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特開2023-124317ガイドチューブおよび内視鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124317
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ガイドチューブおよび内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/24 20060101AFI20230830BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G02B23/24 A
A61B1/01 511
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028012
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】322004393
【氏名又は名称】株式会社エビデント
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池谷 基志
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA01
2H040DA11
2H040DA54
4C161AA00
4C161BB01
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF24
4C161GG24
4C161LL02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作性のよいガイドチューブを提供する。
【解決手段】ガイドチューブ1は、内視鏡の挿入部が挿入されるチューブ本体10と、前記チューブ本体10の基端側に配設され、前記チューブ本体10と挿通し前記挿入部が挿入される貫通孔H20を長軸方向に有し、貫通孔H20の上端H20Sよりも深さが深い切り欠きC20を有するグリップ21と、を具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部が挿入されるチューブ本体と、
前記チューブ本体の基端側に配設され、前記チューブ本体と挿通し前記挿入部が挿入される貫通孔を長軸方向に有し、前記貫通孔の上端よりも深さが深い切り欠きを有するグリップと、を具備することを特徴とするガイドチューブ。
【請求項2】
前記切り欠きは、前記貫通孔の下端よりも深さが浅く、前記切り欠きの底面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドチューブ。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記切り欠きに露出し溝となっており、前記溝の開口幅が、前記挿入部の直径未満であることを特徴とする請求項2に記載のガイドチューブ。
【請求項4】
前記切り欠きは、前記貫通孔の下端よりも深さが深いことを特徴とする請求項1に記載のガイドチューブ。
【請求項5】
前記グリップは、前記切り欠きを前記長軸方向の中央領域に有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガイドチューブ。
【請求項6】
前記グリップの前記長軸方向と直交する断面において、前記貫通孔の中心は、前記グリップの中心から偏心していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガイドチューブ。
【請求項7】
前記グリップが、略円柱形であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のガイドチューブ。
【請求項8】
前記グリップは、前記挿入部を前記グリップに固定する固定部材を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のガイドチューブ。
【請求項9】
前記切り欠きの中に、前記固定部材を含むことを特徴とする請求項8に記載のガイドチューブ。
【請求項10】
前記固定部材は、弾性部材を有し、前記弾性部材が前記挿入部の外周面を押圧することを特徴とする請求項8または請求項9に記載のガイドチューブ。
【請求項11】
前記チューブ本体は、前記グリップに対して回転する状態に前記グリップに保持されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のガイドチューブ。
【請求項12】
前記チューブ本体は、屈曲されると屈曲状態を維持する剛性を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のガイドチューブ。
【請求項13】
挿入部を含む内視鏡と、
前記内視鏡の前記挿入部が挿入されるチューブ本体と、前記チューブ本体の基端側に配設され、前記チューブ本体と挿通し前記挿入部が挿入される貫通孔を長軸方向に有し、前記貫通孔の上端よりも深さが深い切り欠きを有するグリップと、を含むガイドチューブと、を具備することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項14】
前記貫通孔は、前記切り欠きに露出し溝となっており、前記溝の開口幅が、前記挿入部の直径未満であることを特徴とする請求項13に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入部が挿入されるガイドチューブ、および、内視鏡とガイドチューブとを具備する内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡システムは、工業分野および医療分野において広く利用されている。内視鏡システムは、内視鏡と本体部とを具備する。内視鏡は、観察対象物内に挿入される細長い挿入部と操作部とを有する。挿入部の先端部には、撮像部が配設されている。本体部は、例えば、撮像画像を処理するプロセッサと、内視鏡画像を表示するディスプレイとを有する。
【0003】
内視鏡の挿入部の先端部を検査位置まで効率的にガイドするために、挿入部が挿通されるガイドチューブが用いられる。
【0004】
特開2017-37138号公報には、ボイラ、タービン、エンジンなどの内部に内視鏡の挿入部を挿入して、傷および腐食を観察したり検査したりするために用いられるガイドチューブが開示されている。
【0005】
特開2017-125101号公報には、可撓性の湾曲部を有するガイドチューブが開示されている。
【0006】
ガイドチューブに挿入された内視鏡の挿入部を進退操作する際には、操作者は、例えば、左手でガイドチューブを持ち、右手で挿入部を持ちながら操作する。内視鏡の湾曲操作、または、画像撮影を行う際には、操作者は、例えば、挿入部から右手を離して、右手で湾曲操作部や撮影スイッチが配設されている操作部を把持する必要がある。ガイドチューブに挿入された挿入部の操作と画像撮影とを繰り返す毎に、操作者は、手を持ち替える必要がある。
【0007】
手の持ち替え動作は、操作者の負担が大きく、また、検査時間の増加の一因である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-37138号公報
【特許文献2】特開2017-125101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
操作性のよいガイドチューブおよび操作性のよい内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態のガイドチューブは、内視鏡の挿入部が挿入されるチューブ本体と、前記チューブ本体の基端側に配設され、前記チューブ本体と挿通し前記挿入部が挿入される貫通孔を長軸方向に有し、前記貫通孔の上端よりも深さが深い切り欠きを有するグリップと、を具備する
【0011】
本発明の実施形態の内視鏡システムは、挿入部を有する内視鏡とガイドチューブとを含み、前記ガイドチューブは、内視鏡の挿入部が挿入されるチューブ本体と、前記チューブ本体の基端側に配設され、前記チューブ本体と挿通し前記挿入部が挿入される貫通孔を長軸方向に有し、前記貫通孔の上端よりも深さが深い切り欠きを有するグリップと、を具備する
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態のガイドチューブおよび内視鏡システムは、操作性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のガイドチューブを含む内視鏡システムの構成図である。
図2】第1実施形態のガイドチューブの斜視図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図3のガイドチューブのIV-IV線に沿った断面図(グリップの長軸方向と直交する断面)である。
図5】第1実施形態のガイドチューブの使用状態の斜視図である。
図6】第1実施形態のガイドチューブの使用状態の斜視図である。
図7】第1実施形態の変形例1のガイドチューブの断面図である。
図8】第1実施形態の変形例2のガイドチューブの斜視図である。
図9】第2実施形態のガイドチューブの上面図である。
図10図9のガイドチューブのX-X線に沿った断面図である。
図11】第2実施形態の変形例1のガイドチューブの上面図である。
図12】第2実施形態の変形例1のガイドチューブの断面図である。
図13】第2実施形態の変形例1のガイドチューブの断面図である。
図14】第3実施形態のガイドチューブの断面図である。
図15】第3実施形態のガイドチューブの断面図である。
図16】第3実施形態のガイドチューブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の内視鏡システム(内視鏡装置)9は、ガイドチューブ1と、内視鏡(スコープユニット)30と、内視鏡30が接続される本体部40と、を有する。本体部40は、撮像画像を処理するプロセッサと、ディスプレイとを有する。ディスプレイには、内視鏡画像、操作メニューなどが表示される。ディスプレイは、タッチパネルでもよい。
【0015】
内視鏡30は、挿入部31と、挿入部31の基端側に配設された操作部35と、操作部35と本体部40とを接続するユニバーサルケーブル36と、を有する。挿入部31は、撮像部が内蔵されている先端部32と、湾曲部33と、軟性管34と、を含む。
【0016】
撮像部は、例えばCCDセンサまたはCMOSセンサなどの撮像素子と、レンズなどの撮像光学系を有する。湾曲部33は、先端部32の基端側に設けられている。細長い軟性管34は、湾曲部33の基端側に延設されている。
【0017】
操作部35には、フリーズボタン、記録指示ボタンなどの各種操作ボタンが設けられている。操作者は、操作部35の各種操作ボタンを操作して、被写体の撮像、動画記録、静止画記録などを行う。また、操作者は、上下左右(U/D/L/R)方向に傾斜する湾曲操作部35Aを操作して湾曲部33を所望の方向へ湾曲する。本体部40のディスプレイがタッチパネルの場合、操作者は、タッチパネルを用いて、内視鏡システム9の設定、操作を入力してもよい。
【0018】
撮像して得られた内視鏡画像の画像データは、記録媒体であるメモリカードに記録される。メモリカードは、本体部40に着脱可能となっている。なお、画像データは、本体部40の内蔵メモリに記録されてもよい。
【0019】
本実施形態の内視鏡用のガイドチューブ1は、細長いチューブ本体10と、チューブ本体10の基端に接続された把持部材20と、を有する。チューブ本体10と把持部材20とは一体形成されていてもよい。
【0020】
図2および図3に示すように、把持部材20は、接着剤等を用いてチューブ本体10が固定されている先端部材22と、グリップ21と、を含む。グリップ21の先端側が、先端部材22を兼ねていてもよい。
【0021】
チューブ本体10は、挿入部31が挿入される細長い内部空間を有する筒状部材である。チューブ本体10の外周面は、例えば、柔軟性を有するポリエチレン等の樹脂によって構成されている。
【0022】
グリップ21(把持部材20)は、チューブ本体10の内部空間と挿通し、内視鏡30の挿入部31が挿入される貫通孔H20を有する。
【0023】
貫通孔H20の長軸方向LAに直交する断面の形状は、円形に限られるものではなく、楕円、または、四角形等の多角形でもよい。
【0024】
内視鏡30の挿入部31は、グリップ21の貫通孔H20を経由して、チューブ本体10に挿入される。操作者90が把持するグリップ21は、チューブ本体10よりも硬質の、ABS樹脂、PC樹脂等の硬質樹脂から構成されている
【0025】
図2図4に示すように、貫通孔H20の中心軸OH20は、把持部材20の長軸方向LAと平行である。すなわち、グリップ21は、貫通孔H20を、長軸方向LAに有する。略円柱状のグリップ21は、外周面に切り欠きC20を有する。切り欠きC20がある外周面を上方向としたとき、切り欠きC20の深さは、貫通孔H20の上端H20SAよりも深く、貫通孔H20の下端H20SBよりも浅い。
【0026】
貫通孔H20は、その一部が切り欠きC20に露出し、溝T20となっている。溝T20の底面は、貫通孔H20の下端H20SBである。
【0027】
なお、貫通孔H20の上端H20SAとは、貫通孔H20の中心軸OH20に直交する断面(図4参照)において、切り欠きC20が形成されている領域を、上方向としたとき、貫通孔H20の内面の最も上側の位置である。貫通孔H20の下端H20SBとは、上記貫通孔H20の内面の最も下側の位置である。
【0028】
グリップ21は、切り欠きC20を、グリップ21の長軸方向LAの中央領域に有する。言い替えれば、切り欠きC20は、グリップ21の先端側および基端側まで広がっていない。
【0029】
図4に示すように、グリップ21の貫通孔H20の内径DH20は、挿入部31が挿通されるように、挿入部31の外径D31よりも大きい。
【0030】
溝T20の深さDT20は、挿入部31の外径D31よりも小さい。例えば、溝T20の深さDT20は、挿入部31の外径D31の2/5である。
【0031】
図5に示すように、内視鏡30の挿入部31を本実施形態のガイドチューブ1に挿入すると、切り欠きC20に挿入部31の外周面が露出する。操作者90は、片手でグリップ21を把持しながら、把持している手の親指を用いて、切り欠きC20に露出している挿入部31の進退操作および固定操作を行うことができる。すなわち、ガイドチューブ1を用いることで、操作者90は、片手でグリップ21の把持および挿入部31の操作ができる。
【0032】
操作者90は、グリップ21を把持していない手で、内視鏡30の操作部35を把持できる。このため、操作者90は、湾曲操作、画像撮影等の操作部35の操作を行うときに、手を持ち替える必要がない。ガイドチューブ1およびガイドチューブ1を含む内視鏡システム9は、操作性がよいため、操作者の負担が小さく、また、検査時間が短縮できる。
【0033】
なお、図6に示すように、操作者90は、親指以外の指で挿入部31の進退操作を行ってもよい。
【0034】
グリップ21の形状は、把持容易であれば、例えば、角部が曲線状に面取りされた略角柱でもよい。また、把持を容易にするために、グリップ21は、把持する際の複数の指の位置に応じた複数の溝を外周面に有していてもよい。
【0035】
図4に示したように、グリップ21の長軸方向LAと直交する断面において、貫通孔H20の中心軸OH20は、グリップ21の中心軸O21から偏心している。このため、ガイドチューブ1は、グリップ21の外径(長軸方向LAに直交する方向の外寸)を、偏心していない場合に比べて細径のまま操作者が把持しやすい外径にすると同時に挿入部31が指で操作しやすい位置に溝T20を配置できる。
【0036】
溝の長軸方向LAに直交する断面形状が、貫通孔H20の断面形状と異なっていてもよい。例えば、断面形状が円形の貫通孔H20の切り欠きによって露出した溝を加工することで、溝の断面形状を矩形としてもよい。
【0037】
操作性の観点から、溝T20の深さDT20は、挿入部31の外径D31の2/3未満であることが好ましい。
【0038】
内視鏡30の細長い軟性管34は、柔らかいため、周囲に壁の無い広い空間では、挿入部31は重力によって垂れ下がってしまい、先端部32を上方に向かって挿入することができない、
【0039】
広い空間の中においても、先端部32を所望の位置までガイドするために、チューブ本体10は半硬性であることが好ましい。半硬性のチューブ本体10は、屈曲可能であるが、屈曲されると、その屈曲状態を維持する剛性を有する。
【0040】
チューブ本体10は、例えば、軟性樹脂で被覆されたアルミニウム管である。アルミニウム管を構成しているアルミニウム板の厚さを適宜、選択することによって、所望の剛性のチューブ本体10が作製される。
【0041】
軟性管34は半硬性のチューブ本体10に支えられるために、広い空間の中においても垂れ下がることない。チューブ本体10の形を変えた後に、内視鏡30の挿入部31をガイドチューブ1に挿入することで、挿入部31がガイドされ、先端部32を所望の位置に配置できる。
【0042】
半硬性のチューブ本体10を有するガイドチューブは、先端部32を所望の位置までガイドすることが容易であり、操作性がよい。なお、チューブ本体10は、硬性であってもよい。
【0043】
<第1実施形態の変形例1>
以下に説明する変形例または実施形態のガイドチューブ1A-1E、内視鏡システム9A-9Eは、第1実施形態のガイドチューブ1、内視鏡システム9と類似しており、同じ効果を有する。このため、ガイドチューブ1、内視鏡システム9と同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0044】
図7に示す本変形例のガイドチューブ1A(内視鏡システム9A)では、把持部材20Aは、グリップ21Aの基端側まで切りかかれている。すなわち、グリップの切り欠きは、外周の長軸方向LAの中央領域だけに形成されている必要はない。
【0045】
切り欠きC20Aの範囲(長軸方向LAの内寸)が第1実施形態の切り欠きC20よりも広い(内寸が長い)グリップ21Aは、溝T20Aから露出している挿入部31の長さが、第1実施形態のガイドチューブ1のグリップ21の溝T20から露出している挿入部31の長さよりも長い。
【0046】
ガイドチューブ1Aでは、一度の指のスライド操作によって、挿入部31を進退する距離を第1実施形態のガイドチューブ1よりも長くできる。このため、ガイドチューブ1Aは第1実施形態のガイドチューブ1よりも一度に進退できる距離が長くなり、操作性がよい。
【0047】
なお、溝T20Aから挿入部31が脱落しないように、本変形例のガイドチューブ1Aの溝T20の開口幅WT20(図4参照)は、挿入部31の外径D31未満であることが好ましい。開口幅WT20は、溝T20の長軸方向LAに直交する断面における開口の寸法である。
【0048】
<第1実施形態の変形例2>
図8に示す本変形例のガイドチューブ1B(内視鏡システム9B)では、把持部材20B(グリップ21B)の切り欠きの深さは、貫通孔H20の下端H20SBよりも深いために、切り欠きC20の底面C20Sが、貫通孔H20の下端H20SBよりも下側にある。
【0049】
すなわち、切り欠きC20によって、貫通孔H20が先端側H20Aと基端側H20Bとに分断されている。切り欠きC20の両側面に、それぞれ貫通孔H20A、H20Bの開口があり、切り欠きC20の底面C20Sに、貫通孔H20による溝がない。言い替えれば、貫通孔H20が先端側と基端側とに分断されていてもよい。
【0050】
ガイドチューブ1B(内視鏡システム9B)は、操作者の手指と、挿入部との接地面積が広いため、操作が容易である。
【0051】
本構成では、貫通孔H20に挿入された挿入部31の位置が切り欠きC20において安定しない。このため、切り欠きC20は、貫通孔H20の一部が露出し、溝T20となっている深さ(外周面からの切り欠き量)であることが好ましい。
<第2実施形態>
図9および図10に示す本実施形態のガイドチューブ1C(内視鏡システム9C)は、挿入部31をグリップ21に対して固定する固定部材50を、切り欠きC20の内部空間に有する。
【0052】
固定部材50は、切り欠きC20に露出している挿入部31の外周面を押圧する弾性部材51を有する可動部材52と、可動部材52を回動するように保持する保持部材53とを含む。可動部材52は、指で押圧されると回動軸53Aを中心に回動する。
【0053】
弾性部材51は、挿入部31を損傷するおそれがなく、かつ、挿入部31を安定して固定できるように、シリコーンゴム等の軟性樹脂からなる。
【0054】
ガイドチューブ1Cは、挿入部31を所望の挿入位置において固定できるため、固定部材50が無いガイドチューブ1と比較して指で押さえ続ける必要がないため、操作性がよい。特に、挿入部31を進退操作している指の位置を変えて、固定部材50を押圧するだけで、挿入部31を固定できる。
【0055】
なお、固定部材50は、可動部材52が、指で1回、押圧されると、押圧状態を維持し、もう一度、押圧されると、元の状態に戻る、いわゆるラッチ構造を有していてもよい。
【0056】
<第2実施形態の変形例1>
図11図13に示す本変形例のガイドチューブ1D(内視鏡システム9D)は、固定部材50Dをグリップ21の基端側に有する。
【0057】
図12に示すように固定部材50Dは、グリップ21に固定されている第1の円筒54と、第1の円筒54の外周を覆う第2の円筒55と、第1の円筒54と第2の円筒55との間に配設されている弾性部材であるOリング56と、を有する。挿入部31は、第1の円筒54と第2の円筒55とを経由して、グリップ21の貫通孔H20に挿入される。
【0058】
図13に示すように、第1の円筒54が先端側に移動すると、Oリング56が変形する。変形したOリング56が、挿入部31の外周面を押圧することによって、挿入部31はグリップ21に固定される。
【0059】
第1の円筒54と第2の円筒55とが螺合状態で、第2の円筒55を締め込むことでOリング56が潰れて挿入部31が固定される。潰れたOリング56によって、第1の円筒54と第2の円筒55とOリング56の摩擦力が発生すると共に、螺合部の摩擦力も高まるため、挿入部31の固定状態を維持することができる。
【0060】
なお、固定部材50Dは、第2の円筒55が先端側に移動するように1度、操作されると固定状態を維持し、再度、第2の円筒55が先端側に移動するように操作されると、元の状態に戻る、いわゆるラッチ構造を有していてもよい。
【0061】
固定部材50Dは、固定部材50と比較すると、誤操作されにくい。
【0062】
なお、実施形態のガイドチューブは、固定部材50と固定部材50Dとを有していてもよい。かかるガイドチューブでは、挿入部31の挿入操作の途中で一時的に固定する場合には、固定部材50を用いて指の操作で挿入部31を固定し、目的位置まで挿入後は、固定部材50Dを用いて挿入部31を固定できる。
【0063】
<第2実施形態の変形例1>
図14図16に示す本変形例のガイドチューブ1E(内視鏡システム9E)は、グリップ21の基端側に配設されている先端部材22Eが、チューブ本体10をグリップ21に対して回転可能状態に保持している。すでに説明したように、グリップ21の先端部が先端部材22Eであってもよい。
【0064】
先端部材22Eは、Oリング71と固定ネジ72とを有する。チューブ本体10はOリング71によって、グリップ21に保持されているため、グリップ21に対して回転する。チューブ本体10は、ベアリング等によって、グリップ21に対して回転する状態に保持されていてもよい。
【0065】
ガイドチューブ1Eでは、挿入操作のときに、チューブ本体10が図15に示す屈曲状態から図16に示す屈曲状態になっても、チューブ本体10を回転させることができるため、操作者が、グリップ本体10を持ち直したり、チューブ本体10を曲げなおしたりしなくてよい。このため、ガイドチューブ1Eは操作性がよい。
【0066】
固定ネジ72は、チューブ本体10を固定する際に用いられるチューブ固定部材である。ネジ孔に配設されているスクリュー型の固定ネジ72を回すことによって、固定ネジ72の先端がチューブ本体10を押圧し固定する。
【0067】
ガイドチューブ1Eは、チューブ本体10を固定する固定ネジ72に加えて、挿入部31を固定するための、ガイドチューブ1Cの固定部材50またはガイドチューブ1Dのような固定部材50を、挿入部固定部材として有していてもよい。
【0068】
なお、チューブ本体10は、先端部材22Eから外れることが無いように、図示しないが、先端部材22Eの貫通孔の壁面に形成された溝に、チューブ本体10の外周に設けた止め輪が、はめ込まれている。
【0069】
ガイドチューブ1A-1Eを含む内視鏡システムが、内視鏡システム9の効果およびガイドチューブ1A-1Eの効果を有することは言うまでも無い。
【0070】
以上では、持ち運びが容易な、工業用の内視鏡1等(内視鏡システム9等)を例に説明した。しかし、実施形態の内視鏡システムの用途は、医療用でもよい。また、実施形態の内視鏡システムの本体部は、例えば、ディスプレイと画像処理を行うプロセッサとが別体の据え置き型でもよいし、本体部と操作部が一体になったハンディ型でもよい。
【0071】
本発明は、上述した実施形態等に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、組み合わせおよび応用が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1、1A-1E…ガイドチューブ
9、9A-9E…内視鏡システム
10…チューブ本体
20…把持部材
21…グリップ
22…先端部材
30…内視鏡
31…挿入部
32…先端部
33…湾曲部
34…軟性管
35…操作部
36…ユニバーサルケーブル
40…本体
50…固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図15
図16