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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124029
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】調理器具の保温カバー
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/36 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
A47J36/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027566
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】591210932
【氏名又は名称】株式会社大和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 薫
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA01
4B055BA22
4B055BA23
4B055BA27
4B055CA05
4B055CC68
4B055EA07
(57)【要約】
【課題】主に、保温カバーの表面温度を低下させると共に、保温カバーの表面から外部への熱の放射および拡散を防止し得るようにする。
【解決手段】
調理中の調理器具2の外周を取り囲む筒状のカバー本体6と、リング状の蓋体8とを備えた調理器具2の保温カバー4に関する。
カバー本体6は、多重の筒体22~24の間に断熱層25,26を有している。
蓋体8は、多層の板状体31,32の間に第二の断熱層33を有している。
蓋体8には、調理器具2とカバー本体6との間の空間11からの燃焼ガス34を排出する煙突35が取り付けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスコンロの上に載置された調理器具の外周を周方向に取り囲んで上下方向に延びる筒状のカバー本体と、
該カバー本体の上端部に着脱自在に設置されたリング状の蓋体と、を備えた調理器具の保温カバーであって、
前記カバー本体は、同心状に離間配置され、前記上端部および下端部が塞がれた多重の筒体を備えて、多重の前記筒体の間に密閉された単層または複数層の断熱層を有しており、
前記蓋体は、前記上下方向に離間配置され、内周端部および外周端部が塞がれた多層のリング状の板状体を備えて、多層の前記板状体の間に密閉された単層または複数層の第二の断熱層を有していると共に、
前記蓋体には、前記調理器具と前記カバー本体との間に形成される空間を外部と連通して前記ガスコンロの燃焼ガスを上方へ排出する煙突が取り付けられていることを特徴とする調理器具の保温カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の調理器具の保温カバーであって、
前記断熱層は、内外に離間された前記筒体どうしの間を、前記上下方向に延びる縦桟部材によって一体に連結することで、前記周方向に対し複数の室に仕切られており、
前記第二の断熱層は、上下に離間された前記板状体どうしの間を、径方向に延びる横桟部材によって一体に連結することで、前記周方向に対し複数の第二の室に仕切られていることを特徴とする調理器具の保温カバー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の調理器具の保温カバーであって、
筒状の前記カバー本体は、前記周方向に複数分割された部分円筒面状の本体分割片で構成されており、
隣接する前記本体分割片の間には、互いに連結・分離可能な連結固定部が備えられると共に、
隣接する前記本体分割片の互いに対向する縁部の一方には、他方を収容保持して、前記カバー本体の内側から外側への前記燃焼ガスの通過を規制する凹形状のシール部材が取り付けられていることを特徴とする調理器具の保温カバー。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の調理器具の保温カバーであって、
リング状の前記蓋体は、前記周方向に複数分割された円弧状の蓋片で構成されており、
隣接する前記蓋片の間には、互いに連結・分離可能な第二の連結固定部が備えられると共に、
隣接する前記蓋片の互いに対向する縁部の一方には、他方を収容保持して、前記蓋体の下側から上側への前記燃焼ガスの通過を規制する凹形状の第二のシール部材が取り付けられていることを特徴とする調理器具の保温カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、調理器具の保温カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロの上に載置された調理器具の外周を取り囲む筒状の保温カバーが存在している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
調理中の調理器具の外周を保温カバーで取り囲むことにより、ガスコンロで発生した熱を調理器具に集中させて、熱が効率的に使われるようにする。これにより、調理時間の短縮や光熱費の削減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-160901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された調理器具の保温カバーは、調理器具の周囲を覆う単なる囲いであったので、保温カバー自体が加熱されて高温になり、保温カバーの熱が外部へ放射され調理場内に拡散されてしまうという問題を有していた。
【0006】
なお、特許文献1には、二重筒構造のものが開示されているが、この二重筒構造の保温カバーは、ガスコンロの炎や燃焼ガスを二重の筒の間の開放空間へ積極的に導き入れるものとなっていた。そのため、二重の筒が両方ともガスコンロの炎や燃焼ガスで直接加熱されてしまう。よって、二重筒構造の保温カバーも、それ自体が高温化されると共に、外側の筒から外部への熱の放射および調理場内への熱の拡散を防ぐことはできなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に対して、本発明は、ガスコンロの上に載置された調理器具の外周を周方向に取り囲んで上下方向に延びる筒状のカバー本体と、該カバー本体の上端部に着脱自在に設置されたリング状の蓋体と、を備えた調理器具の保温カバーであって、前記カバー本体は、同心状に離間配置され、前記上端部および下端部が塞がれた多重の筒体を備えて、多重の前記筒体の間に密閉された単層または複数層の断熱層を有しており、前記蓋体は、前記上下方向に離間配置され、内周端部および外周端部が塞がれた多層のリング状の板状体を備えて、多層の前記板状体の間に密閉された単層または複数層の第二の断熱層を有していると共に、前記蓋体には、前記調理器具と前記カバー本体との間に形成される空間を外部と連通して前記ガスコンロの燃焼ガスを上方へ排出する煙突が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記構成によって、保温カバーの表面温度を低下させると共に、保温カバーの表面から外部への熱の放射および拡散を防止することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態にかかる調理器具の保温カバーの使用状態を示す全体斜視図である。
図2図1の保温カバーの全体斜視図である。
図3図2の保温カバーの分解斜視図である。
図4図1を側方から見た縦断面図である。
図5図4のカバー本体の縦断面図である。
図6】(a)は図5の上部の部分拡大図、(b)は図5の下部の部分拡大図である。
図7】端部閉塞部の変形例を示す、カバー本体の概略縦断面図である。
図8】端部閉塞部の他の変形例を示す、カバー本体の概略縦断面図である。
図9】(a)は図2のカバー本体の中間部の横断面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
図10】(a)はカバー本体における、煙突の近傍の部分の拡大縦断面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
図11】カバー本体の本体分割片どうしの合わせ部分の拡大斜視図である。
図12】(a)は分割構造とされた蓋体の概略平面図、(b)は(a)の蓋片どうしの合わせ部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図12は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0012】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
図1に示すように、ガスコンロ1の上に載置された調理器具2の外周を周方向3に取り囲んで保温する保温カバー4を設ける。
保温カバー4は、図2図3)に示すように、上下方向5に延びる筒状のカバー本体6と、
カバー本体6の上端部7に着脱自在に設置されたリング状の蓋体8と、を備える。
【0013】
ここで、ガスコンロ1は、ガスを燃やして加熱調理を行うための厨房用機器であり、業務用および家庭用のどちらでも良いが、この実施例では、業務用の大型のものを想定している。ガスコンロ1には、様々なものがあるが、例えば、コンロ本体1aと、バーナー部と、五徳部1c(図4)とを有するものとされる。コンロ本体1aは、調理台の上などに設置されて、バーナー部と、五徳部1cとを保持する。バーナー部は、コンロ本体1aの内側に設置されて多数の吹出口からガスを上方へ吹き出して燃焼させる。五徳部1cは、コンロ本体1aの上部に、バーナー部の上方に位置するように設置されて、調理器具2が乗せられる。一般的な調理場では、ガスコンロ1は、換気扇(不図示)の下方の位置に設置される。または、ガスコンロ1の上方となる位置には、換気扇が設置される。なお、上方は特定の位置からほぼ真上へ向かう方向、下方は特定の位置からほぼ真下へ向かう方向である。
【0014】
調理器具2は、どのようなものであっても良いが、例えば、寸胴鍋などのような均一の径寸法を有して上下方向5に延びるほぼ円筒状の深鍋などを想定している。調理器具2は、ガスコンロ1の五徳部1cの上に直接乗せられ、バーナー部によって底面側から加熱される。
【0015】
周方向3は、調理器具2の廻りを回る方向である。周方向3に取り囲むとは、保温カバー4が調理器具2を全周に亘って外側から連続的に覆うことである。
【0016】
保温カバー4は、調理器具2を調理中に保温するためのカバー部材である。保温カバー4は、ガスコンロ1の炎などを閉じ込めると共に、ガスコンロ1で発生した熱を外部へ逃さないようにして調理時の熱効率を向上させる調理補助器具である。
【0017】
上下方向5は、真上と真下とを結ぶ方向である。
【0018】
カバー本体6は、均一の径を有して上下方向5に延びるように設置される筒状の部材である。カバー本体6は、アルミや銅やステンレスやその他の熱に強い金属材料でできた金属製の部材とされる。
【0019】
なお、カバー本体6には、内周面や外周面や端縁部などに、様々な目的で塗装や表面被覆を施すことができる。塗装や表面被覆は、例えば、外観品質を向上するための着色塗装や、耐熱性や耐食性などの物理的特性を向上させるための耐熱塗装などや、金属よりも熱伝導率の低い物質を用いた、熱を伝え難くするための表面コーティングなどとすることができる。塗装や表面被覆は、例えば、セラミックス系やシリコーン系やフッ素樹脂系のものなど各種のものを用いることができる。
【0020】
カバー本体6は、図4に示すように、調理器具2の外周に対し、周方向3にほぼ均一な隙間(空間11)を有して連続的に取り囲むように設置される。カバー本体6は、調理器具2の外径に合わせて、大きさの異なるものが複数種類用意され、調理器具2に応じて使い分けられる。
【0021】
カバー本体6は、調理器具2の形状に合わせて円筒状や角筒状などにすることができる。ただし、調理器具2は大部分が円筒状となっているため、カバー本体6も円筒状とするのが好ましい。以下、円筒状のカバー本体6として説明する。カバー本体6は、調理器具2と共にガスコンロ1のコンロ本体1aの上に設置される。ただし、カバー本体6がガスコンロ1の外形よりも大きくなる場合には、カバー本体6の下に脚部(不図示)を設置して、脚部の上に設置するようにしても良い。脚部は、カバー本体6と一体のものとしても良いし、別体のものとしても良い。
【0022】
カバー本体6は、ガスコンロ1に先に設置した状態にして、後からカバー本体6内に調理器具2をセットすることもできるし、ガスコンロ1に調理器具2をセットした状態で、後から調理器具2の周囲にカバー本体6を設置することもできる。
【0023】
上端部7は、カバー本体6の上側の端部である。カバー本体6は、調理器具2の高さの範囲内で可能な限り高くするのが好ましい。調理器具2の外周上部に持ち手2a(図1)が取り付けられている場合には、持ち手2aと干渉しないようにするために、上端部7は、持ち手2aとほぼ同じ高さか、持ち手2aよりも若干低い高さとするのが好ましい。
【0024】
蓋体8は、カバー本体6の上端部7の上にほぼ水平に載置して、カバー本体6の上端部7と、調理器具2の外周上部との間の隙間(空間11の上部)を覆うリング状の円盤部材である。蓋体8は、アルミや銅やステンレスやその他の金属材料でできた金属製のものとされる。なお、蓋体8の下面や上面や周縁部などには、カバー本体6と同様の塗装や表面被覆などを施すことができる。
【0025】
蓋体8は、外径がカバー本体6の外径とほぼ同じかそれよりも若干大きい部材とされる。蓋体8は、内側に調理器具2を通す穴を同心に有しており、調理器具2の外径に合わせて、穴径の異なるものが複数種類用意されて、適宜使い分けられる。即ち、蓋体8は、調理器具2の外径とほぼ同じかそれよりも若干大きな穴径のものが使用される。
【0026】
蓋体8は、外周縁部に、蓋体8の下面よりも下方へ延びる係止用縁部12を一体に形成しても良い。係止用縁部12は、ほぼ均一幅とされて、周方向3に連続して形成され、カバー本体6の外周に嵌合(外嵌)または遊嵌される。
【0027】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例の調理器具2の保温カバー4は、以下のような構成を備えるようにしている。
【0028】
(1)図4(~図6)に示すように、カバー本体6は、同心状に離間配置され、上端部7および下端部21が塞がれた多重の筒体22~24を備えている。そして、カバー本体6は、多重の筒体22~24の間に密閉された単層または複数層の断熱層25,26を有している。
また、蓋体8は、上下方向5に離間配置され、内周端部27および外周端部28が塞がれた多層のリング状の板状体31,32を備えている。そして、蓋体8は、多層の板状体31,32の間に密閉された単層または複数層の第二の断熱層33を有している。
更に、蓋体8には、調理器具2とカバー本体6との間に形成される空間11を外部と連通してガスコンロ1の燃焼ガス34を上方へ排出する煙突35が取り付けられている。
【0029】
ここで、上端部7は、カバー本体6の上側の端部である。下端部21は、カバー本体6の下側の端部である。上端部7および下端部21を塞ぐために、カバー本体6の上端部7には、端部閉塞部36(上端部閉塞部)が設けられ、下端部21には、端部閉塞部37(下端部閉塞部)が設けられる(図6)。
【0030】
端部閉塞部36,37は、(全体として見た場合に、)カバー本体6の周方向3に連続的に延びて、最も内側の筒体22と最も外側の筒体24との間隔とほぼ等しいかそれよりも大きい一定の幅寸法の、上下方向5に向いたリング板状の面を有する。
【0031】
端部閉塞部36,37は、例えば、最も内側の筒体22の、上縁部および下縁部の少なくとも一方に一体に設けられた外フランジ22aとすることができる。また、端部閉塞部36,37は、例えば、最も外側の筒体24の、上縁部および下縁部の少なくとも一方に一体に設けられた内フランジ24aとすることができる。
【0032】
例えば、図6では、カバー本体6は、上端部7および下端部21に、端部閉塞部36,37として、外フランジ22aと内フランジ24aとの両方をそれぞれ備えている。外フランジ22aと内フランジ24aとは、互いに面接触状態で上下に重ね合わされている。
【0033】
また、カバー本体6は、例えば、図7の変形例に示すように、上端部7の端部閉塞部36として内フランジ24aのみを設け、下端部21の端部閉塞部37として外フランジ22aのみを設けたものとしても良い。内フランジ24aは、内縁部に、筒体22の内周面に沿って立ち下がる下フランジ24bを一体に形成しても良い。また、外フランジ22aは、外縁部に、筒体24の外周面に沿って立ち上がる上フランジ22bを一体に形成しても良い。なお、上記とは反対に、上端部7の端部閉塞部36を外フランジ22aのみで形成し、下端部21の端部閉塞部37を内フランジ24aのみで形成しても良い。この場合、外フランジ22aは外縁部に下フランジを一体に設け、内フランジ24aは内縁部に上フランジを一体に設けるようにしても良い。
【0034】
あるいは、例えば、図8の他の変形例に示すように、端部閉塞部36,37は、筒体22~24とは別部材で形成して、上端部7および下端部21にそれぞれ取り付けるようにしても良い。この場合、端部閉塞部36,37は、内外周の縁部に、それぞれ上記と同様の下フランジ36a,36b、および、上フランジ37a,37bを設けて、多重の筒体22~24の上縁部および下縁部に、それぞれ嵌合(外嵌)させるようにしても良い。
【0035】
多重の筒体22~24は、径寸法が異なる少なくとも二個以上の金属製の円筒部材(筒状部材)とされる。この実施例では、多重の筒体22~24は、三個としているが、二個としても四個以上としても良い。
【0036】
断熱層25,26は、多重の筒体22~24間の隙間に層状に形成される断熱用の空間である。断熱層25,26は、多重の筒体22~24の設置個数に応じた層数に形成される。例えば、筒体22~24が二個の場合には断熱層25,26は一層、筒体22~24が三個の場合には断熱層25,26は二層、筒体22~24が四個の場合には断熱層25,26は三層となる。断熱層25,26は、内部に空気を封じ込めることにより空気断熱層となり、空気を抜くことにより真空断熱層となる。
【0037】
内周端部27は、蓋体8の内側の縁部である。外周端部28は、蓋体8の外側の縁部である。内周端部27および外周端部28を塞ぐために、蓋体8の内周端部27には、周縁部閉塞部38が設けられ、外周端部28には、周縁部閉塞部39が設けられる(図6)。
【0038】
周縁部閉塞部38,39は、(全体として見た場合に、)蓋体8の周方向3に連続的に延びて、最も下側の板状体31と最も上側の板状体32との間隔とほぼ等しいかそれよりも大きい一定の幅寸法の短筒状の部分とされる。
【0039】
周縁部閉塞部38,39は、例えば、最も下側の板状体31の、内周縁部および外周縁部の少なくとも一方に一体に設けられた上フランジ31aとすることができる。また、周縁部閉塞部38,39は、例えば、最も上側の板状体32の、内周縁部および外周縁部の少なくとも一方に一体に設けられた下フランジ32aとすることができる。なお、上記した係止用縁部12は、下フランジ32aを下方に延長して形成しても良い。
【0040】
例えば、図6では、蓋体8は、内周端部27および外周端部28に、周縁部閉塞部38,39として、上フランジ31aと下フランジ32aとの両方をそれぞれ備えている。上フランジ31aと下フランジ32aとは、互いに面接触状態で内外方向に重ね合わされている。
【0041】
また、蓋体8は、特に図示しないが、変形例として、カバー本体6の図7の端部閉塞部36,37と同様に、周縁部閉塞部38,39に、上フランジ31aと下フランジ32aとの一方のみを設けたものなどしても良い。その他の詳細構造については、図7の場合と同様である。
【0042】
あるいは、特に図示しないが、他の変形例として、カバー本体6の図8の端部閉塞部36,37と同様に、周縁部閉塞部38,39は、別部材で形成して、内周端部27および外周端部28に取り付けるなどしても良い。その他の詳細構造については、図8の場合と同様である。
【0043】
多層の板状体31,32は、ほぼ同じ形状および大きさのリング状をした平行な面を有する少なくとも二枚以上の金属製の板状部材とされる。この実施例では、多層の板状体31,32は、二枚としているが、三枚以上としても良い。
【0044】
第二の断熱層33は、多層の板状体31,32間の隙間に層状に形成される断熱用の空間である。第二の断熱層33は、多層の板状体31,32の設置枚数に応じた層数に形成される。例えば、板状体31,32が二枚の場合には第二の断熱層33は一層、板状体31,32が三枚の場合には第二の断熱層33は二層、板状体31,32が四枚の場合には第二の断熱層33は三層となる。第二の断熱層33は、内部に空気を封じ込めることにより空気断熱層となり、空気を抜くことにより真空断熱層となる。
【0045】
空間11は、調理器具2とカバー本体6との間に形成される離隔スペースであり、調理器具2の外径と、カバー本体6を構成する最も内側の筒体22の内径との径差分の隙間とされる。カバー本体6は、調理器具2に合わせて、調理器具2よりも一回り程度大きめのものを使用すると共に、調理器具2に対してほぼ同心状に設置することで、カバー本体6と調理器具2との間に周方向3にほぼ均一で適正な大きさの空間11を確保形成させる。この空間11は、蓋体8によって上からほぼ塞がれる。
【0046】
外部は、保温カバー4の外側となる調理場内のスペースのことであり、特に、蓋体8の上方のスペースのことである。
【0047】
燃焼ガス34は、ガスコンロ1で可燃ガスを燃やしてできる熱を帯びたガスのことである(図4)。燃焼ガス34は、調理器具2の底面に当たって底面を加熱したあと、調理器具2の外周面に沿って、上記した空間11内を上昇する。これにより、調理器具2は、外周面も燃焼ガス34によって加熱される。
【0048】
煙突35は、燃焼ガス34を導く筒状の通風路のことであり、上下方向5に延ばされて、空間11内の燃焼ガス34を外部へ排出する。煙突35は、調理器具2の上端よりも上へ延びる長さとするのが好ましい。煙突35は、蓋体8に対し単数または複数本設けることができるが、この実施例では、一箇所のみ設けられている。煙突35は、蓋体8のカバー本体6と接触する外周側の部分よりも内側の位置に設けられた貫通穴8aに接続される。貫通穴8aは、煙突35の断面形状とほぼ同じ形状で、ほぼ同じ大きさか若干小さいものとされて、蓋体8を上下に貫通する。貫通穴8aは、その縁部が遮蔽壁とされて、遮蔽壁が貫通穴8aと断熱層33とを仕切ることで、断熱層33を密閉状態に保つようにしている。
【0049】
この実施例では煙突35(および貫通穴8a)は、断面が蓋体8の周方向3にほぼ沿った円弧状とされている。断面を円弧状とすることで、円弧の長さによって最適な流路断面積の煙突35を確保形成することが可能になる。なお、蓋体8は、煙突35が調理器具2の奥側に位置するように、カバー本体6の上に設置するのが好ましい。
【0050】
(2)図9に示すように、断熱層25,26は、内外に離間された筒体22~24どうしの間を、上下方向5に延びる縦桟部材41,42によって一体に連結することで、周方向3に対し複数の室43,44に仕切られても良い。
また、図10に示すように、第二の断熱層33は、上下に離間された板状体31,32どうしの間を、径方向45に延びる横桟部材46によって一体に連結することで、周方向3に対し複数の第二の室47に仕切られても良い。
【0051】
ここで、筒体22~24どうしの間は、内外方向に直接隣接している筒体22と筒体23の間、および、筒体23と筒体24の間のことである。
【0052】
縦桟部材41,42は、全長に亘って一定の断面を有して延びる棒状部材である。縦桟部材41,42は、カバー本体6の高さとほぼ同じ長さを有し、断熱層25,26の層間の厚さとほぼ等しい一定の幅を有して、カバー本体6の径方向45へ向けて設置される離隔部41a,42aを有する。離隔部41a,42aの両端部には、カバー本体6のほぼ接線方向へ向けて互いに反対向きに延びる一定幅の取付代部41b,41cおよび取付代部42b,42cが、離隔部41a,42aのほぼ全長に亘ってそれぞれ一体に設けられる。これにより、縦桟部材41,42は、ほぼZ字状断面の金属製の補強部材となる。縦桟部材41は断熱層25に介在され、縦桟部材42は断熱層26に介在される。縦桟部材41と縦桟部材42は、同じものとしても良いし、異なるものとしても良い。この実施例では、縦桟部材41と縦桟部材42は、ほぼ同じ形状で向き違いのものとされている。
【0053】
縦桟部材41,42は、内外に位置する筒体22~24間に、周方向3に所定の間隔を有して複数箇所平行に設置される。縦桟部材41,42は、周方向3にほぼ等しい間隔で均等に設けるのが好ましい。この実施例では、縦桟部材41,42は、周方向3の同じ位置に設置されている。
【0054】
縦桟部材41,42は、取付代部41b,41cおよび取付代部42b,42cを、当接された筒体22~24に対して、リベットなどのカシメ固定部材48や溶接などによってそれぞれ固定される。カシメ固定部材48は、縦桟部材41,42の長手方向(上下方向5)に沿って、複数箇所固定される。この実施例では、カシメ固定部材48は、上下方向5に5箇所となっているが、カシメ固定部材48による固定箇所は、上記に限るものではない。なお、カシメ固定部材48による固定部分や、筒体22~24と端部閉塞部36,37との合わせ部分などは、ロー付けなどによって気密性を高めても良い。
【0055】
室43,44は、筒状の断熱層25,26を平行な縦桟部材41,42で周方向3に複数に仕切ることで隣接する縦桟部材41,42間に形成される部分円筒面状のスペースである。なお、隣接する室43,44どうしの間は、完全に分離されていても良いし、つながっていても良い。この実施例では、室43,44は、周方向3に12個形成されているが、室43,44の数は、これに限るものではない。
【0056】
板状体31,32どうしの間は、上下方向5に直接隣接している板状体31と板状体32の間のことである。
【0057】
径方向45は、リング状をした蓋体8の中心から蓋体8の面に沿って放射状に拡がる方向である。なお、図10(b)は、一つの横桟部材46に対する径方向45を図示している。
【0058】
横桟部材46は、全長に亘って一定の断面を有して延びる棒状部材である。横桟部材46は、リング状の蓋体8の幅とほぼ同じ長さを有し、第二の断熱層33の層間の厚さとほぼ等しい一定の幅を有して、上下方向5へ向けて設置される離隔部46aを有する。離隔部46aの上下の両端部には、蓋体8の面方向へ向けて同じ向き(または反対向き)に延びる一定幅の取付代部46b,46cが、離隔部46aのほぼ全長に亘ってそれぞれ一体に設けられる。これにより、横桟部材46はほぼC字状断面(またはZ字状断面)の金属製の補強部材となる。
【0059】
横桟部材46は、上下に位置する板状体31,32間に、周方向3に間隔を有して複数箇所放射状に設置される。横桟部材46は、周方向3にほぼ等しい間隔で均等に配置するのが好ましい。横桟部材46は、取付代部46b,46cを、当接された板状体31,32に対して、リベットなどのカシメ固定部材49や溶接などによってそれぞれ固定される。カシメ固定部材49は、横桟部材46の長手方向に沿って、複数箇所固定される。この実施例では、カシメ固定部材49は、径方向45に2箇所となっているが、カシメ固定部材49による固定箇所は、上記に限るものではない。なお、カシメ固定部材49による固定部分や、板状体31,32と周縁部閉塞部38,39との合わせ部分などは、ロー付けなどによって気密性を高めても良い。
【0060】
第二の室47は、リング状の第二の断熱層33を放射状の横桟部材46で複数に仕切ることで隣接する横桟部材46間に形成される平面視ほぼ扇形または円弧状のスペースである。なお、隣接する第二の室47どうしの間は、完全に分離されていても良いし、つながっていても良い。この実施例では、第二の室47は、周方向3に16個形成されているが、第二の室47の数は、これに限るものではない。
【0061】
(3)図11に示すように、筒状のカバー本体6は、周方向3に複数分割された部分円筒面状の本体分割片51,52で構成されても良い。
隣接する本体分割片51,52の間には、互いに連結・分離可能な連結固定部53が備えられても良い。
隣接する本体分割片51,52の互いに対向する縁部54の一方には、他方を収容保持して、カバー本体6の内側から外側への燃焼ガス34の通過を規制する凹形状のシール部材55が取り付けられても良い。
【0062】
ここで、カバー本体6は、一体物としても良いが、複数の本体分割片51,52に分けることもできる。
【0063】
本体分割片51,52は、複数組み合わせて連結することで円筒状のカバー本体6を形成する、カバー本体6の構成部品である。本体分割片51,52は、カバー本体6を周方向3に二分割以上に複数分割したものとされる。カバー本体6における本体分割片51,52の分割数は、カバー本体6の大きさに応じて適宜設定することができるが、実用的には、二分割~四分割程度にするのが好ましい。各本体分割片51,52は、それぞれ同じ大きさに分割しても良いが、異なる大きさに分割しても良い。
【0064】
本体分割片51,52の合わせ部となる縁部54は、端部閉塞部36,37とほぼ同様の構造の側縁部閉塞部とされる。縁部54は、一方の本体分割片51と他方の本体分割片52とにおける周方向3の両側部にそれぞれ設けられる。
【0065】
連結固定部53は、本体分割片51,52が自立できるのであれば、不要とすることができる。また、連結固定部53は、掛金錠(ラッチ錠)など、どのようなものとしても良い。あるいは、連結固定部53は、例えば、パッチン錠またはキャッチクリップなどと呼ばれるワンタッチ式の止め金具を使用することができる。パッチン錠は、隣接する本体分割片51,52の互いに対向する縁部54の一方に取り付けられるフック部53aと、他方に取り付けられるハンドル部53bとを有している。ハンドル部53bは、フック部53aに対して係止、解放可能な係止アーム部53cと、係止アーム部53cのフック部53aに対する係止、解放を操作する操作レバー部53dとを有している。係止アーム部53cはバネを備えた伸縮式のものとなっているが、これに限るものではない。
【0066】
連結固定部53は、隣接する本体分割片51,52の互いに対向する縁部54に沿って単数または複数箇所設けられる。
【0067】
シール部材55は、燃焼ガス34の漏れを規制する部材であり、本体分割片51,52の縁部54に沿って上下方向5に連続して延びる、縁部54とほぼ同じ長さの金属製の部材とされる。
【0068】
シール部材55は、本体分割片51,52の互いに合わされる縁部54間に一箇所備えられるように、本体分割片51,52のどちらかに設けられる。
【0069】
シール部材55は、ウェブ部55aと、一対のフランジ部55b,55cとを、有する断面がC字状またはU字状の嵌合部材とされる。ウェブ部55aは、本体分割片51,52の厚みよりも若干幅の広い一定幅を有する。フランジ部55b,55cは、ウェブ部55aの両端から隣接する本体分割片52の側へ向けて一定幅でほぼ平行に延びる。
【0070】
そして、断面C字状またはU字状のシール部材55の内側に、隣接する本体分割片52の縁部54およびその周辺が嵌合するように収容されることで、隣接する蓋片は互いに安定した連結状態になる。このとき、嵌合された縁部54がシール部材55のウェブ部55aやフランジ部55b,55cに挟まれてこれらと接触状態になることで、シール部材55は、燃焼ガス34の内外間の通過を阻止するシールとして機能する。
【0071】
(4)図12に示すように、リング状の蓋体8は、周方向3に複数分割された円弧状の蓋片61,62で構成されても良い。
隣接する蓋片61,62の間には、互いに連結・分離可能な第二の連結固定部63が備えられても良い。
隣接する蓋片61,62の互いに対向する縁部64の一方には、他方を収容保持して、蓋体8の下側から上側への燃焼ガス34の通過を規制する凹形状の第二のシール部材65が取り付けられても良い。
【0072】
ここで、蓋体8は、一体物としても良いが、複数の蓋片61,62に分けることもできる。
【0073】
蓋片61,62は、複数組み合わせて連結することでリング状の蓋体8を形成する、蓋体8の構成部品である。蓋片61,62は、蓋体8を周方向3に二分割以上に複数分割したものとされる。蓋体8における蓋片61,62の分割数は、蓋体8の大きさに応じて適宜設定することができるが、実用的には、二分割~四分割程度とするのが好ましい。各蓋片61,62は、それぞれ同じ大きさに分割しても良いが、異なる大きさに分割しても良い。
【0074】
蓋片61,62の合わせ部となる縁部64は、上記した周縁部閉塞部38,39とほぼ同様の構造の端縁部閉塞部とされる。縁部64は、一方の蓋片61と他方の蓋片62とにおける、周方向3の両端部にそれぞれ設けられる。
【0075】
第二の連結固定部63は、蓋片61,62が本体分割片51,52の上に載せられて保持されるので、不要とすることができる。また、第二の連結固定部63は、掛金錠(ラッチ錠)るなど、どのようなものとしても良い。あるいは、第二の連結固定部63は、例えば、パッチン錠またはキャッチクリップなどと呼ばれるワンタッチ式の止め金具を使用することができる。パッチン錠は、隣接する蓋片61,62の互いに対向する縁部64の一方に取り付けられるフック部63aと、他方に取り付けられるハンドル部63bとを有している。ハンドル部63bは、フック部63aに対して係止、解放可能な係止アーム部63cと、係止アーム部63cのフック部63aに対する係止、解放を操作する操作レバー部63dとを有している。係止アーム部63cは、バネを備えた伸縮式のものとなっているが、これに限るものではない。
【0076】
第二の連結固定部63は、隣接する蓋片61,62の互いに対向する縁部64に沿って単数または複数箇所設けられる。
【0077】
第二のシール部材65は、燃焼ガス34の漏れを規制する部材であり、蓋片61,62の縁部64に沿って径方向45に連続して延びる、縁部64とほぼ同じ長さの金属製の部材とされる。
【0078】
第二のシール部材65は、蓋片61,62の互いに合わされる縁部64間に一箇所備えられるように、蓋片61,62のどちらかに設けられる。
【0079】
第二のシール部材65は、ウェブ部65aと、一対のフランジ部65b,65cとを有する断面がC字状またはU字状の嵌合部材とされる。ウェブ部65aは、蓋片61,62の厚みよりも若干幅の広い一定幅を有する。フランジ部65b,65cは、ウェブ部65aの両端から隣接する蓋片62の側へ向けて一定幅でほぼ平行に延びる。
【0080】
そして、断面C字状またはU字状の第二のシール部材65の内側に、隣接する蓋片62の縁部64の周辺が嵌合するように収容されることで、隣接する蓋片は互いに安定した連結状態になる。このとき、嵌合された縁部64が第二のシール部材65のウェブ部65aやフランジ部65b,65cに挟まれてこれらと接触状態になることで、第二のシール部材65は、燃焼ガス34の上下間の通過を阻止するシールとして機能する。
【0081】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0082】
ガスコンロ1の上に調理器具2を載せ、ガスコンロ1を点火して、調理器具2を加熱し、調理器具2で調理を行う。
【0083】
この際、調理中の調理器具2は、周囲を保温カバー4で取り囲むようにする。保温カバー4は、筒状のカバー本体6と、リング状の蓋体8とを有しており、カバー本体6で、調理器具2の外周を取り囲み、カバー本体6の上端と調理器具2の側面との間を蓋体8で塞ぐようにする。蓋体8は、穴の大きさが異なるものを複数用意しておき、その中から調理器具2の外径に合ったものを選んで使用する。
【0084】
保温カバー4は、調理開始前に設置しても、調理開始後に設置しても良い。調理開始前に設置する場合には、調理器具2は、保温カバー4をガスコンロ1の上に載せる前に設置しても良いし、載せた後で設置しても良い。
【0085】
カバー本体6を分割した場合には、本体分割片51,52は、筒状に組み合わせて連結固定部53で連結することで一体化される。この際、隣接する本体分割片51,52の互いに対向する縁部54の一方に取り付けた凹形状のシール部材55の内側に収容保持されるように他方の縁部54を嵌合させる。これにより、本体分割片51,52の互いに合わされる縁部54間が、間に介在されたシール部材55でシールされる。
【0086】
また、蓋体8を分割した場合には、蓋片61,62は、リング状に組み合わせて第二の連結固定部63で連結することで一体化される。この際、隣接する蓋片61,62の互いに対向する縁部64の一方に取り付けた凹形状の第二のシール部材65の内側に収容保持されるように他方の縁部64を嵌合させる。これにより、蓋片61,62の互いに合わされる縁部64間が、間に介在された第二のシール部材65でシールされる。
【0087】
調理器具2の周囲を保温カバー4によって取り囲むことで、ガスコンロ1の燃焼ガス34は、カバー本体6と調理器具2の外周との間の隙間(空間11)へ入る。燃焼ガス34は、この空間11を通って上昇し、蓋体8でせき止められて空間11内に一定時間滞留された後、蓋体8に設けられた煙突35を通って空間11から上方へと排出される。燃焼ガス34は、カバー本体6の断熱層25,26や蓋体8の第二の断熱層33へ侵入することなく、保温カバー4の内側などを通って煙突35から排出される。
【0088】
このように、調理中の調理器具2の外周を保温カバー4で取り囲むことによってガスコンロ1の燃焼ガス34を保温カバー4内に閉じ込めることができ、ガスコンロ1で発生される熱を効率的に使って調理時間の短縮や光熱費の削減を図ることが可能となる。
【0089】
そして、保温カバー4が、内部に断熱層25,26を有するカバー本体6と、内部に第二の断熱層33を有する蓋体8とを有することで、燃焼ガス34の熱の、周囲への拡散が抑制されて調理場の温度上昇が抑制、防止される。
【0090】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果が得られる。
【0091】
(効果 1)調理器具2の保温カバー4は、内部に断熱層25,26を有する筒状のカバー本体6と、内部に第二の断熱層33を有するリング状の蓋体8と、蓋体8に取り付けられた煙突35とを備えても良い。
【0092】
これにより、ガスコンロ1の上に載置された(調理中の)調理器具2の外周を、カバー本体6で取り囲むこと、および、カバー本体6の上端部7に蓋体8を設置することができる。そして、上記したように、ガスコンロ1の燃焼ガス34をカバー本体6と蓋体8とで閉じ込めて、燃焼ガス34の熱を効率的に調理(調理器具2の加熱)に使うことができる。よって、調理時間の短縮や光熱費の削減を図る効果や、ガスコンロ1の燃焼ガス34の拡がりを抑制して調理場の温度上昇を防止する効果を得ることができる。そして、その分だけガスコンロ1の火力を弱くできるので、燃焼ガス34の発生量および排出量を減らすことができる。
【0093】
この際、カバー本体6が、多重の筒体22~24の間に、密閉された単層または複数層の断熱層25,26を有することで、カバー本体6は高い断熱効果や保温効果を得ることができる。
【0094】
そのため、断熱層25,26を有するカバー本体6は、ガスコンロ1の燃焼ガス34の熱を十分に遮断して、熱をカバー本体6の外側(外周側)へ逃がし難くできる。そして、カバー本体6の表面温度を低下させると共に、カバー本体6の表面から外部への熱の放射および拡散を防止することにより、調理場の温度を低く保って作業環境を改善することができる。
【0095】
また、蓋体8についても、多層の板状体31,32の間に、密閉された単層または複数層の第二の断熱層33を有することで、蓋体8は高い断熱効果や保温効果を得ることができる。
【0096】
そのため、第二の断熱層33を有する蓋体8は、ガスコンロ1の燃焼ガス34の熱を十分に遮断して、熱を蓋体8の外側(上側)へ逃がし難くできる。そして、蓋体8の表面温度を低下させると共に、蓋体8の表面から外部への熱の放射および拡散を防止することにより、調理場の温度を低く保って作業環境を改善することができる。
【0097】
また、蓋体8に煙突35を設けることで、調理器具2とカバー本体6との間に形成される空間11に溜まったガスコンロ1の燃焼ガス34を無駄に逃さずに、煙突35からまとめて効率良く上方へ排出することができる。煙突35から上方へ排出された燃焼ガス34は、例えば、煙突35の上方に設置された換気扇から調理場の外へ直接排出される。燃焼ガス34は、調理場内に拡がる前に換気扇から外部へ排出されることになるので、調理場に熱気がこもるのを防止できる。
【0098】
(効果 2)調理器具2の保温カバー4では、カバー本体6は、内外に離間された筒体22~24どうしの間を上下方向5に延びる縦桟部材41,42で一体に連結するようにしても良い。これによって、筒体22~24を縦桟部材41,42で補強してカバー本体6の強度を高めることができ、カバー本体6の薄型化や軽量化を図ることが可能になる。
【0099】
また、筒体22~24の間に縦桟部材41,42を設けることによって、断熱層25,26を、周方向3に対して均一な厚さを有する複数の室43,44に分割することができる。そのため、断熱層25,26は、周方向3の各部の断熱効果をより均等化し易いものとなる。そして、縦桟部材41,42が上下方向5へ延びることによって、各室43,44を、上下方向5に均一な厚さに保持できるため、断熱層25,26の断熱効果を上下方向5に対しても均等化し易くできる。
【0100】
そして、蓋体8は、上下に離間された板状体31,32どうしの間を径方向45に延びる横桟部材46で一体に連結するようにしても良い。これによって、板状体31,32を横桟部材46で補強して蓋体8の強度を高めることができ、蓋体8の薄型化や軽量化を図ることが可能になる。
【0101】
また、板状体31,32の間に横桟部材46を設けることによって、第二の断熱層33を、周方向3に対して均一な厚さの複数の第二の室47に分割することができる。そのため、第二の断熱層33は、周方向3の各部の断熱効果をより均等化し易いものとなる。そして、横桟部材46が径方向45へ延びることによって、各第二の室47を、径方向45に均一な厚さに保持できるため、第二の断熱層33の断熱効果を径方向45に対しても均等化し易くできる。
【0102】
(効果 3)調理器具2の保温カバー4では、カバー本体6は、複数の本体分割片51,52で構成しても良い。カバー本体6は、周方向3に複数分割されることで、部分円筒面状の本体分割片51,52となる。そのため、ガスコンロ1の上に載置された(調理中の)調理器具2の外周に対するカバー本体6の着脱が容易になると共に、非使用時にはカバー本体6を小さく分けてコンパクトに収納することができる。そして、大型の調理器具2の外周を保温するのに、大型の保温カバー4を用いる場合でも、本体分割片51,52を使い易い大きさに形成して、調理器具2への着脱などを容易化できるようになる。
【0103】
隣接する本体分割片51,52は、間に連結固定部53を備えても良い。これにより、カバー本体6は、本体分割片51,52を連結固定部53で簡単に連結固定したり分離したりできるものとなる。そして、連結固定部53を備えることにより、本体分割片51,52を安定して一体(のカバー本体6)の状態に保つことができる。
【0104】
本体分割片51,52の一方の縁部54は、この縁部54に設けた凹形状のシール部材55に、隣接する本体分割片51,52の他方の縁部54を収容保持するようにしても良い。これによって、本体分割片51,52どうしを、シール部材55を介して嵌め合わせた状態で正しく組み合わせることができる。同時に、カバー本体6の内側から外側への燃焼ガス34の通過(漏れまたは逃げ)をシール部材55で抑制または規制することができる。そのため、燃焼ガス34の熱が無駄なく調理器具2の加熱に使われるようになるので、調理の際の熱効率をより向上すると共に、燃焼ガス34の通過による調理場の温度上昇を抑制することができる。
【0105】
(効果 4)調理器具2の保温カバー4では、蓋体8は、複数の蓋片61,62で構成しても良い。蓋体8は周方向3に複数分割されることで、円弧状の蓋片61,62となる。そのため、カバー本体6に対する蓋体8の着脱が容易になると共に、非使用時には蓋体8を小さく分けてコンパクトに収納することができる。そして、大型の調理器具2の外周を保温するのに、大型化されたカバー本体6に取り付ける蓋体8が大型になっても、蓋片61,62を使い易い大きさに形成して、カバー本体6への着脱などを容易化できるようになる。
【0106】
隣接する蓋片61,62は、間に第二の連結固定部63を備えても良い。これにより、蓋体8は、蓋片61,62を第二の連結固定部63で簡単に連結固定したり分離したりできるものとなる。そして、第二の連結固定部63を備えることにより、蓋片61,62を安定して一体(の蓋体8)の状態に保つことができる。
【0107】
蓋片61,62の一方の縁部64は、この縁部64に設けた凹形状の第二のシール部材65に、隣接する蓋片61,62の他方の縁部64を収容保持するようにしても良い。これによって、蓋片61,62どうしを、第二のシール部材65を介して嵌め合わせた状態で正しく組み合わせることができる。同時に、蓋体8の下側から上側への燃焼ガス34の通過(漏れまたは逃げ)をシール部材55で抑制または規制することができる。そのため、燃焼ガス34の熱が無駄なく調理器具2の加熱に使われるようになるので、調理の際の熱効率をより向上すると共に、燃焼ガス34の通過による調理場の温度上昇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0108】
1:ガスコンロ 2:調理器具 3:周方向 4:保温カバー 5:上下方向 6:カバー本体 7:上端部 8:蓋体 11:空間
21:下端部 22:筒体 23:筒体 24:筒体 25:断熱層 26:断熱層 27:内周端部 28:外周端部
31:リング状の板状体 32:リング状の板状体 33:第二の断熱層 34:燃焼ガス 35:煙突
41:縦桟部材 42:縦桟部材 43:室 44:室 45:径方向 46:横桟部材 47:第二の室
51:本体分割片 52:本体分割片 53:連結固定部 54:縁部 55:シール部材
61:蓋片 62:蓋片 63:第二の連結固定部 64:縁部 65:第二のシール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12