IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-タイヤ 図1
  • 特開-タイヤ 図2
  • 特開-タイヤ 図3
  • 特開-タイヤ 図4
  • 特開-タイヤ 図5
  • 特開-タイヤ 図6
  • 特開-タイヤ 図7
  • 特開-タイヤ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124168
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
B60C11/13 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027774
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】西野 充洋
(72)【発明者】
【氏名】中島 幸一
(72)【発明者】
【氏名】河越 義史
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC19
3D131BC44
3D131CB06
3D131EB14V
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ウェット性能を維持しつつ、優れたノイズ性能を発揮し得るタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部を有するタイヤである。トレッド部は、タイヤ周方向に連続して延びる少なくとも1本の周方向溝を含む。周方向溝7の溝底部7dには、タイヤ半径方向に突出する複数の突起部20が形成されている。複数の突起部20のそれぞれは、タイヤ軸方向の幅と、幅よりも大きいタイヤ周方向の長さとを有する縦長状である。複数の突起部20のそれぞれは、幅がタイヤ周方向の一方側に向かって小さくなっているテーパ部23を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続して延びる少なくとも1本の周方向溝を含み、
前記周方向溝の溝底部には、タイヤ半径方向に突出する複数の突起部が形成されており、
前記複数の突起部のそれぞれは、タイヤ軸方向の幅と、前記幅よりも大きいタイヤ周方向の長さとを有する縦長状であり、
前記複数の突起部のそれぞれは、前記幅がタイヤ周方向の一方側に向かって小さくなっているテーパ部を含む、
タイヤ。
【請求項2】
前記周方向溝は、第1溝壁と、第2溝壁とを含み、
前記突起部は、前記第1溝壁側に配列された複数の第1突起部と、前記第2溝壁側に配列された複数の第2突起部とを含み、
前記複数の第1突起部のそれぞれの前記テーパ部の前記幅は、タイヤ周方向の第1の側に向かって小さくなっており、
前記複数の第2突起部のそれぞれの前記テーパ部の前記幅は、タイヤ周方向の前記第1の側とは反対の第2の側に向かって小さくなっている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
トレッド平面視において、前記テーパ部は、タイヤ周方向に沿って延びる第1側面と、タイヤ周方向に対して前記第1側面よりも大きい角度で傾斜した第2側面との間で形成される、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第1側面は、前記第2側面よりも前記周方向溝の溝中心線側に設けられている、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記複数の突起部は、タイヤ周方向に一定のピッチで配置されており、
前記複数の突起部のそれぞれの前記長さは、前記ピッチの40%~60%である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記突起部のそれぞれのタイヤ半径方向の最大の高さは、前記周方向溝の最大の深さの20%以下である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
トレッド平面視において、前記テーパ部は、タイヤ周方向に沿って延びる第1側面と、タイヤ周方向に対して前記第1側面よりも大きい角度で傾斜した第2側面との間で形成されており、
前記第1側面と前記第2側面との間の角度は、30°以下である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、タイヤ周方向に連続して延びる主溝の溝底部に、複数の突起部が形成されたタイヤが提案されている。このタイヤは、雪上走行時において、前記主溝内に雪柱を形成し、かつ、前記突起部を前記雪柱に食い込ませることにより、雪上でのトラクション性能やブレーキ性能の向上を期待している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-196281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の車両の静粛化に伴い、タイヤについてもノイズ性能の向上が求められている。一方、タイヤのウェット性能についても十分に配慮する必要がある。
【0005】
本開示は、以上のような実状に鑑み案出なされたもので、ウェット性能を維持しつつ、優れたノイズ性能を発揮し得るタイヤを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続して延びる少なくとも1本の周方向溝を含み、前記周方向溝の溝底部には、タイヤ半径方向に突出する複数の突起部が形成されており、前記複数の突起部のそれぞれは、タイヤ軸方向の幅と、前記幅よりも大きいタイヤ周方向の長さとを有する縦長状であり、前記複数の突起部のそれぞれは、前記幅がタイヤ周方向の一方側に向かって小さくなっているテーパ部を含む、タイヤである。
【発明の効果】
【0007】
本開示のタイヤは、上記の構成を採用したことによって、ウェット性能を維持しつつ、優れたノイズ性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態を示すトレッド部の展開図である。
図2図1のクラウン陸部、第1ミドル陸部及び第1クラウン周方向溝の拡大図である。
図3】第1クラウン周方向溝の拡大斜視図である。
図4】突起部の拡大断面図である。
図5図2の第1クラウンサイプ、第2クラウンサイプ、第3クラウンサイプ及び第4クラウンサイプの拡大図である。
図6図5のA-A線断面図である。
図7図2のB-B線断面図である。
図8図2のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の一形態が図面に基づき説明される。図1は、本開示の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、冬用のタイヤであって、乗用車用の空気入りタイヤとして好適に使用される。但し、本開示は、このような態様に限定されるものではなく、重荷重用の空気入りタイヤや、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤに適用されても良い。
【0010】
図1に示されるように、本開示のトレッド部2は、第1トレッド端T1と、第2トレッド端T2と、第1トレッド端T1と第2トレッド端T2との間でタイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝3と、これらの周方向溝3に区分された複数の陸部4とを含む。望ましい態様として、本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2が4本の周方向溝3及び5つの陸部4で構成された所謂5リブのタイヤとして構成されている。
【0011】
本実施形態のトレッド部2は、例えば、車両への装着の向きが指定されている。これにより、第1トレッド端T1は、車両装着時に車両外側に位置することが意図されている。第2トレッド端T2は、車両装着時に車両内側に位置することが意図されている。車両への装着の向きは、例えば、サイドウォール部(図示省略)に、文字又は記号で表示される。但し、本開示のタイヤ1は、このような態様に限定されず、車両への装着の向きが指定されないものでも良い。
【0012】
第1トレッド端T1及び第2トレッド端T2は、それぞれ、正規状態のタイヤ1に正規荷重の70%が負荷され、トレッド部2をキャンバー角0°で平面に接地させたときの接地面の端に相当する。
【0013】
「正規状態」とは、各種の規格が定められた空気入りタイヤの場合、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。各種の規格が定められていないタイヤや、非空気式タイヤの場合、前記正規状態は、タイヤの使用目的に応じた標準的な使用状態であって無負荷の状態を意味する。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。また、本明細書において、特に断りの無い限り、前記寸法や材料の組成の測定方法には、公知の方法を適宜適用することができる。
【0014】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
【0015】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0016】
「正規荷重」は、各種の規格が定められた空気入りタイヤの場合、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。また、各種の規格が定められていないタイヤの場合、「正規荷重」は、上述の規格に準じ、タイヤを使用する上で適用可能な最大の荷重を指す。
【0017】
周方向溝3は、例えば、第1クラウン周方向溝7を含む。第1クラウン周方向溝7は、タイヤ赤道Cの第1トレッド端T1側に設けられている。さらに、本実施形態の周方向溝3は、第2クラウン周方向溝8、第1ショルダー周方向溝5及び第2ショルダー周方向溝6を含む。第2クラウン周方向溝8は、タイヤ赤道Cの第2トレッド端T2側に設けられている。第1ショルダー周方向溝5は、第1クラウン周方向溝7と第1トレッド端T1との間に設けられている。第2ショルダー周方向溝6は、第2クラウン周方向溝8と第1トレッド端T1との間に設けられている。
【0018】
タイヤ赤道Cから第1ショルダー周方向溝5又は第2ショルダー周方向溝6の溝中心線までのタイヤ軸方向の距離L1は、例えば、トレッド幅TWの25%~35%であるのが望ましい。タイヤ赤道Cから第1クラウン周方向溝7又は第2クラウン周方向溝8の溝中心線までのタイヤ軸方向の距離L2は、例えば、トレッド幅TWの5%~15%であるのが望ましい。なお、トレッド幅TWは、前記正規状態における第1トレッド端T1から第2トレッド端T2までのタイヤ軸方向の距離である。
【0019】
本実施形態では、第1クラウン周方向溝7、第2クラウン周方向溝8及び第2ショルダー周方向溝6が、タイヤ周方向に平行に直線状又に延びている。一方、第1ショルダー周方向溝5は、タイヤ赤道C側の溝縁がジグザグ状に延びている。但し、各周方向溝3は、このような形状に限定されるものではない。
【0020】
各周方向溝3の溝幅W1は、少なくとも3mm以上であるのが望ましい。また、各周方向溝3の溝幅W1は、例えば、トレッド幅TWの3.0%~7.0%であるのが望ましい。各周方向溝3の深さは、乗用車用の空気入りタイヤの場合、例えば、5~10mmである。
【0021】
本実施形態の陸部4は、例えば、クラウン陸部15を含む。クラウン陸部15は、第1クラウン周方向溝7と第2クラウン周方向溝8との間に区分されており、本実施形態ではタイヤ赤道C上に設けられている。これにより、第1クラウン周方向溝7は、クラウン陸部15の第1トレッド端T1側に隣接している。さらに、本実施形態の陸部4は、第1ミドル陸部13、第2ミドル陸部14、第1ショルダー陸部11及び第2ショルダー陸部12を含む。第1ミドル陸部13は、第1ショルダー周方向溝5と第1クラウン周方向溝7との間に区分されている。第2ミドル陸部14は、第2ショルダー周方向溝6と第2クラウン周方向溝8との間に区分されている。第1ショルダー陸部11は、第1トレッド端T1を含んでおり、第1ショルダー周方向溝5のタイヤ軸方向外側に区分されている。第2ショルダー陸部12は、第2トレッド端T2を含んでおり、第2ショルダー周方向溝6のタイヤ軸方向外側に区分されている。
【0022】
図2には、クラウン陸部15、第1ミドル陸部13及び第1クラウン周方向溝7の拡大図が示されている。図3には、第1クラウン周方向溝7の溝底部7dの拡大斜視図が示されている。図2及び図3に示されるように、第1クラウン周方向溝7の溝底部7dには、タイヤ半径方向に突出する複数の突起部20が形成されている。なお、図2では、トレッド平面視において観察できる突起部20の輪郭が実線で概念的に示されているが、図1ではこれらの記載が省略されている。望ましい態様として、本実施形態では、第1クラウン周方向溝7のみに突起部20が設けられているが、本開示はこのような態様に限定されるものではなく、他の周方向溝3に突起部20が設けられても良い。
【0023】
本開示のタイヤ1は、雪上走行時、周方向溝3内で形成された雪柱に突起部20を食い込ませて大きな反力を発揮でき、雪上において優れたトラクション性能及びブレーキ性能を発揮することができる。
【0024】
図3に示されるように、複数の突起部20のそれぞれは、タイヤ軸方向の幅と、幅よりも大きいタイヤ周方向の長さとを有する縦長状である。また、複数の突起部20のそれぞれは、前記幅がタイヤ周方向の一方側に向かって小さくなっているテーパ部23を含む。本開示のタイヤ1は、上記の構成を採用したことによって、ウェット性能を維持しつつ、優れたノイズ性能を発揮できる。その理由として、以下のメカニズムが推察される。
【0025】
本開示のタイヤは、周方向溝(本実施形態では、第1クラウン周方向溝7である。)の溝底部に突起部20が形成されているため、ドライ路面走行時において、周方向溝内を通る空気は、突起部20にぶつかって攪乱され易くなる。また、攪乱された空気は、テーパ部23の近辺を通るときにその移動速度が大きく変化する。具体的には、テーパ部23の幅が前記空気の進行方向に向かって大きくなっている場合は、空気の移動速度は小さくなり、テーパ部23の幅が前記空気の進行方向に向かって小さくなっている場合は、空気の移動速度は大きくなる。このような作用は、周方向溝内での空気の攪乱をさらに促進し、ひいては周方向溝内での定常波の生成が抑制され、気柱共鳴音を低減することができる。
【0026】
また、テーパ部23は、突起部20による周方向溝の溝容積の低下を抑制でき、ウェット性能を維持することができる。本開示のタイヤ1は、このようなメカニズムにより、ウェット性能を維持しつつ、ノイズ性能を向上させることができる。
【0027】
以下、本実施形態のさらに詳細な構成が説明される。なお、以下で説明される各構成は、本実施形態の具体的態様を示すものである。したがって、本開示は、以下で説明される構成を具えないものであっても、上述の効果を発揮し得るのは言うまでもない。また、上述の特徴を具えた本開示のタイヤに、以下で説明される各構成のいずれか1つが単独で適用されても、各構成に応じた性能の向上は期待できる。さらに、以下で説明される各構成のいくつかが複合して適用された場合、各構成に応じた複合的な性能の向上が期待できる。
【0028】
図2に示されるように、第1クラウン周方向溝7は、第1溝壁7a及び第2溝壁7bを含む。第1溝壁7aは、クラウン陸部15側の溝壁であり、第2溝壁7bは、第1ミドル陸部13側の溝壁である。突起部20は、前記第1溝壁7a側に配列された第1突起部21と、第2溝壁7b側に配列された第2突起部22とを含む。第1突起部21と第2突起部22とは、配置の向きが異なる点を除き、実施的に同じ構成を具えている。複数の第1突起部21は、タイヤ周方向に一定のピッチで配置されている。同様に、複数の第2突起部22は、タイヤ周方向に一定のピッチで配置されている。
【0029】
1つの突起部20のタイヤ軸方向の最大の幅W3は、例えば、第1クラウン周方向溝7の最大の溝幅W2の30%~70%である。本実施形態のように、第1クラウン周方向溝7内に第1突起部21及び第2突起部22が構成されている場合、1つの突起部20の前記幅W3は、前記溝幅W2の30%~50%であり、望ましくは40%~50%とされる。
【0030】
1つの突起部20の前記長さL3は、例えば、突起部20のタイヤ周方向のピッチP1の40%~60%である。また、1つの突起部20のタイヤ周方向の長さL3は、例えば、突起部20の前記幅W3の2.0~4.0倍である。このような突起部20は、タイヤ周方向に十分な剛性を有し、雪上走行時、第1クラウン周方向溝7内の雪柱をせん断するときに大きな反力を提供できる。但し、突起部20は、このような態様に限定されるものではない。
【0031】
図4には、第1クラウン周方向溝7の長手方向に沿った突起部20の拡大断面図が示されている。図4に示されるように、突起部20のタイヤ半径方向の最大の高さh1は、例えば、第1クラウン周方向溝7の最大の深さd1の20%以下であり、望ましくは前記深さd1の10%~20%である。このような突起部20は、第1クラウン周方向溝7の排水性を維持しつつ、上述の効果を発揮することができる。
【0032】
突起部20は、タイヤ周方向の一方側を向いてタイヤ半径方向に延びる第1面31と、第1面31とは反対側に配された第2面32とを含む。第1面31のタイヤ半径方向に対する角度θ1は、例えば、15°以下であり、望ましくは10°以下である。第2面32は、例えば、第1面31と稜線35を介して連なっており、前記稜線35から第1クラウン周方向溝7の溝底部7dに向かって緩やかに傾斜して延びている。本実施形態の第2面32は、例えば、タイヤ半径方向外側に向かって凸となる向きに僅かに湾曲しているが、平面状に構成されるものでも良い。なお、本明細書において、「稜線」とは、延在方向の異なる2つの面が連なって形成される接続部分であって、長手方向を有するものを意味する。また、本明細書において、「稜線」は、その横断面において微小な湾曲面を構成して、実質的な幅を有するものも含む。
【0033】
第2面32は、タイヤ半径方向に対する角度が第1面31よりも大きい。第2面32の前記溝底部7d側の外端における、第2面32のタイヤ半径方向に対する角度θ2は、例えば、70°以上であり、望ましくは78~86°である。このような第1面31及び第2面32を含む突起部20は、雪上走行時、第1面31が雪柱を押し退けるときに大きな反力を発揮できる。
【0034】
図2に示されるように、トレッド平面視において、テーパ部23は、タイヤ周方向に沿って延びる第1側面33と、タイヤ周方向に対して第1側面33よりも大きい角度で傾斜した第2側面34との間で形成されている。なお、第1側面33及び第2側面34は、例えば、第2面32と稜線を介して連なり、前記稜線からタイヤ半径方向に延びている。また、第1側面33及び第2側面34は、第1面31とタイヤ半径方向に延びる稜線を介して連なっている。本実施形態では、第1側面33が第2側面34よりも第1クラウン周方向溝7の溝中心線側に設けられている。これにより、第1面31の前記溝中心線側の領域がタイヤ周方向に変形し難くなり、上述の効果がより一層向上し得る。
【0035】
トレッド平面視における第1側面33と第2側面34との間の角度θ3は、例えば、30°以下であり、望ましくは15~25°である。このような角度で配された第1側面33及び第2側面34は、雪上性能の向上に加え、ウェット性能及びノイズ性能をバランス良く高めるのに役立つ。なお、前記角度θ3は、例えば、第1側面33と第2面32との間で構成される稜線と、第2側面34と第2面32との間で構成される稜線との間の最大の角度として定義される。
【0036】
図3に示されるように、第1突起部21と第2突起部22とは、タイヤ周方向の向きが逆となっている。これにより、複数の第1突起部21のそれぞれのテーパ部23の幅は、タイヤ周方向の第1の側R1に向かって小さくなっている。したがって、第1突起部21の第1面31は、タイヤ周方向の第1の側R1とは反対の第2の側R2を向いている。第1突起部21の第2面32は、第1面31の前記第1の側R1に連なっている。
【0037】
一方、複数の第2突起部22のそれぞれのテーパ部23の幅は、前記第2の側R2に向かって小さくなっている。したがって、第2突起部22の第1面31は、前記第1の側R1を向いている。第2突起部22の第2面32は、第1面31の前記第2の側R2に連なっている。このような第1突起部21及び第2突起部22の配置により、雪上走行時、突起部20が第1クラウン周方向溝7内で押し固められた雪柱をタイヤ周方向にせん断する場合において、第1突起部21がタイヤ周方向の一方側に大きな反力を提供でき、かつ、第2突起部22がタイヤ周方向の他方側に大きな反力を提供できる。したがって、雪上でのトラクション性能及びブレーキ性能がバランス良く向上する。
【0038】
望ましい態様では、第1突起部21と第2突起部22とがタイヤ周方向に位置ずれしているのが望ましい。具体的には、図2に示されるように、トレッド平面視において、第1突起部21をタイヤ軸方向に平行に延長した仮想領域と、第2突起部22との重複長さが、第2突起部22のタイヤ周方向の長さの20%以下、より望ましくは10%以下であり、さらに望ましい態様では、前記仮想領域と第2突起部22とが重複しないのが望ましい。このような突起部20の配置は、雪上走行時、第1クラウン周方向溝7内に雪が詰まるのを抑制でき、優れた雪上性能を持続して発揮するのに役立つ。
【0039】
本実施形態では、第1クラウン周方向溝7のみに上述の突起部20が設けられている。すなわち、第2クラウン周方向溝8(図1に示す)の溝底部は、上述の突起部20が設けられていない平坦状であるのが望ましい。同様に、第1ショルダー周方向溝5及び第2ショルダー周方向溝6(図1に示す)の溝底部は、上述の突起部20が設けられていない平坦状であるのが望ましい。これにより、ウェット性能が向上し得る。但し、本開示は、このような態様に限定されるものではなく、雪上性能をより一層向上させる観点から、第1クラウン周方向溝7以外の周方向溝3に、上述の突起部20が設けられても構わない。
【0040】
図2に示されるように、クラウン陸部15には、排水溝が設けられていない。排水溝は、実質的な排水作用を提供できる溝であり、踏面での開口幅が2.0mmを超え、かつ、2つの溝壁間の距離が2.0mmを超える領域の深さ(タイヤ半径方向の長さ)が2.0mmを超えるものを意味する。一方、クラウン陸部15には、サイプ25が設けられている。
【0041】
本明細書において、「サイプ」とは、小さな幅を有する溝状体(長手方向を有する凹部であり、溝及びサイプを含むものとする。)であって、その本体部において、2つの内壁の間の幅が1.5mm以下であるものを意味する。また、前記本体部は、2つの内壁が互いに略平行にタイヤ半径方向に延びる部分を意味する。望ましい態様では、サイプの本体部の幅は、例えば、0.5~1.0mmである。後述されるように、サイプは、面取り部を含むものでも良い。また、サイプは、底部において幅が拡大した所謂フラスコ底を備えるものでも良い。
【0042】
本実施形態では、クラウン陸部15に排水溝が設けられていないことにより、クラウン陸部15が高い剛性を有する。また、突起部20が設けられた周方向溝に、このようなクラウン陸部15が隣接していることにより、雪上走行時、突起部20の周辺の雪をより強く押し固めることができ、突起部20がより大きな反力を提供することができる。一方、クラウン陸部15には、サイプ25が設けられているため、これらのサイプ25が雪上性能を向上させる。
【0043】
クラウン陸部15に設けられたサイプ25(以下、クラウンサイプ25という場合がある)は、例えば、第1クラウンサイプ26、第2クラウンサイプ27、第3クラウンサイプ28及び第4クラウンサイプ29を含む。
【0044】
図5には、図2の第1クラウンサイプ26、第2クラウンサイプ27、第3クラウンサイプ28及び第4クラウンサイプ29の拡大図が示されている。図5に示されるように、第1クラウンサイプ26及び第2クラウンサイプ27は、第1クラウン周方向溝7(図2に示す)に連通し、かつ、クラウン陸部15の踏面内に途切れ端を有している。第3クラウンサイプ28及び第4クラウンサイプ29は、例えば、第2クラウン周方向溝8(図2に示す)に連通し、かつ、クラウン陸部15の踏面内に途切れ端を有している。このようなクラウンサイプ25は、クラウン陸部15の剛性を維持しつつ、雪上路面で摩擦力を提供できる。したがって、操縦安定性と雪上性能とがバランス良く向上する。
【0045】
図5には、クラウンサイプ25の断面を示す図として、図5のA-A線断面図が示されている。図5に示されるように、クラウンサイプ25は、面取り部38が形成されて踏面15sで開口している。面取り部38は、踏面とサイプ壁との間を切り欠いた傾斜面38sを含む。本実施形態の傾斜面38sは、タイヤ半径方向外側に凸となる向きに僅かに湾曲している。傾斜面38sは、例えば、平面状でも良い。このような面取り部38は、陸部の踏面に作用する接地圧を均一化し、操縦安定性及び耐偏摩耗性能を向上させるのに役立つ。
【0046】
図5に示されるように、第1クラウンサイプ26の面取り部38の面取り幅は、途切れ端26aに向かって小さくなっているのが望ましい。同様に、第3クラウンサイプ28の面取り部38の面取り幅は、途切れ端28aに向かって小さくなっているのが望ましい。このような第1クラウンサイプ26及び第3クラウンサイプ28は、クラウン陸部15の中央部の接地面積を十分に確保でき、操縦安定性を確実に維持することができる。なお、本実施形態の第1クラウンサイプ26は、途切れ端26aにおいて面取り部が実質的に消失しているが、このような態様に限定されるものではなく、途切れ端26aにおいて面取り部38が残存するものでも良い。第3クラウンサイプ28も同様である。また、面取り幅は、トレッド平面視における、面取り部の開口幅である。前記開口幅は、サイプ長手方向と直交する向きの幅を意味する。
【0047】
第2クラウンサイプ27及び第4クラウンサイプ29は、開口部分の全体に面取り部が形成されているのが望ましい。第2クラウンサイプ27の面取り部38の面取り幅は、第2クラウンサイプ27の長手方向に一定であるのが望ましい。同様に、第4クラウンサイプ29の面取り部38の面取り幅は、第4クラウンサイプ29の長手方向に一定であるのが望ましい。また、第4クラウンサイプ29の面取り部38の面取り幅は、第2クラウンサイプ27の面取り部38の面取り幅の80%~120%であり、本実施形態ではこれらが実質的に同一とされる。このような第2クラウンサイプ27及び第4クラウンサイプ29は、クラウン陸部15の偏摩耗を抑制するのに役立つ。
【0048】
図2に示されるように、トレッド平面視において、突起部20の少なくとも1つ(本実施形態では、第1突起部21である)は、第1クラウンサイプ26の第1クラウン周方向溝7側の端部をタイヤ軸方向に平行に延長した領域36(図2では、ドットが施されている。)の少なくとも一部と重複するのが望ましい。さらに望ましい態様として、本実施形態では、トレッド平面視において、第1突起部21が前記領域36を跨るように重複している。これにより、第1突起部21が第1クラウンサイプ26周辺の剛性を高めることができ、操縦安定性が向上する。
【0049】
同様の観点から、トレッド平面視において、突起部20の少なくとも1つ(本実施形態では、第2突起部22である)は、第2クラウンサイプ27の第1クラウン周方向溝7側の端部をタイヤ軸方向に平行に延長した領域37(図2では、ドットが施されている。)の少なくとも一部と重複するのが望ましい。
【0050】
本実施形態では、第1突起部21と第2突起部22とがタイヤ周方向に位置ずれしていることにより、トレッド平面視において、前記領域36は、第1突起部21と重複しているが、第2突起部22とは重複していない。同様に、前記領域37は、第2突起部22と重複しているが、第1突起部21とは重複していない。これにより、ウェット性能を維持しつつ、操縦安定性の向上が期待できる。
【0051】
図5に示されるように、これらのクラウンサイプ25は、タイヤ軸方向に対して同じ向きに傾斜している。クラウンサイプ25のタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、10~50°であり、望ましくは20~40°である。なお、本明細書において、サイプの角度及び長さは、サイプの中心線で測定されるものとする。
【0052】
第1クラウンサイプ26のタイヤ軸方向の長さL4は、第4クラウンサイプ29の前記長さL7よりも小さく、かつ、第2クラウンサイプ27の前記長さL5よりも小さい。また、第1クラウンサイプ26の途切れ端26aは、第3クラウンサイプ28の途切れ端28aよりも第1クラウン周方向溝7側(図6では左側)に位置している。より望ましい態様では、第1クラウンサイプ26の途切れ端26aは、第4クラウンサイプ29の途切れ端29aよりも第2クラウン周方向溝8の側(図6では右側)に位置している。第1クラウンサイプ26の前記長さL4は、クラウン陸部15の踏面15sのタイヤ軸方向の幅W4の25%~45%である。このような第1クラウンサイプ26は、操縦安定性と、雪上性能及びウェット性能とをバランス良く高めるのに役立つ。
【0053】
第2クラウンサイプ27のタイヤ軸方向の長さL5は、例えば、クラウン陸部15の踏面15sのタイヤ軸方向の幅W4の40%~60%である。
【0054】
第3クラウンサイプ28のタイヤ軸方向の長さL6は、例えば、第4クラウンサイプ29の前記長さL7よりも小さく、かつ、第2クラウンサイプ27の前記長さL5よりも小さい。具体的には、第3クラウンサイプ28の前記長さL6は、クラウン陸部15の踏面15sの前記幅W4の25%~45%である。
【0055】
第4クラウンサイプ29は、クラウン陸部15の踏面15sのタイヤ軸方向の中心位置を横切っているのが望ましい。第4クラウンサイプ29の途切れ端29aは、第2クラウンサイプ27の途切れ端27aよりも第1クラウン周方向溝7の側に位置している。第4クラウンサイプ29のタイヤ軸方向の長さL7は、第2クラウンサイプ27のタイヤ軸方向の長さL5よりも大きいのが望ましい。具体的には、第4クラウンサイプ29の前記長さL7は、クラウン陸部15の踏面15sの前記幅W4の65%~85%である。このような第4クラウンサイプ29は、操縦安定性を維持しつつ、雪上性能及びウェット性能を高めることができる。
【0056】
図2に示されるように、第1突起部21の第1面31のタイヤ軸方向の中心位置から第4クラウンサイプ29の途切れ端29a(図5に示す)までのタイヤ半径方向の距離L9は、複数の突起部20のピッチP1の15%~30%である。このような第4クラウンサイプ29の配置により、第1面31周辺の陸部分が適度に変形し易くなる。これにより、第1面31の周辺において雪が詰まり難くなり、優れた雪上性能が持続して発揮される。
【0057】
第1ミドル陸部13に複数のミドル横溝40が設けられている。ミドル横溝40は、例えば、第1ミドル陸部13をタイヤ軸方向に完全に横断している。
【0058】
トレッド平面視において、突起部20の少なくとも1つ(本実施形態では第1突起部21である。)は、ミドル横溝40の第1クラウン周方向溝7側の端部40aをタイヤ軸方向に平行に延長した領域と重複しているのが望ましい。このような突起部20及びミドル横溝40の位置関係により、突起部20によって流れが阻害された空気は、ミドル横溝40側に流れ易くなる。このような作用は、第1クラウン周方向溝7の気柱共鳴音を低減させ、ノイズ性能を高めるのに役立つ。
【0059】
ミドル横溝40の前記端部40aと第2突起部22の第1面31とは、比較的近い位置に設けられているのが望ましい。具体的には、前記端部40aの溝中心から前記第1面31のタイヤ軸方向の中心までのタイヤ周方向の距離L10は、例えば、突起部20のピッチP1の30%以下であり、望ましくは15%以下である。これにより、ミドル横溝40付近の偏摩耗が抑制される。一方、ミドル横溝40の排水性を確保する観点から、前記距離L10は、ミドル横溝40の前記端部40aでの溝幅の30%以上であるのが望ましい。
【0060】
ミドル横溝40は、第1溝部46、第2溝部47及び縦溝部48を含んでいる。第1溝部46は、第1ショルダー周方向溝5からタイヤ軸方向に延びている。第2溝部47は、第1クラウン周方向溝7からタイヤ軸方向に延びている。第1溝部46のタイヤ軸方向に対する角度、及び、第2溝部47のタイヤ軸方向に対する角度は、それぞれ、10~50°であり、望ましくは20~40°である。縦溝部48は、第1溝部46及び第2溝部47に連通し、タイヤ周方向に延びている。縦溝部48のタイヤ周方向に対する角度は、例えば、10°以下であり、望ましくは5°以下である。このようなミドル横溝40は、雪上でのトラクション性能及び旋回性能を高めるのに役立つ。
【0061】
本実施形態では、第1溝部46の断面形状と第2溝部47の断面形状とが相違している。図7には、第1溝部46の断面図として、図2のB-B線断面図が示されている。また、図8には、第2溝部47の断面図として、図2のC-C線断面図が示されている。図7及び図8に示されるように、第1溝部46及び第2溝部47は、それぞれ、面取り部50が形成されて開口しているのが望ましい。面取り部50は、陸部の踏面と溝壁との間を切り欠いた傾斜面50sを含む。本実施形態の傾斜面50sは、タイヤ半径方向外側に凸となる向きに僅かに湾曲している。傾斜面50sは、例えば、平面状でも良い。このような面取り部50は、踏面13sに作用する接地圧を均一化し、耐偏摩耗性能を高めるのに役立つ。
【0062】
第1溝部46の深さd2(後述する溝底サイプ55を除いた深さである)は、第1クラウン周方向溝7の最大の深さの40%~60%である。第2溝部47の深さd3は、例えば、第1クラウン周方向溝7の最大の深さの60%~80%である。このような第1溝部46及び第2溝部47を有するミドル横溝40は、操縦安定性及び雪上性能をバランス良く高めるのに役立つ。
【0063】
第1溝部46は、溝底部46dで開口してタイヤ半径方向に延びる溝底サイプ55が連なっている。このような溝底サイプ55は、第1溝部46を適度に開き易くし、雪上性能を高めるのに役立つ。
【0064】
図2に示されるように、本実施形態のミドル横溝40は、第1溝部46及び第2溝部47が上述の形状を有する第1ミドル横溝41と、第1溝部46及び第2溝部47の構成が第1ミドル横溝41とは異なる第2ミドル横溝42とを含む。第2ミドル横溝42の第1溝部46は、図8で示される断面形状で構成されており、第2ミドル横溝42の第2溝部47は、図7で示される断面形状で構成されている。また、本実施形態では、第1ミドル横溝41と第2ミドル横溝42とがタイヤ周方向に交互に設けられている。このようなミドル横溝40の配置により、第1ミドル陸部13の剛性が均一化し、耐偏摩耗性能が向上する。
【0065】
第1ミドル陸部13には、複数の第1ミドルサイプ51、複数の第2ミドルサイプ52及び複数の縦サイプ53が設けられている。第1ミドルサイプ51は、第1ショルダー周方向溝5からタイヤ軸方向に延び、かつ、第1ミドル陸部13の踏面内に途切れ端51aを有している。第2ミドルサイプ52は、第1クラウン周方向溝7からタイヤ軸方向に延び、かつ、第1ミドル陸部13の踏面内に途切れ端52aを有している。縦サイプ53は、第1ミドルサイプ51の途切れ端51aから、第1ミドル横溝41の縦溝部48を横切って、第2ミドルサイプ52の途切れ端52aまで延びている。このような各種サイプは、操縦安定性を維持しつつ、雪上でのトラクション性能及び旋回性能を高めることができる。
【0066】
第1ミドルサイプ51及び第2ミドルサイプ52は、面取り部58が形成されて踏面で開口している。第1ミドルサイプ51及び第2ミドルサイプ52の面取り部58の面取り幅は、縦サイプ53側に向かって小さくなっているのが望ましい。これにより、第1ミドル陸部13の中央部の接地面積が確保され、操縦安定性を維持することができる。
【0067】
トレッド平面視において、突起部20の少なくとも1つ(本実施形態では、第2突起部22である)は、第2ミドルサイプ52の第1クラウン周方向溝7側の端部をタイヤ軸方向に平行に延長した領域の少なくとも一部と重複するのが望ましい。このような第2ミドルサイプ52の配置は、操縦安定性及び耐偏摩耗性能を高めるのに役立つ。
【0068】
以上、本開示の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本開示は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
【0069】
[付記]
本開示は以下の態様を含む。
【0070】
[本開示1]
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ周方向に連続して延びる少なくとも1本の周方向溝を含み、
前記周方向溝の溝底部には、タイヤ半径方向に突出する複数の突起部が形成されており、
前記複数の突起部のそれぞれは、タイヤ軸方向の幅と、前記幅よりも大きいタイヤ周方向の長さとを有する縦長状であり、
前記複数の突起部のそれぞれは、前記幅がタイヤ周方向の一方側に向かって小さくなっているテーパ部を含む、
タイヤ。
[本開示2]
前記周方向溝は、第1溝壁と、第2溝壁とを含み、
前記突起部は、前記第1溝壁側に配列された複数の第1突起部と、前記第2溝壁側に配列された複数の第2突起部とを含み、
前記複数の第1突起部のそれぞれの前記テーパ部の前記幅は、タイヤ周方向の第1の側に向かって小さくなっており、
前記複数の第2突起部のそれぞれの前記テーパ部の前記幅は、タイヤ周方向の前記第1の側とは反対の第2の側に向かって小さくなっている、本開示1に記載のタイヤ。
[本開示3]
トレッド平面視において、前記テーパ部は、タイヤ周方向に沿って延びる第1側面と、タイヤ周方向に対して前記第1側面よりも大きい角度で傾斜した第2側面との間で形成される、本開示2に記載のタイヤ。
[本開示4]
前記第1側面は、前記第2側面よりも前記周方向溝の溝中心線側に設けられている、本開示3に記載のタイヤ。
[本開示5]
前記複数の突起部は、タイヤ周方向に一定のピッチで配置されており、
前記複数の突起部のそれぞれの前記長さは、前記ピッチの45%~50%である、本開示1ないし4のいずれかに記載のタイヤ。
[本開示6]
前記突起部のそれぞれのタイヤ半径方向の最大の高さは、前記周方向溝の最大の深さの20%以下である、本開示1ないし5のいずれかに記載のタイヤ。
[本開示7]
トレッド平面視において、前記テーパ部は、タイヤ周方向に沿って延びる第1側面と、タイヤ周方向に対して前記第1側面よりも大きい角度で傾斜した第2側面との間で形成されており、
前記第1側面と前記第2側面との間の角度は、30°以下である、本開示1ないし6のいずれか1項に記載のタイヤ。
【符号の説明】
【0071】
2 トレッド部
3 周方向溝
20 突起部
23 テーパ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8