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特開2023-124252デッキスラブ、及びデッキスラブの施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124252
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】デッキスラブ、及びデッキスラブの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/16 20060101AFI20230830BHJP
   E04B 5/40 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
E04B1/16 E
E04B5/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027904
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】郡 泰明
(57)【要約】
【課題】コンクリート打設後に形成された開口部を容易に補強することができるデッキスラブを提供する。
【解決手段】デッキスラブ100は、デッキプレート3、及びデッキプレート3上に打設されたコンクリート4を有する。当該デッキスラブ100には、厚さ方向に貫通する開口部101が形成されている。この開口部101の内面101aは鋼材で補強される。このような構造によれば、コンクリート4の打設後にデッキスラブ100に開口部101が形成されても、開口部101内に鋼材を配置することで、コンクリート4内部に追加配筋を設けることなく、開口部101を補強することができる。以上より、コンクリート4の打設後に形成された開口部101を容易に補強することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキプレート、及びデッキプレート上に打設されたコンクリートを有するデッキスラブであって、
厚さ方向に貫通する開口部が形成され、当該開口部の内面が鋼材で補強された、デッキスラブ。
【請求項2】
前記開口部の前記内面は、当該開口部に挿入された鋼管で補強される、請求項1に記載のデッキスラブ。
【請求項3】
構造床として供される、請求項1又は2に記載のデッキスラブ。
【請求項4】
前記鋼管の開口幅は、300mm以下に設定される、請求項2に記載のデッキスラブ。
【請求項5】
前記デッキプレートの高さは、50mm以上、120mm以下に設定される、請求項1~4の何れか一項に記載のデッキスラブ。
【請求項6】
前記デッキプレートの板厚は、1.0mm以上、1.6mm以下に設定される、請求項1~5の何れか一項に記載のデッキスラブ。
【請求項7】
前記鋼材の板厚は、7mm以上に設定される、請求項1~6の何れか一項に記載のデッキスラブ。
【請求項8】
前記鋼材の降伏点は、235N/mm以上に設定される、請求項1~7の何れか一項に記載のデッキスラブ。
【請求項9】
前記鋼材の断面係数の値は20cm以上、183cm以下に設定される、請求項1~8の何れか一項に記載のデッキスラブ。
【請求項10】
前記鋼材の断面二次モーメントの値は100cm以上、2561cm以下に設定される、請求項1~9の何れか一項に記載のデッキスラブ。
【請求項11】
デッキプレート、及びデッキプレート上に打設されたコンクリートを有するデッキスラブの施工方法であって、
前記デッキスラブに形成された厚さ方向に貫通する開口部に対し、当該開口部の内面を鋼材で補強する、デッキスラブの施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキスラブ、及びデッキスラブの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデッキスラブとして、特許文献1に記載されたものが知られている。このデッキスラブは、デッキプレートと、デッキプレート上に打設されたコンクリートと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-41348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、デッキスラブには、開口部が形成される場合がある。このような開口部周辺にはひび割れ防止及び耐力補強のための追加配筋が必要になる。しかしながら、コンクリート打設後に、デッキスラブに開口部を形成する場合、追加配筋を設けることができない。従って、開口部のサイズを制限するか、小梁などを追加することでデッキスラブを直接補強する必要がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、コンクリート打設後に形成された開口部を容易に補強することができるデッキスラブ、及びデッキスラブの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデッキスラブは、デッキプレート、及びデッキプレート上に打設されたコンクリートを有するデッキスラブであって、厚さ方向に貫通する開口部が形成され、当該開口部の内面が鋼材で補強される。
【0007】
本発明に係るデッキスラブは、デッキプレート、及びデッキプレート上に打設されたコンクリートを有する。当該デッキスラブには、厚さ方向に貫通する開口部が形成されている。この開口部の内面は鋼材で補強される。このような構造によれば、コンクリート打設後にデッキスラブに開口部が形成されても、開口部内に鋼材を配置することで、コンクリート内部に追加配筋を設けることなく、開口部を補強することができる。以上より、コンクリート打設後に形成された開口部を容易に補強することができる。
【0008】
開口部の内面は、当該開口部に挿入された鋼管で補強されてよい。これにより、開口部に鋼管を挿入するだけで、開口部の内面を全周にわたって容易に補強することができる。
【0009】
デッキスラブは、例えば、構造床として供されてよい。
【0010】
鋼管の開口幅は、300mm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部の断面性能を向上することができる。
【0011】
デッキプレートの高さは、50mm以上、120mm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部の断面性能を向上することができる。
【0012】
デッキプレートの板厚は、1.0mm以上、1.6mm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部の断面性能を向上することができる。
【0013】
鋼材の板厚は、7mm以上に設定されてよい。この場合、補強された開口部の断面性能を向上することができる。
【0014】
鋼材の降伏点は、235N/mm以上に設定されてよい。この場合、補強された開口部の断面性能を向上することができる。
【0015】
鋼材の断面係数の値は20cm以上、183cm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部の断面性能を向上することができる。
【0016】
鋼材の断面二次モーメントの値は100cm以上、2561cm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部の断面性能を向上することができる。
【0017】
本発明に係るデッキスラブの施工方法は、デッキプレート、及びデッキプレート上に打設されたコンクリートを有するデッキスラブの施工方法であって、デッキスラブに形成された厚さ方向に貫通する開口部に対し、当該開口部の内面を鋼材で補強する。
【0018】
本発明に係るデッキスラブの施工方法によれば、上述のデッキスラブと同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンクリート打設後に形成された開口部を容易に補強することができるデッキスラブ、及びデッキスラブの施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るデッキスラブの平面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5】変形例に係るデッキスラブの変形例を示す平面図である。
図6】最小断面での実施例の性能を示す表である。
図7】最大断面での実施例の性能を示す表である。
図8】変形例に係るデッキスラブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るデッキスラブ100の平面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。図1に示すように、デッキスラブ100は、建物の構造床として提供される。デッキスラブ100は、水平方向に広がるように建物に設けられる。なお、各図には、「スパン方向D1」及び「幅方向D2」が設定されている。スパン方向D1は、後述のデッキプレート3が延びる方向であり、幅方向D2は、デッキプレート3の山部3aが並ぶ方向である。
【0023】
図2に示すように、デッキスラブ100は、デッキプレート3と、コンクリート4と、鋼管6と、を備える。デッキスラブ100は、一対の梁材2によって支持される。
【0024】
図3に示すように、デッキプレート3は、幅方向D2に山部3aと谷部3bとを交互に有している。山部3aは、谷部3bの底面から上方へ向かって突出するように設けられる。複数の山部3aは、互いに幅方向D2に離間した状態で、スパン方向D1に互いに平行をなすように延びている。山部3aは、谷部3bの両側壁を構成する。
【0025】
コンクリート4は、デッキプレート3上に打設される。コンクリート4は、デッキプレート3の谷部3bの内部に充填された状態で、山部3aの上面よりも高い位置まで充填される。これにより、コンクリート4は、デッキプレート3の上方にて、スパン方向D1及び幅方向D2に広がる上面を有する。当該上面がデッキスラブ100の上面100aとなる。
【0026】
コンクリート4の内部には、ひび割れ拡大防止筋7が配置されている。ひび割れ拡大防止筋7は、スパン方向D1、及び幅方向D2に平行に広がる網部材である。ひび割れ拡大防止筋7は、山部3aと上面100aとの間に配置される。
【0027】
図2及び図4に示すように、デッキスラブ100には、厚さ方向に貫通する開口部101が形成されている。開口部101は、デッキスラブ100の上面100aからデッキプレート3の下面3cに至るまで上下方向に延びている。開口部101においては、デッキプレート3、コンクリート4、及びひび割れ拡大防止筋7の全ての部材に対し、厚み方向に貫通する貫通孔が形成される。
【0028】
本実施形態では、開口部101は、上下方向から見て長方形状(正方形状を含む)の形状を有している。開口部101の大きさは特に限定されないが、110mm(ここでは一辺あたりの寸法)以上の寸法を有して良く、150mm以上の寸法を有してよく、更に300mm以上の寸法を有してよい。また、開口部101は大きさの上限は特に限定されないが、600mm以下であってよい。開口部101は、四角柱状に形成された四つの内面101aを有する。各内面101aでは、コンクリート4の切断面、デッキプレート3の切断面、ひび割れ拡大防止筋7の切断面が露出するような構成となっている。
【0029】
鋼管6は、開口部101が形成された箇所において、デッキスラブ100を補強する部材である。鋼管6は、開口部101の内面101aを補強する鋼材として機能する。本実施形態では、鋼管6は、中空の四角柱の形状を有する。鋼管6の四つの側壁部11は、四つの内面101aをそれぞれ補強する。なお、鋼管6は、開口部101の内面101aに対して、接着剤によって固定される。その他、鋼管6の上部に鋼板等でストッパーとなる突起を設け、鋼管6の自重を突起を介してコンクリート4で負担する機構を設けてもよい。あるいは、鋼管6の差し込みのために設けたクリアランスを埋めるようにモルタルなどを充填し、モルタル硬化後は摩擦抵抗で鋼管6の自重を支えてもよい。なお、モルタルをクリアランスに充填した後は、モルタルが硬化するまで下方から型枠で支持してよい。
【0030】
具体的に、図4に示すように、鋼管6の各側壁部11の外周面11aは、開口部101の各内面101aと接触するように配置される。鋼管6の上端6a及び下端6bは、水平方向と平行をなすような切口を有するように構成されている。鋼管6の上端6aは、デッキスラブ100の上面100aと同じ高さ位置に配置される。鋼管6の下端6bは、デッキプレート3の谷部3bにおける下面3cと同じ高さ位置に配置される。これにより、開口部101の各内面101aは、全面にわたって鋼管6の側壁部11に覆われる構成となる。また、鋼管6がデッキスラブ100の上面100aから上方へはみ出ない構成とすることができる。また、鋼管6がデッキプレート3の下面3cよりも必要以上にはみ出ない構成とすることができる。なお、鋼管6の上端6a及び下端6bの高さ位置は特に限定されない。開口部101の内面101aが一部、鋼管6の側壁部11から露出するような部分が形成されてもよい。
【0031】
鋼管6で開口部101を補強する手順について説明する。まず、建物の既設のデッキスラブに対して、コンクリート打設後(すなわち、施工後)に開口部101が形成される。この場合、開口部101の寸法、及びデッキスラブ100の厚みに対応する大きさの鋼管6を準備する。そして、鋼管6を開口部101に挿入して固定する。
【0032】
デッキスラブ100の設計方法について説明する。設計方法として、「欠損断面部分の断面性能」≦「鋼管の断面性能」となるように鋼管6の板厚を設定することで、耐力・剛性の低下を鋼管6で補うことができる。記検討について、最小断面、最大断面それぞれでの実施例を図6、7に示す。開口幅300mmで、鋼管6はスラブ全せい(コンクリート上面からデッキ下面まで)に渡るものとした場合、鋼管6の板厚を7.0mm以上とすることで、引張側許容モーメント、圧縮側許容モーメント、曲げ剛性全ての値が「欠損断面部分の断面性能」≦「鋼管の断面性能」となることが確認できる。なお、「a.欠損断面部分」(合成スラブ)のヤング係数については、「デッキプレート床構造設計・施工規準 2018」に準拠し、鋼材のヤング係数205,000N/mmをコンクリートに対する鋼材のヤング係数比(n=15)で除した値(205,000/15=13,667)としている。
【0033】
図6及び図7に示すように、鋼管6の開口幅は、300mm以下に設定されている。デッキプレート3の高さは、50mm以上、120mm以下に設定されている。デッキプレート3の板厚は、1.0mm以上、1.6mm以下に設定されている。鋼材の板厚は、7mm以上に設定されている。鋼材の降伏点は、235N/mm以上に設定されている。鋼材の断面係数(引張側断面係数)の値は20cm以上、183cm以下に設定されている。断面二次モーメントの値は100cm以上、2561cm以下に設定されている。
【0034】
次に、本実施形態に係るデッキスラブ100の作用・効果について説明する。
【0035】
まず、デッキスラブ100には、開口部101が形成される場合がある。このような開口部101周辺にはひび割れ防止及び耐力補強のための追加配筋が必要になる。しかしながら、コンクリート打設後に、デッキスラブ100に開口部を形成する場合、追加配筋を設けることができない。従って、開口部101のサイズを制限するか、小梁などを追加することでデッキスラブを直接補強する必要がある。
【0036】
ここで、昨今は「SDGs(持続可能な開発目標)」に向けて、日本でも「SDGsアクションプラン2021」が掲げられ、温室効果ガス排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」への取り組みが建設業界においても求められている。よって、新築工事よりも、既存建物を有効活用することでCO排出量が抑えられるリノベーション工事が増加することも考えられる。リノベーション工事の場合、室の用途変更等により、硬化したコンクリートに後から開口部101を設置する必要が出てくるケースがあり、その際の補強の簡易化が求められている。
【0037】
例えば、開口部101を鋼管6で補強しなかった場合、開口部101を形成したことによる影響範囲Wは図4に示される範囲となる。この影響範囲W1の幅(欠陥影響幅)は、開口部101の幅(欠陥幅)よりも大きくなる。当該影響範囲W1では、デッキプレート3がコンクリート4の下面から剥離するなどの影響が起こりえる。
【0038】
これに対し本実施形態に係るデッキスラブ100は、デッキプレート3、及びデッキプレート3上に打設されたコンクリート4を有するデッキスラブ100であって、厚さ方向に貫通する開口部101が形成され、当該開口部101の内面が鋼材(鋼管6)で補強される。
【0039】
デッキスラブ100は、デッキプレート3、及びデッキプレート3上に打設されたコンクリート4を有する。当該デッキスラブ100には、厚さ方向に貫通する開口部101が形成されている。この開口部101の内面101aは鋼材で補強される。このような構造によれば、コンクリート4の打設後にデッキスラブ100に開口部101が形成されても、開口部101内に鋼材を配置することで、欠損部に生じる応力を鋼材を介してスパン方向に伝達できるため、コンクリート4内部に追加配筋を設けることなく、開口部101を補強することができる。これにより、影響範囲W1の幅(欠陥影響幅)は、開口部101の幅(欠陥幅W2)と略同一となる。このため、開口部101周辺でのデッキプレート3のコンクリート4からの剥離を抑制できる。このように、影響範囲W1の幅を最小限にして、デッキスラブ100の剛性及び耐力の低下を低減することができる。以上より、コンクリート4の打設後に形成された開口部101を容易に補強することができる。
【0040】
開口部101の内面101aは、当該開口部101に挿入された鋼管6で補強されてよい。これにより、開口部101に鋼管6を挿入するだけで、開口部101の内面101aを全周にわたって容易に補強することができる。
【0041】
デッキスラブ100は、例えば、構造床として供されてよい。
【0042】
鋼管6の開口幅は、300mm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部101の断面性能を向上することができる。
【0043】
デッキプレート3の高さは、50mm以上、120mm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部101の断面性能を向上することができる。
【0044】
デッキプレート3の板厚は、1.0mm以上、1.6mm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部101の断面性能を向上することができる。
【0045】
鋼材の板厚は、7mm以上に設定されてよい。この場合、補強された開口部101の断面性能を向上することができる。
【0046】
鋼材の降伏点は、235N/mm以上に設定されてよい。この場合、補強された開口部101の断面性能を向上することができる。
【0047】
鋼材の断面係数の値は20cm以上、183cm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部101の断面性能を向上することができる。
【0048】
鋼材の断面二次モーメントの値は100cm以上、2561cm以下に設定されてよい。この場合、補強された開口部101の断面性能を向上することができる。
【0049】
本実施形態に係るデッキスラブ100の施工方法は、デッキプレート3、及びデッキプレート3上に打設されたコンクリート4を有するデッキスラブ100の施工方法であって、デッキスラブ100に形成された厚さ方向に貫通する開口部101に対し、当該開口部101の内面を鋼材で補強する。
【0050】
本実施形態に係るデッキスラブ100の施工方法によれば、上述のデッキスラブ100と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0051】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0052】
例えば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、デッキプレートの形状は適宜変更されてよい。また、コンクリート内部に配置される鉄筋も適宜変更してよい。
【0053】
また、開口部及び鋼管の形状は特に限定されない。例えば、図5に示すようなデッキスラブ200を採用してよい。このデッキスラブ200は、上下方向から見て円形の開口部201を有する。当該開口部201の内面は、円柱状の鋼管206によって補強される。その他、開口部及び鋼管は、他の多角形状であってよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、補強用の鋼材として鋼管が用いられたが、鋼管に限定されない。例えば、複数枚の鋼板を内面に固定することで補強を行ってもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、中空の鋼管が用いられたが、内部に補強を施した資材を用いてもよい。例えば、鋼管の板厚が薄く、鋼管単体で応力伝達効果が不足する場合、貫通孔としての役割を阻害しない範囲で内面を斜材等で補強を行ってもよい。斜材の取り付け形式は限定されない。
【0056】
従来のデッキスラブとして、デッキ合成スラブ、デッキ複合スラブ等が知られている。デッキ合成スラブは、特許文献1に記載されたものが知られている。このデッキ合成スラブは、デッキプレートと、デッキプレート上に打設されたコンクリートと、を備え、スラブに発生する圧縮力はコンクリートが、引張力にはデッキプレートが抵抗する構造となっている。デッキ複合スラブは、デッキプレートと、デッキプレート上に打設されたコンクリートと、引張鉄筋と、を備え、スラブに発生する圧縮力はコンクリートが、引張力には引張鉄筋が抵抗する構造となっている。
【0057】
デッキプレートの種類も上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、図8に示すようなデッキプレート3を採用してもよい。図8に示すデッキプレート3は、略平面上の底壁部を有しており、当該底壁部から所定の間隔にて、上方へ突出する山部3aが形成される。
【符号の説明】
【0058】
3…デッキプレート、4…コンクリート、6,206…鋼管、100,200…デッキスラブ、101,201…開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8