(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124183
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】生体認証装置、生体認証システム、及び生体認証方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230830BHJP
【FI】
G06T7/00 510D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027801
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安村 慶子
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 正和
(72)【発明者】
【氏名】中村 渉
(72)【発明者】
【氏名】加賀 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健太
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA04
5B043DA05
5B043EA05
5B043EA14
5B043EA15
5B043FA07
5B043GA02
(57)【要約】
【課題】生体認証において、任意の形式の特徴量を利用可能であり、かつ生体情報に対する遮蔽領域による認証精度の低下を抑制する。
【解決手段】生体認証装置は、生体情報が撮像された認証用画像と、登録用テンプレートと、登録用遮蔽領域と、を保持し、登録用遮蔽領域は、登録用画像内の生体情報を遮蔽する遮蔽領域に基づいて生成され、登録用テンプレートは、登録用遮蔽領域に基づいて抽出された登録用画像内の生体情報の登録用特徴量、から生成され、生体認証装置は、認証用画像内の生体情報を遮蔽する遮蔽領域と、登録用遮蔽領域と、に基づいて、認証用画像内の生体情報の認証用特徴量を抽出し、認証用特徴量に基づいて認証用テンプレートを生成し、登録用テンプレートと認証用テンプレートとに基づいて認証を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体認証装置であって、
プロセッサとメモリとを含み、
前記メモリは、生体情報が撮像された認証用画像と、登録用テンプレートと、登録用遮蔽領域と、を保持し、
前記登録用遮蔽領域は、登録用画像に撮像された生体情報を遮蔽する遮蔽領域に基づいて生成された領域であり、
前記登録用テンプレートは、前記登録用遮蔽領域に基づいて抽出された前記登録用画像の生体情報の登録用特徴量、から生成されたものであり、
前記プロセッサは、
前記認証用画像に撮像された生体情報及び当該生体情報を遮蔽する遮蔽領域を検出し、
前記検出した遮蔽領域と、前記登録用遮蔽領域と、に基づいて、当該生体情報の認証用特徴量を抽出し、
前記認証用特徴量に基づいて認証用テンプレートを生成し、
前記登録用テンプレートと前記認証用テンプレートとに基づいて認証を実行する、生体認証装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体認証装置であって、
前記登録用遮蔽領域は、前記登録用画像に撮像された生体情報を遮蔽する遮蔽領域と、生体情報に対する遮蔽が発生し得る領域を示す所定の想定遮蔽領域と、が融合された領域であり、
前記登録用特徴量は、前記登録用遮蔽領域に基づいて前記登録用画像に撮像された生体から抽出されたものである、生体認証装置。
【請求項3】
請求項1に記載の生体認証装置であって、
前記登録用遮蔽領域は、前記登録用画像に撮像された生体情報を遮蔽する遮蔽領域である、生体認証装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の生体認証装置であって、
前記プロセッサは、
前記検出した遮蔽領域の画素値を、前記認証用画像に撮像された生体情報に基づいて、前記遮蔽領域がない場合に生体情報が撮像される予測画素に置換する置換処理を実行し、
前記登録用遮蔽領域に基づいて前記予測画素と前記認証用画像の前記生体情報が撮像された画素とから前記認証用特徴量を抽出する、生体認証装置。
【請求項5】
請求項4に記載の生体認証装置であって、
前記メモリは、前記生体情報が撮像された複数の画像を保持し、
前記プロセッサは、前記置換処理において、前記認証用画像の前記検出した遮蔽領域の各画素を、前記複数の画像における当該画素のうち前記生体情報が撮像されている画素の平均値に置換することで前記予測画素を生成する、生体認証装置。
【請求項6】
請求項4に記載の生体認証装置であって、
前記プロセッサは、
前記置換処理において、
前記認証用画像の前記検出した遮蔽領域の画素であって、前記生体情報が撮像されている画素に隣接する画素、を当該画素の近傍画素であって、前記生体情報が撮像されている所定数の画素、に基づいて、前記予測画素に置換し、前記置換した予測画素を前記生体情報が撮像されている画素として扱う、処理を、前記遮蔽領域の画素が全て置換されるまで繰り返す、生体認証装置。
【請求項7】
請求項4に記載の生体認証装置であって、
前記メモリは、生体情報が撮像された置換用画像を保持し、
前記プロセッサは、
前記置換処理において、
所定の座標系において、前記認証用画像に撮像された生体情報と、前記置換用画像に撮像された生体情報と、の位置合わせを実行し、
前記認証用画像の前記検出した遮蔽領域の画素を、前記位置合わせ後の置換用画像の画素に置換することで前記予測画素を生成する、生体認証装置。
【請求項8】
請求項2に記載の生体認証装置であって、
前記プロセッサは、前記検出した遮蔽領域と前記登録用遮蔽領域とを融合した認証用遮蔽領域に基づいて前記認証用画像に撮像された生体から前記登録用特徴量を抽出する、生体認証装置。
【請求項9】
請求項1に記載の生体認証装置であって、
前記登録用画像及び前記認証用画像に撮像された生体情報は、利用者の虹彩であり、
前記登録用画像に撮像された虹彩を遮蔽する遮蔽領域及び前記認証用画像に撮像された虹彩を遮蔽する遮蔽領域は、前記利用者の瞼、睫毛、及び鏡面反射の少なくとも1つを含む、生体認証装置。
【請求項10】
第1装置と第2装置とを含む生体認証システムであって、
前記第1装置は、
生体情報が撮像された登録用画像を保持し、
前記登録用画像に撮像された生体情報及び当該生体情報を遮蔽する遮蔽領域を検出し、
前記検出した遮蔽領域に基づいて、登録用遮蔽領域を生成し、
前記登録用遮蔽領域に基づいて、前記登録用画像の生体情報の登録用特徴量を抽出し、
前記登録用特徴量に基づいて、テンプレートを生成し、
前記テンプレート及び前記登録用遮蔽領域を前記第2装置に送信し、
生体情報が撮像された認証用画像を保持し、
前記第2装置は、登録用テンプレートと、登録用遮蔽領域と、を前記第1装置に送信し、
前記第1装置は、
前記認証用画像に撮像された生体情報及び当該生体情報を遮蔽する遮蔽領域を検出し、
前記認証用画像から検出した遮蔽領域と、前記登録用遮蔽領域と、に基づいて、当該生体情報の認証用特徴量を抽出し、
前記認証用特徴量に基づいて認証用テンプレートを生成し、
前記登録用テンプレートと前記認証用テンプレートとに基づいて認証を実行する、生体認証システム。
【請求項11】
生体認証装置による生体認証方法であって、
前記生体認証装置は、生体情報が撮像された認証用画像と、登録用テンプレートと、登録用遮蔽領域と、を保持し、
前記登録用遮蔽領域は、登録用画像に撮像された生体情報を遮蔽する遮蔽領域に基づいて生成された領域であり、
前記登録用テンプレートは、前記登録用遮蔽領域に基づいて抽出された前記登録用画像の生体情報の登録用特徴量、から生成されたものであり、
前記生体認証方法は、
前記生体認証装置が、前記認証用画像に撮像された生体情報及び当該生体情報を遮蔽する遮蔽領域を検出し、
前記生体認証装置が、前記検出した遮蔽領域と、前記登録用遮蔽領域と、に基づいて、当該生体情報の認証用特徴量を抽出し、
前記生体認証装置が、前記認証用特徴量に基づいて認証用テンプレートを生成し、
前記生体認証装置が、前記登録用テンプレートと前記認証用テンプレートとに基づいて認証を実行する、生体認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置、生体認証システム、及び生体認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な生体認証技術の中でも、虹彩認証は高精度な認証を実現できるものとして知られている。虹彩認証システムは、角膜と水晶体の間にある環状の薄い膜を使用して個人を認証することによって優れた認証精度を実現する。また、虹彩認証システムは、虹彩の偽造及び改ざんが困難であることによって、高度なセキュリティを実現できる。
【0003】
虹彩認証では、瞼、睫毛、目や眼鏡の鏡面反射などによって虹彩が一部遮蔽(オクルージョン)されることがあり、認証に利用可能な虹彩領域が変化する。そのため、虹彩認証では、登録時と認証時の虹彩の遮蔽領域を検出し、検出された遮蔽領域を適切に処理して登録と認証を行う必要がある。
【0004】
虹彩認証システムにおける瞼、睫毛、目や眼鏡の鏡面反射などによる遮蔽に関する先行技術として特開2019-219698号公報(特許文献1)、及び非特許文献1がある。
【0005】
特許文献1には、「認証対象Fが有する虹彩の画像を撮像する撮像部4と、前記撮像部4の設置位置から前記認証対象Fの上瞼方向に離間した位置において前記認証対象Fの注意を喚起する注意喚起表示を行う表示部7と、前記撮像部4により撮像された画像に基づいて前記認証対象の虹彩認証を実行する認証処理部とを備えた。」と記載されている(要約参照)。
【0006】
また、非特許文献1には、テンプレート保護技術を用いた虹彩認証において、抽出された虹彩特徴量から瞼、睫毛、及び鏡面反射などのノイズを排除した特徴量を基にテンプレートを生成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】K. B. Raja, et al., “Morton filters for iris template protection-an incremental and superior approach over bloom filters.” in 2019 IEEE 10th International Conference on Biometrics Theory, Applications and Systems (BTAS). pp. 1-8, 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
生体認証において、登録及び認証処理に制約がある場合、正しく処理が行えなくなり認証に失敗することがある。例えば、認証にテンプレート保護技術が用いられた場合、テンプレート保護前の特定領域に対しての処理と同様の処理を保護済みテンプレートに対して行えなくなるため、認証時の遮蔽領域を登録テンプレートから除外する等の処理ができなくなり、認証失敗に繋がる。そのため、登録及び認証時の処理に制約がある場合において、遮蔽領域の違いによる精度劣化を軽減する必要がある。
【0010】
特許文献1に記載の技術における虹彩認証装置においては、利用者が注意喚起を見る必要があり、利便性が損なわれている。また、利用者が上瞼を大きく持ち上げても瞼、睫毛、及び鏡面反射などの遮蔽領域が発生する可能性がある。また、非特許文献1に記載の技術では、特定の虹彩特徴量形式のみを想定しているため、他の形式の虹彩特徴量を用いた虹彩認証に適用することができない。
【0011】
そこで本発明の一態様は、生体認証において、任意の形式の特徴量を利用可能であり、かつ生体情報に対する遮蔽領域による認証精度の低下を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために本発明の一態様は以下の構成を採用する。生体認証装置は、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、生体情報が撮像された認証用画像と、登録用テンプレートと、登録用遮蔽領域と、を保持し、前記登録用遮蔽領域は、登録用画像に撮像された生体情報を遮蔽する遮蔽領域に基づいて生成された領域であり、前記登録用テンプレートは、前記登録用遮蔽領域に基づいて抽出された前記登録用画像の生体情報の登録用特徴量、から生成されたものであり、前記プロセッサは、前記認証用画像に撮像された生体情報及び当該生体情報を遮蔽する遮蔽領域を検出し、前記検出した遮蔽領域と、前記登録用遮蔽領域と、に基づいて、当該生体情報の認証用特徴量を抽出し、前記認証用特徴量に基づいて認証用テンプレートを生成し、前記登録用テンプレートと前記認証用テンプレートとに基づいて認証を実行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、生体認証において、任意の形式の特徴量を利用可能であり、かつ生体情報に対する遮蔽領域による認証精度の低下を抑制することができる。
【0014】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1における生体認証システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施例1における生体認証システムが利用者の虹彩情報を登録する登録処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図3】実施例1における生体認証システムが利用者の虹彩情報に基づいて生体認証を行う認証処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】実施例1における撮像された目の画像から虹彩検出部と遮蔽領域検出部がそれぞれ検出する虹彩と遮蔽領域の例を示す説明図である。
【
図5】実施例1における想定遮蔽領域の例を示す説明図である。
【
図6】実施例2における生体認証システムが利用者の虹彩情報を登録する登録処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】実施例2における生体認証システムが利用者の虹彩情報に基づいて生体認証を行う認証処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】実施例2における複数の静止画に基づく置換内容算出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施例2における照合に基づく位置合わせ方法の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0017】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、及び範囲などに限定されない。
【0018】
なお、本実施形態では、生体認証システムが虹彩情報を用いた生体認証を実行する例を主に説明するが、生体認証システムは虹彩情報以外の、登録及び認証時に完全同一ではなく一定の傾向を持って遮蔽が発生しうる任意の生体情報を用いて生体認証を実行することができる。
【実施例0019】
図1は、生体認証システムの構成例を示すブロック図である。生体認証システム10は、目の画像に含まれる虹彩情報を用いて生体認証を実行する。生体認証システム10は、例えば、情報処理装置3、情報処理装置3に接続されている又は含まれる撮像装置2、及びサーバ5を含む。情報処理装置3及びサーバ5は、インターネット等のネットワーク4によって互いに接続されている。
【0020】
生体認証システム10では、例えば、撮像装置2が撮影した利用者の目の動画を情報処理装置3に入力し、情報処理装置3が動画処理、虹彩検出、遮蔽領域検出、遮蔽領域処理、特徴抽出、及びテンプレート生成を含む一連の処理を行い、情報処理装置3とサーバ5はネットワーク4を介して登録及び認証に関する処理を行う。情報処理装置3は、登録及び認証の結果(成功又は失敗)を情報処理装置3が有する表示装置などに表示する。
【0021】
撮像装置2は、利用者の目の動画を撮影して情報処理装置3に入力する。撮像装置2は、例えば、赤外線カメラ、可視光カメラ、虹彩用のセンサ、又はモバイル端末に搭載されたカメラなどである。
【0022】
情報処理装置3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)31、メモリ32、入力装置33,表示装置34、通信装置35、及び補助記憶装置36を備える計算機によって構成される。
【0023】
CPU31は、プロセッサを含み、メモリ32に格納されたプログラムを実行する。メモリ32は、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)及び揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS(Basic Input/Output System))などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、CPU31が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0024】
補助記憶装置36は、例えば、磁気記憶装置(HDD(Hard Disk Drive))、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、CPU31が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置36から読み出されて、メモリ32にロードされて、CPU31によって実行される。
【0025】
入力装置33は、キーボードやマウスなどの、オペレータからの入力を受ける装置である。表示装置34は、ディスプレイ装置やプリンタなどの、プログラムの実行結果(例えば、登録処理結果や認証処理結果)をオペレータが視認可能な形式で表示する装置である。
【0026】
通信装置35は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。また、通信装置35は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインターフェースを含む。
【0027】
CPU31が実行するプログラムの一部またはすべては、非一時的記憶媒体であるリムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又は、非一時的記憶装置を備える外部計算機からネットワークを介して情報処理装置3に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置36に格納されてもよい。このため、情報処理装置3は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。これは、サーバ5についても同様である。
【0028】
CPU31は、例えば、機能部である生体認証処理部360を含む。生体認証処理部360は、例えば、いずれも機能部である、動画入力部361、動画処理部362、虹彩検出部363、遮蔽領域検出部364、遮蔽領域処理部365、特徴量抽出部366、テンプレート生成部367、及び生体認証部368を含む。
【0029】
生体認証処理部360は、目の動画から虹彩と虹彩の遮蔽領域を検出し、登録又は認証のために必要な処理を行う。動画入力部361は、撮像装置2から動画の入力を受け付ける。動画処理部362は、入力された動画から1つ以上の静止画を生成する。
【0030】
虹彩検出部363は、動画処理部362によって生成された各静止画から虹彩を検出する。遮蔽領域検出部364は、虹彩検出部363によって検出された虹彩を遮蔽している瞼、睫毛、及び鏡面反射などの遮蔽領域を検出する。遮蔽領域処理部365は、検出された遮蔽領域に対する処理を行う。
【0031】
特徴量抽出部366は、遮蔽領域処理部365の処理結果に基づき静止画から虹彩の特徴量を抽出する。テンプレート生成部367は、特徴量抽出部366によって抽出された特徴量から登録又は認証に用いるテンプレートを生成する。
【0032】
生体認証部368は、ネットワーク4を介してサーバ5と通信し、登録又は認証に関する処理を行う。例えば、登録処理において、生体認証部368は、サーバ5に登録の要求と、テンプレートと遮蔽領域を含む登録データと、を送信する。また、例えば、認証処理において、生体認証部368はサーバ5に登録データの要求を送信し、要求を受信したサーバ5は登録データを情報処理装置3へ送信する。生体認証部368は、認証処理時に生成したテンプレートをサーバ5から受信した登録データと照合し、生体認証を行う。
【0033】
例えば、CPU31は、メモリ32にロードされた動画入力プログラムに従って動作することで、動画入力部361として機能し、メモリ32にロードされた動画処理プログラムに従って動作することで、動画処理部362として機能する。CPU31に含まれる他の機能部についても、プログラムと機能部の関係は同様である。また、サーバ5のCPU51に含まれる後述する機能部についても、プログラムと機能部の関係は同様である。
【0034】
なお、CPU31及びサーバ5のCPU51に含まれる機能部による機能の一部又は全部が、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0035】
なお、補助記憶装置36、及びサーバ5の補助記憶装置56に格納されている一部又は全部の情報は、それぞれ、メモリ32、及びメモリ52に格納されていてもよいし、情報処理装置3、及びサーバ5に接続されているデータベースに格納されていてもよい。
【0036】
情報処理装置3は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で別個のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。これはサーバ5についても同様である。
【0037】
なお、本実施形態において、生体認証システム10が使用する情報は、データ構造に依存せずどのようなデータ構造で表現されていてもよい。本実施形態ではテーブル形式で情報が表現されているが、例えば、リスト、データベース又はキューから適切に選択したデータ構造体が、情報を格納することができる。
【0038】
サーバ5は、例えば、CPU51、メモリ52、入力装置53、表示装置54、通信装置55、及び補助記憶装置56を備えた計算機によって構成される。CPU51、メモリ52、入力装置53、表示装置54、通信装置55、及び補助記憶装置56のハードウェアとしての説明は、それぞれ、CPU31、メモリ32、入力装置33、表示装置34、通信装置35、及び補助記憶装置36のハードウェアとしての説明と同様であるため省略する。
【0039】
CPU51は、例えば、機能部であるデータ処理部570を含む。データ処理部570は、例えば、いずれも機能部である、データ登録部571及びデータ取得部572を含む。データ処理部570は、情報処理装置3から受信したデータ及びデータベース560に格納されたデータに対する処理を実行する。
【0040】
データ登録部571は、情報処理装置3から登録要求と登録データを受信した場合に、データベース560に登録データを保存する。データ取得部572は、情報処理装置3から認証要求を受信した場合にデータベース560に格納されている登録データを取得し、情報処理装置3へ送信する。
【0041】
補助記憶装置56は、データベース560を保持する。データベース560は、各利用者の登録データ(例えば、後述するテンプレート及び遮蔽領域を含むデータ)を保持する。
【0042】
なお、生体認証部368の実施場所は
図1の構成に限られず、情報処理装置3が生体認証を行う場合とサーバ5で生体認証を行う場合と、がありうる。サーバ5が生体認証を行う場合は、情報処理装置3はサーバ5に認証の要求を送信し、要求を受信したデータ取得部572は登録されている遮蔽領域のみを情報処理装置3へ送信する。情報処理装置3は、受信した登録時遮蔽領域を基に遮蔽領域処理、特徴抽出、及びテンプレート生成を行い、生成されたテンプレートを認証データとしてサーバ5に送信し、サーバ5が生体認証を行う。
【0043】
図2と
図3を用いて本実施例に係る登録処理と認証処理を説明する。登録処理において、情報処理装置3は、認証時の遮蔽領域を想定した想定遮蔽領域を1つ以上生成し、各想定遮蔽領域と、検出された登録時遮蔽領域と、を融合してから特徴量抽出とテンプレート生成をそれぞれ行い、生成されたテンプレートを融合遮蔽領域と併せてサーバ5に登録する。認証処理において、情報処理装置3は、登録時の融合遮蔽領域と、認証時の遮蔽領域を融合してから特徴量抽出、テンプレート生成、及び認証を行う。
【0044】
図2は、生体認証システム10が利用者の虹彩情報を登録する登録処理の一例を示すシーケンス図である。ステップS201では、撮像装置2は利用者の目の動画を、例えば所定時間撮影し、動画入力部361は撮影された動画の入力を受け付ける。なお、ステップS201において、撮像装置2は、動画ではなく1つ以上の静止画を撮影してもよい。この場合、ステップS202の処理は省略される。
【0045】
ステップS202では、動画処理部362が、ステップS201で入力された動画を1つ以上の静止画へ変換する。なお、動画処理部362は、動画内の全てのフレームを静止画へ変換してもよいし、動画内の一部のフレームのみを静止画に変換してもよい。また、動画処理部362は、変換した静止画それぞれの画像品質を判定し、画像品質が所定値未満の静止画を削除してもよく、この場合、削除した静止画に対して以降の処理が行われなくてもよい。
【0046】
ステップS203では、虹彩検出部363は、ステップS202で生成された静止画を1つ選択し、選択した静止画(目の画像)から虹彩を検出する。具体的には、例えば、虹彩検出部363は、虹彩の輪郭と、瞳孔の輪郭と、を検出し、虹彩の輪郭と瞳孔の輪郭の間に位置する領域を虹彩として検出する。
【0047】
ステップS204では、遮蔽領域検出部364は、直近のステップS203において選択した静止画において、検出された虹彩を遮蔽している瞼、睫毛、及び鏡面反射などの遮蔽物を検出し、遮蔽物がある領域を遮蔽領域として出力する。ステップS203及びS204における虹彩や遮蔽領域の検出方法の具体例については、
図4を用いて後述する。
【0048】
ステップS205では、生体認証処理部360は、ステップS202にて生成された全ての静止画に対してステップS203及びステップS204の処理が実行されたかを判定する。生体認証処理部360は、ステップS203及びステップS204の処理が実行されていない静止画があると判定した場合(S205:NO)、ステップS203に戻る。生体認証処理部360は、全ての静止画に対してステップS203及びステップS204の処理が実行された判定した場合(S205:YES)、ステップS206に遷移する。
【0049】
ステップS206では、遮蔽領域処理部365は、登録に用いる画像(静止画)を1つ以上選択する。具体的には、例えば、遮蔽領域処理部365は、ステップS203及びS204で検出された虹彩と遮蔽領域を基に、虹彩全体に占める遮蔽領域によって遮蔽されている割合を静止画それぞれについて算出し、遮蔽割合が所定範囲以内かつ最小(又は小さい順に所定数)の画像を選択する。
【0050】
また、遮蔽領域処理部365は、ステップS202で生成された連続する静止画それぞれについて、検出された虹彩と遮蔽領域に基づいて特徴量抽出とテンプレート生成を行い(例えば、後述するステップS208及びステップS209と同様の方法で特徴量抽出及びテンプレート生成を行う)、静止画それぞれのテンプレートについて、他の静止画から生成されたテンプレートそれぞれと照合を行い、照合結果に基づいて静止画を選択してもよい。
【0051】
具体的には、例えば、遮蔽領域処理部365は、静止画それぞれについて、他のテンプレートとの照合結果のうち上位N件のスコア(類似度)のみを取得し、上位N件のスコアの平均が最も高い(又は平均が高い順に所定数の)静止画を選択する。また、例えば、遮蔽領域処理部365は、静止画それぞれについて、他のテンプレートとの照合結果のうちスコアが所定の閾値以上であるテンプレートの件数が最も多い(又は件数が多い順に所定数の)静止画を選択してもよい。また、例えば、遮蔽領域処理部365は、照合結果に基づいて静止画をクラスタリングし、要素の数が最も多いクラスタに属するクラスタの中心に最も近い(又は中心に近い順に所定数の)静止画を選択してもよい。なお、上述の選択方法は一例であり、別の方法を用いて静止画が選択されてもよい。
【0052】
なお、ステップS206で複数の静止画が選択された場合は、ステップS207の以降の処理が各選択画像に対して行われる。説明の簡略化のため、以降の説明ではステップS206にて静止画が1つだけ選択されたとする。
【0053】
ステップS207では、遮蔽領域処理部365は、想定される遮蔽領域である想定遮蔽領域と、ステップS206で選択された画像のステップS204で検出された遮蔽領域と、を融合することで、融合遮蔽領域を生成する。遮蔽領域処理部365は、例えば、想定遮蔽領域を、検出された遮蔽領域と同一サイズにして重ね合わせ、加算や乗算などの処理によって1つの領域を生成することで融合遮蔽領域を生成する。
【0054】
想定遮蔽領域は、例えば、上瞼や上睫毛等を模したマスク画像や遮蔽が発生する領域を確率的に表した重み付きマスク画像等である。また、想定遮蔽領域は、予め生成された領域でもよいし、各静止画から検出された遮蔽領域に基づいて生成されてもよい(例えば、ステップS202で得られた又はステップS206で選択された複数の静止画を用いて、各画素について遮蔽が発生する確率を示す重み付きマスク画像が生成される等)。想定遮蔽領域の具体例は
図5にて説明する。
【0055】
なお、例えば、想定遮蔽領域が上記した重み付きマスクで定義されている場合、遮蔽領域処理部365は、ステップS204で検出された遮蔽領域と、重み付きマスクで示された想定遮蔽領域と、を同一サイズにして重ね合わせたとき、ステップS204の遮蔽領域に該当する、又は重み付きマスクが示す確率が所定値以上である、画素を融合遮蔽領域における遮蔽領域に決定する。
【0056】
また、例えば、遮蔽領域処理部365は、ステップS204で検出された遮蔽領域の画素の値を0、非遮蔽領域の画素の値を1とした場合、重み付きマスクで示される遮蔽が発生する確率を基に、ステップS204で検出された遮蔽領域と重み付きマスクで示された想定遮蔽領域を同一サイズにして重ね合わせて乗算するなどによって、0から1の間の値を要素とする融合遮蔽領域を生成してもよい。このとき、遮蔽領域の画素と非遮蔽領域の画素の値は0と1に限られない。
【0057】
遮蔽領域処理部365は、想定遮蔽領域と、検出された遮蔽領域と、を融合することによって、登録時の遮蔽領域とは異なる認証時の遮蔽領域(つまり登録時には遮蔽されなかったものの認証時に遮蔽される可能性が高い領域)を想定した登録を行うことができる。この時に、1つ以上の想定遮蔽領域を用意し、検出された遮蔽領域をそれぞれと融合して複数の融合遮蔽領域を生成してもよい。
【0058】
また、遮蔽領域処理部365は、生体情報の特徴量が抽出される前に、融合遮蔽領域を生成するため、後述するステップS208において、特徴量抽出部368は、遮蔽が考慮された状態で任意の種類の特徴量を抽出することができる。
【0059】
ステップS208では、特徴量抽出部368は、ステップS206で選択された画像に含まれるステップS203で検出された虹彩と、ステップS207で生成された融合遮蔽領域と、に基づいて特徴量を抽出する。具体的には、例えば、特徴量抽出部368は、ステップS206で選択された画像において、ステップS203で検出された虹彩から、ステップS207で生成された融合遮蔽領域を除いた領域を虹彩領域に決定し、当該虹彩領域から特徴量を抽出する。別の例として、特徴量抽出部368は、ステップS206で選択された画像において、ステップS203で検出された虹彩とステップS207で生成された融合遮蔽領域を重ね合わせ、乗算処理やマスク処理などを行い、その結果として得られた虹彩に対して特徴量抽出を行ってもよい。また、特徴量抽出部368は、ステップS206で選択された画像において、ステップS203で検出された虹彩から特徴量(例えば、虹彩と同一サイズの位相情報)を抽出し、その特徴量に対して融合遮蔽領域に該当する領域を除外した結果や、ステップS207で生成された融合遮蔽領域を重ね合わせて乗算処理やマスク処理を行った結果を最終特徴量としてもよい。これらの遮蔽領域に基づく特徴量抽出は一例であり、他の手法によって遮蔽領域に基づく特徴量抽出を行ってもよい。
【0060】
なお、ステップS204の遮蔽領域検出、ステップS207の遮蔽領域処理、及びステップS208の特徴量抽出は、それぞれ、ステップS203で検出された虹彩の中点を原点とした極座標系において行ってもよい。例えば、ステップS203で検出された虹彩を基に虹彩を極座標系へと変換し、極座標系にて遮蔽領域検出、遮蔽領域処理、特徴量抽出を実行してもよい。また、例えば、特徴量抽出のみを極座標系にて行ってもよい。また、例えば、直交座標系又は極座標系の一方において行った処理結果を、他方の座標系に反映してもよい。
【0061】
ステップS209では、テンプレート生成部367は、ステップS208で抽出された特徴量から生体認証用のテンプレートを生成する。具体的には、例えば、テンプレート生成部367は、元の生体情報が復元できないようなテンプレートを、特徴量から生成する。
【0062】
公開型生体認証基盤(PBI:Public Biometrics Infrastructure)の技術に基づいて生体情報から変換されたPBIテンプレートは、元の生体情報が復元できないテンプレートの一例である。テンプレート生成部367は、他の技術に基づいて生体情報から元の生体情報が復元できないテンプレートの変換や生成をしてもよい。
【0063】
なお、ステップS204及びステップS207の処理が省略されて、想定遮蔽領域のみが考慮されてステップS208の特徴量抽出、及びステップS209のテンプレート生成が行われてもよい。この場合、想定遮蔽領域を融合遮蔽領域として、ステップS210以降の処理に進む。
【0064】
ステップS210では、生体認証部368は、ステップS209で生成されたテンプレートとステップS207で生成した融合遮蔽領域を含む登録データを、登録要求と共にネットワーク4を介して、サーバ5に送信する。
【0065】
ステップS211では、サーバ5のデータ登録部571は、ステップS210で送信された登録要求と登録データをサーバ5が受信する。ステップS212では、データ登録部571は、ステップS211で受信した登録データをデータベース560に保存する。なお、ステップS207において複数の融合遮蔽領域が生成された場合、ステップS208からステップS212の処理が融合遮蔽領域ごとに実行される。
【0066】
図3は、生体認証システム10が利用者の虹彩情報に基づいて生体認証を行う認証処理の一例を示すシーケンス図である。ステップS301からステップS304の処理は、それぞれ、ステップS201からステップS204と同様の処理であるため説明を省略する。ただし、説明の簡略化のため、ステップS302では静止画を1つだけ生成したとする。
【0067】
ステップS305では、生体認証部368は、ネットワーク4を介してサーバ5へ登録データ要求を送信する。ステップS306では、サーバ5のデータ取得部572は、受信した登録データ要求に従って、登録データをデータベース560から取得する。なお、複数のデータがデータベース560に登録されている場合、データ取得部572は、当該複数の登録データ全てをデータベース560から取得する。ステップS307では、データ取得部572は、ステップS306でデータベース560から取得した登録データを全て情報処理装置3へ送信する。ステップS308では、生体認証部368は、ステップS307で送信された登録データを受信する。
【0068】
なお、ステップS305からステップS308の処理は、ステップS309の処理より前であればいつ実行されてもよい。例えば、ステップS301の処理の後に、ステップS305からステップS308の一連の処理が実行されてから、ステップS302からステップS304の処理が実行されてもよい。また、例えば、ステップS305からステップS308の一連の処理が実行されている最中にステップS301からステップS304の処理が実行されてもよい。
【0069】
以下、ステップS309からステップS312の処理を説明するが、説明の簡略化のため、ステップS308では生体認証部368は登録データを1つだけ受信したものとする。なお、ステップS308において生体認証部368が複数の登録データを受信した場合、ステップS309からステップS312の処理は登録データそれぞれ(又は複数の登録データの一部)について実行される。このとき、例えば、各登録データに含まれる登録融合遮蔽領域がステップS304で検出された遮蔽領域と最も類似している(又は類似している順に所定数の)登録データに対して以降の処理が実行されてもよい。
【0070】
ステップS309では、遮蔽領域処理部365は、ステップS308で受信した登録データに含まれる融合遮蔽領域と、ステップS304で検出された遮蔽領域と、を融合することで、認証融合遮蔽領域を生成する。遮蔽領域処理部365が、登録された融合遮蔽領域と、認証時の遮蔽領域と、を融合することによって、後に実行される特徴量抽出及びテンプレート生成時に認証時の遮蔽領域に加えて、登録時の遮蔽領域が考慮される。
【0071】
但し、例えば、認証時に生成された認証融合遮蔽領域が登録融合遮蔽領域より所定数倍以上(所定数は1より大きい)の大きさである場合、特徴量抽出に用いられる虹彩領域が登録時に比べて大幅に減少しており、認証失敗に繋がる可能性がある。そのため、認証融合遮蔽領域が登録融合遮蔽領域より所定数倍以上の大きさである場合、遮蔽領域処理部365は、登録融合遮蔽領域を認証融合遮蔽領域として扱ってもよい。
【0072】
なお、ステップS304及びステップS309の処理が省略されてもよい。つまり、認証処理を高速に実行するために、認証時に取得された静止画に含まれる遮蔽領域が考慮されることなく、認証処理が行われてもよい。
【0073】
ステップS310では、特徴量抽出部366は、ステップS302の動画処理で生成された画像のステップS303の虹彩検出で検出された虹彩と、ステップS309で生成された認証融合遮蔽領域と、に基づいて、特徴量を抽出する。この特徴量抽出処理は、ステップS208の特徴量抽出と同様の処理であり、具体的には、例えば、特徴量抽出部368は、ステップS302で生成された画像において、ステップS303で検出された虹彩から、ステップS309で生成された認証融合遮蔽領域を除いた領域を虹彩領域に決定し、当該虹彩領域から特徴量を抽出する。
【0074】
ステップS311の処理は、ステップS209と同様の処理であるため説明を省略する。ステップS312では、生体認証部368は、サーバ5から取得した登録データに含まれる登録テンプレートと、ステップS311で生成された認証テンプレートと、を用いた生体認証を実行する。
【0075】
生体認証部368は登録テンプレートと認証テンプレートを照合して、類似度を算出し、算出した類似度に基づいて両者が類似しているかを判定する。生体認証部368は、当該両者が類似していると判定した場合は認証成功と判定し、類似していないと判定した場合は認証失敗と判定する。なお、ステップS308において複数の登録データを情報処理装置3が受信した場合、生体認証部368は、例えば、登録データに含まれる登録テンプレートそれぞれと、ステップS311で生成された認証テンプレートと、の類似度のうち最も高い類似度を最終類似度に決定し、最終類似度に基づいて、登録テンプレートと認証テンプレートが類似しているかを判定する。
【0076】
なお、上述の例ではステップS302の動画処理で静止画が1つ生成されたものとして以降の処理を説明したが、ステップS302で複数の静止画が生成されてもよい。複数の静止画が生成された場合のステップS303以降の処理の具体例を3つ説明する。なお、画像の選択方法は、下記の3つの例に限定されない。
【0077】
1つ目の例では、情報処理装置3は、1つの静止画を選択し、ステップS303の虹彩検出及びステップS304の遮蔽領域検出処理を当該選択した静止画に対して実行する。情報処理装置3は、検出された遮蔽領域によって遮蔽されている、検出された虹彩の領域の割合である遮蔽割合を算出し、遮蔽割合が所定値以内であれば、当該選択した静止画に対してステップS305以降の処理を実行し、遮蔽割合が所定値を超えていれば異なる静止画を1つ選択して再度ステップS303の処理に戻る。なお、全ての静止画の遮蔽割合が所定値を超える場合には、ステップS301の処理に戻るとよい。
【0078】
2つ目の例では、情報処理装置3は、ステップS303及びステップS304を、ステップS302で生成した全ての静止画に対して行って遮蔽割合を算出し、虹彩の遮蔽割合が最も小さい画像を1つ選択してステップS305以降の処理に進む。なお、全ての静止画の遮蔽割合が所定値を超える場合には、ステップS301の処理に戻るとよい。
【0079】
3つ目の例では、情報処理装置3は、ステップS303及びステップS304の処理をステップS302で生成した全ての静止画に行い、各静止画において、検出された虹彩と遮蔽領域を基づいて、同様の方法で特徴量抽出とテンプレート生成を行う(例えば、ステップS208及びステップS209と同様の方法で特徴量抽出及びテンプレート生成を行う)。情報処理装置3は、静止画それぞれのテンプレートについて、他の静止画から生成されたテンプレートそれぞれと照合を行い、照合結果に基づいて静止画を選択してもよい。照合結果に基づく静止画の選択方法はステップS206で説明した方法と同様のため、説明を省略する。
【0080】
また、本実施例では情報処理装置3が生体認証を行う例を説明したが、サーバ5が生体認証を行ってもよい。サーバ5が生体認証を行う場合、ステップS306においてサーバ5は登録されている融合遮蔽領域のみを登録データとしてデータベース560から取得し、ステップS307において、取得した登録データを情報処理装置3へ送信する。情報処理装置3は、受信した融合遮蔽領域を基にステップS309の遮蔽領域処理、ステップS310の特徴抽出、及びステップS311のテンプレート生成を行い、生成したテンプレートを認証データとしてサーバ5に送信し、サーバ5がステップS312の生体認証を行う。
【0081】
なお、
図2の登録処理において、テンプレートと融合遮蔽領域の複数の組み合わせ(登録データ)が登録された場合には、例えば、当該複数の組み合わせそれぞれに対して
図3の認証処理が行われ、当該複数の組み合わせのうち、ステップS312において最も高い類似度を示した認証結果が採用されるとよい。
【0082】
図4は、撮像された目の画像から虹彩検出部363と遮蔽領域検出部364がそれぞれ検出する虹彩と遮蔽領域の例を示す説明図である。
図4(a)は、撮像された目の画像の一例である。
図4(b)は、虹彩検出部363が検出する虹彩輪郭11と瞳孔輪郭12の一例である。
図4(c)は、虹彩検出部363が検出した虹彩13の一例である。虹彩13は、例えば、虹彩輪郭11と瞳孔輪郭12の間の領域で定義される。
図4(d)は、遮蔽領域検出部364が検出する瞼、睫毛、及び鏡面反射などを含む遮蔽領域14の一例である。
【0083】
図4に示す虹彩輪郭11、瞳孔輪郭12、及び遮蔽領域14の検出方法としては、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)をはじめとする教師データを用いた機械学習による分離方法が適用できる。
【0084】
機械学習を用いた検出方法では、事前に様々な環境で様々な被験者の目が大量に撮影され、各画像に虹彩、瞳孔、瞼、睫毛、及び鏡面反射などの部分を定義するラベルが作成され、各画像とそのラベルとのペアが教師データとして蓄積される。そして、教師データの画像を入力した時にそのラベルができるだけ正しく出力されるように機械学習のパラメータ学習を行う。
【0085】
これにより、未知の画像が入力された時に虹彩、瞳孔、瞼、睫毛、及び鏡面反射などの領域を取得することができる。虹彩検出部363は、取得された虹彩領域と瞳孔領域の外周を辿ることにより、虹彩輪郭及び瞳孔輪郭を取得することができ、遮蔽領域検出部364は、瞼、睫毛、及び鏡面反射などの領域から遮蔽領域を取得することができる。また、虹彩検出部363は、この時に取得した虹彩領域を虹彩13として出力してもよい。
【0086】
上述の機械学習を用いた検出方法は一例であり、別の手法を用いた検出が行われてもよい。例えば、虹彩検出部363は、ハフ変換を用いて画像内の円を2つ検出し、検出された円の大きさに基づき、大きい円を虹彩輪郭、小さい円を瞳孔輪郭として検出してもよい。
【0087】
また、別の検出方法の例として、画素値に基づいた分離方法などもある。例えば、一般的に虹彩の外周が白く、虹彩の内側にある瞳孔が黒いため、虹彩検出部363は、この性質を利用し、画像内の画素値に基づいて虹彩や瞳孔の輪郭の検出を行ってもよい。
【0088】
図5は、ステップS207で利用される想定遮蔽領域の例を示す説明図である。
図5(a)は、上瞼や上睫毛が虹彩13の上部を遮蔽する場合の想定遮蔽領域15の一例である。
図5(b)は、下瞼や下睫毛が虹彩13の下部を遮蔽する場合の想定遮蔽領域15の一例である。
図5(c)は、両瞼や睫毛が虹彩13の上下部を遮蔽する場合の想定遮蔽領域15の一例である。
【0089】
図5(d)は、上瞼や上睫毛が虹彩13の上右部を遮蔽する場合の想定遮蔽領域の一例である。
図5(e)は、鏡面反射によって虹彩13の一部が遮蔽される場合の想定遮蔽領域の一例である。
図5(f)は、瞼、睫毛、鏡面反射などによる遮蔽領域がない場合の想定遮蔽領域である。なお、ステップS207で利用される想定遮蔽領域は
図5で示したものに限定されず、例えば、想定遮蔽領域は
図5に示された各例の組み合わせなどによっても実現され得る。
【0090】
図5に示す想定遮蔽領域の生成方法について説明する。例えば、遮蔽領域が発生する確率に基づいて想定遮蔽領域を生成する方法がある。予め様々な環境で様々な被験者の目が大量に撮影され、遮蔽領域検出部364は、撮影された目の画像それぞれから虹彩の遮蔽領域を検出し、検出した遮蔽領域に基づいて想定遮蔽領域を生成する。例えば、遮蔽領域検出部364は、検出された遮蔽領域の発生傾向を基に虹彩の一部(例えば上部)の一定割合、が遮蔽されるような遮蔽領域を生成する。また、遮蔽領域検出部364は、例えば、検出された遮蔽領域を基に各画素位置にて遮蔽領域が発生する確率を算出し、その確率を重みとする重み付き想定遮蔽領域を生成してもよい。
【0091】
なお、別の手法を用いて想定遮蔽領域が生成されてもよい。例えば、遮蔽領域検出部364は、登録時に撮影された各静止画から検出された遮蔽領域を用いて、上述と同様の方法(検出された遮蔽領域の発生傾向に基づく虹彩の一部が遮蔽されるような遮蔽領域の生成や、各画素位置にて遮蔽領域が発生する確率に基づく重み付き想定遮蔽領域の生成)で、想定遮蔽領域を生成してもよい。また、遮蔽領域検出部364は、機械学習などを用いて登録時に選択された静止画に対して想定遮蔽領域を生成してもよい。
【0092】
以上、本実施例に係る生体認証システム10は、登録時には、認証時の遮蔽領域を想定した想定遮蔽領域を登録時に検出された遮蔽領域と融合してから特徴量抽出とテンプレート生成をそれぞれ行い、テンプレートと融合遮蔽領域を併せて登録する。生体認証システム10は、認証時には、認証時に検出された遮蔽領域を登録時の融合遮蔽領域と融合してから特徴量抽出、及びテンプレート生成及び認証を行う。
【0093】
これにより、本実施例の生体認証システム10は、認証時の遮蔽領域を想定したテンプレート登録を行うことができ、認証時に利用者の利便性を損ねることなく遮蔽領域による認証失敗を軽減することができる。また、生体認証システム10は、想定遮蔽領域と検出した遮蔽領域との融合処理を行った後に、融合遮蔽領域に基づいて虹彩の特徴量抽出を行うため、虹彩認証に用いる特徴量の形式や手法に制限がない。
本実施例では、実施例1との相違点を主に説明し、実施例1との共通点については説明を適宜省略する。本実施例の生体認証システム10は、登録処理では、検出した登録時の遮蔽領域に基づいて特徴量抽出とテンプレート生成を行い、生成したテンプレートと遮蔽領域を併せて登録する。本実施例の生体認証システム10は、認証処理では、認証時の遮蔽領域内の画素値を別の値(つまり、遮蔽領域がない場合において、当該遮蔽領域に撮像されると予測される虹彩領域としての予測画素値)に置換する処理を検出された虹彩に対して行い、遮蔽領域内の画素値を置換された虹彩と登録時の遮蔽領域に基づいて特徴量抽出、テンプレート生成及び認証処理を行う。
ステップS601では、特徴量抽出部366は、ステップS206で選択された画像のステップS203で検出された虹彩と、ステップS204で検出された遮蔽領域と、に基づいて(例えば、虹彩から遮蔽領域を除外した領域から)、特徴量を抽出する。ステップS602では、テンプレート生成部367は、ステップS601で抽出された特徴量から生体認証用のテンプレートを生成する。テンプレート生成方法は、ステップS209と同様であるため説明を省略する。
ステップS603では、生体認証部368は、ステップS602で生成されたテンプレートとステップS204で検出された遮蔽領域を含む登録データを生成し、登録要求と登録データを、ネットワーク4を介してサーバ5に送信する。
ステップS211の処理が実行された後に、ステップS604において、データ登録部571は、受信した登録データ(つまりステップS602で生成されたテンプレートとステップS204で検出された遮蔽領域を含む登録データ)をデータベース560に登録する。
ステップS305に続いて、ステップS701では、データ取得部572は、テンプレートと遮蔽領域を含む登録データを取得する。ステップS702では、データ取得部572は、ステップS701で取得した、テンプレートと遮蔽領域を含む登録データを情報処理装置3に送信する。ステップS703では、情報処理装置3の生体認証部368は、テンプレートと遮蔽領域を含む登録データを受信する。また、ステップS305の処理及びステップS701からステップS703までの処理は、ステップS705の処理より前であればいつ実行されてもよい。
ステップS704では、遮蔽領域処理部365は、ステップS303にて検出された虹彩に含まれる、ステップS304にて検出された遮蔽領域内の各画素値を別の値に置換する。遮蔽領域処理部365は、検出された遮蔽領域内の画素値を置換することによって、遮蔽領域を実際の虹彩に近いものに補完でき、遮蔽領域に起因する認証失敗を軽減することができる。なお、ステップS704の処理が省略されてもよい。
置換処理の第1の例では、遮蔽領域処理部365は、ステップS302で取得された静止画の遮蔽領域内の全画素値を、当該静止画において検出された遮蔽領域を除いた虹彩の平均画素値に置換する。
置換処理の第2の例では、予め様々な環境で様々な被験者の目の画像が大量に撮影され、遮蔽領域処理部365は、当該目の画像それぞれについて、虹彩と遮蔽領域を検出して遮蔽領域を除いた虹彩の平均画素値を算出し、ステップS302で取得された静止画の遮蔽領域内の全画素値を、各目の画像について算出した平均画素値の平均値に置換する。
置換処理の第3の例では、予め様々な環境で様々な被験者の目の画像が大量に撮影され、遮蔽領域処理部365は、当該目の画像それぞれから虹彩を検出し、検出された虹彩内の各画素位置について平均画素値を算出する。遮蔽領域処理部365は、ステップS302で取得された静止画の遮蔽領域内の各画素値を、当該画素位置の平均画素値へ置換する。なお、遮蔽領域処理部365は、各画素位置における平均画素値の算出時に、当該目の画像それぞれから遮蔽領域を検出し、非遮蔽領域となっている虹彩の画素値のみを用いて平均画素値を算出してもよい。
置換処理の第4の例では、遮蔽領域処理部365は、ステップS302で取得された静止画の遮蔽領域内の画素それぞれを、当該画素位置に最も近い非遮蔽領域の虹彩画素値に置換する。また、遮蔽領域処理部365は、例えば、当該静止画の、非遮蔽領域に接する遮蔽領域の画素それぞれを、当該画素の近傍の非遮蔽領域の画素(例えば、当該画素に近い順に所定数の非遮蔽領域の画素)の平均画素値で置換することで非遮蔽領域に変換する処理、を繰り返す(2回目以降の当該処理では置換後の画素は非遮蔽領域の画素として扱われる)ことで、元の非遮蔽領域から近い画素から順に遮蔽領域の全ての画素の置換を行ってもよい。
置換処理の第5の例では、遮蔽領域処理部365は、機械学習を用いて、ステップS302で取得された静止画において遮蔽領域がない場合の虹彩画素値を予測し、当該静止画の遮蔽領域の各画素値を、当該予測した値へと置換する。
なお、本実施例では、認証時に取得された静止画に含まれる虹彩の遮蔽領域内の画素に対して置換処理が行われているが、例えば、登録時においても、ステップS205の前に、登録時に取得された静止画に含まれる虹彩の遮蔽領域内の画素に対しても置換処理が行われてもよい。但し、登録時及び認証時ともに、上記した置換処理の第2の例又は第3の例で置換が行われると、認証における他人受入率が上昇してしまうため、登録時又は認証時の一方において、置換処理の第2の例又は第3の例で置換が行われる場合には、登録時又は認証時の他方においては、置換処理の第2の例及び第3の例以外の方法で置換が行われることが望ましい。なお、登録時に置換処理が実行された場合には、ステップS603では、ステップS602で生成されたテンプレートのみを登録データとするか、虹彩の全画素位置にて非遮蔽領域となっている遮蔽領域を生成して登録データに含まれる遮蔽領域とする。
ステップS705では、特徴量抽出部366は、ステップS703で受信した登録データの登録遮蔽領域と、ステップS704で遮蔽領域内の画素値が置換された虹彩と、を基に特徴量を抽出する。この特徴量抽出処理は、ステップS208の特徴量抽出と同様の処理であり、具体的には、例えば、特徴量抽出部366は、遮蔽領域内の画素値が置換されたことにより補完された虹彩から、登録遮蔽領域を除いた領域を虹彩領域に決定し、当該決定した虹彩領域から特徴量を抽出する。なお、ステップS704の処理が省略された場合は、特徴量抽出部366は、ステップS303で検出された虹彩から、ステップS703で受信した登録データの登録遮蔽領域に基づいて当該虹彩から特徴量を抽出する。
なお、上述した例ではステップS302の動画処理で静止画が1つ生成された例を説明したが、ステップS302で複数の静止画が生成されてもよい。複数の静止画が生成された場合のステップS303以降の処理の具体例は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
なお、ステップS302で複数の静止画が生成された場合、遮蔽領域処理部365は、ステップS704における虹彩の置換処理の置換内容をステップS702で生成された複数の静止画に基づいて算出してもよい。続いて、ステップS705、ステップS311及びステップS312の処理が実行されて認証処理が終了する。
ステップS804では、遮蔽領域処理部365は、各静止画から検出された虹彩と遮蔽領域に基づいて置換内容の算出を行う。以下、置換内容の算出方法の3つの具体例を説明するが、以下の例に限られない。
置換内容の算出方法の第1の例では、遮蔽領域処理部365は、各静止画から検出された虹彩内の各画素位置の平均画素値を算出し、算出した各平均画素値を置換内容に決定する。なお、遮蔽領域処理部365は、静止画それぞれから遮蔽領域を検出し、非遮蔽領域となっている虹彩の画素値のみを用いて平均画素値を算出してもよい。
置換内容の算出方法の第2の例では、遮蔽領域処理部365は、静止画それぞれについて、検出された虹彩及び遮蔽領域を基に特徴量抽出とテンプレート生成を行い、他の静止画から同様に生成されたテンプレートと照合を行う。遮蔽領域処理部365は、ステップS704において処理されている虹彩の静止画以外の静止画を照合結果に基づいて選択し、処理中の虹彩の遮蔽領域と同領域内の、選択した静止画の各画素値を置換内容に決定する。なお、照合結果に基づく置換先画像の選択方法はステップS206で説明した方法と同様のため、説明を省略する。
置換内容の算出方法の第3の例では、遮蔽領域処理部365は、ステップS704において処理されている虹彩画像(第1の虹彩画像)から検出された第1の虹彩及び遮蔽領域と、それとは別の虹彩画像(第2の虹彩画像)から検出された第2の虹彩及び遮蔽領域を基に照合を実施し、照合結果を基に第1の虹彩と第2の虹彩の位置合わせを行い、位置合わせ後の第2の虹彩の画素値を、第1の虹彩画像の遮蔽領域の画素の置換内容に決定する。
つまり、遮蔽領域処理部365は、第1の虹彩の遮蔽領域内の各画素において、第2の虹彩の対応する画素を参照し、当該対応する画素が遮蔽領域でない場合、第1の虹彩の遮蔽領域内の当該画素を、第2の虹彩の対応する画素に置換する。
また、例えば、第2の虹彩以外にも、位置合わせ後の第3の虹彩、及び第4の虹彩などが存在する場合は、遮蔽領域処理部365は、第1の虹彩において遮蔽領域内の画素を全て置換する、又は位置合わせ後の虹彩の全てに基づいて処理を行うまで、第2の虹彩から順に、第1の虹彩の遮蔽領域に対応する画素が遮蔽領域でない場合に、位置合わせ後の虹彩の当該画素に置換してもよい。このとき、遮蔽領域処理部365は、第2の虹彩、及び第3の虹彩などの順番は、例えば、第1の虹彩との照合結果に基づいて決定してもよい。また、第1の虹彩の遮蔽領域内の各画素を位置合わせ後の各虹彩の平均画素値に置換してもよい。このとき、遮蔽領域処理部365は、非遮蔽領域となっている虹彩の画素値のみを用いて平均画素値を算出してもよい。なお、上記したこの置換内容の算出方法の第3の例の処理は、第1の虹彩の非遮蔽領域に適用することも可能である。その場合、第1の虹彩と、位置合わせ後の1つ以上の虹彩の対応する非遮蔽領域の位置の画像と、の平均画素値で置換してもよい。
なお、照合結果に基づく画像の選択方法はステップS206で説明した方法と同様のため、説明を省略する。これらの複数静止画に基づく置換内容算出方法は一例であり、置換内容の算出方法はこれらに限定されない。
以上、本実施例に係る生体認証システム10は、登録時には、検出した遮蔽領域に基づいて特徴量抽出とテンプレート生成を行い、生成しテンプレートと検出遮蔽領域とを併せて登録する。また、生体認証システム10は、認証時には、検出した遮蔽領域内の虹彩画素値を虹彩に似た値に置換し、登録時の遮蔽領域と遮蔽領域内の画素値を置換された虹彩に基づいて特徴量抽出、テンプレート生成、及び認証を行う。
本実施例の生体認証システム10は、認証時の遮蔽領域を置換することによって虹彩の補完ができ、認証時に利用者の利便性を損ねることなく遮蔽領域による認証失敗を軽減することができる。また、本実施例の生体認証システム10は、遮蔽領域内の画素値の置換を特徴量抽出処理よりも前に行うため、虹彩認証に用いる特徴量の形式や手法に制限がない。