(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124258
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】蓋体、容器本体、密閉容器、蓋体の製造方法、容器本体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20230830BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B65D41/34
B65D1/02 212
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027913
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】川村 康晴
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA07
3E033BA09
3E033CA19
3E033DA03
3E033DD01
3E033GA02
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA22
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC01
3E084DA01
3E084DC01
3E084EC01
3E084FB01
3E084FD07
3E084GA02
3E084GB02
3E084HA01
3E084HD01
(57)【要約】
【課題】蓋体と容器本体とを互いに着脱自在に係合させることができ、かつ複雑な加工を行わずに低コストに形成可能な蓋体、容器本体、密閉容器、蓋体の製造方法、容器本体の製造方法を提供する。
【解決手段】容器本体の開口端側に形成される円筒形の口部を着脱自在に覆う円筒形の蓋体であって、前記口部の外周面と対向する前記蓋体の内周面には、前記口部の外周面に形成される容器凸部と係合する蓋体凸部が形成され、前記蓋体凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第1樹脂層からなることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口端側に形成される円筒形の口部を着脱自在に覆う円筒形の蓋体であって、
前記口部の外周面と対向する前記蓋体の内周面には、前記口部の外周面に形成される容器凸部と係合する蓋体凸部が形成され、
前記蓋体凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第1樹脂層からなることを特徴とする蓋体。
【請求項2】
前記蓋体凸部は、前記蓋体の内周面において円周方向に沿って間欠的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記第1樹脂層を構成する複数の前記樹脂膜のうち、前記蓋体の内周面寄りの最下層の樹脂膜よりも上層にある少なくとも1つの樹脂膜の一面側の面積は、最下層の樹脂膜の一面側の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の蓋体。
【請求項4】
円筒形の口部を有し、該口部が蓋体で着脱自在に覆われる容器本体であって、
前記蓋体の内周面と対向する前記口部の外周面には、前記蓋体の内周面に形成される蓋体凸部と係合する容器凸部が形成され、
前記容器凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第2樹脂層からなることを特徴とする容器本体。
【請求項5】
前記容器凸部は、前記口部の外周面において円周方向に沿って間欠的に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の容器本体。
【請求項6】
前記第2樹脂層を構成する複数の前記樹脂膜のうち、前記口部の外周面寄りの最下層の樹脂膜よりも上層にある少なくとも1つの樹脂膜の一面側の面積は、最下層の樹脂膜の一面側の面積よりも大きいことを特徴とする請求項4または5に記載の容器本体。
【請求項7】
円筒形の口部を有する容器本体と、前記口部を着脱自在に覆う円筒形の蓋体と、を有する密閉容器であって、
前記蓋体の内周面と対向する前記口部の外周面には容器凸部が形成され、
前記蓋体の内周面には、前記容器凸部と係合する蓋体凸部が形成され、
前記蓋体凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第1樹脂層からなり、
前記容器凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第2樹脂層からなることを特徴とする密閉容器。
【請求項8】
前記蓋体凸部は、前記蓋体の内周面において円周方向に沿って間欠的に形成されており、前記容器凸部は、前記口部の外周面において円周方向に沿って間欠的に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の密閉容器。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載の蓋体の製造方法であって、
前記蓋体の内周面に前記第1樹脂層を形成する第1樹脂層形成工程を有し、
前記第1樹脂層形成工程は、液滴吐出装置によって光重合性材料を含む樹脂液を吐出して前記樹脂膜を複数、重ねて形成する際に、互いに隣接する前記樹脂膜どうしを光重合させることを特徴とする蓋体の製造方法。
【請求項10】
請求項4から6のいずれか一項に記載の容器本体の製造方法であって、
前記容器本体の外周面に前記第2樹脂層を形成する第2樹脂層形成工程を有し、
前記第2樹脂層形成工程は、液滴吐出装置によって光重合性材料を含む樹脂液を吐出して前記樹脂膜を複数、重ねて形成する際に、互いに隣接する前記樹脂膜どうしを光重合させることを特徴とする容器本体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体、容器本体、密閉容器、蓋体の製造方法、容器本体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、飲料等の内容物が充填、密封される缶体として、缶胴(ウォール)と缶底(ボトム)とを有し、開口側が縮径されたショルダー部を有するボトル缶体が知られている。こうしたボトル缶体のショルダー部の先端には、開口を塞栓するキャップを取り付けるための口金部が形成される。例えば、特許文献1には、ボトル缶体を塞栓するキャップとして、口金部に形成したネジ溝に螺着されるネジキャップが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、天板部の周縁より下方に延びる円筒部の下縁より外方に巻回されたカール部と、このカール部に設けられ内径方向に突出して、容器の口部の外周面に沿って略水平に延びる複数の係合スレッドに係合する複数のラグを備えた容器用キャップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4908544号公報
【特許文献2】特開2003-002343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された発明では、金属で形成されたキャップに、プレス加工や屈曲加工によってネジ溝、ラグを形成しているため、製造工程が複雑であり、かつ加工時の金属の割れや切断が発生する懸念があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、蓋体と容器本体とを互いに着脱自在に係合させることができ、かつ複雑な加工を行わずに低コストに形成可能な蓋体、容器本体、密閉容器、蓋体の製造方法、容器本体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態の蓋体、容器本体、密閉容器、蓋体の製造方法、容器本体の製造方法は、以下の手段を提案している。
即ち、本発明の蓋体は、容器本体の開口端側に形成される円筒形の口部を着脱自在に覆う円筒形の蓋体であって、前記口部の外周面と対向する前記蓋体の内周面には、前記口部の外周面に形成される容器凸部と係合する蓋体凸部が形成され、前記蓋体凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第1樹脂層からなることを特徴とする。
【0008】
本発明の蓋体によれば、蓋体の内周面に複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第1樹脂層を形成することによって、蓋体そのものにプレス等で凸部を形成する場合と比較して、蓋体の加工が容易となり、低コストに蓋体を形成することができる。また、蓋体そのものにプレス等で凸部を形成しないので、屈曲部分が少なくなり、プレスによる割れや切断が生じる可能性を低減することができる。
【0009】
また、本発明では、前記蓋体凸部は、前記蓋体の内周面において円周方向に沿って間欠的に形成されていてもよい。
【0010】
また、本発明では、前記第1樹脂層を構成する複数の前記樹脂膜のうち、前記蓋体の内周面寄りの最下層の樹脂膜よりも上層にある少なくとも1つの樹脂膜の一面側の面積は、最下層の樹脂膜の一面側の面積よりも大きくてもよい。
【0011】
本発明の容器本体は、円筒形の口部を有し、該口部が蓋体で着脱自在に覆われる容器本体であって、前記蓋体の内周面と対向する前記口部の外周面には、前記蓋体の内周面に形成される蓋体凸部と係合する容器凸部が形成され、前記容器凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第2樹脂層からなることを特徴とする。
【0012】
本発明の容器本体によれば、口部の外周面に複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第2樹脂層を形成することによって、容器本体の口部に金型等でプレスを行って凸部を形成する場合と比較して、容器本体の加工が容易となり、低コストに容器本体を形成することができる。また、容器本体の口部にプレス等で凸部を形成しないので、口部の屈曲部分が少なくなり、プレスによる割れや切断が生じる可能性を低減することができる。
【0013】
また、本発明では、前記容器凸部は、前記口部の外周面において円周方向に沿って間欠的に形成されていてもよい。
【0014】
また、本発明では、前記第2樹脂層を構成する複数の前記樹脂膜のうち、前記口部の外周面寄りの最下層の樹脂膜よりも上層にある少なくとも1つの樹脂膜の一面側の面積は、最下層の樹脂膜の一面側の面積よりも大きくてもよい。
【0015】
本発明の密閉容器は、円筒形の口部を有する容器本体と、前記口部を着脱自在に覆う円筒形の蓋体と、を有する密閉容器であって、前記蓋体の内周面と対向する前記口部の外周面には容器凸部が形成され、前記蓋体の内周面には、前記容器凸部と係合する蓋体凸部が形成され、前記蓋体凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第1樹脂層からなり、前記容器凸部は、光重合性材料を含む複数の樹脂膜を光重合によって一体化させた第2樹脂層からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明では、前記蓋体凸部は、前記蓋体の内周面において円周方向に沿って間欠的に形成されており、前記容器凸部は、前記口部の外周面において円周方向に沿って間欠的に形成されていてもよい。
【0017】
本発明の蓋体の製造方法は、前記各項に記載された蓋体の製造方法であって、前記蓋体の内周面に前記第1樹脂層を形成する第1樹脂層形成工程を有し、前記第1樹脂層形成工程は、液滴吐出装置によって光重合性材料を含む樹脂液を吐出して前記樹脂膜を複数、重ねて形成する際に、互いに隣接する前記樹脂膜どうしを光重合させることを特徴とする。
【0018】
本発明の容器本体の製造方法は、前記各項に記載された容器本体の製造方法であって、前記容器本体の外周面に前記第2樹脂層を形成する第2樹脂層形成工程を有し、前記第2樹脂層形成工程は、液滴吐出装置によって光重合性材料を含む樹脂液を吐出して前記樹脂膜を複数、重ねて形成する際に、互いに隣接する前記樹脂膜どうしを光重合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蓋体と容器本体とを互いに着脱自在に係合させることができ、複雑な加工を行わずに低コストに形成可能な蓋体、容器本体、密閉容器、蓋体の製造方法、容器本体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態の蓋体を示す一部破断図である。
【
図2】本実施形態における第1樹脂層(蓋体凸部)の要部拡大断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態の蓋体を示す一部破断図である。
【
図4】本実施形態における第1樹脂層(蓋体凸部)の要部拡大断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の容器本体を示す一部破断図である。
【
図6】容器本体の第2樹脂層(容器凸部)の要部拡大断面図である。
【
図7】一実施形態のキャップ付きボトル缶体(密閉容器)の要部拡大断面図である。
【
図8】キャップ付きボトル缶体(密閉容器)の変形例を示す要部拡大断面図である。
【
図9】第1樹脂層形成工程、第2樹脂層形成工程に用いるインクジェットプリンタの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した一実施形態である蓋体、容器本体、密閉容器、蓋体の製造方法、容器本体の製造方法について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0022】
(蓋体:第1実施形態)
本発明の一実施形態の蓋体について説明する。
本実施形態の蓋体として、飲料を収容するボトル缶体(容器本体)の口金部に被着されて、ボトル缶体を閉栓するキャップを挙げて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の蓋体を示す一部破断図である。また、
図2は、本実施形態における第1樹脂層(蓋体凸部)の要部拡大断面図である。
【0023】
本実施形態のキャップ(蓋体)10は、円板状の天板部2と、この天板部2の周縁から下端側(
図1において下側)に向けてキャップ中心線Oを中心とする円筒状に延びる周壁部3とが一体に成形されたキャップ本体1と、キャップ10の内周面、即ち周壁部3の内面に形成される蓋体凸部である第1樹脂層13とを有している。本実施形態では、第1樹脂層13は、容器本体に形成される係合スレッドFと係合する係合ラグである。
【0024】
キャップ10の天板部2の内面(下面)2aには、樹脂製の円板状のライナー4が配設される。このライナー4は、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンを主とする硬質樹脂製で天板部2側に内面2aと非接着状態で配置される大径の摺動層4aと、この摺動層4aの天板部2とは反対側に直接またはバリア層等の中間層を介して配置されるエラストマー樹脂の摺動層4aよりも軟質な樹脂製で小径の密封層4bとを備えた多層構造とされている。
【0025】
こうした摺動層4aは厚さが略均一な平板状とされる一方、密封層4bは外周縁部が厚肉で内周部は天板部2側に凹んだ薄肉とされ、これら内周部と外周縁部との間の段差部は内周側に向かうに従い天板部2側に向かうテーパ面状とされている。
【0026】
また、キャップ本体1の周壁部3には、天板部2寄りの上端部側に、下端側に向けてキャップ中心線Oに対する半径方向外周側に膨らむナール部5と、このナール部5の下端に連なって内周側に凹むグルーブ6とがキャップ中心線O回りに周壁部3を周回するように形成されている。
【0027】
さらに、天板部2とは反対側の周壁部3の下端部側には、上端部側から下端部側に向けて順に、やはり外周側に膨らむビード7と、このビード7よりも外径が小径の破断容易部8と、この破断容易部8よりも外径が大径とされてキャップ本体1の下端に延びる円筒状のフレア(開放端部)9とが形成されている。
【0028】
破断容易部8には、側面視に周方向に延びてキャップ中心線Oに対する半径方向内周側に凹むスリット部8aが周方向に等間隔をあけて複数形成されるとともに、これらのスリット部8aの間の部分はブリッジ部8bとされている。スリット部8aには、該スリット部8aの上端部側の長辺に、周壁部3を貫通するスリット8cが形成されている。また、フレア9は、キャップ10を後述するボトル缶体の口金部へのキャッピングする際に、口金部の雄ネジ部の下端部側に形成された膨出部の下端部に裾巻きされる。
【0029】
なお、周壁部3の上端部側のグルーブ6と下端部側のビード7との間の部分は、内面側に第1樹脂層(蓋体凸部)13が形成される係合部12とされている。この係合部12の外径は、グルーブ6の外径よりも大きく、ビード7の外径よりは小さな略一定の外径とされている。
【0030】
ナール部5には、このナール部5のうちでも天板部2寄りの部分に、キャップ本体1の周壁部3が内周側に凹まされるように成形されてキャップ中心線Oに対する半径方向内周側に突出し、ただし周壁部3を貫通することのないライナー係止部11が形成されている。
【0031】
このライナー係止部11に内接するキャップ中心線Oを中心とした円筒面の半径は、上記ライナー4の外周縁(摺動層4aの外周縁)の半径より小さくされるとともに、密封層4bの外周縁の半径よりは大きくされていて、このライナー係止部11によってライナー4は摺動層4aの外周縁が係止されて抜け止めされ、天板部2の内面2aとの間に保持される。このように2段に膨らむナール部5のうち、周壁部3の下端部側の段のキャップ中心線O方向の幅は、上端部側の段のキャップ中心線O方向の幅よりも大きくなるように形成されている。
【0032】
本実施形態の第1樹脂層(蓋体凸部)13は、キャップ10の内面において、係合部12の内面側から突出するように、周壁部3の円周方向に沿って間欠的に複数個形成されている。そして、それぞれの第1樹脂層13は、長辺が周壁部3の円周方向に対して所定の角度で傾斜した方向に延びる直方体形状に形成されている。また、互いに隣接する第1樹脂層13どうしの間隔は、本実施形態のキャップ10を用いて閉栓するボトル缶体(容器本体)Bに間欠的に形成される係合スレッド(容器凸部)Fが、キャップ中心線O方向に沿って通過可能なサイズにすればよい。
【0033】
第1樹脂層(蓋体凸部)13は、全体が重合性化合物で構成されるか、あるいは一部に重合性化合物を含む樹脂、例えば、光ラジカル重合型紫外線硬化樹脂からなる樹脂膜14を、液滴噴射装置、例えばインクジェットプリンターを用いてキャップ本体1の周壁部3の表面に形成し、各層ごとにUV照射による光重合反応で硬化させながら順次積層させるか、積層された複数の樹脂膜14,14…を光重合反応によって一体化させることで形成する。
【0034】
樹脂膜14の形成時に各層ごとにUV光を照射をする場合、UV光の照射強度を低くしたり、照射時間を短くすることなどで、反応を一定割合で抑えれば、次に積層される樹脂膜14に対して光重合反応を行い、積層される全ての樹脂膜14を一体化して第1樹脂層13を形成することができる。
【0035】
第1樹脂層13を形成するための重合前の樹脂膜14(液滴噴射装置から噴射する樹脂液)は、光重合性材料を含んでいる。重合前の樹脂膜14に含まれる光重合性材料としては、例えば、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂(塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂を含む)、ポリエステル樹脂、ポリエステルアミノ樹脂、シリコン樹脂、ポリオレフィン樹脂のうち、少なくともいずれか1つのモノマーまたはオリゴマーが挙げられる。
【0036】
より具体的には、重合前の樹脂膜14に含まれる光重合性材料としては、アクリルモノマー、メタクリルモノマー及びビニル化合物として、単官能からオリゴ官能、プレポリマーを用いることができる。そのほか、光重合性オリゴマーとして、例えば、エポキシアクリレート、脂肪族及び芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルオリゴマーなどを用いることができる。
【0037】
また、複数の樹脂膜14を光重合性材料による光重合で一体化して第1樹脂層13を形成することによって、例えば、水性塗料や油性塗料のような乾燥時の溶媒蒸発分による収縮を防止することができる。
【0038】
本実施形態の第1樹脂層13は、複数の樹脂膜14,14…のうち、周壁部3の表面に接する最下層の樹脂膜14aよりも上層にある少なくとも1つの樹脂膜14の一面側の面積が、最下層の樹脂膜14の一面側の面積よりも小さくなるように形成されている。
【0039】
即ち、本実施形態では、複数の樹脂膜14,14…は、周壁部3寄りの最下層の樹脂膜14aから最上層の樹脂膜14nに向かって、それぞれの樹脂膜14の一面側の面積が漸減するように形成されている。これにより、第1樹脂層13は、側面が傾斜した台形形状に形成されている。
【0040】
第1樹脂層13が、キャップ(蓋体)10の周壁部3の内面から突出する突出厚みは、例えば、0.03mm以上、1mm以下となるようにすればよい。第1樹脂層13の突出厚みが0.03mm未満では、滑り止め性能が低くなる懸念がある。また、第1樹脂層13の突出厚みが1mmを超えると、第1樹脂層13の部分的な剥離などが生じる懸念がある。
【0041】
なお、キャップ本体1の表面(外面および内面)には、下地層(図示略)が形成されていてもよい。下地層としては、例えば、エポキシ系樹脂や熱硬化型のアクリル系樹脂によって形成した薄膜が用いられる。より具体的には、エポキシ系樹脂としては、塗料用に一般的に用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、一般的に市販されているエピ-ビス型、ノボラック型、β-メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
【0042】
こうした下地層は、例えば、膜厚が例えば3μm~10μm程度になるように形成されればよい。下地層は、例えば、ロールコーターによって上述した樹脂を塗布することによって形成される。
【0043】
下地層を形成する場合、第1樹脂層13に対して密着性の相性の良いポリエステル系樹脂の重合性オリゴマーを0.1%~2%含んだ樹脂塗料によって下地層を形成すれば、この下地層に重ねて形成される第1樹脂層13に対して、光重合、例えば光ラジカル重合または光カチオン重合によって互いの界面を結合することができる。これにより、第1樹脂層13に外部応力が加わっても、下地層から剥離することを防止できる。
【0044】
以上の様な構成の本実施形態のキャップ(蓋体)10は、周壁部3の内面に形成される第1樹脂層(係合ラグ)13と、ボトル缶体(容器本体)Bの口金部(口部)の外周面から突出するように間欠的に形成される係合スレッド(容器凸部)Fとを係合させることにより、ボトル缶体(容器本体)Bを閉栓することができる。即ち、係合スレッド(容器凸部)Fが、第1樹脂層(係合ラグ)13どうしの間を通るようにキャップ10をボトル缶体Bの口金部(口部)に被せてから、キャップ10を周回方向に回動させることにより、第1樹脂層(係合ラグ)13と係合スレッド(容器凸部)Fとが密着し、ボトル缶体Bを閉栓することができる。
【0045】
このように、本実施形態のキャップ(蓋体)10によれば、周壁部3に複数の樹脂膜14,14…からなる第1樹脂層13を間欠的に形成することによって、キャップ本体そのものにプレス等でラグ(蓋体凸部)を形成する場合と比較して、キャップ(蓋体)10の加工が容易となり、低コストにキャップ10を形成することができる。また、キャップ本体そのものにプレス等でラグを形成しないので、屈曲部分が少なくなり、プレスによる割れや切断が生じる可能性を低減することができる。
【0046】
(蓋体:第2実施形態)
本発明の第2実施形態の蓋体ついて説明する。
なお、第1実施形態の蓋体と同様の構成には同一の番号を付し、重複する説明を省略する。
図3は、本発明の第2実施形態の蓋体を示す一部破断図である。また、
図4は、本実施形態における第1樹脂層(蓋体凸部)の要部拡大断面図である。
本実施形態のキャップ(蓋体)20は、円板状の天板部2と、この天板部2の周縁から下端側(
図4において下側)に向けてキャップ中心線Oを中心とする円筒状に延びる周壁部3とが一体に成形されたキャップ本体1と、キャップ20の内周面、即ち周壁部3の内面に形成される蓋体凸部である第1樹脂層23とを有している。本実施形態の第1樹脂層23は、後述する容器本体に形成される係合スレッドと係合する係合ラグを構成する。
【0047】
本実施形態の第1樹脂層(蓋体凸部)23は、キャップ10の内面において、係合部12の内面側から突出するように、周壁部3の円周方向に沿って間欠的に複数個形成されている。そして、それぞれの第1樹脂層23は、長辺が周壁部3の円周方向に沿って延びる直方体形状に形成されている。また、互いに隣接する第1樹脂層23どうしの間隔は、本実施形態のキャップ20を用いて閉栓するボトル缶体(容器本体)Bに間欠的に形成される係合スレッド(容器凸部)Fが、キャップ中心線O方向に沿って通過可能なサイズにすればよい。
【0048】
本実施形態の第1樹脂層23は、複数の樹脂膜24,24…のうち、キャップ(蓋体)20の内周面に接する最下層の樹脂膜24aよりも上層にある少なくとも1つの樹脂膜24の一面側の面積が、最下層の樹脂膜24の一面側の面積よりも大きくなるように形成されている。
【0049】
即ち、本実施形態では、複数の樹脂膜24,24…は、キャップ(蓋体)20の周壁部3の内周面寄りの最下層の樹脂膜24aから最上層の樹脂膜24nに向かって、それぞれの樹脂膜24の一面側の面積が漸増するように形成されている。これにより、それぞれの第1樹脂層23は、側面が傾斜面となる逆台形形状に形成されている。
【0050】
以上の様な構成の本実施形態のキャップ(蓋体)20は、周壁部3の内面に形成される第1樹脂層(係合ラグ)23と、ボトル缶体(容器本体)Bの口金部(口部)の外周面から突出するように間欠的に形成される係合スレッド(容器凸部)Fとを係合させることにより、ボトル缶体(容器本体)Bを閉栓することができる。即ち、係合スレッド(容器凸部)Fが、第1樹脂層(係合ラグ)23どうしの間を通るようにキャップ20をボトル缶体Bの口金部(口部)に被せてから、キャップ20を周回方向に回動させることにより、第1樹脂層(係合ラグ)23と係合スレッド(容器凸部)Fとが密着し、ボトル缶体Bを閉栓することができる。
【0051】
この時、係合スレッド(容器凸部)Fを逆台形形状に形成することで、逆台形形状に形成された第1樹脂層(係合ラグ)23と厚み方向で一部が重なるように係合する。よって、本実施形態のキャップ(蓋体)20は、第1実施形態と比較して、より一層強固にボトル缶体Bを密閉することができる。
【0052】
(容器本体)
本発明の一実施形態の容器本体について説明する。
本実施形態の容器本体として、飲料を収容するボトル缶体を挙げて説明する。
図5は、本発明の一実施形態の容器本体を示す一部破断図である。また、
図6は、容器本体の第2樹脂層(容器凸部)の要部拡大断面図である。
【0053】
本実施形態のボトル缶体(容器本体)30は、円筒状の胴部35の一方の端部を塞ぐ底部32と、この底部32と一体に形成されて底部32の外周縁から上端側(
図6において上側)に延びる外周部33とを備えた缶軸Cを中心とする概略多段の有底円筒状に形成されている。
【0054】
底部32には、缶軸C方向の内側(ボトル缶体30の上端側)に凹む断面略円弧状のドーム部32aが中央に形成されるとともに、このドーム部32aの外周には缶軸C方向の外側(ボトル缶体30の下端側)に突出する環状凸部32bが缶軸C回りの周方向に連続して形成されている。
【0055】
また、外周部33には底部32からボトル缶体30の上端側の開口部34に向けて順に、缶軸Cを中心とした円筒状の胴部35と、この胴部35の他方の端部から上端側に向かうに従い一定の傾斜で漸次縮径する円錐台面状のショルダー部36と、このショルダー部36からさらに上端側に向かって延びる筒状の首部37と、首部37の上端から外周側に張り出す膨出部38a、係止部38b、係止部38bの上端部から上端側に向かうに従い漸次縮径する縮径部38c、および縮径部38cの上部を外周側に折り曲げた後に下端側に折り返してなるカール部38dを備えた口金部(口部)38とが形成されている。
【0056】
そして、ボトル缶体(容器本体)30の口金部(口部)38を構成する係止部38bの外周面には、容器凸部である複数の第2樹脂層43,43…が形成されている。本実施形態では、第2樹脂層(容器凸部)43は、容器本体に形成される係合スレッドFと係合する係合ラグである。
【0057】
本実施形態の第2樹脂層(容器凸部)43は、口金部(口部)38の外周面側から突出するように、口金部38の円周方向に沿って間欠的に複数個形成されている。そして、それぞれの第2樹脂層43は、一端から口金部38の円周方向に延び、途中でこの円周方向に介して所定の角度で傾斜した方向に屈曲するような形状に形成されている。また、互いに隣接する第2樹脂層43どうしの間隔は、本実施形態のボトル缶体30を閉栓するための蓋体Qに間欠的に形成される係合ラグRが通過可能なサイズにすればよい。
【0058】
第2樹脂層43は、全体が重合性化合物で構成されるか、あるいは一部に重合性化合物を含む樹脂、例えば、光ラジカル重合型紫外線硬化樹脂からなる樹脂膜44を、液滴噴射装置、例えばインクジェットプリンターを用いて、口金部(口部)38を構成する係止部38bの外周面に形成し、各層ごとにUV照射による光重合反応で硬化させながら順次積層させるか、積層された複数の樹脂膜44,44…を光重合反応によって一体化させることで形成する。
【0059】
樹脂膜44の形成時に各層ごとにUV光を照射をする場合、UV光の照射強度を低くしたり、照射時間を短くすることなどで、反応を一定割合で抑えれば、次に積層される樹脂膜44に対して光重合反応を行い、積層される全ての樹脂膜44を一体化して第2樹脂層43を形成することができる。
【0060】
第2樹脂層43を形成するための重合前の樹脂膜44(液滴噴射装置から噴射する樹脂液)は、光重合性材料を含んでいる。重合前の樹脂膜44に含まれる光重合性材料としては、例えば、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂(塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂を含む)、ポリエステル樹脂、ポリエステルアミノ樹脂、シリコン樹脂、ポリオレフィン樹脂のうち、少なくともいずれか1つのモノマーまたはオリゴマーが挙げられる。
【0061】
より具体的には、重合前の樹脂膜44に含まれる光重合性材料としては、アクリルモノマー、メタクリルモノマー及びビニル化合物として、単官能からオリゴ官能、プレポリマーを用いることができる。そのほか、光重合性オリゴマーとして、例えば、エポキシアクリレート、脂肪族及び芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルオリゴマーなどを用いることができる。
【0062】
また、複数の樹脂膜44を光重合性材料による光重合で一体化して第2樹脂層43を成することによって、例えば、水性塗料や油性塗料のような乾燥時の溶媒蒸発分による収縮を防止することができる。
【0063】
本実施形態の第2樹脂層43は、複数の樹脂膜44,44…のうち、胴部35の外面35aに接する最下層の樹脂膜44aよりも上層にある少なくとも1つの樹脂膜44の一面側の面積が、最下層の樹脂膜44の一面側の面積よりも小さくなるように形成されている。
【0064】
即ち、本実施形態では、複数の樹脂膜44,44…は、口金部(口部)38を構成する係止部38bの外周面寄りの最下層の樹脂膜44aから最上層の樹脂膜44nに向かって、それぞれの樹脂膜44の一面側の面積が漸減するように形成されている。これにより、それぞれの第2樹脂層43は、側面が階段状に傾斜した台形形状に形成されている。
【0065】
第2樹脂層43が口金部(口部)38を構成する係止部38bの外周面から突出する突出厚みは、例えば、0.03mm以上、1mm以下となるようにすればよい。第2樹脂層43の突出厚みが0.03mm未満では、容器本体に形成される係合スレッドFに対する係合特性が低くなる懸念がある。また、第2樹脂層43の突出厚みが1mmを超えると、第2樹脂層43の部分的な剥離などが生じる懸念がある。
【0066】
なお、第2樹脂層43は、
図6に示す形状以外にも、例えば、
図4に示すような、最下層の樹脂膜から最上層の樹脂膜に向かって、それぞれの樹脂膜の一面側の面積が漸減するように、逆台形形状に形成されていてもよい。
【0067】
なお、ボトル缶体30の外面には、下地層(図示略)が形成されていてもよい。下地層としては、例えば、エポキシ系樹脂や熱硬化型のアクリル系樹脂によって形成した薄膜が用いられる。より具体的には、エポキシ系樹脂としては、塗料用に一般的に用いられるものを特に制限なく使用することができ、例えば、一般的に市販されているエピ-ビス型、ノボラック型、β-メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
【0068】
こうした下地層は、例えば、膜厚が例えば3μm~10μm程度になるように形成されればよい。下地層は、例えば、ロールコーターによって上述した樹脂を塗布することによって形成される。
【0069】
下地層を形成する場合、この下地層に対して密着性の相性の良いポリエステル系樹脂の重合性オリゴマーを0.1%~2%含んだ樹脂塗料によって第2樹脂層43を構成する樹脂膜44を形成すれば、下地層と第2樹脂層43とを光重合によって強固に結合させることができる。
【0070】
以上の様な構成の本実施形態のボトル缶体(容器本体)30は、ボトル缶体(容器本体)30の口金部(口部)38を構成する係止部38bの外周面に形成される第2樹脂層(係合スレッド)43と、蓋体Qに間欠的に形成される係合ラグRとを係合させることにより、ボトル缶体(容器本体)30を閉栓することができる。即ち、第2樹脂層(係合スレッド)43が、係合ラグRどうしの間を通るように蓋体Qをボトル缶体30の口金部(口部)38に被せてから、蓋体Qを周回方向に回動させることにより、第2樹脂層(係合スレッド)43と蓋体Qの係合ラグRとが密着し、ボトル缶体30を閉栓することができる。
【0071】
このように、本実施形態のボトル缶体(容器本体)30によれば、口金部(口部)38を構成する係止部38bの外周面に複数の樹脂膜44,44…からなる第2樹脂層43を間欠的に形成することによって、ボトル缶体30の口金部(口部)38に金型等でプレスを行って係合スレッドを形成する場合と比較して、ボトル缶体30の加工が容易となり、低コストにボトル缶体30を形成することができる。また、ボトル缶体の口部にプレス等で係合スレッドを形成しないので、口部の屈曲部分が少なくなり、プレスによる割れや切断が生じる可能性を低減することができる。
【0072】
(密閉容器)
本実施形態の密閉容器として、例えば、前述した実施形態のボトル缶体(容器本体)の口金部(口部)に、第2実施形態のキャップ(蓋体)を被着させたキャップ付きボトル缶体を例示する。
図7は、一実施形態のキャップ付きボトル缶体(密閉容器)の要部拡大断面図である。
本実施形態のキャップ付きボトル缶体50は、例えば、前述した実施形態のボトル缶体30の口金部38に、第2実施形態のキャップ20を被着させたものからなる。
【0073】
こうした構成の本実施形態のキャップ付きボトル缶体50は、キャップ(蓋体)20の周壁部3の内面側に、複数の樹脂膜24,24…(
図4を参照)を積層して一体化させてなる第1樹脂層(蓋体凸部)23が形成されている。また、ボトル缶体(容器本体)30の口金部(口部)38の外周面にも、複数の樹脂膜44,44…(
図6を参照)を積層して一体化させてなる第2樹脂層(容器凸部)43が形成されている。
【0074】
このような構成のキャップ付きボトル缶体50によれば、キャップ(蓋体)10やボトル缶体(容器本体)30に、互いを着脱自在に係合させるためのネジ溝を、金型によるプレス等で形成しなくてもよいので、キャップ付きボトル缶体50の成型を容易にするとともに、屈曲部分を減らすことで、例えば厚みの薄い金属板を用いても、プレスによる割れや切断を防止して、軽量なキャップ付きボトル缶体50を実現することができる。
【0075】
上述した実施形態のキャップ付きボトル缶体50では、キャップ(蓋体)20とボトル缶体(容器本体)30のそれぞれに、円周方向に沿って1条づつ第1樹脂層(蓋体凸部)23、および第2樹脂層(容器凸部)43を間欠的に形成しているが、これら第1樹脂層(蓋体凸部)23、および第2樹脂層(容器凸部)43は、2条以上形成することもできる。
【0076】
例えば
図8に示す実施形態(変形例)では、キャップ(蓋体)10の周壁部3の内面側に、2条の第1樹脂層(蓋体凸部)13を形成している。こうした構成によって、キャップ(蓋体)10とボトル缶体(容器本体)30とをより強固に密閉可能なキャップ付きボトル缶体(密閉容器)50を実現できる。
【0077】
(蓋体の製造方法、容器本体の製造方法)
本発明の一実施形態のキャップの製造方法について説明する。
例えば、上述したキャップ(蓋体)10や、ボトル缶体(容器本体)30を製造する際には、例えば、アルミニウム合金板をプレス加工することによって形成したキャップ本体1やボトル缶体を用意し、キャップ(蓋体)10の周壁部3の内面側や、ボトル缶体(容器本体)30の口金部(口部)38の外周面に、液滴吐出装置、例えば、インクジェットプリンタを用いて複数の樹脂膜14,44を積層して、第1樹脂層(蓋体凸部)13、第2樹脂層(容器凸部)43を形成する(第1樹脂層形成工程、第2樹脂層形成工程)。
【0078】
第1樹脂層13,第2樹脂層43を形成する際には、樹脂膜14,44を形成するための樹脂液を吐出可能な液滴吐出装置、例えば、インクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタを用いればよい。そして、塗布する樹脂液は、紫外線硬化型の樹脂を含んでいる。
【0079】
本実施形態では、
図9に示すように、6個のインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタP(液滴吐出装置)を用いているが、使用するインクジェットヘッドの数を限定して生産性を向上させている。例えば、カラープリントに用いるヘッドとして、C、M、Y、Kのうち、M(マゼンタ)ヘッドだけを用い、更に透明な樹脂膜(バーニッシュ)を積層させるために、2つのヘッドVを割り当てている。
【0080】
このように、色数を絞ることによって、第1樹脂層13,第2樹脂層43を形成する時間を短くして、キャップ10やボトル缶体30の生産性を向上させることができる。また、第1樹脂層13,第2樹脂層43の厚みを増すための透明な樹脂膜(バーニッシュ)を積層するヘッドを2つにして、樹脂液の吐出量を増大させることによって、厚みの厚く、滑り止め効果に優れた第1樹脂層13,第2樹脂層43を短時間で形成し、キャップ10やボトル缶体30の生産性を向上させることができる。
【0081】
そして、各ヘッドの近傍で、それぞれキャップ(蓋体)10やボトル缶体30(容器本体)を回転させつつ、各ヘッドから光重合性材料を含む樹脂液を吐出して、重合前の樹脂膜14a(最下層)~樹脂膜14n(最上層)、重合前の樹脂膜44a(最下層)~樹脂膜44n(最上層)を形成する。
【0082】
その後、例えば、各ヘッドに対向する位置に形成した紫外線照射部UVから紫外線を照射することによって、各ヘッドで吐出された重合前の樹脂膜14a~14n、44a~44nを光重合させて、互いに隣接する下層の樹脂膜14との間で、それぞれ光重合によって互いに結合させる。これにより、樹脂膜14a~14nが光重合によって強固に結合した第1樹脂層13、樹脂膜44a~44nが光重合によって強固に結合した第2樹脂層43が、それぞれ形成される。
【0083】
なお、第1樹脂層13,第2樹脂層43の形成にあたっては、上述したように、各インクジェットヘッドに対応してそれぞれ紫外線照射部UVを配置し、1つの樹脂膜14を形成するたびに下層の樹脂膜14,44と重合させてもよく、また、全ての重合前の樹脂膜14,44を積層した後、一括して重合させてもよい。
【0084】
また、キャップ10に下地層を形成する場合、密着性の相性の良いポリエステル系樹脂の重合性オリゴマーを0.1%~2%含んだ樹脂塗料を樹脂液として、インクジェットヘッドから吐出して複数の樹脂膜14を積層すれば、最下層の樹脂膜14aと、下地層とを光重合させて、下地層に対して強固に固着した樹脂層13を形成できる。
【0085】
同様に、ボトル缶体(容器本体)30の口金部(口部)38を構成する係止部38bの外周面に下地層を形成する場合、密着性の相性の良いポリエステル系樹脂の重合性オリゴマーを0.1%~2%含んだ樹脂塗料を樹脂液として、インクジェットヘッドから吐出して複数の樹脂膜44を積層すれば、最下層の樹脂膜44aと下地層とを光重合させて、下地層に対して強固に固着した樹脂層43を形成できる。
【0086】
なお、キャップ(蓋体)10に第1樹脂層13を形成する際には、凹状のキャップ10の内側に入り込むことが可能な小型のインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタPを用いればよい。
【0087】
第1樹脂層13,第2樹脂層43の形成は、各インクジェットヘッドどうしの間に紫外線照射装置を配置し、樹脂液の塗膜を各層ごとに紫外線硬化させて樹脂膜14,44を形成してもよく、あるいは、樹脂液の塗膜を未硬化の状態で積層して、後工程において一括して未硬化の状態で積層された樹脂液の塗膜を紫外線硬化させて、複数の樹脂膜14,44が一体化された第1樹脂層13,第2樹脂層43を形成してもよい。
【0088】
第1樹脂層形成工程、第2樹脂層形成工程では、樹脂膜14,44を形成するための樹脂液として、重合性不飽和化合物を含む樹脂塗料を用いることができる。例えば、重合性不飽和化合物を含む紫外線硬化樹脂塗料を樹脂液としてインクジェットヘッドから吐出して、複数の樹脂膜14,44を積層させ、紫外線を照射すれば、複数の樹脂膜14,44が互いに収縮することなく重合して一体化された第1樹脂層13,第2樹脂層43を形成することができる。
【0089】
樹脂膜14,44を形成するための樹脂液に用いる重合性不飽和化合物としては、アクリルモノマー、メタクリルモノマー及びビニル化合物として、単官能からオリゴ官能、プレポリマーを用いることができる。そのほか、重合性オリゴマーとして、エポキシアクリレート、脂肪族及び芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルオリゴマーなどを用いることができる。
【0090】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1…キャップ本体
2…天板部
3…周壁部
4…ライナー
5…ナール部
10…キャップ(蓋体)
12…係合部
13…第1樹脂層
14…樹脂膜
30…ボトル缶体(容器本体)
32…底部
33…外周部
35…胴部
36…ショルダー部
38…口金部(口部)
38b…係止部
43…第2樹脂層(容器凸部)
50…キャップ付きボトル缶体(密閉容器)