(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124126
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20230830BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230830BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H01L29/78 658F
H01L29/78 652T
H01L29/78 652G
H01L29/78 652K
H01L29/78 658E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027724
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 智史
(57)【要約】
【課題】 保護膜によってGaN系半導体基板からの窒素の離脱を抑制するとともに、保護膜の除去に起因して生じる半導体素子の特性への悪影響を抑制する。
【解決手段】 半導体素子の製造方法であって、GaN系半導体基板(12)にドーパントを注入する工程と、ドーパントを前記GaN系半導体基板に注入した後に前記GaN系半導体基板の表面に保護膜(50)をエピタキシャル成長させる工程と、前記保護膜にドーパントを注入する工程と、前記保護膜をエピタキシャル成長させた後に前記GaN系半導体基板を1200℃以上の温度でアニールすることで前記GaN系半導体基板に注入されたドーパントを活性化させる工程、を有する。ドーパントが注入された前記保護膜が前記半導体素子の半導体層の一部となる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子の製造方法であって、
GaN系半導体基板(12)にドーパントを注入する工程と、
ドーパントを前記GaN系半導体基板に注入した後に、前記GaN系半導体基板の表面に保護膜(50)をエピタキシャル成長させる工程と、
前記保護膜にドーパントを注入する工程と、
前記保護膜をエピタキシャル成長させた後に、前記GaN系半導体基板を1200℃以上の温度でアニールすることで、前記GaN系半導体基板に注入されたドーパントを活性化させる工程、
を有し、
ドーパントが注入された前記保護膜が前記半導体素子の半導体層の一部となる、製造方法。
【請求項2】
前記保護膜にドーパントを注入する前記工程を実施した後に、前記GaN系半導体基板を1200℃以上の温度でアニールする前記工程を実施する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記保護膜がAlN層を有する、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記保護膜が、前記AlN層と前記GaN系半導体基板の間に配置されたAlGaN層(50a)を有する請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記半導体素子が、電界効果トランジスタであり、
前記GaN系半導体基板が、前記GaN系半導体基板の下面を含む範囲に配置されたn型のドレイン領域(40)と、前記GaN系半導体基板の上面を含む範囲に配置されているとともに前記ドレイン領域よりも低いn型不純物濃度を有するn型のドリフト領域(36)、を有し、
前記GaN系半導体基板にドーパントを注入する前記工程では、前記GaN系半導体基板の前記上面にp型ドーパントを注入することによって前記ドリフト領域内にp型のボディ領域(34)を形成し、
前記保護膜をエピタキシャル成長させる前記工程では、前記ドレイン領域の範囲内の前記GaN系半導体基板の前記下面に前記保護膜をエピタキシャル成長させ、
前記保護膜の表面にドレイン電極(26)を形成する工程をさらに有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、半導体素子の製造方法に関する。
【0002】
特許文献1に開示の半導体素子の製造方法では、ドーパントを注入した後のGaN系半導体基板の表面に保護膜が形成される。その後、GaN系半導体基板がアニールされる。アニール中に、GaN系半導体基板に注入されたドーパントが活性化する。また、アニール中に、保護膜によって、GaN系半導体基板の表面から窒素が離脱することが防止される。保護膜は、アニール後に除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、保護膜を除去するときに、GaN系半導体基板がダメージを受ける。例えば、ドライエッチングによって保護膜を除去する場合には、保護膜の下のGaN系半導体基板の表面がエッチングによるダメージを受ける。また、CMP(chemical mechanical polishing)により保護膜を除去するときには、保護膜の下のGaN系半導体基板の表面が研磨されてダメージを受ける。また、TMAH(すなわち、水酸化テトラメチルアンモニウム)によって保護膜を除去する場合には、GaN系半導体基板の表面がTMAHに長時間曝されることによって、GaN系半導体基板の表面にピットが形成される。また、特許文献1の技術では、保護膜を完全に除去することができず、GaN系半導体基板の表面に薄い保護膜が残存する場合がある。この場合、残存した薄い保護膜が抵抗成分となる。このように、特許文献1の技術では、保護膜の除去工程で種々の問題が生じ、半導体素子の特性に悪影響が生じる。本明細書では、保護膜によってGaN系半導体基板からの窒素の離脱を抑制できるとともに、保護膜の除去に起因して生じる半導体素子の特性への悪影響を抑制できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する半導体素子の製造方法は、GaN系半導体基板(12)にドーパントを注入する工程と、ドーパントを前記GaN系半導体基板に注入した後に前記GaN系半導体基板の表面に保護膜(50)をエピタキシャル成長させる工程と、前記保護膜にドーパントを注入する工程と、前記保護膜をエピタキシャル成長させた後に前記GaN系半導体基板を1200℃以上の温度でアニールすることで前記GaN系半導体基板に注入されたドーパントを活性化させる工程、を有する。ドーパントが注入された前記保護膜が前記半導体素子の半導体層の一部となる。
【0006】
なお、GaN系半導体基板に注入するドーパントは、n型でもp型でもよい。また、保護膜に注入するドーパントは、n型でもp型でもよい。また、半導体素子の半導体層の一部となる保護膜は、エピタキシャル成長させた保護膜の全体であってもよいしその一部であってもよい。
【0007】
この製造方法では、保護膜にドーパントを注入することで、保護膜をn型またはp型の半導体にする。ドーパントが注入された保護膜の全体またはその一部がGaN系半導体基板の一部に残存して、半導体素子の半導体層の一部となる。したがって、残存する保護膜の範囲内では保護膜が除去されないので、その範囲内で保護膜の除去による問題の発生(すなわち、GaN系半導体基板へのダメージや保護膜の残存による抵抗増加)を防止できる。したがって、この製造方法によれば、高い特性を有する半導体素子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書が開示する一例の製造方法においては、前記保護膜にドーパントを注入する前記工程を実施した後に、前記GaN系半導体基板を1200℃以上の温度でアニールする前記工程を実施してもよい。
【0010】
この構成によれば、アニールする工程において保護膜中のドーパントが活性化される。すなわち、アニール工程において、GaN系半導体基板中のドーパントだけでなく、保護膜中のドーパントも活性化される。
【0011】
本明細書が開示する一例の製造方法においては、前記保護膜がAlN層を有していてもよい。
【0012】
この構成によれば、保護膜によってGaN系半導体基板からの窒素の離脱を好適に抑制できる。
【0013】
前記保護膜がAlN層を有する場合において、前記保護膜が、前記AlN層と前記GaN系半導体基板の間に配置されたAlGaN層を有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、保護膜によってGaN系半導体基板からの窒素の離脱をさらに好適に抑制できる。
【0015】
本明細書が開示する一例の製造方法においては、前記半導体素子が、電界効果トランジスタであってもよい。前記GaN系半導体基板が、前記GaN系半導体基板の下面を含む範囲に配置されたn型のドレイン領域(40)と、前記GaN系半導体基板の上面を含む範囲に配置されているとともに前記ドレイン領域よりも低いn型不純物濃度を有するn型のドリフト領域(36)、を有していてもよい。前記GaN系半導体基板にドーパントを注入する前記工程では、前記GaN系半導体基板の前記上面にp型ドーパントを注入することによって前記ドリフト領域内にp型のボディ領域(34)を形成してもよい。前記保護膜をエピタキシャル成長させる前記工程では、前記ドレイン領域の範囲内の前記GaN系半導体基板の前記下面に前記保護膜をエピタキシャル成長させてもよい。前記製造方法が、前記保護膜の表面にドレイン電極(26)を形成する工程をさらに有していてもよい。
【0016】
この構成によれば、ドレイン領域とドレイン電極間の抵抗を低減することができる。
【実施例0017】
図1に示す実施例1の電界効果トランジスタ10(以下、FET10という)は、半導体基板12を有している。半導体基板12は、窒化ガリウム(すなわち、GaN)により構成されている。但し、他の実施形態では、半導体基板12が、AlGaN、InGaN等によって構成されていてもよい。半導体基板12の上部には、ゲート絶縁膜20、ゲート電極22、及び、ソース電極24が配置されている。ゲート絶縁膜20は、半導体基板12の上面12aの一部を覆っている。ゲート電極22は、ゲート絶縁膜20の上面を覆っている。ソース電極24は、ゲート絶縁膜20が設けられていない範囲で半導体基板12の上面12aを覆っている。半導体基板12の下部には、半導体層50とドレイン電極26が配置されている。半導体層50は、窒化アルミニウム(すなわち、AlN)により構成されている。半導体層50は、半導体基板12の下面12bの全域を覆っている。ドレイン電極26は、半導体層50の下面の全域を覆っている。
【0018】
半導体基板12は、複数のソース領域30、複数のコンタクト領域32、複数のボディ領域34、ドリフト領域36、バッファ領域38、及び、ドレイン領域40を有している。各ソース領域30は、n型不純物濃度が高いn型領域である。各ソース領域30は、半導体基板12の上面12aに臨む範囲に配置されている。各ソース領域30は、ソース電極24とゲート絶縁膜20に接する範囲に配置されている。各ソース領域30は、ソース電極24にオーミック接触している。各コンタクト領域32は、p型不純物濃度が高いp型領域である。各コンタクト領域32は、半導体基板12の上面12aに臨む範囲に配置されている。各コンタクト領域32は、ソース領域30に隣接する範囲でソース電極24にオーミック接触している。各ボディ領域34は、コンタクト領域32よりもp型不純物濃度が低いp型領域である。各ボディ領域34は、ソース領域30とコンタクト領域32の周囲に配置されている。各ボディ領域34は、ソース領域30に隣接する範囲でゲート絶縁膜20に接している。ドリフト領域36は、n型不純物濃度が低いn型領域である。ドリフト領域36は、ボディ領域34によってソース領域30から分離されている。ドリフト領域36は、2つのボディ領域34に挟まれた窓部でゲート絶縁膜20に接している。バッファ領域38は、ドリフト領域36よりもn型不純物濃度が高いn型領域である。バッファ領域38は、ドリフト領域36に対して下側から接している。ドレイン領域40は、バッファ領域38よりもn型不純物濃度が高いn型領域である。ドレイン領域40は、バッファ領域38に対して下側から接している。半導体層50は、ドレイン領域40と同程度に高いn型不純物濃度を有するn型領域である。半導体層50は、ドレイン領域40に対して下側から接している。半導体層50は、ドレイン電極26に対してオーミック接触している。
【0019】
ゲート電極22は、ソース領域30、ボディ領域34、及び、窓部内のドリフト領域36の上部に跨って伸びている。ゲート電極22に閾値以上の電位を印加すると、ゲート絶縁膜20近傍でボディ領域34にチャネルが形成され、チャネルによってソース領域30と窓部内のドリフト領域36が接続される。したがって、ソース電極24から、ソース領域30、チャネル、ドリフト領域36、バッファ領域38、ドレイン領域40、及び、半導体層50を介してドレイン電極26へ電子が流れる。すなわち、FET10がオンする。ゲート電極22の電位を閾値未満に低下させると、チャネルが消失し、電子の流れが停止する。すなわち、FET10がオフする。
【0020】
次に、FET10の製造方法について説明する。FET10は、
図2に示す半導体基板12から製造される。
図2に示す半導体基板12は、ドレイン領域40、バッファ領域38、及び、ドリフト領域36を有している。ドレイン領域40上にバッファ領域38が配置されており、バッファ領域38上にドリフト領域36が配置されている。ドレイン領域40、バッファ領域38、及び、ドリフト領域36のそれぞれは、インゴットから切り出されたウエハによって構成されていてもよいし、エピタキシャル層であってもよいし、イオン注入によって形成された拡散層であってもよい。
【0021】
FET10の製造方法では、まず、
図2に示す半導体基板12の上面12aに選択的にp型及びn型の不純物(すなわち、ドーパント)をイオン注入する。これによって、
図3に示すように、ドリフト領域36内にソース領域30、コンタクト領域32、及び、ボディ領域34を形成する。なお、
図3の段階では、ソース領域30、コンタクト領域32、及び、ボディ領域34の内部の不純物は活性化されていない。
【0022】
次に、
図4に示すように、半導体基板12の上面12aに保護膜60を形成するとともに、半導体基板12の下面12bに保護膜50を形成する。保護膜50、60は、窒化アルミニウムの単結晶によって構成された膜である。ここでは、MOCVD(metal organic chemical vapor deposition)によって、上面12aの全域を覆うように保護膜60を形成する。また、ここでは、MOCVDによって、下面12bの全域を覆うように保護膜50を形成する。この段階では、保護膜50、60の導電率は低い。なお、保護膜50、60は、MOCVD以外のエピタキシャル成長法(例えば、気相成長または液相成長)によって形成されてもよい。
【0023】
次に、
図5に示すように、保護膜50にn型不純物をイオン注入する。ここでは、ドレイン領域40と同程度の濃度で保護膜50にn型不純物を注入する。
【0024】
次に、半導体基板12を1200℃以上の温度でアニールする。これによって、ソース領域30、コンタクト領域32、及び、ボディ領域34に対して注入されたドーパントを活性化させる。また、一般に、GaN系半導体基板を1200℃以上の温度に加熱すると、GaN系半導体基板の表面でGaN系半導体が分解して窒素が離脱する現象が生じる。しかしながら、実施例1では、半導体基板12の上面12aと下面12bが保護膜50、60によって覆われているので、上面12aと下面12bにおいて窒素の離脱が抑制される。また、この工程では、保護膜50が1200℃以上に加熱されることで、保護膜50に注入されたn型不純物が活性化する。その結果、絶縁性の保護膜50が、n型半導体の特性を有する半導体層50となる。
【0025】
次に、
図6に示すように、保護膜60の上面に酸化シリコンによって構成された絶縁膜62を形成する。次に、
図7に示すように、絶縁膜62の上面の一部を覆うようにゲート電極22を形成する。次に、ソース領域30とコンタクト領域32の上部で絶縁膜62と保護膜60を除去してコンタクトホールを形成し、そのコンタクトホール内にソース電極24を形成する。ゲート電極22の下には、絶縁膜62と保護膜60を残存させる。残存した絶縁膜62と保護膜60が、ゲート絶縁膜20となる。
【0026】
次に、
図1に示すように、半導体層50(すなわち、保護膜50)の下面を覆うようにドレイン電極26を形成する。半導体層50のn型不純物濃度が高いので、ドレイン電極26は半導体層50にオーミック接触する。その後、半導体基板12をダイシングすることで、FET10が製造される。
【0027】
以上に説明したように、この製造方法では、半導体基板12の上面12aと下面12bを覆う保護膜50、60を形成する。したがって、その後にソース領域30、コンタクト領域32、及び、ボディ領域34内のドーパントを活性化させるためのアニールにおいて、上面12a及び下面12bにおいて窒素の離脱が抑制される。また、この製造方法では、アニール前に保護膜50にn型不純物を注入するので、ソース領域30、コンタクト領域32、及び、ボディ領域34内のドーパントを活性化させるためのアニールにおいて、保護膜50内のn型不純物も活性化する。したがって、保護膜50がn型の半導体層50となる。半導体層50は、FET10の半導体層の一部として利用される。このため、この製造方法では、半導体基板12から保護膜50(すなわち、半導体層50)を除去しない。このため、保護膜除去工程に起因する問題(例えば、半導体へのダメージや、保護膜の残存による抵抗の増加等)が生じない。したがって、ドレイン電極26が半導体層50を介してドレイン領域40に低抵抗で接続される。したがって、この製造方法によれば、高い特性を有するFET10を製造することができる。
実施例2のように保護膜50をAlGaN層50aとAlN層50bの二層構造とすると、下面12bにおける窒素の離脱をより効果的に抑制できる。例えば、実施例1、2の製造方法によって製造されたFET10、110において、半導体層50を除去して半導体基板12の下面12bを観察する実験を行った。その結果、実施例1のFET10では下面12bにおける分解領域(窒素が離脱した領域)の面積比率が0.2%であったのに対し、実施例2のFET110では下面12bにおける分解領域の面積比率が0.06%であった。このように、実施例2の製造方法によれば、下面12bにおける窒素の離脱をより効果的に抑制できる。
なお、上述した実施例1、2では、半導体基板12の上面12aを覆う保護膜60のうちのソース領域30とコンタクト領域32の上側の部分を除去した。保護膜60を除去する工程では、ソース領域30とコンタクト領域32の表面にダメージが加わったり、これらの表面に薄い保護膜60が残存する場合がある。しかしながら、実施例1、2の製造方法では、少なくとも半導体基板12の下面12bに対するダメージ等を抑制できる。なお、他の実施形態では、ソース領域30とコンタクト領域32の上部の保護膜60にドーパントを注入して、この部分の保護膜60を半導体層(例えば、ソース領域30とコンタクト領域32の一部)として利用してもよい。このように保護膜60を半導体層として利用すれば、半導体基板12の上面12aに対するダメージ等を抑制できる。
また、上述した実施例1、2では、ゲート電極22の下部の保護膜60をゲート絶縁膜20の一部として利用する。このため、ゲート電極22の下部の保護膜60を除去する必要が無く、ゲート電極22の下部の上面12aに対するダメージ等を抑制できる。なお、他の実施形態においては、ゲート電極22の下部の保護膜60を除去してもよい。すなわち、ゲート絶縁膜20が絶縁膜62のみによって構成されていてもよい。
また、上述した実施例1、2では、ボディ領域34等のドーパントを活性化させるアニール工程の前に保護膜50に対してn型不純物を注入した。しかしながら、当該アニール工程の後に保護膜50に対してn型不純物を注入してもよい。但し、この場合には、保護膜50の内部のn型不純物を活性化するためのアニールを別途実施する必要がある。上述した実施例のようにボディ領域34等のドーパントを活性化させるアニール工程の前に保護膜50に対してn型不純物を注入すると、当該アニール工程において保護膜50のn型不純物も同時に活性化させることができ、効率的にFET10を製造できる。
また、上述した実施例1、2では、半導体層50(すなわち、保護膜50)の全体を残存させたが、半導体層50の一部を除去してもよい。このような構成でも、半導体層50を残存させた範囲では、半導体基板12の下面12bに対するダメージ等を抑制できる。
また、保護膜50として上述した実施例1、2とは異なる材料を用いてもよい。保護膜50として、GaN系半導体基板からの窒素の離脱を抑制できる材料(例えば、窒化物)であって、ドーパントの注入によって半導体として機能させることが可能な材料を用いることができる。例えば、保護膜50が、AlGaN層のみによって構成されていてもよい。また、保護膜50が、Si3N4によって構成されていてもよい。また、保護膜50が、AlN層、AlGaN層、Si3N4層のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層構造を有していてもよい。
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。