(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124283
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ティッシュペーパー
(51)【国際特許分類】
A47K 7/00 20060101AFI20230830BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20230830BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230830BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230830BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230830BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20230830BHJP
D21H 21/14 20060101ALI20230830BHJP
D21H 27/30 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
A47K7/00 G
A61K8/25
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/73
D21H27/00 F
D21H21/14
D21H27/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027954
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯野 里保
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】清水 美沙
【テーマコード(参考)】
4C083
4L055
【Fターム(参考)】
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC121
4C083AC122
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB23
4C083CC02
4C083DD12
4C083EE06
4C083EE07
4L055AG26
4L055AG34
4L055AH02
4L055AH50
4L055AJ01
4L055AJ06
4L055BE08
4L055BE10
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA13
4L055EA14
4L055EA15
4L055EA16
4L055EA40
4L055FA16
4L055GA29
(57)【要約】
【課題】保湿成分や粉体を含む薬液が塗布され、粉体の脱落が抑制されたティッシュペーパーの提供。
【解決手段】薬液を塗布した2プライのティッシュペーパーであって、1プライの坪量が12.0g/m2以上20.0g/m2以下であり、薬液は、保湿成分と、粉体と、を含有し、保湿成分の含有量がティッシュペーパー全量の8重量%以上23重量%以下であり、粉体の含有量がティッシュペーパー全量の0.5重量%以上10重量%であり、粉体の含有量は粉体保持率の測定前の値であり、クレープの高さが15μm以上35μm以下である、ティッシュペーパー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を塗布した2プライのティッシュペーパーであって、
1プライの坪量が12.0g/m2以上20.0g/m2以下であり、
前記薬液は、保湿成分と、粉体と、を含有し、
前記保湿成分の含有量が前記ティッシュペーパー全量の8重量%以上23重量%以下であり、
前記粉体の含有量が前記ティッシュペーパー全量の0.5重量%以上10重量%であり、前記粉体の含有量は粉体保持率の測定前の値であり、
クレープの高さが15μm以上35μm以下である、ティッシュペーパー。
【請求項2】
前記粉体がタルクである、請求項1に記載のティッシュペーパー。
【請求項3】
前記粉体の体積平均粒子径が5μm以上500μm以下である、請求項1又は請求項2に記載のティッシュペーパー。
【請求項4】
前記保湿成分がグリセリンである、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のティッシュペーパー。
【請求項5】
前記クレープの本数が20本/6mm以上45本/6mm以下である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のティッシュペーパー。
【請求項6】
前記粉体保持率が80重量%以上である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のティッシュペーパー。
【請求項7】
乾燥引張強度が、縦方向(DMD)で250gf/25mm以上450gf/25mm以下である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のティッシュペーパー。
【請求項8】
乾燥引張強度が、横方向(DCD)で70gf/25mm以上160gf/25mm以下である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のティッシュペーパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティッシュペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パルプを主成分とするシートに薬液を塗布したローションティッシュペーパーが普及している。さらに、柔らかさとボリューム感を確保するため、薬液の塗布量を多くすることも行われている。但し、薬液の塗布量を多くすると、シート強度が低下するため、原紙の強度を高くして薬液塗布後のシートの強度を確保している。しかしながら、原紙の強度を高めると、柔らかさが損なわれる。このようなローションティッシュペーパーは、日常の様々な場面で利用されていることから、種々の提案がなされている。
【0003】
特許文献1には、原紙に対して主成分として、レーザー回析散乱粒度分布による平均粒子径(D50)が3~15μmのタルクを10~30重量%、紙用柔軟剤を3~18重量%、及び保湿成分としてグリセリンを60~80%含むローションティッシュペーパーが記載されている(請求項1+請求項2)。特許文献1によれば、柔らか感及び滑らか感を両立でき、肌への刺激をより少なくしたローションティッシュペーパーが提供されると記載されている(段落0010)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のローションティッシュペーパーでは、原紙に塗布する薬液中に含有可能なタルクの粒径範囲が3~15μmと限られるため、範囲外の粒径を有するタルク、特に粒径が15μmを超えるタルクを含有させることが難しい。また、タルクは、例えば、ローションティッシュペーパーで肌表面を拭ったときに、滑らかな感触を得るために用いられることが多いが、粒径3~15μmのタルクは、保存中にもローションティッシュペーパーから脱落し易く、その効果が長続きしない。また、現状のローションティッシュペーパーには、滑らかさだけでなく、滑らかさと柔らかさとが両立されることが要求される。
【0006】
本発明の目的は、保湿成分や粉体を含む薬液が塗布され、粉体の脱落が抑制され、柔らかさ、滑らかさ、破れにくさ等の品質に優れたティッシュペーパーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、保湿成分や粉体を所定の各含有量で含有するように薬液を塗布した2プライの薄葉紙(ティッシュペーパー)であって、1プライの坪量及びクレープ高さが所定範囲にあり、ティッシュペーパーが目的に叶う特性を有し、ローションティッシュペーパー等として好適に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)薬液を塗布した2プライのティッシュペーパーであって、
1プライの坪量が12.0g/m2以上20.0g/m2以下であり、
前記薬液は、保湿成分と、粉体と、を含有し、
前記保湿成分の含有量が前記ティッシュペーパー全量の8重量%以上23重量%以下であり、
前記粉体の含有量が前記ティッシュペーパー全量の0.5重量%以上10重量%であり、前記粉体の含有量は粉体保持率の測定前の値であり、
クレープの高さが15μm以上35μm以下である、ティッシュペーパー。
(2)前記粉体がタルクである、上記(1)のティッシュペーパー。
(3)前記粉体の体積平均粒子径が5μm以上500μm以下である、上記(1)又は(2)のティッシュペーパー。
(4)前記保湿成分がグリセリンである、上記(1)乃至(3)のいずれかのティッシュペーパー。
(5)前記クレープの本数が20本/6mm以上45本/6mm以下である、上記(1)乃至(4)のいずれかのティッシュペーパー。
(6)前記粉体保持率が80重量%以上である、上記(1)乃至(5)のいずれかのティッシュペーパー。
(7)乾燥引張強度が、縦方向(DMD)で250gf/25mm以上450gf/25mm以下である、上記(1)乃至(6)のいずれかのティッシュペーパー。
(8)乾燥引張強度が、横方向(DCD)で70gf/25mm以上160gf/25mm以下である、上記(1)乃至(7)のいずれかのティッシュペーパー。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保湿成分や粉体を含む薬液が塗布され、粉体の脱落が抑制されたティッシュペーパーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】マイクロスコープによるX-Y平面のメイン画像である。
【
図2】
図1をクレープの表面が見やすいように斜めにした画像である。
【
図3】マイクロスコープによるX-Y平面のメイン画像の高さプロファイル(マッピング)である。
【
図4】クレープの高さ(測定断面曲線)プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<ティッシュぺーパー>
以下、本実施形態のティッシュペーパーについて更に詳しく説明する。
本実施形態のティッシュペーパーは、保湿成分や粉体を所定の各含有量で含有するように薬液を塗布した2プライの薄葉紙(ティッシュペーパー)であって、1プライの坪量及びクレープ高さが所定範囲にあり、ローションティッシュペーパー等として好適に使用できる。
【0012】
本実施形態のティッシュペーパーは、2プライの薄葉紙(ティッシュペーパー)であり、1プライの坪量及びクレープ高さが所定範囲のものである。
薬液が塗布された後の薄葉紙の坪量は、12.0g/m2以上20.0g/m2以下の範囲、又は14g/m2以上18g/m2以下の範囲である。坪量が12.0g/m2未満であると、ティッシュペーパーの強度が低くなって破れ易くなる傾向がある。坪量が20.0g/m2を超えると、本実施形態のティッシュペーパーの強度が高くなって、柔らかさが損なわれる傾向がある。
【0013】
本実施形態のティッシュペーパーにおける1プライのクレープ高さ(μm)は、15μm以上35μm以下の範囲、又は18μm以上28μm以下の範囲である。クレープ高さが15μm未満では、粉体の脱落が起こり易くなり、本実施形態のティッシュペーパーの柔らかさが低下する傾向がある。クレープ高さが35μmを超えると、本実施形態のティッシュペーパーの滑らかさが損なわれる傾向がある。クレープ高さは、本実施形態のティッシュペーパーの表面側を測定したものである。
【0014】
また、クレープ本数(本/6mm)は特に限定されないが、例えば、20本/6mm以上45本/6mm以下の範囲、又は25本/6mm以上40本/6mm以下の範囲である。クレープ本数が20本/6mm未満であると、クレープ高さが高くなり、本実施形態のティッシュペーパーの滑らかさが劣る傾向がある。クレープ本数が45本/6mmを超えると、クレープ高さが低くなり、本実施形態のティッシュペーパーの粉体保持率が低下する傾向がある。なお、クレープの本数と高さは本来は別個独立に制御されるが、本実施形態のティッシュペーパーでの一般的なクレープ率の範囲(10~40%程度)においては、クレープの本数を多くするとクレープ高さは低くなり、クレープの本数を少なくするとクレープ高さは高くなる傾向にある。
【0015】
(クレープ高さ及びクレープ本数の測定方法)
クレープの本数と高さは、マイクロスコープを用いて測定して求める。
マイクロスコープとしては、(株)キーエンス製の製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ VR-3100」を使用できる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR-H1A」を使用できる。又、測定条件は、倍率38倍、視野面積8mm×6mm(シートのMD方向が6mmの辺に平行の条件)で測定する。なお、測定倍率と視野面積は、求めるクレープの大きさによって、適宜変更しても良い。なお、3次元測定機や輪郭形状測定機は、点や線で測定されるが、ワンショット3D測定の場合、面全体を測定するため、全体の形状やうねりがわかりやすい。
【0016】
図1乃至
図5にクレープの本数と高さの具体的な測定方法を示す。
図1、
図3は、マイクロスコープによるX-Y平面の画像を示し、
図1がメイン画像、
図3がメイン画像の高さプロファイル(マッピング)である。
図1、
図3の上下方向がシートのMD方向、左右方向がシートのCD方向となる。
図2は
図1をクレープの表面が見やすいように斜めにした画像である。
【0017】
なお、
図3のX-Y平面画像のCD方向に任意の位置で、MD方向に平行な線分S1-S2を画像の上下全体に引くと、
図4に示すようにクレープの高さ(測定断面曲線)プロファイルが得られる。なお、個々のクレープはCD方向に沿って(
図3の左右方向に)延びており、線分S1-S2はこれら複数のクレープを横断するので、
図3のX-Y平面画像のCD方向のどの位置で線分S1-S2を引いても、クレープの高さプロファイルはほとんど変わらない。
【0018】
図4の高さプロファイルは、実際のフェイシャルティシュの試料表面の凹凸を表す(測定)断面曲線Sであるが、ノイズ(フェイシャルティシュの表面に繊維塊があったり、繊維がヒゲ状に伸びていたり、繊維のない部分に起因した急峻なピーク)をも含んでおり、クレープの高さや本数の算出に当たっては、このようなノイズピークを除去する必要がある。
【0019】
そこで、所定のフィルタ条件(λs:80μm(80μmより細かいノイズをカットする)、λc:2.5mm(2.5mmより大きい波(うねり、サンプル自体の傾き)をカットする)にて断面曲線Sを処理し、粗さ曲線W(
図5)を算出する(上記ソフトウェア上で自動で求められる)。但し、λsはJIS-B0601「3.1.1.1」に記載の「粗さ成分とそれより短い波長成分との境界を定義するフィルタ」、λcは同規格に記載の「粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタ」である。
【0020】
得られた粗さ曲線Wについて、上記ソフトウェア上で自動で算出されたRc(山谷(凹凸)の平均高さ)をクレープ高さとする。但し、RcはJIS-B0601(2013)「4.1.4」に記載の「粗さ曲線要素の平均高さ」である。次に、
図5の粗さ曲線Wから、山の数を計測してクレープの本数を求める。計測は目視でもよく、ソフトウェア(例えば、表計算ソフトウェアなど)で算出できればその値でもよい。
【0021】
ここで、
図5の部分拡大図である
図6及び
図6の部分拡大図である
図7を参照し、山の数の計測方法を説明する。P1のように上に凸を1山として数える。さらに、
図6及び
図7に示すP2、P3のようにP2-P3間の高さが3μm未満の場合は計測に含めない。
【0022】
また、
図3の1画像につき線分S1-S2を3本設定し、
図5の粗さ曲線Wを3つ得る。そして、これら3つの粗さ曲線Wそれぞれにつき、山の数とRcを求める。試料の画像を3枚用意し、合計9個のデータ(山の数とRc)を平均して求めた、クレープ高さと本数を採用する。
本実施形態で使用する原紙は、好ましい実施形態では次のような物性を有していてもよい。
【0023】
(薬液)
本実施形態の薬液は、前述したように、保湿成分と、粉体と、を含有する。保湿成分としては化粧料等に用いられるものをいずれも使用でき、例えば、多価アルコール類、アミノ酸類等が挙げられ、これらの中でも多価アルコール類が好ましい。多価アルコール類の具体例としては、例えば、グリセリン、ジブチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、保湿性や安全性等の観点から、グリセリンが好ましい。保湿成分は1種又は2種以上を使用できる。薬液中の保湿成分の割合は、例えば、薬液全量の70質量%以上90質量%以下の範囲、75質量%以上85質量%以下の範囲、又は77質量%以上82質量%以下の範囲である。薬液中の保湿成分の含有量が70質量%未満であると、柔らかさが得られにくくなる場合がある。一方、保湿成分の含有量が90質量%を超えると、薬液中の水分が少なくなり、薬液の粘度が上昇し、塗工適正が劣り、柔らかさが損なわれる場合がある。なお、薬液中の多価アルコールとしては、風合いに優れるグリセリンの有効成分(水分を除く成分)が、薬液全体に対して50重量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは65重量%以上である。粉体としては、化粧料等に用いられるものをいずれも使用でき、例えば、タルク、マイカ、酸化チタン、クレー、セリサイト、カオリン、シリカ,炭酸カルシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、本実施形態のティッシュペーパーに良好な滑らかさ(さらさら感)を付与する観点から、タルクが好ましい。タルクは板状結晶であるために、使用した時に肌の上を滑ることにより滑らかな触感を与え、肌への刺激を減らす。薬液中における粉体の含有量は、例えば、薬液全量の0.05重量%以上50重量%以下の範囲、5重量%以上40重量%以下の範囲、又は10重量%以上30重量%以下の範囲である。粉体の体積平均粒子径は、例えば、5μm以上500μm以下の範囲、又は100μm以上400μm以下の範囲である。粉体の体積平均粒子径が5μm未満及び500μmを超えると、本実施形態のティッシュペーパーから粉体が脱落し易くなるとともに、本実施形態のティッシュペーパーが破れやすくなる傾向がある。測定方法は、顕微鏡で観察し、測定倍率は適宜変更して良いこととする。他社品の粉体の粒径を測定する際は、ティッシュペーパーを電子顕微鏡で観察し、ティッシュペーパーに含有される粉体の体積平均粒子径を測定する。
【0024】
保湿成分の含有量は本実施形態のティッシュペーパー全量の8重量%以上23重量%以下の範囲、又は14重量%以上18重量%以下の範囲であり、粉体の含有量は薬液全量の0.5重量%以上10重量%以下の範囲、又は1重量%以上7重量%以下の範囲である。保湿成分の含有量が8重量%未満では、本実施形態のティッシュペーパーの保湿感及び柔らかさが低下し、粉体が脱落し易くなる傾向がある。保湿成分の含有量が23重量%を超えると、本実施形態のティッシュペーパーが破れやすくなり、使用感が低下する傾向がある。また、粉体含有量が0.5重量%未満では、本実施形態のティッシュペーパーの保湿感及び柔らかさが低下する傾向がある。粉体含有量が10重量%を超えると、本実施形態のティッシュペーパーから粉体が脱落し易くなり、また、本実施形態のティッシュペーパーが破れ易くなる傾向がある。
【0025】
薬液は、例えば、保湿成分及び粉体の各所定量を水と混合し、溶解及び/又は分散させることにより調製できる。薬液には、必要に応じて、他の化粧料用補助成分、香料等を添加することができる。また、ティッシュペーパーへの薬液の塗布は特に限定されないが、例えば、ティッシュペーパーを薬液に浸漬する方法、ロール塗り、刷毛塗り、印刷方式等の方法で実施される。薬液を塗布することで、本実施形態のティッシュペーパー(ローションティッシュペーパー)が得られる。得られたティッシュペーパーの薬液含有量は、次の測定方法により求める。
ティッシュペーパー1を5g採取し、乾燥機(105℃)で120分乾燥させ、その後、デシケーターで30分放冷し、質量を測定する。このときの測定質量をm1とする。次に、質量を測定したティッシュペーパー1及び抽出溶媒(アセトン:エタノール=1:1)150mlを用いて4時間、ソックスレー抽出を行う。得られた抽出物を湯浴上で加熱濃縮し、乾燥機(105℃)で90分乾燥させ、その後デシケーターで30分放冷し、質量を測定する。このときの測定質量をm2とする。そして、得られた2つの測定質量m1、m2を用いて、m2/m1×100(%)を薬液含有量(ローション含有量[%])とする。また、1プライあたりの坪量×ローション含有量=薬液含有量(ローション含有量)(g/m2)とする。
【0026】
本実施形態のティッシュペーパーは、上記した特性の他に、次のような特性を有していてもよい。
【0027】
(紙厚)
紙厚(mm/10PLY)は、例えば、0.5mm/10PLY以上1.0mm/10PLY以下の範囲、又は0.6mm/10PLY以上0.9mm/10PLY以下の範囲である。紙厚が0.5mm/10PLY未満では、本実施形態のティッシュペーパーの保湿感や柔らかさが低下し、粉体が脱落し易くなる傾向がある。紙厚が1.0mm/10PLYを超えると、本実施形態のティッシュペーパーの柔らかさが損なわれる傾向がある。紙厚は、本実施形態のティッシュペーパー(2PLY)を5組重ね合わせ、計10PLY分の厚みを、例えば、ピーコック紙厚計にて、JIS P 8111(1998)の条件下((23±1℃、50±2%相対湿度でシックネスゲージ(例えば、尾崎製作所製のアップライト ダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK R1-B型」)を用い、直径30mmの測定子に3.7kPaの圧力を加えて測定する。
【0028】
(乾燥引張強度)
DMD(gf/25mm、縦方向の乾燥引張強度)は、例えば、250gf/25mm以上450gf/25mm以下の範囲、又は280gf/25mm以上gf/25mm420以下の範囲である。DMDが250gf/25mm未満では、本実施形態のティッシュペーパーは、薬液含有量が多くなるので、保湿感は上昇するものの、破れやすくなる傾向があり、DMDが450gf/25mmを超えると、本実施形態のティッシュペーパーは保湿感や柔らかさが低下し、更に粉体の脱落が起こり易くなる傾向がある。
DCD(gf/25mm、横方向の乾燥引張強度)は、例えば、70gf/25mm以上160gf/25mm以下の範囲、又は90gf/25mm以上140gf/25mm以下の範囲である。DCDが70gf/25mm未満では、本実施形態のティッシュペーパーが破れ易くなる傾向があり、DCDが160gf/25mmを超えると、本実施形態のティッシュペーパーの柔らかさが低下する傾向がある。
DMD、及びDCDは、本実施形態のティッシュペーパー(2PLY)について、JIS P8113に基づいて測定できる。
【0029】
(湿潤引張強度)
WMD(gf/25mm、縦方向の湿潤引張強度)は、例えば、70gf/25mm以上160gf/25mm以下の範囲、又は90gf/25mm以上140gf/25mm以下の範囲である。WMDが70gf/25mm未満では、本実施形態のティッシュペーパーが破れ易くなる傾向があり、WMDが160gf/25mmを超えると、本実施形態のティッシュペーパーの保湿感や柔らかさが低下する傾向がある。
WMDは、本実施形態のティッシュペーパー(2PLY)について、旧JIS S 3104:1999に基づいて測定できる。
【0030】
(比容積)
比容積は、例えば、3.0cm3/g以上7.0cm3/g以下の範囲、又は3.5cm3/g以上6.5cm3/g以下の範囲である。比容積が3.0cm3/g未満では、本実施形態のティッシュペーパーの保湿感や柔らかさが低下する傾向がある。比容積が7.0cm3/gを超えると、クレープ高さが高くなりすぎ、滑らかさが劣る傾向がある。
比容積は、本実施形態のティッシュペーパー(2プライ)の紙厚を2プライあたりの坪量で除し、単位gあたりの容積cm3で表わしたものである。
【0031】
(粉体保持率)
粉体保持率は、例えば、80重量%以上、又は90重量%以上である。本実施形態では、粉体保持率が80重量%を超えても、本実施形態のティッシュペーパーの柔らかさが低下することがなく、特に粉体としてタルクを用いた場合には、柔らかさと滑らかさとを同時に満足させることができる。粉体保持率が80重量%未満であると、粉体が脱落しやすくなって取り扱い性が低下する傾向がある。粉体保持率は、次のようにして測定及び算出される。
【0032】
本実施形態の処理が施されたティッシュペーパーの一部を50℃の乾燥機で3時間保管したものを絶乾の重量とみなし、乾燥(絶乾)状態の重量を測定し、JIS P8251に準拠して、灰分(以下、「処理前のティッシュペーパー灰分」とする)を測定する。
次に、別のティッシュペーパーを地面に対して垂直に持ち、その垂直方向をMD方向としたときに、地面と平行であるCD方向の上部両角(2cm3以内)を親指、人差し指、及び中指の三本で持ち、1秒間に一回往復のペースで、腕は動かさずに手首のスナップ(約90°)のみを利用し、30回振り、粉体を振り落とす処理を行う。この処理を施した後のティッシュペーパーを、上記と同様に50℃3時間乾燥させて、灰分(以下、「処理後のティッシュペーパー灰分」とする)を測定する。粉体保持率は次の式から算出される。
粉体保持率(%)=〔(処理後のティッシュペーパー灰分)/(処理前のティッシュペーパー灰分)〕×100
【0033】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0034】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をさらに具体的に説明する。
【0035】
(実施例1~11及び比較例1~10)
表1及び表2に示すように、クレープ高さ、クレープ本数、1plyあたりの坪量、紙厚及び比容積を有する2プライの薬液を含侵させたティッシュペーパーを作製した。
【0036】
また、表1及び表2に示す体積平均粒径を有するタルク及びグリセリンを表1及び表2に示す割合(重量%)で用いて水と混合し、薬液を調整した。上記で得られた薬液含侵前のティッシュペーパーを薬液に含侵及び乾燥し、実施例1~11及び比較例1~10の2プライティッシュペーパーを作製し、各種物性の測定及び算出を行った。より具体的には、実施例1,2,3、比較例1,2ではクレープ高さに基づく評価、実施例4,5、比較例3,4では粉体の含有量に基づく評価、実施例6,7、比較例5,6ではローションの薬液含有量に基づく評価、実施例8,9、比較例7,8では坪量に基づく評価、実施例10,11、比較例9,10では粉体の粒径と粉体の含有量に基づく評価をそれぞれ実施した。物性の測定は、JISP8113に規定される条件下で行った。結果を表1及び表2に示す。
【0037】
保湿感、柔らかさ、滑らかさ、及び破れにくさについては、30人のモニターが実施例1~15及び比較例1~10のティッシュペーパーを利用し、以下の基準で評価した。
〇 保湿感(又は柔らかさ又は滑らかさ又は破れにくさ)が良好であるとの評価が25人以上である。
△ 保湿感(又は柔らかさ又は滑らかさ又は破れにくさ)が良好であるとの評価が18人以上24人以下である。
× 保湿感(又は柔らかさ又は滑らかさ又は破れにくさ)が良好であるとの評価が17人以下である。
【0038】
また、粉体の脱落については、以下の基準で評価した。
〇 粉体保持率が90重量%以上である。
△ 粉体保持率が80重量%以上90重量%未満である。
× 粉体保持率が80重量%未満である。
【0039】
【0040】
【0041】
表1及び表2から、請求項1に規定された項目を満たす本実施形態のティッシュペーパーは、保湿感が高水準に保たれ、粉体の脱落が防止され、柔らかさ、滑らかさ、及び破れにくさをすべて併せ持ち、非常に有用であることが明らかである。