037】
[成分(G):アルキルグリセロ-ル]
水中油型乳化化粧料は、フェノキシエタノ-ルおよびエタノ-ルの少なくとも一方である防腐剤を含有せず、アルキルグリセロ-ルを含有してもよい。アルキルグリセロ-ルが有するアルキル鎖は、炭素数が6以上の直鎖または分岐鎖である。アルキルグリセロ-ルの一例は、ヘキシルグリセリン、エチルヘキシルグリセリン、シクロヘキシルグリセリンである。エチルヘキシルグリセリンの一例は、Sensiva SC 50(Ashland社製)である。ヘキシルグリセリンの一例は、アデカノ-ルNHG(ADEKA社製)である。シクロヘキシルグリセリンの一例は、アデカノ-ルCHG(ADEKA社製)である。
【0038】
水中油型乳化化粧料が、効果(iv)の実効性を要求される場合、フェノキシエタノ-ルおよびエタノ-ルを含有せず、アルキルグリセロ-ルの一例であるエチルヘキシルグリセリンを含有することが好ましい。水中油型乳化化粧料が、効果(iv)の増強を要求される場合、エチルヘキシルグリセリンの配合量は、水中油型乳化化粧料の全量に対して0.1質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
【0039】
[試験例]
試験例1~13の水中油型乳化化粧料に含有される成分を表1に示す。
試験例14~24の水中油型乳化化粧料に含有される成分を表2に示す。
試験例31~38の水中油型乳化化粧料に含有される成分を表3に示す。
試験例39~44の水中油型乳化化粧料に含有される成分を表4に示す。
【0040】
各試験例の水中油型乳化化粧料の調整に際し、まず、表1~表4に示す成分のなかの油相成分と水相成分とを、別々に70℃以上80℃以下に加熱溶解した。次に、加熱溶解後の水相成分に油相成分を添加し、油相成分を添加された水相成分をホモミキサ-の攪拌によって乳化し、これによって水中油型乳化化粧料を調製した。
【0041】
各試験例の水中油型乳化化粧料について、(イ)べたつき評価、(ロ)ハリ評価、(ハ)乳化安定性評価、および(ニ)刺激性評価を行った。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】

(官能評価)
20歳以上49歳以下の女性のなかで、官能評価の訓練を受け、かつ一定の基準で評価が可能な10名の専門パネルを選定した。選定された専門パネルは、各試験例の水中油型乳化化粧料について、自身の皮膚に塗布したときに感じる、(イ)べたつきの度合い、(ロ)肌のハリまたは弾力の度合い、および(ニ)刺激の度合いを、各々の絶対評価基準に基づいて評価した。そして、10名の専門パネルによる評点合計を試験例ごとに算出し、試験例の評点がいずれの判定に該当するかを、各々の4段階判定基準に基づいて判定した。各評価における絶対評価基準、および4段階判定基準を以下に示す。
【0046】
(イ)べたつき評価
・絶対評価基準
(評点) :(評価)
5点 :べたつきを感じない
4点 :ほとんどべたつきを感じない
3点 :ややべたつきを感じる
2点 :べたつきを感じる
1点 :非常にべたつきを感じる
・4段階判定基準
(判定) :(評点の平均点)
◎ 非常に良好 :4点を超える
○ 良好 :3点を超え、かつ4点以下
△ やや不良 :2点を超え、かつ3点以下
× 不良 :2点以下
【0047】
(ロ)ハリ評価
・絶対評価基準
(評点) :(評価)
6点 :非常に肌のハリまたは弾力があると感じる
5点 :肌のハリまたは弾力があると感じる
4点 :やや肌のハリまたは弾力があると感じる
3点 :普通
2点 :あまり肌のハリまたは弾力があると感じない
1点 :肌のハリまたは弾力があると感じない
・4段階判定基準
(判定) :(評点の平均点)
◎ 非常に良好 :5点を超える
○ 良好 :3.5点を超え、かつ5点以下
△ やや不良 :2点を超え、かつ3.5点以下
× 不良 :2点以下
【0048】
(ニ)刺激性評価
・絶対評価基準
(評点) :(評価)
1点 :刺激を感じない
0点 :刺激を感じる
・4段階判定基準
(判定) :(評点の合計)
◎ 非常に良好 :7点を超える
○ 良好 :4点を超え、かつ7点以下
△ やや不良 :1点を超え、かつ4点以下
× 不良 :1点以下
【0049】
(ハ)乳化安定性評価
容量が60mlのガラスバイアルに、50mlの水中油型乳化化粧料を入れた後、密封されたガラスバイアルを50℃の恒温槽に入れた。密封から1ヵ月後の水中油型乳化化粧料における乳化粒子の状態を光学顕微鏡観察によって観察した。以下、乳化粒子の観察結果と、表1~表4に示す評価指標との関係を示す。
【0050】
(評価指標) :(観察結果)
◎ 非常に良好:乳化粒子の合一が認められない
〇 良好 :乳化粒子の合一がわずかに認められる
△ やや不良 :乳化粒子の合一が認められ、乳化粒子の大きさが密封時の2倍以上
× 不良 :乳化粒子の合一が認められ、乳化粒子の大きさが密封時の4倍以上
【0051】
[(A)ニコチン酸アミド配合量とべたつき]
試験例6,試験例41のべたつきがそれぞれ「△」「○」であることが認められた。また、試験例1,試験例31,試験例40のべたつきがそれぞれ「◎」であることも認められた。このことから、ニコチン酸アミドの配合がべたつきを高める一方で、ニコチン酸アミドの配合量が1.0質量%以上10.0質量%以下であれば、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合比の調整によって、効果(i)を得られることが認められた。
【0052】
[(A)ニコチン酸アミド配合量と肌のハリ]
試験例6,試験例41の肌のハリがそれぞれ「◎」であることが認められた。また、試験例1,試験例31,試験例40のハリがそれぞれ「◎」「×」「○」であることも認められた。このことから、ニコチン酸アミドの配合量が1.0質量%以上であれば、効果(ii)を得られること、ニコチン酸アミドの配合量が3.0質量%以上であれば、効果(ii)をさらに高められることが認められた。
【0053】
[(B)二価アルコ-ル配合量とべたつき]
試験例1~4のべたつきが「△」「◎」のいずれかである一方、試験例33,34のうち試験例34のべたつきが「×」であることが認められた。このことから、二価アルコ-ルの配合量が25質量%以下であることは、ニコチン酸アミドによる効果(ii)を得ながらも、効果(i)を得るための条件であると認められた。また、二価アルコ-ルの配合量が20質量%以下であることは、効果(i)の実効性を高めるための条件であると認められた。
【0054】
試験例1~4のハリが「△」「◎」のいずれかである一方、試験例33,34のうち試験例33のハリが「×」であることが認められた。このことから、二価アルコ-ルの配合量が6.0質量%以上であることは、効果(ii)を得るための条件であると認められた。そして、二価アルコ-ルの配合量が6.0質量%以上20.0%質量%以下であることは、効果(i)の実効性を高め、かつ効果(ii)を得るための条件であると認められた。
【0055】
[(C)HLBと乳化安定性]
試験例1,5~7,39,42の乳化安定性が「△」「〇」「◎」のいずれかである一方、試験例37,38の乳化安定性が「×」であることが認められた。このことから、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが7以上14以下であることは、効果(iii)を得るための条件であると認められた。また、試験例1,6,7,39,42と試験例37,38との比較から、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが8以上12以下であることは、効果(iii)の実効性を高めるための条件であると認められた。
【0056】
試験例1,5~7,39,42の乳化安定性が「△」「〇」「◎」のいずれかである一方、試験例35,36のうち試験例35の乳化安定性が「×」であることが認められた。このことから、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が0.5質量%以上であることは、効果(iii)を得るための条件であると認められた。
【0057】
試験例1,5~7,39,42のべたつきが「△」「◎」のいずれかである一方、試験例35,36のうち試験例36のべたつきが「×」であることが認められた。このことから、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が6.2質量%以下であることは、効果(i)を得るための条件であると認められた。
【0058】
これらから、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが7以上14以下、かつポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が0.5質量%以上6.2質量%以下であることは、効果(i)(iii)を得るための条件であると認められた。
【0059】
また、試験例1,7のべたつき、および乳化安定性が「◎」である一方、試験例5の乳化安定性が「△」、また試験例6のべたつきが「△」であることが認められた。このことから、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が1.0質量%以下4.0質量%以下であることは、効果(i)(iii)を共に良好にしやすい範囲であると認められた。そして、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が1.7質量%以下3.5質量%以下であることは、効果(i)(iii)を共に良好とする実効性を高めると認められた。
【0060】
[(D)界面活性剤配合量と乳化安定性]
試験例1,8,9の乳化安定性が「〇」「◎」のいずれかである一方、試験例15の乳化安定性が「△」であることが認められた。
試験例1,8のべたつきが「◎」である一方、試験例16のべたつきが「△」であることが認められた。
【0061】
これらから、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤の配合量が0.05質量%以上5.0質量%であることは、一方を高めると他方が低まるというトレ-ドオフの関係のなかで、効果(i)と効果(iii)とを調整可能にすることが認められた。
【0062】
また、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤の配合量が0.3質量%以上であることは、効果(iii)をさらに高めるための条件であると認められた。
また、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤の配合量が1.5質量%以下であることは、効果(i)をさらに高めるための条件であると認められた。そして、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤の配合量が1.0質量%以下であることは、効果(i)を高めることの実効性を高め、さらに0.8質量%以下であることは、効果(i)を高めることの実効性をさらに高めるための条件であることも認められた。
【0063】
これらから、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤がN-ステアロイルグルタミン酸ナトリウムであり、その配合量が0.3質量%以上1.5質量%以下であることは、効果(i)(iii)を共に良好とするための条件であるとも認められた。そして、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤がN-ステアロイルグルタミン酸ナトリウムであり、その配合量が0.3質量%以上1.0質量%以下であることは、効果(i)(iii)を共に良好なものとする確度を高める。また、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤がN-ステアロイルグルタミン酸ナトリウムであり、その配合量が0.8質量%以下であることは、効果(i)(iii)を共に良好とすることの実効性をさらに高める条件でもある。
【0064】
[(E)高級アルコ-ル配合量と乳化安定性]
試験例1の乳化安定性が「◎」である一方、試験例17の乳化安定性が「△」であることが認められた。このことから、高級アルコ-ルの配合量が1.0質量%以上10.0質量%以下であることは、効果(iii)を得る確度を高め、また高級アルコ-ルの配合量が1.2質量%以上2.3質量%以下であることは、効果(iii)を高める実効性を高めるため条件であると認められた。
【0065】
[(F)ジメチコン配合量と乳化安定性、べたつき]
試験例1,12,14,18,20の乳化安定性が「〇」「◎」のいずれかである一方、試験例13,19,21の乳化安定性が「△」であることが認められた。
試験例1,13,14のべたつきが「◎」である一方、試験例11,18~21のべたつきが「△」であることが認められた。
【0066】
これらから、ジメチコンの粘度が、15mPa・s以上150mPa・s以下であり、かつジメチコンの配合量が0.2質量以上8.0質量%以下であることは、一方を高めると他方が低まるというトレ-ドオフの関係のなかで、効果(i)と効果(iii)とを調整可能にすることが認められた。
【0067】
また、ジメチコンの粘度が15mPa・s以上150mPa・s以下であり、かつジメチコンの配合量が1.1質量%以上6.2質量%以下であることは、効果(i)を高める条件であると認められた。
【0068】
また、ジメチコンの配合量が3.0質量%以下であることは、効果(iii)をさらに高めるため条件であると認められた。
以上から、ジメチコンの粘度が15mPa・s以上150mPa・s以下であり、かつジメチコンの配合量が1.1質量%以上3.0質量%以下であることは、効果(i)(iii)を共に良好とすることの実効性を高める条件であると認められた。
【0069】
また、ジメチコンの粘度が15mPa・s以上100mPa・s以下であり、かつジメチコンの配合量が1.1質量%以上3.0質量%以下であることは、効果(i)(iii)を共に良好とすることの実効性をさらに高める条件であると認められた。
【0070】
さらに、ジメチコンの粘度が15mPa・s以上100mPa・s以下であり、かつジメチコンの配合量が1.5質量%以上2.5質量%以下であることは、効果(i)(iii)を共に良好とすることの実効性を一層に高める条件であると認められた。
【0071】
[(G)アルキルグリセロ-ルと刺激性]
試験例1の刺激性が「◎」である一方、試験例22,23の刺激性が「△」であることが認められた。このことから、フェノキシエタノ-ルおよびエタノ-ルを含有せず、アルキルグリセロ-ルの配合量が0.05質量%以上0.15質量%以下であることは、効果(iv)を高める条件であると認められた。
【0072】
水中油型乳化化粧料の具体的な処方例を以下に示す。
[処方例]
配合成分 配合量(質量%)
・ニコチン酸アミド 5.00
・1,3-ブチレングリコ-ル 4.00
・ジプロピレングリコ-ル 4.00
・ペンチレングリコ-ル 2.00
・ステアリン酸ポリグリセリル-6 1.25
・ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.30
・ベへニルアルコ-ル 4.00
・バチルアルコ-ル 0.30
・ジメチコン(20mPa・S) 1.00
・エチルヘキシルグリセリン 0.10
・スクワラン 9.00
・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 1.00
・イソヘキサデカン 0.225
・トコフェロ-ル 0.02
・グリセリン 7.00
・ステアリン酸グリセリル(SE) 0.50
・水添レシチン 0.30
・ポリソルベ-ト80 0.075
・(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマ- 0.40
・(アクリレ-ツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマ- 0.15
・カルボマナトリウム 0.30
・ピロ亜硫酸ナトリウム 0.02
・クエン酸 0.03
・水酸化カリウム 0.10
・香料 0.10
・イオン交換水 残余
【0073】
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)成分(C)のHLB値が7以上14以下であり、かつ成分(C)の配合量が0.5質量%以上6.2質量%以下である場合、水中油型乳化化粧料は、(i)べたつきを抑え、(ii)ハリあるいは弾力を高め、そして(iii)乳化安定性に優れる。
【0074】
(2)成分(D)の配合量が0.05質量%以上5.0質量%以下である場合、トレ-ドオフの関係を有する範囲において、効果(i)と効果(iii)との調整が可能ともなる。
【0075】
(3)成分(F)の粘度が15mPa・s以上150mPa・s以下であり、かつ成分(F)の配合量が0.2質量%以上8.0質量%以下である場合、トレ-ドオフの関係を有する範囲において、効果(i)と効果(iii)との調整が可能ともなる。
【0076】
(4)フェノキシエタノ-ルおよびエタノ-ルを含有せず、アルキルグリセロ-ルの配合量が0.05質量%以上0.15質量%以下である場合、効果(iv)が高まる。
【0077】
(5)以下の条件を満たす場合、効果(i)~(iii)を良好とする実効性が高まる。
・成分(B)の配合量が6.0質量%以上20.0質量%以下である。
・成分(C)の配合量が1.7質量%以上3.5質量%以下である。
・成分(D)の配合量が0.3質量%以上1.5質量%以下である。
・成分(E)の配合量が1.2質量%以上6.5質量%以下である。
・成分(F)の配合量が1.1質量%以上3.0質量%以下である。
・成分(F)の粘度が15mPa・s以上100mPa・s以下である。
【0078】
上記実施形態から導き出される技術的思想を以下に付記する。
[付記1]
成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)および成分(G)を含有し、フェノキシエタノ-ルおよびエタノ-ルを含有しない水中油型乳化化粧料であって、
前記成分(A)は、ニコチン酸アミドであり、
前記成分(B)は、二価アルコ-ルであり、
前記成分(C)は、ポリグリセリン脂肪酸エステルであり、
前記成分(D)は、N-長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤であり、
前記成分(E)は、高級アルコ-ルであり、
前記成分(F)は、ジメチコンであり、
前記成分(G)は、アルキルグリセロ-ルであり、
前記成分(C)のHLB値は、7以上14以下であり、
前記成分(F)の粘度は、15mPa・s以上100mPa・s以下であり、
前記水中油型乳化化粧料の全量に対して、
前記成分(A)の配合量は、1質量%以上10質量%以下であり、
前記成分(B)の配合量は、6.0質量%以上20.0質量%以下であり、
前記成分(C)の配合量は、1.7質量%以上3.5質量%以下であり、
前記成分(D)の配合量は、0.3質量%以上1.5質量%以下であり、
前記成分(E)の配合量は、1.2質量%以上6.5質量%以下であり、
前記成分(F)の配合量は、1.1質量%以上3.0質量%以下であり、
前記成分(G)の配合量は、0.05質量%以上0.15質量%以下である
水中油型乳化化粧料。
【0079】
上記付記1の水中油型乳化化粧料は、(i)べたつきを抑え、(ii)ハリあるいは弾力を高め、そして(iii)乳化安定性に優れる。しかも、トレ-ドオフの関係を有する範囲において、効果(i)と効果(iii)との調整が可能ともなる。
【0080】
[付記2]
前記成分(C)は、ステアリン酸ポリグリセリル-6であり、
前記成分(D)は、N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウムであり、
前記成分(D)の配合量は、0.3質量%以上0.8質量%以下であり、
前記成分(F)は、1.5質量%以上2.5質量%以下である
付記1に記載の水中油型乳化化粧料。
【0081】
上記付記2の水中油型乳化化粧料は、効果(i)と効果(iii)とを共に良好とすることの実効性を一層に高める。