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特開2023-124037コネクタ、およびコネクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124037
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】コネクタ、およびコネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/04 20060101AFI20230830BHJP
   F02M 55/00 20060101ALI20230830BHJP
   F02M 55/02 20060101ALI20230830BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
F16L55/04
F02M55/00 E
F02M55/02 310Z
F02M55/02 330C
F02M37/00 D
F02M37/00 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027585
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 智史
(72)【発明者】
【氏名】宮島 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】小高 義紀
(72)【発明者】
【氏名】坂崎 一茂
【テーマコード(参考)】
3G066
3H025
【Fターム(参考)】
3G066AB02
3G066BA22
3G066BA36
3G066BA54
3G066BA56
3G066CB04
3G066CB05
3G066CB13S
3G066CD17
3G066DC18
3H025CA02
3H025CB21
(57)【要約】
【課題】シール性が向上されるとともに、製造効率が向上したコネクタ、およびコネクタの製造方法を提供する。
【解決手段】コネクタ1は、ハウジング本体10と、押さえ部材40と、弾性膜30と、を備える。ハウジング本体10は、第一開口P1を有する有底筒状の第一筒部11と、第一筒部11のうち第一開口P1と反対側の端部寄りの位置に設けられたハウジング環状座面21と、を有する。押さえ部材40は、筒状をなすとともに、第一筒部11内に取り付けられた状態で第一開口P1と反対側の端部に設けられた押さえ部材環状座面41を有する。弾性膜30は、ハウジング環状座面21と押さえ部材環状座面41との間に挟持され、第一筒部11内を流通する流体の圧力を受ける面とされて第一筒部11内を流通する流体の圧力に応じて撓み変形するようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一配管に接続される第一開口を有して第一流路を形成する有底筒状の第一筒部と、前記第一筒部と交差する方向にのびる第二流路を形成するとともに第二配管に接続される第二開口を有する筒状の第二筒部と、前記第一筒部のうち前記第一開口と反対側の端部寄りの位置に設けられて前記第一流路に面するハウジング環状座面と、を有するハウジング本体と、
筒状をなすとともに、前記第一筒部内に取り付けられた状態で前記第一開口と反対側の端部に設けられた押さえ部材環状座面を有する押さえ部材と、
第一面と第二面とを有し、前記第一面の外周縁が前記ハウジング環状座面に密着するとともに前記第二面の外周縁が前記押さえ部材環状座面に密着した状態で前記ハウジング環状座面と前記押さえ部材環状座面との間に挟持され、前記第一面と前記第一筒部の底面との間に空間が形成され、前記第二面が前記第一筒部内を流通する流体の圧力を受ける面とされて前記第一筒部内を流通する前記流体の圧力に応じて撓み変形するようになっている弾性膜と、
を備えるコネクタ。
【請求項2】
前記押さえ部材のうち前記押さえ部材環状座面と反対側の端部は、前記第一流路のうち前記第二流路と連通する部分よりも前記押さえ部材環状座面側に位置している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記押さえ部材のうち前記押さえ部材環状座面と反対側の端部は、前記第一流路のうち前記第二流路と連通する部分よりも前記第一開口側に位置しており、
前記押さえ部材の側面には、前記押さえ部材の内部領域と前記第二流路との間を前記流体が流通可能に形成された少なくとも一つの流通孔が開口している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性膜は、外環部の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成され、
前記弾性膜の外環部は、前記ハウジング環状座面と前記押さえ部材環状座面とにより前記弾性膜の厚み方向に圧縮された状態で挟持され、
前記弾性膜の前記中央部は、前記第一筒部内を流通する流体の圧力に応じて撓み変形する、請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記押さえ部材は、前記押さえ部材環状座面よりも径方向内側から軸方向に沿って前記弾性膜に向かって突出し、前記弾性膜の前記外環部の径方向内側から当接することによって前記押さえ部材と前記弾性膜が径方向について相対的に移動することを抑制する押さえ部材突起を備える、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記弾性膜は、前記押さえ部材環状座面よりも径方向内側から軸方向に沿って前記押さえ部材に向かって突出し、前記押さえ部材環状座面の径方向内側から前記押さえ部材に当接することによって前記押さえ部材と前記弾性膜が径方向について相対的に移動することを抑制する弾性膜突起を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記弾性膜は、
前記弾性膜の表層を形成し、前記ハウジング環状座面および前記押さえ部材環状座面に当接する弾性部材と、
前記弾性部材の内部に配置され、前記弾性部材より曲げ弾性率が高い材料により成形され、弾性変形可能な補強部材と、
を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記空間内に配置され、前記弾性膜の前記第一面を前記第二面に向かって付勢するばね部材を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第一筒部の前記底面のうち前記弾性膜の前記第一面に対向する部分は、前記弾性膜に向かって突出する凸部を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第一筒部に設けられた係止部と、前記押さえ部材に設けられた係止受け部とが、弾性的に係止することにより、前記押さえ部材が前記第一筒部に取り付けられた、請求項1~9のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記係止部は、前記第一筒部の内周面に、周方向について連続して形成されている、請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記係止部は、前記第一筒部の内周面に、周方向について少なくとも一か所が切り欠かれた切り欠き部を有する、請求項10に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記第一筒部の内周面、および前記押さえ部材の外周面の一方は、他方に向かって突出するガイド突起を有し、前記第一筒部の内周面、および前記押さえ部材の外周面の他方は、前記ガイド突起が進入するとともに前記押さえ部材の軸方向に長尺な溝状をなすガイド溝を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記押さえ部材の軸方向について前記ガイド溝の開口端部には、前記押さえ部材の端部に向かうにしたがって拡径するテーパー面が形成されている、請求項13に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記押さえ部材が前記第一筒部に取り付けられた状態で、前記押さえ部材の側面のうち前記第二流路に対応する位置を含む前記押さえ部材の周方向に連続した領域には、前記押さえ部材の内部領域と前記第二流路との間を前記流体が流通可能な複数の流通孔が形成されており、前記複数の流通孔の少なくとも一つを介して、第二流路と前記押さえ部材の内側領域との間で前記流体が流通可能に構成されている、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記第一筒部の内面、および/または前記押さえ部材の外面には、前記複数の流通孔と前記第二流路との間で前記流体が流通可能に構成された連通溝が形成されている、請求項15に記載のコネクタ。
【請求項17】
前記第一筒部内に組付けられる前の状態における前記弾性膜の外径寸法は、前記第一筒部の内径寸法よりも大きい、請求項1~16のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項18】
前記弾性膜の外径寸法は、前記第一筒部の内径寸法よりも小さい、請求項1~16のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項19】
前記ハウジング本体は一体成形品であり、前記ハウジング本体の前記第一開口には前記ハウジング本体とは別部品であって前記第一配管を保持する筒状のホルダが取り付けられており、前記ホルダが前記第一配管を保持することにより前記第一配管が前記第一開口に接続されており、
前記第一筒部の内周面には、前記第一配管に外嵌されるOリングを保持する保持凹部が形成されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項20】
前記第一配管が前記第一開口に接続された状態で、前記第一配管と前記押さえ部材とが離れている、請求項19に記載のコネクタ。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のコネクタの製造方法であって、
柱状にのびた軸部を有する治具の前記軸部が、前記第一筒部の前記第一開口に取り付けられて前記第一配管を保持する筒状のホルダに挿入され、次に前記押さえ部材に挿入され、前記軸部の先端部、または前記押さえ部材の先端部に前記弾性膜が取り付けられる工程と、
前記軸部、前記ホルダ、前記押さえ部材、および前記弾性膜が、前記弾性膜を先頭にして前記第一筒部の前記第一開口から挿入される工程と、
前記軸部が前記ハウジング本体から引き抜かれる工程と、
を備えるコネクタの製造方法。
【請求項22】
前記押さえ部材の内周面には内方に突出する治具受け部が設けられており、前記軸部には、前記軸部の先端部に、前記軸部が前記押さえ部材に挿入されたときに治具受け部と当接する押圧部が形成されており、
前記押圧部を前記治具受け部に当接させることにより、前記押さえ部材が前記第一筒部の内方に押し込まれる工程を備える、請求項21に記載のコネクタの製造方法。
【請求項23】
前記治具は、前記押圧部から突出する弾性膜支持部を有し、
前記弾性膜支持部は、前記弾性膜の前記第二面が凸になるように変形した場合に前記弾性膜の前記第二面と当接する、請求項22に記載のコネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、およびコネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管内に流通される流体が間欠的に外部に噴射される装置が知られている。このような装置として、例えば、自動車の燃料供給装置が知られている。特許文献1には、燃料供給装置の燃料供給系に設けられるコネクタの内部に、ゴム材料からなる脈動吸収体を設けることが記載されている。脈動吸収体が弾性変形することにより脈動が低減される。特許文献2には、コネクタの内部に、空気ばねとして機能するベローズを設けることが記載されている。ベローズが伸縮変形することにより脈動が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-4565号公報
【特許文献2】特開2004-183812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明に係るコネクタには、燃料が流入、または流出するために設けられた二つの開口のほかに、脈動吸収部材をコネクタに取り付けるための第三の開口が設けられている。このため、第三の開口から脈動吸収部材を組み付けた後、第三の開口部を液密状態、または気密状態で塞ぐための作業が必要となるため、コネクタの製造効率が低下するという課題があった。また、第三の開口が塞がれたとしても、第三の開口に僅かな隙間が生じる可能性はあるため、この隙間から燃料が外部に漏出する可能性が懸念された。
【0005】
特許文献2に記載された発明に係るコネクタにおいても同様に、ベローズをコネクタに取り付けるための第三の開口が設けられている。このため、特許文献1に記載された発明と同様の課題があった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、シール性が向上されるとともに、製造効率が向上したコネクタ、およびコネクタの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
第一配管に接続される第一開口を有して第一流路を形成する有底筒状の第一筒部と、前記第一筒部と交差する方向にのびる第二流路を形成するとともに第二配管に接続される第二開口を有する筒状の第二筒部と、前記第一筒部のうち前記第一開口と反対側の端部寄りの位置に設けられて前記第一流路に面するハウジング環状座面と、を有するハウジング本体と、
筒状をなすとともに、前記第一筒部内に取り付けられた状態で前記第一開口と反対側の端部に設けられた押さえ部材環状座面を有する押さえ部材と、
第一面と第二面とを有し、前記第一面の外周縁が前記ハウジング環状座面に密着するとともに前記第二面の外周縁が前記押さえ部材環状座面に密着した状態で前記ハウジング環状座面と前記押さえ部材環状座面との間に挟持され、前記第一面と前記第一筒部の底面との間に空間が形成され、前記第二面が前記第一筒部内を流通する流体の圧力を受ける面とされて前記第一筒部内を流通する前記流体の圧力に応じて撓み変形するようになっている弾性膜と、
を備えるコネクタにある。
【0008】
本発明の他の態様は、
上記のコネクタの製造方法であって、
柱状にのびた軸部を有する治具の前記軸部が、前記第一筒部の前記第一開口に取り付けられて前記第一配管を保持する筒状のホルダに挿入され、次に前記押さえ部材に挿入され、前記軸部の先端部、または前記押さえ部材の先端部に前記弾性膜が取り付けられる工程と、
前記軸部、前記ホルダ、前記押さえ部材、および前記弾性膜が、前記弾性膜を先頭にして前記第一筒部の前記第一開口から挿入される工程と、
前記軸部が前記ハウジング本体から引き抜かれる工程と、
を備えるコネクタの製造方法にある。
【発明の効果】
【0009】
上記コネクタによれば、弾性膜は、ハウジング本体に設けられた第一開口からハウジング本体の内部に挿入されて、ハウジング環状座面と、押さえ部材に設けられた押さえ部材環状座面と、に挟持されることによりハウジング本体に取り付けられる。この結果、ハウジング本体に弾性膜を取り付けるための開口を別途設ける必要がないので、コネクタのシール性を向上させることができる。
【0010】
また、ハウジング本体に弾性膜を取り付けるための開口を、液密状態、または気密状態で塞ぐ工程が必要ない。このため、ハウジング本体に弾性膜を取り付けるための開口が設けられている場合に比べて、コネクタの製造効率を向上させることができる。
【0011】
また、上記コネクタの製造方法によれば、軸部の先端部、または軸部に挿入された押さえ部材の先端部に弾性膜が取り付けられた状態で、弾性膜、押さえ部材、ホルダ、および軸部が、第一筒部内に挿入されるようになっている。このため、弾性膜がよじれたりめくれたりする等の変形を起こすことが抑制される。また、弾性膜と押さえ部材が同一工程内で第一筒部内に挿入されるので、弾性膜と押さえ部材とを別工程で第一筒部内に挿入する場合に比べて、組み立て性に優れる。
【0012】
以上のように、シール性が向上されるとともに、製造効率が向上したコネクタ、およびコネクタの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1のコネクタに第一配管と第二配管とが組付けられた状態を示す縦断面図である。
図2】実施形態1のコネクタの製造工程における一工程を示す縦断面図である。
図3】実施形態1のコネクタの製造工程における一工程であって、第一筒部と押さえ部材とが組付けられるとともに、第一筒部とホルダとが組付けられた状態を示す縦断面図である。
図4】実施形態1のコネクタの縦断面図である。
図5】実施形態2のコネクタに第一配管と第二配管とが組付けられた状態を示す縦断面図である。
図6】実施形態2のコネクタの縦断面図である。
図7】実施形態2のコネクタの製造工程における一工程であって、第一筒部と押さえ部材とが組付けられるとともに、第一筒部とホルダとが組付けられた状態を示す縦断面図である。
図8】実施形態3のコネクタの部分拡大図である。
図9】実施形態3のハウジング本体の縦断面図である。
図10】実施形態4のコネクタの部分拡大図である。
図11】実施形態4の変形例のコネクタの部分拡大図である。
図12】実施形態5のコネクタの部分拡大図である。
図13】実施形態6のコネクタの部分拡大図である。
図14】実施形態7のコネクタの部分拡大図である。
図15】実施形態8のコネクタの部分拡大図である。
図16】実施形態9のコネクタの部分拡大図である。
図17】実施形態10のコネクタの製造工程における一工程であって、第一筒部と押さえ部材とが組付けられるとともに、第一筒部とホルダとが組付けられた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
1-1.コネクタ1の適用対象
実施形態1のコネクタ1の適用対象について、図1を参照して説明する。コネクタ1は、例えば、自動車の燃料供給系や冷却水の流路などの一部を構成する。例えば、図1に示すように、コネクタ1は、燃料供給系において、エンジンのインジェクタに接続されるフューエルデリバリパイプと、燃料タンクからポンプにより圧送される流体燃料を流通させる長尺状の樹脂チューブとを連結する。インジェクタの開閉状態が制御されることにより、エンジンのシリンダ内に所望量の流体燃料が噴射される。
【0015】
コネクタ1は、流体燃料を流通可能に構成されており、一端に第一配管2としてのフューエルデリバリパイプが接続され、他端に第二配管3としての樹脂チューブが接続される。本形態においては、流体燃料は、第二配管3としての樹脂チューブから、コネクタ1を介して、第一配管2としてのフューエルデリバリパイプに向かって流通する。
【0016】
そして、インジェクタの開閉動作によって、コネクタ1、第一配管2および第二配管3を流通する流体燃料に脈動が生じる。ただし、コネクタ1は、燃料供給系以外であっても、脈動を生じる流体の流通経路に適用可能である。
【0017】
1-2.コネクタ1の構成
コネクタ1の構成について図1および図2を参照して説明する。コネクタ1は、第一配管2と第二配管3とを接続する。本形態において、第一配管2は、例えば、金属配管または硬質の樹脂配管などである。第一配管2の断面は円形状をなしている。第一配管2は、先端から距離を隔てた位置に、径方向外側に全周に亘って突出する環状フランジ2aを有する。第二配管3は、拡管変形可能な樹脂により成形されている。
【0018】
図1に示すように、コネクタ1は、ハウジング本体10、弾性膜30および押さえ部材40を備える。コネクタ1は、さらに、ホルダ70およびシールユニット4を備える。
【0019】
ハウジング本体10は、第一配管2に接続される第一開口P1を有して第一流路C1を形成する第一筒部11と、第一筒部11と交差する方向にのびる第二流路C2を形成するとともに第二配管3に接続される第二開口P2を有する筒状の第二筒部12と、を有する。第一筒部11の第一開口P1には、ハウジング本体10とは別部品であるホルダ70が取り付けられている。ホルダ70は、第一配管2に接続される第三開口P3を有する。
【0020】
ハウジング本体10において、第一筒部11の内部が第一流路C1とされ、第二筒部12の内部が第二流路C2とされる。図1においては、ハウジング本体10は、第一筒部11と第二筒部12とが直交している、いわゆるエルボータイプを例示している。ただし、ハウジング本体は、エルボータイプに限定されず、第一筒部11ののびる方向と、第二筒部12ののびる方向とが、直角以外の角度で交差している構成を含む。
【0021】
ハウジング本体10は、例えば、金属や樹脂などにより成形されている。例えば、ハウジング本体10が金属により成形される場合には、鋼材、アルミニウムなどが用いられる。また、ハウジング本体10が樹脂により成形される場合には、ハウジング本体10を形成する母材樹脂は、ポリプロピレン、ポリアミドなどが好適であるが、これに限定されるものではなく種々の樹脂材料を適用できる。ここで、ハウジング本体10は、図1においては、1つの部材により形成される場合を例にあげるが、複数の部材を一体的に連結して形成されるようにしても良い。
【0022】
ハウジング本体10は、第一筒部11および第二筒部12を備える。第一筒部11と第二筒部12とは、一体成形されるようにしても良いし、別体に成形されて接合または接着するようにしても良い。第一筒部11は、有底筒状に形成され、一端(図1の右端)に第一開口P1を形成する。本形態においては、第一筒部11は、第一配管2が挿入可能に形成され、かつ、第一配管2を係止する構成を有する。ただし、第一筒部11の形状は、連結対象部材に応じて適宜変更可能である。
【0023】
第一筒部11の第一開口P1に取り付けられたホルダ70は、例えば、金属や樹脂などにより成形されており、ハウジング本体10と同じ材料で形成されていてもよいし、また、ハウジング本体10と異なる材料で形成されていてもよい。ホルダ70は筒状をなしており、一方の先端部には、第一筒部11の第一開口P1が嵌合する嵌合溝72が形成されている。嵌合溝72の内壁には、内方に突出する係止突起73が形成されており、第一筒部11の外面には、第一筒部11とホルダ70とが組付けられた状態で、ホルダ70の係止突起73に対応する位置に、係止突起73と凹凸嵌合する係止凹部16が形成されている。係止突起73と係止凹部16とが凹凸嵌合することにより、第一筒部11とホルダ70とが固定されるようになっている。
【0024】
ホルダ70は、嵌合溝72が形成された側と反対側の端部に、第一配管2が挿入される第三開口P3を有する。ホルダ70の内径寸法は、第一配管2の外形寸法と同じか、やや大きく形成されている。これにより、第一配管2はホルダ70内に挿入可能になっている。
【0025】
ホルダ70は、第一配管2の環状フランジ2aに対して、第一筒部11およびホルダ70の軸方向に係止する係止部材71を備える。係止部材71は、第一配管2の環状フランジ2aが挿入されるように弾性変形可能に設けられている。つまり、第一配管2がホルダ70の正規位置まで挿入されることで、第一配管2の環状フランジ2aが係止部材71に係止され、環状フランジ2aが、第一配管2が引き抜かれることを規制する。
【0026】
さらに、第一筒部11には、第一筒部11の径方向について、第一筒部11の内周面と第一配管2の先端側の外周面との間に、シールユニット4が設けられている。シールユニット4は、第一筒部11の内周面と第一配管2の先端部の外周面とをシールする一対のOリング51,53と、一対のOリング51,53の軸方向間に配置される円筒状のカラー部材52とにより構成される。Oリング51,53およびカラー部材52は、押さえ部材40と、ホルダ70との間に挟まれることにより、第一筒部11の軸方向について位置決めされている。
【0027】
第二筒部12は、直筒状に形成され、一端(図1の下端)に第二開口P2を形成し、他端(図1の上端)にて第一筒部11の側面に接続されている。第二筒部12の外周面に、第二配管3が嵌装され、かつ、第二配管3を係止する構成を有する。ただし、第二筒部12の形状は、連結対象部材に応じて適宜変更可能である。
【0028】
本形態においては、第二筒部12には、外周面に第二配管3が外嵌される。第二筒部12の内周面は、円筒内周面状に形成されている。一方、第二筒部12の外周面は、径方向外側に突出する環状凸部を、軸方向に複数備える。環状凸部は、軸方向断面において、第二開口P2側の傾斜が比較的に緩やかに形成されており、第二開口P2と反対側の傾斜が比較的に切り立って形成されている。これにより、第二配管3は、第二筒部12に外嵌しやすくなるとともに、第二配管3から抜けにくくなっている。
【0029】
第二配管3が第二筒部12の外周側に嵌装されることで、第二配管3は、拡管するとともに、第二筒部12の外周面の複数の環状凸部に対して軸方向に係止される。また、第二筒部12の外周面には、シール部材としてのOリング5が配置されており、Oリング5は、第二筒部12の外周面と第二配管3の内周面との間に径方向に挟まれることにより、シール機能を発揮する。
【0030】
第一流路C1を構成する第一筒部11の内面には、第二流路C2を構成する第二筒部12と交差する部分において、第一流路C1と第二流路C2とを連通する連通部18が形成されている。連通部18は、第一筒部11の内面に孔状に形成されている。連通部18の直径は第二筒部12の内径と同じに形成されている。
【0031】
さらに、ハウジング本体10は、第一筒部11のうち第一開口P1と反対側(図1の左側)寄りの位置に設けられて第一流路C1に面するハウジング環状座面21を有する。第一筒部11の内周面には、第一筒部11の底面よりもやや第一開口P1寄りの位置に、径方向内側に張り出す鍔部19が形成されている。鍔部19のうち、第一流路C1に面する部分がハウジング環状座面21とされる。また、ハウジング環状座面21は、第一筒部11の連通部18よりも底面寄りの位置に設けられている。
【0032】
ハウジング環状座面21は、第一筒部11の軸方向に直交する平面であって、全周に亘って同一平面状に形成される。ハウジング環状座面21は、例えば円形に形成される。ただし、環状とは、円形に限らず、多角形などを含む形状を意味し、以下も同様である。
【0033】
弾性膜30は、図2に示すように、扁平状に形成され、ハウジング環状座面21の形状に対応する外形形状に形成されている。例えば、ハウジング環状座面21が円形の場合には、弾性膜30は、扁平円形に形成されている。
【0034】
弾性膜30は、弾性変形可能な材料により成形されている。例えば、弾性膜30には、ゴムやエラストマーなどの弾性部材、金属や樹脂などの板バネ、これらの複合体のいずれかが適用される。本形態においては、弾性膜30は、上記の弾性部材を例にあげる。
【0035】
弾性膜30は第一面33と第二面34とを有し、第一面33の外周縁がハウジング環状座面21に当接して配置される。これにより、第一筒部11の底面20と、弾性膜30との間には、閉塞された空間Sが形成される。弾性膜30の第一面33は、第一筒部11の底面20と対向している。弾性膜30は、第一流路C1と空間Sとを区画する。弾性膜30の第二面34は、第一筒部11内を流通する流体の圧力を受ける面を構成する、さらに、弾性膜30は、第一筒部11内を流通する流体の圧力に応じて撓み変形する。
【0036】
第一筒部11の底面20のうち、弾性膜30の第一面33に対向する部分は、弾性膜30に向かって突出する凸部22を備える。凸部22の先端部には平坦面が形成されている。凸部22は、円柱状、角柱状、円錐台形状、角錐台形状等、任意の形状とすることができる。弾性膜30が底面20に向かって撓み変形していない状態では、凸部22と弾性膜30とは接触していない。また、弾性膜30が第一筒部11内を流通する流体の圧力によって、弾性膜30の第一面33が凸となるように撓み変形した場合には、凸部22の先端部と、弾性膜30とが接触するようになっている。ただし、凸部22は省略されてもよい。
【0037】
弾性膜30は、外周部分を構成する外環部31、および、外環部31の径方向内側部分を構成する中央部32を備える。外環部31は、弾性膜30の法線方向から見て、円形、楕円形、多角形など、任意の無端環状に形成されている。
【0038】
弾性膜30の外環部31の第一面33が、ハウジング環状座面21に、全周に亘って当接する。つまり、弾性膜30の外環部31とハウジング環状座面21との当接により、第一流路C1と空間Sとがシールされる。そして、弾性膜30の中央部32は、第一筒部11の内部を流通する流体の圧力を受ける面を構成し、第一筒部11の内部を流通する流体の圧力に応じて撓み変形する。
【0039】
ここで、弾性膜30の外環部31の厚み(図2の左右方向厚み)が、中央部32の厚みよりも大きく形成されている。弾性膜30の外環部31は、弾性膜30の軸方向断面において、略円形や略矩形など、任意の形状に形成されている。例えば、弾性膜30の外環部31は、Oリングのような形状や円筒形などである。弾性膜30の中央部32は、薄膜のシート状に形成されている。そして、弾性膜30の中央部32は、外環部31の厚み方向の中央付近に接続されている。
【0040】
図2に示すように、第一筒部11に組付けられる前の状態においては、弾性膜30の外形寸法は、第一筒部11の内径寸法よりも大きく形成されている。これにより、弾性膜30が第一筒部11の内部に挿入された状態では、弾性膜30は、径方向について縮径された状態になっている。この結果、弾性膜30の外周縁と、第一筒部11の内周面とが密着するので、弾性膜30と、第一筒部11との間のシール性が向上するようになっている。
【0041】
押さえ部材40は、例えば、金属や樹脂などにより成形されている。例えば、押さえ部材40が金属により成形される場合には、鋼材、アルミニウムなどが用いられる。例えば、押さえ部材40が樹脂により成形される場合には、押さえ部材40を形成する母材樹脂は、ハウジング本体10と同様に、ポリプロピレン、ポリアミドなどが好適であるが、これに限定されるものではなく種々の樹脂材料を適用できる。
【0042】
押さえ部材40は、筒状に形成されている。押さえ部材40の外形寸法は、第一筒部11の内径寸法と同じか、わずかに小さく設定されている。押さえ部材40は、第一筒部11の内部に、第一開口P1から挿入されるようになっている。
【0043】
押さえ部材40は、第一筒部11の内部に挿入された状態で、第一筒部11に固定される。第一筒部11の軸方向について、第一筒部11の内周面には、ハウジング環状座面21と連通部18との間の領域に、第一筒部11の径方向内方に突出する係止部24が設けられている。係止部24は、第一筒部11の内周面に、周方向に連続して環状に形成されている。押さえ部材40の外周面には、第一筒部11の内部に押さえ部材40が挿入された状態で、第一筒部11の係止部24に対応する位置に、押さえ部材40の径方向内方に陥没する係止受け部43が設けられている。係止部24と係止受け部43とは、凹凸嵌合可能であり、互いに弾性的に係止するようになっている。これにより、押さえ部材40が第一筒部11内に抜け止め状態で固定されるようになっている。
【0044】
押さえ部材40が第一筒部11に取り付けられた状態で、押さえ部材40のうち第一開口P1側の端部は、第一筒部11の連通部18よりも第一開口P1側に位置している。押さえ部材40の側面には、第一筒部11の軸方向について連通部18に対応する位置に、押さえ部材40を貫通する流通孔44が開口している。流通孔44の内径寸法は、連通部18の内径寸法よりも大きく設定されている。押さえ部材の内部領域と、第二筒部12の第二流路C2とは、流通孔44、および連通部18を介して流体が流通可能になっている。流通孔44の断面形状は、円形状、楕円形状、多角形状等、任意の形状を適宜に選択できる。
【0045】
押さえ部材40の内径寸法は、第一配管2の外形寸法と同じか、やや大きく設定されている。これにより、押さえ部材40の内部に、第一配管2が挿入されるようになっている。第一配管2が押さえ部材40の内部に挿入された状態で、第一配管2の先端部は、押さえ部材40の流通孔44よりも第一開口P1側に位置するようになっている。
【0046】
押さえ部材40は、第一筒部11に取り付けられた状態で第一開口P1と反対側の端部寄りの端部に、弾性膜30の第二面34に密着する押さえ部材環状座面41を有する。押さえ部材環状座面41は、押さえ部材40の軸方向に直交する平面であって、全周に亘って同一平面状に形成される。また、押さえ部材環状座面41は、ハウジング環状座面21に対して距離を隔てて対向する。押さえ部材環状座面41は、弾性膜30の第二面34に当接する。特に、押さえ部材環状座面41は、弾性膜30の外環部31に全周に亘って当接する。より詳細には、押さえ部材環状座面41は、弾性膜30の外環部31を、弾性膜30の法線方向に圧縮した状態で当接する。つまり、弾性膜30の外環部31は、押さえ部材環状座面41とハウジング環状座面21とにより、弾性膜30の法線方向に圧縮した状態で挟持される。
【0047】
押さえ部材40の内周面には、流通孔44よりも押さえ部材環状座面41寄りの位置に、押さえ部材40の径方向内方に突出する治具受け部45が形成されている。治具受け部45は、押さえ部材40の内周面に、周方向について全周にわたって形成されている。治具受け部45には、後述する治具60の先端部が、押さえ部材40の軸方向について第一開口P1側から当接するようになっている。
【0048】
1-3.コネクタ1の製造方法
続いて、コネクタ1の製造方法について主として図2図4を参照して説明する。ただし、コネクタ1の製造方法については以下の記述に限定されない。
【0049】
基部61と、基部61からのびる柱状をなす軸部62と、を有する治具60を用意する。軸部62の先端部は、治具受け部45と当接して押さえ部材40を押圧する押圧部63とされる。軸部62は円柱状をなしていてもよいし、角柱状をなしていてもよく、任意の形状を適宜に選択できる。軸部62の外形寸法は、押さえ部材40の内径寸法より小さく設定されているとともに、押さえ部材40の治具受け部45の内径寸法より大きく設定されている。
【0050】
まず、ホルダ70の第三開口P3に、治具60の軸部62が挿入される。以後、順に、Oリング53、カラー部材52、Oリング51および押さえ部材40に、軸部62が挿入される。押さえ部材40に軸部62が挿入されると、軸部62の先端部は、押さえ部材40の治具受け部45に、押さえ部材40の軸方向について押さえ部材環状座面41と反対側から当接する。この状態で、治具60の軸部62には、基部61に近い順に、ホルダ70、Oリング53、カラー部材52、Oリング51および押さえ部材40が取り付けられている。次に、押さえ部材40の押さえ部材環状座面41に、弾性膜30の第二面34が押さえ部材環状座面41に対向するようにして、弾性膜30が取り付けられる(図2参照)。
【0051】
続いて、図2に示すように、治具60に、ホルダ70、Oリング53、カラー部材52、Oリング51、押さえ部材40および弾性膜30が取り付けられた状態のものが、弾性膜30を先頭にして、第一筒部11の第一開口P1から挿入される。
【0052】
弾性膜30の外環部31と、第一筒部11の開口縁部とが接触すると、弾性膜30は、第一筒部11の径方向に縮径変形する。治具60が第一筒部11の内方に押し込まれると、弾性膜30がさらに縮径変形して、弾性膜30が第一筒部11の内部に進入する。
【0053】
さらに治具60が第一筒部11の内方に押し込まれると、弾性膜30の第一面33が第一筒部11のハウジング環状座面21と当接する。さらに治具60が第一筒部11の内方に押し込まれると、弾性膜30は、ハウジング環状座面21と押さえ部材環状座面41との間に挟まれる。これにより、弾性膜30の外環部31は、第一筒部11の軸方向について、ハウジング環状座面21と押さえ部材環状座面41とによって圧縮される。これにより、ハウジング環状座面21と弾性膜30との間が液密にシールされるとともに、弾性膜30と押さえ部材環状座面41との間が液密にシールされる。さらに、弾性膜30の外環部31の外周縁は、第一筒部11の内周面と密着することにより、弾性膜30と第一筒部11との間も液密にシールされる。これにより、第一筒部11の第一流路C1を構成する空間と、空間Sとが、弾性膜30によって液密にシールされた状態で区画される。
【0054】
図3に示すように、第一筒部11の係止部24と、押さえ部材40の係止受け部43とが弾性的に係止することにより、押さえ部材40は第一筒部11の内部において、第一筒部11の軸方向について抜け止め状態で保持される。
【0055】
また、図3に示すように、第一筒部11のうち底面20と反対側の端部が、ホルダ70の嵌合溝72内に進入し、ホルダ70の係止突起73と、第一筒部11の係止凹部16とが弾性的に係止することにより、ホルダ70と、第一筒部11とが、第一筒部11の軸方向について互いに抜け止め状態で保持される。
【0056】
続いて、治具60が第一筒部11から引き抜かれる。以上により、図4に示すように、コネクタ1が完成する。
【0057】
コネクタ1のホルダ70から、第一配管2が挿入されると、第一配管2の環状フランジ2aと、ホルダ70の係止部材71とが弾性的に係止する。これにより、コネクタ1に第一配管2が取り付けられる。第一配管2の外周面と、第一筒部11の内周面との間に、Oリング51およびOリングが挟まれることにより、第一配管2と第一筒部11との間が液密にシールされる(図1参照)。
【0058】
第二筒部12には、Oリング5が外嵌される。続いて、第二筒部12に、第二配管3が外嵌される。第二筒部12の外周面と、第二配管3の内周面との間に、Oリング5が挟まれることにより、第二筒部12と第二配管3との間が液密にシールされる(図2参照)。
【0059】
1-4.効果
上記コネクタ1によれば、弾性膜30は、ハウジング本体10に設けられた第一開口P1からハウジング本体10の内部に挿入されて、ハウジング本体10に設けられたハウジング環状座面21と、押さえ部材40に設けられた押さえ部材環状座面41と、に挟持されることによりハウジング本体10に取り付けられる。この結果、ハウジング本体10に弾性膜30を取り付けるための開口を別途設ける必要がないので、コネクタ1のシール性を向上させることができる。また、ハウジング本体10に弾性膜30を取り付けるための開口を、液密状態、または気密状態で塞ぐ工程が必要ない。このため、ハウジング本体10に弾性膜30を取り付けるための開口が設けられている場合に比べて、コネクタ1の製造効率を向上させることができる。
【0060】
空間Sは、第一筒部11の底面20、第一筒部11の内周面、および弾性膜30の第一面33を壁面とする密閉空間となる。
【0061】
空間Sが密閉空間とされることで、弾性膜30の中央部32は、第一筒部11内を流通する流体の圧力変動に効果的に追従することができる。さらに、空間Sが密閉空間とされることで、弾性膜30が空間S側に変形することに伴って空間Sの内圧が高くなるため、弾性膜30の過度な変形を抑制できる。従って、弾性膜30の使用耐久性を高度に維持しつつ、高い脈動低減効果を発揮できる。
【0062】
押さえ部材40のうち押さえ部材環状座面41と反対側の端部は、第一流路C1のうち第二流路C2と連通する部分よりも第一開口P1側に位置しており、押さえ部材40の側面には、押さえ部材40の内部領域と第二流路C2との間を流体が流通可能に形成された少なくとも一つの流通孔44が開口している。
【0063】
流体は、第一流路C1、押さえ部材40の内部領域、流通孔44、および第二流路C2の間を流通可能になっている。これにより、第一筒部11の内部に配された押さえ部材40によって流体の流れが妨げられないようになっている。この結果、第一流路C1内を流れる流体の圧力が変動することが抑制されるので、流体の脈動が低減される。
【0064】
弾性膜30は、外環部31の厚みが中央部の厚みよりも大きく形成され、弾性膜30の外環部31は、ハウジング環状座面21と押さえ部材環状座面41とにより弾性膜30の厚み方向に圧縮された状態で挟持され、弾性膜30の中央部は、第一筒部11内を流通する流体の圧力に応じて撓み変形する。
【0065】
これにより、弾性膜30の外環部31が、確実に、ハウジング環状座面21と押さえ部材環状座面41とにより圧縮された状態で挟持されるのに対して、中央部は、外環部31の圧縮の影響を大きく受けることなく、第一流路C1の流体の圧力に応じて撓み変形可能となる。つまり、外環部31が、弾性膜30を位置決め機能とシール機能を発揮するのに対して、中央部が脈動低減効果を確実に発揮することができる。
【0066】
第一筒部11の底面20のうち弾性膜30の第一面33に対向する部分は、弾性膜30に向かって突出する凸部22を備える。
【0067】
第一流路C1を流れる流体の圧力によって、第一面33側が凸となるように弾性膜30が撓み変形した場合に、凸部22が弾性膜30の第一面33と接触することにより、弾性膜30が過度に撓み変形することを抑制することができる。これにより弾性膜30の耐久性を向上させることができる。
【0068】
第一筒部11に設けられた係止部24と、押さえ部材40に設けられた係止受け部43とが、弾性的に係止することにより、押さえ部材40が第一筒部11に取り付けられている。
【0069】
押さえ部材40を第一筒部11内に挿入するという簡易な操作により、第一筒部11の係止部24と押さえ部材40の係止受け部43とが弾性的に係止して、押さえ部材40が第一筒部11内において軸方向に移動することを抑制することができる。これにより、軸方向について弾性膜30の変形量を一定にすることができる。
【0070】
係止部24は、第一筒部11の内周面に、周方向について連続して形成されている。
【0071】
係止部24が周方向に連続して形成されていることにより、押さえ部材40は、弾性膜30を、周方向について均一な力で押圧することができる。これにより、弾性膜30は周方向について均一な力で第一筒部11内に保持されるので、弾性膜30と、第一筒部11、および押さえ部材40との間は、周方向について均一にシールされる。この結果、弾性膜30と、第一筒部11、および押さえ部材40との間のシール性が向上する。
【0072】
第一筒部11内に組付けられる前の状態における弾性膜30の外径寸法は、第一筒部11の内径寸法よりも大きい。
【0073】
第一筒部11内に組み付けられる前の状態における弾性膜30の外形寸法が、第一筒部11の内径寸法よりも小さい場合に比べて、第一流路C1に面する第二面34の面積を大きくすることができる。これにより、第一流路C1を流れる流体の圧力を確実に吸収することができるので、弾性膜30の脈動低減性を向上させることができる。
【0074】
ハウジング本体10は一体成形品なので、ハウジング本体10が複数の部材が組み合わされている場合に比べて、ハウジング本体10の内部を流れる流体のシール性に優れる。
【0075】
また、ハウジング本体10に、第一筒部11を第一開口P1に接続するための構造を設けなくてもよいので、ハウジング本体10の構造を簡素化できる。これによりハウジング本体10を一体成形する際の製造コストを低減することができる。
【0076】
また、弾性部材を第一筒部11に取り付けるためには、弾性膜30を、第一筒部11のうち第一開口P1と反対側の端部寄りの位置にまで移動させる必要がある。弾性膜30は弾性変形可能なので、弾性膜30のみを第一筒部11内に挿入すると、弾性膜30がよじれたりめくれたりする等の変形をするおそれがある。これに対して本実施形態においては、軸部62の先端部、または軸部62に挿入された押さえ部材40の先端部に弾性膜30が取り付けられた状態で、弾性膜30、押さえ部材40、ホルダ70、および軸部62が、第一筒部11内に挿入されるようになっている。このため、弾性膜30がよじれたりめくれたりする等の変形を起こすことが抑制される。また、弾性膜30と押さえ部材40が同一工程内で第一筒部11内に挿入されるので、弾性膜30と押さえ部材40とを別工程で第一筒部11内に挿入する場合に比べて、組み立て性に優れる。
【0077】
本形態においては、押さえ部材40の内周面には内方に突出する治具受け部45が設けられており、軸部62には、軸部62の先端部に、軸部62が押さえ部材40に挿入されたときに治具受け部45と当接する押圧部63が形成されており、押圧部63を治具受け部45に当接させることにより、押さえ部材40が第一筒部11の内方に押し込まれる工程を備える。
【0078】
押さえ部材40の治具受け部45に、押さえ部材40の押圧部63を当接させて押さえ部材40を第一筒部11の内方に押し込むことができるので、押さえ部材40を、例えばホルダ70を介して間接的に押圧する場合に比べて、強い力で押圧部63材を第一筒部11内の内方に押し込むことができる。これにより、弾性膜30を、第一筒部11のハウジング環状座面21と押さえ部材40の押さえ部材環状座面41との間に挟持する際に、強い力で弾性膜30を挟持することができる。この結果、弾性膜30が第一筒部11、および押さえ部材40に対して位置ずれすることが抑制されるので、流体が弾性膜30と押さえ部材40との間から漏洩することが抑制され、コネクタ1のシール性が向上する。
【0079】
(実施形態2)
2-1.コネクタ101
実施形態2のコネクタ101について図5図7を参照して説明する。本形態のコネクタ101は、実施形態1のコネクタ1に対して、第一筒部110の形状と、押さえ部材140の形状と、が相違する。
【0080】
図5に示すように、本形態のコネクタ101においては、第一筒部110のうち第一開口P1寄りの領域は、第一筒部110の径方向外方に膨出している。これにより、第一筒部110の内周面には、第一開口P1寄りの領域に、保持凹部111が形成されている。第一筒部110の内面には,保持凹部111と、保持凹部111よりも底面20寄りの部分との間に、段差112が形成されている。
【0081】
図6に示すように、保持凹部111内には、Oリング51、カラー部材52、およびOリング53が収容されている。Oリング51、カラー部材52、およびOリング53は段差112と、ホルダ70との間に挟まれることにより、第一筒部110の軸方向について位置決めされている。
【0082】
第一筒部110のうち保持凹部111と異なる部分の内径寸法は、第一配管2の外形寸法と同じか、又はやや大きく設定されている。これにより、第一配管2は第一筒部110内に挿入可能になっている。
【0083】
押さえ部材140のうち、押さえ部材環状座面41と反対側の端部は、第一筒部110の内周面に形成された連通部18よりも、底面20側に位置している。これにより、流体は、第二流路C2から第一流路C1へと直接流通することができるようになっている。
【0084】
本実施形態の押さえ部材140においては、治具受け部145は、押さえ部材環状座面41と反対側の端部から、やや押さえ部材環状座面41側に寄った位置に形成されている。
【0085】
図5に示すように、第一配管2が第一開口P1に接続された状態で、第一配管2の先端部と、押さえ部材140とは離れている。
【0086】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0087】
2-2.コネクタ101の製造方法
続いて、コネクタ101の製造方法について以下に説明する。コネクタ101の製造方法については以下の記述に限定されない。
【0088】
ホルダ70の第三開口P3に、治具60の軸部62が挿入される。以後、順に、Oリング53、カラー部材52、Oリング51および押さえ部材40に、軸部62が挿入される。押さえ部材140に軸部62が挿入されると、軸部62の先端部は、押さえ部材140の治具受け部145に当接する。軸部62の先端部の側縁には、押さえ部材140の側壁が係合することにより、軸部62の先端部から押さえ部材140が外れることが抑制されるようになっている。この状態で、治具60の軸部62には、基部61に近い順に、ホルダ70、Oリング53、カラー部材52、Oリング51および押さえ部材140が取り付けられている。次に、押さえ部材140の押さえ部材環状座面41に、弾性膜30の第二面34が押さえ部材環状座面41と対向するようにして、弾性膜30が取り付けられる(図7参照)。
【0089】
続いて、図7に示すように、治具60に、ホルダ70、Oリング53、カラー部材52、Oリング51、押さえ部材140および弾性膜30が取り付けられ状態のものが、弾性膜30を先頭にして、第一筒部110の第一開口P1から挿入される。
【0090】
以後の工程は実施形態1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0091】
2-3.効果
本形態においては、保持凹部111により、Oリング51,53を第一筒部110の所定の位置に保持することができる。これにより、Oリング51,53の位置ずれに起因するOリング51,53の変形を抑制することができる。この結果、Oリング51,53と第一筒部110との間のシール性が低下することを抑制することができる。
【0092】
本形態においては、押さえ部材140のうち、押さえ部材環状座面41と反対側の端部は、第一筒部110の内周面に形成された連通部18よりも、底面20側に位置している。これにより、第一流路C1と第二流路C2とが連通する部分が押さえ部材140によって妨げられないので、第一流路C1内を流れる流体の圧力が変動することが抑制される。これにより流体の脈動が低減される。
【0093】
本形態においては、第一配管2が第一開口P1に接続された状態で、第一配管2と押さえ部材140とが離れている。詳細には、押さえ部材140のうち押さえ部材環状座面41と反対側の端部と、第一配管2の先端部とは、接触していない。
【0094】
第一配管2が押さえ部材140に接触すると、押さえ部材140の位置がずれて、弾性膜30の保持力に影響を及ぼす可能性がある。本実施形態によれば、第一配管2と押さえ部材140とが離れているので、弾性膜30の保持力が第一配管2からの影響を受けることが抑制される。
【0095】
(実施形態3)
実施形態3のコネクタ102について図8図9を参照して説明する。本形態のコネクタ102は、実施形態1のコネクタ1に対して、押さえ部材240に設けられた流通孔244の個数と、第一筒部210の内周面の形状とが相違する。
【0096】
押さえ部材240の側面には、複数(本実施形態では4つ)の流通孔244が、押さえ部材240の周方向に連続した領域内に、周方向について90°の間隔を空けて貫通されている。複数の流通孔244は、押さえ部材240が第一筒部210に取り付けられた状態で、押さえ部材240の軸方向について第二流路C2と対応する位置に形成されている。換言すると、複数の流通孔244は、押さえ部材240の軸方向について第二流路C2と同じ位置に形成されている。ただし、流通孔244の個数は限定されない。また、流通孔244の形状は限定されず、円形状、長円形状、多角形状等、任意の形状を適宜に選択できる。複数の流通孔244が、押さえ部材240の周方向に連続した領域において、パンチング孔、格子状、メッシュ状に設けられていてもよい。本形態では、流通孔244の断面形状は円形状をなしている。
【0097】
図8に示すように、第一筒部210の内面には、複数の流通孔244に対応した位置に、連通溝213が陥没形成されている。換言すると、連通溝213は、複数の流通孔244と、第一筒部210の軸方向について同じ位置に形成されている。図9に示すように、連通溝213は、第一筒部210の周方向の全周にわたって形成されている。連通溝213の底面20のうち、第2流路C2に対応する位置には連通部18が設けられている。連通溝213の、第一筒部210の軸方向についての長さ寸法は、流通孔244の、第一筒部210の軸方向についての差し渡し寸法よりも大きく設定されている。ただし、本形態では、連通溝213は第一筒部210の内面に形成されているが、連通溝213は押さえ部材240の外面に形成されていてもよい。また、連通溝213は省略されてもよい。
【0098】
本形態においては、押さえ部材240が第一筒部210に取り付けられた状態で、押さえ部材240の側面のうち第二流路C2に対応する位置を含む押さえ部材240の周方向に連続した領域には、押さえ部材240の内部領域と第二流路C2との間を流体が流通可能な複数の流通孔244が形成されており、複数の流通孔244の少なくとも一つを介して、第二流路C2と押さえ部材240の内側領域との間で流体が流通可能に構成されている。
【0099】
第一筒部210内において、押さえ部材240が周方向に回転した場合でも、流体は、複数の流通孔244の少なくともいずれか一つを介して、第一流路C1、押さえ部材240の内部領域、流通孔244、第二流路C2の間を流通可能になっている。これにより、第一筒部210内において押さえ部材240が周方向に回転することを抑制するための構成を設ける必要がないので、コネクタの構成を簡略化することができる。この結果、コネクタの製造コストを低減させることができる。
【0100】
本形態においては、第一筒部210の内面、および/または押さえ部材240の外面には、複数の流通孔244と第二流路C2との間で流体が流通可能に構成された連通溝213が形成されている。
【0101】
本形態においては、流体は、第一流路C1、押さえ部材240の内部領域、複数の流通孔244、連通溝213、および第二流路C2の間を流通可能になっている。連通溝213が形成されていることにより、連通溝213が形成されていない場合に比べて、流体が流れる流路の断面積を大きくすることができる。これにより、第一流路C1と第二流路C2を流れる流体の圧力が過度に大きくなることを抑制できるので、脈動を低減させることができる。
【0102】
(実施形態4)
実施形態4のコネクタ103について図10図11を参照して説明する。本形態のコネクタ103は、実施形態1のコネクタ1に対して、押さえ部材340の形状が相違する。
【0103】
図10に示すように、押さえ部材340は、押さえ部材環状座面41よりも、押さえ部材340の径方向内側から、押さえ部材340の軸方向に突出する押さえ部材突起341を備える。押さえ部材突起341は、押さえ部材環状座面41の内側縁に沿って環状に突出している。ただし、押さえ部材突起341は環状でなくてもよく、複数の押さえ部材突起341が周方向に沿って間隔を空けて形成されていてもよい。
【0104】
押さえ部材突起341は、弾性膜の外環部31の径方向内側に位置するようになっている。押さえ部材突起341が、弾性膜の径方向内側から外環部31に当接することにより、押さえ部材340と弾性膜が径方向について相対的に移動することが抑制されるようになっている。
【0105】
本形態においては、弾性膜が押さえ部材340に対して径方向に位置ずれすることを抑制できる。従って、弾性膜の位置決め効果を高めることができ、結果として、シール機能、脈動低減効果を高めることができる。
【0106】
(実施形態5の変形例)
実施形態5の変形例について図11を参照して説明する。本形態のコネクタ103は、実施形態1のコネクタ1に対して、弾性膜130の形状が相違する。
【0107】
図11に示すように、弾性膜130は、押さえ部材環状座面41よりも径方向内側から軸方向に沿って押さえ部材40に向かって突出する弾性膜突起135を備える。弾性膜突起135は、押さえ部材環状座面41の内側縁に沿って環状に突出している。ただし、弾性膜突起135は環状でなくてもよく、複数の弾性膜突起135が押さえ部材40の内周面に沿って間隔を空けて形成されていてもよい。
【0108】
弾性膜突起135は、押さえ部材環状座面41よりも径方向内側に位置するようになっている。弾性膜突起135が、押さえ部材環状座面41の径方向内側から押さえ部材40に当接することによって、押さえ部材40と弾性膜130が、押さえ部材40の径方向について相対的に移動することが抑制されるようになっている。
【0109】
本形態においては、弾性膜130が押さえ部材40に対して径方向に位置ずれすることを抑制できるので、弾性膜130の位置決め効果を高めることができ、結果として、シール機能、脈動低減効果を高めることができる。
【0110】
(実施形態5)
実施形態5のコネクタ104について図12を参照して説明する。本形態のコネクタ104は、実施形態1のコネクタ1に対して、弾性膜230が相違する。
【0111】
図12に示すように、弾性膜230は、弾性部材236と、補強部材237とを備える。弾性部材236は、例えば、ゴムまたはエラストマーなどの弾性材料により成形される。弾性部材236は、弾性膜230の表層を形成する。弾性部材236は、外環部31の表層を形成するとともに、中央部32の表層を形成する。従って、弾性部材236は、ハウジング環状座面21に当接する。また、弾性部材236は、中央部32において、第一筒部11内を流通する流体の圧力を直接受ける面を構成する。
【0112】
補強部材237は、弾性部材236よりも曲げ弾性率が高い材料、例えば、金属または樹脂により成形される。補強部材237は、弾性変形可能である。つまり、補強部材237は、板バネとして機能する。補強部材237は、弾性部材236の内部に配置されている。補強部材237は、平板状に形成されており、少なくとも弾性膜230の中央部32の厚みよりも薄く形成される。補強部材237は、少なくとも、弾性膜230の中央部32の全範囲に埋設されている。ただし、本形態においては、補強部材237の外周部分の一部は、弾性膜230の外環部31に全周に亘って埋設されている。
【0113】
弾性膜230は、上述したように、表層の弾性部材236と補強部材237とを備える。従って、押さえ部材環状座面41は、弾性膜230の弾性部材236に当接する。また、弾性膜230の補強部材237の外周部分の一部は、弾性膜230の外環部31に全周に亘って埋設されている。従って、補強部材237の外周部分の一部は、外環部31における弾性部材236と共に、押さえ部材環状座面41とハウジング環状座面21とに挟持される。
【0114】
本形態においては、補強部材237を備えることにより、弾性膜230の弾性変形をコントロールすることができる。つまり、弾性膜230がゴムまたはエラストマーなどの弾性材料のみにより成形される場合に比べて、弾性膜230の変形を抑制することができるとともに、高い復元力を得ることができる。従って、弾性膜230の撓み変形による脈動低減効果をコントロールすることができ、さらに、弾性膜230の耐久性を高めることができる。
【0115】
(実施形態6)
実施形態6のコネクタ105について図13を参照して説明する。本形態のコネクタ105は、実施形態1のコネクタ1に対して、新たにコイルスプリング80(ばね部材の一例)を備える点が相違する。
【0116】
図13に示すように、コイルスプリング80は、空間Sに配置されており、一端が第一筒部11の底面20に当接し、他端が弾性膜30の第一面33に当接する。つまり、コイルスプリング80は、弾性膜30の第一面33を第二面34に向けて付勢する。このコイルスプリング80は、弾性膜30の撓み変形をコントロールするために設けられている。ただし、ばね部材はコイルスプリング80に限定されず、たけのこばね、皿ばね等、任意のばね部材を選択できる。
【0117】
また、コイルスプリング80の一端は、第一筒部11の底面20に形成された凸部22の外周面に係合する。つまり、第一筒部11の凸部22は、コイルスプリング80の内周面に係合し、コイルスプリング80を位置決めする。
【0118】
本形態においては、コイルスプリング80を備えることにより、弾性膜30の弾性変形をコントロールすることができる。特に、第一流路C1を流れる流体の圧力が上昇した場合に、流体の圧力に抗するように弾性膜30を付勢することができる。したがって、弾性膜30の撓み変形による脈動低減効果を向上させることができ、さらに、弾性膜30の耐久性を高めることができる。
【0119】
(実施形態7)
実施形態7のコネクタ106について図14を参照して説明する。本形態のコネクタ106は、実施形態1のコネクタ1に対して、弾性膜330の外形寸法が、第一筒部11の内径寸法よりも小さい点で相違する。
【0120】
図14に示すように、本形態においては、弾性膜330が第一筒部11の第一開口P1から内部に挿入される際に、弾性膜330の外周縁と、第一筒部11の内周面との間に形成された隙間から空気を逃がすことができる。これにより、弾性膜330の第一面33と第一筒部11の内面との間に形成される空間内の圧力が過度に上昇することを抑制できる。この結果、弾性膜330を第一筒部11内に挿入する際の挿入抵抗を低減させることができるので、コネクタ107の組み立て作業の効率を向上させることができる。
【0121】
(実施形態8)
実施形態8のコネクタ107について図15を参照して説明する。本形態のコネクタ107は、実施形態1のコネクタ1に対して、第一筒部310の形状、および押さえ部材440の形状が相違する。
【0122】
図15に示すように、本形態の第一筒部310の内周面は、第一筒部310の径方向の内方に突出するガイド突起323を有する。ガイド突起323は、第一筒部310の軸方向に長尺に形成されている。ガイド突起323の断面形状は、多角形状、半円形状等、任意の形状とすることができる。本形態のガイド突起323の断面形状は四角形状をなしている。第一筒部310は、一つ、または二つ以上のガイド突起323を有する。本形態の第一筒部310は一つのガイド突起323を有する。
【0123】
本形態の押さえ部材440の外周面は、押さえ部材440の軸方向に長尺な溝状をなすガイド溝446を有する。押さえ部材440の径方向について、押さえ部材440の外周面からのガイド溝446の深さ寸法は、ガイド突起323の突出寸法と同じか、またはやや小さく設定されている。また、押さえ部材440の周方向についてガイド溝446の幅寸法は、ガイド突起323の幅寸法と同じか、またはやや小さく設定されている。これにより、第一筒部310の内部に押さえ部材440が挿入される際、第一筒部310のガイド突起323が、押さえ部材440のガイド溝446の内部に進入可能になっている。押さえ部材440は、第一筒部310が有するガイド突起323の個数に応じて、一つ、または複数のガイド溝446を有する。本形態の押さえ部材440は、一つのガイド溝446を有する。
【0124】
ガイド溝446の開口端部には、押さえ部材440のうち押さえ部材環状座面41側の端部に向かうにしたがって、押さえ部材440の周方向に拡径するテーパー面447が形成されている。ただし、テーパー面447は省略することができる。
【0125】
本形態においては、第一筒部310内に押さえ部材440が挿入される際に、ガイド突起323がガイド溝446内に進入することにより、第一筒部310と押さえ部材440とが周方向について相対的に回転することが抑制される。これにより、押さえ部材440の回転に伴って弾性膜が周方向に回転してよじれることが抑制される。この結果、弾性膜のシール性が低下することが抑制される。
【0126】
また、本形態においては、第一筒部310内に押さえ部材440が挿入される際に、ガイド突起323がガイド溝446のテーパー面447に摺接することにより、押さえ部材440は第一筒部310内における正しい取り付け位置にガイドされる。これにより、テーパー面447が設けられていない場合に比べて、コネクタの組み立て作業の効率を向上させることができる。
【0127】
ただし、本形態では、第一筒部310がガイド突起323を有し、押さえ部材440がガイド溝446を有する構成としたが、これに限られず、押さえ部材440がガイド突起323を有し、第一筒部310がガイド溝446を有する構成としてもよい。
【0128】
(実施形態9)
実施形態9のコネクタ108について図16を参照して説明する。本形態のコネクタ108は、実施形態1のコネクタ1に対して、第一筒部410の係止部424の形状が相違する。
【0129】
図16に示すように、本形態の係止部424は、第一筒部410の周方向について一か所が切り欠かれた切り欠き部425を有する。ただし、切り欠き部425の個数は、二つ以上の複数であってもよい。
【0130】
弾性膜30が第一筒部410の第一開口P1から内部に挿入される際に、係止部424の切り欠き部425から空気を逃がすことができる。これにより、弾性膜30の第一面33と第一筒部410の内面との間に形成される空間内の圧力が過度に上昇することを抑制できる。この結果、弾性膜30を第一筒部410内に挿入する際の挿入抵抗を低減させることができるので、コネクタ109の組み立て作業の効率を向上させることができる。
【0131】
(実施形態10)
実施形態10のコネクタ109について図17を参照して説明する。本形態の治具160は、実施形態1の治具60に対して、先端部に弾性膜支持部164を備える点が相違する。
【0132】
図17に示すように、本形態の治具160は、軸部62の押圧部63から、軸部62の軸方向に突出する弾性膜支持部164を有する。弾性膜支持部164は、弾性膜30の第二面34と対向するようになっている。
【0133】
弾性膜30が第一筒部11内に挿入される工程において、弾性膜30の第一面33と第一筒部11の内面との間に形成された空間内の圧力が高まった場合、弾性膜30の第二面34が凸になるように弾性膜30が変形することが考えられる。空間内の圧力が過度に高まった場合には、弾性膜30が塑性変形するおそれがある。本形態では、弾性膜30の第二面34が凸になるように弾性膜30が変形した場合には弾性膜支持部164によって弾性膜30が支持されるので、弾性膜30が塑性変形することが抑制される。したがって、弾性膜30は第一流路C1を流れる流体の圧力を受けた場合に確実に弾性変形することができるので、脈動低減効果を確実に発揮することができる。
【符号の説明】
【0134】
1,101,102,103,104,105,106,107,108,109 コネクタ
2 第一配管
3 第二配管
10 ハウジング本体
11,110,210,310,410 第一筒部
12 第二筒部
20 底面
21 ハウジング環状座面
30,130,230,330 弾性膜
33 第一面
34 第二面
40,140,240,340,440 押さえ部材
41 押さえ部材環状座面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17