IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日新電機株式会社の特許一覧

特開2023-124280ガス充填容器及びこれを備えたガス絶縁開閉装置
<>
  • 特開-ガス充填容器及びこれを備えたガス絶縁開閉装置 図1
  • 特開-ガス充填容器及びこれを備えたガス絶縁開閉装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124280
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ガス充填容器及びこれを備えたガス絶縁開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 13/045 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
H02B13/045 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027951
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直喜
【テーマコード(参考)】
5G017
【Fターム(参考)】
5G017AA01
5G017DD06
5G017DD14
5G017EE04
5G017FF10
5G017GG03
(57)【要約】
【課題】ガスが充填される密閉室を有するガス充填容器の内部において、ケーブルが接続された電気機器を配置する場合に、大幅な設計変更を必要としないガス充填容器及びこれを備えたガス絶縁開閉装置を提供する。
【解決手段】ガス充填容器10は、ガスが充填される密閉室2と、密閉室2内に通じるように接続されたガス配管4と、ガス配管4に接続されたバルブ5と、密閉室2内に配置された電気機器3と、ガス配管4においてバルブ5と密閉室2との間に接続された分岐配管6と、分岐配管6に取り付けられた端子台7と、を備える。電気機器3に接続されたケーブル31が、ガス配管4内及び分岐配管6内を通って端子台7に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが充填される密閉室と、
前記密閉室内に通じるように接続されたガス配管と、
前記ガス配管に接続されたバルブと、
前記密閉室内に配置された電気機器と、
前記ガス配管において前記バルブと前記密閉室との間に接続された分岐配管と、
前記分岐配管に取り付けられた端子台と、
を備え、
前記電気機器に接続されたケーブルが、前記ガス配管内及び分岐配管内を通って前記端子台に接続されている、
ガス充填容器。
【請求項2】
前記端子台は、
前記分岐配管の開口端部を密閉する基台と、
前記基台に取り付けられ前記ケーブルに接続され、前記分岐配管から露出する端子と、
を有する、
請求項1に記載のガス充填容器。
【請求項3】
前記電気機器は、前記密閉室内における温度、水分、放電及び振動の少なくとも1つを検出するセンサを含む、
請求項1又は請求項2に記載のガス充填容器。
【請求項4】
前記密閉室は、
管と、
前記管の中心軸方向に離れて配置され、前記管の内部を気密状態で区画する一対の板体と、
で区画された室である、
請求項1~3のいずれか一項に記載のガス充填容器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のガス充填容器を備えるガス絶縁開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス充填容器及びこれを備えたガス絶縁開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のガス充填容器(特許文献1では密閉容器)が開示されている。特許文献1に記載の密閉容器内には、絶縁ガスが封入されている。密閉容器内には、高電圧導体が収容されており、さらに、高電圧導体の部分放電を検出するための部分放電検出センサが配置されている。
【0003】
密閉容器には、密閉容器を直径方向に貫通するように、ハンドホールが設けられている。ハンドホールの開口面は、蓋によって閉じられている。部分放電検出センサのケーブルは、ハンドホール内を通り、蓋を貫通した穴を通して、容器の外部に取り出される。これによって、部分放電検出センサは、密閉容器を気密状態に保ったまま、電気信号を信号送受信用ユニットに入力させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-142641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたように、この種の密閉容器には、電気機器(特許文献1では、部分放電検出センサ)のケーブルを密閉容器から取り出すために、ハンドホールが設けられる。しかしながら、例えば、既設の密閉容器やハンドホールが標準搭載されていない密閉容器、又はケーブルを容器外部に取り出す構造を持たないハンドホールを持つ密閉容器等の内部に対して、ケーブルを有する電気機器を配置する場合には、密閉容器に対してハンドホールを追加する設計や、ハンドホールへのケーブル取出し構造を追加する設計を行う必要がある。この場合、大幅な変更や改造(以下、設計変更という)を伴うために、工数が嵩むという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、ガスが充填される密閉室を有するガス充填容器の内部において、ケーブルが接続された電気機器を配置する場合でも、大幅な設計変更を必要としない、ガス充填容器及びこれを備えたガス絶縁開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様のガス充填容器は、ガスが充填される密閉室と、前記密閉室内に通じるように接続されたガス配管と、前記ガス配管に接続されたバルブと、前記密閉室内に配置された電気機器と、前記ガス配管において前記バルブと前記密閉室との間に接続された分岐配管と、前記分岐配管に取り付けられた端子台と、を備える。前記電気機器に接続されたケーブルが、前記ガス配管内及び分岐配管内を通って前記端子台に接続されている。
【0008】
本発明に係る一態様のガス絶縁開閉装置は、上記態様のガス充填容器を備えるガス絶縁開閉装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る上記態様のガス充填容器及びこれを備えたガス絶縁開閉装置は、ガスが充填される密閉室を有するガス充填容器の内部において、ケーブルが接続された電気機器を配置する場合に、大幅な設計変更を必要としない、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るガス絶縁開閉装置の概略模式図である。
図2図1のA部分の拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、本実施形態に係るガス充填容器10及びガス絶縁開閉装置1について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、図面は、実施形態を模式的に示したものであるため、例えば、位置関係、各部品のサイズ等が正確ではない。
【0012】
本実施形態に係るガス充填容器10は、ガスが充填された密閉室2を有する容器である。本明細書でいう「容器」は、1つの密閉室2を有する部材又は部位を指す。本実施形態に係るガス充填容器10は、電力設備100に含まれている。
【0013】
電力設備100は、電力を利用するために用いられる設備である。電力設備100としては、例えば、ガス絶縁開閉装置(GIS)、計器用変成器(変圧器、交流器)、ガス遮断器等が挙げられる。ここでは、電力設備100の一例として、ガス絶縁開閉装置1を挙げて説明する。
【0014】
ガス絶縁開閉装置1は、遮断器11、断路器12、接地装置及び計器用変圧器等の電力機器を含み、これら電力機器を複数の密閉室2に収容した装置である。電力設備は、1つ又は複数のガス絶縁開閉装置1によって構成される。
【0015】
ガス絶縁開閉装置1は、図1に示すように、複数の密閉室2を備える。言い換えると、ガス絶縁開閉装置1は、複数のガス充填容器10(これを、「ガス絶縁開閉装置用ガス充填容器10」という場合がある)を備える。各密閉室2には、電力機器が収容されている。本実施形態に係るガス絶縁開閉装置1では、1つの密閉室2に対し、少なくとも1つの電力機器が収容されているが、電力機器を収容することなく高電圧導体のみを収容する密閉室2であってもよい。以下では、ガス充填容器10の一例として、母線断路器12を収容するガス充填容器10を挙げて説明するが、他の密閉室2も同じ構造である。
【0016】
(ガス充填容器10)
ガス充填容器10は、図2に示すように、ガスが充填される密閉室2と、電気機器3と、ガス配管4と、バルブ5と、分岐配管6と、端子台7と、を備える。ガスは、電気絶縁性を有する。本実施形態に係るガスは、不活性ガスである。不活性ガスとしては、例えば、SFガス(六フッ化硫黄ガス)、CFI(ヨウ化トリフルオロメタン)とN(窒素)との混合ガス、COアルゴンガス、ヘリウムガス等、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。
【0017】
(密閉室2)
密閉室2は、気密性を有する室である。本実施形態に係る密閉室2は、図2に示すように、中心軸方向(以下、「軸方向」という場合がある)の両端に開口面を有する管21と、管21の開口面を閉じる一対の板体24と、で区画された室である。
ここにおいて、本明細書でいう「気密性」「気密状態」とは、厳密な意味での「気密」を意味するのではなく、内部のガス圧を一定の範囲内に保つことができる状態を意味する。なお、密閉室2の圧力としては特に制限はないが、例示すると、常温時の圧力が、0.1MPa以上1.0MPa以下であり、より具体的には、0.3MPa以上0.6MPa以下が挙げられる。
【0018】
管21は、図2に示すように、軸方向の両端面に開口面を有する管本体22と、管本体22の端部に設けられた一対のフランジ23と、を備える。管本体22は、軸方向に延びており、中空である。管本体22の断面は、本実施形態では、円形であるが、円形に限らず、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよい。管本体22の材質としては、鉄、アルミニウム合金が一般的であるが、これ以外の金属、例えば、ステンレス、真ちゅう、スチール等であってもよい。
【0019】
フランジ23は、管21を、隣接する管21又は板体24に接合するための部分である。フランジ23は、管本体22の開口面を囲むようにして、管本体22の端部に設けられる。フランジ23は、管本体22の外周面から、管本体22の径方向の外側に突き出ている。フランジ23の一面(軸方向の外側の面)は、管本体22の端面に面一となるように、管本体22に対して溶接により一体に接合されている。
【0020】
板体24は、軸方向に離れて配置されており、管21の内部を気密状態で区画する。板体24は、本実施形態では、管21の軸方向の両端の開口面を閉じる。板体24は、フランジ23に対して取り付けられる。板体24とフランジ23とは、直接接触してもよいが、例えば、シーリング材、パッキン、ガスケット等の気密材を介して接合されてもよい。
【0021】
板体24は、電気絶縁性を有している。本実施形態に係る板体24は、隣り合う管21の間に配置される板状の絶縁スペーサである。絶縁スペーサとしては、例えば、エポキシ樹脂に対し、酸化チタン、結晶質シリカ、溶融シリカ、ガラス短繊維、ガラスバルーン等のうちの1種以上のフィラーからなる充填材を混合することで形成される。ただし、本発明では、板体24の材料としては、この構成に限らず、ゴム、ベークライト、合成樹脂、ガラス等で構成されてもよい。
【0022】
板体24は、本実施形態では、円盤状の平板である。板体24は、密閉室2内に収容される電力機器(ここでは、母線断路器12を保持する)又は高電圧導体を、密閉室2内に保持する。本実施形態に係る板体24は平板であるが、これに制限されず、例えば、テーパ状に形成されてもよい。
【0023】
(電気機器3)
電気機器3は、密閉室2内に配置されている。電気機器3は、密閉室2内に配置されていればよく、例えば、密閉室2内の内側面に対して固定されてもよいし、密閉室2内に固定されることなく載せられるだけでもよいし、密閉室2内の電力機器に対して固定されてもよい。
【0024】
電気機器3は、ケーブル31を介して電気信号を送信又は受信する。電気機器3としては、例えば、センサ、カメラ、マイク等が挙げられるが、本実施形態では、密閉室2内の状態を検出するセンサであることが好ましい。管21が導体で構成されているため、管21の外側からでは、密閉室2内の状態を検出しにくいからである。センサとしては、例えば、温度センサ、水分センサ、放電センサ、振動センサ等が挙げられる。温度センサは、密閉室2の温度を検出する。水分センサは、密閉室2内の湿度又は水分量を検出する。なお、密閉室2内に生じる水分は、例えば、電弧を消弧した際、絶縁ガスが分解されたときに生成される場合がある。放電センサは、密閉室2内で生じる部分放電を検出するセンサであり、例えば、超音波センサ、アンテナセンサ等が挙げられる。振動センサは、密閉室2内の電力機器の振動を検出する。本実施形態に係るガス充填容器10では、電気機器3として、温度センサが用いられている。
【0025】
電気機器3には、ケーブル31が接続されている。ケーブル31の直径は、例えば、1mm以上5mm以下であり、好ましくは、2mm以上4mm以下であり、具体例は3mmである。ケーブル31は、可撓性を有している。電気機器3として、センサが用いられる場合、検出に応じた電気信号がセンサから出力され、ケーブル31及び端子台7を介して、測定器8に入力される。
【0026】
本実施形態に係るケーブル31は、データ送受信用のケーブルであるが、電気機器3に給電するための給電用のケーブルであってもよい。また、電気機器3は、データ送受信用のケーブル31と給電用のケーブル31との両方を有してもよい。
【0027】
(ガス配管4)
ガス配管4は、密閉室2内に通じるように接続され、密閉室2内にガスを給排気(すなわち、供給又は排気)するための配管である。通常、密閉室2には、1つ又は複数のガス配管4が接続されている。ガス配管4の端部には、必要に応じて、ガス供給源が接続される。
【0028】
ガス配管4は、管本体22を貫通した穴に対し、ガス配管4の内部が通じるようにして、管本体22に接合されている。ガス配管4と管本体22との接合は、例えば、溶接、継手による接合等により実現される。ガス配管4の材質としては、例えば、ステンレス、真ちゅう、スチール、鉄、アルミニウム合金等の金属が挙げられるが、管本体22と同じ材質であることが好ましい。ただし、本発明ではガス配管4の材質と管21の材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
ガス配管4の内径は、管21の内径よりも小さい。より具体的に、ガス配管4の内径は、例えば、12mm以上が好ましく、より好ましくは14mm以上である。内径の上限としては、特に制限はないが、一例を挙げると30mm以下である。また、ガス配管4の端部(密閉室2とは反対側の端部)には、圧力センサ、圧力メーター又は連成計が取り付けられることが好ましい。これによって、密閉室2内の圧力を計測することができる。
【0030】
(バルブ5)
バルブ5は、ガス配管4に接続されている。バルブ5は、ガス配管4の流路を開放する位置(以下「開放位置」という場合がある)と、ガス配管4の流路を閉じる位置(以下、「閉塞位置」という場合がある)とで切り替えることができる。バルブ5は、開放位置と閉塞位置との間を、無段階で切替え可能に構成されてもよいし、開放位置と閉塞位置との2つの位置のみで切替え可能に構成されてもよい。バルブ5としては、例えば、ボールバルブ、グローブバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブ、ニードルバルブ、ダイヤフラムバルブ等の手動で操作可能なバルブや、電磁弁、電動弁等の電気的に制御可能なバルブ等が挙げられる。バルブ5は、ガス配管4の軸方向のいずれの位置に設けられてもよい。ただし、前述の圧力センサ、圧力メーター又は連成計は、バルブ5の密閉室2側に取り付けられる。
【0031】
(分岐配管6)
分岐配管6は、ガス配管4を分岐する配管である。分岐配管6は、ガス配管4において、ガス配管4の軸方向のバルブ5と密閉室2との間に接続されている。分岐配管6は、ガス配管4に対して、溶接によって接続されてもよいし、継手によって接続されてもよい。継手としては、例えば、T型のチーズ継手(異形チーズ継手も含む)、十字型のクロス継手、Y型継手等が挙げられる。分岐配管6の材質としては、例えば、ステンレス、真ちゅう等の金属、樹脂等が挙げられる。分岐配管6の材質は、ガス配管4の材質と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
分岐配管6は、図2に示すように、ガス配管4に直接接続された第1配管61と、第1配管61に接続された第2配管62と、を備える。第1配管61は、ガス配管4の軸方向に交差する(ここでは、直交している)。第1配管61の軸方向は、本実施形態では、管21の軸方向に略平行である。第1配管61の中心軸と管21との間の距離L1は、周囲の構造又は物体に応じて適宜設定されるため、特に制限はない。ここでいう「第1配管61の中心軸と管21との間の距離L1」は、管21の直径方向における第1配管61と管21との間の距離のうちの最小値を意味する。また、第1配管61の軸方向の長さL2についても、特に制限はない。
【0033】
第1配管61の内径は、1つのケーブルが通される場合、ケーブルの外径の3.5倍以上であることが好ましく、より好ましくは、4倍以上である。第1配管61の内径としては、例えば、12mm以上が好ましく、より好ましくは、14mm以上である。第1配管61の内径の上限としては、特に制限はないが、ガス配管4の内径以下であることが好ましく、一例を挙げると、30mm以下である。
【0034】
第2配管62の軸方向は、第1配管61に対して交差している(ここでは、直交している)。第2配管62の軸方向は、ガス配管4の軸方向に略平行である。第2配管62の軸方向の長さL3は、周囲の構造又は物体に応じて適宜設定されるため、特に制限はない。
【0035】
第2配管62の内径は、1つのケーブルが通される場合、第1配管61と同様、ケーブルの外径の3.5倍以上であることが好ましく、より好ましくは、4倍以上である。第2配管62の内径は、第1配管61の内径以上に形成されることが好ましい。具体的に、第2配管62の内径としては、例えば、12mm以上が好ましく、より好ましくは、14mm以上である。第1配管61の内径の上限としては、特に制限はないが、ガス配管4の内径と同等かそれ以下であることが好ましく、一例を挙げると、30mm以下である。ただし、第1配管61の内径と第2配管62の内径は、あくまで例示に過ぎず、施工の容易性の観点から、第1配管61と第2配管62とは同じ内径であることが好ましい。
【0036】
第1配管61と第2配管62とは、L型継手(エルボ)によって互いに接続されている。ただし、継手を用いることなく、例えば、1つのパイプを曲げることで、第1配管61と、第2配管62とを形成してもよい。第2配管62における第1配管61とは反対側の端部には、フランジ63が設けられている。
【0037】
分岐配管6には、図2に示すように、電気機器3に接続されたケーブル31が通される。ケーブル31は、ガス配管4、第1配管61及び第2配管62を通って端子台7に通される。
【0038】
(端子台7)
端子台7は、分岐配管6に取り付けられている。端子台7は、基台72と、基台72に設けられた端子71と、を備える。基台72は、第2配管62のフランジ63に取り付けられる。基台72は、板状に形成されている。基台72は、第2配管62の端部に対して、分岐配管6を密閉した状態で取り付けることができる。基台72とフランジ23とは、直接接触してもよいが、例えば、シーリング材、パッキン、ガスケット等の気密材を介して接合されてもよい。これによって、密閉室2、ガス配管4、分岐配管6、バルブ5及び基台72でなす空間を気密状に保つことができる。
【0039】
端子71には、ケーブル31が接続されている。端子71は、端子台7から露出しており、他の機器(外部機器)に接続されたケーブル31が接続可能に構成されている。端子71としては、特に制限はなく、例えば、ねじ式、セルフアップ式、ねじアップ式、プッシュイン式、押し締め式、タブ式、瞬結式、コネクタ等が挙げられる。
【0040】
電気機器3から出力された電気信号は、ケーブル31及び端子71を通して、他の機器(例えば、測定器8)に入力される。これによって、電気機器3から出力された電気信号(例えば、センサ信号)は、測定器8に入力される。
【0041】
(効果)
以上説明したように、第1の態様に係るガス充填容器10は、ガスが充填される密閉室2と、密閉室2内に通じるように接続されたガス配管4と、ガス配管4に接続されたバルブ5と、密閉室2内に配置された電気機器3と、ガス配管4においてバルブ5と密閉室2との間に接続された分岐配管6と、分岐配管6に取り付けられた端子台7と、を備える。電気機器3に接続されたケーブル31が、ガス配管4内及び分岐配管6内を通って端子台7に接続されている。
【0042】
この態様によれば、密閉室2内へガスを供給するためのガス配管4を利用して、端子台7を設けることができるため、密閉室2をなす容器に対して特別な加工(いわゆる、ブロックハンドホール構造の施工や、既設ブロックハンドホールに対するケーブル取出し用の構造の追加施工等)を施すことなく、電気機器3のケーブル31の配線施工を行うことができる。これにより、密閉室2の気密性を保ったまま、電気機器3に対して電気信号の送信又は受信を行うことができる。この結果、密閉室2に電気機器3を配置する場合でも、容器に対する大幅な設計変更が不要となる。
【0043】
第2の態様に係るガス充填容器10では、第1の態様において、端子台7は、分岐配管6の開口端部を密閉する基台72と、基台72に取り付けられケーブル31に接続され、分岐配管6から露出する端子71と、を有する。
【0044】
この態様によれば、分岐配管6に対して基台72を取り付けるだけで、端子台7を設けることができ、省施工を実現することができる。
【0045】
第3の態様に係るガス充填容器10では、第1又は第2の態様において、電気機器3は、密閉室2内における温度、水分、放電及び振動の少なくとも1つを検出するセンサを含む。
【0046】
この態様によれば、密閉室2内の状態をセンサによって検出することができる。
【0047】
第4の態様に係るガス充填容器10では、第1~3のいずれか1つの態様において、密閉室2は、管21と、管21の中心軸方向に離れて配置され、管21の内部を気密状態で区画する一対の板体24と、で区画された室である。
【0048】
この態様によれば、管21と板体24とで形成された気密室に対して、好適にケーブル31の配線を行うことができる。
【0049】
第5の態様に係るガス絶縁開閉装置1では、第1~4のいずれか1つの態様に係るガス充填容器10を備える。
【0050】
この態様によれば、ガス絶縁開閉装置1において、ブロックハンドホール構造の施工を行うことなく、ガス配管4を利用して、省施工で電気機器3のケーブル31の配線を行うことができる。従来では、例えば、容器表面の温度と通電電流値とから密閉室2内のガス温度を演算していたが、本実施形態に係るガス絶縁開閉装置1によれば、大幅な設計変更を行うことなく、密閉室2内に温度センサを配置することができる。このため、簡単な施工で、密閉室2内のガスの温度を検出することができるという利点がある。
【0051】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0052】
上記実施形態に係る管21は、金属で構成されたが、充填されるガスが高圧条件でない場合には、金属に限らず、例えば、合成樹脂、カーボン、ガラス、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、パルプ等で構成されてもよい。また、管21が金属以外で構成される場合、板体24は、絶縁スペーサに限らず、管21と同じ材料で構成されてもよい。
【0053】
上記実施形態に係るガス充填容器10には、1つの密閉室2に対して1つの電気機器3が配置されたが、本発明では、1つの密閉室2に対して2つ以上の電気機器3が配置されてもよい。
【0054】
上記実施形態に係るガス充填容器10では、1つのガス配管4に対して、1つの分岐配管6が設けられたが、本発明では、1つのガス配管4に対して複数の分岐配管6が設けられてもよい。
【0055】
上記実施形態に係るガス充填容器10では、分岐配管6が第1配管61と第2配管62を有したが、例えば、第1配管61のみであってもよいし、第3配管、第4配管、…を適宜接続してもよい。
【0056】
上記実施形態に係る密閉室2は、管21の両端を板体24で塞ぐことで形成されたが、例えば、有底円筒状の管21や、直方体状の筐体によって形成された密閉室2であってもよい。
【0057】
上記実施形態に係る測定器8は、端子台7の端子71に対して、有線により接続されたが、例えば、端子台7に電波発信器を接続し、端子台7と無線により接続されてもよい。
【0058】
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0059】
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端」は物体の末の部分を意味するが、「端部」は「端」を含む一定の範囲を持つ域を意味する。端を含む一定の範囲内にある点であれば、いずれも、「端部」であるとする。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
【符号の説明】
【0060】
1 ガス絶縁開閉装置
10 ガス充填容器
2 密閉室
21 管
24 板体
3 電気機器
31 ケーブル
4 ガス配管
5 バルブ
6 分岐配管
7 端子台
71 端子
72 基台
図1
図2