(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124180
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】記録制御システム及び記録制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230830BHJP
A47G 29/124 20060101ALI20230830BHJP
G06Q 10/083 20230101ALI20230830BHJP
【FI】
G06Q50/10
A47G29/124
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027796
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】池田 真弓
(72)【発明者】
【氏名】津端 大
(72)【発明者】
【氏名】奥村 孝
(72)【発明者】
【氏名】富澤 克美
(72)【発明者】
【氏名】小俣 真悟
(72)【発明者】
【氏名】崔 丁珠
【テーマコード(参考)】
3K100
5L049
【Fターム(参考)】
3K100CA14
3K100CC01
3K100CD03
5L049AA16
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】荷物の盗難の可能性が高い映像を好適に記録できる記録制御システム及び記録制御方法を提供する。
【解決手段】記録制御システム1は、荷物検出部104と、方向検出部106と、記録制御部108とを備える。荷物検出部104は、荷物が所定領域から取り上げられたことを検出する。方向検出部106は、荷物を撮影して生成された画像データに基づいて荷物の移動方向を検出する。記録制御部108は、画像データの記憶部120への記録を、移動方向に応じて制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が所定領域から取り上げられたことを検出する荷物検出部と、
前記荷物を撮影して生成された画像データに基づいて前記荷物の移動方向を検出する方向検出部と、
前記画像データの記憶部への記録を、前記移動方向に応じて制御する記録制御部と
を備える記録制御システム。
【請求項2】
前記所定領域における荷物の存在を検知し、検知結果を前記荷物検出部に供給するセンサと、
前記荷物を撮影し、撮影した画像データを前記方向検出部に供給するカメラと
をさらに備える請求項1に記載の記録制御システム。
【請求項3】
前記荷物検出部が、前記荷物が前記所定領域から取り上げられたことを検出した場合、前記荷物を追跡するように前記カメラの撮像範囲を制御する撮影制御部をさらに備える
請求項2に記載の記録制御システム。
【請求項4】
前記記録制御部は、
前記画像データを前記記憶部へ記録し、
前記荷物が予め定められた方向に移動した場合、前記記憶部から前記荷物にかかる前記画像データを削除し、
前記記録制御部は、前記荷物が前記予め定められた方向以外の方向に移動した場合、前記記憶部に前記荷物にかかる前記画像データを残す
請求項1から3のいずれか一項に記載の記録制御システム。
【請求項5】
荷物が所定領域から取り上げられたことを検出し、
前記荷物を撮影して生成された画像データに基づいて前記荷物の移動方向を検出し、
前記画像データの記憶部への記録を、前記移動方向に応じて制御する
記録制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録制御システム及び記録制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配達物の受取人が不在の場合に、その配達物を配達先の玄関前に置いておく、いわゆる「置き配」が行われている。そして近年、配達された荷物の盗難が問題となっている。例えば特許文献1には、荷物収納袋に収納された荷物が動かされた若しくは取り出されたことをセンサが検知した場合、カメラユニットによる撮影を開始し、そして通信を介して撮影された撮影データを外部装置に送信する荷物収納装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の方法では、カメラユニットによる撮影及び外部装置への送信は、動かされた荷物の行先に関係なく行われる。したがって撮影された映像を録画する場合、荷物の盗難の可能性が低い映像についても録画される。このため、録画時間が長くなり、後で盗難発生時の映像を探し出すことが難しくなる。
【0005】
尚、玄関前に置かれた荷物だけでなく、工場や倉庫等で一時的に所定の場所に置かれる荷物についても同様の課題が存在する。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、荷物の盗難の可能性が高い映像を好適に記録できる記録制御システム及び記録制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる記録制御システムは、荷物が所定領域から取り上げられたことを検出する荷物検出部と、前記荷物を撮影して生成された画像データに基づいて前記荷物の移動方向を検出する方向検出部と、前記画像データの記憶部への記録を、前記移動方向に応じて制御する記録制御部とを備える。
【0008】
本発明の一態様にかかる記録制御方法は、荷物が所定領域から取り上げられたことを検出し、前記荷物を撮影して生成された画像データに基づいて前記荷物の移動方向を検出し、前記画像データの記憶部への記録を、前記移動方向に応じて制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、荷物の盗難の可能性が高い映像を好適に記録できる記録制御システム及び記録制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態にかかる記録制御システムの使用状況を示す図である。
【
図2】本実施形態にかかる記録制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態にかかる撮影画像の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態にかかる記録制御方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態の変形例にかかる記録制御方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
<実施形態の概要>
まず実施形態の概要について説明する。本実施形態にかかる記録制御システムは、荷物が所定領域から取り上げられたことを検出する。そして記録制御システムは、荷物を撮影して生成された映像に基づいて荷物の移動方向を検出する。映像は、画像データとも称する。記録制御システムは、映像の記憶部への記録を、移動方向に応じて制御する。
【0013】
ここで、荷物が取り上げられ、その荷物が予め定められた方向以外の方向に移動された場合は、盗難の可能性が高い。このようなイベントが発生した場合には記憶部に映像を残し、予め定められた方向に移動された場合は映像を残さないようにすることで、録画時間を節約できる。またイベント発生時の映像の管理を容易にできる。つまり、荷物の盗難の可能性が高い映像を好適に記録できる。
【0014】
<実施形態>
図1は、本実施形態にかかる記録制御システム1の使用状況を示す図である。例えば記録制御システム1は、玄関20の前の置き配スペース40に置かれた荷物60を監視するために使用される、1又は複数のコンピュータを含むシステムである。置き配スペース40は、概要で説明した所定領域の一例である。
【0015】
記録制御システム1は、センサ12、カメラ14及び可動部16を備える。
センサ12は、置き配スペース40に設けられている感圧式の荷重センサである。センサ12は、置き配スペース40に荷物60が置かれた場合、荷物60から受ける荷重を検知する。つまりセンサ12は、置き配スペース40における荷物60の存在を検知する。
【0016】
カメラ14は、置き配スペース40を少なくとも含む対象領域を撮影できるように、玄関20の前に設けられる。カメラ14は、荷物60が取り上げられて荷重が減少した場合に、対象領域の撮影を開始する。そしてカメラ14は、置き配スペース40から取り上げられた荷物60を撮影する。
【0017】
可動部16は、カメラ14の撮影範囲に荷物60が含まれるようにカメラ14の向きを動かす。換言すると、可動部16はカメラ14のパンチルト機能を実現する。これによりカメラ14は、取り上げられた荷物60を追跡できる。
【0018】
記録制御システム1は、荷物60が、置き配スペース40から玄関20に向かう方向に移動したことを検出した場合、撮影した画像データを削除する。この場合、受取人により適切に受け取られた可能性が高く、記録する必要性が低いからである。一方、記録制御システム1は、荷物60が、玄関20に向かう方向以外の方向に移動したことを検出した場合、撮影した画像データを記録する。この場合、窃盗犯により荷物60が外に持ち出された可能性が高く、記録を残す必要性が高いからである。
【0019】
尚、置き配スペース40から玄関20に向かう方向は、概要で説明した、予め定められた方向の一例である。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる記録制御システム1の構成を示すブロック図である。記録制御システム1は、上述したセンサ12、カメラ14、及び可動部16に加えて、音声出力部18及び記録制御装置10を備える。
【0021】
尚、センサ12は、検知結果をセンシングデータとして取得部101を介して、後述する記録制御装置10の制御部100の荷物検出部104に供給する。
【0022】
またカメラ14は、制御部100の撮影制御部105による制御を受けて、置き配スペース40から取り上げられた荷物60を撮影する。画像データは、例えば、H.264もしくはH.265等の方式を用いて生成される。そしてカメラ14は、荷物60を撮影した画像データを、取得部101を介してバッファメモリ102に供給し、さらにバッファメモリ102を介して方向検出部106に供給する。
【0023】
また可動部16は、制御部100の撮影制御部105による制御を受けて、カメラ14の撮影方向を調整するモーターである。
【0024】
音声出力部18は、制御部100の判定部107による判定結果に応じて、警告音を出力するスピーカである。
【0025】
記録制御装置10は、カメラ14が撮影した画像データの記録を制御するコンピュータである。記録制御装置10は、記憶部120と、通信部130と、制御部100とを備える。
【0026】
記憶部120は、カメラ14が撮影した画像データを記憶する。一例として記憶部120は、SDカード、USBメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid-State Drive)等の非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【0027】
通信部130は、インターネット等のネットワークへの通信インタフェースである。
【0028】
制御部100は、記録制御装置10が有するハードウェアを制御するプロセッサ及びRAM(random access memory)である。制御部100は、取得部101と、バッファメモリ102と、イベント検出部103と、記録制御部108と、通信制御部109とを備える。
【0029】
取得部101は、センサ12からセンシングデータを取得し、センシングデータを荷物検出部104に供給する。また取得部101は、カメラ14が撮影した画像データを、カメラ14から取得する。そして取得部101は、画像データをバッファメモリ102へ出力する。
【0030】
バッファメモリ102は、カメラ14が荷物60を撮影して生成した画像データであって、取得部101から出力された画像データを、一時的に記憶する。バッファメモリ102は、制御部100内に内蔵される内蔵メモリと称されてもよい。一時的に記憶するとは、例えば、バッファメモリ102が、所定期間経過した画像データを削除することであってもよい。もしくは、一時的に記憶するとは、取得部101から出力される画像データを、バッファメモリ102内に上書きして記憶することであってもよい。もしくは、一時的に記憶するとは、バッファメモリ102が、取得部101から出力された画像データを記録制御部108へ出力した場合に、出力した画像データを削除することであってもよい。
【0031】
イベント検出部103は、荷物60が盗難された可能性が高いイベントを検出する。イベント検出部103は、荷物検出部104と、撮影制御部105と、方向検出部106と、判定部107とを備える。
【0032】
荷物検出部104は、取得部101からセンサ12のセンシングデータを取得する。そして荷物検出部104は、センシングデータに基づいて、荷物60が置き配スペース40に置かれたこと、又は荷物60が置き配スペース40から取り上げられたことを検出する。荷物60が取り上げられたことは、荷物60が置き配スペース40の上方に動かされたことに加えて、左右方向にずらされて置き配スペース40外に持ち出されたことを含んでよい。例えば荷物検出部104は、センサ12が検出した荷重に所定値以上の増加があった場合、荷物60が置き配スペース40に置かれたことを検出する。一方、荷物検出部104は、センサ12が検出した荷重に所定値以上の減少があった場合、荷物60が置き配スペースから取り上げられたことを検出する。
【0033】
撮影制御部105は、カメラ14による撮影を制御する。例えば撮影制御部105は、荷物検出部104が、置き配スペース40からの荷物60の取り上げを検出した場合、カメラ14による、置き配スペース40を含む対象領域の撮影を開始させる。
【0034】
また撮影制御部105は、荷物検出部104が、置き配スペース40からの荷物60の取り上げを検出した場合、荷物60を追跡するようにカメラ14の撮像範囲を制御する。例えば撮影制御部105は、方向検出部106が検出した荷物60の移動方向に基づいて、荷物60がカメラ14の撮影範囲に入るように、可動部16に駆動信号を出力する。これにより、広範な追跡が可能となる。
【0035】
方向検出部106は、バッファメモリ102に記憶されている画像データを取得する。そして方向検出部106は、画像データに基づいて荷物60の移動方向を検出する。例えば方向検出部106は、画像認識により、各画像データから荷物60の画像領域を検出し、画像データ中の画像領域の位置の変化から、移動方向を検出する。
【0036】
判定部107は、荷物60が盗難された可能性が高いイベントが発生しているかを判定する。具体的には、判定部107は、方向検出部106が検出した荷物60の移動方向が玄関20に向かう方向であるかを判定し、玄関20に向かう方向でない場合に上記イベントが発生したと判定する。尚、玄関20に向かう方向は、予め登録されている。判定部107は、判定結果を記録制御部108及び通信制御部109に供給する。また判定部107は、イベントが発生していると判定した場合、音声出力部18に制御信号を供給し、音声出力部18に警告音を出力させる。
【0037】
記録制御部108は、バッファメモリ102に記憶されている画像データの記憶部120への記録を、荷物60の移動方向に応じて制御する。
【0038】
例えば、まず記録制御部108は、バッファメモリ102に記憶された画像データを、所定の時間間隔で記憶部120へ記録する。そして記録制御部108は、イベントが発生しなかったと判定部107が判定した場合、つまり荷物60が玄関20に向かう方向に移動した場合、記憶部120から荷物60にかかる画像データを削除する。一方、記録制御部108は、イベントが発生したと判定部107が判定した場合、つまり荷物60が玄関20に向かう方向以外の方向に移動した場合、記憶部120に荷物60にかかる画像データを残す。
【0039】
通信制御部109は、イベントが発生したと判定部107が判定した場合、通信部130を介して外部装置に通知する。外部装置は、例えば受取人などの登録されたユーザが使用するパーソナルコンピュータ、スマートフォン又は携帯電話等の情報端末である。例えば通信制御部109は、通信部130を介して予め登録された外部装置に、イベントが発生した旨を通知する。外部装置が電話である場合、通信制御部109は外部装置に発呼してもよい。また例えば通信制御部109は、イベント発生にかかる画像データを、通信部130を介して外部装置に送信してもよい。このように外部装置に異常を通知することで、受取人が異常事態に早期に気付き、異常事態に対して迅速に対処できる。
【0040】
図3は、本実施形態にかかる撮影画像の一例を示す図である。
図3に示す画像140は、カメラ14が撮影を開始した場合に撮影された画像である。画像140は、置き配スペース40を含む対象領域を撮影したものであり、荷物60の画像領域と、荷物60を取り上げる人物Pの画像領域とが含まれる。方向検出部106は、少なくとも荷物60を画像認識により検出する。
【0041】
一例として、画像140の右側が玄関20に向かう方向であり、左側が敷地外に向かう方向である。カメラ14が撮影を続け、所定時間内に荷物60が画像140の右側に移動した場合、判定部107は、受取人によって建物内に移動された、つまりイベントは発生しなかったと判定する。一方、所定時間内に荷物60が画像140の左側に移動した場合、判定部107は、受取人以外の者によって荷物60が持ち出された、つまりイベントが発生したと判定する。
【0042】
図4は、本実施形態にかかる記録制御方法の流れの一例を示すフローチャートである。まず荷物検出部104は、センサ12によるセンシングデータに基づいて、荷重の減少を検出したかを判定する(S10)。尚、荷物検出部104は、荷重が所定値以上減少した場合に、荷重の減少を検出してよい。荷重の所定値以上の減少がない場合は(S10でNo)、記録制御システム1は、S10に示す処理を繰り返す。
【0043】
荷重の減少を検出した場合(S10でYes)、荷物検出部104は、荷物60が置き配スペース40から取り上げられたと判定する(S11)。そして荷物検出部104は、判定結果を撮影制御部105に供給する。
【0044】
撮影制御部105は、カメラ14に制御信号を供給し、対象領域の撮影を開始させる(S12)。これによりカメラ14の画像データは、取得部101を介してバッファメモリ102に格納され始める。そして記録制御部108は、バッファメモリ102に格納された画像データを記憶部120に記録することを開始する(S13)。
【0045】
ここで、荷物検出部104が荷重の変化を検出しなくなった場合(S14でYes)、つまり荷重の変化が所定値未満である場合、撮影制御部105は荷物60の追跡を開始する(S15)。荷重の変化を検出しなくなることは、荷物60の取り上げが完了したことを意味する。撮影制御部105は、具体的には、画像データ中の荷物60の画像領域を追跡する。そして撮影制御部105は、荷物60が所定の撮影範囲に含まれるように、可動部16を駆動する。尚、荷物検出部104が荷重の変化を検出しなくなるまで(S14でNo)、S14に示す処理を繰り返す。
【0046】
次に、方向検出部106は、バッファメモリ102に格納された画像データから、荷物60の移動方向を検出する(S16)。移動方向が玄関20に向かう方向である場合(S17でYes)、判定部107はイベントが発生しなかったと判定し、判定結果を記録制御部108に供給する。次に記録制御部108は、記憶部120に記録した画像データを削除する(S18)。そして記録制御システム1は、処理をS20に進める。
【0047】
一方、移動方向が玄関20に向かう方向以外の方向である場合(S17でNo)、判定部107はイベントが発生したと判定し、判定結果を記録制御部108に供給する。次に記録制御部108は、登録されたユーザにイベントが発生した旨を通知する(S19)。そして記録制御システム1は、処理をS20に進める。
【0048】
S20において、撮影制御部105は、カメラ14に制御信号を供給し、撮影を終了させる。尚、撮影制御部105は、撮影開始又はイベント判定から所定時間経過後、撮影を終了させてよい。あるいは撮影制御部105は、移動方向が玄関20に向かう方向以外の方向である場合、荷物60が敷地外に出たことを検出したことに応じて撮影を終了させてよい。荷物60が敷地外に出たか否かについては、撮影制御部105が画像認識により判定してもよいし、撮影制御部105が門の開閉を検知する図示していないセンサの検知結果に基づいて判定してもよい。
【0049】
尚、S14~S15において、撮影制御部105は、荷重の変化を検出しなくなった場合に荷物60の追跡を開始するとした。しかし撮影制御部105は、荷重の減少の検出を開始したことに応じて、荷物60の追跡を開始してもよい。
【0050】
このように本実施形態によれば、記録制御システム1は、置き配スペースの荷物が取り上げられ、その荷物が予め定められた方向以外の方向に運ばれた場合に、イベントが発生したものとして映像を保存する。そして記録制御システム1は、予め定められた方向に正しく運ばれた場合は映像を残さないようにする。これにより録画時間を節約でき、イベント発生時の映像の管理を容易にできる。
【0051】
ここで受取人が荷物60を持ち出して玄関20以外の場所に運ぶ場合もある。例えば受取人が植木等の大きい荷物を持って、門を開けて敷地外に出て、別の出入り口から庭に運ぶ場合が挙げられる。このような場合は、盗難に該当しないため、記録制御システム1は画像データを保存しなくてよい。具体的には、記録制御部108は、荷物60が玄関20の方向以外に移動した後、所定時間以内に玄関20に向かう方向に荷物60が搬入された場合、記憶部120から荷物60にかかる画像データを削除してよい。
【0052】
図5は、本実施形態の変形例にかかる記録制御方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、
図4のS17~S20から構成されるS100の変形例であるS100aを示している。S100aは、S17~S20に加えて、S30~S33を含む。
【0053】
まず方向検出部106は、荷物60の移動方向を検出した後(S16)、移動方向が玄関20に向かう方向以外の方向である場合(S17でNo)、画像データから荷物60を持ち出した人物Pの顔情報を抽出する(S30)。
【0054】
次に方向検出部106は、所定時間内に玄関20に向かう人物を検出したかを判定する(S31)。このときカメラ14は荷物60を追跡後、撮影範囲を対象領域に戻して撮影を続行している。具体的には、まず方向検出部106は、荷物60が搬出された後、画像データから人物を再度検出したかを判定する。次に方向検出部106は、人物を再度検出した場合、その人物が玄関20に向かったかを判定する。一例として方向検出部106は、画像データに含まれる人物を追跡して人物の移動方向を検出し、移動方向が玄関20に向かう方向である場合にその人物が玄関20に向かったかを判定してよい。あるいは方向検出部106は、玄関20のドアの開閉を検知するセンサの検知結果に基づいて、その人物が玄関20に向かったかを判定してもよい。
【0055】
再度人物を検出した場合(S31でYes)、方向検出部106は画像データから再度検出した人物の顔情報を抽出する(S32)。そして方向検出部106は、S30で抽出した、荷物60を持ち出した人物の顔情報と、S32で抽出した、再度検出した人物の顔情報とを照合し、一致するかを判定する(S33)。顔情報が一致するとは、顔情報の差分が所定閾値未満であることを指す。
【0056】
顔情報が一致した場合(S33でYes)、判定部107は、イベントが発生しなかったと判定し、判定結果を記録制御部108に供給する。次に記録制御部108は、記憶部120に記録した画像データを削除する(S18)。そして記録制御システム1は、処理をS20に進める。
【0057】
一方、所定時間内に玄関20に向かう人物を検出しなかった場合(S31でNo)、又は人物を検出したが顔情報が一致しなかった場合(S33でNo)、判定部107はイベントが発生したと判定し、判定結果を記録制御部108に供給する。次に記録制御部108は、登録されたユーザにイベントが発生した旨を通知する(S19)。そして記録制御システム1は、処理をS20に進める。
【0058】
S20において、撮影制御部105は、カメラ14に制御信号を供給し、撮影を終了させる。
【0059】
このように盗難に該当する可能性が低い場合の画像データを残さないことで、録画時間をより好適に節約できる。これによりイベント発生時の映像の管理をより容易にできる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0061】
例えば記録制御システム1は、置き配スペース40に荷物60を置いた人物を撮影し、記録してもよい。具体的には、撮影制御部105は、荷物検出部104が置き配スペース40に荷物60が置かれたことを検出した場合、荷物60を置いた人物Pを撮影する。撮影制御部105は、荷物60とともに人物Pの顔領域を撮影できるように広角で動画を撮影してもよいし、人物Pの顔領域を静止画で撮影してもよい。そして記録制御部108は、その人物Pの画像データ又は顔情報を記憶部120に記録する。これにより、荷物60を置いた人物が誰であるかを後で確認できる。尚、その人物Pの画像データを記録する場合、静止画として記録してよい。静止画で記録することで、動画で記録する場合よりも記憶部120の記憶量を節約できる。
【0062】
また例えば上述の実施形態では、センサ12は荷重センサであったが、荷物60の存在が確認できるセンサであれば他のセンサであってよい。例えばセンサ12は、光を検知する光センサ又は赤外線センサであってよい。センサ12が光センサである場合、荷物検出部104は、置き配スペース40に荷物60が置かれた場合に受光部に届く光が遮蔽されることを利用して、荷物60の存在を検出する。特に荷物検出部104は、センサ12が検出した受光面積から推定される載置面積に所定量以上の変化があった場合、荷物60が置き配スペース40に置かれた、又は荷物60が置き配スペース40から取り上げられたことを検出してよい。
【0063】
また荷物検出部104は、センサ12のセンシングデータに代えて、カメラ14が撮影した画像データから画像認識により荷物60の存在を検出してよい。この場合、センサ12は省略されてもよい。
【0064】
また例えば上述の実施形態では、記録制御システム1は、荷物60が取り上げられた場合に撮影を開始するとしたが、荷物60をずらして他の荷物に差替えられた場合にも盗難の可能性が高いとして撮影を開始してよい。具体的には、荷物検出部104は、所定時間以内に、センサ12が検出した荷重が、所定量以上減少し、次に所定量以上増加し、次に所定量以上減少した場合、荷物60が差し替えられたと判定してよい。尚、センサ12が光センサである場合、荷物検出部104は、所定時間以内に、センサ12が検出した受光面積から推定される載置面積が、所定量以上減少し、次に所定量以上増加し、次に所定量以上減少した場合、荷物60が差し替えられたと判定してよい。
【0065】
差替えの場合も、記録制御システム1は、荷物60を差替えた人物を撮影し、記録してよい。具体的には、撮影制御部105は、荷物60を差替えた人物を撮影するようにカメラ14を制御してよい。この場合も、記録制御システム1は、人物の画像データを静止画として記録してよいし、顔情報を抽出して顔情報を記録してもよい。これにより、荷物60を差替えた人物を後から確認できる。
【0066】
また例えばカメラ14は、常時対象領域を監視する監視カメラであってもよい。この場合、
図4のS12に示す処理は省略されてよい。
【0067】
また例えば記録制御システム1はさらにマイクを備えていてもよい。この場合、取得部101はマイクが収音した音声データを取得する。そして取得部101は、MPEG(Moving Picture Experts Group)2-TS(Transport Stream)またはAVI(Audio Video Interleave)等を用いて画像データ及び音声データを含んだ動画像データを生成し、バッファメモリ102に格納してよい。そして記録制御部108は、判定部107による判定結果に応じて、動画像データの記憶部120への記録を制御してよい。音声データを記録することで、イベント発生時の状況を詳細に確認できる。
【0068】
また例えば記録制御システム1の撮影制御部105は、カメラ14の撮像範囲を制御するために可動部16に駆動信号を出力したが、これに代えて画角を広げる駆動信号をカメラ14に出力してもよい。換言すると、撮影制御部105は、カメラ14のズームイン及びズームアウト機能を制御してよい。この場合、可動部16は省略されてよい。
【0069】
また例えば記録制御部108は、バッファメモリ102に格納された画像データを、判定部107による判定を待たずに記憶部120に記録し、その後判定結果に応じて画像データを削除又は残していた。しかし記録制御部108は、判定部107から判定結果を取得するまで、画像データの記憶部120への記録を待ってもよい。この場合、記録制御部108は、イベントが発生しなかったと判定部107が判定した場合は画像データを記憶部120に記録せず、イベントが発生したと判定部107が判定した場合は画像データを記憶部120に記録する。
【0070】
また上述の実施形態では、画像データを削除するか残すかを決定する基礎として、荷物60の移動方向を用いたが、これに加えて、荷物60を取り上げた人物の顔認証結果を用いてもよい。例えば記録制御システム1は、予めユーザの顔情報を登録し、荷物60の取り上げを検出した場合に、画像データに含まれる人物Pの顔情報を抽出する。そして記録制御システム1は、抽出した顔情報と、登録された顔情報とを照合し、顔認証を実行する。そして記録制御システム1は、顔認証が失敗し、かつ荷物60の移動方向が玄関20に向かう方向以外の方向であった場合、イベントが発生したと判定し、画像データを記憶部120に残す。そして記録制御システム1は、登録ユーザに通知する。一方、記録制御システム1は、顔認証が成功するか、又は荷物60の移動方向が玄関20に向かう方向であった場合、イベントが発生しなかったと判定し、画像データを記憶部120に削除する。これにより、より正確にイベント発生を判定できるため、録画時間をより節約できる。またイベント発生時の映像の管理をより容易にできる。
【0071】
また上述の実施形態では、荷物60の移動方向を画像データにより検出したが、移動方向の検出方法はこれに限らない。例えば記録制御システム1は、門の開閉を検知するセンサ及び玄関20のドアの開閉を検知するセンサをさらに備え、方向検出部106は、荷物60が取り上げられた後、いずれのセンサが開閉を検知したかに応じて、移動方向を検出してよい。より具体的には、方向検出部106は、荷物60が取り上げられた後、所定時間内に門の開閉を検知するセンサが門の開閉を検知した場合、イベントが発生したと判定してよい。また方向検出部106は、荷物60が取り上げられた後、所定時間内に玄関20のドアの開閉を検知するセンサがドアの開閉を検知した場合、イベントが発生しなかったと判定してよい。
【0072】
上述の実施形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、任意の処理を、プロセッサにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0073】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0074】
また上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
荷物が所定領域から取り上げられたことを検出する荷物検出部と、
前記荷物を撮影して生成された画像データに基づいて前記荷物の移動方向を検出する方向検出部と、
前記画像データの記憶部への記録を、前記移動方向に応じて制御する記憶部と
を備える記録制御システム。
(付記2)
前記所定領域における荷物の存在を検知し、検知結果を前記荷物検出部に供給するセンサと、
前記荷物を撮影し、撮影した画像データを前記方向検出部に供給するカメラと
をさらに備える付記1に記載の記録制御システム。
(付記3)
前記荷物検出部が、前記荷物が前記所定領域から取り上げられたことを検出した場合、前記荷物を追跡するように前記カメラの撮像範囲を制御する撮影制御部をさらに備える
付記2に記載の記録制御システム。
(付記4)
前記記録制御部は、
前記画像データを前記記憶部へ記録し、
前記荷物が予め定められた方向に移動した場合、前記記憶部から前記荷物にかかる前記画像データを削除し、
前記記録制御部は、前記荷物が前記予め定められた方向以外の方向に移動した場合、前記記憶部に前記荷物にかかる前記画像データを残す
付記1から3のいずれか一項に記載の記録制御システム。
(付記5)
前記撮影制御部は、前記荷物検出部が前記所定領域に荷物が置かれたことを検出した場合、前記荷物を置いた人物を撮影し、
前記記録制御部は、前記人物の画像データを前記記憶部に記録する
付記4に記載の記録制御システム。
(付記6)
前記荷物検出部は、所定時間以内に、前記センサが検出した荷重又は載置面積が、所定量以上減少し、次に所定量以上増加し、次に所定量以上減少した場合、前記荷物が差し替えられたと判定し、
前記撮影制御部は、前記荷物を差替えた人物を撮影するように前記カメラを制御する
付記4又は5に記載の記録制御システム。
(付記7)
前記記録制御部は、前記荷物が前記予め定められた方向以外の方向に移動した後、予め定められた時間以内に前記予め定められた方向に搬入された場合、前記荷物にかかる前記画像データを削除する
付記1から6のいずれか一項に記載の記録制御システム。
(付記8)
前記荷物検出部は、
前記センサが検出した荷重に所定値以上の変化があった場合、
又は
前記センサが検出した載置面積に所定値以上の変化があった場合、
前記荷物が前記所定領域に置かれた、又は前記荷物が前記所定領域から動かされた、若しくは取り上げられたことを検出する
付記1から7のいずれか一項に記載の記録制御システム。
(付記9)
荷物が所定領域から取り上げられたことを検出し、
前記荷物を撮影して生成された画像データに基づいて前記荷物の移動方向を検出し、
前記画像データの記憶部への記録を、前記移動方向に応じて制御する
記録制御方法。
【0075】
本開示は、SDGsの「住み続けられるまちづくりを」の実現に貢献し、公共施設の安心・安全に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0076】
1 記録制御システム
10 記録制御装置
12 センサ
14 カメラ
16 可動部
18 音声出力部
20 玄関
40 置き配スペース
60 荷物
100 制御部
101 取得部
102 バッファメモリ
103 イベント検出部
104 荷物検出部
105 撮影制御部
106 方向検出部
107 判定部
108 記録制御部
109 通信制御部
120 記憶部
130 通信部
140 画像