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  • 特開-針貫入試験装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124086
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】針貫入試験装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/08 20060101AFI20230830BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20230830BHJP
   G01N 3/40 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
E02D1/08
E02D3/12 102
G01N3/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027672
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 真貴子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 斉郁
【テーマコード(参考)】
2D040
2D043
【Fターム(参考)】
2D040AB05
2D040GA02
2D043AA01
2D043AB01
2D043AC03
2D043BA10
(57)【要約】
【課題】破損した貫入針を効率的に交換することができ、原位置において複数の測定データを簡易に採取することが可能な針貫入試験装置を提案する。
【解決手段】測定孔2内に挿入される筐体と、筐体5の内部に設けられた補充ケース6と、筐体5の内部において、補充ケース6の下方に配設された測定手段7とを備える針貫入試験装置3である。補充ケース6には、複数の貫入針4が収納されている。測定手段7は、補充ケース6から排出された貫入針4を脱着可能に保持するキャッチャー71と、キャッチャー71に保持された貫入針4が孔壁21に貫入した際の針貫入抵抗力を測定するロードセル72とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定孔内に挿入される筐体と、
前記筐体の内部に設けられた補充ケースと、
前記筐体の内部において、前記補充ケースの下方に配設された測定手段と、
前記測定手段を前記測定孔の孔壁に向けて進退させるスライド機構と、を備える針貫入試験装置であって、
前記補充ケースには、複数の貫入針が収納されており、
前記測定手段は、
前記補充ケースから排出された前記貫入針を脱着可能に保持するキャッチャーと、
前記キャッチャーに保持された前記貫入針が前記孔壁に貫入した際の針貫入抵抗力を測定するロードセルと、を備えていることを特徴とする針貫入試験装置。
【請求項2】
前記キャッチャーには、前記貫入針と係合可能な有底のスリットが形成されていて、
前記貫入針は、前記スリットに上方から挿入されることにより前記キャッチャーに保持され、前記スリットが下向きに開口するように前記キャッチャーを回転させることで前記キャッチャーから脱落することを特徴とする、請求項1に記載の針貫入試験装置。
【請求項3】
前記キャッチャーに保持された前記貫入針を撮影するカメラをさらに備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の針貫入試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針貫入試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤に固化材等を混合してなる改良地盤について、所望の品質を確保していることを確認するために品質評価試験を行う場合がある。改良地盤に関する品質評価試験の方法としては、施工時に採取した試料を室内で養生した後、所定の材齢で強度試験を行う方法や、施工後に原位置から試料を採取して強度試験を行う方法等がある。なお、供試体等の一軸圧縮強度を測定する方法として、非特許文献1には、地盤等の強度を簡易に確認できる針貫入試験が開示されている。針貫入試験は、地盤等に貫入針を貫入し、貫入長さLと針貫入時の荷重Pを測定し、針貫入長さに対する荷重Pの比率である針貫入勾配Np(=P/L)を求め、この針貫入勾配から一軸圧縮強さを推定するものである。
室内で養生した試料に対して強度試験を行う方法は、養生条件の違いから原位置の改良体とは品質に差が生じることを考慮する必要がある。また、原位置で供試体を採取する場合には、所定の材齢毎に所定の深さ位置から供試体を採取する必要があるため、供試体の採取に手間がかかるとともに、供試体の運搬や取り扱いに手間がかかる。
そのため、本出願人は、特許文献1において、改良地盤に対して原位置において強度試験を行う方法として、改良地盤中に形成した測定孔に試験装置を進入させて、試験装置から孔壁に向けてロッドを貫入させた際の貫入抵抗や貫入量により改良地盤の強度を測定する方法を開示している。特許文献1の試験装置は、測定孔を上下動することで、異なる深度における測定を可能としている。
測定孔を利用した原位置での針貫入試験において貫入針が破損した場合には、試験装置を地上まで引きあげて、手作業で貫入針を取り替える必要がある。このような貫入針の交換作業には手間と時間がかかるため、測定効率が低下してしまう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】地盤工学会基準、基準番号:JGS3431-2012、規格・基準名:針貫入試験方法
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-159237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、破損した貫入針を効率的に交換することができ、原位置において複数の測定データを簡易に採取することが可能な針貫入試験装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の針貫入試験装置は、測定孔内に挿入される筐体と、 前記筐体の内部に設けられた補充ケースと、前記筐体の内部において前記補充ケースの下方に配設された測定手段と、前記測定手段を前記測定孔の孔壁に向けて進退させるスライド機構とを備えている。前記補充ケースには、複数の貫入針が収納されている。前記測定手段は、前記補充ケースから排出された前記貫入針を脱着可能に保持するキャッチャーと、前記キャッチャーに保持された前記貫入針が前記孔壁に貫入した際の針貫入抵抗力を測定するロードセルと備えている。
かかる針貫入試験装置によれば、補充ケースから排出された貫入針をキャッチャーにより保持するように構成されているため、貫入針が破損した場合であっても、貫入針を適宜交換することができる。そのため、貫入針の交換作業を手作業で行う必要がなく、貫入針の交換に要する手間を低減し、効率的な測定が可能となる。
【0007】
このような針貫入試験装置のキャッチャーには、前記貫入針と係合可能な有底のスリットが形成されたものを使用するのが望ましい。このようなキャッチャーを使用すれば、前記スリットが下向きに開口するように前記キャッチャーを回転させることで、破損した貫入針を前記キャッチャーから脱落させることができる。また、補充ケースから排出された貫入針を上方から前記スリットに挿入することにより前記キャッチャーによって貫入針を保持することができる。そのため、貫入針の交換作業を簡易に行える。
また、前記キャッチャーに保持された前記貫入針を撮影するカメラをさらに備えていれば、貫入針の交換のタイミングを確認できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の針貫入試験装置によれば、破損した貫入針を効率的に交換することができ、原位置において簡易に複数の測定データを採取することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る針貫入試験装置の概要を示す断面図である。
図2】針貫入試験装置の一部を示す図であって、(a)は断面図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は(a)のB-B断面図である。
図3】貫入針の交換作業の例を示す模式図であって、(a)は針貫入試験時、(b)は測定装置後退時、(c)はキャッチャー回転時、(d)は貫入針脱落時である。
図4】貫入針の交換作業の例を示す模式図であって、(a)はキャッチャー再回転時、(b)は測定装置再後退時、(c)は貫入針装填時、(d)は測定装置前進時である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態では、セメント改良地盤1に対して、原位置にて針貫入試験を行い、材齢変化と強度特性を検証する場合について説明する。図1に針貫入試験状況を示す。針貫入試験は、図1に示すように、セメント改良地盤1に形成された測定孔2に挿入した針貫入試験装置3を利用して、測定孔2の孔壁21に対して、貫入針4を挿入することにより行う。
本実施形態では、測定孔2に進入させた針貫入試験装置3を、測定孔2内において縦軸(すなわち測定孔2の中心軸)を中心に回転させるとともに上下動させることで、測定孔2に対して周方向に複数個所の測定を深度方向に複数段行う。
【0011】
針貫入試験装置3は、測定孔2内に挿入される筐体5と、筐体5の内部に設けられた補充ケース6と、筐体5の内部において補充ケース6の下方に配設された測定手段7と、筐体5の内部に設けられたカメラ8とを備えている。
筐体5は、上端及び下端が遮蔽された中空の筒状部材からなる。筐体5は、筐体5に対して進退可能あるいは回動可能な反力アーム51を備えている。また、筐体5の上部には、複数の回転ホイール52,52,…が設けられている。さらに、筐体5には、内外に貫通する開口部53が貫入針4と反力アーム51の位置に対応して2箇所に形成されている。なお、筐体5の開口部53の数および配置は適宜決定すればよい。
【0012】
反力アーム51は、貫入針4の上方に設けられている。反力アーム51は、アーム用モーター(図示せず)の動力により進退あるいは回動することで、開口部53から筐体5の外側に突出して、孔壁21に当接する。筐体5は、反力アーム51を孔壁21に押し当てることで測定孔2に固定される。アーム用モーターは、動力源から供給された動力(電力)により駆動する)。
回転ホイール52は、筐体5の外面よりも外側に張り出している、あるいは、筐体5に対して側方に進退可能に設けられていて、孔壁21に当接可能である。回転ホイール52は、ホイール用モーター(図示せず)の回転力により縦軸を中心に水平に回転する。ホイール用モーターは、動力源(図示せず)から供給された動力(電力)により回転する。回転ホイール52が、測定孔2の孔壁21面を走行することで筐体5が縦軸を中心に回転する。
【0013】
筐体5は、測定孔2の孔口に配設された吊り下げ手段54により吊持されている。
吊り下げ手段54は、例えば、筐体5に取り付けられたワイヤー54aと、ワイヤー54aが巻きつけられるリール54bと、リール54bに回転力を付与するモーター54cと、リール54bおよびモーター54cを支持する架台54dとにより構成されている。モーター54cの動力によりリール54bを回転させることで、リール54bに巻き付けられたワイヤー54aの巻き取りおよび送り出しを行い、これに伴って筐体5が測定孔2内において上下動する。
【0014】
図2に補充ケース6および測定手段7を示す。補充ケース6は、図2(a)および(b)に示すように、複数の貫入針4を収納する容器である。
補充ケース6は、中空の箱型の容器であって、内部に押出手段61が設けられている。押出手段61は、補充ケース6の天井部に設けられていて、貫入針4(留具41)を下側に押し付ける力を付与する。
また、補充ケース6の下端は、ケースカバー62によって開閉可能である。ケースカバー62は、図示しない動力源の動力より、補充ケース6の下端において筐体5(孔壁21)に直交する方向(前後)に移動する。ケースカバー62は、補充ケース6の前後の幅(ケースカバー62の移動方向に沿った幅)は、補充ケース6の前後の幅に補充ケース6の前面と筐体5の内面との隙間の大きさを加えた長さ以上である。そのため、ケースカバー62を筐体5の内面に当接するまで前進させた場合であっても、ケースカバー62によって補充ケース6の下端を閉口させた状態が維持される。一方、ケースカバー62の先端が補充ケース6の後端付近に位置するまでケースカバー62を後退させると、補充ケース6の下端が開口する。
【0015】
本実施形態の貫入針4は、図2(b)および(c)に示すように、留具41により保持されている。補充ケース6内には、複数の留具41が上下に重ねられた状態で収納されている。本実施形態の留具41は、板状の本体部42と、本体部42の一方の板面から張り出した係止部43とを備えている。貫入針4は、係止部43の先端から突出した状態で、保持されている。
留具41は、図2(a)および(b)に示すように、本体部42において上下に重ねられており、最上段に配設された留具41は、押出手段61に当接している。
補充ケース6の下端が開口すると、押出手段61の押圧力により、最下段に配設された留具41が補充ケース6から排出される。
【0016】
測定手段7は、開口部53に面して筐体5の底部から所定の隙間をあけた位置に設けられている。測定手段7は、図2(b)および(c)に示すように、キャッチャー71と、ロードセル72とを備えている。
キャッチャー71は、補充ケース6から排出された留具41(貫入針4)を脱着可能に保持する。キャッチャー71には、留具41の係止部43と係合可能な有底のスリット74が形成されている。留具41は、スリット74に係止部43を係止させることにより、キャッチャー71に保持される。
【0017】
キャッチャー71は、図2(b)に示すように、ケースカバー62の下面に固定されたロードセルケース73に支持されており、横軸(貫入針の延長線)を中心に回転可能である。キャッチャー71は、ケースカバー62の先端よりも前側に突出している。キャッチャー71は、ケースカバー62およびロードセルケース73とともに、測定孔2の孔壁21に向けて進退する。すなわち、キャッチャー71に保持された貫入針4は、孔壁21に対して、直交する方向に進退可能である。
図1に示すように貫入針4は、ケースカバー62を介して筐体5の中心軸に対して直交する方向(すなわち測定孔2の径方向)に進出することで、開口部53から孔壁21に向かって突出する。
【0018】
ロードセル72は、キャッチャー71に保持された貫入針4が孔壁21に貫入した際の針貫入抵抗力を測定する。ロードセル72は、図2(b)に示すように、キャッチャー71の後方(貫入針4の近傍)に設けられており、ロードセルケース73に収容されている。ロードセル72は、有線または無線によりデータ記録手段(図示せず)に接続されていて、測定結果をデータ記録手段に電気信号として送信する。データ記録手段は、ロードセル72から送信された測定結果(貫入針4の貫入深さや貫入抵抗荷重等)を記録する。
【0019】
カメラ8は、図1に示すように、キャッチャー71に保持された貫入針4を撮影する。カメラ8により撮影された画像データは、測定者の手元の端末(例えば、タブレット端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータ)に送信される。測定者は、画像データにより、貫入針4の状況(折れ等)を確認し、貫入針4を交換するか否かを判断する。
【0020】
針貫入試験は、図1に示すように、筐体5を測定孔2に挿入し、吊り下げ手段54を利用して測定孔2内の所定の深さまで下降させる。筐体5が所定の深さに到達したら、回転ホイール52を利用して、キャッチャー71に保持された貫入針4の位置(方向)が方位0度になるように、筐体5の向きを調整する。筐体5の方位調整が完了したら、反力アーム51を孔壁21に押し当てることで、筐体5を測定孔2内に固定する。反力アーム51を孔壁21に押し当てると、反力アーム51とは反対側において筐体5の側面が孔壁21に当接する。筐体5を固定したら、ケースカバー62(スライド機構)を利用して貫入針4を孔壁21に向けて突出させて、針貫入試験(貫入力、貫入量等の測定)を行う。測定後、反力アーム51による固定を解除するとともに、同一深さにおいて回転ホイール52を操作して、筐体5を所定量(例えば72°)回転させる。筐体5を回転させたら、反力アーム51を利用して筐体5を固定し、針貫入試験を実施する。同様に筐体5の回転および針貫入試験を複数回実施する。同一深さにおいて所定回数(本実施形態では5回)の針貫入試験を実施したら、吊り下げ手段54を操作して、筐体5を所定深度(本実施形態では20mm)移動(下降)させる。筐体5を移動させたら、針貫入試験および筐体5の回転を複数回実施する。同様の作業を必要深度まで繰り返す。
測定データは、測定孔2の外の設けられた端末(パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等)に送信される。
【0021】
針貫入試験を複数回実施する際に、貫入針4に破損が確認された場合には、キャッチャー71により保持している貫入針4(留具41)を脱落させて、補充ケース6から排出された貫入針4に交換する。以下、図3および図4を参照して貫入針4の交換の手順を示す。
図3(a)に示すように、針貫入試験の実施中にカメラ8の撮影画像により貫入針4の破損が確認されたら、図3(b)に示すように、遠隔操作によりケースカバー62を後退させてキャッチャー71を筐体5内に後退させる。このとき、ケースカバー62による補充ケース6の閉口状態は維持されている。
次に、図3(c)に示すように、キャッチャー71のスリット74が下向きに開口するように、遠隔操作によりキャッチャー71を横軸を中心に180°回転させる。キャッチャー71を回転させると、図3(d)に示すように、キャッチャー71から貫入針4(留具41)が脱落する。脱落した貫入針4は、筐体5の底部に落下する。
【0022】
キャッチャー71から貫入針4が脱落したら、図4(a)および(b)に示すように、スリット74が上向きに開口するように、キャッチャー71を再度180°回転させるとともに、ケースカバー62をさらに後退させる。ケースカバー62の後退により、キャッチャー71が補充ケース6の直下に配置されると、補充ケース6の下端が開口する。
図4(c)に示すように、補充ケース6の下端が開口すると、押出手段61の押圧力により、補充ケース6に収納された最下段の貫入針4(留具41)が補充ケース6から排出される。補充ケース6から排出された貫入針4は、スリット74に上方から挿入されることにより、キャッチャー71に装填される。
キャッチャー71に貫入針4が装填されたら、図4(d)に示すように、ケースカバー62を前進させて、針貫入試験を再開する。
【0023】
本実施形態の針貫入試験装置3によれば、補充ケース6から排出された貫入針4をキャッチャー71により保持するように構成されているため、貫入針4が破損した場合であっても、筐体5を測定孔2内に挿入したまま貫入針4を交換することができる。そのため、筐体5を測定孔2に対して出し入れする作業や貫入針4の交換作業を手作業で行う必要がなく、貫入針4の交換に要する手間を低減し、効率的な測定が可能となる。
また、有底のスリット74を有したキャッチャー71を使用しているため、キャッチャー71を回転させるだけで、貫入針4の交換作業を簡易に行える。
また、キャッチャー71に保持された貫入針4を撮影するカメラ8を備えているため、貫入針4の交換のタイミングを確認できる。
【0024】
また、本実施形態の針貫入試験装置3を使用すれば、針貫入試験装置3を測定孔2の孔軸まわりに回転させることで、同一の深度において複数点の貫入試験を実施できる。そのため、異なる材齢の針貫入試験を、同一の測定孔2を利用して実施することができ、多数の供試体を利用する必要があった従来の測定方法に比べて作業性に優れている。
また、同一の測定孔2を利用することで、より正確に材齢変化や強度のばらつきを検証できる。また、所定の材齢毎に測定孔2を形成する必要がないことから、作業性に優れている。また、針貫入試験装置3を回転させることで、他の材齢において測定した位置とは測定孔2の周方向に異なる位置において測定を行うことができる。また、規定の強度材齢に達した段階でも原位置試験で強度を把握し、規定の強度材齢に達する前の試験データと併せた品質評価を行うことができる。
また、針貫入試験装置3は、測定孔2内において上下動可能なため、異なる深度において貫入試験を実施することも可能である。そのため、同一の測定孔2を利用して、多数の貫入試験を実施することが可能である。
また、原位置で測定を行うため、セメント改良地盤1の強さを直接的に把握できる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、貫入針4を、ケースカバー62に取り付けて、ケースカバー62とともに進退するようにしたが、貫入針4は、ケースカバー62とは別に設けられたスライド機構により進退させてもよい。このようなスライド機構としては、例えば、補充ケース6の下端や架台に設けられたガイドレールに沿って移動するものを使用すればよい。
キャッチャー71は、貫入針4を着脱可能に保持するものであればよく、キャッチャー71の構成は、前記実施形態で示したものに限定されるものではない。
貫入針4は必ずしも留具41に保持されている必要はない。また、留具41の構成は限定されるものではない。
また、筐体5は、回転ホイール52により縦軸を中心に回転するものとしたが、回転ホイール52に代えて、無端状の帯状部材を用いてもよい。この場合には、帯状部材を孔壁21に当接させた状態で回転させることにより、筐体5を回転させる。また、回転ホイール52の数は限定されるものではなく、例えば1つであってもよいし、複数であってもよい。
前記実施形態では押出手段61として、スプリングを有した物を使用し、補充ケース6に収納された留具41(貫入針4)に下向きの力を作用させるものとしたが、押出手段61の構成は限定されるものではない。例えば、モーターなどを利用したシリンダー状の装置とし、必要に応じて留具41に押圧力を作用させるものとしてもよい。
また、押出手段61を省略して、留具41が重力により落下する構成としてもよい。
針貫入試験装置3は、自動制御してもよいし、操作者が針貫入試験装置3から送信されたデータやカメラ8による撮影画像を確認しながら操作してもよい。
また、カメラ8の配置は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0026】
1 セメント改良地盤
2 測定孔
21 孔壁
3 針貫入試験装置
4 貫入針
5 筐体
6 補充ケース
61 押出手段
62 ケースカバー(スライド機構)
7 測定手段
71 キャッチャー
72 ロードセル
73 ロードセルケース
74 スリット
8 カメラ
図1
図2
図3
図4