(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124215
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/00 20120101AFI20230830BHJP
【FI】
G06Q20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027853
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】中臺 健太
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA22
(57)【要約】
【課題】電子決済において、利用者の利便性をさらに向上させる技術を提供する。
【解決手段】購入者が利用する購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の送信を前記保留の解除後に実行する決済依頼部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入者が利用する購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の送信を前記保留の解除後に実行する決済依頼部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
販売者による操作に基づいて前記決済の保留を許可する保留処理部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
識別情報を記憶する第一の記憶部をさらに備え、
前記保留処理部は、前記取得部により取得された識別情報が前記第一の記憶部に記憶されているか否かに基づいて前記決済の保留を許可または拒否する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第一の記憶部が記憶する識別情報には、前記購入者が利用する決済手段が有効な期限を示す有効期限情報が関連付けられており、
前記保留処理部は、前記取得部により取得された識別情報に前記記憶部において関連付けられている有効期限情報が示す期限に基づき、前記決済の保留を許可または拒否する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第一の記憶部が記憶する前記識別情報には、前記購入者が利用する決済手段による支払実績の有無を示す実績情報が関連付けられており、
前記保留処理部は、前記取得部により取得された前記識別情報に前記記憶部において関連付けられている実績情報に基づき、前記決済の保留を許可または拒否する、請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記保留処理部は、前記決済の保留を拒否した場合に、前記決済の保留が拒否された旨を前記購入者端末に通知する、
請求項3から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記識別情報は、管理サーバにおいて前記購入者の指定の決済手段を示す指定手段情報に関連付けて記憶されている情報であり、
前記決済依頼部は、前記決済依頼を前記管理サーバに送信する、請求項3から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、
前記管理サーバへの問い合わせにより、ある識別情報に関連付けられている指定手段情報が示す決済手段を用いた支払実績があるか否かを確認する確認部をさらに備え、
前記第一の記憶部は、前記確認部により支払実績があることが確認された決済手段を示す指定手段情報に関連付けられている識別情報を記憶する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記決済依頼部は、販売者による操作に基づいて、前記決済依頼の保留を解除する、請求項7または8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記保留処理部は、前記決済依頼の送信先である前記管理サーバと前記決済依頼部との間で通信に障害が生じている間に前記決済依頼による決済の保留を許可し、
前記決済依頼部は、前記管理サーバとの通信が復旧した後に、前記決済依頼の保留を自動で解除し、当該決済依頼を送信する、
請求項7~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部は、無線通信により前記端末間通信を行う、請求項7から10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記指定手段情報は、クレジットカード情報である、請求項7から11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
購入者が利用する購入者端末、情報処理装置および管理サーバを有する情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から、前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の前記管理サーバへの送信を前記保留の解除後に実行する決済依頼部と、を含む、
情報処理システム。
【請求項14】
前記管理サーバは、
前記購入者端末から前記購入者の指定の決済手段を示す指定手段情報を取得する取得部と、
前記指定手段情報と識別情報を関連付けて記憶する第二の記憶部と、
前記第二の記憶部を参照し、前記情報処理装置から受信した前記決済依頼に含まれる識別情報に関連付けられた前記指定手段情報を用いて、前記決済依頼に係る決済処理を行う決済処理部と、を備える、
請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記管理サーバは、通知処理部をさらに備え、
前記第二の記憶部は、前記識別情報と関連付けられた連絡先情報を記憶し、
前記通知処理部は、前記連絡先情報が示す連絡先に、決済の完了を通知する、請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
購入者が利用する購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得することと、
取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の送信を前記保留の解除後に実行することと、
を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータを、
購入者が利用する購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の送信を前記保留の解除後に実行する決済依頼部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレジットカードまたはプリペイド電子マネー等の、電子決済による支払方法が急速に普及している。電子決済によれば、現金の直接的な受け渡しを行わずに、商品またはサービスに対する支払が可能となる。
【0003】
しかし、電子決済は、通信を介して電子的なデータを送受することで決済を行うため、例えば地震または火災等の原因により停電または通信回線の障害が発生すると、利用できなくなるという問題があった。そのため、上記のような状況下においても、クレジットカードまたはプリペイド電子マネー等の電子決済手段を用いて、商品またはサービスの購入を可能とする技術が検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、携帯端末と店舗の電子決済端末間で通信を行うことにより決済を行う電子決済において、上記電子決済端末が電源供給停止により利用不可である場合に、上記携帯端末内で予備決済を行い、上記電子決済端末が利用可能な状態に復旧した後に、上記携帯端末から上記電子決済端末へ当該予備決済に係る決済情報を送信し、決済を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電子決済において、利用者の利便性のさらなる向上が望まれる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電子決済において、利用者の利便性をさらに向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、購入者が利用する購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の送信を前記保留の解除後に実行する決済依頼部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0009】
前記情報処理装置は、販売者による操作に基づいて前記決済の保留を許可する保留処理部をさらに備えていてもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、識別情報を記憶する第一の記憶部をさらに備えていてもよく、前記保留処理部は、前記取得部により取得された識別情報が前記第一の記憶部に記憶されているか否かに基づいて前記決済の保留を許可または拒否してもよい。
【0011】
前記第一の記憶部が記憶する識別情報には、前記購入者が利用する決済手段が有効な期限を示す有効期限情報が関連付けられていてもよく、前記保留処理部は、前記取得部により取得された識別情報に前記記憶部において関連付けられている有効期限情報が示す期限に基づき、前記決済の保留を許可または拒否してもよい。
【0012】
前記第一の記憶部が記憶する前記識別情報には、前記購入者が利用する決済手段による支払実績の有無を示す実績情報が関連付けられていてもよく、前記保留処理部は、前記取得部により取得された前記識別情報に前記記憶部において関連付けられている実績情報に基づき、前記決済の保留を許可または拒否してもよい。
【0013】
前記保留処理部は、前記決済の保留を拒否した場合に、前記決済の保留が拒否された旨を前記購入者端末に通知してもよい。
【0014】
前記識別情報は、管理サーバにおいて前記購入者の指定の決済手段を示す指定手段情報に関連付けて記憶されている情報であってもよく、前記決済依頼部は、前記決済依頼を前記管理サーバに送信してもよい。
【0015】
前記情報処理装置は、前記管理サーバへの問い合わせにより、ある識別情報に関連付けられている指定手段情報が示す決済手段を用いた支払実績があるか否かを確認する確認部をさらに備えていてもよく、前記記憶部は、前記確認部により支払実績があることが確認された決済手段を示す指定手段情報に関連付けられている識別情報を記憶していてもよい。
【0016】
前記決済依頼部は、販売者による操作に基づいて、前記決済依頼の保留を解除してもよい。
【0017】
前記保留処理部は、前記決済依頼の送信先である前記管理サーバと前記決済依頼部との間で通信に障害が生じている間に前記決済依頼による決済の保留を許可してもよく、前記決済依頼部は、前記通信相手との通信が復旧した後に、前記決済依頼の保留を自動で解除し、当該決済依頼を送信してもよい。
【0018】
前記取得部は、無線通信により前記端末間通信を行ってもよい。
【0019】
前記指定手段情報は、クレジットカード情報であってもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、購入者が利用する購入者端末、情報処理装置および管理サーバを有する情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から、前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の前記管理サーバへの送信を前記保留の解除後に実行する決済依頼部と、を含む、情報処理システムが提供される。
【0021】
前記管理サーバは、前記購入者端末から前記購入者の指定の決済手段を示す指定手段情報を取得する取得部と、前記指定手段情報と識別情報を関連付けて記憶する第二の記憶部と、前記第二の記憶部を参照し、前記情報処理装置から受信した前記決済依頼に含まれる識別情報に関連付けられた前記指定決済手段情報を用いて、前記決済依頼に係る決済処理を行う決済処理部と、を備えていてもよい。
【0022】
前記管理サーバは、通知処理部をさらに備えていてもよく、前記第二の記憶部は、前記識別情報と関連付けられた連絡先情報を記憶し、前記通知処理部は、前記連絡先情報が示す連絡先に、決済の完了を通知してもよい。
【0023】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、購入者が利用する購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得することと、前記取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の送信を前記保留の解除後に実行することと、を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供される。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、購入者が利用する購入者端末と端末間通信を行い、前記購入者端末から前記購入者を一意に識別可能とする識別情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された識別情報、および金額情報を含む決済依頼について、当該決済依頼による決済の保留が許可されたことに基づき、当該決済依頼の送信を前記保留の解除後に実行する決済依頼部として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、電子決済において、利用者の利便性をさらに向上させる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による情報処理システム1の概要を説明する為の説明図である。
【
図2】同実施形態による購入者端末10の機能構成例を示す図である。
【
図3】同実施形態による情報処理装置20の機能構成例を示す図である。
【
図4】同実施形態による管理サーバ30の機能構成例を示す図である。
【
図5】同実施形態による情報処理システム1の初回登録時の動作を説明するシーケンス図である。
【
図6】同実施形態による情報処理システム1の初回購入および情報処理装置20における利用登録の動作を説明するシーケンス図である。
【
図7】同実施形態による情報処理システム1の決済の保留許可時の動作を説明するシーケンス図である。
【
図8】同実施形態による情報処理システム1の決済の保留解除時の動作を説明するシーケンス図である。
【
図9】同実施形態による情報処理システム1の決済の保留拒否時の動作を説明するシーケンス図である。
【
図10】同実施形態による情報処理システム1のクレジットカード有効期限切れ時の動作を説明するシーケンス図である。
【
図11】同実施形態による情報処理装置20のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
<1.本発明の一実施形態による情報処理システムの概要>
本発明の一実施形態は、電子決済において、利用者の利便性をさらに向上させる技術に関する。本実施形態は、例えば、店頭等で、商品またはサービスに対する購入者からの支払いを、購入者が利用するスマートフォン等の端末から、電子決済で受け付けるような場合に適用される。
【0029】
図1は、本実施形態による情報処理システム1の概要を説明する為の説明図である。
図1に示したように、本実施形態による情報処理システム1は、購入者端末10、情報処理装置20、および、管理サーバ30を含む。購入者端末10、情報処理装置20および管理サーバ30は、ネットワーク5により通信可能に構成されている。また、管理サーバ30は、クレジットカード会社システム40と、ネットワーク6により通信可能に構成されている。
【0030】
購入者端末10は、購入者CU1が利用する携帯端末である。購入者CU1は、コンビニまたはスーパー等で商品またはサービスを購入する際に、購入者端末10を操作することにより、管理サーバ30に対して電子決済による代金の決済を依頼することが出来る。本実施例では、購入者端末10が、管理サーバ30に対して、クレジットカードによる決済を依頼する例を説明する。
【0031】
また、購入者CU1は、販売者SU1に依頼して情報処理装置20に指定の決済手段を登録しておくと、購入者端末10から情報処理装置20に対して端末間通信を行うことにより、決済を依頼することが出来る。情報処理装置20は、購入者端末10から決済の依頼を受信すると、決済依頼を管理サーバ30に送信することにより、当該決済依頼に係る決済を管理サーバ30に依頼することが出来る。
【0032】
このような購入者端末10は、少なくとも他の装置との通信を行う通信機能を備えた情報処理端末により実現される。例えば、購入者端末10は、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、または、ノートパソコンであってよい。
【0033】
情報処理装置20は、販売者SU1が利用する端末である。販売者SU1は、情報処理装置20を操作することにより、購入者端末10から購入者CU1の指定の決済手段を示す情報である決済手段情報を受信し、当該決済手段情報を情報処理装置20に登録することが出来る。情報処理装置20は、購入者端末10から端末間通信により上記指定の決済手段による決済の依頼を受信する。情報処理装置20は、購入者端末10から受信した上記決済の依頼に基づいて、管理サーバ30に決済依頼を送信する。管理サーバ30は、受信した決済依頼に基づいて、クレジットカード会社システム40に決済を依頼する処理を行う。
【0034】
管理サーバ30は、購入者端末10または情報処理装置20から決済の依頼を受信し、クレジットカード会社システム40に対して、当該決済の依頼に基づいて決済を依頼する、中継サーバである。なお、購入者CU1が利用する決済手段がクレジットカード決済ではなく、プリペイド電子マネー等の他の電子決済方法である場合には、管理サーバ30は、クレジットカード会社システム40ではなく、当該電子決済方法を提供する事業者のサーバに対して通信を行い、決済を依頼してもよい。
【0035】
クレジットカード会社システム40は、クレジットカードを発行する発行会社に属するサーバである。クレジットカード会社システム40は、クレジットカードの利用者の情報と、当該利用者が使用するクレジットカードに関する情報とを関連付けて記憶している。クレジットカード会社システム40は、管理サーバ30から決済依頼を受信し、決済処理を行う。また、クレジットカード会社システム40は、管理サーバ30と通信を行うことにより、決済処理で使用される情報を管理サーバ30に提供する。
【0036】
(課題の整理)
ここで、上記のように現金の直接的な受け渡しを行わずに、商品またはサービスに対する支払を行う電子決済は、例えば災害時等に停電または通信回線の障害などが発生すると、利用できなくなるリスクが高い。このような場合には、現金決済を利用することが考えられる。しかし災害時には、ATMが利用できず現金が引き出せない、とっさに十分な現金を持ち出すのが難しい、または、火災等で現金が失われる場合があるなど、購入者が十分な現金を用意することが難しいという問題もある。そのため、停電または通信回線の障害が発生している状況下においても、クレジットカードまたはプリペイド電子マネー等の電子決済手段を用いて、商品またはサービスの購入を可能とする技術が検討されている。
【0037】
例えば、特許文献1には、携帯端末と店舗の電子決済端末間で通信を行うことにより決済を行う電子決済において、上記電子決済端末が電源供給停止により利用不可である場合に、上記携帯端末内で予備決済を行い、上記電子決済端末が利用可能な状態に復旧した後に、上記携帯端末から上記電子決済端末へ当該予備決済に係る決済情報を送信し、決済を行う技術が開示されている。
【0038】
しかし、停電時においても、例えばスマートフォンのように広く普及している携帯端末であれば、バッテリーの残量がある限り、近距離無線通信等の技術を用いた端末間での通信を行うことが出来る。この場合、端末間通信を用いて決済を行うことが出来る仕組みがあれば、停電時においても、購入者がクレジットカード、または、プリペイド電子マネー等の携帯端末内のアプリを利用した電子決済手段を利用して商品を購入することが可能となる。
【0039】
また、上記特許文献1に開示されているような技術では、決済情報が購入者の携帯端末内に保持されるため、当該携帯端末内で決済情報のデータが消失する、電源が復旧したにもかかわらず決済情報が送信されず決済が完了しない、等のリスクが生じ得る。この場合、販売者側は、復旧後に代金の支払を受けられない恐れがある。
【0040】
そこで、本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、情報処理装置20が、購入者端末10から端末間通信により決済の依頼を受信する。さらに、情報処理装置20は、情報処理装置20と管理サーバ30間で、停電等の原因により通信に障害が生じている間、購入者端末10から受信した上記決済において、所定の条件が満たされている場合、当該決済の保留を許可する。所定の条件とは、例えば、上記決済において指定の決済手段が予め情報処理装置20に登録されており、また、販売者SU1が上記決済を保留することを確認している、等の条件である。情報処理装置20は、保留を許可した決済については、管理サーバ30との通信が復旧した後に、管理サーバ30に対して決済の処理を依頼する。この構成により、停電時においても、購入者CU1は、クレジットカード等の電子決済手段を用いて、販売者SU1から商品またはサービスを購入することが出来る。以下、このような本発明の実施形態による情報処理システム1の機能構成例および動作を、順次詳細に説明する。
【0041】
<2.機能構成例>
<2-1.購入者端末10>
図2は、本実施形態による購入者端末10の機能構成例を示す図である。
図2に示したように、購入者端末10は、通信部110、入力部120、出力部130、記憶部140、および、制御部150を有する。
【0042】
(通信部110)
通信部110は、通信インターフェースによって構成され、ネットワーク5を介して、管理サーバ30と通信を行う機能を有する。また、通信部110は、情報処理装置20と無線通信により端末間通信を行う。例えば、通信部110は、近距離無線通信技術を用いて、情報処理装置20と端末間通信を行ってもよい。
【0043】
(入力部120)
入力部120は、購入者CU1が、購入者端末10に指示または情報を入力するために操作する構成である。例えば、購入者CU1は、入力部120を操作することにより、購入者端末10に支払金額、クレジットカード情報、または、電子決済を利用するために必要な認証情報を入力する。また、入力部120は、カメラ等のセンサを含んでもよく、バーコードまたはQRコード(登録商標)等を読み取ることにより、支払金額、または、支払先情報等の情報を取得してもよい。
【0044】
(出力部130)
出力部130は、制御部150による制御に従って各種情報の出力を行う機能を有する。例えば、出力部130は、購入者CU1が電子決済を利用するために必要な支払金額等の入力画面を出力する。出力部130は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置であってもよいし、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置であってもよい。
【0045】
(記憶部140)
記憶部140は、制御部150を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部140は、制御部150の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってもよい。
【0046】
(制御部150)
制御部150は、購入者端末10における動作全般を制御する。例えば、制御部150は、通信部110と管理サーバ30間、および、通信部110と情報処理装置20間での通信を制御する機能を有する。このような制御部150は、初回登録処理部151、購入処理部152、および、販売者端末登録処理部153としての機能を有する。
【0047】
初回登録処理部151は、管理サーバ30に対して、購入者CU1の指定の決済手段の初回登録を依頼する機能を有する。より具体的には、初回登録処理部151は、入力部120から、購入者CU1により入力された、購入者CU1の指定の決済手段を示す指定手段情報(例えば、クレジットカード番号およびカード名義)、当該指定の決済手段が利用可能な期限を示す有効期限情報、および、決済の結果を受信するための連絡先情報を取得する。初回登録処理部151は、取得した上記指定手段情報、有効期限情報、および、連絡先情報を、管理サーバ30に送信し、上記指定の決済手段により決済を行うための初回登録を依頼する。管理サーバ30は、初回登録の依頼を受信すると、上記指定の決済手段情報を登録するとともに、個人IDを発行し、初回登録処理部151に送信する。初回登録処理部151は、発行された個人IDを、記憶部140に記憶させる。上記の個人IDは、購入者CU1を一意に識別可能とする識別情報の一例である。このような識別情報としてクレジットカード番号が用いられてもよく、この場合、管理サーバ30はクレジットカード番号を登録しておけばよく、個人IDを発行および記憶しなくてよい。以下では、識別情報として個人IDが用いられる例を主に説明する。
【0048】
購入処理部152は、管理サーバ30に対して決済を依頼する機能を有する。購入処理部152は、購入者CU1が入力した支払金額と個人IDを入力部120から取得すると、上記支払金額と個人IDを管理サーバ30に送信し、管理サーバ30に決済を依頼する。管理サーバ30は、依頼された決済の処理が完了すると、決済結果を購入者端末10に送信する。決済結果は、決済が成功したこと、または決済が失敗したことを示す。
【0049】
また、購入処理部152は、依頼した決済に係る決済結果を管理サーバ30から受信した際に、当該決済に係る指定の決済手段が初回登録されてから初めての決済である場合、上記決済結果を、販売者端末登録処理部153に連携する。
【0050】
販売者端末登録処理部153は、情報処理装置20に対して上記指定の決済手段の利用登録を依頼する機能を有する。より具体的には、販売者端末登録処理部153は、購入処理部152から上記決済結果が連携されると、情報処理装置20に、連携された上記決済結果、当該決済結果に関連付けられた個人ID、および、有効期限情報を送信する。
【0051】
<2-2.情報処理装置20>
以上、
図2を参照して、購入者端末10の機能構成例を説明した。続いて、
図3を参照して、情報処理装置20の機能構成例を説明する。
図3に示したように、情報処理装置20は、通信部210、入力部220、出力部230、制御情報記憶部240、制御部250、顧客情報記憶部260、および、決済情報記憶部270を有する。
【0052】
(通信部210)
通信部210は、通信インターフェースによって構成され、ネットワーク5を介して、管理サーバ30と通信を行う機能を有する。また、通信部210は、購入者端末10と無線通信により端末間通信を行う。例えば、通信部210は、近距離無線通信技術を用いて、購入者端末10と端末間通信を行ってもよい。通信部210は、購入者端末10から、端末間通信により、個人IDを取得する機能を有する。このような通信部210は、情報処理装置20の取得部の一例である。
【0053】
(入力部220)
入力部220は、販売者SU1が、情報処理装置20に指示または情報を入力するために操作する構成である。例えば、販売者SU1は、入力部220を操作することにより、指定の決済手段により決済を行う指示を入力する。
【0054】
(出力部230)
出力部230は、制御部250による制御に従って各種情報の出力を行う機能を有する。例えば、出力部230は、販売者SU1が視認可能な態様で、購入者端末10からの端末間通信により依頼された決済を保留するか否かを確認するための確認画面を出力してもよい。出力部230は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置であってもよいし、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置であってもよい。
【0055】
(制御情報記憶部240)
制御情報記憶部240は、制御部250を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、制御情報記憶部240は、制御部250の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってもよい。
【0056】
(制御部250)
制御部250は、情報処理装置20の動作全般を制御する。例えば、制御部250は、通信部210と管理サーバ30間、および、通信部210と購入者端末10間での通信を制御する機能を有する。このような制御部250は、確認部252、登録処理部254、保留処理部256、および、決済依頼部258としての機能を有する。
【0057】
確認部252は、管理サーバ30への問い合わせにより、購入者端末10から取得した個人IDについて、当該個人IDに関連付けられている指定手段情報が示す決済手段を用いた支払実績が有るか否かを確認する機能を有する。確認部252は、上記問い合わせの結果に基づいて、上記個人IDに関連付けられている指定手段情報が示す決済手段を用いた支払実績が有ることを確認すると、当該個人IDが支払実績を有することを示す実績情報を、登録処理部254に連携する。
【0058】
登録処理部254は、確認部252から上記実績情報が連携されると、当該実績情報に基づいて、支払実績を有する個人IDを、顧客情報記憶部260に記憶させる。この構成により、情報処理装置20に、支払実績を有する個人IDが登録され、当該個人IDに係る決済手段の情報処理装置20での利用登録が完了する。
【0059】
保留処理部256は、購入者端末10から端末間通信により受信した決済の依頼について、当該決済の保留を許可または拒否する機能を有する。保留処理部256は、以下の四つの条件が満たされている場合に、決済の保留を許可する。第一の条件は、販売者SU1による入力部220の操作により、当該決済の保留を指示する操作が行われたことである。例えば、保留処理部256は、購入者端末10からの決済の依頼について、当該決済の保留を許可するか否かの確認画面を出力部230に出力させてもよい。また、保留処理部256は、当該確認画面において、販売者SU1が、入力部220を操作することにより、当該決済の保留を許可する指示を入力したことに基づいて、第一の条件が満たされたことを判定してもよい。
【0060】
第二の条件は、通信部210により取得された上記決済に係る個人IDが顧客情報記憶部260に記憶されていることである。また、第三の条件は、顧客情報記憶部260において、上記個人IDが支払実績を有することである。例えば、保留処理部256は、顧客情報記憶部260を参照し、顧客情報記憶部260において上記個人IDに関連付けられている実績情報に基づいて、当該個人IDが支払実績を有することを判定してもよい。さらに、第四の条件は、顧客情報記憶部260において、上記個人IDに関連付けられている有効期限情報が示す上記指定の決済手段の有効期限が、有効期限内であることである。
【0061】
保留処理部256は、決済の保留を許可すると、当該決済に係る個人IDおよび金額情報を含む決済依頼を、決済情報記憶部270に記憶させる。
【0062】
また、保留処理部256は、上記四つの条件のいずれか一つでも満たされていない場合は、決済の保留を拒否する。保留処理部256は、決済の保留を拒否した場合、前記決済の保留が拒否された旨を、通信部210から購入者端末10に通知させてもよい。
【0063】
決済依頼部258は、通信部210により取得された個人ID、および、金額情報を含む決済依頼を、管理サーバ30に送信する機能を有する。決済依頼部258は、上記決済依頼に係る決済の保留が許可されている場合は、当該決済依頼の保留が解除された後に、当該決済依頼を管理サーバ30に送信する。または、決済依頼部258は、管理サーバ30と情報処理装置20との間の通信に障害が生じている間に保留処理部256により保留が許可された決済依頼について、管理サーバ30と情報処理装置20の間の通信が復旧した後に、上記決済依頼の保留を自動で解除し、当該決済依頼を管理サーバ30に送信してもよい。
【0064】
顧客情報記憶部260は、登録処理部254の制御に従って、支払実績を有する個人IDを記憶する記憶装置である。顧客情報記憶部260は、上記個人IDと、当該個人IDに係る購入者CU1の指定の決済手段の有効期限情報、および、支払実績を関連付けて記憶する。このような顧客情報記憶部260は、第一の記憶部の一例である。
【0065】
決済情報記憶部270は、保留処理部256の制御に従って、保留が許可された決済依頼を記憶する記憶装置である。
【0066】
<2-3.管理サーバ30>
以上、
図3を参照して、情報処理装置20の機能構成例を説明した。続いて、
図4を参照して、管理サーバ30の機能構成例を説明する。
【0067】
(通信部310)
通信部310は、通信インターフェースによって構成され、ネットワーク5を介して、購入者端末10および情報処理装置20と通信を行う機能を有する。また、通信部310は、ネットワーク6を介して、クレジットカード会社システム40と通信を行う機能を有する。
【0068】
また、通信部310は、個人IDおよび当該個人IDに係る購入者CU1の指定の決済手段を示す指定手段情報を、購入者端末10から取得する。このような通信部310は、管理サーバ30の取得部の一例である。
【0069】
(制御情報記憶部320)
制御情報記憶部320は、制御部330を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、制御情報記憶部320は、制御部330の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってもよい。
【0070】
(制御部330)
制御部330は、管理サーバ30における動作全般を制御する。例えば、制御部330は、通信部310と購入者端末10または情報処理装置20との間、および、通信部310とクレジットカード会社システム40との間での通信を制御する機能を有する。このような制御部330は、カード情報照会部332、個人ID発行処理部334、決済依頼部336、決済情報照会処理部338、および、通知処理部339としての機能を有する。
【0071】
(カード情報照会部332)
カード情報照会部332は、購入者端末10からの初回登録の依頼に基づいて、クレジットカード会社システム40に購入者CU1の指定の決済手段の情報を照会する機能を有する。より具体的には、カード情報照会部332は、購入者端末10から受信した指定手段情報、および、有効期限情報を、クレジットカード会社システム40に照会し、当該指定の決済手段により決済が可能であることを確認する。
【0072】
(個人ID発行処理部334)
個人ID発行処理部334は、カード情報照会部332によるクレジットカード会社システム40への照会により、上記指定の決済手段による決済が可能であることが確認されると、購入者CU1を一意に識別可能とする個人IDを発行する。個人ID発行処理部334は、個人IDを発行すると、当該個人IDと、上記指定の決済手段を示す指定手段情報と、有効期限情報と、購入者端末10から受信した購入者CU1の連絡先情報(例えば、電子メールアドレス)とを関連付けて、顧客管理情報記憶部350に記憶させる。この構成により、管理サーバ30での上記指定の決済手段情報の初回登録が完了する。個人ID発行処理部334は、購入者端末10に、上記個人IDを含む初回登録の結果を送信する。また、個人ID発行処理部334は、上記連絡先情報が示す連絡先にも、初回登録の結果を送信してもよい。
【0073】
(決済依頼部336)
決済依頼部336は、購入者端末10または情報処理装置20からの決済の依頼に基づいて、クレジットカード会社システム40に決済を依頼する機能を有する。決済依頼部336は、情報処理装置20からの決済の依頼については、情報処理装置20から個人IDと支払金額を含む決済依頼を受信する。決済依頼部336は、顧客管理情報記憶部350において当該個人IDと関連付けられている指定手段情報を用いて、クレジットカード会社システム40に決済を依頼する。決済依頼部336は、クレジットカード会社システム40から決済結果を受信すると、当該決済結果を決済情報記憶部360に記憶させる。このような決済依頼部336は、管理サーバの決済処理部の一例である。
【0074】
(決済情報照会処理部338)
決済情報照会処理部338は、情報処理装置20からの問い合わせに基づき、顧客管理情報記憶部350を参照して、情報処理装置20から受信した個人IDに関連付けられている指定手段情報が示す決済手段を用いた支払実績が有るか否かを確認する機能を有する。決済情報照会処理部338は、確認結果を情報処理装置20に送信する。
【0075】
(通知処理部339)
通知処理部339は、決済依頼部336の制御により決済情報記憶部360に記憶された決済結果を、顧客管理情報記憶部350に記憶されている連絡先情報が示す連絡先に通知する機能を有する。
【0076】
(顧客管理情報記憶部350)
顧客管理情報記憶部350は、個人ID発行処理部334の制御に従って、個人ID、指定手段情報、および、連絡先情報を関連付けて記憶する記憶装置である。顧客管理情報記憶部350は、第二の記憶部の一例である。
【0077】
(決済情報記憶部360)
決済情報記憶部360は、決済依頼部336の制御に従って、クレジットカード会社システム40から受信した決済結果を、個人IDと関連付けて記憶する記憶装置である。
【0078】
<3.動作>
以上、
図4を参照して、管理サーバ30の機能構成例を説明した。続いて、
図5~
図8を参照して、本実施形態による情報処理システム1の動作を整理する。
【0079】
(初回登録)
図5は、本実施形態による情報処理システム1の初回登録時の動作を説明するシーケンス図である。まず、購入者CU1は、購入者端末10の入力部120を操作して利用者アプリを起動する(S102)。利用者アプリとは、購入者端末10が、購入者CU1に対し決済に係る情報を出力し、または、購入者CU1からの入力の受付を行うためのユーザインタフェースである。さらに、購入者CU1は、入力部120を操作し、指定の決済手段を利用して支払を行うために、初回登録に必要な情報を入力する(S104)。本動作例では、初回登録に必要な情報は、指定手段情報、有効期限情報、および、連絡先情報を含む。また、本動作例では、購入者CU1の指定の決済手段をクレジットカード決済とし、上記指定手段情報をクレジットカード番号、上記連絡先情報をメールアドレスとして説明を行う。
【0080】
購入者端末10の初回登録処理部151は、入力部120からクレジットカード番号、有効期限情報、および、メールアドレスを取得し、管理サーバ30に送信することにより、管理サーバ30に初回登録を依頼する(S106)。管理サーバ30のカード情報照会部332は、購入者端末10から受信したクレジットカード番号、および、有効期限情報を、クレジットカード会社システム40に照会し、当該クレジットカード番号が示すクレジットカードにより、決済が可能であることを確認する(S108)。クレジットカード会社システム40は、確認結果を管理サーバ30に送信する(S110)。
【0081】
管理サーバ30の個人ID発行処理部334は、クレジットカード会社システム40から受信した確認結果に基づいて、上記指定の決済手段による決済が可能であることを確認すると、購入者CU1を一意に識別可能とする個人IDを発行する。また、個人ID発行処理部334は、当該個人IDと、クレジットカード番号と、有効期限情報と、メールアドレスを関連付けて、顧客管理情報記憶部350に記憶させる(S112)。この処理により、管理サーバ30でのクレジットカード番号の初回登録が完了する。個人ID発行処理部334は、購入者端末10に、個人IDを含む初回登録の結果を送信する(S114)。
【0082】
購入者端末10の初回登録処理部151は、管理サーバ30から個人IDを含む初回登録の結果を受信すると、当該個人IDを、記憶部140に記憶させる(S116)。
【0083】
次に、購入者CU1は、出力部130に表示される指示に従って、利用者アプリのログイン認証用情報を登録してもよい(S118)。ログイン認証用情報は、例えば、暗証番号、または、生体認証情報等であってもよい。購入者端末10は、入力されたログイン認証用情報を記憶部140に記憶させて登録する(S120)。この構成により、購入者CU1以外の第三者が、利用者アプリを操作し不正に決済を行うリスクを低減することが出来る。
【0084】
以上、
図5を参照して、本実施形態による情報処理システム1の初回登録時の動作を説明した。上記の処理が行われることにより、購入者CU1の指定の決済手段に関連付けて個人IDが発行される。また、発行された個人IDが購入者端末10の記憶部140に記憶される。
【0085】
(初回購入および情報処理装置20における利用登録時の動作)
次に、
図6を参照して、本実施形態による情報処理システム1の初回購入および情報処理装置20における利用登録時の動作を説明する。
【0086】
購入者CU1は、初回登録を行ったクレジットカードにより支払を行いたい時に、購入者端末10の入力部120を操作し利用者アプリを起動して、ログイン認証用情報を入力しログインする(S202)。続いて、購入者CU1は、入力部120を操作して、購入者端末10に支払金額を入力する(S204)。
【0087】
購入者端末10の購入処理部152は、入力された支払金額、記憶部140に記憶された個人ID、および、支払先情報を、管理サーバ30に送信し決済を依頼する(S206)。この時、購入者端末10は、購入者CU1が入力部120を操作することにより入力した支払先情報を、上記決済における支払先として管理サーバ30に送信する。または、購入者端末10は、入力部120によりバーコードまたはQRコード(登録商標)を読み取ることによって取得された支払先情報を、管理サーバ30に送信してもよい。さらに、購入者端末10は、上記個人ID、支払金額、および、支払先情報の他に、クレジットカード決済に必要な各種の情報を管理サーバ30に送信してもよい。
【0088】
管理サーバ30は、購入者端末10からの決済の依頼に基づいて、クレジットカード会社システム40に決済を依頼する(S208)。より詳細には、決済依頼部336は、顧客管理情報記憶部350を参照し、購入者端末10から受信した個人IDに関連付けられたクレジットカード番号を特定する。決済依頼部336は、特定されたクレジットカード番号を用いて、上記支払金額を上記支払先情報が示す支払先に対して支払う決済の処理を、クレジットカード会社システム40に依頼する。クレジットカード会社システム40は、当該決済の処理を行った後、決済結果を管理サーバ30に送信する(S210)。本動作例では、決済が成功したことを示す決済結果が送信されたものとする。
【0089】
管理サーバ30の決済依頼部336は、クレジットカード会社システム40から受信した決済結果に基づき、上記クレジットカード番号が示すクレジットカードによる支払実績が有ることを示す実績情報を、個人IDと関連付けて決済情報記憶部360に記憶させる(S212)。この処理により、上記個人IDおよび上記個人IDに関連付けられたクレジットカード番号が示すクレジットカードが支払実績を有することが、管理サーバ30に登録される。決済依頼部336は、購入者端末10に、上記決済結果を通知する(S214)。
【0090】
次に、購入者CU1は、情報処理装置20において上記クレジットカードによる決済の利用登録を行いたい場合、販売者SU1に利用登録を依頼する(S216)。販売者SU1は、情報処理装置20の入力部220を操作し、販売者アプリを起動する(S218)。販売者アプリとは、情報処理装置20が、購入者端末10と情報処理装置20との間での端末間通信による決済を行うために、販売者SU1に対する情報の出力、または、販売者SU1からの入力の受付を行うためのユーザインタフェースである。
【0091】
購入者CU1は、購入者端末10の入力部120を操作することにより、情報処理装置20での利用登録を行う指示を入力する。販売者端末登録処理部153は、利用登録を行う指示が入力されると、個人ID、有効期限情報、および、上記決済結果を端末間通信により情報処理装置20へ送信する(S220)。または、販売者端末登録処理部153は、端末間通信による通信可能範囲内に情報処理装置20がいることを自動で検出し、かつ、情報処理装置20において販売者アプリが起動されていることを検出したことに基づいて、上記個人ID、有効期限情報、および、上記決済結果を端末間通信により情報処理装置20へ送信してもよい。また、販売者端末登録処理部153は、上記決済結果が、決済が失敗したことを示す場合、情報処理装置20への利用登録の依頼を行わない。この場合、販売者端末登録処理部153は、出力部130に、支払実績がないクレジットカードは利用登録が出来ない旨の通知を表示させてもよい。
【0092】
情報処理装置20の確認部252は、購入者端末10からの決済結果の受信に加えて、購入者端末10から受信した個人IDが支払実績を有するか否かを管理サーバ30に問い合わせる、決済結果の2段階確認を行う(S222)。または、確認部252は、購入者端末10から受信した決済結果が正しい情報であるか否かを、管理サーバ30に問い合わせてもよい。
【0093】
管理サーバ30の決済情報照会処理部338は、情報処理装置20からの問い合わせに基づき、顧客管理情報記憶部350を参照して、情報処理装置20から受信した個人IDに関連付けられているクレジットカード番号を特定する。さらに、特定したクレジットカード番号による決済結果が、決済情報記憶部360に記憶されているか否かを確認する。決済情報照会処理部338は、確認結果を情報処理装置20に送信する(S224)。本動作例では、管理サーバ30から情報処理装置20に、上記個人IDが支払実績を有することを示す確認結果が送信されたものとする。
【0094】
情報処理装置20の確認部252は、管理サーバ30から受信した確認結果に基づいて、上記個人IDが支払実績を有することを示す実績情報を登録処理部254に連携する。登録処理部254は、購入者端末10から受信した個人ID、有効期限情報、および、決済結果と、上記実績情報とを関連付けて、顧客情報記憶部260へ記憶させる(S226)。または、登録処理部254は、上記決済結果を上記実績情報として顧客情報記憶部260に記憶させてもよい。この処理により、情報処理装置20における上記クレジットカードの利用登録が完了する。登録処理部254は、利用登録が完了した旨を出力部230に出力させてもよい。
【0095】
販売者SU1は、決済が完了したことを確認すると、購入者CU1に対して、支払の済んだ商品を提供する(S228)。なお、販売者SU1は、購入者CU1から、購入者端末10の出力部130に表示された決済結果の提示を受けることにより、決済が完了したことを確認してもよい。または、S210において、クレジットカード会社システム40が、決済の完了を支払先に通知してもよい。この場合、販売者SU1は、予めクレジットカード会社システム40に記憶された支払先への通知方法に基づいて通知される決済結果を、任意の方法で確認することにより、決済が完了したことを確認してもよい。
【0096】
以上、
図6を参照して、本実施形態による情報処理システム1の初回購入および情報処理装置20における利用登録時の動作を説明した。上記説明したように、管理サーバ30における初回登録と、情報処理装置20における利用登録が完了することにより、購入者CU1は、購入者端末10と情報処理装置20との端末間通信によって、上記クレジットカードを用いた決済を利用することが出来る。続いて、
図7および
図8を参照して、初回登録および利用登録が済んだクレジットカードによる決済について、当該決済の保留が行われる場合の情報処理システム1の動作を整理する。
【0097】
(決済の保留許可時の動作)
図7は、本実施形態による情報処理システム1の決済の保留許可時の動作を説明するシーケンス図である。まず、購入者CU1は、販売者SU1に、利用登録済のクレジットカードを用いて商品またはサービスの代金を支払うために、販売者アプリの起動を依頼する(S302)。または、購入者CU1は、販売者SU1に、単に利用登録済のクレジットカードを用いて支払を行いたい旨を伝えてもよい。続いて、販売者SU1は、情報処理装置20の入力部220を操作することにより、情報処理装置20において販売者アプリを起動する(S304)。
【0098】
購入者CU1は、購入者端末10の入力部120を操作し、支払金額を入力する(S306)。購入者端末10の購入処理部152は、入力された支払金額と、記憶部140に記憶された個人IDとを、端末間通信により情報処理装置20に送信し、決済を依頼する(S308)。
【0099】
情報処理装置20の保留処理部256は、購入者端末10からの端末間通信による決済の依頼に基づき、顧客情報記憶部260を参照して、購入者端末10から受信した個人IDが顧客情報記憶部260に記憶されているか否かを検索し確認する。当該個人IDが顧客情報記憶部260に記憶されている場合、保留処理部256は、顧客情報記憶部260において当該個人IDに関連付けられている実績情報を参照し、当該個人IDが支払実績を有することを確認する(S310)。
【0100】
次に、保留処理部256は、顧客情報記憶部260を参照して、当該個人IDに関連付けられている有効期限情報に基づき、購入者CU1の指定の決済手段であるクレジットカードが、有効期限内であることを確認する(S312)。
【0101】
保留処理部256は、購入者端末10から受信した上記個人IDが顧客情報記憶部260に記憶されていること(第二の条件)、上記個人IDが支払実績を有すること(第三の条件)、および、上記個人IDに関連付けられた有効期限情報により上記クレジットカードが有効期限内であること(第四の条件)を確認すると、出力部230に、販売者SU1が視認可能な態様で、当該決済を保留するか否かの確認画面を出力させる(S314)。例えば、保留処理部256は、決済を保留する場合は入力部220を操作して保留ボタンを押下することを求める旨を、出力部230に出力させてもよい。
【0102】
販売者SU1は、当該決済を保留する場合、入力部220を操作して、当該決済を保留する指示を入力する(S316)。
【0103】
販売者SU1の入力部220の操作により、決済の保留の指示が入力されると(第一の条件)、保留処理部256は、当該決済の保留を許可する処理を行う。保留処理部256は、決済の保留を許可すると、当該決済に係る個人IDおよび支払金額の金額情報を含む決済依頼を、決済情報記憶部270に記憶させる(S318)。保留処理部256は、決済情報記憶部270での決済依頼の記憶が完了すると、決済の保留および当該決済に係る決済依頼のデータが決済情報記憶部270に記憶された旨を、販売者SU1が視認可能な態様で、出力部230に出力させてもよい。
【0104】
販売者SU1は、保留を許可した決済に係る決済依頼が決済情報記憶部270に記憶されたことを確認すると、購入者CU1に商品を提供する(S320)。
【0105】
以上、
図7を参照して、本実施形態による情報処理システム1の決済の保留許可時の動作を整理した。上記説明したように、情報処理装置20の保留処理部256は、第一の条件、第二の条件、および第三の条件が満たされている場合に、購入者端末10から端末間通信により受信した決済の依頼に係る決済の保留を許可する。続いて、
図8を参照して、本実施形態による情報処理システム1の、決済の保留解除時の動作を説明する。
【0106】
(決済の保留解除時の動作)
図8は、本実施形態による情報処理システム1の、決済の保留解除時の動作を説明するシーケンス図である。なお、
図8において、S208、S210、S212、および、S214の処理は、上記で
図6を参照して説明した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0107】
まず、販売者SU1が、情報処理装置20の入力部220を操作し、情報処理装置20において販売者アプリを起動する(S402)。続いて、販売者SU1は、入力部220を操作することにより、決済の保留解除操作を行う(S404)。より詳細には、販売者SU1は、販売者アプリ上で、決済情報記憶部270に記憶されている、保留が許可された決済依頼の保留を解除し、当該決済の処理を行う指示を入力する。
【0108】
決済依頼部258は、決済情報記憶部270に記憶されている決済依頼の保留が解除されると、当該決済依頼に含まれる個人ID、および、金額情報を管理サーバ30に送信し、管理サーバ30に決済を依頼する(S406)。
【0109】
管理サーバ30が情報処理装置20から決済依頼を受信すると、S208~S214の処理が行われる。
【0110】
<4.作用効果>
以上、
図8を参照して、本実施形態による情報処理システム1の、決済の保留解除時の動作を説明した。上記、
図7および
図8を用いて説明したような情報処理システム1の保留許可時、および、保留解除時の動作により、保留が許可された決済に係る決済依頼は、情報処理装置20の決済情報記憶部270に、当該決済の保留が解除されるまで保持される。そして、当該決済の保留が解除されると、情報処理装置20から管理サーバ30に対して、当該決済依頼に係る決済の依頼が行われる。このような構成により、例えば災害時の停電または通信回線の障害等により、購入者端末10と管理サーバ30、および、情報処理装置20と管理サーバ30との間の通信に障害が発生している間でも、購入者端末10および情報処理装置20間で端末間通信を行うことが出来れば、情報処理装置20が、購入者端末10からの電子決済による支払を、決済を保留するという形で受け付けることが出来る。従って、災害等により、購入者CU1が現金を用意することが難しい場合でも、購入者CU1は、クレジットカードを利用して商品を購入することが可能となる。
【0111】
さらに、上記説明したように、保留が許可された決済に係る決済依頼は、保留が解除されるまでの間、情報処理装置20の決済情報記憶部270に保持される。さらに、決済の保留が解除されると、情報処理装置20の決済依頼部258が、当該決済依頼を管理サーバ30に送信して、管理サーバ30に決済を依頼する。従って、販売者SU1にとっては、管理サーバ30への決済の依頼が完了していない決済依頼のデータを、自身が利用する端末側で保持する構成となる。すなわち、販売者SU1にとっては、保留された決済に係る決済依頼のデータが購入者端末10側で保持される場合と比べて、自身の過失または責任に拠らないデータ消失により、通信の復旧後も決済が完了せず、商品の代金を回収できないリスクを低減することができる。または、購入者端末10側で、保留されていた決済依頼が通信の復旧後も何らかの不具合で送信されず、決済が完了しない等のリスクが低減される。
【0112】
また、上記説明したように、情報処理装置20は、利用登録されたクレジットカードのクレジットカード番号等、指定の決済手段を示す指定手段情報を、顧客情報記憶部260および決済情報記憶部270に保持しない。さらに、購入者端末10から端末間通信により決済の依頼を受信する際にも、指定手段情報は受信せずに、個人IDおよび金額情報を受信する。そして、情報処理装置20の決済依頼部258は、受信した個人IDおよび金額情報を管理サーバ30に送信して、決済を依頼する。管理サーバ30は、初回登録時に、個人IDおよび指定手段情報を関連付けて顧客管理情報記憶部350に記憶しているので、情報処理装置20から受信した個人IDから、指定手段情報を特定することが出来る。そして、管理サーバ30は、特定した上記指定手段情報を用いて、クレジットカード会社システム40に決済を依頼することが出来る。従って、情報処理装置20側には販売者SU1のクレジットカード番号等の指定手段情報が送受または記憶されない。すなわち、購入者CU1からみて、クレジットカード番号等の指定手段情報が情報処理装置20において漏洩、または、悪用されるリスクを低減することが出来る。
【0113】
なお、上記動作例では、情報処理装置20が購入者端末10から端末間通信により受け付けるクレジットカード決済において、支払金額の上限等を特に限定せずに説明を行った。しかし、情報処理装置20が端末間通信により受け付ける決済の支払金額は、サインレスでの決済が可能な少額決済の範囲とすることが望ましい。この場合、例えば情報処理装置20の保留処理部256が、端末間通信により購入者端末10から受信した支払金額が所定の上限値(例えば、1万円)を超える場合、購入者端末10に対してエラーを通知してもよい。このような構成により、情報処理装置20が購入者端末10から端末間通信により決済を受け付ける際に、購入者CU1のサイン、または、暗証番号の入力を不要とすることが出来る。
【0114】
(補足1 決済の保留拒否時の動作)
なお、上記動作例では、
図7のS314における決済の保留の確認画面で、販売者SU1により決済の保留を行う指示が入力された例を説明したが、販売者SU1は上記確認画面で決済の保留を拒否することもできる。ここで、
図9を参照して、このような動作例を説明する。
【0115】
図9は、本実施形態による情報処理システム1の、決済の保留拒否時の動作を説明するシーケンス図である。なお、
図9において、S208~S214、および、S302~S314の処理は、上記で
図6および
図7を参照して説明した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0116】
まず、S302~S314の処理が行われる。続いて、販売者SU1は、情報処理装置20の保留処理部256の制御に従って出力部230に出力された、購入者端末10から端末間通信により依頼された決済を保留するか否かの確認画面において、当該決済の保留を拒否する(S516)。例えば、販売者SU1は、入力部220を操作することにより、上記確認画面に表示された「保留しない」ボタンを押下してもよい。
【0117】
情報処理装置20の保留処理部256は、販売者SU1による入力部220の操作に基づいて、決済の保留が拒否されると、当該決済に係る決済依頼を決済情報記憶部270に記憶させる処理は行わず、当該決済依頼を決済依頼部258に即時に連携する。決済依頼部258は、連携された決済依頼に含まれる個人ID、および、金額情報を管理サーバ30に送信して、管理サーバ30に決済を依頼する(S518)。
【0118】
情報処理装置20から管理サーバ30に決済が依頼されると、S208~S214の処理が行われる。
【0119】
以上、
図9を参照して、販売者SU1が入力部220を操作することにより、決済の保留を拒否した場合の情報処理システム1の動作例を説明した。上記説明したような動作により、情報処理装置20が購入者端末10からの端末間通信により決済の依頼を受信した場合でも、販売者SU1は、当該決済を保留せずに、情報処理装置20に即時に決済の依頼を行わせることが出来る。
【0120】
(補足2 クレジットカード有効期限切れ時の動作)
また、上記説明した動作例では、
図7のS312において、購入者端末10の指定の決済手段であるクレジットカードが有効期限内である場合の動作を説明したが、情報処理装置20の保留処理部256は、クレジットカードが有効期限切れの場合には、決済の保留を拒否してもよい。ここで、
図10を参照して、このような動作例を説明する。
【0121】
図10は、本実施形態による情報処理システム1の、クレジットカード有効期限切れ時の動作を説明するシーケンス図である。なお、
図10において、S302~S310の処理は、
図7を参照して説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0122】
まず、S302~S310の処理が行われる。続いて、情報処理装置20の保留処理部256は、顧客情報記憶部260を参照して、購入者端末10から端末間通信により受信した個人IDに関連付けられている有効期限情報に基づき、購入者CU1の指定の決済手段であるクレジットカードが、有効期限内でないことを検出する(S612)。すると、保留処理部256は、決済の保留を拒否し、購入者端末10に対してエラーを通知する(S614)。
【0123】
購入者端末10の購入処理部152は、情報処理装置20からエラーを通知した旨を出力部130に出力させる。さらに、購入処理部152は、指定の決済手段であるクレジットカードが有効期限切れである旨と、カード情報の再登録を行うか否かを確認する画面を、出力部130に出力させてもよい。購入者CU1は、出力部130に出力された案内に従って、入力部120を操作することにより、カード情報の再登録に進む指示を入力する(S616)。入力部120からカード情報の再登録に進む指示が入力されると、初回登録処理部151は、「有効なカード情報を入力してください」等の案内画面を出力部130に出力させる。その後、
図5に示した、S104~S120の初回登録の動作が行われる。このような動作により、購入者CU1は、初回登録済のクレジットカードの有効期限が切れている、または、更新されているような場合には、同じクレジットカードの再登録を行う、または、有効期限内の別のクレジットカードなどの別の指定手段情報の登録を行うことが出来る。
【0124】
<5.ハードウェア構成図>
以上、本発明の一実施形態を説明した。上述した、情報処理装置20による、利用登録、決済の保留の許可、および、決済の保留の解除後の決済の依頼の処理は、ソフトウェアと、情報処理装置20のハードウェアとの協働により実現される。以下では、本発明の実施形態による情報処理装置20のハードウェア構成例について説明する。購入者端末10および管理サーバ30のハードウェア構成も、情報処理装置20のハードウェア構成と同様に実現され得る。
【0125】
なお、以下に説明する情報処理装置20のハードウェア構成例は、購入者端末10、および、管理サーバ30の各々のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、購入者端末10および管理サーバ30の各々のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置20のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0126】
図11は、本発明の一実施形態による情報処理装置20のハードウェア構成例を示す図である。情報処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)1001と、ROM(Read Only Memory)1002と、RAM(Random Access Memory)1003と、内部バス1004と、入出力インターフェース1010と、表示装置1011と、入力装置1012と、音声出力部1013と、記憶装置1014と、ドライブ1015と、ネットワークインターフェース1016と、外部インターフェース1017と、を備えることができる。
【0127】
CPU1001は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置20内の動作全般を制御する。CPU1001が後述するROM1002、RAM1003およびソフトウェアと協働することにより、例えば、制御部250の機能が実現され得る。
【0128】
ROM1002は、CPU1001が使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する。RAM1003は、CPU1001の実行において使用するプログラム、およびその実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。
【0129】
CPU1001,ROM1002、RAM1003は、内部バス1004によって相互に接続され、さらに入出力インターフェース1010を介して後述する表示装置1011、入力装置1012、音声出力部1013、記憶装置1014、ドライブ1015、ネットワークインターフェース1016および外部インターフェース1017と接続される。
【0130】
表示装置1011は、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)、OLED装置などの表示装置であり、映像データを映像に変換して出力する。また、入力装置1012は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサ、スイッチおよび制御回路などから構成され得る。また、音声出力部1013は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置であり、音声データなどを音声に変換して出力する。
【0131】
記憶装置1014は、本実施形態による制御情報記憶部240、顧客情報記憶部260および決済情報記憶部270の一例として構成されたデータ記憶用の装置である。記憶装置1014は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでいてもよい。記憶装置1014は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。この記憶装置1014は、ストレージを駆動し、CPU1001が実行するプログラムまたは各種データを記憶する。
【0132】
ドライブ1015は、記憶媒体用リーダライタであり、情報処理装置20に内蔵、または外付けされる。ドライブ1015は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体に記憶されている情報を読み出して、RAM1003に出力する。また、ドライブ1015は、リムーバブル記憶媒体に情報を書き込むことも可能である。
【0133】
ネットワークインターフェース1016は、例えば、ネットワークに接続するためのデバイス等で構成された通信インターフェースである。当該通信インターフェースは、例えば、Bluetooth(登録商標)またはZigBee(登録商標)等の近距離無線通信インターフェースや、無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、または携帯通信網(LTE、3G)等の通信インターフェースであることができる。また、ネットワークインターフェース1016は、有線による通信を行う有線通信装置を含んでいてもよい。
【0134】
外部インターフェース1017は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS-232Cポートまたは光オーディオ端子などのような外部接続機器を接続するための接続ポートで構成された接続インターフェースである。
【0135】
<6.むすび>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0136】
例えば、上記実施形態では、
図7に示したS312の処理において、情報処理装置20の保留処理部256は、顧客情報記憶部260を参照し、購入者端末10から端末間通信により受信した個人IDに関連付けられている有効期限情報に基づき、購入者CU1の指定の決済手段が有効期限内であることを確認するとした。さらに、顧客情報記憶部260は、購入者CU1の指定の決済手段が有効期限内でない場合には、購入者端末10にエラーを通知し、購入者端末10からの決済の依頼を受け付けないとした。
【0137】
しかし、本発明はかかる例に限定されない。例えば、保留処理部256は、顧客情報記憶部260を参照して、上記個人IDに関連付けられている有効期限情報に基づき、購入者CU1の指定の決済手段の有効期限までの残日数が、所定の日数(例えば、30日)以上あるか否かを検出してもよい。そして、保留処理部256は、上記有効期限までの残日数が所定の日数以上であることを、決済の保留を許可するための第四の条件としてもよい。この場合、保留処理部256は、上記有効期限までの残日数が所定の日数未満である場合には、購入者端末10にエラーを通知してもよい。
【0138】
このような構成は、例えば、情報処理装置20が購入者端末10からの端末間通信による決済の依頼を、上記有効期限日の前日に受信したような場合に有効である。例えば当該決済の依頼が情報処理装置20と管理サーバ30の間の通信に障害が発生している間に行われ、当該決済の保留が許可されたとする。この場合、通信が復旧するまでに2日以上かかってしまうと、情報処理装置20が当該決済の保留解除後に管理サーバ30へ決済を依頼しても、管理サーバ30、またはクレジットカード会社システム40において、当該決済に係る指定の決済手段情報が有効期限切れであるために、決済がエラーとなってしまう可能性がある。そこで、上記説明したように、有効期限までの残日数が所定の日数以上であることを第四の条件とする構成であれば、このような状態を回避することが出来る。
【0139】
また、上記実施形態では、
図8に示したS404の処理において、販売者SU1による入力部220の操作に基づき、情報処理装置20の決済情報記憶部270に記憶された決済依頼の保留が解除されるとした。しかし、本発明はかかる例に限定されない。例えば、保留処理部256は、情報処理装置20と管理サーバ30との間の通信に障害が発生している間に決済情報記憶部270に記憶された決済依頼について、通信の復旧後、自動で当該決済依頼の保留を解除してもよい。そして、保留処理部256は、自動で保留を解除した決済依頼を管理サーバ30に送信して決済を依頼してもよい。この構成により、通信が障害から復旧した後に、販売者SU1からの操作を待たずに、情報処理装置20から管理サーバ30へ自動で決済を依頼することが出来る。
【0140】
また、上記実施形態では、
図6に示したS204、および、
図7、
図9、
図10で示したS306の処理において、購入者CU1が入力部120を操作することにより、購入者端末10に支払金額を入力するとしたが、本発明は係る例に限定されない。例えば、購入者端末10は、購入者CU1による入力部120を用いたバーコードまたはQRコード(登録商標)の読み取り操作により、支払金額の金額情報を取得してもよい。または、販売者SU1が情報処理装置20の入力部220を操作することにより、情報処理装置20に支払金額を入力してもよい。この場合、購入者端末10は、情報処理装置20からの端末間通信により、支払金額の金額情報を取得し、出力部130に出力させて購入者CU1に提示してもよい。この構成により、購入者CU1が、商品またはサービスの購入時に、支払金額を自分で入力する手間を省くことが出来る。
【0141】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0142】
また、本実施形態による購入者端末10、情報処理装置20、および、管理サーバ30の動作の処理におけるステップは、必ずしもシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、購入者端末10、情報処理装置20、および、管理サーバ30の動作の処理における各ステップは、シーケンス図に記載した順序と異なる順序で処理されてもよく、並列的に処理されてもよい。
【0143】
また、コンピュータに内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した購入者端末10、情報処理装置20、または、管理サーバ30が有する構成と同等の機能を発揮させるための1以上のプログラムも作成可能である。
【符号の説明】
【0144】
CU1 購入者
SU1 販売者
1 情報処理システム
10 購入者端末
110 通信部
120 入力部
130 出力部
140 記憶部
150 制御部
151 初回登録処理部
152 購入処理部
153 販売者端末登録処理部
20 情報処理装置
210 通信部
220 入力部
230 出力部
240 制御情報記憶部
250 制御部
252 確認部
254 登録処理部
256 保留処理部
258 決済依頼部
260 顧客情報記憶部
270 決済情報記憶部
30 管理サーバ
310 通信部
320 制御情報記憶部
330 制御部
332 カード情報照会部
334 個人ID発行処理部
336 決済依頼部
338 決済情報照会処理部
339 通知処理部
350 顧客管理情報記憶部
360 決済情報記憶部
40 クレジットカード会社システム40