(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124216
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/045 20220101AFI20230830BHJP
H04L 43/0852 20220101ALI20230830BHJP
【FI】
H04L43/045
H04L43/0852
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027854
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
(72)【発明者】
【氏名】坂本 剛憲
(72)【発明者】
【氏名】江上 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】滝波 浩二
(57)【要約】
【課題】パラメータの調整を通じてネットワークの性能の充足性を可視化すること。
【解決手段】本開示の一実施例に係る情報処理装置は、第1通信装置の通信属性と、前記第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の第1の遅延特性をシミュレートするシミュレーション回路と、前記第1の遅延特性と、前記第1の遅延特性に対応する第1の遅延閾値と、を表示するディスプレイと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置の通信属性と、前記第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の第1の遅延特性をシミュレートするシミュレーション回路と、
前記第1の遅延特性と、前記第1の遅延特性に対応する第1の遅延閾値と、を表示するディスプレイと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記シミュレーション回路は、前記第1通信装置がパケットの送信を開始した時刻と前記第2通信装置が前記パケットの受信を開始した時刻との差をシミュレーションにより繰り返し決定することによって、前記差の分布を前記第1の遅延特性として決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通信属性、前記送信優先度及び前記受信優先度のうちの少なくとも1つが変更された場合、前記シミュレーション回路は、変更された前記通信属性、前記送信優先度及び前記受信優先度のうちの少なくとも1つに基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の第2の遅延特性をシミュレートし、
前記ディスプレイは、前記第2の遅延特性と、前記第2の遅延特性に対応する第2の遅延閾値と、を表示する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記送信優先度は、初期条件として、前記第1通信装置が送信するパケットの発生確率が高いほど高く設定される、
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ディスプレイは、前記送信優先度を変更するための送信優先度設定回路と、前記受信優先度を変更するための受信優先度設定回路と、を含む、
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1通信装置及び前記第2通信装置を制御するプログラムから、前記通信属性、及び、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の接続関係を取得する取得回路
をさらに備える、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
第1通信装置の通信属性と、前記第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の遅延特性をシミュレートし、
前記遅延特性と、前記遅延特性に対応する遅延閾値と、を表示する、
情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
第1通信装置の通信属性と、前記第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の遅延特性をシミュレートし、
前記遅延特性と、前記遅延特性に対応する遅延閾値と、を表示する、
手順を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造装置、生産ライン等の複数のFA(Factory Automation)機器間のリアルタイム通信を保証する技術として、イーサネット(登録商標;以降省略)ベースのTSN(Time Sensitive Networking)の導入が検討されている。
【0003】
特許文献1には、TSNの一方式であるTAS(Time Aware Shaper)を採用したパケットスイッチを配置した通信システムにおいて、パケットスイッチの各ゲートの開閉タイミングを調整するために、パケット量をサンプリングし、パケット量の偏りを数値化することによって、パケットの到着周期を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば産業ネットワークにTSNを導入する際、センサからデータを取得するタイミング、モータを動かすタイミング等、データ信号及び制御信号の周期は、システムの仕様(制御)上、固定されて変更されないか、頻繁には変更されない。そのため、パケットの周期を推定することにより得られる利点は限定的である。一方で、TSNが導入された産業ネットワークにおいて、ネットワーク構成(例えばネットワークトポロジ)が複雑化し、ネットワークに接続するPLC(Programmable Logic Controller)、アクチュエータ、センサ等が増加すると、ネットワークにおける通信パラメータ又はTSNのパラメータに応じてネットワークの性能が変わり得る。したがって、ネットワークの性能が、要求される水準を満足しているか否かの判断が困難となる。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、例えば優先度といったパラメータの調整を通じてネットワークの性能の充足性を可視化することができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例に係る情報処理装置は、第1通信装置の通信属性と、前記第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の第1の遅延特性をシミュレートするシミュレーション回路と、前記第1の遅延特性と、前記第1の遅延特性に対応する第1の遅延閾値と、を表示するディスプレイと、を備える。
【0008】
本開示の一実施例に係る情報処理方法は、第1通信装置の通信属性と、前記第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の遅延特性をシミュレートし、前記遅延特性と、前記遅延特性に対応する遅延閾値と、を表示する。
【0009】
本開示の一実施例に係るプログラムは、情報処理装置に、第1通信装置の通信属性と、前記第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の遅延特性をシミュレートし、前記遅延特性と、前記遅延特性に対応する遅延閾値と、を表示する、手順を実行させる。
【0010】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施例によれば、第1通信装置の通信属性と、第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいてシミュレートされた、接続されている第1通信装置と第2通信装置との間の遅延特性及び対応する遅延閾値が表示される。これにより、通信属性、送信優先度及び受信優先度といったパラメータに応じて遅延特性及び対応する遅延閾値を表示することができるので、パラメータの調整を通じてネットワークの性能の充足性を可視化することができる。
【0012】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施の形態におけるパラメータ自動調整装置を含むパラメータ自動調整システムの一例を示すブロック図
【
図2】本開示の実施の形態におけるパラメータ自動調整部の内部構成の一例を示すブロック図
【
図3】本開示の実施の形態におけるパラメータ自動調整装置を含むパラメータ自動調整システムの動作の一例を示すシーケンス図
【
図4】
図3に示すステップS301におけるプログラム解析部の詳細動作の一例を示すフローチャート
【
図5】本開示の実施の形態におけるユーザインターフェース(UI:User Interface)部の画面レイアウトの一例を示す図
【
図6A】本開示の実施の形態における、ユーザ操作に応じたUI部の画面遷移の一例を示す図
【
図6B】本開示の実施の形態における、ユーザ操作に応じたUI部の画面遷移の一例を示す図
【
図6C】本開示の実施の形態における、ユーザ操作に応じたUI部の画面遷移の一例を示す図
【
図7】本開示の実施の形態におけるコンピュータのハードウェア構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
(実施の形態)
[パラメータ自動調整システム]
図1において、パラメータ自動調整システム1は、パラメータ自動調整装置10と、調整対象ネットワーク(NW:Network)20と、を含む。パラメータ自動調整システム1は、生産ライン等において、例えば産業用ネットワークに接続された各種FA機器を管理するために設けられてよい。調整対象NW20内のTSNスイッチとノードとは、イーサネットで接続されるのに対し、パラメータ自動調整装置10と調整対象NW20とは、有線(例えば、イーサネット等)で接続されてもよいし、無線(例えば、WiFi(登録商標)、WiGig(登録商標)、WiMAX(登録商標)等)で接続されてもよい。
【0017】
[パラメータ自動調整装置]
パラメータ自動調整装置10は、調整対象NW20から読み込んだPLCプログラム等のプログラム(制御プログラム、制御コード等と呼ばれてもよい)を解析し、当該プログラムから通信属性を抽出(取得)する。そして、パラメータ自動調整装置10は、生産設備及び生産ライン等によって要求される仕様を満足するように、抽出された通信属性に基づいて、調整対象NW20内のTSNスイッチ又はノードによって用いられるTSNパラメータ(制御パラメータと呼ばれてもよい)を調整する。ここで、TSNパラメータには、例えば、トーカー(talker)が送信するパケットの発生周期(パケット発生周期)、長さ(パケット長)及び発生確率(パケット発生確率)が含まれる。また、TSNパラメータには、例えば、トーカーの優先度(送信優先度とも呼ばれる)、リスナー(listener)の優先度(アプリケーション優先度又は受信優先度とも呼ばれる)及び要求されるシステム遅延が含まれる。パラメータ自動調整装置10は、本開示に係る情報処理装置の一例である。
【0018】
パラメータ自動調整装置10は、ユーザインターフェース(UI:User Interface)部11と、パラメータ自動調整部12と、プログラム解析部13と、を有する。
【0019】
UI部11は、例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ(例えば、タッチパネル等)(いずれも図示せず)等のうちの少なくとも1つと、UI制御部(図示せず)と、を含んでよい。UI制御部は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等の汎用の処理装置(プロセッサ)若しくは制御装置(コントローラ)又は専用の処理装置若しくは制御装置によって実現されてよい。UI部11は、UI制御部の制御の下で、ユーザによって操作されたキーボード等の入力情報を、パラメータ自動調整装置10の他の構成要素に出力(送信)したり、ディスプレイに情報を表示させたりする。ユーザは、UI部11を介して(例えば、UI部11を操作することによって)、システムにおいて調整される調整項目(ノードの通信属性、ノード毎の優先度、アプリケーション毎の優先度、要求されるシステム遅延等)を設定する。UI部11は、設定された調整項目をパラメータ自動調整部12に出力する。また、UI部11(例えば、ディスプレイ)は、プログラム解析部13から入力された通信属性及びトーカーとリスナーとの間の論理接続関係、パラメータ自動調整部12から入力された調整結果(調整状況と呼ばれてもよい)等を表示する。
【0020】
パラメータ自動調整部12は、CPU等の汎用の処理装置若しくは制御装置又は専用の処理装置若しくは制御装置によって実現されてよい。パラメータ自動調整部12は、UI部11から入力された調整項目に基づいてTSNパラメータの探索を行う。そして、パラメータ自動調整部12は、その探索結果である候補となるTSNパラメータを調整対象NW20(TSNスイッチ部21及びノード部22)に出力する。また、パラメータ自動調整部12は、後述するモデル動作結果(例えば、後述する遅延分布)及び実機動作結果(例えば、後述する遅延分布)を考慮して、UI部11から入力された調整項目に基づいてTSNパラメータの探索及び最適化を行う(システム遅延を満足するTSNパラメータの組み合わせを決定する)。そして、パラメータ自動調整部12は、探索及び最適化を行った調整結果をUI部11(例えば、ディスプレイ)に出力する。パラメータ自動調整部12は、本開示に係るシミュレーション部の一例である。パラメータ自動調整部12は、シミュレータ、学習部等と称されてもよい。
【0021】
プログラム解析部13は、CPU等の汎用の処理装置若しくは制御装置又は専用の処理装置若しくは制御装置によって実現されてよい。プログラム解析部13は、調整対象NW20内のノード部22に含まれるPLC、センサ、アクチュエータ、パーソナル・コンピューター(PC:Personal Computer)等を制御するプログラムを解析することによって当該プログラムから通信属性及びネットワークの接続情報等を抽出し、抽出した通信属性及びネットワークの接続情報等をUI部11に出力する。プログラム解析部13は、本開示に係る取得部の一例である。
【0022】
プログラム解析部13は、PLCプログラム等のプログラムを解析して、プログラムから、トーカー毎のパケットの発生周期、パケット長、パケットの発生確率等を通信属性として抽出する。さらに、プログラム解析部13は、プログラムを解析して、プログラムから、トーカーとリスナーとの間の論理接続関係、ノード(トーカー又はリスナー)とTSNスイッチとの間の論理接続関係及びネットワークトポロジを抽出する。
【0023】
ここで、トーカーは、TSNにおけるパケットの送信ノードを指し、リスナーは、TSNにおけるパケットの受信ノードを指す。例えば、センサは、測定したセンサ値を例えばPLCに送信するのでトーカーとなり、アクチュエータは、例えばPLCから制御信号を受信するのでリスナーとなる。PLCは、センサからセンサ値を受信し、制御信号をアクチュエータに送信したり、別のPLCへの送信を行ったりするので、リスナーでもありトーカーでもある。トーカーは、本開示に係る送信側通信装置(第1通信装置)の一例であり、リスナーは、本開示に係る受信側通信装置(第2通信装置)の一例である。
【0024】
[調整対象ネットワーク]
調整対象NW20は、パラメータ自動調整装置10が調整するTSNスイッチ及びノードの実機を含む。調整対象NW20は、パラメータ自動調整装置10によって調整(又は決定)されて提供されるTSNパラメータに基づいて動作する。そして、調整対象NW20は、そのように動作した(実機)動作結果をパラメータ自動調整装置10のパラメータ自動調整部12に出力する。
【0025】
調整対象NW20は、TSNスイッチ部21と、ノード部22と、を有する。
【0026】
TSNスイッチ部21は、システム間でデータをイーサネット・ネットワーク経由で送信するためのプロトコルを規定するTSNの機能を実装したネットワークスイッチである。ここで、TSNは、例えば、ネットワーク全体で時刻を同期化する時刻同期機能、リアルタイムデータ送信を可能とする(アクセス時間保証)機能、スケジューリング(時刻合わせ)機能、ゲート制御機能、割り込み機能等を備えてよい。TSNスイッチ部21は、1つのTSNスイッチから構成されてもよいし、複数のTSNスイッチから構成されてもよい。TSNスイッチ部21(に含まれるTSNスイッチ)は、パラメータ自動調整装置10によって調整(又は決定)されて提供されたTSNパラメータに基づいて動作する。そして、TSNスイッチ部21(に含まれるTSNスイッチ)は、そのように動作した(実機)動作結果をパラメータ自動調整装置10のパラメータ自動調整部12に出力する。
【0027】
ノード部22は、調整対象NW20に含まれるPLC、センサ、アクチュエータ、PC等といったFA機器を示す。ノード部22には、例えば、1つ以上のPLC、センサ、アクチュエータ、PC等が含まれてよい。ノード部22(に含まれるFA機器)は、パラメータ自動調整装置10によって調整(又は決定)されて提供されたTSNパラメータに基づいて動作する。そして、ノード部22(に含まれるFA機器)は、そのように動作した(実機)動作結果をパラメータ自動調整装置10のパラメータ自動調整部12に出力する。
【0028】
TSNスイッチ部21とノード部22との間では、制御信号及びデータ信号が通信される。
【0029】
このようにして、パラメータ自動調整システム1に含まれるパラメータ自動調整装置10は、所定性能(例えば、システム遅延)が得られたTSNパラメータとその所定性能とをユーザに提示(例えば表示)することによってTSNパラメータの調整を可視化しながら、調整されたTSNパラメータが調整対象NW20に設定されるようにTSNパラメータを調整対象NW20に出力する。なお、パラメータ自動調整装置10が、TSNパラメータを調整対象NW20に直接的に設定してもよい。
【0030】
なお、図示したパラメータ自動調整装置10の複数の機能ブロックの全てが、1つの装置内に実装されてもよいし、複数の機能ブロックが、異なる装置内に分散されて実装されてもよい。
【0031】
[パラメータ自動調整部]
図2のパラメータ自動調整部12は、ネットワーク(NW)モデル部201と、TSNパラメータ探索部202と、TSNパラメータ設定部203と、比較部204と、モデル更新部205と、を有する。
【0032】
NWモデル部201は、例えばUI部11から読み込んだ調整対象NW20のネットワーク接続、トポロジの情報、接続されるノードの情報等を用いて、ネットワークシミュレーションに用いるネットワークモデルを構築する。NWモデル部201は、構築したネットワークモデルを、NWモデル部201が有する記憶部(図示せず)又はパラメータ自動調整装置10内の別の記憶部(図示せず)に記憶させる。NWモデル部201は、構築したネットワークモデル又は後述するモデル更新部205によって更新されたネットワークモデルと、後述するTSNパラメータ設定部203から入力されたTSNパラメータと、に基づいて、ネットワークシミュレーションを実行する。そして、NWモデル部201は、そのシミュレーション結果(モデル動作結果)をTSNパラメータ探索部202及び比較部204に出力する。
【0033】
ネットワークシミュレーションに関して、NWモデル部201は、トーカーがパケットの送信を開始した時刻と、リスナーがそのパケットの受信を開始した時刻との差を、遅延時間と定義し、この遅延時間のシミュレーションを繰り返すことによって遅延時間の分布(遅延分布と呼ばれてもよい)を決定する(求める)。遅延時間及び遅延分布は、本開示に係る遅延特性の一例である。
【0034】
より具体的には、例えば、NWモデル部201は、複数のトーカーのそれぞれのパケット送信周期(発生周期)とパケット発生確率と送信するパケット長とに基づいて、さらに、優先度が高いトーカーからのパケットの送信が優先され、優先度が高いリスナーでのパケットの受信が優先されるように、遅延時間のシミュレーションを実行する。例えば、NWモデル部201は、複数のトーカーが送信するパケットが時間的に一部又は全部重複する場合には、パケットが衝突したとみなす。NWモデル部201は、パケットが衝突した場合、所定のルール(例えばバックオフ)に従って、トーカー毎に一定時間送信を停止し、一定期間終了後に再度パケットを送信する(再送制御)。これにより、パケットの衝突が発生すると、遅延時間が長くなる。また、トーカーとリスナーとの間にネットワークスイッチが介在すると、ネットワークスイッチ内部でのパケットの中継処理等により遅延時間が発生する。NWモデル部201は、トーカーパケットの衝突及び再送処理、ネットワークスイッチでの処理遅延等を考慮して、遅延時間及び遅延分布をシミュレーションにより決定する。
【0035】
TSNでは、ユーザが指定する優先度に応じた送信キューと送信キュー毎に設けられたゲートを制御することで、イーサネットでの周期送信を保証している。しかしながら、優先度には、例えば8個といった上限が設けられているため、制御対象となるノード数が増大した場合には全てのノードに個別の優先度を割り当てることが困難である。そのため、同一の優先度に割り当てられたノードは、送信タイミングが保証されず、その優先度に割り当てられた送信期間内で複数のノードがパケットを送信するため、システムで要求される遅延時間を満足することが困難である。
【0036】
また、ノード数やTSNスイッチ数が増大すると、優先度に加え発生パケット長に基づいて決定されるゲートの開閉時間、パケット発生周期に基づいて決定されるゲートの開閉周期を、システムで要求される遅延時間に収めるように決定するのは困難である。
【0037】
TSNパラメータ探索部202は、UI部11から入力された調整項目と、TSNスイッチ部21及びノード部22から入力された実機動作結果と、NWモデル部201から入力されたモデル動作結果と、に基づいて、TSNパラメータの組み合わせを探索する。そして、TSNパラメータ探索部202は、その探索結果である候補となるTSNパラメータの組み合わせをTSNパラメータ設定部203に出力する。なお、TSNパラメータ探索部202は、入力されるパラメータに対して実機動作結果を予測して出力するような機械学習による学習モデルを探索に用いてもよく、これらを組み合わせたハイブリッドモデルを用いてもよい。機械学習には公知の種々の手法が適用でき、時系列パターンを生成するニューラルネットワークを用いたディープラーニング等を用いることができる。また、TSNパラメータ探索部202は、モデル動作結果及び実機動作結果を考慮して、UI部11から入力された調整項目に基づいて、システム遅延を満足するTSNパラメータの組み合わせを決定する。そして、パラメータ自動調整部12は、探索及び最適化を行った調整結果をUI部11(例えば、ディスプレイ)に出力する。そして、TSNパラメータ探索部202は、その調整結果(例えば、遅延分布、要求されるシステム遅延(閾値)を満足するか否かを示す情報等)をUI部11(例えば、ディスプレイ)に出力する。
【0038】
より具体的には、例えば、TSNパラメータ探索部202は、優先度が高いトーカーからのパケットの送信が優先され、優先度が高いリスナーでのパケットの受信が優先されるように、トーカー毎の優先度に基づいて送信期間を探索する。TSNパラメータ探索部202は、トーカー毎にパケット長に基づく送信期間、パケット発生周期に基づく送信周期を満たすように、かつ、優先度が高いリスナーでのパケットの受信が優先されるように、全てのトーカーに対して優先度毎のゲートの開閉時間を探索する。
【0039】
TSNパラメータ設定部203は、TSNパラメータ探索部202から入力されたTSNパラメータを、NWモデル部201、TSNスイッチ部21及びノード部22に設定するように、TSNパラメータをNWモデル部201、TSNスイッチ部21及びノード部22に出力する。なお、TSNパラメータ設定部203が、TSNパラメータをNWモデル部201、TSNスイッチ部21及びノード部22に直接的に設定してもよい。
【0040】
比較部204は、TSNスイッチ部21及びノード部22から入力された実機動作結果とNWモデル部201から入力されたモデル動作結果とを比較し、その比較結果をTSNパラメータ探索部202及びモデル更新部205に出力する。
【0041】
モデル更新部205は、比較部204から入力された比較結果(実機動作結果及びモデル動作結果)に基づいて、NWモデル部201が保持するネットワークモデルを更新するか否かを判断する。そして、モデル更新部205は、その判断の結果(例えば、実機動作結果の遅延分布とモデル動作結果の遅延分布とが重なっていない場合に)、実機動作結果にあうようにネットワークモデルを更新した場合には、更新した内容をNWモデル部201に通知(出力)する。
【0042】
なお、モデル更新部205は、ネットワークモデルを更新するか否かを判断し、ネットワークモデルを更新する場合には、更新を行わずに、更新する内容をNWモデル部201に通知(出力)してもよい。その場合、NWモデル部201が、モデル更新部205から通知された更新する内容に基づいて、ネットワークモデルを更新してもよい。
【0043】
なお、モデル更新部205は、遅延分布以外にも、調整対象NW20で用いられているTSNスイッチ部21やノード部22毎の処理時間が実機動作結果とモデル動作結果とで異なっていた場合に、実機動作結果にあうようにネットワークモデルを更新してもよい。また、モデル更新部205は、TSNスイッチ部21やノード部22に搭載されているCPUの動作クロックやメモリ量を実機から読みだした値にネットワークモデルを更新してもよい。
【0044】
[パラメータ自動調整システムの動作]
図3に示していないが、パラメータ自動調整システム1の動作の開始(ステップS301)は、ユーザからの入力(例えば、
図5を参照して後述するユーザによる読込ボタン504の押下)等のユーザからの契機であってもよい。あるいは、パラメータ自動調整システム1の動作の開始(ステップS301)は、調整対象NW20が新規のネットワークとして導入されたこと又は調整対象NW20が更新されたこと(TSNスイッチ又はノードが調整対象NW20に対して追加又は削減されたこと等)を契機にしてもよい。
【0045】
ステップS301において、プログラム解析部13は、PLCプログラム等のプログラムを解析して、プログラムからノード(PLC、センサ、アクチュエータ、PC等)の通信属性(パケット長、パケット発生周期、パケット発生確率等)を抽出する。あわせて、ステップS301において、プログラム解析部13は、プログラムを解析して、調整対象NW20に含まれるノード間の接続関係(トーカーとリスナーとの間の論理接続関係)等を抽出する。そして、ステップS301において、プログラム解析部13は、抽出した通信属性及びノード間の接続関係をUI部11に出力する。ステップS301における処理については、
図4を参照して後述する。
【0046】
ステップS302において、UI部11は、ユーザが設定した、トーカーの通信属性と、トーカー及びリスナーの優先度設定と、調整対象NW20によって要求されるシステム遅延と、を、TSNパラメータ探索部202に出力する。以下、通信属性、優先度設定及びシステム遅延をまとめてパラメータと呼ぶ。
【0047】
ステップS303において、TSNパラメータ探索部202は、UI部11から入力されたパラメータに基づいてTSNパラメータを探索し、探索したTSNパラメータをTSNパラメータ設定部203に出力する。
【0048】
ステップS304において、TSNパラメータ設定部203は、TSNパラメータ探索部202から入力されたTSNパラメータを候補TSNパラメータとしてNWモデル部201に設定するように、TSNパラメータをNWモデル部201に出力する。なお、TSNパラメータ設定部203が、TSNパラメータをNWモデル部201に直接的に設定してもよい。
【0049】
ステップS305及びステップS306において、それぞれ、TSNパラメータ設定部203は、TSNパラメータ探索部202から入力されたTSNパラメータを試行TSNパラメータとしてTSNスイッチ部21及びノード部22に設定するように、TSNパラメータをTSNスイッチ部21及びノード部22に出力する。なお、TSNパラメータ設定部203が、TSNパラメータをTSNスイッチ部21及びノード部22に直接的に設定してもよい。
【0050】
ステップS307において、NWモデル部201は、設定された(候補)TSNパラメータを用いて、モデル動作をシミュレートし、シミュレートした結果であるモデル動作結果をTSNパラメータ探索部202に出力する。また、ステップS308において、NWモデル部201は、モデル動作結果を比較部204に出力する。
【0051】
ステップS309において、TSNスイッチ部21及びノード部22は、設定された(試行)TSNパラメータを用いて、実機動作を行い、実機動作を行った結果である実機動作結果をTSNパラメータ探索部202に出力する。また、ステップS310において、TSNスイッチ部21及びノード部22は、実機動作結果を比較部204に出力する。
【0052】
ステップS311において、比較部204は、NWモデル部201から入力されたモデル動作結果とTSNスイッチ部21及びノード部22から入力された実機動作結果とを比較し、その比較結果をモデル更新部205及びTSNパラメータ探索部202に出力する。
【0053】
ステップS312において、モデル更新部205は、比較部204から入力された比較結果に基づいて実機動作結果にあうようにネットワークモデルを更新し、その更新内容(更新結果と呼ばれてもよい)をNWモデル部201に出力する。
【0054】
ステップS313において、TSNパラメータ探索部202は、モデル動作結果及び実機動作結果に基づいて、システム遅延を満足するTSNパラメータの組み合わせを決定し、決定したTSNパラメータの組み合わせ及びシステム遅延(上述した調整結果)をUI部11に出力する。
【0055】
なお、TSNパラメータ探索部202は、システム遅延を満足するようにTSNパラメータの探索を繰り返してもよい(例えば、ステップS303~S312が繰り返し実行されてもよい)。TSNパラメータ探索部202は、システム遅延を満足しない場合であってもその結果をUI部11に出力してもよい。TSNパラメータ探索部202による探索の回数及び時間のうちの少なくとも一方が、例えばユーザからUI部11を介して与えられてもよい。
【0056】
最後に、ステップS313の後、UI部11は、探索、モデル動作結果及び実機動作結果等に基づいて得られたシステム遅延をユーザに提示(表示)する。
【0057】
なお、
図3に示すステップの順番は、矛盾が生じない限り適宜変更されてもよい。例えば、ステップS307の前に、ステップS308において、NWモデル部201は、設定された(候補)TSNパラメータを用いて、モデル動作をシミュレートし、シミュレートした結果であるモデル動作結果を比較部204に出力してもよく、その後、ステップS307において、NWモデル部201は、モデル動作結果をTSNパラメータ探索部202に出力してもよい。
【0058】
図4のステップS401において、プログラム解析部13は、PLC等から読み込んだPLCプログラム等を解析して、プログラムから調整対象NW20内のトーカーとリスナーとの間の接続関係を抽出する。なお、プログラム解析部13は、例えばパラメータ自動調整装置10の記憶部(図示せず)又はクラウド(図示せず)に記憶されている、機器(ノード)の接続図面(機器とネットワークスイッチとの間の接続関係を記した図面)及びプログラムで使用されているポートの情報に基づいて、トーカーとリスナーとの間の接続関係を抽出してもよい。
【0059】
ステップS402において、プログラム解析部13は、PLC等から読み込んだPLCプログラムを解析して、プログラムから通信属性を抽出する。例えば、プログラム解析部13は、プログラムからサイクルタイムを抽出し、抽出したサイクルタイムを、トーカーが送信するパケットの送信周期(パケット送信周期)に設定又は決定する。なお、プログラム解析部13は、プログラムで定義されている通信属性が存在する場合、その定義されている情報を抽出して通信属性に設定又は決定してもよい。
【0060】
ステップS403において、プログラム解析部13は、トーカーの通信属性を全て抽出したか否かを確認する。プログラム解析部13は、トーカーの通信属性を全て抽出した場合(ステップS403においてYes)、処理を終了する。一方、プログラム解析部13は、トーカーの通信属性の一部を抽出していない場合(ステップS403においてNo)、処理をステップS404に移行する。
【0061】
ステップS404において、プログラム解析部13は、プログラム解析部13が有する記憶部(図示せず)又はパラメータ自動調整装置10内の別の記憶部(図示せず)において、実機動作結果(例えば、送信ログ等)を保持しているか否かを確認する。プログラム解析部13は、実機動作結果を保持している場合(ステップS404においてYes)、処理をステップS405に移行する。一方、プログラム解析部13は、実機動作結果を保持していない場合(ステップS404においてNo)、処理をステップS406に移行する。
【0062】
ステップS405において、プログラム解析部13は、実機動作結果から得られた通信属性を設定し、処理を終了する。例えば、プログラム解析部13は、トーカーの送信ログからパケット長、パケット送信周期及びパケット発生頻度の全部又は一部を通信属性に設定又は決定する。
【0063】
ステップS406において、プログラム解析部13は、任意の値を通信属性として設定し、処理を終了する。任意の値は、例えばユーザによって予め入力されている値の範囲又は複数の値から、プログラム解析部13によってランダムに選択されてもよい。
【0064】
[画面レイアウト]
図5の画面レイアウト500は、トーカー属性設定画面501、I/O(Input/Output)接続設定画面502と、リスナー結果(調整結果)表示画面503と、読込(Read)ボタン504と、探索開始(Start)ボタン505と、送信優先度設定画面506と、アプリケーション優先度設定画面507と、を含む。なお、ここでは、調整対象NW20内に、トーカーがN台存在し、リスナーがM台存在するとして説明する。
【0065】
トーカー属性設定画面501は、トーカー(
図5に示すT1~TN)毎にパケット長(pkt_length)、パケット発生周期(interval)及びパケット発生確率を表示する。例えば、
図5に示すように、トーカー属性設定画面501は、横軸に時間をとり、横軸に沿ってトーカーのパケット長及び発生周期を表示し、縦軸において発生確率を棒グラフ状に表示する。
【0066】
なお、トーカー属性設定画面501は、プログラム解析部13によるプログラム解析の結果を表示するだけでなく、ユーザがUI部11を介して直接入力した、パケット長、パケット発生周期及びパケット発生確率のうちの少なくとも1つを表示してもよい。また、ユーザは、トーカー属性設定画面501が表示した結果を、UI部11を介して修正又は変更できてもよい。そして、ユーザがパケット長、パケット発生周期及びパケット発生確率のうちの少なくとも1つを変更して、探索開始ボタン505を押した場合、変更された値を用いて探索等が実行される。
【0067】
I/O接続設定画面502は、パラメータ自動調整装置10が読み込んだ(プログラム解析部13が抽出した)トーカーとリスナー(
図5に示すL1~LM)との間の論理接続関係を表示する。UI部11のUI制御部は、初期条件として、トーカー毎のパケット発生確率でソートした順番に優先度を設定する(パケット発生確率が高いほど優先度が高くなるようにトーカーの優先度を設定する)が、優先度に関する初期条件は、これに限定されるものではない。なお、図示するI/O接続設定画面502においては、上に表示されているトーカーほど優先度が高いが、表示順序と優先度との関係は、これに限定されるものではない。また、リスナーの優先度は、初期条件として、例えば、リスナーの識別番号順であってもよいし、予め設定されているリスナーの種別順(例えば、PLC、アクチュエータ等の順番であって、同じ種別内ではランダムな順番又は識別番号順等)であってもよい。
【0068】
I/O接続設定画面502は、送信優先度設定画面506と、アプリケーション優先度設定画面507と、を含む。I/O接続設定画面502において、トーカーとリスナーとの間の論理接続関係は、例えばプログラムから一意に決定されて表示されるが、送信優先度設定画面506及びアプリケーション優先度設定画面507にそれぞれ表示される送信優先度(トーカー優先度)及びアプリケーション優先度(リスナー優先度)は、ユーザによっても設定(変更)されてもよい。ユーザが、ドラッグ&ドロップによって、送信優先度及びアプリケーション優先度のうちの少なくとも1つを設定(変更)した場合、I/O接続設定画面502は、当該設定(変更)に従って、I/O接続設定画面502における表示を変更する。
【0069】
例えば、アプリケーション優先度設定画面507において、ユーザは、PLCからのパケットを優先させたい、カメラからのパケットを優先させたい、又は、センサからのパケットを優先させたい等の優先度に応じて、ドラッグ&ドロップによって、アプリケーションから要求される優先度を入力して設定することができる。例えば、
図5においては、L1、L2、...、LMの順に表示されているが、ユーザは、L2を最も優先させたければ、L2、L1、...、LMの順番に並べ替えることができる。
【0070】
リスナー結果表示画面503は、リスナー毎にトーカーが送信したパケットが、要求されるシステム遅延を満足するか否かを表示する。要求されるシステム遅延は、本開示に係る遅延閾値の一例である。
【0071】
リスナー結果表示画面503は、例えば、リスナーL1の場合、トーカーT1が送信するパケットの遅延時間(delay)の分布を横軸に表示し、縦軸にヒストグラム(hist.)で表示する。この場合、システムによって要求される遅延時間(
図5において点線で示されるlimit)を満足しているため、リスナー結果表示画面503は、OKと表示する。また、リスナー結果表示画面503は、例えば、リスナーLMの場合、トーカーTNが送信するパケットの遅延分布が、システムによって要求される遅延時間を満足していないため、NGと表示する。なお、リスナー結果表示画面503は、遅延分布をヒストグラムで表示するだけでなく、遅延時間の最小値、最大値等の統計値も表示してもよい。また、遅延時間の分布の代わりに、1回のシミュレーションによって得られた遅延時間が、システムによって要求される遅延時間を満足しているか否かを判断するために、当該システムによって要求される遅延時間と比較されてもよい。
【0072】
読込ボタン504は、押されると、PLCプログラム等のプログラムの読み込み(プログラム解析部13によるプログラムの解析及び通信属性の抽出;
図3に示すステップS301)を開始する。
【0073】
探索開始ボタン505は、押されると、設定された属性情報及び優先度を用いたTSNパラメータの探索(TSNパラメータ探索部202による探索;
図3に示すステップS303)を開始する。
【0074】
次に、UI部11に対するユーザ操作(入力)に応じた画面遷移について、
図6A~
図6Cを参照して時系列に説明する。
【0075】
初期状態では、
図6Aに示すように、読み込みボタン504が表示されている。
【0076】
ユーザが読込ボタン504を押すと、パラメータ自動調整装置10は、上述したように、プログラムを解析して、プログラムから、トーカーの通信属性及びトーカーとリスナーとの間の論理接続関係を抽出する。そして、
図6Bに示すように、パラメータ自動調整装置10は、トーカー毎の通信属性をトーカー属性設定画面501に表示させ、トーカーとリスナーとの間の論理接続関係をI/O接続設定画面502に表示させる。また、
図6Bに示すように、パラメータ自動調整装置10は、探索開始ボタン505も表示させる。このように、この段階で、トーカー属性設定画面501、I/O接続設定画面502及び探索開始ボタン505が、さらに表示される。
【0077】
次に、ユーザは、必要に応じて、送信優先度設定画面506において、送信優先度(トーカーの優先度)を入力及び設定し、アプリケーションから要求される優先度に応じてアプリケーション優先度設定画面507においてリスナーの優先度を入力及び設定する。
【0078】
次に、ユーザが探索開始ボタン505を押すと、パラメータ自動調整装置10は、上述したように、TSNパラメータの探索を行う。そして、
図6Cに示すように、パラメータ自動調整装置10は、調整結果をリスナー結果表示画面503に表示させる。このように、この段階で、リスナー結果表示画面503が、さらに表示される。
【0079】
次に、ユーザは、リスナー結果表示画面503に表示された結果を見て、再度アプリケーション優先度設定画面507において優先度を再設定(変更)したり、トーカー属性設定画面501においてトーカーの通信属性を変更したりして、再度パラメータの探索を行ってもよい。
【0080】
なお、ノードの台数が増えたり、要求されるシステム遅延時間が短くなったりすると、パラメータの探索方法によらず、全てのシステム遅延を満足することが困難になる。このような場合、ユーザは、システムの仕様上、問題がない(影響を及ぼさない)箇所を変更して(例えば、アプリケーションの優先度を下げたり、パケットの発生周期を変えたりする等して)、システム要求を満足する使用可能なTSNパラメータを探索する。一般に、ノードの台数が増えるとTSNパラメータの探索は難しくなり、どのTSNパラメータを変更してよいかユーザからはわかりにくくなる。そこで、本開示の実施の形態におけるパラメータ自動調整装置10を用いることで、調整するTSNパラメータを可視化することができるので、ユーザは、TSNパラメータを容易に調整することができる。
【0081】
また、TSNにはフレームプリエンプションと呼ばれる割り込み機能がある。このフレームプリエンプションの機能を用いる場合、パケット長が短いトーカーに割り込ませるかパケット長が長いトーカーに割り込ませるかの判断が難しい。このような場合においても、トーカー送信設定画面401において、例えば、トーカーT1のパケット長を分割する等して短くし、そのときのシステム遅延を確認することが可能になるため、ユーザの調整作業を大幅に短くかつ容易にすることができる。
【0082】
<変形例>
NWモデル部201は、モデル化する調整対象NW20に接続される(調整対象NW20に含める)ノードに関する情報(用いられているCPU、CPU負荷率、メモリに関する情報、通信デバイスの特性等)及びTSNスイッチに関する情報を、ウェブ又はクラウド(例えば、ノードの製造業者のウェブサイト等)から取得してもよい。これに加えて又は代えて、ユーザが、例えばUI部11を介して、ノード及びTSNスイッチの評価結果を入力できてもよい。これにより、ノード及びTSNスイッチの特性を考慮した、より精度の高いネットワークモデルを構築することができ、モデル動作結果の向上を図ることができる。
【0083】
パラメータ自動調整部12は、TSNパラメータ探索の結果、システム仕様を満足することが難しければ、ネットワークトポロジの変更を行った場合、TSNスイッチの追加(又は削減)を行った場合、これらの両方を行った場合等におけるシステム遅延をシミュレート及び評価し、変更したトポロジの情報等をUI部11(例えば、I/O接続設定画面502)に表示させてもよい。
【0084】
TSNパラメータ探索部202は、リスナーのシステム遅延を満足した場合、満足したリスナーのパケット発生周期等の上限値を提案してもよい。TSNパラメータ探索部202は、上限値をUI部11に出力し、例えば、トーカー属性設定画面501が上限値を表示してもよい。
【0085】
また、TSNパラメータ探索部202は、あるPLCを別のPLCに置き換えた場合のTSNパラメータの探索を行い、そのときのシステム遅延を決定してもよい。そして、TSNパラメータ探索部202は、別のPLCのパラメータ及び決定したシステム遅延をUI部11に出力し、例えば、トーカー属性設定画面501が、別のPLCに関する通信属性を表示し、リスナー結果表示画面503が、システム遅延を表示してもよい。
【0086】
NWモデル部201は、モデル動作結果を決定する際に、ノード及びTSNスイッチのうちの少なくとも1つのCPU負荷率を設定し、例えばCPUの負荷率毎にモデル動作結果を決定してもよい。CPU負荷率等を加味してシミュレーションを行うことで、実際の動作(例えばユーザがセンサやアクチュエータを制御する場合)を模擬したTSNパラメータの探索を行うことが可能となる。
【0087】
上記において、モデル動作結果及び実機動作結果に基づいてTSNパラメータを探索し、そのときのシステム遅延を表示する例を説明したが、実機動作結果が得られない場合もある。例えば、生産ラインの設計段階において、TSNパラメータを決定する場合には、実機動作結果を得ることが困難である。その場合には、モデル動作結果に基づいてTSNパラメータの探索を行ってもよい。その場合には、ノードに関する情報(品番、用いられているCPU、CPUの負荷率、メモリに関する情報等)に基づいて、又は、ノード単体で評価した結果に基づいて、ネットワークモデルを作成してシミュレーションを行うことで、実機に近い環境でTSNパラメータの探索を行うことが可能となる。
【0088】
上記において、送信優先度設定画面506及びアプリケーション優先度設定画面507にそれぞれ表示される送信優先度(トーカー優先度)及びアプリケーション優先度(リスナー優先度)は、ドラッグ&ドロップによって変更される例を説明したが、本開示はこの例に限定されるものではない。例えば、トーカー及びリスナーのそれぞれを示す表示の横に、優先度を表示又は入力するためのボックスを設け、ユーザが、優先度を示す数値等をボックス内に入力して例えば決定ボタンを押すことによって、送信優先度及びアプリケーション優先度が変更されてもよい。
【0089】
上記において、ユーザが探索開始ボタン505を押した後に、
図6Cに示すようにリスナー結果表示画面503が表示される例を説明したが、本開示はこの例に限定されるものではない。例えば、ユーザが、
図6Aにおける読込ボタン504を押した後、例えばトーカー毎のパケット発生確率でソートした順番に送信優先度が設定されている初期条件を用いて探索が実行されて、
図6Bに示すような画面が表示されることなく、
図6Cに示すような画面が表示されてもよい。その後、ユーザが、通信属性及び優先度のうちの少なくとも1つを変更して、探索開始ボタン505を押すことにより、
図6Cに示すような別の画面が表示されてもよい。
【0090】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0091】
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、上述したパラメータ自動調整装置10の機能は、コンピュータプログラムにより実現されてもよい。
【0092】
図7は、パラメータ自動調整装置10の機能をプログラムにより実現するコンピュータ1000のハードウェア構成を示す図である。このコンピュータ1000は、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置1001と、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置1002と、CPU(Central Processing Unit)1003と、GPU(Graphics Processing Unit)1004と、ROM(Read Only Memory)1005と、RAM(Random Access Memory)1006と、ハードディスク装置、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置1007と、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体から情報を読み取る読取装置1008と、ネットワークを介して通信を行う送受信装置1009と、を備え、これらの装置1001~1009は、バス1010により接続される。
【0093】
そして、読取装置1008は、パラメータ自動調整装置10の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1007に記憶させる。あるいは、送受信装置1009が、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードしたパラメータ自動調整装置10の機能を実現するためのプログラムを記憶装置1007に記憶させる。
【0094】
そして、CPU1003が、記憶装置1007に記憶されたプログラムをRAM1006にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1006から順次読み出して実行することにより、パラメータ自動調整装置10の機能が実現される。
【0095】
<実施の形態の効果>
パラメータ自動調整装置10のパラメータ自動調整部12は、トーカーの通信属性(パケット発生周期、パケット長、パケット発生確率)、トーカー優先度及びリスナー優先度に基づいて、接続されているトーカーとリスナーとの間の遅延時間又は遅延分布をシミュレートする。パラメータ自動調整装置10のUI部11は、シミュレートされた遅延時間又は遅延分布と、対応する要求されるシステム遅延と、を表示する。
【0096】
上記の構成により、トーカーの通信属性、トーカー優先度及びリスナー優先度に基づいてシミュレートされた、トーカーとリスナーとの間の遅延時間又は遅延分布と、対応する要求されるシステム遅延と、が表示される。これにより、通信属性、トーカー優先度及びリスナー優先度といったパラメータに応じて、遅延時間又は遅延分布と、対応する要求されるシステム遅延と、を表示することができるので、パラメータの調整を通じてネットワークの性能の充足性を可視化することができる。
【0097】
(実施の形態のまとめ)
本開示の実施の形態に係る情報処理装置(パラメータ自動調整装置10)は、第1通信装置(ノード部22に含まれるトーカー)の通信属性(パケット発生周期、パケット長、パケット発生確率)と、前記第1通信装置の送信優先度(トーカー優先度)と、第2通信装置(ノード部22に含まれるリスナー)の受信優先度(リスナー優先度、アプリケーション優先度)と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の第1の遅延特性(遅延時間、遅延分布)をシミュレートするシミュレーション回路(パラメータ自動調整部12)と、前記第1の遅延特性と、前記第1の遅延特性に対応する第1の遅延閾値(要求されるシステム遅延)と、を表示するディスプレイ(UI部11)と、を備える。
【0098】
上記の構成により、第1通信装置の通信属性と、第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいてシミュレートされた、接続されている第1通信装置と第2通信装置との間の第1の遅延特性及び対応する第1の遅延閾値が表示される。これにより、通信属性、送信優先度及び受信優先度といったパラメータに応じて第1の遅延特性及び対応する第1の遅延閾値を表示することができるので、パラメータの調整を通じてネットワークの性能の充足性を可視化することができる。
【0099】
本情報処理装置において、前記シミュレーション回路は、前記第1通信装置がパケットの送信を開始した時刻と前記第2通信装置が前記パケットの受信を開始した時刻との差をシミュレーションにより繰り返し決定することによって、前記差の分布(遅延分布)を前記第1の遅延特性として決定する。
【0100】
上記の構成により、シミュレーションにより決定される第1の遅延特性の精度を向上させることができる。
【0101】
本情報処理装置において、前記通信属性、前記送信優先度及び前記受信優先度のうちの少なくとも1つが変更された場合、前記シミュレーション回路は、変更された前記通信属性、前記送信優先度及び前記受信優先度のうちの少なくとも1つに基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の第2の遅延特性(遅延時間、遅延分布)をシミュレートし、前記ディスプレイは、前記第2の遅延特性と、前記第2の遅延特性に対応する第2の遅延閾値(要求されるシステム遅延)と、を表示する。
【0102】
上記の構成により、通信属性、送信優先度及び受信優先度といったパラメータの変更に応じて第2の遅延特性及び対応する第2の遅延閾値を表示することができるので、パラメータの調整を通じてネットワークの性能の充足性を可視化することができる。
【0103】
本情報処理装置において、前記送信優先度は、初期条件として、前記第1通信装置が送信するパケットの発生確率が高いほど高く設定される。
【0104】
上記の構成により、頻繁に発生する確率が高いパケットを送信する第1通信装置の優先度が高いと想定して、遅延特性及び対応する遅延閾値を表示することができる。
【0105】
本情報処理装置において、前記ディスプレイは、前記送信優先度を変更するための送信優先度設定回路と、前記受信優先度を変更するための受信優先度設定回路と、を含む。
【0106】
上記の構成により、例えばユーザは、送信優先度設定回路及び受信優先度設定回路をそれぞれ介して、送信優先度及び受信優先度を変更して設定することができる。
【0107】
本情報処理装置は、前記第1通信装置及び前記第2通信装置を制御するプログラムから、前記通信属性、及び、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の接続関係を取得する取得回路(プログラム解析部13)をさらに備える。
【0108】
上記の構成により、ネットワークにおける現状の通信の状況を把握することができる。
【0109】
本開示の実施の形態に係る情報処理方法は、第1通信装置(ノード部22に含まれるトーカー)の通信属性(パケット発生周期、パケット長、パケット発生確率)と、前記第1通信装置の送信優先度(トーカー優先度)と、第2通信装置(ノード部22に含まれるリスナー)の受信優先度(リスナー優先度、アプリケーション優先度)と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の遅延特性(遅延時間、遅延分布)をシミュレートし、前記遅延特性と、前記遅延特性に対応する遅延閾値(要求されるシステム遅延)と、を表示する。
【0110】
上記の構成により、第1通信装置の通信属性と、第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいてシミュレートされた、接続されている第1通信装置と第2通信装置との間の遅延特性及び対応する遅延閾値が表示される。これにより、通信属性、送信優先度及び受信優先度といったパラメータに応じて遅延特性及び対応する遅延閾値を表示することができるので、パラメータの調整を通じてネットワークの性能の充足性を可視化することができる。
【0111】
本開示の実施の形態に係るプログラムは、情報処理装置(パラメータ自動調整装置10)に、第1通信装置(ノード部22に含まれるトーカー)の通信属性(パケット発生周期、パケット長、パケット発生確率)と、前記第1通信装置の送信優先度(トーカー優先度)と、第2通信装置(ノード部22に含まれるリスナー)の受信優先度(リスナー優先度、アプリケーション優先度)と、に基づいて、接続されている前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の遅延特性(遅延時間、遅延分布)をシミュレートし、前記遅延特性と、前記遅延特性に対応する遅延閾値(要求されるシステム遅延)と、を表示する、手順を実行させる。
【0112】
上記の構成により、第1通信装置の通信属性と、第1通信装置の送信優先度と、第2通信装置の受信優先度と、に基づいてシミュレートされた、接続されている第1通信装置と第2通信装置との間の遅延特性及び対応する遅延閾値が表示される。これにより、通信属性、送信優先度及び受信優先度といったパラメータに応じて遅延特性及び対応する遅延閾値を表示することができるので、パラメータの調整を通じてネットワークの性能の充足性を可視化することができる。
【0113】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0114】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0115】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0116】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0117】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0118】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運び困難又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0119】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0120】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0121】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0122】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0123】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本開示の一実施例は、TSNが導入されたネットワークを調整する技術に有用である。
【符号の説明】
【0125】
1 パラメータ自動調整システム
10 パラメータ自動調整装置
11 UI部
12 パラメータ自動調整部
13 プログラム解析部
20 調整対象NW
21 TSNスイッチ部
22 ノード部
201 NWモデル部
202 TSNパラメータ探索部
203 TSNパラメータ設定部
204 比較部
205 モデル更新部