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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124220
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】位置決め治具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
E04G21/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027860
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】中園 竜之
(72)【発明者】
【氏名】村上 良祐
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174BA01
2E174DA14
2E174DA34
(57)【要約】
【課題】 外装パネル等のパネルに板体を固定するに際し、板体の上下方向および幅方向の位置決めを簡易に行うことができる位置決め治具を提供する。
【解決手段】 本発明の位置決め治具10は、パネル本体の延出部材34に、板体46を固定する際に用いられる位置決め治具であって、板体46のうち、延出部材46からはみ出た部分を支持する支持面12と、支持面12から立ち上がり、板体46のはみ出た部分に当接する第1当接面14と、支持面12よりも下方に位置する、延出部材34を受ける受け面16と、支持面12と受け面16との段差に位置し、延出部材34に当接する第2当接面18と、支持面12から立ち上がり、かつ、第1当接面14と交差する、板体46のはみ出た部分に当接する第3当接面20と、受け面16から立ち上がり、かつ、第2当接面18と交差する、延出部材34に当接する第4当接面24とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形のパネル本体の外縁に沿って伸びた延出部材に、板体を固定する際に用いられる位置決め治具であって、
前記板体のうち、前記延出部材の長手方向と交差する交差方向に前記延出部材からはみ出た部分を支持する支持面と、
前記支持面から立ち上がり、前記はみ出た部分における前記交差方向の端部に当接する第1当接面と、
前記支持面よりも下方に位置し、前記延出部材を受ける受け面と、
前記支持面と前記受け面との段差に位置し、前記延出部材における前記交差方向の端部に当接する第2当接面と、
前記支持面から立ち上がり、かつ、前記第1当接面と交差し、前記はみ出た部分における前記長手方向の端部に当接する第3当接面と、
前記受け面から立ち上がり、かつ、前記第2当接面と交差し、前記延出部材における前記長手方向の端部に当接する第4当接面とを有する、位置決め治具。
【請求項2】
前記第3当接面は、前記第1当接面から突出した突出部分の端面に設けられる、請求項1に記載の位置決め治具。
【請求項3】
前記突出部分において前記第3当接面とは反対側に位置する端面は、前記受け面の面方向において前記第4当接面と離間する、請求項2に記載の位置決め治具。
【請求項4】
前記突出部分と前記受け面との間に隙間が設けられる、請求項2または3に記載の位置決め治具。
【請求項5】
前記受け面に前記延出部材を固定するための磁石を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の位置決め治具。
【請求項6】
前記位置決め治具の本体部分が樹脂材料によって構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の位置決め治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形のパネルに板材を固定する際に用いられる位置決め治具に係り、特に、パネルの上下方向および左右方向に対する板体の位置決めを簡易に行うための位置決め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の外壁として、耐久性に優れたサイディング、ALC、タイルおよびモルタル塗装等の外壁パネル(建築用パネル)が用いられている。
これらの外壁パネルは、例えば、複数枚を幅方向に並べて、1つの壁面を構成する場合が多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1建築用パネルの裏面側に固定される第1治具と、第2建築用パネルの裏面側に固定される第2治具とを備え、幅方向締結部材を締結して第1治具を第2治具に引き寄せて、第1建築用パネルに第2建築用パネルを水平方向にスライドさせることにより、室内側にいる作業者が、狭小スペースにおいても、止水性を担保しつつ建築用パネルを室内側から取り付けることを可能にしたパネル引き寄せ治具および建築用パネル取り付け方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-105771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外壁パネルの縁部及び縁部周辺には、例えば、パネル間にシーリング材を充填する目的、および、外壁パネルを建築物に固定する目的等、様々な目的で、各種の部材が取り付けられる。取り付けられる部材の中には、外壁パネルの上下方向または幅方向に長尺な板体もある。
このような板体を外壁パネルに取り付ける際には、例えば、その板体が上下方向に長尺な板体である場合には、外壁パネルの上下方向および幅方向に対して位置決めを行った上で取り付けを行う必要がある。
【0006】
ここで、上下方向および幅方向のうち、一方向における位置決めに関して言及すると、例えば、幅方向の位置決めであれば、外壁パネルの幅方向の端部に当接する第1当接部と、上記の幅方向において第1当接部とは異なる位置で板体の端部に当接する第2当接部を有する、階段状の治具を用いて行うことができる。
しかしながら、この類の治具では、上記の幅方向で板体を位置決めすることができても、上下方向の位置決めを行うことはできない。そのため、上記の治具を用いる場合、板体の上下方向の位置決めは、外壁パネルに罫書きを行い、罫書きによる線に板体を合わせることで行われる。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外壁パネル等のパネルに板体を固定するに際し、パネルの上下方向および幅方向における板体の位置決めを簡易に行うための位置決め治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、矩形のパネル本体の外縁に沿って伸びた延出部材に、板体を固定する際に用いられる位置決め治具であって、
前記板体のうち、前記延出部材の長手方向と交差する交差方向に前記延出部材からはみ出た部分を支持する支持面と、
前記支持面から立ち上がり、前記はみ出た部分における前記交差方向と直交する方向の端部に当接する第1当接面と、
前記支持面よりも下方に位置し、前記延出部材を受ける受け面と、
前記支持面と前記受け面との段差に位置し、前記延出部材における前記交差方向の端部に当接する第2当接面と、
前記支持面から立ち上がり、かつ、前記第1当接面と交差し、前記はみ出た部分における前記長手方向の端部に当接する第3当接面と、
前記受け面から立ち上がり、かつ、前記第2当接面と交差し、前記延出部材における前記長手方向の端部に当接する第4当接面とを有することによって解決される。
【0009】
上記のように構成された本発明の位置決め治具によれば、外壁パネル等のパネル本体の外縁に沿って伸びた延出部材に板体を固定する際、パネルの上下方向および幅方向における板体の位置決めを簡易に行うことができる。
【0010】
また、上記の位置決め治具おいて、前記第3当接面は、前記第1当接面から突出した突出部分の端面に設けられると、好適である。
上記の構成によれば、上下方向における板体の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0011】
また、上記の位置決め治具において、前記突出部分において前記第3当接面とは反対側に位置する端面は、前記受け面の面方向において前記第4当接面と離間すると、より好適である。
上記の構成によれば、位置決め治具が、パネル本体に適正に配置(セット)されているか否かを、目視で確認することが可能となる。
【0012】
また、上記の位置決め治具において、前記突出部分と前記受け面との間に隙間が設けられると、さらに好適である。
上記の構成によれば、延出部材に対して位置決め治具を適正な位置に配置することが容易になる。
【0013】
また、上記の位置決め治具において、前記受け面に前記延出部材を固定するための磁石を有すると、なお一層好適である。
上記の構成によれば、位置決め治具をパネル本体にセットした状態を安定させることができ、その上で板体を位置決め治具によって位置決めするため、板体の位置決め精度、および、位置決めの作業性を向上することが可能となる。
【0014】
また、上記の位置決め治具は、前記位置決め治具の本体部分が樹脂材料によって構成されていると、より一段と好適である。
上記の構成によれば、位置決め治具を軽量化することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の位置決め治具によれば、外壁パネル等のパネル本体の外縁に沿って伸びた延出部材に板体を固定する際に、パネルの上下方向および幅方向における板体の位置決めを簡易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の位置決め治具の一例の概略斜視図である。
図2】本発明の位置決め治具によって板体の位置決めを行うパネル本体を概念的に示す図であって、(A)は上面図、(B)は正面図である。
図3】本発明の位置決め治具によって位置決めを行う板体の概略斜視図である。
図4】パネル本体の設置状態を説明するための概念図である。
図5】本発明の位置決め治具による板体の位置決めの作用を説明するための概略正面図である。
図6】本発明の位置決め治具による板体の位置決めの作用を説明するための概略部分断面図である。
図7】位置決め治具の別の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<本発明の一つの実施形態に係る位置決め治具について>>
以下、本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態)について、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、図面では、説明を分かり易くするために幾分簡略化及び模式化して各部材を図示している。また、図中に示す各部材のサイズ(寸法)及び部材間の間隔等についても、実際のものとは異なっている。
また、本明細書において「水平」、「垂直」、「直交」及び「平行」は、本発明の技術分野において一般的に許容される誤差の範囲を含み、厳密な水平、垂直、直交及び平行に対して数度(例えば2~3°)未満の範囲内でずれている状態も含むものとする。
【0018】
図1に、本発明の位置決め治具の一例を斜視図によって概念的に示す。
図1に示す位置決め治具10は、外壁パネル(建築用パネル)等のパネル本体32に、板体46(図3参照)を固定する際に、パネル本体の上下方向および幅方向における板体の位置決めを行うための治具である。
パネル本体32は、外縁に沿って伸びた延出部材34(図2参照)を有し、矩形の外形形状をなす。本実施形態では、延出部材の長手方向が、施工された際における上下方向(鉛直方向)となる。従って、パネル本体32において、延出部材の長手方向と直交する方向(交差方向に相当)は、施工された際における幅方向となる。
治具10は、図1に示すように、樹脂成型品である治具本体と、後述の磁石30とを有する。治具本体は、階段形状の機器であり、図1に示すように、支持面12と、第1当接面14と、受け面16と、第2当接面18と、第3当接面20と、第4当接面24とを有する。
【0019】
第1当接面14は、支持面12から略垂直に立ち上がって設けられる。
受け面16は、支持面12の下方に位置し、この受け面16と支持面12との段差が第2当接面18となる。
また、第3当接面20は、第1当接面14と交差する面で、第1当接面14から突出する突出部分26の端面に設けられる。
さらに、第4当接面24は、受け面16から立ち上がって、第2当接面18と交差するように設けられる。
【0020】
支持面12は、パネル本体32に板体46を固定する際に、板体の延出部材からはみ出た部分を支持する面である。また、受け面16は、パネル本体に板体46を固定する際に、パネル本体の延出部材34が載置される。
第1当接面14は、パネル本体に固定される板材の幅方向の位置決めを行う面である。第2当接面18は、パネル本体の左右方向(幅方向)における延出部材の端部に当接する面である。第3当接面20は板体の上下方向の端部(図示例では下端)に当接する面である。さらに、第4当接面24は、パネル本体の上下方向(つまり、延出部材の長手方向)における延出部材34の端部(図示例では下端)に当接する面である。
【0021】
また、図1に示す位置決め治具10は、好ましい態様として、受け面16に、パネル本体の延出部材34を固定するための、磁石30が設けられる。
以上の点に関しては、後に詳述する。
【0022】
次に、図2に参照しながら、パネル本体について説明する。
なお、図2の(A)は、パネル本体を上方から見た図であり、(B)は、パネル本体を正面から見た図である。
【0023】
パネル本体32は、延出部材34であるアングル(例えば、アングル鋼材又はL型アングル)と、角パイプ36と、梁38とで構成されたフレームを有する。
上述のように、パネル本体32では、延出部材34の長手方向が上下方向である。フレームは、幅方向に離間して平行に設けられる2本の延出部材と、延出部材34の両端を角パイプ36で接続してなる矩形の枠体で、枠内には、フレームを補強するための梁38が、設けられる。すなわち、延出部材34は、パネル本体32(フレーム)の外縁に沿って伸びるもので、いわゆる縦桟である。
また、フレームの延出部材34の内面側には、延出部材34よりも一回り小さいアングルである取付部材40が、互いのL字の一面を合わせた面が平面となるように、溶接等によって固定される。板体46は、この取付部材40に、例えばビス止めされる。
フレーム(パネル本体32)においては、延出部材34のL字の一面と、取付部材40のL字の一面とが成す平面側が、施工された際における外面側となる。
【0024】
このようなフレームに、面材(図2では図示省略、図4の符号42)を組み込むことで、パネル本体32が構成される。
【0025】
図3に、上記のパネル本体32に固定される板体46の概略斜視図を示す。
板体46は、長尺な矩形の板を、長手方向が折れ線となるように折り曲げて形成されたものである。
図3に示すように、板体46は、主面46aと、主面46から直角に立ち上がるように折り曲げられた立上り部46bと、立上り部46bから主面46aと逆側に直角に折り曲げられた、主面46aと平行な上面部46cと、上面部46cから下方に直角に折り曲げられた、立上り部46bと平行な当接面46dとを有する。
板体46は、長手方向を、延出部材34の長手方向すなわち上下方向と一致して、フレーム本体32に固定される。すなわち、板体46も、長手方向が上下方向となる。上述のように、板体46の長手方向は、主面46aと立上り部46bとの折り曲げ線等、各面の折り曲げ線の方向である。
【0026】
図4に概念的に示すように、板体46は、長手方向を延出部材34の長手方向すなわち上下方向と一致して、延出部材34と取付部材40とによって形成された平面に載置される。この際において、板体46は、立上り部46bが上方(外面側)に向くように、配置される。
板体46は、この状態で取付部材40に例えばビス止めされることで、パネル本体32に取り付けられる。
【0027】
図4に示すように、板体46を固定されたパネル本体32は、面材42の上に、外装の表面となる図中破線で示す面材48を載置されて、板体46の当接面46d同士を当接して、幅方向に配列される。
外装の表面となる面材48の幅方向の端部(端面)は、板体46の立上り部46bによって規定される。従って、隣接するパネル本体32における外装の表面となる面材48の間には、2つの板体46の上面部46cの幅方向のサイズに応じた空間Sが生じる。
この空間Sには、板体46の上面部46cを底面として、例えば、シーリング材が充填される。
【0028】
前述のように、板体46は、長手方向を、延出部材34の長手方向、すなわち上下方向に一致して、延出部材34と取付部材40とによって形成された平面に載置され、取付部材34にビス止め等されることで、パネル本体に固定される。
本発明の位置決め治具10は、このようなパネル本32への板体46の固定の際に、板体46の上下方向および幅方向の位置決めを行うものである。
【0029】
図1に示すように、位置決め治具10は、支持面12と、第1当接面14と、受け面16と、第2当接面18と、第3当接面20と、第4当接面24と、突出部26とを有する。また、受け面16には、磁石30が設けられる。
【0030】
支持面12は、パネル本体32に板体46を固定する際に、板体46の延出部材34からはみ出た部分を支持する面である。第1当接面14は、この支持面12から垂直に立ち上がる面である。
受け面16は、支持面12の下方に位置する、支持面12と平行な面である。この受け面16と支持面12との段差が、第2当接面18となる。すなわち、位置決め治具10においては、受け面16から垂直に立ち上がって第2当接面18が形成され、第2当接面18の上端に、受け面16と平行な支持面12が設けられる。受け面16は、パネル本体32に板体46を位置決めする際に、パネル本体32の延出部材34(アングル)の内側の一面が載置される。
第3当接面20は、第1当接面14と直交して交差する面であり、第1当接面14から突出する突出部分26の端面に設けられる。
さらに、第4当接面24は、受け面16から立ち上がって、第2当接面18と直交して交差するように設けられる。ここで、第4当接面24と、突出部分26の第3当接面20とは反対側の端面は、受け面16の面方向に離間している。
【0031】
板体46を載置する支持面12から立ち上がる第1当接面14は、板体46の幅方向の位置を決める面である。また、第1当接面14から突出する突出部分26に設けられ、第1当接面14と直交する第3当接面20は、板体46の上下方向の位置を決める面である。
他方、パネル本体32の延出部材34を載置する受け面16から立ち上がる第2当接面18は、延出部材34の幅方向の位置を決める面である。同じく受け面16から立ち上がり第2当接面18と直交する第4当接面24は、延出部材34の上下方向の位置を決める面である。
【0032】
位置決め治具10は、パネル本体32の下端部側において、上述のように、パネル本体32に固定される板体46の上下方向および幅方向の位置決めを行うものである。
図5に、位置決め治具10を用いて、板体46の上下方向の位置決めを行う状態を概念的に示す。また、図6に、位置決め治具10を用いて、板体46の幅方向の位置決めを行う状態を概念的に示す。図5は、パネル本体32の正面から見た図(図2の(B)と同方向)で、図6は、パネル本体32のみを幅方向に切断した図である。
【0033】
図5および図6に示すように、位置決め治具10によって板体46の位置決めを行う際には、まず、パネル本体32の延出部材34を、受け面16と突出部分26との間に挿入することで、L字状をなす延出部材34の一辺部分を受け面16に載置したような状態とする。さらに、延出部材34の幅方向の端部を第2当接面18に当接するように、位置決め治具10をパネル本体32に取り付ける。これにより、位置決め治具10とパネル本体32(延出部材34)との幅方向の位置関係が決定される。
従って、受け面16と突出部分26との間隙、および、第2当接面18の高さは、延出部材34の厚さに応じて、適宜、設定される。第2当接面18の高さは、延出部材34の厚さと一致しているのが好ましい。
【0034】
この状態を維持しつつ、延出部材34の下端部を、第4当接面24に当接して、パネル本体32に位置決め治具10を取り付ける。これにより、位置決め治具10とパネル本体32(延出部材34)との上下方向の位置関係が決定される。
ここで、図1および図5に示されるように、位置決め治具10においては、第4当接面24と、突出部分26の第3当接面20とは反対側に位置する端面(以下、反対側端面)は、受け面16の面方向に離間している。つまり、第4当接面24と突出部分26の反対側端面との間は、開いており、その範囲では延出部材34の下端部が露出する。そのため、作業者は、延出部材34の下端部が、第4当接面24に確実に当接していること、すなわち、パネル本体32に対して、正確に位置決め治具10が取り付けられていることを、目視で確認することができる。
【0035】
このように、パネル本体32に対して位置決め治具10を取り付けたら、長手方向を延出部材34の長手方向すなわち上下方向と一致して、主面46aを延出部材34と取付部材40とによって形成された平面に載置するように、板体46をパネル本体32に取り付ける。
次いで、板体46の立上り部46bを、位置決め治具10の第1当接面14に当接する。さらに、この状態を維持して、板体46の下端部を、第1当接面14から突出する突出部分に設けた第3当接面20に当接する。
なお、図示例の板体46は、立上り部46bから直角に折り曲げられた上面部46cと、上面部46cから下方に直角に折り曲げられた当接面46dを有する。従って、第1当接面の高さは、当接面46dが引っかからないように、当接面46dの下端部よりも低くする必要がある。
【0036】
位置決め治具10において、第1当接面14と第2当接面16の幅方向の距離は、幅方向における延出部材34(パネル本体32)の端部と板体46との位置関係に応じて設定されている。また、第4当接面24および第3当接面20は、幅方向の位置決めを行う第1当接面14および第2当接面16と直交するものであり、第4当接面24と第3当接面20との上下方向の距離は、上下方向における延出部材34の端部と板体46との位置関係に応じて設定されている。
従って、本発明の位置決め治具10を用いることにより、パネル本体32に板体46を固定する際に、板体46の上下方向の位置と幅方向の位置とを、一度に決定できる。
【0037】
また、図示例の位置決め治具において、受け面16には、磁石30が埋め込まれている。従って、磁石30の磁力によって、位置決め治具10が延出部材34に固定され、さらに、板体46が位置決め治具10に固定される。そのため、位置決め治具10および板体46が、不要に移動することを防止して、板体46の位置決め精度を向上でき、さらに、板体46の位置決めの作業性を向上できる。
なお、磁石30は、必要な磁力を有するものであれば、公知の永久磁石が、各種、利用可能である。
【0038】
このようにして、パネル本体32に対して、下端部における板体46の上下方向および幅方向の位置決めを行ったら、例えばビス止めによって、板体46を取付部材40に固定して、板体46をパネル本体32に取り付ける。
【0039】
なお、本発明の位置決め治具10は、パネル本体の下端部において、板体46の上下方向および幅方向の位置決めを行うものである。
これ以外の位置におけるパネル本体への板体46の位置決めは、例えば、図7に示すような、第3当接面および第4当接面24を有さず、第1当接面14および第2当接面18のみを有する位置決め治具を用いて行えばよい。すなわち、図7に示す位置決め部材を用いて、第2当接面18に延出部材34の幅方向の端部を当接し、第1当接面14に板体46の立上り部46b当接した状態で、幅方向の板体46の位置決めを行い、かつ、上下方向に位置決め治具をスライドするように移動することで、上下方向における各位置で板体46の幅方向の位置決めを行いつつ、同様に、ビス止め等によって板体46を取付部材40に固定すればよい。
【0040】
本発明の位置決め治具の形成材料には、特に限定はなく、樹脂材料、金属、木材等の公知の各種の材料が利用可能である。
中でも、耐摩耗性および軽量化ができる等の点で、樹脂材料は好適に利用される。
また、本発明の位置決め治具の成型方法にも、限定はなく、3Dプリンタ、削り出し、射出成型、モールディング等の公知の方法が、各種、利用可能であるが、高い寸法精度が得られる点で、3Dプリンタによる成型は、好適に利用される。
【0041】
<<その他の実施形態について>>
以上までに、本発明の位置決め治具に関する一つの実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれることは勿論である。
【0042】
例えば、図1に示す例では、磁石30は受け面16の表面に露出しているが、本発明は、これに限定はされず、磁力が十分であれば、磁石30を受け面16(位置決め治具10)の中に埋設してもよい。磁力の点では、図1に示すように、磁石30が受け面16に露出しているのが有利であるが、その反面、位置決め治具の意匠性の点では、磁石30を受け面に埋設した方が有利になる可能性もある。
また、本発明の位置決め治具において、磁石30は、好ましい態様として設けられるものである。従って、本発明の位置決め治具は、磁石30を有さなくてもよい。しかしながら、パネル本体32に位置決め治具を固定し、さらに、板体を位置決め治具に固定できる点で、磁石30を有するのが好ましい。
さらに、上述した位置決め治具10は、パネル本体の下端部において、板体46の上下方向および幅方向の位置決めを行うものであるが、第3当接面20および第4当接面24の位置を変更することで、パネル本体の上端部において、板体46の上下方向および幅方向の位置決めを行うようにしてもよい。
【0043】
また、図示例において、板体46は、主面46aと、主面46から直角に折り曲げられた立上り部46bと、立上り部46bから直角に折り曲げられた上面部46cと、上面部46cから下方に直角に折り曲げられた当接面46dとを有するものであれるが、本発明の位置決め部材が位置決めする板体は、この構成に限定はされず、各種の構成の板体の位置決めが可能である。
例えば、本発明の位置決め部材が位置決めする板体は、主面46aおよび主面46から直角に折り曲げられた立上り部46bのみを有する略L字状のものであってもよく、平板状の板体であってもよい。
【0044】
また、図示例のパネル本体は、上下方向の延出部材(アングル)と幅方向の各パイプとでパネル本体のフレームが作製されているが、本発明の位置決め治具が板体の位置決めを行う対象とするパネル本体は、これに限定はされず、外縁に沿って伸びた延出部材を有する矩形のパネルであれば、各種の構成のパネル本体が利用可能である。
例えば、4本の角パイプでフレームを形成し、角パイプの外面に、延出部材を固定したものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 位置決め治具
12 支持面
14 第1当接面
16 受け面
18 第2当接面
20 第3当接面
24 第4当接面
26 突出部分
30 磁石
32 パネル本体
34 延出部材
36 角パイプ
38 梁
40 取付部材
46 板体
46a 主面
46b 立上り部
46c 上面部
46d 当接面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7