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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124217
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】攪拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/90 20220101AFI20230830BHJP
   B01F 35/00 20220101ALI20230830BHJP
【FI】
B01F7/18 B
B01F15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027855
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】503200361
【氏名又は名称】株式会社イチネンアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】長船 勝己
【テーマコード(参考)】
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G037DA21
4G037EA04
4G078AA02
4G078BA05
4G078DA01
4G078DB10
4G078DC04
(57)【要約】
【課題】攪拌の条件に応じて攪拌部の形状を変更できる攪拌装置を提供する。
【解決手段】攪拌装置は、棒状部材と、前記棒状部材の軸線方向に直交する第1方向に延びるように、前記棒状部材の前記軸線方向における一端部に取り付けられた柱状の支持部材と、前記支持部材に支持された攪拌部と、を備える。前記攪拌部は、前記支持部材を回転中心として前記支持部材の周方向に回転できるように前記支持部材に支持された一対の板状の羽根と、前記一対の羽根にそれぞれ着脱可能に取り付けられた一対のリングとを含む。前記棒状部材が軸線周りに回転することによって、前記一対の羽根は、遠心力によって、前記支持部材を回転中心として互いに離れる方向に回転する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状部材と、
前記棒状部材の軸線方向に直交する第1方向に延びるように、前記棒状部材の前記軸線方向における一端部に取り付けられた柱状の支持部材と、
前記支持部材に支持された攪拌部と、を備え、
前記攪拌部は、前記支持部材を回転中心として前記支持部材の周方向に回転できるように前記支持部材に支持された一対の板状の羽根と、前記一対の羽根にそれぞれ着脱可能に取り付けられた一対のリングとを含み、
前記棒状部材が軸線周りに回転することによって、前記一対の羽根は、遠心力によって、前記支持部材を回転中心として互いに離れる方向に回転する、攪拌装置。
【請求項2】
前記一対の羽根はそれぞれ、前記支持部材が挿通される第1貫通孔および前記第1貫通孔から離れた位置に形成されかつ前記リングが引っかけられる第2貫通孔を有し、
前記一対のリングはそれぞれ、螺旋状に巻かれた線材である、請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記攪拌部は、前記一対の羽根にそれぞれ着脱可能に取り付けられた一対のリンクチェーンを含み、
前記一対のリングはそれぞれ、前記リンクチェーンを構成する複数のリングのうちの一つのリングである、請求項1または2に記載の攪拌装置
【請求項4】
前記複数のリングはそれぞれ、螺旋状に巻かれた線材である、請求項3に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記一端部が下になるように前記棒状部材の前記軸線方向を鉛直方向に一致させかつ前記棒状部材を停止させた基準状態において、
前記第1方向から見て前記支持部材は前記棒状部材の軸線上に設けられており、
一方の前記羽根に取り付けられた前記リングは、前記第1方向と前記軸線方向とに直交する第2方向における一方側から他方の前記羽根に接触し、前記他方の羽根に取り付けられた前記リングは、前記第2方向における他方側から前記一方の羽根に接触し、
前記一方の羽根に取り付けられた前記リングが前記他方の羽根に接触することによって、前記一方の羽根が前記他方の羽根に対して前記他方の羽根側に向かって相対的に回転することが防止され、
前記他方の羽根に取り付けられた前記リングが前記一方の羽根に接触することによって、前記他方の羽根が前記一方の羽根に対して前記一方の羽根側に向かって相対的に回転することが防止される、請求項1から4のいずれかに記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記基準状態において、前記一方の羽根に取り付けられた前記リングは、前記第2方向において前記軸線よりも前記一方側において前記他方の羽根に接触し、前記他方の羽根に取り付けられた前記リングは、前記第2方向において前記軸線よりも前記他方側において前記一方の羽根に接触する、請求項5に記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記リングは、当該リングの軸方向から見て長円形状を有している、請求項1から6のいずれかに記載の攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を攪拌するために用いられる攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を攪拌するために、種々の攪拌装置が用いられている。出願人は、特許文献1において、図7および図8に示す攪拌装置200を開示している。
【0003】
図7に示すように、従来の攪拌装置200は、棒状の回転部材202と、回転部材202の一端部に取り付けられた円柱状の支持部材204と、支持部材204に回転可能に支持された一対の板状の羽根206とを備えている。一対の羽根206は、液体を攪拌する攪拌部として機能する。
【0004】
具体的には、図8に示すように、攪拌装置200では、駆動装置によって回転部材202を回転駆動することによって、一対の羽根206が遠心力によって支持部材204を回転中心として互いに離れる方向に回転する。したがって、攪拌装置200では、回転部材202を回転させることによって、開いた状態の一対の羽根206によって、液体を攪拌することができる。この攪拌装置200は、部品点数が少ないため、容易でかつ低コストで製造することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-188295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、攪拌の対象である液体の種類(特に、粘度)および液体が収容されている容器の形状などの条件によって、攪拌部の形状を変更できれば有用であるが、従来そのような攪拌装置は存在しない。
【0007】
そこで、本発明は、攪拌の条件に応じて攪拌部の形状を変更できる攪拌装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の攪拌装置を要旨とする。
【0009】
(1)棒状部材と、
前記棒状部材の軸線方向に直交する第1方向に延びるように、前記棒状部材の前記軸線方向における一端部に取り付けられた柱状の支持部材と、
前記支持部材に支持された攪拌部と、を備え、
前記攪拌部は、前記支持部材を回転中心として前記支持部材の周方向に回転できるように前記支持部材に支持された一対の板状の羽根と、前記一対の羽根にそれぞれ着脱可能に取り付けられた一対のリングとを含み、
前記棒状部材が軸線周りに回転することによって、前記一対の羽根は、遠心力によって、前記支持部材を回転中心として互いに離れる方向に回転する、攪拌装置。
【0010】
(2)前記一対の羽根はそれぞれ、前記支持部材が挿通される第1貫通孔および前記第1貫通孔から離れた位置に形成されかつ前記リングが引っかけられる第2貫通孔を有し、
前記一対のリングはそれぞれ、螺旋状に巻かれた線材である、上記(1)に記載の攪拌装置。
【0011】
(3)前記攪拌部は、前記一対の羽根にそれぞれ着脱可能に取り付けられた一対のリンクチェーンを含み、
前記一対のリングはそれぞれ、前記リンクチェーンを構成する複数のリングのうちの一つのリングである、上記(1)または(2)に記載の攪拌装置。
【0012】
(4)前記複数のリングはそれぞれ、螺旋状に巻かれた線材である、上記(3)に記載の攪拌装置。
【0013】
(5)前記一端部が下になるように前記棒状部材の前記軸線方向を鉛直方向に一致させかつ前記棒状部材を停止させた基準状態において、
前記第1方向から見て前記支持部材は前記棒状部材の軸線上に設けられており、
一方の前記羽根に取り付けられた前記リングは、前記第1方向と前記軸線方向とに直交する第2方向における一方側から他方の前記羽根に接触し、前記他方の羽根に取り付けられた前記リングは、前記第2方向における他方側から前記一方の羽根に接触し、
前記一方の羽根に取り付けられた前記リングが前記他方の羽根に接触することによって、前記一方の羽根が前記他方の羽根に対して前記他方の羽根側に向かって相対的に回転することが防止され、
前記他方の羽根に取り付けられた前記リングが前記一方の羽根に接触することによって、前記他方の羽根が前記一方の羽根に対して前記一方の羽根側に向かって相対的に回転することが防止される、上記(1)から(4)のいずれかに記載の攪拌装置。
【0014】
(6)前記基準状態において、前記一方の羽根に取り付けられた前記リングは、前記第2方向において前記軸線よりも前記一方側において前記他方の羽根に接触し、前記他方の羽根に取り付けられた前記リングは、前記第2方向において前記軸線よりも前記他方側において前記一方の羽根に接触する、上記(5)に記載の攪拌装置。
【0015】
(7)前記リングは、当該リングの軸方向から見て長円形状を有している、上記(1)から(6)のいずれかに記載の攪拌装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、攪拌の条件に応じて攪拌部の形状を変更できる攪拌装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る攪拌装置を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る攪拌装置を示す図である。
図3図3は、リングを示す図である。
図4図4は、棒状部材が回転駆動されている状態の攪拌装置を示す図である。
図5図5は、攪拌装置の他の例を示す図である。
図6図6は、攪拌装置の他の例を示す図である。
図7図7は、従来の攪拌装置を示す図である。
図8図8は、従来の攪拌装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る攪拌装置について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る攪拌装置100を示す図である。また、図2は、図1に示す攪拌装置100を紙面右側から見た図である。ただし、図2においては、後述する攪拌部14のリング42が取り外された状態の攪拌装置100を示している。
【0019】
図1および図2に示すように、攪拌装置100は、棒状部材10と、棒状部材10の一端部に取り付けられた支持部材12と、支持部材12に支持された攪拌部14とを備えている。なお、図1および図2においては、棒状部材10の軸線Xを一点鎖線で示している。本明細書では、軸線Xに平行な方向を軸線方向という。本実施形態に係る攪拌装置100は、例えば、図示しない容器に収容された液体を攪拌する際に利用される。
【0020】
棒状部材10、支持部材12および攪拌部14はそれぞれ、例えば、金属材料からなる。本実施形態では、棒状部材10は、本体部10a、一対の支持部10b、および連結部10cを有している。本体部10aは、棒状部材10の軸線方向における中央部に設けられている。一対の支持部10bは、棒状部材10の軸線方向における一端部に設けられ、連結部10cは、棒状部材10の軸線方向における他端部に設けられている。
【0021】
本体部10aは、円柱形状を有しかつ軸線方向に延びるように設けられている。一対の支持部10bは、本体部10aの軸線方向における一方側の端面10dから突出するように設けられている。図2に示すように、本実施形態では、一対の支持部10bは、軸線方向に直交する第1方向D1において互いに離れて設けられている。
【0022】
連結部10cは、図示しない駆動装置に連結される。駆動装置としては、インパクトドライバー等の公知の電動工具を用いることができる。本実施形態では、棒状部材10は、駆動装置によって回転駆動される。なお、図1および図2には、一対の支持部10bが下で連結部10cが上になるように軸線方向が鉛直方向に一致しかつ停止している状態の棒状部材10を示している。本明細書においては、棒状部材10の一端部(支持部10b側)が下になるように棒状部材10の軸線方向を鉛直方向に一致させかつ棒状部材10を停止させたときの攪拌装置100の状態を、攪拌装置100の基準状態という。
【0023】
支持部材12は、軸線Xに直交する第1方向D1に延びるように柱状に形成され、かつ一対の支持部10bに固定されている。なお、本実施形態では、支持部材12は、中実円柱形状を有しているが、支持部材12が中空円柱形状を有していてもよい。
【0024】
図1に示すように、支持部材12は、第1方向D1(図2参照)から見て、軸線X上に位置するように一対の支持部10bに固定されている。なお、図1には、軸線方向と第1方向D1とに直交する第2方向D2が示されている。
【0025】
攪拌部14は、一対の板状の羽根40と、一対のリング42とを含む。各リング42は、羽根40に着脱可能に取り付けられている。
【0026】
図1および図2に示すように、本実施形態では、各羽根40は、支持部材12が挿通される第1貫通孔40a(図2参照)と、第1貫通孔40aから離れた位置に形成される第2貫通孔40b(図1参照)とを有している。各羽根40は、一対の支持部10bの間において、支持部材12に支持されている。具体的には、各羽根40は、第1方向D1から見て、支持部材12を回転中心として支持部材12の周方向に回転できるように、支持部材12に支持されている。本実施形態では、各羽根40は、長尺形状を有し、羽根40の長手方向において、羽根40の中心よりも一方側に第1貫通孔40aが形成され、羽根40の中心よりも他方側に第2貫通孔40bが形成されている。
【0027】
図3は、リング42を示す図であり、(a)はリング42をその軸方向から見た図であり、(b)は(a)に示すリング42を紙面右側から見た図である。図3に示すように、リング42は、線材を螺旋状に巻いた構成を有する有端リングである。本実施形態では、リング42は、その軸方向から見て長円形状を有している。より具体的には、本実施形態では、リング42は、軸方向から見て、直線状に延びる一対の長辺と、円弧状に湾曲する一対の短辺とを有する長円形状を呈するように形成されている。
【0028】
図1に示すように、各リング42は、羽根40の第2貫通孔40bに引っかけられている。なお、リング42が第2貫通孔40bから外れることを十分に防止する観点からは、リング42の巻き数は、1を超えることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。また、第2貫通孔40bに対するリング42の取り付けおよび取り外しの作業性の観点からは、リング42の巻き数は3以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。本実施形態では、リング42の巻き数は、2である。
【0029】
図1に示すように、攪拌装置100の基準状態において、第2方向D2における一方側の羽根40に取り付けられたリング42は、第2方向D2における一方側から他方側の羽根40に接触し、第2方向D2における他方側の羽根40に取り付けられたリング42は、第2方向D2における他方側から一方側の羽根40に接触する。本実施形態では、基準状態において、上記一方側の羽根40に取り付けられたリング42は、第2方向D2において軸線Xよりも一方側において上記他方側の羽根40に接触し、上記他方側の羽根40に取り付けられたリング42は、第2方向D2において軸線Xよりも他方側において上記一方側の羽根40に接触する。
【0030】
基準状態において上記のように一対の羽根40と一対のリング42とが接触することによって、一対の羽根40は、第1方向D1から見て第2方向D2に互いにずれた状態で支持部材12から垂れ下がる。より具体的には、第1方向D1から見て、第2方向D2における一方側の羽根40は、長手方向における一端部40cよりも長手方向における他端部40dが、第2方向D2における一方側に位置付けられるように、軸線Xに対して傾いた状態で支持部材12に支持される。また、第1方向D1から見て、第2方向D2における他方側の羽根40は、一端部40cよりも他端部40dが第2方向D2における他方側に位置付けられるように、軸線Xに対して傾いた状態で支持部材12に支持される。本実施形態では、上記のように一対の羽根40が軸線Xに対して傾いた状態で支持部材12に支持されることによって、一方の羽根40の重心を、第2方向D2において軸線Xよりも一方側に位置付け、他方の羽根40の重心を、第2方向D2において軸線Xよりも他方側に位置付けることができる。
【0031】
また、本実施形態では、第2方向D2における一方側の羽根40に取り付けられたリング42が第2方向D2における他方側の羽根40に接触することによって、当該一方側の羽根40が当該他方側の羽根40に対して当該他方側に向かって相対的に回転することが防止される。また、第2方向D2における他方側の羽根40に取り付けられたリング42が第2方向D2における一方側の羽根40に接触することによって、当該他方側の羽根40が当該一方側の羽根40に対して当該一方側に向かって相対的に回転することが防止される。
【0032】
なお、本実施形態では、羽根40の一端部40cが棒状部材10の端面10dに接触することによっても、羽根40の回転が規制される。例えば、図1に示す状態から、第2方向D2における一方側の羽根40が第2方向D2における他方側に回転しようとすると、一端部40cが本体部10aの端面10dに接触する。これにより、上記一方側の羽根40の回転が規制される。同様に、第2方向D2における他方側の羽根40が第2方向D2における一方側に回転しようとすると、一端部40cが本体部10aの端面10dに接触する。これにより、上記他方側の羽根40の回転が規制される。このように、本実施形態では、第2方向D2において、一方の羽根40は、主に軸線Xの一方側で回動し、他方の羽根40は、主に軸線Xの他方側で回動する。
【0033】
図4は、棒状部材10が回転駆動されている状態の攪拌装置100を示す図である。図4に示すように、図示しない駆動装置によって棒状部材10を回転駆動した場合には、一対の羽根40および一対のリング42は、遠心力によって、支持部材12を回転中心として互いに離れる方向に回転する。以下、図1に示す攪拌部14の状態を、攪拌部14が閉じた状態といい、図4に示す攪拌部14の状態を、攪拌部14が開いた状態という。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る攪拌装置100では、棒状部材10を停止させることによって、攪拌部14を閉じた状態にすることができ、棒状部材10を回転させることによって、攪拌部14を開いた状態にすることができる。したがって、棒状部材10を停止させることによって、液体を収容する容器の開口部に攪拌部14を容易に通すことができる。これにより、攪拌部14を液体内に配置することができる。また、攪拌部14を液体内に配置した状態で棒状部材10を回転させることによって、開いた状態の攪拌部14によって、液体を攪拌することができる。
【0035】
また、本実施形態では、攪拌部14は、一対の羽根40と、一対の羽根40に着脱可能に取り付けられた一対のリング42とを含む。このため、作業者は、攪拌装置100によって攪拌する液体の種類(特に、粘度)および液体が収容されている容器の形状などの条件によって、羽根40からリング42を取り外したり、羽根40にリング42を取り付けたりすることができる。例えば、液体を収容する容器が小さい場合には、羽根40からリング42を取り外すことによって攪拌部14による攪拌領域を小さくすることができ、容器が大きい場合には、羽根40にリング42を取り付けることによって攪拌部14による攪拌領域を大きくすることができる。また、例えば、液体の粘度が高い場合には、羽根40にリング42を取り付けることによって、攪拌部14による攪拌の強度を上げることができる。このように、本実施形態では、攪拌条件に応じて、攪拌部14の形状を変更することができる。なお、後述する図5および図6に示す攪拌装置100のように、各羽根40に複数のリング42を取り付ける場合、複数のリング42の質量に比例して攪拌部14による攪拌の強度を上げることができる。
【0036】
また、本実施形態では、リング42は、線材を螺旋状に巻いた構成を有している。このため、リング42を軸方向に延ばしつつ回転させることによって、羽根40の第2貫通孔40bに対してリング42を取り付けたり取り外したりすることができる。この場合、リング42を羽根40に取り付けるための特別な部材が必要無いので、攪拌部14を簡単に構成できる。
【0037】
また、上述したように、本実施形態では、一方の羽根40に取り付けられたリング42が他方の羽根40に接触することによって、当該一方の羽根40が他方の羽根40に対して当該他方の羽根40側に向かって相対的に回転することが防止される。同様に、他方の羽根40に取り付けられたリング42が一方の羽根40に接触することによって、当該他方の羽根40が一方の羽根40に対して当該一方の羽根40側に向かって相対的に回転することが防止される。この場合、一対の羽根40に取り付けられた一対のリング42が絡み合うことを十分に防止できる。その結果、棒状部材10を回転駆動した際に、攪拌部14を容易に開いた状態にすることができる。
【0038】
また、上述したように、本実施形態では、基準状態において、一方の羽根40に取り付けられたリング42は、第2方向D2において軸線Xよりも一方側において他方の羽根40に接触し、他方の羽根40に取り付けられたリング42は、第2方向D2において軸線Xよりも他方側において一方の羽根40に接触する。この場合、一対のリング42のうち一方のリング42の重心を、第2方向D2において軸線Xよりも一方側に位置付け、他方のリング42の重心を、第2方向D2において軸線Xよりも他方側に位置付けることができる。これにより、棒状部材10を回転駆動させた際に、一対のリング42を、遠心力によって、互いに離れる方向に容易に移動させることができるので、攪拌部14を円滑に開いた状態にすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、リング42は長円形状を有している。この場合、攪拌部14を開いた状態にした際に、棒状部材10の軸線方向から見た攪拌部14の攪拌領域を十分に大きくすることができる。
【0040】
また、本実施形態では、基準状態において、第2方向D2における一方側の羽根40が第2方向D2における他方側に回転すること、および第2方向D2における他方側の羽根40が第2方向D2における一方側に回転することは、各羽根40の一端部40cが棒状部材10の端面10dに接触することによって規制される。これにより、棒状部材10を回転駆動した際に、攪拌部14を容易に開いた状態にすることができる。
【0041】
上述の実施形態では、攪拌部14が一対の羽根40および一対のリング42を有する場合について説明したが、攪拌部14の構成は上述の例に限定されない。図5および図6は、攪拌装置100の他の例を示す図である。なお、図5は、基準状態の攪拌装置100を示し、図6は、棒状部材10が回転駆動されている状態の攪拌装置100を示す図である。
【0042】
図5および図6に示すように、攪拌装置100の攪拌部14が、一対のリンクチェーン50を備えていてもよい。各リンクチェーン50は、複数(本実施形態では3つ)のリング42を連結した構成を有している。本実施形態では、リンクチェーン50を構成する複数のリング42のうちの一つのリング42が、羽根40の第2貫通孔40bに引っかけられている。
【0043】
本実施形態では、基準状態において、一方の羽根40に取り付けられたリンクチェーン50は、第2方向D2において軸線Xよりも一方側において他方の羽根40に接触し、他方の羽根40に取り付けられたリンクチェーン50は、第2方向D2において軸線Xよりも他方側において一方の羽根40に接触する。この場合、一対のリンクチェーン50のうち一方のリンクチェーン50の重心を、第2方向D2において軸線Xよりも一方側に位置付け、他方のリンクチェーン50の重心を、第2方向D2において軸線Xよりも他方側に位置付けることができる。これにより、棒状部材10を回転駆動させた際に、一対のリンクチェーン50を、遠心力によって、互いに離れる方向に容易に移動させることができるので、攪拌部14を円滑に開いた状態にすることができる。
【0044】
なお、リンクチェーン50が備えるリング42の数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。本実施形態では、リンクチェーン50のリング42の数を調整することによって、攪拌部14の形状を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、攪拌の条件に応じて攪拌部の形状を変更できる攪拌装置が得られる。
【符号の説明】
【0046】
10 棒状部材
10a 本体部
10b 支持部
10c 連結部
10d 端面
12 支持部材
14 攪拌部
40 羽根
40a 第1貫通孔
40b 第2貫通孔
42 リング
50 リンクチェーン
100 攪拌装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8