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特開2023-124245電力バックアップシステム、及び、電力バックアップ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124245
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】電力バックアップシステム、及び、電力バックアップ方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20230830BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J7/34 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027896
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 正一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聖師
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA01
5G015GA06
5G015GA08
5G015JA21
5G015JA32
5G015JA53
5G015JA55
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA05
5G503FA14
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】ポータブル電源装置を用いた電力のバックアップを実現することができる電力バックアップシステムを提供する。
【解決手段】電力バックアップシステム10は、ポータブル電源装置20と、停電時に、ポータブル電源装置20と負荷とを電気的に接続し、かつ、ポータブル電源装置20及び負荷を含む第一回路に漏電対策回路を電気的に接続する切り替え回路ユニット51とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル電源装置と、
停電時に、前記ポータブル電源装置と負荷とを電気的に接続し、かつ、前記ポータブル電源装置及び前記負荷を含む第一回路に漏電対策回路を電気的に接続する切り替え回路とを備える
電力バックアップシステム。
【請求項2】
さらに、分電盤を備え、
前記切り替え回路は、
通常時に、前記分電盤と前記負荷とを電気的に接続し、かつ、前記分電盤及び前記負荷を含む第二回路から前記漏電対策回路を切り離す
請求項1に記載の電力バックアップシステム。
【請求項3】
前記切り替え回路は、通常時に、前記ポータブル電源装置と負荷とを電気的に接続し、かつ、前記第一回路から前記漏電対策回路を切り離す
請求項1に記載の電力バックアップシステム。
【請求項4】
さらに、分電盤を備え、
前記ポータブル電源装置は、
通常時には、前記分電盤から前記ポータブル電源装置に入力される交流電力を前記切り替え回路へ出力し、
停電時には、ポータブル電源装置が備える蓄電池を放電させることで得られる交流電力を前記切り替え回路へ出力する
請求項3に記載の電力バックアップシステム。
【請求項5】
前記切り替え回路は、前記分電盤及び前記ポータブル電源装置のいずれとも別体の箱に収容される
請求項2または4に記載の電力バックアップシステム。
【請求項6】
前記切り替え回路は、前記ポータブル電源装置の置台に収容される
請求項2または4に記載の電力バックアップシステム。
【請求項7】
前記切り替え回路は、前記分電盤に収容される
請求項2に記載の電力バックアップシステム。
【請求項8】
前記ポータブル電源装置は、
蓄電池と、
前記蓄電池が着脱自在に接続される放電装置であって、前記蓄電池を放電させることによって得られる交流電力を出力する放電装置とを備える
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力バックアップシステム。
【請求項9】
コンピュータによって実行される電力バックアップ方法であって、
停電時に、ポータブル電源装置と負荷とを電気的に接続し、かつ、前記ポータブル電源装置及び前記負荷を含む第一回路に漏電対策回路を電気的に接続する切り替えステップを含む
電力バックアップ方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電力バックアップ方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力バックアップシステム、及び、電力バックアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、負荷が誘導性負荷または容量性負荷などであっても、商用電源が復電した際に切替装置および負荷へのストレスを低減させることができる給電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-131423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ポータブル電源装置を用いた電力のバックアップを実現することができる電力バックアップシステム、及び、電力バックアップ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電力バックアップシステムは、ポータブル電源装置と、停電時に、前記ポータブル電源装置と負荷とを電気的に接続し、かつ、前記ポータブル電源装置及び前記負荷を含む第一回路に漏電対策回路を電気的に接続する切り替え回路とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る電力バックアップ方法は、コンピュータによって実行される電力バックアップ方法であって、停電時に、ポータブル電源装置と負荷とを電気的に接続し、かつ、前記ポータブル電源装置及び前記負荷を含む第一回路に漏電対策回路を電気的に接続する切り替えステップを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電力バックアップシステム、及び、電力バックアップ方法は、ポータブル電源装置を用いた電力のバックアップを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る電力バックアップシステムの概略構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係るポータブル電源装置の使用例を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る蓄電池パックの使用例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係るポータブル電源装置の機能構成を示すブロック図である。
図5A図5Aは、パススルーモードにおいて使用される、ポータブル電源装置の構成要素を示す図である。
図5B図5Bは、充電モードにおいて使用される、ポータブル電源装置の構成要素を示す図である。
図5C図5Cは、放電モードにおいて使用される、ポータブル電源装置の構成要素を示す図である。
図5D図5Dは、充電+パススルーモードにおいて使用される、ポータブル電源装置の構成要素を示す図である。
図6図6は、分電盤及び配線箱の構成例1を示す図である。
図7図7は、構成例1に係る切り替え回路ユニットの概略構成を示す図である
図8図8は、構成例1に係る切り替え回路ユニットの詳細構成を示す図である。
図9図9は、分電盤及び配線箱の構成例2を示す図である。
図10図10は、構成例2に係る切り替え回路ユニットの概略構成を示す図である
図11図11は、構成例2に係る切り替え回路ユニットの詳細構成を示す図である。
図12図12は、変形例1に係る電力バックアップシステムの外観図である。
図13図13は、変形例2に係る電力バックアップシステムの外観図である。
図14図14は、変形例3に係る電力バックアップシステムの外観図である。
図15図15は、変形例3に係る分電盤の内部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0011】
(実施の形態)
[全体構成]
まず、実施の形態に係る電力バックアップシステムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る電力バックアップシステムの概略構成を示す図である。
【0012】
図1に示される電力バックアップシステム10は、蓄電池パック21及び充放電装置22を用いて、分電盤40に接続されている照明器具などの負荷への、停電時における電力供給を実現することができるシステムである。ここでの停電とは、例えば、系統電源から分電盤40への電力供給が途絶えた状態を意味する。電力バックアップシステム10は、ポータブル電源装置20と、置台30と、分電盤40と、配線箱50と、電気コードCAと、電気コードCBとを備える。
【0013】
[ポータブル電源装置の構成例]
まず、ポータブル電源装置20、及び、その置台30について説明する。ポータブル電源装置20は、蓄電池パック21及び充放電装置22を備える。図2は、ポータブル電源装置20の使用例を示す図である。
【0014】
図2に示されるように、ポータブル電源装置20(蓄電池パック21が接続された状態の充放電装置22)は、蓄電池パック21に蓄えられた直流電力を用いて交流電力を出力することができる。ポータブル電源装置20の充放電装置22は、出力部OBを備え、出力部OBから交流電力を出力することができる。なお、出力部OBは、例えば、交流コンセント(アウトレット)である。このように、ポータブル電源装置20は、出力部OBに接続される負荷(図2の例では、扇風機)の電源として機能することができる。
【0015】
なお、充放電装置22から取り外された蓄電池パック21は、単体でポータブル電源装置として使用することも可能である。図3は、蓄電池パック21の使用例を示す図である。図3に示されるように、蓄電池パック21は、出力部OCを備え、出力部OCから直流電力を出力することができる。なお、出力部OCは、例えば、USBコネクタなどであり、図3では、電気コードCCを介して負荷(図3の例では、携帯端末)の入力部ICが接続されているが、出力部OCに直接負荷が接続されてもよい。このように蓄電池パック21は、単体でポータブル電源装置として機能することができる。
【0016】
以下、ポータブル電源装置20の具体的構成について図1に加えて図4を参照しながら説明する。図4は、ポータブル電源装置20の機能構成を示すブロック図である。
【0017】
ポータブル電源装置20の蓄電池パック21は、充放電装置22に着脱自在に接続される。蓄電池パック21は、充電及び放電を繰り返して行うことができる二次電池によって実現される。蓄電池パック21は、例えば、リチウムイオン電池によって実現される。
【0018】
ポータブル電源装置20の充放電装置22は、入力部IAから得られる交流電力を用いて蓄電池パック21を充電する充電器として機能する。また、充放電装置22は、蓄電池パック21に蓄えた電力を用いて出力部OBから交流電力を出力(放電)する放電器としても機能する。充放電装置22は、具体的には、入力部IAと、出力部OBと、充電回路23と、放電回路24と、制御部25と、切り替えスイッチ26とを備える。充放電装置22は、置台30に載置されて使用される。
【0019】
入力部IAは、充放電装置22が交流電力を取得するための端子である。電力バックアップシステム10においては、入力部IAには、例えば、電気コードCAの接続部(プラグ部と反対側の端部)が接続される。なお、電力バックアップシステム10において、電気コードCAのプラグ部は、分電盤40から分岐した分岐回路に接続された出力部OA(コンセント)に接続される。
【0020】
出力部OBは、充放電装置22が交流電力を出力するための端子である。電力バックアップシステム10においては、出力部OBには、例えば、電気コードCBのプラグ部が接続される。なお、電力バックアップシステム10において、電気コードCBの接続部(プラグ部と反対側の端部)は、配線箱に設けられた入力部IBに接続される。出力部OBから出力される交流電力は、入力部IAに入力される交流電力と同一振幅かつ同一周波数である。
【0021】
充電回路23は、入力部IAに入力される交流電力を取得し、取得した交流電力を蓄電池パック21の充電に適した直流電力に変換するための回路である。充電回路23は、例えば、AC(Alternating Current)-DC(Direct Current)コンバータ回路などによって実現される。
【0022】
放電回路24は、蓄電池パック21に蓄えられた直流電力を取得し、取得した直流電力を交流電力に変換するための回路である。放電回路24は、例えば、DC-ACインバータ回路などによって実現される。変換によって得られる交流電力は、出力部OBから出力される。
【0023】
制御部25は、切り替えスイッチ26の状態に基づいて、充電回路23及び放電回路24の少なくとも一方を制御する。制御部25は、例えば、マイクロコンピュータによって実現され、制御部25の機能は、例えば、内蔵プロセッサが内蔵メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0024】
切り替えスイッチ26は、ユーザがポータブル電源装置20の動作モードを切り替える(言い換えれば、選択する)ために操作するハードウェアスイッチである。ポータブル電源装置20は、パススルーモード、充電モード、放電モード、及び、充電+パススルーモードの4つの動作モードを有する。
【0025】
パススルーモードは、入力部IAに入力された交流電力をそのまま出力部OBに出力する動作モードである。図5Aは、パススルーモードにおいて使用される、ポータブル電源装置20の構成要素を示す図である。
【0026】
充電モードは、入力部IAに入力された交流電力を用いて蓄電池パック21を充電する動作モードである。図5Bは、充電モードにおいて使用される、ポータブル電源装置20の構成要素を示す図である。制御部25は、具体的には、充電回路23を制御することにより、入力部IAに入力された交流電力を用いて蓄電池パック21を充電することができる。なお、充電モードにおいては、出力部OBから交流電力は出力されない。
【0027】
放電モードは、蓄電池パック21に蓄えられた直流電力を用いて出力部OBから交流電力を出力する(放電する)動作モードである。図5Cは、放電モードにおいて使用される、ポータブル電源装置20の構成要素を示す図である。制御部25は、具体的には、放電回路24を制御することにより、直流電力を用いて出力部OBから交流電力を出力することができる。
【0028】
充電+パススルーモードは、蓄電池パック21に蓄えられた直流電力を用いて出力部OBから交流電力を出力する(放電する)動作モードである。図5Dは、充電+パススルーモードにおいて使用される、ポータブル電源装置20の構成要素を示す図である。
【0029】
なお、制御部25は、パススルーモードまたは充電+パススルーモード(以下、パススルーモード等とも記載される)で動作中に入力部IAへの交流電力が途絶えた場合(停電が起きた場合など)に、自動的に放電モードに遷移する機能を有する。つまり、制御部25は、パススルーモード等を実行中に停電を検出すると、これを契機に自動的に放電モードに遷移する機能を有する。また、放電モードで動作しているときに入力部IAへの交流電力の入力が開始された場合に、自動的にパススルーモード等に遷移する機能も有する。これらの機能は、上記4つの動作モードとは別の動作モードとして定義され(バックアップモードなど)、切り替えスイッチ26によって切り替え可能であってもよい。
【0030】
[分電盤及び配線箱の構成例1]
次に、分電盤40及び配線箱50の構成については、2つの構成例が考えられる。以下2つの構成例のうちの構成例1について、図1に加えて図6を参照しながら説明する。図6は、分電盤40及び配線箱50の構成例1を示す図である。
【0031】
分電盤40は、系統電源70から供給される交流電力を、分電盤40が設けられた施設内に分配する。分電盤40は、具体的には、主幹ブレーカ41と、複数の分岐ブレーカ42とを備える。
【0032】
主幹ブレーカ41は、系統電源70から供給される交流電力をオン及びオフするための回路遮断器である。主幹ブレーカに対応する回路は、主幹回路などと呼ばれる。
【0033】
分岐ブレーカ42は、当該分岐ブレーカ42に対応する分岐回路に供給される交流電力をオン及びオフするための回路遮断器である。分岐回路は、例えば、施設内の部屋(リビング、ダイニング、寝室など)ごとに設けられ、分岐回路には、出力部OAが接続される。ユーザは、出力部OA(コンセント)に負荷(電気機器のプラグ)を接続することで、施設内で負荷を動作させることができる。
【0034】
配線箱50は、分電盤40の主幹回路と電力線によって電気的に接続される。つまり、主幹回路に供給される交流電力は、分電盤に接続されている分岐回路と、配線箱50に接続されている回路とに分配される。以下、配線箱50に接続されている回路の先の負荷を、対象の負荷とも記載する。配線箱50は、入力部IBと、切り替え回路ユニット51とを備える。
【0035】
入力部IBには、電気コードCBの接続部が接続される。上述のように、電気コードCBのプラグ部は、充放電装置22の出力部OBに接続される。つまり、入力部IBには、ポータブル電源装置20から交流電力が入力可能である。
【0036】
切り替え回路ユニット51は、分電盤40から配線箱50へ交流電力が入力されている通常時(非停電時)には、当該交流電力を対象の負荷へ供給し、分電盤40から配線箱50への交流電力が停止された停電時には、入力部IBに入力されるポータブル電源装置20からの交流電力を対象の負荷へ供給する。図7は、切り替え回路ユニット51の概略構成を示す図であり、図8は、切り替え回路ユニット51の詳細構成を示す図である。
【0037】
図7及び図8に示されるように、切り替え回路ユニット51は、漏電対策回路52と、切り替え回路53とを備える。漏電対策回路52としては、主幹ブレーカ41などに使用される漏電対策回路が使用される。
【0038】
切り替え回路53は、通常時には、分電盤40及び対象の負荷を電気的に接続し、分電盤40及び対象の負荷を含む回路(言い換えれば、分電盤40及び対象の負荷の間の電路。以下、第二回路とも記載される)から漏電対策回路52を切り離した上で、分電盤40からの交流電力を対象の負荷へ供給する。また、切り替え回路53は、停電時には、分電盤40に代えてポータブル電源装置20及び対象の負荷を電気的に接続し、漏電対策回路52をポータブル電源装置20及び対象の負荷を含む回路(言い換えれば、ポータブル電源装置20及び対象の負荷の間の回路。以下、第一回路とも記載される)に電気的に接続した上で、ポータブル電源装置20からの交流電力を対象の負荷へ供給する。切り替え回路53は、具体的には、第一リレー回路54と、第二リレー回路55とを備える。
【0039】
第一リレー回路54は、コイル54aと、スイッチ部54bと、スイッチ部54cとを備える。第一リレー回路54は、コイル54aに交流電流が流れているとき(つまり、分電盤40から配線箱50へ交流電力が入力されている通常時)に、スイッチ部54b及びスイッチ部54cをオフする。また、第一リレー回路54は、コイル54aに交流電流が流れていないとき(つまり、分電盤40から配線箱50へ交流電力が入力されていない停電時)に、スイッチ部54b及びスイッチ部54cをオンする。
【0040】
第二リレー回路55は、コイル55aと、スイッチ部55bと、スイッチ部55cとを備える。第二リレー回路55は、コイル55aに交流電流が流れているとき(通常時)に、対象の負荷を、スイッチ部55b及びスイッチ部55cの接点Aに電気的に接続する。また、第二リレー回路55は、コイル55aに交流電流が流れていないとき(停電時)に、対象の負荷を、スイッチ部55b及びスイッチ部55cの接点Bに電気的に接続する。
【0041】
このように、切り替え回路53は、停電時には、ポータブル電源装置20と対象の負荷とを電気的に接続し、かつ、ポータブル電源装置20及び対象の負荷を含む第一回路に漏電対策回路52を電気的に接続することで、ポータブル電源装置20からの交流電力を対象の負荷へ供給することができる。
【0042】
電力バックアップシステム10は、ポータブル電源装置20だけでなく切り替え回路ユニット51を備えている。上述の切り替え回路ユニット51の動作により、電力バックアップシステム10は、停電時には、漏電対策回路52が接続された状態で、パススルーモード等から放電モードへ遷移したポータブル電源装置20からの交流電力を対象の負荷へ供給することができる。つまり、電力バックアップシステム10は、ポータブル電源装置20を用いた交流電力のバックアップを実現することができる。
【0043】
なお、切り替え回路ユニット51が通常時に漏電対策回路52を対象の負荷から切り離すのは、主幹ブレーカ41が備える漏電対策回路と、漏電対策回路52とが同一の分岐回路(対象の負荷)に対して重複し、漏電対策回路または漏電対策回路52が適切に動作しないことを抑制するためである。
【0044】
[分電盤及び配線箱の構成例2]
次に、分電盤40及び配線箱50の構成例2について、図1に加えて図9を参照しながら説明する。図9は、分電盤40及び配線箱50の構成例2を示す図である。なお、以下の構成例2の説明では、主として構成例1との相違点が説明され、構成例1で既出の事項については省略される。
【0045】
構成例2における分電盤40は、配線箱50と電力線ではなく信号線で接続される。分電盤40は、この信号線を通じて、停電時であるか通常時であるかを示す通知信号を配線箱50へ出力する。構成例2における分電盤40のその他の構成については構成例1と同様である。
【0046】
構成例2における配線箱50は、分電盤40と信号線によって電気的に接続される。配線箱50は、入力部IBと、切り替え回路ユニット56とを備える。
【0047】
入力部IBには、電気コードCBの接続部が接続される。上述のように、電気コードCBのプラグ部は、充放電装置22の出力部OBに接続される。つまり、入力部IBには、ポータブル電源装置20から交流電力が入力可能である。
【0048】
構成例2における切り替え回路ユニット56は、分電盤40からの通知信号が通常時を示す場合には漏電対策回路52を対象の負荷から切り離し、分電盤40からの通知信号が停電時を示す場合には漏電対策回路52を対象の負荷に接続する。図10は、切り替え回路ユニット56の概略構成を示す図であり、図11は、切り替え回路ユニット56の詳細構成を示す図である。
【0049】
図10及び図11に示されるように、切り替え回路ユニット56は、漏電対策回路52と、切り替え回路57とを備える。漏電対策回路52としては、主幹ブレーカ41などに使用される漏電対策回路が使用される。
【0050】
切り替え回路57は、通常時及び停電時のいずれも、ポータブル電源装置20及び対象の負荷を電気的に接続し、ポータブル電源装置20からの交流電力を対象の負荷へ供給する。上述のように、ポータブル電源装置20は、停電時にパススルーモード等から放電モードに自動的に切り替わる機能を有しているので、停電時にも対象の負荷への交流電力の供給が継続される。
【0051】
ここで、切り替え回路57は、通常時には、ポータブル電源装置20及び対象の負荷を含む第一回路から漏電対策回路52を切り離し、停電時には、上記第一回路に漏電対策回路52を電気的に接続する。切り替え回路57は、具体的には、第一リレー回路58と、第二リレー回路59とを備える。
【0052】
第一リレー回路58は、コイル58aと、スイッチ部58bと、スイッチ部58cとを備える。第一リレー回路58は、コイル58aに通常時を示す通知信号が入力されているとき(通常時)に、入力部IB(充放電装置22)を、スイッチ部58b及びスイッチ部58cの接点Aに接続する。また、第一リレー回路58は、コイル58aに停電時を示す通知信号が入力されているとき(停電時)に、入力部IB(充放電装置22)を、スイッチ部58b及びスイッチ部58cの接点Bに接続する。
【0053】
第二リレー回路59は、コイル59aと、スイッチ部59bと、スイッチ部59cとを備える。第二リレー回路59は、コイル59aに通常時を示す通知信号が入力されているとき(通常時)に、対象の負荷を、スイッチ部59b及びスイッチ部59cの接点Aに接続する。また、第二リレー回路59は、コイル59aに停電時を示す通知信号が入力されているとき(停電時)に、対象の負荷を、スイッチ部59b及びスイッチ部59cの接点Bに接続する。
【0054】
このように、切り替え回路57は、ポータブル電源装置20が備える停電時にパススルーモード等から放電モードに自動的に切り替わる機能を利用して、電力のバックアップを行う。当該機能は、通常時には、分電盤40からポータブル電源装置20に入力される交流電力を切り替え回路57へ出力(パススルー出力)し、停電時には、ポータブル電源装置20が備える蓄電池パック21を放電させることで得られる交流電力を切り替え回路57へ出力する機能である。
【0055】
切り替え回路57は、具体的には、通常時には、ポータブル電源装置20と対象の負荷とを電気的に接続し、かつ、ポータブル電源装置20及び対象の負荷を含む第一回路から漏電対策回路52を切り離す、また、切り替え回路57は、停電時には、ポータブル電源装置20と対象の負荷とを電気的に接続し、かつ、上記第一回路に漏電対策回路52を電気的に接続する。
【0056】
このような切り替え回路57を備える電力バックアップシステム10は、上記内線規程を満たして、ポータブル電源装置20を用いた交流電力のバックアップを実現することができる。
【0057】
なお、構成例2では、ポータブル電源装置20を組み込まずに電力バックアップシステム10を使用する(電力のバックアップ機能を使用しない)場合、対象の負荷を動作させるためには、出力部OAと入力部IBとを電気コードCA(または電気コードCB)によって接続する必要がある。構成例1では、出力部OAと入力部IBとを電気コードCA(または電気コードCB)によって接続する必要はない。
【0058】
また、構成例2では、ポータブル電源装置20は、停電時にパススルーモード等から放電モードに自動的に切り替わる機能を有する必要がある。これに対し、構成例1では、ポータブル電源装置20は、少なくとも停電時に放電モードの動作をしていればよく、停電時にパススルーモード等から放電モードに自動的に切り替わる機能は必須ではない。
【0059】
[変形例1]
次に、電力バックアップシステム10の変形例1について説明する。図12は、変形例1に係る電力バックアップシステムの外観図である。図12に示されるように、変形例1に係る電力バックアップシステム10aにおいては、置台30が省略され、ポータブル電源装置20、配線箱50、電気コードCA、及び、電気コードCBがユニット化されている。具体的には、ポータブル電源装置20、配線箱50、及び、電気コードCBは、筐体60aに収容されており、電気コードCAのプラグ部が筐体60aの外側に引き出されている。
【0060】
このような電力バックアップシステム10aは、ポータブル電源装置20を用いた交流電力のバックアップを実現することができる。なお、電力バックアップシステム10aにおいて、分電盤40及び配線箱50には、構成例1及び構成例2のいずれが適用されてもよい。
【0061】
[変形例2]
次に、電力バックアップシステム10の変形例2について説明する。図13は、変形例2に係る電力バックアップシステムの外観図である。図13に示されるように、変形例2に係る電力バックアップシステム10bにおいては、配線箱50が省略され、置台30bが配線箱50の機能を備えている。
【0062】
例えば、電力バックアップシステム10bに上記構成例1が採用される場合、置台30bは、分電盤40と電力線によって電気的に接続され、入力部IBと、切り替え回路ユニット51とを備える。つまり、切り替え回路53は、置台30bに収容される。上記構成例1の説明において、配線箱50は、適宜、置台30bに読み替えることができる。
【0063】
また、上記電力バックアップシステム10bに上記構成例2が採用される場合、置台30は、分電盤40と信号線によって電気的に接続され、入力部IBと、切り替え回路ユニット56とを備える。つまり、切り替え回路57は、置台30bに収容される。上記構成例2の説明において、配線箱50は、適宜、置台30bに読み替えることができる。
【0064】
このような電力バックアップシステム10bは、ポータブル電源装置20を用いた交流電力のバックアップを実現することができる。
【0065】
[変形例3]
次に、電力バックアップシステム10の変形例3について説明する。図14は、変形例3に係る電力バックアップシステムの外観図である。図14に示されるように、変形例3に係る電力バックアップシステム10cにおいては、配線箱50が省略され、分電盤40cが配線箱50の機能、及び、出力部OAを備えている。図15は、分電盤40cの内部構成を示す図である。
【0066】
分電盤40cは、配線箱50と同様に、入力部IBと、切り替え回路ユニット51とを備える。つまり、分電盤40cには上記構成例1が採用されている。つまり、切り替え回路53は、分電盤40cに収容される。上記構成例1の説明において、配線箱50は、適宜、分電盤40cに読み替えることができる。
【0067】
このような電力バックアップシステム10cは、ポータブル電源装置20を用いた交流電力のバックアップを実現することができる。
【0068】
[ポータブル電源装置の変形例]
ポータブル電源装置20は、ユーザによって充放電装置22から蓄電池パック21を自在に着脱することができる。しかしながら、ポータブル電源装置20は、蓄電池パック21が充放電装置22に内蔵されるなど、蓄電池パック21を取り外すことができない構造を有していてもよい。
【0069】
また、ポータブル電源装置20は、蓄電池パック21の充電機能(充電回路23)を備えていなくてもよい。ポータブル電源装置20は、少なくとも蓄電池パック21の放電機能(放電回路24)を備えていればよい。
【0070】
[効果等]
以上説明したように、電力バックアップシステム10は、ポータブル電源装置20と、停電時に、ポータブル電源装置20と負荷とを電気的に接続し、かつ、ポータブル電源装置20及び負荷を含む第一回路に漏電対策回路52を電気的に接続する切り替え回路53(または切り替え回路57)とを備える。
【0071】
このような電力バックアップシステム10は、ポータブル電源装置20を用いた電力のバックアップを実現することができる。
【0072】
また、例えば、電力バックアップシステム10は、さらに、分電盤40を備える。切り替え回路53は、通常時に、分電盤40と負荷とを電気的に接続し、かつ、分電盤40及び負荷を含む第二回路から漏電対策回路52を切り離す。
【0073】
このような電力バックアップシステム10は、停電時に、負荷の接続先を分電盤40からポータブル電源装置20に切り替えることにより、ポータブル電源装置20を用いた電力のバックアップを実現することができる。
【0074】
また、例えば、切り替え回路57は、通常時に、ポータブル電源装置20と負荷とを電気的に接続し、かつ、第一回路から漏電対策回路52を切り離す。
【0075】
このような電力バックアップシステム10は、停電時及び通常時のいずれも負荷の接続先はポータブル電源装置20のままで、ポータブル電源装置20を用いた電力のバックアップを実現することができる。
【0076】
また、例えば、電力バックアップシステム10は、さらに、分電盤40を備える。ポータブル電源装置20は、通常時には、分電盤40からポータブル電源装置20に入力される交流電力を切り替え回路57へ出力し、停電時には、ポータブル電源装置20が備える蓄電池パック21を放電させることで得られる交流電力を切り替え回路57へ出力する。
【0077】
このような電力バックアップシステム10は、ポータブル電源装置20が備える停電時にパススルーモード等から放電モードに自動的に切り替わる機能を利用して、電力のバックアップを実現することができる。
【0078】
また、例えば、切り替え回路53(または切り替え回路57)は、分電盤40及びポータブル電源装置20のいずれとも別体の配線箱50に収容される。
【0079】
このような電力バックアップシステム10は、配線箱50を用いて、ポータブル電源装置20を用いた電力のバックアップを実現することができる。
【0080】
また、例えば、切り替え回路53(または切り替え回路57)は、ポータブル電源装置20の置台30bに収容される。
【0081】
このような電力バックアップシステム10は、置台30bを用いて、ポータブル電源装置20を用いた電力のバックアップを実現することができる。
【0082】
また、例えば、切り替え回路53は、分電盤40cに収容される。
【0083】
このような電力バックアップシステム10は、分電盤40cを用いて、ポータブル電源装置20を用いた電力のバックアップを実現することができる。
【0084】
また、例えば、ポータブル電源装置20は、蓄電池パック21と、蓄電池パック21が着脱自在に接続される充放電装置22であって、蓄電池パック21を放電させることによって得られる交流電力を出力する充放電装置22とを備える。充放電装置22は、放電装置の一例である。
【0085】
このような電力バックアップシステム10は、蓄電池パック21が自在に着脱できるポータブル電源装置20を用いて、電力のバックアップを実現することができる。
【0086】
また、電力バックアップシステム10などのコンピュータによって実行される電力バックアップ方法は、停電時に、ポータブル電源装置20と負荷とを電気的に接続し、かつ、ポータブル電源装置20及び負荷を含む第一回路に漏電対策回路52を電気的に接続する切り替えステップを含む。
【0087】
このような電力バックアップ方法は、ポータブル電源装置20を用いた電力のバックアップを実現することができる。
【0088】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0089】
例えば、上記実施の形態では、電力バックアップシステムは、複数の装置によって実現された。この場合、電力バックアップシステムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、制御システムは、単一の装置によって実現されてもよく、例えば、切り替え回路を備える装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。
【0090】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0092】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0093】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0094】
例えば、本発明は、電力バックアップシステムなどのコンピュータによって実行される電力バックアップ方法、または、電力バックアップシステムの制御方法として実現されてもよい。本発明は、このような方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0095】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10、10a、10b、10c 電力バックアップシステム
20 ポータブル電源装置
21 蓄電池パック
22 充放電装置
23 充電回路
24 放電回路
25 制御部
26 切り替えスイッチ
30、30b 置台
40、40c 分電盤
41 主幹ブレーカ
42 分岐ブレーカ
50 配線箱
51、56 切り替え回路ユニット
52 漏電対策回路
53、57 切り替え回路
54、58 第一リレー回路
54a、55a、58a、59a コイル
54b、54c、55b、55c、58b、58c、59b、59c スイッチ部
55、59 第二リレー回路
60a 筐体
70 系統電源
CA、CB、CC 電気コード
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15