(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124172
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20230830BHJP
G06Q 20/18 20120101ALI20230830BHJP
G06F 21/34 20130101ALI20230830BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q20/18
G06F21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027780
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 治
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA39
5L055AA73
(57)【要約】 (修正有)
【課題】顧客データを基に行う本人認証の精度を向上することが可能な、新規、かつ、改良された情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】金融機関ホストが、専用網を介して複数の現金処理装置と通信することにより、各種取引を制御する現金処理システムにおいて、情報処理装置である現金処理装置20は、第1の媒体に紐付く第1の顧客データ及び第2の媒体に紐付く第2の顧客データを取得するデータ取得部(カード読取部220、通帳読取部230)と、第1の顧客データと第2の顧客データの共通性の判断を含む認証を行う認証部240と、を備えることによって、本人認証の精度を向上させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の媒体に紐付く第1の顧客データ、および第2の媒体に紐付く第2の顧客データを取得するデータ取得部と、
前記第1の顧客データと前記第2の顧客データの共通性の判断を含む認証を行う認証部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の媒体および前記第2の媒体は、互いに異なる口座に対応する取引用の媒体である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の顧客データおよび前記第2の顧客データは氏名情報を含み、
前記共通性の判断は、前記第1の顧客データに含まれる氏名情報と前記第2の顧客データに含まれる氏名情報が一致するか否かの判断である、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、入力部をさらに備え、
前記入力部には、操作者により暗証番号が入力され、
前記認証部が行う認証は、前記入力部に入力された暗証番号が正しいか否かの判断を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記認証部での認証結果に基づき、現金処理を制御する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、
前記第1の媒体および前記第2の媒体が挿入される挿入口と、
前記挿入口への前記第1の媒体の挿入を誘導する画面、および前記挿入口への前記第2の媒体の挿入を誘導する画面を順次に表示する表示部と、
をさらに備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、通知部をさらに備え、
前記通知部は、前記認証部での認証結果に基づき外部に通知を行う、
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1の顧客データは、前記共通性の判断を含む認証が有効であるか否かを示す情報を含み、
前記制御部は、前記情報が前記共通性の判断を含む認証が有効であることを示す場合に、前記共通性の判断を含む認証を前記認証部に行わせ、認証結果に基づき前記第1の媒体に対応する口座への入金または当該口座からの出金を伴う現金処理を制御する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
第1の媒体に紐付く第1の顧客データ、および第2の媒体に紐付く第2の顧客データを取得することと、
前記第1の顧客データと前記第2の顧客データの共通性の判断を含む認証を行うことと、
を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
第1の媒体に紐付く第1の顧客データ、および第2の媒体に紐付く第2の顧客データを取得するデータ取得部と、
前記第1の顧客データと前記第2の顧客データの共通性の判断を含む認証を行う認証部と、
として機能させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融口座に紐づくキャッシュカードやクレジットカードを騙し取られ、不正に利用される被害が多発し、社会的に問題になっている。こうしたキャッシュカードやクレジットカードの不正利用による被害を抑制するために、様々な技術の開発がされている。例えば、特許文献1には、キャッシュカードを用いたデビットカードサービスにおいて、普通預金口座とは別に購買専用口座を設けることで、普通預金口座の暗証番号を決済端末に入力せずに支払を行なうことを可能とし、安全性を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来は本人認証の精度が不十分であり、それに伴う弊害も生じていた。例えば、従来の現金処理機においては、キャッシュカードや通帳の現物を保持し、その暗証番号さえ知っていれば誰でも現金の引き出しが可能である。すなわち、キャッシュカード等を騙し取られ、暗証番号が知られてしまえば、本人以外の第三者でも現金の引き出しが可能である。したがって、キャッシュカードの不正利用を防ぐためには、現金処理機における本人認証の精度の向上が望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、顧客データを基に行う本人認証の精度を向上することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の媒体に紐付く第1の顧客データ、および第2の媒体に紐付く第2の顧客データを取得するデータ取得部と、前記第1の顧客データと前記第2の顧客データの共通性の判断を含む認証を行う認証部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0007】
前記第1の媒体および前記第2の媒体は、互いに異なる口座に対応する取引用の媒体であってもよい。
【0008】
前記第1の顧客データおよび前記第2の顧客データは氏名情報を含み、前記共通性の判断は、前記第1の顧客データに含まれる氏名情報と前記第2の顧客データに含まれる氏名情報が一致するか否かの判断であってもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、入力部をさらに備え、前記入力部には、操作者により暗証番号が入力され、前記認証部が行う認証は、前記入力部に入力された暗証番号が正しいか否かの判断を含んでもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、制御部をさらに備え、前記制御部は、前記認証部での認証結果に基づき、現金処理を制御してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記第1の媒体および前記第2の媒体が挿入される挿入口と、前記挿入口への前記第1の媒体の挿入を誘導する画面、および前記挿入口への前記第2の媒体の挿入を誘導する画面を順次に表示する表示部と、さらに備えてもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、通知部をさらに備え、前記通知部は、前記認証部での認証結果に基づき外部に通知を行ってもよい。
【0013】
前記第1の顧客データは、前記共通性の判断を含む認証が有効であるか否かを示す情報を含み、前記制御部は、前記情報が前記共通性の判断を含む認証が有効であることを示す場合に、前記共通性の判断を含む認証を前記認証部に行わせ、認証結果に基づき前記第1の媒体に対応する口座への入金または当該口座からの出金を伴う現金処理を制御してもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、第1の媒体に紐付く第1の顧客データ、および第2の媒体に紐付く第2の顧客データを取得することと、前記第1の顧客データと前記第2の顧客データの共通性の判断を含む認証を行うことと、を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、コンピュータを、第1の媒体に紐付く第1の顧客データ、および第2の媒体に紐付く第2の顧客データを取得するデータ取得部と、前記第1の顧客データと前記第2の顧客データの共通性の判断を含む認証を行う認証部と、として機能させるための、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した本発明によれば、顧客データを基に行う本人認証の精度を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による現金処理システムの構成を示した説明図である。
【
図2】現金処理装置20の内部構成を示す説明図である。
【
図3】本発明の実施形態による現金処理装置20の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】第1の変形例による現金処理装置20の動作を示すフローチャートである。
【
図5】金融機関ホスト10が有するデータベースに含まれる情報の具体例を示す説明図である。
【
図6】第2の変形例による現金処理装置20の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
【0020】
<0.現金処理システムの概要>
本発明の実施形態は、顧客データを基に本人認証を行う多様な情報処理装置に適用され得る。多様な情報処理装置として、例えば、金融機関において用いられる現金処理装置、企業において用いられる入退室管理装置および小売店において用いられる決済端末などが挙げられる。本明細書では、主に本発明の実施形態が金融機関において用いられる現金処理装置に適用される例を説明するが、本発明の実施形態の適用先が金融機関において用いられる現金処理装置に限定されないことは上述した通りである。以下では、まず、本発明の実施形態における、金融機関において用いられる現金処理装置の概要を説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態による現金処理システムの構成を示した説明図である。
図1に示したように、現金処理システムは、現金処理装置20、金融機関ホスト10および外部端末13を備える。
【0022】
現金処理装置20は、金融機関の顧客による操作に基づいて金銭の取引を実行する顧客操作型端末である。この現金処理装置20は、金融機関の営業店、コンビニエンスストア、駅構内、ホテル、ショッピングセンター、病院、アミューズメントパーク、飲食店、オフィスビルディングなどの多様な施設に設置される。
【0023】
また、現金処理装置20は、操作表示部22、通帳挿入口24、カード挿入口26、レシート排出口27、紙幣口28および硬貨口29を備える。
【0024】
操作表示部22は、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部の機能および顧客による操作を検出する操作検出機能を兼ね備える。表示部の機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、操作検出機能は例えばタッチパネルにより実現され、顧客により情報が入力される入力部の機能が含まれてもよい。なお、
図1においては表示部の機能および操作検出機能が現金処理装置20において一体的に構成される例を示しているが、表示部の機能および操作検出機能は分離して構成されてもよい。
【0025】
通帳挿入口24は顧客の通帳を挿入および排出するための開口部である。カード挿入口26は、顧客のキャッシュカードを挿入および排出するための開口部である。また、レシート排出口27は、取引の明細情報が印字されたレシートを排出するための開口部である。紙幣口28は、顧客による紙幣の入金口、および顧客への紙幣の出金口としての機能を有する。硬貨口29は、顧客による硬貨の入金口、および顧客への硬貨の出金口としての機能を有する。
【0026】
専用網12は、金融機関のネットワークであり、例えばIP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)により構成される。現金処理装置20は、この専用網12を介して金融機関ホスト10および外部端末13と通信することができる。
【0027】
金融機関ホスト10は、専用網12を介して現金処理装置20と通信することにより、各種取引を制御する。例えば、金融機関ホスト10は、現金処理装置20において顧客により指示された預入や振込などの金銭取引(勘定の取引処理)を実行する。なお、金融機関ホスト10は、口座番号、暗証番号、氏名、住所、年齢、生年月日、電話番号、職業、家族構成、年収および預金残高などの情報(口座の元帳)が格納されたデータベースを有し得る。
【0028】
外部端末13は、専用網12を介して現金処理装置20と通信を行う、現金処理機の外部に設置される端末である。例えば、外部端末13は、金融機関の営業店に設置され、当該営業店の行員によって操作される端末であってもよい。外部端末13は、専用網12を介して現金処理装置20で行われた操作に関する情報を受信する。例えば、外部端末13は、現金処理装置20において顧客により指示された引出、預入や振込などの金銭取引の内容を取得することが可能である。
【0029】
<1.現金処理装置の内部構成>
以上、本発明の実施形態による現金処理システムの概要を説明した。続いて、現金処理装置20の内部構成を説明する。
【0030】
図2は、現金処理装置20の内部構成を示す説明図である。
図2に示したように、現金処理装置20は、操作表示部22と、インタフェース部210と、カード読取部220と、通帳読取部230と、認証部240と、紙幣入出金部250と、硬貨入出金部260と、記憶部270と、制御部280と、を備える。
【0031】
操作表示部22は、
図1を参照して説明したように、顧客による操作の誘導画面を表示する表示部の機能および顧客による操作を検出する操作検出機能を兼ね備える。操作表示部22は、カード挿入口26または通帳挿入口24へのカードまたは通帳の挿入を誘導する画面を表示してもよい。また、操作表示部22が有する操作検出機能には、顧客により情報が入力される入力部の機能が含まれてもよい。なお、操作検出機能を実現する方式は、抵抗膜方式または赤外線方式であってもよい。
【0032】
インタフェース部210は、専用網12を介して金融機関ホスト10および外部端末13と各種情報を送受信する。例えば、インタフェース部210は、顧客のカード読取部220によりキャッシュカードから読み取られた口座番号を示す情報、または通帳読取部230により通帳から読み取られた口座番号を示す情報を金融機関ホスト10に送信し、当該口座番号に対応する情報を金融機関ホスト10から受信する。また、インタフェース部210は、取引を実行するための情報(取引種別、取引金額など)を金融機関ホスト10と通信する。そして、インタフェース部210は、現金処理装置20における取引に関する内容(顧客データや取引金額など)を外部端末13に通知する通知部の機能を有する。
【0033】
カード読取部220は、カード挿入口26から挿入された顧客のキャッシュカードに記録された磁気情報を読み取る。磁気情報は、例えば、氏名情報、口座番号、および口座種別などを示す顧客データを含んでもよい。この場合、カード読取部220は、キャッシュカードから顧客データを取得するデータ取得部として機能し得る。
【0034】
通帳読取部230は、通帳挿入口24から挿入された顧客の通帳のカバー紙に形成された磁気ストライプに記録された磁気情報を読み取る。磁気情報は、例えば、氏名情報、口座番号および口座種別などを示す顧客データを含んでもよい。この場合、通帳読取部230は、通帳から顧客データを取得するデータ取得部として機能し得る。通帳読取部230は、ページ送り部および印字部を有してもよい。通帳読取部230は、ページ送り部および印字部により、通帳挿入口24から挿入された通帳に記帳を行うことが可能である。ページ送り部は通帳の記入ページを開き、印字部は通帳の記入ページに取引情報を印字する。
【0035】
認証部240は、データ取得部によって取得された顧客データに基づいて顧客の認証を行う。認証部240が行う認証は、複数の判断を含んでもよい。当該複数の判断は、操作表示部22に入力された暗証番号が正しいか否かの判断を含んでもよい。当該判断は、具体的には、操作表示部22に入力された暗証番号が正しいことを示す判断結果が金融機関ホスト10からインタフェース部210により受信されたか否かの判断であってもよい。金融機関ホスト10における暗証番号が正しいか否かの判断方法を以下に説明する。
【0036】
金融機関ホスト10は、インタフェース部210から、カード読取部220または通帳読取部230によって取得された顧客データおよび顧客によって操作表示部22に入力された暗証番号を受信する。金融機関ホスト10は、自身が有するデータベースに含まれる、インタフェース部210から受信した顧客データに含まれる口座番号に対応する情報を参照し、当該口座番号に対応する暗証番号を特定する。そして、当該口座番号に対応する暗証番号と顧客によって入力された暗証番号が一致するか否かの判断を行う。金融機関ホスト10は、当該判断の結果をインタフェース部210に送信する。
【0037】
さらに、認証部240が行う認証は、データ取得部によって取得された互いに異なる口座に対応する取引用の2つの媒体に紐づく顧客データの共通性の判断を含んでもよい。例えば、認証部240は、データ取得部により2つの取引用のカードから取得された氏名情報を含む顧客データを参照し、2つの氏名情報が一致するか否かの判断を行う。氏名情報は共通性の判断に用いられる情報の一例であり、共通性の判断に用いられる情報は、データ取得部によって取得された顧客データに含まれる他の情報であってもよい。共通性の判断に用いられる他の情報は、例えば、電話番号、住所または生年月日の情報でもよい。
【0038】
紙幣入出金部250は、紙幣の搬送路、紙幣カセットおよび紙幣の正当性を認識する機能などを有する。硬貨入出金部260は、硬貨の搬送路、硬貨カセットおよび硬貨の正当性を認識する機能などを有する。
【0039】
記憶部270は、現金処理装置20の動作のために用いられる各種情報を記憶する記憶媒体であり、ハードディスクまたはメモリにより構成される。例えば、記憶部270は、制御部280が操作表示部22、インタフェース部210、カード読取部220、通帳読取部230、認証部240、紙幣入出金部250および硬貨入出金部260などを制御するためのプログラムを記憶する。
【0040】
制御部280は、現金処理装置20の動作全般を制御する。例えば、制御部280は、操作表示部22、インタフェース部210、カード読取部220、通帳読取部230、認証部240、紙幣入出金部250および硬貨入出金部260の各々の動作を制御する。例えば、制御部280は、認証部240での認証結果に基づいて口座への入金または当該口座からの出金を伴う現金処理を制御する。
【0041】
<2.現金処理装置の動作>
以上、本発明の実施形態による現金処理装置20の構成を説明した。かかる現金処理装置20によれば、様々な動作が実現可能である。
【0042】
図3を参照して、現金処理装置20の動作例を説明する。
図3は、本発明の実施形態による現金処理装置20の動作例を示すフローチャートである。まず、操作表示部22は、カード挿入口26への自行のキャッシュカードの挿入を誘導する挿入誘導画面の表示を行う(S104)。そして、操作者によってカード挿入口26へ自行のキャッシュカードである第1の媒体の挿入が行われると(S108)、カード読取部220は、挿入された自行のキャッシュカードから顧客データである第1の顧客データを取得する(S112)。
【0043】
そして、操作表示部22は、操作者によって挿入された自行のキャッシュカードに対応する口座の暗証番号の入力を誘導する画面の表示を行う。操作者によって操作表示部22に暗証番号が入力されると(S116)、インタフェース部210は、カード読取部220で取得された第1の顧客データおよび操作表示部22に入力された暗証番号を金融機関ホスト10に送信する。金融機関ホスト10は、当該暗証番号が正しいか否かを第1の顧客データに基づいて判断し、判断結果を現金処理装置20に送信する。認証部240は、当該暗証番号が正しいことを示す判断結果が金融機関ホスト10からインタフェース部210により受信されたか否かの判断を行う(S120)。
【0044】
暗証番号が正しいことを示す判断結果が金融機関ホスト10からインタフェース部210により受信されなかったと認証部240により判断された場合、操作表示部22は、暗証番号の相違を示すメッセージを表示し(S124)、再度、自行のキャッシュカードに対応する口座の暗証番号の入力の誘導画面の表示を行う。認証部240および操作表示部22は、正しい暗証番号が入力されるまで、暗証番号の不一致の回数が所定回数に達するまで、または操作者により終了操作が行われるまで、上記の動作を繰り返す。
【0045】
暗証番号が正しいことを示す判断結果が金融機関ホスト10からインタフェース部210により受信されたと認証部240により判断された場合、制御部280は、自行のキャッシュカードをカード挿入口26から排出させる(S128)。
【0046】
続いて、操作表示部22は、カード挿入口26への他行のキャッシュカードの挿入を誘導する挿入誘導画面の表示を行う(S132)。そして、操作者によってカード挿入口26へ他行のキャッシュカードである第2の媒体の挿入が行われると(S136)、カード読取部220は、挿入された他行のキャッシュカードから顧客データである第2の顧客データを取得する(S140)。
【0047】
認証部240は、共通性の判断として、カード読取部220によって取得された第1の顧客データに含まれる氏名情報と、第2の顧客データに含まれる氏名情報が一致するか否かの判断を行う(S144)。第1の顧客データに含まれる氏名情報と、第2の顧客データに含まれる氏名情報が一致しない場合、制御部280は、他行のキャッシュカードをカード挿入口26から排出させる(S152)。
【0048】
第1の顧客データに含まれる氏名情報と、第2の顧客データに含まれる氏名情報が一致する場合、認証部240は認証を成功とする。そして、操作表示部22は、自行のキャッシュカードに対応する口座を用いて行う現金処理の選択画面や入力画面を表示させる。制御部280は、操作者によって選択および入力された現金処理を実行させる(S148)。
【0049】
そして、制御部280は、他行のキャッシュカードをカード挿入口26から排出させる(S152)。
【0050】
(作用効果)
上述した動作例によれば、認証部240は、第1の媒体に紐付く第1の顧客データと、第2の媒体に紐付く第2顧客データの共通性の判断を行い、本人認証を行う。顧客データに共通性を有する2つの媒体を保有する者は、媒体に紐づく口座の所有者本人である可能性が高い。そのため、共通性の判断を認証に含むことで、本人認証の精度を向上し、現金処理装置の安全性を高めることが可能である。
【0051】
また、上述した動作例によれば、第1の媒体と第2の媒体は、互いに異なる口座に対応する取引用のキャッシュカードである。各々の媒体に含まれる顧客データに共通性がない場合、第1の媒体を用いて取引を行おうとする操作者は、第1の媒体に紐づく口座の所有者本人でない第三者である可能性が高い。したがって、各々の媒体に含まれる顧客データに共通性がない場合に認証部240による認証を失敗とすることで、第三者によるキャッシュカードの不正利用を防ぐことが可能である。
【0052】
また、上述した動作例によれば、認証部240による認証に用いられる共通性の判断は、第1の顧客データに含まれる氏名情報と第2の顧客データに含まれる氏名情報が一致するか否かの判断である。氏名情報は、キャッシュカードまたは通帳の磁気情報を読み取ることで簡単に取得できる情報である。そのため、第1の顧客データに含まれる氏名情報と第2の顧客データに含まれる氏名情報が一致するか否かの判断が認証に含むことで、本人認証の精度の向上をより簡単に実現することが可能である。
【0053】
また、上述した動作例によれば、認証部240が行う認証には、操作者によって操作表示部22に入力された暗証番号が正しいか否かの判断を含む。当該暗証番号の正誤の判断と共通性の判断を含む2段階の認証を行うことで、本人認証の精度をさらに向上することが可能である。
【0054】
(補足)
ここまで、第1の媒体の一例として自行のキャッシュカードが用いられ、第2の媒体の一例として他行のキャッシュカードが用いられる例を説明したが、第1の媒体および第2の媒体には他の媒体が用いられてもよい。例えば、第1の媒体として自行の通帳が、第2の媒体として他行の通帳が用いられてもよい。第1の媒体および第2の媒体として通帳が用いられる場合には、第1の顧客データおよび第2の顧客データは通帳読取部230によって通帳から取得される。
【0055】
また、第1の媒体の種類と第2の媒体の種類が異なってもよい。例えば、第1の媒体は自行のキャッシュカードであり、第2の媒体は他行の通帳であってもよい。この場合、S128にて制御部280による第1の媒体の排出は行われなくてもよい。その際には、S152にて第1の媒体および第2の媒体が制御部280によって排出される。
【0056】
また、ここまで、第1の媒体に紐づく第1の顧客データを取得した後に第2の媒体に紐づく第2の顧客データを取得する例を説明したが、データの取得の順序が異なってもよい。以下、第2の顧客データを先に取得する例を説明する。
【0057】
まず、操作表示部22は、他行のキャッシュカードを挿入するよう誘導する画面を表示する。カード読取部220は、第2の媒体として他行のキャッシュカードから取得した第2の顧客データを記憶部270に記憶する。そして、操作表示部22は、他行のキャッシュカードの排出の後に自行のキャッシュカードを挿入するよう誘導する画面を表示し、カード読取部220は、第1の媒体として自行のキャッシュカードから第1の顧客データを取得する。そして、認証部240は記憶部270に記憶された第2の顧客データに含まれる氏名情報とカード読取部220で取得された第1の顧客データに含まれる氏名情報が一致するか否かを判断する。
【0058】
認証部240によって氏名情報が一致すると判断された場合に、操作表示部22は、操作者によって挿入されたキャッシュカードに対応する自行の口座の暗証番号の入力を誘導する画面の表示を行う。認証部240は、暗証番号が正しいことを示す判断結果が金融機関ホスト10からインタフェース部210により受信されたと判断された場合、認証を成功とする。そして、制御部280は、操作者によって指示された現金処理を実行させた後に自行のキャッシュカードを排出させる。
【0059】
また、ここまで、第1の媒体の一例として自行のキャッシュカードが用いられ、第2の媒体の一例として他行のキャッシュカードが用いられる例を説明したが、第2の媒体には、自行のキャッシュカードで、第1の媒体に対応する口座とは異なる口座に対応するキャッシュカードが用いられてもよい。
【0060】
また、ここまで、共通性の判断に用いられる第1の媒体に紐づく第1の顧客データおよび第2の媒体に紐づく第2の顧客データが、カード読取部220または通帳読取部230によってカードまたは通帳から取得される例を説明した。しかし、共通性の判断に用いられる第1の顧客データは、インタフェース部210によって受信された、金融機関ホスト10が有するデータベースに含まれる、第1の媒体に対応する情報でもよい。そして、第2の顧客データは、インタフェース部210によって受信された、第2の媒体に対応する口座を管理する他行の金融機関ホストが有するデータベースに含まれる、第2の媒体に対応する情報でもよい。すなわち、インタフェース部210が第1の顧客データおよび第2の顧客データを取得するデータ取得部として機能してもよい。また、共通性の判断に用いられる第1の顧客データおよび第2の顧客データは、第1の媒体および第2の媒体の表面に印字された顧客データを光学的に検出することで取得されても良い。
【0061】
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態による現金処理装置20の動作例を説明した。以下では、本発明の実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で本発明の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで本発明の実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、本発明の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、本発明の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0062】
(第1の変形例)
図4は、第1の変形例による現金処理装置20の動作を示すフローチャートである。S104~S140およびS148~S152の処理は
図3を参照して説明した通りである。
図4に示したように、S144にて認証部240により暗証番号が正しいことを示す判断結果が金融機関ホスト10からインタフェース部210により受信されなかったと判断された場合、インタフェース部210は、外部端末13に氏名情報が一致しない旨を通知する(S156)。外部端末13は、現金処理装置20からの通知を受信し(S160)、通知された内容を表示する(S164)。
【0063】
かかる構成によれば、外部端末13への通知内容を確認した者が、現金処理装置20を操作する人物に声かけを行うことが可能である。氏名情報が一致しないカードで認証を行おうとしている人物は、他人のキャッシュカードにより不正に現金取引を引き出す詐欺を働こうとしている可能性がある。そのため、例えば、金融機関の営業店に設置された外部端末13への通知内容を確認した行員が、現金処理装置20を操作する人物に声かけを行うことで、詐欺被害の防止や犯人確保に貢献できる可能性がある。
【0064】
(第2の変形例)
本発明の実施形態による現金処理装置20の動作例においては、他行のキャッシュカードの挿入をすべての操作者に対して誘導する例について説明したが、本変形例においては一定の操作者に対してのみ他行のキャッシュカードの挿入を誘導する例を説明する。
【0065】
図5は、金融機関ホスト10が有するデータベースに含まれる情報の具体例を示す説明図である。
図5に示すように、当該データベースは、口座番号に対応する情報として、暗証番号、氏名、電話番号、預金残高、および他行カード判断フラグを含む。
【0066】
他行カード判断フラグは、認証部240で行われる自行のキャッシュカードと他行のキャッシュカードに紐づく顧客データに含まれる氏名情報の一致の判断を含む認証が有効であるか否かを示す。他行カード判断フラグ「1」は、氏名情報の一致の判断を含む認証が有効であることを示し、他行カード判断フラグ「0」は、氏名情報の一致の判断を含む認証が有効でないことを示す。
【0067】
他行カード判断フラグは口座開設時に顧客の希望によって決定されて金融機関ホスト10が有するデータベースに反映されてもよいし、金融機関が定めた基準によって顧客毎に決められてもよい。
【0068】
図6は、第2の変形例による現金処理装置20の動作を示すフローチャートである。S104~S124の処理は
図3を用いて説明した通りである。
図6に示したように、S120にて認証部240により暗証番号が正しいことを示す判断結果が金融機関ホスト10からインタフェース部210により受信されたと判断された場合、制御部280は、インタフェース部210により金融機関ホスト10から取得された金融機関ホスト10が有するデータベースに含まれる第1の媒体に紐づく情報を参照し、他行カード判断フラグを確認する(S168)。
【0069】
他行カード判断フラグが1である場合、つまり氏名情報の一致の判断を含む認証が有効であることが示されている場合には、制御部280は、自行のキャッシュカードを排出させる(S128)。S128以降の処理は
図3を用いて説明した通りである。
【0070】
一方、S168にて確認された他行カード判断フラグが0である場合、つまり氏名情報の一致の判断を含む認証が有効でないことが示されている場合には、制御部280は、氏名情報の一致の判断は行なわず、認証部240は認証を成功とする。そして、制御部280は、操作表示部22で操作者に指示された現金処理を行わせる(S172)。そして、制御部280は、自行のキャッシュカードをカード挿入口26から排出させる(S176)。
【0071】
かかる構成によれば、一定の操作者に対してのみ自行のキャッシュカードと他行のキャッシュカードに紐づく顧客データに含まれる氏名情報の一致の判断を含む本人認証を行うことができる。つまり、複数の口座を持たない顧客が本発明の実施形態による現金処理装置を利用することが可能である。そして、安全性の優れた本人認証を希望する顧客や不正利用の被害に遭いやすいと予想される顧客のみに当該本人認証を提供することが実現できる。
【0072】
<4.補足>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、顧客データを基に行う本人認証の精度を向上することが可能である。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0074】
例えば、本明細書の現金処理装置20の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、現金処理装置20の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0075】
また、現金処理装置20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した現金処理装置20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0076】
10 金融機関ホスト
12 専用網
20 現金処理装置
22 操作表示部
24 通帳挿入口
26 カード挿入口
27 レシート排出
28 紙幣口
29 硬貨口
210 インタフェース部
220 カード読取部
230 通帳読取部
240 認証部
250 紙幣入出金部
260 硬貨入出金部
270 記憶部
280 制御部