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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124191
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】空調用レジスタ
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20230830BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027810
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595115581
【氏名又は名称】株式会社浜名プラスチック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山村 祐太
(72)【発明者】
【氏名】氏江 高志
(72)【発明者】
【氏名】長坂 春樹
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081FA04
3L081FB01
3L081FC01
3L211BA52
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】効率的に組み立てることができる空調用レジスタを提供する。
【解決手段】空調用レジスタは、通風路を囲む4つの壁部として互いに対向する一対の第1壁部及び互いに対向する一対の第2壁部を備えるリテーナと、第1壁部に隣接した状態で配置される第1シム27,28と、第2壁部に隣接した状態で配置される第2シム29,30と、一対の第1壁部の対向する方向へ延び且つ端部の第1フィン軸49により第1シム27,28に回転可能に支持される下流フィン47と、一対の第2壁部の対向する方向へ延び且つ端部の第2フィン軸53により第2シム29,30に回転可能に支持される上流フィン48とを備える。第1シム27,28の端部及び第2シム29,30の端部には、それぞれ貫通孔35,36及び凸部43,45が設けられる。貫通孔35,36と凸部43,45とは、下流フィン47の延びる方向において連結可能に構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気の通風路を形成し、且つ前記通風路を囲む4つの壁部として互いに対向する一対の第1壁部及び互いに対向する一対の第2壁部を備えるリテーナと、
前記通風路に面し、且つ前記第1壁部に隣接した状態で配置される第1シムと、
前記通風路に面し、且つ前記第2壁部に隣接した状態で配置される第2シムと、
一対の前記第1壁部の対向する方向へ延び、且つ端部のフィン軸により前記第1シムに回転可能に支持される下流フィンと、
前記空調用空気の流れ方向における前記下流フィンよりも上流側で一対の前記第2壁部の対向する方向へ延び、且つ端部のフィン軸により前記第2シムに回転可能に支持される上流フィンと、
を備えた空調用レジスタであって、
前記第1シムの端部及び前記第2シムの端部には、それぞれ第1連結部及び第2連結部が設けられ、
前記第1連結部と前記第2連結部とは、前記下流フィンの延びる方向または前記上流フィンの延びる方向において連結可能に構成されていることを特徴とする空調用レジスタ。
【請求項2】
前記第1シムは、一対の前記第1壁部に隣接した状態でそれぞれ配置され、
前記第2シムは、一対の前記第2壁部に隣接した状態でそれぞれ配置され、
2つの前記第1シム及び2つの前記第2シムは、四角枠体を形成するように配置され、
前記第1シムの両端部には、前記第1連結部がそれぞれ設けられ、
前記第2シムの両端部には、前記第2連結部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項3】
前記第1連結部及び前記第2連結部のうち、一方は凸部を有し、他方は前記凸部と連結可能な凹部または貫通孔を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空調用レジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置から送られてきて室内に吹出す空調用空気の向きを変更等する空調用レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空調用レジスタとして、車両のインストルメントパネルに組み込まれたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。こうした空調用レジスタは、内部に通風路を有した筒状のリテーナ本体と、リテーナ本体内に組み付けられた風向き変更モジュールとを備えている。
【0003】
風向き変更モジュールは、複数の下流フィンと、複数の上流フィンと、下流フィンの延びる方向において対向する一対の第1シムと、上流フィンの延びる方向において対向する一対の第2シムとを備えている。一対の第1シムは、複数の下流フィンをそれらの両端部において傾動可能に支持している。一対の第2シムは、複数の上流フィンをそれらの両端部において傾動可能に支持している。一対の第1シムと一対の第2シムとは、それぞれ端部同士が連結されて四角枠体を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-14333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような空調用レジスタは、風向き変更モジュールを組み立てた後、当該風向き変更モジュールをリテーナ本体に組み付けることによって組み立てられる。しかしながら、この風向き変更モジュールにおいては、一対の第1シムと一対の第2シムとを連結する方向が、一対の第1シムと複数の下流フィンとの組み付け方向及び一対の第2シムと複数の上流フィンとの組み付け方向の両方に直交している。
【0006】
このため、風向き変更モジュールを組み立てる場合には、まず、一対の第1シムに複数の下流フィンを組み付けるとともに一対の第2シムに複数の上流フィンを組み付ける。その後、複数の下流フィンが組み付けられた状態の一対の第1シムと、複数の上流フィンが組み付けられた状態の一対の第2シムとを連結する必要がある。したがって、風向き変更モジュール(空調用レジスタ)を効率的に組み立てる上では、改善の余地を残すものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する空調用レジスタは、空調用空気の通風路を形成し、且つ前記通風路を囲む4つの壁部として互いに対向する一対の第1壁部及び互いに対向する一対の第2壁部を備えるリテーナと、前記通風路に面し、且つ前記第1壁部に隣接した状態で配置される第1シムと、前記通風路に面し、且つ前記第2壁部に隣接した状態で配置される第2シムと、一対の前記第1壁部の対向する方向へ延び、且つ端部のフィン軸により前記第1シムに回転可能に支持される下流フィンと、前記空調用空気の流れ方向における前記下流フィンよりも上流側で一対の前記第2壁部の対向する方向へ延び、且つ端部のフィン軸により前記第2シムに回転可能に支持される上流フィンと、を備えた空調用レジスタであって、前記第1シムの端部及び前記第2シムの端部には、それぞれ第1連結部及び第2連結部が設けられ、前記第1連結部と前記第2連結部とは、前記下流フィンの延びる方向または前記上流フィンの延びる方向において連結可能に構成されていることを要旨とする。
【0008】
空調用レジスタを効率的に組み立てるには、次のような方法がある。すなわち、予め下流フィン及び上流フィンを位置決めした状態で、第2シムを上流フィンに組み付けるとともに第1シムを下流フィンに組み付け、且つ第1シムの第1連結部と第2シムの第2連結部とを連結してフィンユニットを組み立てる。その後、当該フィンユニットをリテーナに組み付ける。
【0009】
この点、この構成によれば、第2シムを上流フィンに組み付ける場合、第2シムを上流フィンの延びる方向に直線状に移動させるだけでよい。第1シムを下流フィンに組み付ける場合、第1シムを下流フィンの延びる方向に直線状に移動させるだけでよい。第1連結部と第2連結部とは、第2シムの上流フィンの延びる方向への直線状の移動または第1シムの下流フィンの延びる方向への直線状の移動に伴って連結される。このため、第1シム及び第2シムを直線状に移動させるだけで、第2シムの上流フィンに対する組み付け、第1シムの下流フィンに対する組み付け、及び第1シムと第2シムとの連結を行うことができる。したがって、上記フィンユニットを効率的に組み立てることができる。すなわち、空調用レジスタを効率的に組み立てることができる。
【0010】
上記空調用レジスタにおいて、前記第1シムは、一対の前記第1壁部に隣接した状態でそれぞれ配置され、前記第2シムは、一対の前記第2壁部に隣接した状態でそれぞれ配置され、2つの前記第1シム及び2つの前記第2シムは、四角枠体を形成するように配置され、前記第1シムの両端部には、前記第1連結部がそれぞれ設けられ、前記第2シムの両端部には、前記第2連結部がそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第1シム及び第2シムによって下流フィン及び上流フィンをそれぞれ安定して支持することができる。
上記空調用レジスタにおいて、前記第1連結部及び前記第2連結部のうち、一方は凸部を有し、他方は前記凸部と連結可能な凹部または貫通孔を有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1連結部及び第2連結部の構成を簡単にできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、空調用レジスタを効率的に組み立てることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態の空調用レジスタの斜視図である。
図2】リテーナとフィンユニットとを前後方向で対向して配置したときの状態を示す斜視図である。
図3】フィンユニットの分解斜視図である。
図4】フィンユニットを前側から見たときの斜視図である。
図5】リテーナを後側から見たときの正面図である。
図6】第1シムの上側貫通孔と第2シムの第1連結凸部とを対向させたときの状態を示す要部拡大斜視図である。
図7】第1シムの上側貫通孔と第2シムの第1連結凸部とを連結させたときの状態を示す要部拡大断面図である。
図8】第1シムの下側貫通孔と第2シムの第2連結凸部とを対向させたときの状態を示す要部拡大斜視図である。
図9】第1シムの下側貫通孔と第2シムの第2連結凸部とを連結させたときの状態を示す要部拡大断面図である。
図10】フィンユニットを組み立てるときの状態を示す正面図である。
図11図10において各上流フィンに一対の第2シムを組み付けたときの状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、車両用の空調用レジスタに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とする。車両の後進方向を後方とする。車両の高さ方向を上下方向とする。車幅方向を左右方向とする。左右方向(車幅方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
【0016】
<空調用レジスタ11>
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネルが設けられる。インストルメントパネルには、図1に示す空調用レジスタ11が組込まれる。空調用レジスタ11の主な機能は、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の向きを調整すること等である。
【0017】
図1及び図2に示すように、空調用レジスタ11は、リテーナ12と、リテーナ12に組み付けられるフィンユニット13とを備えている。
<リテーナ12>
図1図2及び図5に示すように、リテーナ12は、空調装置の送風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものである。リテーナ12は、前端及び後端が開放された前後方向に延びる略矩形筒状をなしている。リテーナ12の内部空間は、空調用空気の流路となる通風路14を形成している。空調用空気は、通風路14を上流側となる前側から下流側となる後側に向かって流れる。
【0018】
リテーナ12における前後方向の中央部における上部及び下部には、段差部15がそれぞれ形成されている。リテーナ12の通風路14の断面積は、段差部15よりも前側の部分の方が段差部15よりも後側の部分よりも小さくなっている。リテーナ12の上下方向の幅は、段差部15よりも前側の部分の方が段差部15よりも後側の部分よりも狭くなっている。
【0019】
リテーナ12の通風路14は、4つの壁部によって囲まれている。すなわち、リテーナ12は、4つの壁部を備えている。これらの4つの壁部は、左右方向において互いに対向する一対の第1壁部16,17と、上下方向において互いに対向する一対の第2壁部18,19とにより構成される。ここで、一対の第1壁部16,17及び一対の第2壁部18,19においては、通風路14側の面を内面とする一方、通風路14とは反対側の面を外面とする。
【0020】
一対の第1壁部16,17の後端部における上下方向の中央部には、後方へ突出する第1係合凸部20がそれぞれ形成されている。左側の第1壁部16の後端部における第1係合凸部20の内側であって且つ第1係合凸部20よりも前斜め上方の位置には、上下方向に延びる矩形状の第1係合凹部21が形成されている。右側の第1壁部17の後端部における第1係合凸部20の内側であって且つ第1係合凸部20よりも前斜め上方の位置には、上下方向に延びる矩形状の第1係合孔22が形成されている。
【0021】
上側の第2壁部18の後端部には、後方へ突出する一対の第2係合凸部23が形成されている。一対の第2係合凸部23は、上側の第2壁部18の後端部における左右方向の中央部を挟んで左右方向に間隔を置いて配置されている。下側の第2壁部19の後端部における左右方向の中央部には、後方へ突出する第2係合凸部23が形成されている。
【0022】
一対の第2壁部18,19は、上記した段差部15をそれぞれ有している。一対の第2壁部18,19のそれぞれの段差部15には、左右方向に延びる矩形状の第2係合孔24が複数ずつ(本例では3つずつ)形成されている。各第2係合孔24は、段差部15を前後方向に貫通している。一対の第2壁部18,19のそれぞれの段差部15に3つずつ形成された第2係合孔24は、左右方向に間隔を置いて配置されている。
【0023】
<フィンユニット13>
図2図4に示すように、フィンユニット13は、複数のシム、複数のフィン、操作ノブ25、及び伝達部材26を備えている。
【0024】
<複数のシム>
図1図3に示すように、複数のシムは、左右一対の第1シム27,28と、上下一対の第2シム29,30とを備えている。一対(2つ)の第1シム27,28及び一対(2つ)の第2シム29,30は、四角枠体を形成するように配置されている。ここで、一対の第1シム27,28及び一対の第2シム29,30においては、通風路14側の面を内面とする一方、通風路14とは反対側の面を外面とする。
【0025】
一対の第1シム27,28は、上下方向に延びる帯状をなしている。一対の第1シム27,28は、通風路14に面し、且つ一対の第1壁部16,17にそれぞれ隣接した状態で配置されている。一対の第1シム27,28は、内面同士が左右方向において互いに対向している。一対の第1シム27,28の後端部には、複数(本例では2つ)の第1軸孔31が左右方向に貫通して形成されている。一対の第1シム27,28のそれぞれの2つの第1軸孔31は、上下方向において互いに離れた位置に配置されている。
【0026】
図2図4に示すように、一対の第1シム27,28のそれぞれの外面における2つの第1軸孔31同士の間の位置には、第1突出部32が設けられている。各第1突出部32には、第3係合孔33が前後方向に貫通して形成されている。一対の第1シム27,28の前端面における上部には、前方に向かって突出する板状の第1突片部34がそれぞれ形成されている。
【0027】
一対の第1シム27,28における上下方向の両端部には、第1連結部を構成する矩形状の貫通孔が左右方向に貫通してそれぞれ形成されている。この場合、一対の第1シム27,28のそれぞれの上端部に位置する第1連結部を構成する貫通孔は上側貫通孔35とされるとともに、一対の第1シム27,28のそれぞれの下端部に位置する第1連結部を構成する貫通孔は下側貫通孔36とされている。
【0028】
図6及び図7に示すように、各上側貫通孔35の上面には、第1掛止部37が形成されている。図8及び図9に示すように、各下側貫通孔36の下面には、第2掛止部38が形成されている。
【0029】
図2図4に示すように、上側の第2シム29は、略矩形板状をなしている。下側の第2シム30は、上側の第2シム29よりも前後方向の幅が狭い略矩形板状をなしている。一対の第2シム29,30は、通風路14に面し、且つ一対の第2壁部18,19にそれぞれ隣接した状態で配置されている。一対の第2シム29,30は、内面同士が上下方向において互いに対向している。
【0030】
上側の第2シム29の前端部には、複数(本例では5つ)の第2軸孔39が上下方向に貫通して形成されている。これら5つの第2軸孔39は、左右方向に等間隔で並んで配置されている。上側の第2シム29の前端面には、前方に向かって突出する複数(本例では3つ)の板状の第2突片部40が形成されている。3つの第2突片部40は、左右方向に間隔を置いて配置されている。
【0031】
上側の第2シム29の上面における後端部には、上方へ突出する一対の第2突出部41が形成されている。一対の第2突出部41は、上側の第2シム29の後端部における左右方向の中央部を挟んで左右方向に間隔を置いて配置されている。一対の第2突出部41には、前後方向に貫通する第4係合孔42がそれぞれ形成されている。
【0032】
上側の第2シム29の両端部、すなわち上側の第2シム29の左右両側面における後端部には、左右方向における外側へ突出する第2連結部を構成する凸部の一例としての第1連結凸部43がそれぞれ形成されている。図6に示すように、各第1連結凸部43は、先端部における上下の面がテーパー状をなしている。各第1連結凸部43の上面における左右方向の中央部には、第1返し部44が形成されている。
【0033】
図2図4に示すように、下側の第2シム30の前端部には、複数(本例では5つ)の第2軸孔39が上下方向に貫通して形成されている。これら5つの第2軸孔39は、上側の第2シム29の5つの第2軸孔39とそれぞれ上下方向において対向している。つまり、下側の第2シム30の5つの第2軸孔39は、左右方向に等間隔で並んで配置されている。下側の第2シム30の前端面には、前方に向かって突出する複数(本例では3つ)の板状の第2突片部40が形成されている。3つの第2突片部40は、左右方向に間隔を置いて配置されている。
【0034】
下側の第2シム30の下面の後端部における左右方向の中央部には、下方へ突出する第2突出部41が形成されている。第2突出部41には、前後方向に貫通する第4係合孔42が形成されている。下側の第2シム30の両端部、すなわち下側の第2シム30の左右両側面における後端部には、左右方向における外側へ突出する第2連結部を構成する凸部の一例としての第2連結凸部45がそれぞれ形成されている。図8に示すように、各第2連結凸部45は、先端部における上下の面がテーパー状をなしている。各第2連結凸部45の下面における左右方向の中央部には、第2返し部46が形成されている。
【0035】
<複数のフィン>
図2図4に示すように、複数のフィンは、複数(本例では2つ)の下流フィン47と、その上流側(前側)に配置された複数(本例では5つ)の上流フィン48とを備えている。
【0036】
各下流フィン47は、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の上下方向における向きを変更するためのものである。各下流フィン47は、一対の第1壁部16,17(図1参照)が対向する方向である左右方向へ延びる矩形板状をなしている。2つの下流フィン47は、上下方向に互いに平行となるように離れた状態で水平に配置されている。
【0037】
2つの下流フィン47の左右方向の両端部には、フィン軸としての第1フィン軸49がそれぞれ設けられている。そして、各第1フィン軸49が、対応する第1軸孔31に挿入されることにより、各下流フィン47が、一対の第1シム27,28によって回転可能に支持される。
【0038】
各下流フィン47の左端部における前端部には、第1フィン軸49に平行に延びる連結ピン50が設けられている。下流フィン47毎の連結ピン50は、略上下方向へ延びるリンク51によって連結されている。すなわち、2つの下流フィン47は、連結ピン50及びリンク51によって機械的に連結されている。したがって、2つの下流フィン47は、互いに同じ傾向の傾きとなるように同期した状態で上下方向に傾動可能に構成されている。
【0039】
上側の下流フィン47には、矩形板状の操作ノブ25が当該下流フィン47に沿って左右方向に摺動可能に支持されている。操作ノブ25は、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の吹き出し方向を変更する際に乗員によって操作される部材である。乗員が操作ノブ25を上下方向へ傾動させることにより、各下流フィン47が第1フィン軸49を支点として上下方向に傾動される。操作ノブ25の前面中央部には、上下方向に延びる板状の摺動片52が設けられている。摺動片52の前端縁は、前側に膨らむ円弧状をなしている。
【0040】
各上流フィン48は、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の左右方向における向きを変更するためのものである。各上流フィン48は、下流フィン47よりも前側に配置されている。すなわち、各上流フィン48は、空調用空気の流れ方向における下流フィン47よりも上流側の位置に配置されている。各上流フィン48は、一対の第2壁部18,19(図1参照)が対向する方向である上下方向へ延びる矩形板状をなしている。
【0041】
各上流フィン48は、左右方向に互いに平行となるように等間隔で離れた状態で配置されている。各上流フィン48の上下方向の両端部には、フィン軸としての第2フィン軸53が設けられている。そして、各第2フィン軸53が、対応する第2軸孔39に挿入されることにより、各上流フィン48が、一対の第2シム29,30によって回転可能に支持される。
【0042】
各上流フィン48の後端部における上下方向の中央部には、切欠部54が形成されている。各上流フィン48の右面における切欠部54を上下で挟んだ両側には、右方に向かって突出する一対の支持突部55が形成されている。一対の支持突部55は、切欠部54と隣接して配置されている。一対の支持突部55間には、これらを繋ぐように上下方向に延びる伝達軸部56が形成されている。
【0043】
<伝達部材26>
伝達部材26は、操作ノブ25の左右方向へのスライド動作を各上流フィン48に伝達して、第2フィン軸53を支点として各上流フィン48を左右方向に傾動させるための部材である。伝達部材26は、左右方向に延びるロッド部57と、摺動溝58を形成する溝形成部59とを備えている。ロッド部57は、左右方向に延びるとともに、左右の両端部が丸みを帯びた略矩形板状をなしている。
【0044】
ロッド部57の前端部における各上流フィン48の伝達軸部56と対応する位置には、U字状の切欠凹部60が形成されている。すなわち、ロッド部57の前端部には、複数(本例では5つ)の切欠凹部60が左右方向に等間隔となるように並んで形成されている。ロッド部57の5つの切欠凹部60は、5つの上流フィン48の伝達軸部56とそれぞれ回動可能に嵌合している。
【0045】
ロッド部57における左右方向の中央部よりも若干左寄りの位置には、上下方向に延びる溝形成部59が形成されている。溝形成部59は、略上下方向に延びる円弧状の摺動溝58を形成している。摺動溝58は、前側に膨らむ円弧状に延びている。摺動溝58は、断面視略U字状をなしている。摺動溝58は、上端側、下端側、及び後側が開放されている。摺動溝58には、操作ノブ25の摺動片52が略上下方向に摺動可能に挿入されている。操作ノブ25の摺動片52は、左右方向において溝形成部59と係合する。
【0046】
したがって、操作ノブ25とともに摺動片52が下流フィン47に沿って左右方向へスライドされると、伝達部材26が左右方向へスライドされる。この伝達部材26の左右方向へのスライド動作は、各伝達軸部56から上流フィン48に伝達される。これにより、全ての上流フィン48が同じ傾向の傾きとなるように同期した状態で第2フィン軸53を支点として左右方向に傾動される。
【0047】
一方、操作ノブ25の操作によって摺動片52が上下方向へ円弧状にスライドされた場合には、摺動片52が摺動溝58に沿って摺動するだけで、伝達部材26は動かない。このため、各上流フィン48は、傾動されない。
【0048】
<空調用レジスタ11の組み立て>
次に、空調用レジスタ11の組み立て方法を空調用レジスタ11の作用として説明する。
【0049】
図10に示すように、空調用レジスタ11を組み立てる場合には、まず、例えば治具などにより、各下流フィン47及び各上流フィン48を所定の位置に位置決めした状態で配置する。このとき、予め上側の下流フィン47に操作ノブ25を組み付けるとともに各上流フィン48に伝達部材26を組み付けた状態で、操作ノブ25の摺動片52を伝達部材26の摺動溝58に挿入しておく。
【0050】
続いて、一対の第2シム29,30を各上流フィン48の上側及び下側にそれぞれ対向して配置するとともに、一対の第1シム27,28を各下流フィン47の左側及び右側にそれぞれ対向して配置する。このとき、一対の第2シム29,30の各第2軸孔39は対応する上流フィン48の第2フィン軸53と上下方向において対向するとともに、一対の第1シム27,28の各第1軸孔31は対応する下流フィン47の第1フィン軸49と左右方向において対向する。
【0051】
続いて、上側の第2シム29を真下に向かって直線状に移動(平行移動)させるとともに、下側の第2シム30を真上に向かって直線状に移動(平行移動)させる。すると、図11に示すように、一対の第2シム29,30の各第2軸孔39に、対応する上流フィン48の第2フィン軸53が挿入されて、一対の第2シム29,30が各上流フィン48に対して組み付けられる。
【0052】
このとき、図6及び図11に示すように、一対の第1シム27,28の上側貫通孔35と上側の第2シム29の一対の第1連結凸部43とが左右方向においてそれぞれ対向する。さらにこのとき、図8及び図11に示すように、一対の第1シム27,28の下側貫通孔36と下側の第2シム30の一対の第2連結凸部45とが左右方向においてそれぞれ対向する。
【0053】
続いて、左側の第1シム27を右方に向かって直線状に移動(平行移動)させるとともに、右側の第1シム28を左方に向かって直線状に移動(平行移動)させる。すると、図2に示すように、一対の第1シム27,28の各第1軸孔31に、対応する下流フィン47の第1フィン軸49が挿入されて、一対の第1シム27,28が各下流フィン47に対して組み付けられる。
【0054】
このとき、図7に示すように、一対の第1シム27,28の上側貫通孔35に上側の第2シム29の一対の第1連結凸部43がそれぞれ挿入される。この場合、上側貫通孔35の第1掛止部37によって第1連結凸部43の第1返し部44が掛止されるため、上側貫通孔35から第1連結凸部43が抜けることが抑制される。
【0055】
さらにこのとき、図9に示すように、一対の第1シム27,28の下側貫通孔36に下側の第2シム30の一対の第2連結凸部45がそれぞれ挿入される。この場合、下側貫通孔36の第2掛止部38によって第2連結凸部45の第2返し部46が掛止されるため、下側貫通孔36から第2連結凸部45が抜けることが抑制される。
【0056】
したがって、一対の第1シム27,28の上側貫通孔35と上側の第2シム29の一対の第1連結凸部43とは、下流フィン47の延びる方向である左右方向において連結可能に構成されていると言える。一対の第1シム27,28の下側貫通孔36と下側の第2シム30の一対の第2連結凸部45とは、下流フィン47の延びる方向である左右方向において連結可能に構成されていると言える。
【0057】
このようにして、各上流フィン48に組み付けられた一対の第2シム29,30と、各下流フィン47に組み付けられた一対の第1シム27,28とが連結されることで、フィンユニット13が組み立てられる。
【0058】
続いて、図2に示すように、リテーナ12を治具などによって所定の位置に位置決めした状態で、上述のように組み立てられたフィンユニット13を、リテーナ12の後部の開口と対向するように配置する。続いて、フィンユニット13をリテーナ12に向かって直線状に移動(平行移動)させてリテーナ12の後部の開口にフィンユニット13を前部から挿入することによって、フィンユニット13をリテーナ12に組み付ける。これにより、図1示す空調用レジスタ11が組み立てられる。
【0059】
この場合、図3図5に示すように、リテーナ12における一対の第1壁部16,17の第1係合凸部20は、一対の第1シム27,28の第3係合孔33にそれぞれ挿入される。リテーナ12における左側の第1壁部16の第1係合凹部21には、左側の第1シム27の第1突片部34が挿入される。リテーナ12における右側の第1壁部17の第1係合孔22には、右側の第1シム28の第1突片部34が挿入される。
【0060】
リテーナ12における上側の第2壁部18の3つの第2係合孔24には、上側の第2シム29の3つの第2突片部40がそれぞれ挿入される。上側の第2シム29の一対の第4係合孔42には、リテーナ12における上側の第2壁部18の一対の第2係合凸部23がそれぞれ挿入される。リテーナ12における下側の第2壁部19の3つの第2係合孔24には、下側の第2シム30の3つの第2突片部40がそれぞれ挿入される。下側の第2シム30の第4係合孔42には、リテーナ12における下側の第2壁部19の第2係合凸部23が挿入される。
【0061】
上述したように、本実施形態の空調用レジスタ11を組み立てる上でのフィンユニット13の組み立てにおいては、次のような特徴がある。一対の第2シム29,30を各上流フィン48に組み付ける場合、一対の第2シム29,30を各上流フィン48の延びる方向である上下方向に直線状に移動させるだけでよい。一対の第1シム27,28を各下流フィン47に組み付ける場合、一対の第1シム27,28を各下流フィン47の延びる方向である左右方向に直線状に移動させるだけでよい。
【0062】
一対の第1シム27,28の上側貫通孔35及び下側貫通孔36と、一対の第2シム29,30の第1連結凸部43及び第2連結凸部45とは、一対の第1シム27,28の各下流フィン47の延びる方向である左右方向への直線状の移動に伴って連結される。つまり、一対の第1シム27,28の各下流フィン47への組み付け及び一対の第1シム27,28と一対の第2シム29,30との連結が同時に行われる。
【0063】
したがって、一対の第1シム27,28及び一対の第2シム29,30を直線状に移動させるだけで、一対の第2シム29,30の各上流フィン48に対する組み付け、一対の第1シム27,28の各下流フィン47に対する組み付け、及び一対の第1シム27,28と一対の第2シム29,30との連結が行われる。よって、フィンユニット13が効率的に組み立てられ、ひいては空調用レジスタ11が効率的に組み立てられる。
【0064】
また、フィンユニット13の組み立てにおいては、上述したように一対の第1シム27,28及び一対の第2シム29,30を直線状に移動させるだけでよい。さらに、リテーナ12へのフィンユニット13の組み付けにおいても、上述したようにフィンユニット13を直線状に移動させるだけでよい。このため、フィンユニット13の組み立て及びリテーナ12へのフィンユニット13の組み付けを機械で自動的に行う場合でも、当該機械に精密な動作が求められないので、簡素な設備で対応できる。
【0065】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)空調用レジスタ11は、一対の第1シム27,28の両端部に第1連結部を構成する上側貫通孔35及び下側貫通孔36が設けられるとともに、一対の第2シム29,30の両端部に第2連結部を構成する第1連結凸部43及び第2連結凸部45が設けられている。上側貫通孔35及び下側貫通孔36と、第1連結凸部43及び第2連結凸部45とは、各下流フィン47の延びる方向である左右方向においてそれぞれ連結可能に構成されている。
【0066】
この構成によれば、一対の第1シム27,28及び一対の第2シム29,30を直線状に移動させるだけで、一対の第2シム29,30の各上流フィン48に対する組み付け、一対の第1シム27,28の各下流フィン47に対する組み付け、及び一対の第1シム27,28と一対の第2シム29,30との連結を行うことができる。したがって、フィンユニット13を効率的に組み立てることができる。すなわち、空調用レジスタ11を効率的に組み立てることができる。
【0067】
加えて、第1連結部は上側貫通孔35及び下側貫通孔36を有するとともに、第2連結部は第1連結凸部43及び第2連結凸部45を有するので、第1連結部及び第2連結部の構成を簡単にできる。
【0068】
(2)空調用レジスタ11において、一対の第1シム27,28及び一対の第2シム29,30は、四角枠体を形成するように連結されている。
この構成によれば、一対の第1シム27,28及び一対の第2シム29,30によって各下流フィン47及び各上流フィン48をそれぞれ安定して支持することができる。
【0069】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0070】
・一対の第1シム27,28の上側貫通孔35及び下側貫通孔36を、一対の第2シム29,30の第1連結凸部43及び第2連結凸部45とそれぞれ連結可能な凹部に変更してもよい。
【0071】
・一対の第1シム27,28の第1連結部を凸部によって構成するとともに、一対の第2シム29,30の第2連結部を当該凸部と連結可能な貫通孔によって構成してもよい。
・一対の第1シム27,28のうちのいずれか一方を省略してもよい。
【0072】
・一対の第2シム29,30のうちのいずれか一方を省略してもよい。
・一対の第1シム27,28の第1連結部と、一対の第2シム29,30の第2連結部とは、上流フィン48の延びる方向である上下方向において連結可能に構成してもよい。この場合、フィンユニット13を組み立てる際には、一対の第1シム27,28を各下流フィン47に組み付けた後に、一対の第2シム29,30を各上流フィン48に組み付けるとともに第1連結部と第2連結部とを連結する。
【0073】
・第1連結部と第2連結部とは、一対の第1シム27,28または一対の第2シム29,30の直線状の移動によって連結可能であれば、これらの連結形態を適宜変更してもよい。
【0074】
・空調用レジスタ11は、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所に設けられてもよい。
・空調用レジスタ11は、車両以外の乗物に適用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
11…空調用レジスタ
12…リテーナ
13…フィンユニット
14…通風路
15…段差部
16,17…第1壁部
18,19…第2壁部
20…第1係合凸部
21…第1係合凹部
22…第1係合孔
23…第2係合凸部
24…第2係合孔
25…操作ノブ
26…伝達部材
27,28…第1シム
29,30…第2シム
31…第1軸孔
32…第1突出部
33…第3係合孔
34…第1突片部
35…上側貫通孔(第1連結部)
36…下側貫通孔(第1連結部)
37…第1掛止部
38…第2掛止部
39…第2軸孔
40…第2突片部
41…第2突出部
42…第4係合孔
43…第1連結凸部(第2連結部)
44…第1返し部
45…第2連結凸部(第2連結部)
46…第2返し部
47…下流フィン
48…上流フィン
49…第1フィン軸(フィン軸)
50…連結ピン
51…リンク
52…摺動片
53…第2フィン軸(フィン軸)
54…切欠部
55…支持突部
56…伝達軸部
57…ロッド部
58…摺動溝
59…溝形成部
60…切欠凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11