(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124134
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/192 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
B65H23/192
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027737
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】521111478
【氏名又は名称】株式会社フジタテクノトレード
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴英
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勲
【テーマコード(参考)】
3F105
【Fターム(参考)】
3F105AA04
3F105AB07
3F105BA09
3F105CA15
3F105CB02
3F105CC01
3F105DA02
(57)【要約】
【課題】フィルムの間欠搬送においてフィルムの搬送が停止又は開始された時点でフィルムの張り具合を所望の状態にできる搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置10は、制御装置19を備えている。制御装置19は、間欠搬送処理S11と、巻出離間処理S12と、巻出近接処理とを実行する。間欠搬送処理S11は、フィルムF1を間欠搬送する処理である。巻出離間処理S12は、巻出ロールFRと各搬送ロール14,15との間のフィルムF1の張り具合を所望の状態とするフィルムF1の搬送量となるようにダンサロール13を各支持ロール11,12から離す処理である。巻出近接処理は、巻出ロールFRと各搬送ロール14,15との間のフィルムF1の張り具合を所望の状態とするフィルムF1の搬送量となるようにダンサロール13を各支持ロール11,12に近づける処理である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のフィルムが巻き出される巻出ロールと、
前記フィルムが搬送される方向を搬送方向とすると、前記巻出ロールよりも前記搬送方向の下流に配置されており、前記フィルムを支持する支持ロールと、
前記巻出ロールよりも前記搬送方向の下流に配置されており、前記支持ロールにより支持された前記フィルムが巻き掛けられるダンサロールと、
前記支持ロール及び前記ダンサロールの各々よりも前記搬送方向の下流に配置されており、前記フィルムを前記搬送方向に搬送する搬送ロールと、
前記搬送ロールを回転させる第1サーボモータと、
前記ダンサロールが回転可能となるように前記ダンサロールに接続されており、前記支持ロールに対して前記ダンサロールを直線的に接離させる接離機構と、
前記接離機構を動作させる第2サーボモータと、
前記第1サーボモータ及び前記第2サーボモータを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1サーボモータの停止又は駆動を繰り返すことにより前記支持ロール及び前記ダンサロールよりも前記搬送方向の下流において前記フィルムを間欠搬送する間欠搬送処理と、
前記間欠搬送処理により前記第1サーボモータを停止させた場合において、前記巻出ロールと前記搬送ロールとの間の前記フィルムの張り具合を所望の状態とする前記フィルムの搬送量となるように前記ダンサロールを前記支持ロールから離す処理であって、前記第1サーボモータの停止と同時に前記第2サーボモータを一方向に回転させる巻出離間処理と、
前記間欠搬送処理により前記第1サーボモータを停止させた状態から駆動させ始めた場合において、前記巻出ロールと前記搬送ロールとの間の前記フィルムの張り具合を所望の状態とする前記フィルムの搬送量となるように前記ダンサロールを前記支持ロールに近づける処理であって、前記第1サーボモータの駆動と同時に前記第2サーボモータを前記一方向とは反対の方向に回転させる巻出近接処理と、を実行する
搬送装置。
【請求項2】
前記巻出離間処理及び前記巻出近接処理は、前記巻出ロールから巻き出される前記フィルムの搬送量を一定とする処理である
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
長尺状のフィルムを巻き取るときに駆動される駆動ロールと、
前記フィルムが搬送される方向を搬送方向とすると、前記駆動ロールよりも前記搬送方向の上流に配置されており、前記フィルムを支持する支持ロールと、
前記駆動ロールよりも前記搬送方向の上流に配置されており、前記支持ロールにより支持された前記フィルムが巻き掛けられるダンサロールと、
前記支持ロール及び前記ダンサロールの各々よりも前記搬送方向の上流に配置されており、前記フィルムを前記搬送方向に搬送する搬送ロールと、
前記搬送ロールを回転させる回転させる第1サーボモータと、
前記ダンサロールが回転可能となるように前記ダンサロールに接続されており、前記支持ロールに対して前記ダンサロールを直線的に接離させる接離機構と、
前記接離機構を動作させる第2サーボモータと、
前記駆動ロールを回転させる駆動モータと、
前記第1サーボモータ、前記第2サーボモータ、及び前記駆動モータを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記駆動ロールを常に回転させることにより前記フィルムを巻き取る処理であって、前記駆動モータを駆動させる連続巻取処理と、
前記第1サーボモータの停止又は駆動を繰り返すことにより前記支持ロール及び前記ダンサロールよりも前記搬送方向の上流において前記フィルムを間欠搬送する間欠搬送処理と、
前記間欠搬送処理により前記第1サーボモータを停止させた場合において、前記駆動ロールと前記搬送ロールとの間の前記フィルムの張り具合を所望の状態とする前記フィルムの搬送量となるように前記ダンサロールを前記支持ロールに近づける処理であって、前記第1サーボモータの停止と同時に前記第2サーボモータを一方向に回転させる巻取近接処理と、
前記間欠搬送処理により前記第1サーボモータを停止させた状態から駆動させ始めた場合において、前記駆動ロールと前記搬送ロールとの間の前記フィルムの張り具合を所望の状態とする前記フィルムの搬送量となるように前記ダンサロールを前記支持ロールから離す処理であって、前記第1サーボモータの駆動と同時に前記第2サーボモータを前記一方向とは反対の方向に回転させる巻取離間処理と、を実行する
搬送装置。
【請求項4】
前記巻取近接処理及び前記巻取離間処理は、巻き取られる前記フィルムの搬送量を一定とする処理である
請求項3に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送システムが記載されている。
図9に示すように、上記の搬送システム100は、巻出ロールR1から巻取ロールR2に向けて長尺状のフィルムFを搬送する搬送システムである。
【0003】
フィルムFが搬送される方向を搬送方向Tdとする。搬送システム100は、駆動ロール101と、従動ロール102,103,104と、ダンサロール105とを備えている。搬送システム100は、駆動ロール106と、従動ロール107とを備えている。駆動ロール106及び従動ロール107は、従動ロール104よりも搬送方向Tdの下流に配置されている。
【0004】
搬送システム100は、駆動ロール111と、従動ロール108,109,112と、ダンサロール110とを備えている。駆動ロール111、従動ロール108,109,112、及びダンサロール110は、巻取ロールR2よりも搬送方向Tdの上流に配置されている。
【0005】
搬送システム100は、サーボモータM1,M2,M3,M4,M5を備えている。サーボモータM1は、駆動ロール101を駆動させる駆動源である。サーボモータM2は、駆動ロール106を駆動させる駆動源である。サーボモータM3は、駆動ロール111を駆動させる駆動源である。サーボモータM4は、フィルムFを連続搬送又は間欠搬送する際に、ダンサロール105を介してフィルムFに対して張力を付与するための動力源である。サーボモータM5は、フィルムFを連続搬送又は間欠搬送する際に、ダンサロール110を介してフィルムFに対して張力を付与するための動力源である。
【0006】
搬送システム100は、制御装置120を備えている。制御装置120は、サーボモータM1,M2,M3,M4,M5を制御する。制御装置120は、フィルムFの張力の変動を抑制するようにサーボモータM4をフィードフォワード制御することによりフィルムFに対する加圧力を調整している。これにより、巻出ロールR1と駆動ロール106との間のフィルムFの張力の変動が抑制される。制御装置120は、フィルムFの張力の変動を抑制するようにサーボモータM5をフィードフォワード制御することによりフィルムFに対する加圧力を調整している。これにより、巻取ロールR2と駆動ロール106との間のフィルムFの張力の変動が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の搬送システムでは、制御装置120がサーボモータM4,M5をフィードフォワード制御している。しかし、フィルムFが間欠搬送されるときにフィルムFの搬送が停止又は開始された時点において、フィードフォワード制御による制御結果がサーボモータM4,M5に反映されているとは限らない。このため、フィルムFの搬送が停止又は開始された時点で、巻き出されるフィルムF、又は巻き取られるフィルムFの張り具合が所望の状態、例えばフィルムFの張力が維持された状態、とならない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する搬送装置は、長尺状のフィルムが巻き出される巻出ロールと、前記フィルムが搬送される方向を搬送方向とすると、前記巻出ロールよりも前記搬送方向の下流に配置されており、前記フィルムを支持する支持ロールと、前記巻出ロールよりも前記搬送方向の下流に配置されており、前記支持ロールにより支持された前記フィルムが巻き掛けられるダンサロールと、前記支持ロール及び前記ダンサロールの各々よりも前記搬送方向の下流に配置されており、前記フィルムを前記搬送方向に搬送する搬送ロールと、前記搬送ロールを回転させる第1サーボモータと、前記ダンサロールが回転可能となるように前記ダンサロールに接続されており、前記支持ロールに対して前記ダンサロールを直線的に接離させる接離機構と、前記接離機構を動作させる第2サーボモータと、前記第1サーボモータ及び前記第2サーボモータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1サーボモータの停止又は駆動を繰り返すことにより前記支持ロール及び前記ダンサロールよりも前記搬送方向の下流において前記フィルムを間欠搬送する間欠搬送処理と、前記間欠搬送処理により前記第1サーボモータを停止させた場合において、前記巻出ロールと前記搬送ロールとの間の前記フィルムの張り具合を所望の状態とする前記フィルムの搬送量となるように前記ダンサロールを前記支持ロールから離す処理であって、前記第1サーボモータの停止と同時に前記第2サーボモータを一方向に回転させる巻出離間処理と、前記間欠搬送処理により前記第1サーボモータを停止させた状態から駆動させ始めた場合において、前記巻出ロールと前記搬送ロールとの間の前記フィルムの張り具合を所望の状態とする前記フィルムの搬送量となるように前記ダンサロールを前記支持ロールに近づける処理であって、前記第1サーボモータの駆動と同時に前記第2サーボモータを前記一方向とは反対の方向に回転させる巻出近接処理と、を実行する。
【0010】
上記構成によれば、巻出離間処理では、第1サーボモータの停止と同時に第2サーボモータを一方向に回転させる。巻出近接処理では、第1サーボモータの駆動と同時に第2サーボモータを一方向とは反対の方向に回転させる。よって、巻出離間処理及び巻出近接処理では、第1サーボモータの駆動又は停止の時点と、第2サーボモータの駆動の時点とが一致する。よって、フィルムの間欠搬送においてフィルムの搬送が停止又は開始された時点でフィルムの張り具合を所望の状態にできる。
【0011】
上記の搬送装置において、前記巻出離間処理及び前記巻出近接処理は、前記巻出ロールから巻き出される前記フィルムの搬送量を一定とする処理であるとよい。
上記構成によれば、巻出離間処理及び巻出近接処理を実行しているときに巻出ロールから巻き出されるフィルムの搬送量が一定である。換言すると、巻出離間処理及び巻出近接処理を実行しているときに巻出ロールから巻き出されるフィルムの搬送速度が一定である。よって、巻出ロールと搬送ロールとの間のフィルムを所望の状態、すなわち、巻出ロールから巻き出されるフィルムを緩まずに張った状態にできる。
【0012】
上記課題を解決する搬送装置は、長尺状のフィルムを巻き取るときに駆動される駆動ロールと、前記フィルムが搬送される方向を搬送方向とすると、前記駆動ロールよりも前記搬送方向の上流に配置されており、前記フィルムを支持する支持ロールと、前記駆動ロールよりも前記搬送方向の上流に配置されており、前記支持ロールにより支持された前記フィルムが巻き掛けられるダンサロールと、前記支持ロール及び前記ダンサロールの各々よりも前記搬送方向の上流に配置されており、前記フィルムを前記搬送方向に搬送する搬送ロールと、前記搬送ロールを回転させる回転させる第1サーボモータと、前記ダンサロールが回転可能となるように前記ダンサロールに接続されており、前記支持ロールに対して前記ダンサロールを直線的に接離させる接離機構と、前記接離機構を動作させる第2サーボモータと、前記駆動ロールを回転させる駆動モータと、前記第1サーボモータ、前記第2サーボモータ、及び前記駆動モータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記駆動ロールを常に回転させることにより前記フィルムを巻き取る処理であって、前記駆動モータを駆動させる連続巻取処理と、前記第1サーボモータの停止又は駆動を繰り返すことにより前記支持ロール及び前記ダンサロールよりも前記搬送方向の上流において前記フィルムを間欠搬送する間欠搬送処理と、前記間欠搬送処理により前記第1サーボモータを停止させた場合において、前記駆動ロールと前記搬送ロールとの間の前記フィルムの張り具合を所望の状態とする前記フィルムの搬送量となるように前記ダンサロールを前記支持ロールに近づける処理であって、前記第1サーボモータの停止と同時に前記第2サーボモータを一方向に回転させる巻取近接処理と、前記間欠搬送処理により前記第1サーボモータを停止させた状態から駆動させ始めた場合において、前記駆動ロールと前記搬送ロールとの間の前記フィルムの張り具合を所望の状態とする前記フィルムの搬送量となるように前記ダンサロールを前記支持ロールから離す処理であって、前記第1サーボモータの駆動と同時に前記第2サーボモータを前記一方向とは反対の方向に回転させる巻取離間処理と、を実行する。
【0013】
上記構成によれば、巻取近接処理では、第1サーボモータの停止と同時に第2サーボモータを一方向に回転させる。巻取離間処理では、第1サーボモータの駆動と同時に第2サーボモータを一方向とは反対の方向に回転させる。よって、巻取近接処理及び巻取離間処理では、第1サーボモータの駆動又は停止の時点と、第2サーボモータの駆動の時点とが一致する。よって、フィルムの間欠搬送においてフィルムの搬送が停止又は開始された時点でフィルムの張り具合を所望の状態にできる。
【0014】
上記の搬送装置において、前記巻取近接処理及び前記巻取離間処理は、巻き取られる前記フィルムの搬送量を一定とする処理であるとよい。
上記構成によれば、巻取近接処理及び巻取離間処理を実行しているときに巻き取られるフィルムの搬送量が一定である。換言すると、巻取近接処理及び巻取離間処理を実行しているときに巻き取られるフィルムの搬送速度が一定である。よって、駆動ロールと搬送ロールとの間のフィルムを所望の状態、すなわち、巻き取られるフィルムを緩まずに張った状態にできる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、フィルムの間欠搬送においてフィルムの搬送が停止又は開始された時点でフィルムの張り具合を所望の状態にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態の第1サーボモータが駆動しているときの概略図である。
【
図2】第1実施形態の第1サーボモータが停止しているときの概略図である。
【
図3】第1実施形態におけるダンサロールの移動量と、第1搬送ロール及び第2搬送ロールによるフィルムの搬送量と、巻出ロールによるフィルムの搬送量と、巻出ロールから巻き出されたフィルムの搬送量との関係性を示すグラフである。
【
図4】第2実施形態の第1サーボモータが駆動しているときの概略図である。
【
図5】第2実施形態の第1サーボモータが駆動しているときの概略図である。
【
図6】第2実施形態におけるダンサロールの移動量と、第1搬送ロール及び第2搬送ロールによるフィルムの搬送量と、巻取ロールに巻き取られるフィルムの搬送量との関係性を示すグラフである。
【
図7】変更例の第1サーボモータが駆動しているときの概略図である。
【
図8】変更例の第1サーボモータが停止しているときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、搬送装置を製袋機に具体化した第1実施形態を
図1~
図3にしたがって説明する。
【0018】
<搬送装置>
図1及び
図2に示すように、搬送装置10は、載置面Pに図示しないフレームを介して載置されている。載置面Pは、水平面である。搬送装置10は、長尺状のフィルムF1を搬送する装置である。また、搬送装置10は、フィルムF1から袋製品Bpを製造する製袋機である。
【0019】
袋製品Bpは、フィルムF1の長縁方向へ連続的に一体化している。袋製品Bpは、搬送されるフィルムF1の一部を所定のタイミングで切断機17によって切断することで製造される。以下の説明において、フィルムF1が搬送される方向を搬送方向Td1とする。
【0020】
搬送装置10は、巻出ロールFRと、第1支持ロール11と、第2支持ロール12と、ダンサロール13と、第1搬送ロール14と、第2搬送ロール15と、を備えている。
巻出ロールFRには、フィルムF1が巻回されている。第1支持ロール11は、巻出ロールFRよりも搬送方向Td1の下流に配置されている。第2支持ロール12は、巻出ロールFRよりも搬送方向Td1の下流に配置されている。第2支持ロール12は、第1支持ロール11よりも搬送方向Td1の下流に配置されている。
【0021】
ダンサロール13は、第1支持ロール11及び第2支持ロール12の鉛直方向Vdの上方に配置されている。ダンサロール13は、巻出ロールFRよりも搬送方向Td1の下流に配置されている。ダンサロール13は、第1支持ロール11よりも搬送方向Td1の下流に配置されている。ダンサロール13は、第2支持ロール12よりも搬送方向Td1の上流に配置されている。ダンサロール13は、搬送方向Td1において第1支持ロール11及び第2支持ロール12の間に配置されている。
【0022】
巻出ロールFRから巻き出されたフィルムF1は、第1支持ロール11の下方に巻き掛けられている。第1支持ロール11に巻き掛けられたフィルムF1は、鉛直方向Vdの上方に延びている。第1支持ロール11から鉛直方向Vdの上方に延びるフィルムF1は、ダンサロール13の上方に巻き掛けられている。ダンサロール13に巻き掛けられたフィルムF1は、第2支持ロール12に向けて鉛直方向Vdの下方に延びている。ダンサロール13に巻き掛けられたフィルムF1は、第2支持ロール12の下方に巻き掛けられている。第2支持ロール12は、支持ロールである。ダンサロール13には、第1支持ロール11及び第2支持ロール12の各々に巻き掛けられたフィルムF1が巻き掛けられている。
【0023】
第1搬送ロール14及び第2搬送ロール15は、第1支持ロール11、第2支持ロール12、及びダンサロール13の各々よりも搬送方向Td1の下流に配置されている。第1搬送ロール14及び第2搬送ロール15は、鉛直方向VdにおいてフィルムF1を挟んでいる。
【0024】
搬送装置10は、ボールねじ機構16と、切断機17と、張力センサ18と、制御装置19と、を備えている。搬送装置10は、第1サーボモータM11と、第2サーボモータM12と、第3サーボモータM13と、を備えている。
【0025】
ボールねじ機構16は、ダンサロール13の図示しない回転軸を保持する図示しない保持部を有している。保持部は、ダンサロール13を回転可能に保持している。ボールねじ機構16は、ダンサロール13が回転可能となるようにダンサロール13に接続されている。
【0026】
ボールねじ機構16は、第2サーボモータM12と連結されている。第2サーボモータM12は、ボールねじ機構16を動作させる。ボールねじ機構16は、第2サーボモータM12の回転運動を保持部の直線運動に変換する。ボールねじ機構16は、第2サーボモータM12の駆動により各支持ロール11,12に対してダンサロール13を直線的に接離させる。本実施形態において、ボールねじ機構16の保持部が移動する方向は、鉛直方向Vdである。ボールねじ機構16は、各支持ロール11,12に対してダンサロール13を直線的に接離させる接離機構である。
【0027】
第1サーボモータM11は、第1搬送ロール14に接続されている。第1サーボモータM11は、第1搬送ロール14を回転させる。第2搬送ロール15は、第1搬送ロール14の回転により回転する。第1搬送ロール14及び第2搬送ロール15の回転により、フィルムF1は搬送方向Tdに搬送される。第1搬送ロール14及び第2搬送ロール15は、フィルムF1を搬送方向Td1に搬送する搬送ロールである。
【0028】
第3サーボモータM13は、巻出ロールFRに接続されている。第3サーボモータM13は、フィルムF1が搬送方向Td1とは反対の方向に引っ張られるように巻出ロールFRに力を加える。搬送方向Td1とは反対方向とは、
図1及び
図2の破線矢印で示す方向である。第3サーボモータM13は、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1に張りを持たせる力を巻出ロールFRに付与する。なお、第3サーボモータM13が巻出ロールFRに付与する力は、フィルムF1の搬送方向Td1への搬送量を変化させない程度の力である。
【0029】
第1サーボモータM11によってフィルムF1を搬送する力は、第3サーボモータM13によってフィルムF1に張りを持たせる力よりも大きい。すなわち、第1サーボモータM11により各搬送ロール14,15が回転しているとき、見かけ上、巻出ロールFRは、フィルムF1を搬送方向Td1に搬送させる方向に回転しているように見える。
【0030】
切断機17は、各搬送ロール14,15よりも搬送方向Td1の下流に配置されている。切断機17は、フィルムF1に含まれる袋製品Bpを分離する機器である。
張力センサ18は、搬送方向Td1において、巻出ロールFRと第1支持ロール11との間に配置されている。張力センサ18は、巻出ロールFRと第1支持ロール11との間のフィルムF1の張力に応じた信号St1を出力する。
【0031】
制御装置19は、各サーボモータM11,M12,M13、及び張力センサ18と電気的に接続されている。制御装置19は、記憶部19aと、処理部19bとを備えている。記憶部19aには、複数のプログラムが記憶されている。複数のプログラムは、各サーボモータM11,M12,M13の動作に関わるプログラムを含んでいる。
【0032】
処理部19bは、例えばCPUである。処理部19bは、記憶部19aに記憶された各プログラムを実行することにより各サーボモータM11,M12,M13の回転位置を制御する。すなわち、制御装置19は、記憶部19aに記憶されたプログラムに基づいて各サーボモータM11,M12,M13の回転位置を制御する。
【0033】
制御装置19は、張力センサ18から信号St1を取得する。制御装置19は、記憶部19aに記憶されたプログラムに基づいて取得した信号St1からフィルムF1の張力を取得する。制御装置19は、取得したフィルムF1の張力に応じて第3サーボモータM13を駆動させる。
【0034】
<間欠搬送処理>
搬送装置10は、切断機17によりフィルムF1から袋製品Bpを分離するためにフィルムF1の搬送を一時的に停止する必要がある。例えば、フィルムF1における隣り合う袋製品Bpの境界が切断機17の位置に到達した時点で、フィルムF1の搬送を一時的に停止する必要がある。このため、制御装置19は、第1サーボモータM11の停止又は駆動を繰り返す間欠搬送処理S11を実行する。間欠搬送処理S11により、第2支持ロール12及びダンサロール13よりも搬送方向Td1の下流において、フィルムF1が間欠搬送される。
【0035】
制御装置19の記憶部19aに記憶された複数のプログラムには、間欠搬送処理S11を実行させるプログラムが含まれている。
図1は、第1サーボモータM11が駆動している状態を示している。
図2は、第1サーボモータM11が停止している状態を示している。なお、例えば、第2支持ロール12と各搬送ロール14,15との間でフィルムF1に加工を施す時点で第1サーボモータM11を停止させてもよい。第1サーボモータM11を停止させる時点は、フィルムF1の加工の時点であれば適宜変更してもよい。
【0036】
第2サーボモータM12は、間欠搬送処理S11を実行しているときに駆動している。以下、第2サーボモータM12の駆動について説明する。
<巻出離間処理>
図2に示すように、制御装置19は、間欠搬送処理S11により第1サーボモータM11を停止させた場合において、第1サーボモータM11の停止と同時に第2サーボモータM12を一方向に回転させる巻出離間処理S12を実行する。すると、巻出離間処理S12において、ボールねじ機構16の保持部が鉛直方向Vdの上方に移動する。すなわち、巻出離間処理S12は、ダンサロール13を各支持ロール11,12から離す処理である。なお、記憶部19aに記憶された複数のプログラムには、巻出離間処理S12を実行させるプログラムが含まれている。
【0037】
<巻取近接処理>
図1に示すように、制御装置19は、間欠搬送処理S11により第1サーボモータM11を停止させた状態から駆動させ始めた場合において、第1サーボモータM11の駆動と同時に第2サーボモータM12を一方向とは反対の方向に回転させる巻出近接処理S13を実行する。すると、巻出近接処理S13において、ボールねじ機構16の保持部が鉛直方向Vdの下方に移動する。すなわち、巻出近接処理S13は、ダンサロール13を各支持ロール11,12に近づける処理である。なお、記憶部19aに記憶された複数のプログラムには、巻出近接処理S13を実行させるプログラムが含まれている。
【0038】
<フィルムの搬送量、及びダンサロールの移動量>
本実施形態のフィルムF1の搬送量、及びダンサロール13の移動量について、
図3にしたがって説明する。
【0039】
図3には、3つのグラフが示されている。上から1つ目のグラフは、経過時間tに対するダンサロール13の移動量の変化を示している。上から2つ目のグラフは、経過時間tに対する、各搬送ロール14,15によるフィルムF1の搬送量の変化を示している。上から3つ目のグラフは、経過時間tに対する、巻出ロールFRから巻き出されたフィルムF1の搬送量の変化を示している。なお、各グラフ中に記載の時刻t1,t2,t3,t4は、この順に経過する時刻を示している。本実施形態において、各時刻の間の時間は、全て同じである。
【0040】
[第1搬送ロール及び第2搬送ロールによるフィルムの搬送量]
図3の上から2つ目のグラフに示すように、各搬送ロール14,15によるフィルムF1の搬送量について説明する。間欠搬送処理S11が実行されることにより、各搬送ロール14,15によりフィルムF1が搬送される状態と、フィルムF1が搬送されない状態とが交互に発生する。
【0041】
各搬送ロール14,15が回転し始めてから時刻t1までの間において、各搬送ロール14,15が回転することにより、フィルムF1は、搬送量Aだけ搬送される。各搬送ロール14,15が回転し始めてから時刻t1までのフィルムF1の搬送速度は、「α」で一定である。時刻t1において、第1サーボモータM11が停止される。
【0042】
時刻t1から時刻t2までの間において、各搬送ロール14,15が回転しないため、フィルムF1の搬送量は「0」である。よって、時刻t1から時刻t2までのフィルムF1の搬送速度は、「0」である。時刻t2において、第1サーボモータM11が駆動し始める。
【0043】
時刻t2から時刻t3までの間におけるフィルムF1の搬送量は、搬送量Aである。時刻t2から時刻t3までの間におけるフィルムF1の搬送速度は、「α」である。時刻t3において、第1サーボモータM11が停止される。
【0044】
時刻t3から時刻t4までの間におけるフィルムF1の搬送量は、「0」である。時刻t3から時刻t4までの間におけるフィルムF1の搬送速度は、「0」である。時刻t4において、第1サーボモータM11が駆動し始める。
【0045】
すなわち、各搬送ロール14,15によるフィルムF1の搬送量は、搬送量Aと「0」とを交互に繰り返す。各搬送ロール14,15によるフィルムF1の搬送速度は、「α」と「0」とを交互に繰り返す。
【0046】
[巻出ロールから巻き出されるフィルムの搬送量]
図3の上から3つ目のグラフに示すように、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量について説明する。巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量の変化は、経過時間tに対して一定である。本実施形態では、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送速度は、[α/2]で一定となる。そして、時刻が経過する度に巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量は、A/2となる。巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量及び搬送速度が一定となることは、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1が緩まずに張った状態となっていることと同義である。巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量及び搬送速度が一定となる状態を、本実施形態における所望の状態とする。
【0047】
[ダンサロールの移動量]
図3の上から1つ目のグラフに示すように、ダンサロール13の移動量は、各搬送ロール14,15によるフィルムF1の搬送量を考慮して設定される。制御装置19は、任意の時刻において、各搬送ロール14,15によるフィルムF1の搬送量からダンサロール13の移動量を演算する。制御装置19は、当該ダンサロール13の移動量を実現するために各サーボモータM11,M12の回転位置を制御する。
【0048】
本実施形態では、ダンサロール13の移動量は、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量が、時刻が経過する度に[A/2]で一定となるように設定される。また、ダンサロール13の移動量は、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送速度が、[α/2]で一定となるように設定されている。
【0049】
制御装置19により演算されるダンサロール13の移動量は、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量を一定とする値である。制御装置19による各サーボモータM11,M12の回転位置の制御により、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量は、一定となる。
【0050】
例えば、各搬送ロール14,15が回転し始めてから時刻t1までの間において、ダンサロール13は、移動速度を、[-α/4]として移動する。各搬送ロール14,15が回転し始めてから時刻t1までの間において、ダンサロール13は、移動量を、[-A/4]として移動する。
【0051】
時刻t1から時刻t2までの間において、ダンサロール13は、移動速度を、[α/4]として移動する。時刻t1から時刻t2までの間において、ダンサロール13は、移動量を、[A/4]として移動する。
【0052】
時刻t2から時刻t3までの間において、ダンサロール13は、移動速度を、[-α/4]として移動する。各搬送ロール14,15が回転し始めてから時刻t1までの間において、ダンサロール13は、移動量を、[-A/4]として移動する。
【0053】
時刻t3から時刻t4までの間において、ダンサロール13は、移動速度を、[α/4]として移動する。時刻t3から時刻t4までの間において、ダンサロール13は、移動量を、[A/4]として移動する。
【0054】
すなわち、ダンサロール13は、時刻が経過する度に鉛直方向Vdにおいて同じ移動量で移動している。ダンサロール13は、鉛直方向Vdにおける同じ位置を繰り返し往復している。
【0055】
時刻t1から時刻t2までの間、及び時刻t3から時刻t4までの間において、第1サーボモータM11が停止している。このとき、フィルムF1が各支持ロール11,12に支持された状態でダンサロール13が巻出ロールFRと第1支持ロール11との間のフィルムF1を引っ張る。これにより、巻出ロールFRからフィルムF1が巻き出される。
【0056】
ダンサロール13がフィルムF1を引っ張るとき、ダンサロール13の移動速度が、[α/4]である。このとき、ダンサロール13に巻き掛けられたフィルムF1の搬送速度が、[α/2]となる。このため、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送速度が一定に保たれる。よって、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量が一定に保たれる。
【0057】
各搬送ロール14,15が回転し始めてから時刻t1までの間、及び時刻t2から時刻t3までの間において、第1サーボモータM11が駆動している。このとき、例えば、ダンサロール13の移動速度が、[-α/4]を上回る大きさの速度となる場合を想定する。この場合、ダンサロール13に巻き掛けられたフィルムF1と、ダンサロール13との間に隙間ができるため、フィルムF1に緩みが発生する虞がある。しかし、本実施形態では、ダンサロール13の移動速度の大きさの2倍が、フィルムF1の搬送速度である[α/2]と同じ大きさである。すなわち、ダンサロール13が各支持ロール11,12に近づくことにより、ダンサロール13に巻き掛けられたフィルムF1の搬送量と、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量とが一致する。よって、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量が一定に保たれる。このため、フィルムF1に緩みが発生しにくい。
【0058】
上述したダンサロール13の動作により、
図3の上から3つ目のグラフに示すように巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送速度が一定となる。すなわち、巻出離間処理S12及び巻出近接処理S13は、巻出ロールFRと各搬送ロール14,15との間のフィルムF1の張り具合を所望の状態とする処理である。巻出離間処理S12は、巻出ロールFRと各搬送ロール14,15との間のフィルムF1の張り具合を所望の状態とするフィルムF1の搬送量となるようにダンサロール13を各支持ロール11,12から離す処理である。巻出近接処理S13は、巻出ロールFRと各搬送ロール14,15との間のフィルムF1の張り具合を所望の状態とするフィルムF1の搬送量となるようにダンサロール13を各支持ロール11,12に近づける処理である。
【0059】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
巻出離間処理S12では、第1サーボモータM11の停止と同時に第2サーボモータM12を一方向に回転させる。巻出近接処理S13では、第1サーボモータM11の駆動と同時に第2サーボモータM12を一方向とは反対の方向に回転させる。よって、巻出離間処理S12及び巻出近接処理S13では、第1サーボモータM11の駆動又は停止のタイミングと、第2サーボモータM12の駆動のタイミングとが一致する。よって、間欠搬送処理S11によりフィルムF1の搬送が停止又は開始された時点でフィルムF1の張り具合が所望の状態となる。
【0060】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)巻出離間処理S12及び巻出近接処理S13により、フィルムF1の搬送が停止又は開始された時点でフィルムF1の張り具合を所望の状態にできる。
【0061】
(1-2)本実施形態によれば、巻出離間処理S12及び巻出近接処理S13を実行しているときに巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量が一定である。換言すると、巻出離間処理S12及び巻出近接処理S13を実行しているときに巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送速度が一定である。よって、巻出ロールFRと各搬送ロール14,15との間のフィルムF1を所望の状態、すなわち、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1を緩まずに張った状態にできる。
【0062】
(1-3)従来技術では、制御装置120は、フィードフォワード制御において外乱が事前に検知される度にサーボモータM4,M5の駆動量を演算することによりフィルムFに対する加圧力を調整する必要がある。すなわち、従来技術では、フィルムFの張力の変動を抑制するために加圧力を考慮する必要がある。このため、フィルムFを所望の状態とするための制御が複雑になり得る。
【0063】
その点、本実施形態では、巻出離間処理S12及び巻出近接処理S13で考慮することは、フィルムF1の搬送量のみである。
上述した従来技術と比較すると、第1サーボモータM11及び第2サーボモータM12の各々の回転位置の制御を実行するだけで巻出ロールFRと各搬送ロール14,15との間のフィルムF1の張り具合を所望の状態にできる。したがって、巻き出されるフィルムF1の張り具合を所望の状態とするための制御を簡素化しやすくなる。
【0064】
[第2実施形態]
以下、搬送装置を具体化した第2実施形態を
図4~
図6にしたがって説明する。
<搬送装置>
図4及び
図5に示すように、搬送装置20は、載置面Pに図示しないフレームを介して載置されている。搬送装置20は、図示しない巻出ロールから巻き出された長尺状のフィルムF2を巻取ロールWRに至るまで搬送する装置である。以下の説明において、フィルムF2が搬送される方向を搬送方向Td2とする。
【0065】
搬送装置20は、巻取ロールWRと、第1支持ロール21と、第2支持ロール22と、ダンサロール23と、第1搬送ロール24と、第2搬送ロール25と、を備えている。
巻取ロールWRには、フィルムF2を巻き取っている。巻取ロールWRは、フィルムF2を巻き取るときに駆動される駆動ロールである。
【0066】
第1支持ロール21は、巻取ロールWRよりも搬送方向Td2の上流に配置されている。第2支持ロール22は、巻取ロールWRよりも搬送方向Td2の上流に配置されている。第2支持ロール22は、第1支持ロール21よりも搬送方向Td2の上流に配置されている。
【0067】
ダンサロール23は、第1支持ロール21及び第2支持ロール22の鉛直方向Vdの上方に配置されている。ダンサロール23は、巻取ロールWRよりも搬送方向Td2の上流に配置されている。ダンサロール23は、第1支持ロール21よりも搬送方向Td2の上流に配置されている。ダンサロール23は、第2支持ロール22よりも搬送方向Td2の下流に配置されている。ダンサロール23は、搬送方向Td2において第1支持ロール21及び第2支持ロール22の間に配置されている。
【0068】
第1搬送ロール24及び第2搬送ロール25は、第1支持ロール21、第2支持ロール22、及びダンサロール23の各々よりも搬送方向Td2の上流に配置されている。第1搬送ロール24及び第2搬送ロール25は、鉛直方向VdにおいてフィルムF2を挟んでいる。
【0069】
各搬送ロール24,25から搬送されたフィルムF2は、第2支持ロール22の下方に巻き掛けられている。第2支持ロール22に巻き掛けられたフィルムF2は、鉛直方向Vdの上方に延びている。第2支持ロール22から鉛直方向Vdの上方に延びるフィルムF2は、ダンサロール23の上方に巻き掛けられている。ダンサロール23に巻き掛けられたフィルムF2は、第1支持ロール21に向けて鉛直方向Vdの下方に延びている。ダンサロール23に巻き掛けられたフィルムF2は、第1支持ロール21の下方に巻き掛けられている。第2支持ロール22は、支持ロールである。ダンサロール23には、第1支持ロール21及び第2支持ロール22の各々に巻き掛けられたフィルムF2が巻き掛けられている。
【0070】
搬送装置20は、ボールねじ機構26と、張力センサ28と、制御装置29と、を備えている。搬送装置20は、第1サーボモータM21と、第2サーボモータM22と、駆動モータとしての第3サーボモータM23と、を備えている。
【0071】
ボールねじ機構26は、第1実施形態で説明したボールねじ機構16と同じ構成である。ボールねじ機構26は、ダンサロール23が回転可能となるようにダンサロール23に接続されている。ボールねじ機構26は、第2サーボモータM22と連結されている。第2サーボモータM22は、ボールねじ機構26を動作させる。ボールねじ機構26は、第1支持ロール21及び第2支持ロール22に対してダンサロール23を直線的に接離させる接離機構である。
【0072】
第1サーボモータM21は、第1搬送ロール24に接続されている。第1サーボモータM21は、第1搬送ロール24を回転させる。第2搬送ロール25は、第1搬送ロール24の回転により回転する。第1搬送ロール24及び第2搬送ロール25の回転により、フィルムF2は搬送方向Td2に搬送される。第1搬送ロール24及び第2搬送ロール25は、フィルムF2を搬送方向Td2に搬送する搬送ロールである。
【0073】
第3サーボモータM23は、巻取ロールWRに接続されている。第3サーボモータM23は、搬送方向Td2で搬送されるフィルムF2を円滑に巻き取る方向に巻取ロールWRを回転させる。
【0074】
張力センサ28は、搬送方向Td2において、巻取ロールWRと第1支持ロール21との間に配置されている。張力センサ28は、巻取ロールWRと第1支持ロール21との間のフィルムF2の張力に応じた信号St2を出力する。
【0075】
制御装置29は、各サーボモータM21,M22,M23、及び張力センサ28と電気的に接続されている。制御装置29は、記憶部29aと、処理部29bとを備えている。記憶部29aには、複数のプログラムが記憶されている。複数のプログラムは、各サーボモータM21,M22,M23の動作に関わるプログラムを含んでいる。
【0076】
処理部29bは、例えばCPUである。処理部29bは、記憶部29aに記憶された各プログラムを実行することにより各サーボモータM21,M22,M23の回転位置を制御する。すなわち、制御装置29は、記憶部29aに記憶されたプログラムに基づいて各サーボモータM21,M22,M23の回転位置を制御する。
【0077】
<連続巻取処理>
制御装置29は、巻取ロールWRを常に回転させることによりフィルムF2を巻き取る処理である連続巻取処理S24を実行する。
【0078】
制御装置29は、張力センサ28から信号St2を取得する。制御装置29は、記憶部29aに記憶されたプログラムに基づいて取得した信号St2からフィルムF2の張力を取得する。制御装置29は、取得したフィルムF2の張力に応じて第3サーボモータM23を駆動させる。第3サーボモータM23は、制御装置29に制御されることにより巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の張りを維持できる程度に回転する。
【0079】
<間欠搬送処理>
搬送装置20は、例えば、第2支持ロール22と各搬送ロール24,25との間で、フィルムF2に加工を施すためにフィルムF2の搬送を一時的に停止する。このため、制御装置29は、第1サーボモータM21の停止又は駆動を繰り返す間欠搬送処理S21を実行する。間欠搬送処理S21により、第2支持ロール22及びダンサロール23よりも搬送方向Td2の上流において、フィルムF2が間欠搬送される。
【0080】
制御装置29の記憶部29aに記憶された複数のプログラムには、間欠搬送処理S21を実行させるプログラムが含まれている。
図4は、第1サーボモータM21が駆動している状態を示している。
図5は、第1サーボモータM21が停止している状態を示している。なお、例えば、各搬送ロール24,25よりも搬送方向Td2の上流においてフィルムF2に加工を施すためにフィルムF2の搬送を一時的に停止させてもよい。第1サーボモータM21を停止させる時点は、フィルムF2の加工の時点であれば適宜変更してもよい。
【0081】
第2サーボモータM22は、間欠搬送処理S21を実行しているときに駆動している。以下、第2サーボモータM22の駆動について説明する。
<巻取近接処理>
図5に示すように、制御装置29は、間欠搬送処理S21により第1サーボモータM21を停止させた場合において、第1サーボモータM21の停止と同時に第2サーボモータM22を一方向に回転させる巻取近接処理S22を実行する。すると、巻取近接処理S22において、ボールねじ機構26の保持部が鉛直方向Vdの下方に移動する。すなわち、巻取近接処理S22は、ダンサロール23を各支持ロール21,22に近づける処理である。なお、記憶部29aに記憶された複数のプログラムには、巻取近接処理S22を実行させるプログラムが含まれている。
【0082】
<巻取離間処理>
図4に示すように、制御装置29は、間欠搬送処理S21により第1サーボモータM21を停止させた状態から駆動させ始めた場合において、第1サーボモータM21の駆動と同時に第2サーボモータM22を一方向とは反対の方向に回転させる巻取離間処理S23を実行する。すると、巻取離間処理S23において、ボールねじ機構26の保持部が鉛直方向Vdの上方に移動する。すなわち、巻取離間処理S23は、ダンサロール23を各支持ロール21,22から離す処理である。なお、記憶部29aに記憶された複数のプログラムには、巻取離間処理S23を実行させるプログラムが含まれている。
【0083】
<フィルムの搬送量、及びダンサロールの移動量>
本実施形態のフィルムF2の搬送量、及びダンサロール23の移動量について、
図6にしたがって説明する。
【0084】
図6には、3つのグラフが示されている。上から1つ目のグラフは、経過時間tに対するダンサロール23の移動量の変化を示している。上から2つ目のグラフは、経過時間tに対する、各搬送ロール24,25によるフィルムF2の搬送量の変化を示している。上から3つの目のグラフは、経過時間tに対する、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムFの搬送量の変化を示している。なお、各グラフ中に記載の時刻t1,t2,t3,t4は、この順に経過する時刻を示している。本実施形態において、各時刻の間の時間は、全ての同じである。
【0085】
[第1搬送ロール及び第2搬送ロールによるフィルムの搬送量]
図6の上から2つ目のグラフに示すように、各搬送ロール24,25によるフィルムF2の搬送量について説明する。間欠搬送処理S21が実行されることにより、各搬送ロール24,25によりフィルムF2が搬送される状態と、フィルムF2が搬送されない状態とが交互に発生する。
【0086】
各搬送ロール24,25が回転し始めてから時刻t1までの間において、各搬送ロール24,25が回転することにより、フィルムF2は、搬送量Dだけ搬送される。各搬送ロール24,25が回転し始めてから時刻t1までのフィルムF2の搬送速度は、「γ」で一定である。時刻t1において、第1サーボモータM21が停止される。
【0087】
時刻t1から時刻t2までの間において、各搬送ロール24,25が回転しないため、フィルムF2の搬送量は、「0」である。よって、時刻t1から時刻t2までのフィルムF2の搬送速度は、「0」である。時刻t2において、第1サーボモータM21が駆動し始める。
【0088】
時刻t2から時刻t3までの間におけるフィルムF2の搬送量は、搬送量Dである。時刻t2から時刻t3までの間におけるフィルムF2の搬送速度は、「γ」である。時刻t3において、第1サーボモータM21が停止される。
【0089】
時刻t3から時刻t4までの間におけるフィルムF2の搬送量は、「0」である。時刻t3から時刻t4までの間におけるフィルムF2の搬送速度は、「0」である。時刻t4において、第1サーボモータM21が駆動し始める。
【0090】
すなわち、各搬送ロール24,25によるフィルムF2の搬送量は、搬送量Aと「0」とを交互に繰り返す。各搬送ロール24,25によるフィルムF2の搬送速度は、「γ」と「0」とを繰り返す。
【0091】
[巻取ロールに巻き取られるフィルムの搬送量]
図6の上から3つ目のグラフに示すように、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量について説明する。巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量の変化は、経過時間tに対して一定である。本実施形態では、巻取ロールWRが巻き取るフィルムF2の搬送速度は、「γ/2」で一定となる。そして、時刻が経過する度に巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量は、搬送量[D/2]となる。巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量及び搬送速度が一定となることは、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2が緩まずに張った状態となっていることと同義である。巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量及び搬送速度が一定となる状態を、本実施形態における所望の状態とする。
【0092】
[ダンサロールの移動量]
図6の上から1つ目のグラフに示すように、ダンサロール23の移動量は、各搬送ロール24,25によるフィルムF2の搬送量を考慮して設定される。制御装置29は、任意の時刻において、各搬送ロール24,25によるフィルムF2の搬送量からダンサロール23の移動量を演算する。制御装置29は、当該ダンサロール23の移動量を実現するために各サーボモータM21,M22の回転位置を制御する。
【0093】
本実施形態では、ダンサロール23の移動量は、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量が、時刻が経過する度に搬送量Dで一定となるように設定される。また、ダンサロール23の移動量は、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送速度が、「γ」で一定となるように設定される。
【0094】
制御装置29により演算されるダンサロール23の移動量は、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量を一定とする値である。制御装置29による各サーボモータM21,M22の回転位置を制御により、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量は、一定となる。
【0095】
例えば、各搬送ロール24,25が回転し始めてから時刻t1までの間において、ダンサロール23は、移動速度を、[γ/4]として移動する。各搬送ロール24,25が回転し始めてから時刻t1までの間において、ダンサロール23は、移動量を、[D/4]として移動する。
【0096】
時刻t1から時刻t2までの間において、ダンサロール23は、移動速度を、[-γ/4]として移動する。時刻t1から時刻t2までの間において、ダンサロール23は、移動量を、[-D/4]として移動する。
【0097】
時刻t2から時刻t3までの間において、ダンサロール23は、移動速度を、[γ/4]として移動する。各搬送ロール24,25が回転し始めてから時刻t1までの間において、ダンサロール23は、移動量を、[D/4]として移動する。
【0098】
時刻t3から時刻t4までの間において、ダンサロール23は、移動速度を、[-γ/4]として移動する。ダンサロール23は、時刻t3から時刻t4までの間において、移動量を、[-D/4]として移動する。
【0099】
すなわち、ダンサロール23は、時刻が経過する度に鉛直方向Vdにおいて同じ移動量で移動している。ダンサロール23は、鉛直方向Vdにおける同じ位置を繰り返し往復している。
【0100】
各搬送ロール24,25が回転し始めてから時刻t1までの間、及び時刻t2から時刻t3までの間において、第1サーボモータM21が駆動している。このとき、例えば、ダンサロール23の移動速度が、[γ/4]を上回る大きさの速度となる場合を想定する。この場合、ダンサロール23に巻き掛けられたフィルムF2の搬送速度が、[γ/2]を上回る。このため、ダンサロール23と各支持ロール21,22との間のフィルムF2が引っ張られ過ぎる虞がある。その点、本実施形態では、ダンサロール23の移動速度の大きさの2倍が、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送速度が「γ/2」と同じ大きさである。このため、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送速度が一定に保たれる。よって、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量が一定に保たれる。
【0101】
時刻t1から時刻t2までの間、及び時刻t3から時刻t4までの間において、第1サーボモータM21が停止している。このとき、フィルムF2が各支持ロール21,22に支持された状態で巻取ロールWRに巻き取られるが、ダンサロール23と各支持ロール21,22との間のフィルムF2が第1支持ロール21を介して巻取ロールWRに搬送される。
【0102】
ダンサロール23と各支持ロール21,22との間のフィルムF2が巻取ロールWRに巻き取られるとき、ダンサロール23の移動速度が、[-γ/4]である。すなわち、ダンサロール23に巻き掛けられたフィルムF2の搬送速度が、「γ/2」となる。このため、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送速度が一定に保たれる。よって、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量が一定に保たれる。
【0103】
上述したダンサロール23の動作により、
図6の上から3つ目のグラフに示すように、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送速度が一定となる。すなわち、巻取近接処理S22及び巻取離間処理S23は、巻取ロールWRと各搬送ロール24,25との間のフィルムFの張り具合を所望の状態とする処理である。巻取近接処理S22は、巻取ロールWRと各搬送ロール24,25との間のフィルムF2の張り具合を所望の状態とするフィルムF2の搬送量となるようにダンサロール23を各支持ロール21,22に近づける処理である。巻取離間処理S23は、巻取ロールWRと各搬送ロール24,25との間のフィルムF2の張り具合を所望の状態とするフィルムF2の搬送量となるようにダンサロール23を各支持ロール21,22から離す処理である。
【0104】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
巻取近接処理S22では、第1サーボモータM21の停止と同時に第2サーボモータM22を一方向に回転させる。巻取離間処理S23では、第1サーボモータM21の駆動と同時に第2サーボモータM22を一方向とは反対の方向に回転させる。よって、巻取近接処理S22及び巻取離間処理S23では、第1サーボモータM21の駆動又は停止のタイミングと、第2サーボモータM22の駆動のタイミングとが一致する。よって、間欠搬送処理S21によりフィルムF2の搬送が停止又は開始された時点でフィルムF2の張り具合が所望の状態となる。
【0105】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(2-1)巻取近接処理S22及び巻取離間処理S23により、フィルムF2の搬送が停止又は開始された時点でフィルムF2の張り具合を所望の状態にできる。
【0106】
(2-2)本実施形態によれば、巻取近接処理S22及び巻取離間処理S23を実行しているときに巻き取られるフィルムF2の搬送量が一定である。換言すると、巻取近接処理S22及び巻取離間処理S23を実行しているときに巻き取られるフィルムF2の搬送速度が一定である。よって、巻取ロールWRと各搬送ロール24,25との間のフィルムF2を所望の状態、すなわち、巻取ロールWRと各搬送ロール24,25との間のフィルムF2を緩まずに張った状態にできる。
【0107】
(2-3)第1実施形態で説明したように、従来技術では、フィルムFを所望の状態とするための制御が複雑になり得る。
その点、本実施形態では、巻取近接処理S22及び巻取離間処理S23で考慮することは、フィルムF2の搬送量のみである。
【0108】
上述した従来技術と比較すると、第1サーボモータM21及び第2サーボモータM22の各々の回転位置の制御を実行するだけで巻取ロールWRと各搬送ロール24,25との間のフィルムF2の張り具合を所望の状態にできる。したがって、巻き取られるフィルムF2の張り具合を所望の状態とするための制御を簡素化しやすくなる。
【0109】
<変更例>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0110】
○ 第1実施形態において、第2支持ロール12を省略してもよい。このように変更する場合、第1支持ロール11が支持ロールである。このように変更する場合、以下のように変更するとよい。
【0111】
図7及び
図8に示すように、ダンサロール13が水平方向に揺動するようにボールねじ機構16の配置を変更する。巻出ロールFRから巻き出されたフィルムF1は、第1支持ロール11に巻き掛けられた後、水平方向に延びている。第1支持ロール11に巻き掛けられた後に水平方向に延びるフィルムF1は、ダンサロール13に巻き掛けられた後に水平方向に延びている。ダンサロール13に巻き掛けられたフィルムF1は、各搬送ロール14,15によって鉛直方向Vdに挟まれている。このように変更しても、第1実施形態と同じ巻出離間処理S12及び巻出近接処理S13を実行できる。よって、巻出ロールFRと各搬送ロール14,15との間のフィルムF1の張り具合を所望の状態とすることができる。なお、ダンサロール13が水平方向に揺動するようにボールねじ機構16の配置を変更したが、ダンサロール13は、第1支持ロール11から離れる、又は第1支持ロール11に近づくように揺動できればよい。このため、ボールねじ機構16の配置は、ダンサロール13が第1支持ロール11から離れる、又は第1支持ロール11に近づくように揺動できれば適宜変更してもよい。
【0112】
○ 第2実施形態において、第2支持ロール22を省略してもよい。このように変更する場合、第1支持ロール21が支持ロールである。このように変更する場合、上述した変更例と同様に、ダンサロール23が水平方向に揺動するようにボールねじ機構26の配置を変更するとよい。このように変更しても、第2実施形態と同じ巻取近接処理S22及び巻取離間処理S23を実行できる。なお、ダンサロール23が水平方向に揺動するようにボールねじ機構26の配置を変更したが、ダンサロール23は、第1支持ロール21から離れる、又は第1支持ロール21に近づくように揺動できればよい。このため、ボールねじ機構26の配置は、ダンサロール23が第1支持ロール21から離れる、又は第1支持ロール21に近づくように揺動できれば適宜変更してもよい。
【0113】
○ 第1実施形態において、ダンサロール13は、第1支持ロール11及び第2支持ロール12の鉛直方向Vdの下方に配置されていてもよい。このように変更する場合、巻出ロールFRから巻き出されたフィルムF1は、第1支持ロール11の上方に巻き掛けられる。また、ダンサロール13に巻き掛けられたフィルムF1は、第2支持ロール12に向けて延びた後、第2支持ロール12の上方に巻き掛けられる。
【0114】
○ 第2実施形態において、ダンサロール23は、第1支持ロール21及び第2支持ロール22の鉛直方向Vdの下方に配置されていてもよい。このように変更する場合、各搬送ロール24,25から搬送されたフィルムF2は、第2支持ロール22の上方に巻き掛けられる。また、ダンサロール23に巻き掛けられたフィルムF2は、第1支持ロール21に向けて延びた後、第1支持ロール21の上方に巻き掛けられる。
【0115】
○ 第1実施形態において、各時刻の間の時間は、全ての同じであったが、例えば、フィルムF1の搬送を停止する時間を、フィルムF1が搬送される時間よりも短く設定してもよい。このように変更する場合、巻出離間処理S12において、各支持ロール11,12から離れるダンサロール13の移動量が、[A/4]となるように、ダンサロール13の移動速度を上昇させるとよい。
【0116】
また、フィルムF1の搬送を停止する時間を、フィルムF1が搬送される時間よりも長く設定してもよい。このように変更する場合、巻出近接処理S13において、各支持ロール11,12に近づくダンサロール13の移動量が、[-A/4]となるように、ダンサロール13の移動速度を上昇させるとよい。
【0117】
ただし、ダンサロール13の移動速度は、巻出離間処理S12及び巻出近接処理S13を実行したときのフィルムF1の張り具合がフィルムF1の品質に影響を与えない程度となるように上昇させる。すなわち、ダンサロール13の移動速度は、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1を所望の状態にできるように設定する。
【0118】
○ 第2実施形態において、各時刻の間の時間は、全ての同じであったが、例えば、フィルムF2の搬送を停止する時間を、フィルムF2が搬送される時間よりも短く設定してもよい。このように変更する場合、巻取近接処理S22において、各支持ロール21,22に近づくダンサロール13の移動量が、[-D/4]となるように、ダンサロール23の移動速度を上昇させるとよい。
【0119】
また、フィルムF2の搬送を停止する時間を、フィルムF2が搬送される時間よりも長く設定してもよい。このように変更する場合、巻取離間処理S23において、各支持ロール21,22から離れるダンサロール23の移動量が、[D/4]となるように、ダンサロール13の移動速度を上昇させるとよい。
【0120】
ただし、ダンサロール23の移動速度は、巻取近接処理S22及び巻取離間処理S23を実行したときのフィルムF2の張り具合がフィルムF2の品質に影響を与えない程度となるように上昇させる。すなわち、ダンサロール23の移動速度は、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF2を所望の状態にできるように設定する。
【0121】
○ 第1実施形態において、ダンサロール13の移動量は、各搬送ロール14,15により搬送されるフィルムF1の搬送量A及び搬送速度αが一定である条件で制御装置19が演算していたが、これに限らない。例えば、各搬送ロール14,15により搬送されるフィルムF1に生じる加速度も考慮してダンサロール13の移動量を制御装置19が演算してもよい。
【0122】
○ 第1実施形態において、ダンサロール13の移動量は、巻出ロールFRが回転したときの慣性力により巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量も考慮して制御装置19が演算してもよい。
【0123】
○ 第2実施形態において、ダンサロール23の移動量は、各搬送ロール24,25により搬送されるフィルムF2の搬送量D及び搬送速度γが一定である条件で制御装置19が演算していたが、これに限らない。例えば、各搬送ロール24,25により搬送されるフィルムF2に生じる加速度も考慮してダンサロール23の移動量を制御装置29が演算してもよい。
【0124】
○ 第2実施形態において、ダンサロール23の移動量は、巻取ロールWRが回転したときの慣性力により巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量も考慮して制御装置29が演算してもよい。
【0125】
○ 第2実施形態において、搬送方向Td2において、巻取ロールWRと第1支持ロール21との間に第3サーボモータM23により回転する駆動ロールを新たに設けるように変更してもよい。当該駆動ロールは、フィルムF2を巻き取るときに駆動される。なお、当該駆動ロールを新たに追加する場合、張力センサ28は、当該駆動ロールと第1支持ロール21との間に配置されることが好ましい。
【0126】
○ 第1実施形態において、ダンサロール13は1つ採用されていたが、例えば、2つ以上採用されてもよい。このように変更する場合、例えば、ダンサロール13と各支持ロール11,12を1組とする組み合わせを2組以上採用してもよい。なお、上記変更例のように第2支持ロール12が省略される場合、ダンサロール13と第1支持ロール11とを1組とする組み合わせを2組以上採用してもよい。
【0127】
○ 第2実施形態において、ダンサロール23は1つ採用されていたが、例えば、2つ以上採用されてもよい。このように変更する場合、例えば、ダンサロール23と各支持ロール21,22を1組とする組み合わせを2組以上採用してもよい。なお、上記変更例のように第2支持ロール22が省略される場合、ダンサロール23と第1支持ロール21とを1組とする組み合わせを2組以上採用してもよい。
【0128】
○ 上記各実施形態において、ボールねじ機構16,26は接離機構であったが、例えば、接離機構はラックアンドピニオン機構であってもよい。例えば、ピニオン歯が設けられた第2サーボモータM12,M22の回転軸と、当該ピニオン歯に噛み合う斜歯が形成された1つの軸部材とによりラックアンドピニオン機構が構成されてもよい。そして、軸部材にダンサロール13,23の図示しない回転軸が回転可能に保持される保持部を追加するとよい。
【0129】
このように変更する場合、第2サーボモータM12,M22が回転すると、軸部材がその軸方向に移動する。軸部材の軸方向の移動に伴い、上述した保持部は、軸部材と一体的に軸方向に移動する。よって、ダンサロール13が軸部材の軸方向において各支持ロール11,12に対して直線的に接離される。また、ダンサロール23が軸部材の軸方向において各支持ロール21,22に対して直線的に接離される。
【0130】
○ 上記各実施形態、及び上記各変更例において、接離機構は、第2サーボモータM12,M22の駆動によりダンサロール13,23が直線的に揺動できれば構成は適宜変更してもよい。
【0131】
○ 第1実施形態において、巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量及び搬送速度が一定となる状態を、所望の状態としていたが、これに限らない。巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の張り具合が、フィルムF1の品質に影響を与えない程度であれば、所望の状態を適宜変更してもよい。例えば、巻出離間処理S12を実行したときに巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1の搬送量が「0」となる状態を所望の状態としてもよい。
【0132】
○ 第2実施形態において、巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量及び搬送速度が一定となる状態を、所望の状態としていたが、これに限らない。巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の張り具合が、フィルムF2の品質に影響を与えない程度であれば、所望の状態を適宜変更してもよい。例えば、巻取近接処理S22を実行したときに巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の搬送量が「0」となる状態を所望の状態としてもよい。
【0133】
○ 上記各実施形態、及び上記変更例において、第3サーボモータM13,M23は、例えば、トルクモータに変更してもよい。なお、第2実施形態において、第3サーボモータM23をトルクモータに変更した場合、当該トルクモータが駆動モータである。
【0134】
○ 第1実施形態において、第3サーボモータM13を、汎用的なモータ及びパウダークラッチに代替してもよい。このように変更する場合、パウダークラッチを介して汎用的なモータが巻出ロールFRに接続される。また、第3サーボモータM13を、パウダーブレーキに代替してもよい。パウダークラッチは、制御装置19に制御されることにより巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1に張りを持たせることができる程度に汎用的なモータの回転を巻出ロールFRに伝える。パウダーブレーキは、制御装置19に制御されることにより巻出ロールFRから巻き出されるフィルムF1に張りを持たせる力を巻出ロールFRに付与する。
【0135】
○ 第1実施形態において、第3サーボモータM13は、物理的に巻出ロールFRの回転を止める機械的なブレーキに代替してもよい。具体的には、巻出ロールFRに直接接触することにより巻出ロールFRの回転を弱めるブレーキである。なお、巻出ロールFRに張りを持たせる力を発生させる構成を複数例示したが、巻出ロールFRに付与する力は、フィルムF1の搬送方向Td1への搬送量を変化させない程度の力であることが好ましい。
【0136】
○ 第2実施形態及び上記変更例において、第3サーボモータM23を、汎用的なモータ及びパウダークラッチに代替してもよい。このように変更する場合、パウダークラッチを介して汎用的なモータが巻取ロールWR又は駆動ロールに接続される。パウダークラッチは、制御装置29に制御されることにより巻取ロールWRに巻き取られるフィルムF2の張りを維持できる程度に汎用的なモータの回転を巻取ロールWRに伝える。なお、本変更例では、汎用的なモータが巻取ロールWR又は駆動ロールを回転させる駆動モータである。
【符号の説明】
【0137】
10,20…搬送装置、Td1,Td2…搬送方向、11,21…第1支持ロール、12,22…第2支持ロール、13,23…ダンサロール、14,24…第1搬送ロール、15,25…第2搬送ロール、19,29…制御装置、S11,S21…間欠搬送処理、S12…巻出離間処理、S13…巻出近接処理、S22…巻取近接処理、S23…巻取離間処理、S24…連続巻取処理、M11,M21…第1サーボモータ、M12,M22…第2サーボモータ、M13,M23…第3サーボモータ、FR…巻出ロール、WR…巻取ロール、F1,F2…フィルム。