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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124328
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20230830BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20230830BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230830BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20230830BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20230830BHJP
   B60Q 1/44 20060101ALI20230830BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20230830BHJP
   H05B 45/14 20200101ALI20230830BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20230830BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20230830BHJP
   F21V 17/14 20060101ALN20230830BHJP
   F21V 5/04 20060101ALN20230830BHJP
   F21V 31/00 20060101ALN20230830BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230830BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230830BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230830BHJP
【FI】
F21V23/00 150
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V5/00 510
F21V23/06
B60Q1/34 A
B60Q1/44 B
F21S43/14
H05B45/14
H05B45/345
H05B47/105
F21V17/14
F21V5/04 400
F21V5/04 450
F21V31/00 100
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:30
F21Y115:10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028031
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】小杉 大資
【テーマコード(参考)】
3K011
3K013
3K014
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K011BA00
3K011CA00
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K014AA01
3K014NA04
3K273AA02
3K273BA07
3K273BA23
3K273BA30
3K273BA35
3K273CA01
3K273CA02
3K273CA03
3K273CA12
3K273DA08
3K273EA06
3K273EA22
3K273EA36
3K273FA14
3K273FA27
3K273GA06
3K273GA22
3K273GA28
3K273HA13
3K339AA25
3K339AA29
3K339AA32
3K339AA34
3K339BA02
3K339BA08
3K339BA11
3K339BA13
3K339BA23
3K339BA26
3K339BA28
3K339CA12
3K339CA13
3K339CA14
3K339CA22
3K339CA24
3K339CA25
3K339FA11
3K339GB01
3K339GB21
3K339HA01
3K339JA16
3K339JA21
3K339JA23
3K339KA09
3K339KA38
3K339MC78
(57)【要約】
【課題】入力電圧が低下した場合であっても点灯を維持することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた第1の回路と;前記基板の上に設けられた第2の回路と;を具備している。前記第1の回路は、複数の第1の発光素子と;前記複数の第1の発光素子と電気的に接続され、前記複数の第1の発光素子に流れる電流の値を制御する制御素子と;を有する。前記第2の回路は、前記複数の第1の発光素子の数よりも少ない数の第2の発光素子と;前記第2の発光素子と直列接続された抵抗と;を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた第1の回路と;
前記基板の上に設けられた第2の回路と;
を具備し、
前記第1の回路は、
複数の第1の発光素子と;
前記複数の第1の発光素子と電気的に接続され、前記複数の第1の発光素子に流れる電流の値を制御する制御素子と;
を有し、
前記第2の回路は、
前記複数の第1の発光素子の数よりも少ない数の第2の発光素子と;
前記第2の発光素子と直列接続された抵抗と;
を有する車両用照明装置。
【請求項2】
前記制御素子は、入力電圧を検出し、前記検出された入力電圧に応じて、電流を流す前記第1の発光素子の数を変える請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記制御素子は、前記複数の第1の発光素子に流れる電流の値を略一定にし、
前記抵抗は、前記第2の発光素子に流れる電流の値を所定の範囲内とする請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記複数の第1の発光素子は、前記第2の発光素子を囲む位置に設けられている請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
また、例えば、用途の異なる複数の車両用照明装置を一体化した車両用照明装置が提案されている。例えば、ストップランプの機能と、テールランプの機能とを備えた自動車用の照明装置が提案されている。
【0003】
この場合、必要となる発光素子の数が用途ごとに異なる場合がある。例えば、ストップランプとしては、光の出射面の周縁領域が明るい発光分布が好ましく、テールランプとしては、光の出射面の中央領域が明るい発光分布が好ましい。そのため、例えば、テールランプ用として1つの発光素子を設け、これを囲む様に、ストップランプ用として、直列接続された複数の発光素子を設ける技術が提案されている。
【0004】
ここで、車両用照明装置に印加される電圧(入力電圧)は変動するので、動作標準電圧(定格電圧)が定められている。例えば、一般的な自動車用の車両用照明装置においては、動作標準電圧が13.5V程度とされている。そのため、入力電圧が13.5Vの場合に所定の全光束が得られるように、発光素子の数や、発光素子に直列接続される抵抗の抵抗値が設定されている。
【0005】
ところが、入力電圧が極端に低下する場合が生じ得る。例えば、スターターモータでクランキングしてエンジンを始動する場合などにおいては、入力電圧が6V程度となる場合がある。そのため、この様な場合には、車両用照明装置の点灯が維持できなくなるおそれがある。
そこで、入力電圧が低下した場合であっても点灯を維持することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-63252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、入力電圧が低下した場合であっても点灯を維持することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた第1の回路と;前記基板の上に設けられた第2の回路と;を具備している。前記第1の回路は、複数の第1の発光素子と;前記複数の第1の発光素子と電気的に接続され、前記複数の第1の発光素子に流れる電流の値を制御する制御素子と;を有する。前記第2の回路は、前記複数の第1の発光素子の数よりも少ない数の第2の発光素子と;前記第2の発光素子と直列接続された抵抗と;を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、入力電圧が低下した場合であっても点灯を維持することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図3】比較例に係る回路の回路図である。
図4】第1の回路、および第2の回路を例示するための回路図である。
図5】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。また、車両用照明装置1は、複数の用途を兼用することができる。例えば、車両用照明装置1は、ストップランプとテールランプを兼用するものであってもよいし、ポジションランプとターンシグナルランプを兼用するものであってもよい。以下においては、一例として、車両用照明装置1がストップランプとテールランプを兼用する場合を説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1および図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0014】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、例えば、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0015】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、例えば、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、略円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0017】
放熱フィン14は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0018】
コネクタホルダ15は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0019】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。例えば、ソケット10は、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0020】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することがさらに好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0021】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、例えば、ソケット10、給電部30、および伝熱部40を一体成形することもできる。
【0022】
発光モジュール20は、例えば、第1の回路21、第2の回路22、基板23、枠部24、および封止部25を有する。
第1の回路21は、例えば、ストップランプの回路とすることができる。
第2の回路22は、例えば、テールランプの回路とすることができる。
なお、第1の回路21、および第2の回路22に関する詳細は後述する。
【0023】
基板23は、板状を呈している。基板23の平面形状は、例えば、四角形である。基板23は、ソケット10の一方の端部側に設けられている。基板23は、例えば、伝熱部40の上面に接着される。伝熱部40が設けられない場合には、基板23は、ソケット10(例えば、凹部11aの底面11a1)に接着される。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。
【0024】
基板23は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板23は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。第1の回路21、および第2の回路22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板23を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。基板23は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0025】
枠部24は、基板23の上に設けられている。枠部24は、枠状を呈し、基板23の上に接着されている。枠部24に囲まれた領域には、発光素子21a(第1の発光素子の一例に相当する)、および発光素子22a(第2の発光素子の一例に相当する)が配置されている。枠部24は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン(Nylon)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0026】
枠部24は、封止部25の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部24は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0027】
また、枠部24は、省くこともできる。ただし、枠部24が設けられていれば、発光素子21a、22aから照射された光の利用効率を向上させることができる。また、封止部25が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0028】
封止部25は、枠部24の内側に設けられる。封止部25は、枠部24により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部25は、発光素子21a、22aを覆うように設けられる。封止部25は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部25は、例えば、枠部24の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
なお、枠部24が省かれる場合には、例えば、ドーム状の封止部25が基板23の上に設けられる。
【0029】
また、封止部25には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0030】
その他、必要に応じて光学要素26を設けることもできる。光学要素26は、例えば、封止部25の上に設けることができる。光学要素26は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などとすることができる。
【0031】
給電部30は、例えば、給電端子31a、給電端子31b、給電端子31c、および保持部32を有する。
後述するように、第1の回路21と第2の回路22のグランドは共通となっている(図4を参照)。そのため、図1に示すように、給電端子31a~31cが設けられている。以下においては、一例として、給電端子31a~31cが設けられる場合を例示するが、給電端子の数は、回路の数やグランドの使用態様などに応じて適宜変更することができる。
【0032】
給電端子31a~31cは、棒状体とすることができる。給電端子31a~31cの一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。給電端子31a~31cは、所定の方向に並べて設けることができる。給電端子31a~31cの一方の端部は、基板23に設けられた配線パターン23a、23bと半田付けされる。給電端子31a~31cの他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する給電端子31a~31cの端部には、コネクタ105が嵌め合わされる。給電端子31a~31cは、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、給電端子31a~31cの形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0033】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素からなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、給電端子31a~31cと、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、給電端子31a~31cを保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムからなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が給電端子31a~31cを保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0034】
伝熱部40は、例えば、基板23と、凹部11aの底面11a1との間に設けられている。伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着することができる。伝熱部40と凹部11aの底面11a1とを接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。接着剤は、例えば、基板23と伝熱部40とを接着する接着剤と同じとすることができる。
【0035】
また、伝熱部40は、インサート成形法により、凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)からなる層を介して、凹部11aの底面11a1に取り付けることもできる。熱伝導グリスの種類には特に限定はないが、例えば、変性シリコーンに、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。
【0036】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成することができる。
なお、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合などには、伝熱部40を省くこともできる。
【0037】
次に、第1の回路21、および第2の回路22についてさらに説明する。
まず、比較例に係る回路121、および回路122について説明する。
図3は、比較例に係る回路121、および回路122の回路図である。
回路121は、ストップランプの回路である。図3に示すように、回路121は、4つの発光素子21a、抵抗121a、およびダイオード121bを有する。4つの発光素子21a、抵抗121a、およびダイオード121bは、直列接続されている。
【0038】
回路122は、テールランプの回路である。図3に示すように、回路122は、発光素子22a、抵抗122a、およびダイオード122bを有する。発光素子22a、抵抗122a、およびダイオード122bは、直列接続されている。
【0039】
発光素子21a、22aの順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子(給電端子31a、31b)とグランド端子(給電端子31c)との間の印加電圧を一定にすると、発光素子21a、22aから照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子21aに直列接続された抵抗121aの抵抗値を、発光素子21aの順方向電圧特性に応じて変えることで、発光素子21aに流れる電流の値が所定の範囲内となるようにしている。また、発光素子22aに直列接続された抵抗122aの抵抗値を、発光素子22aの順方向電圧特性に応じて変えることで、発光素子22aに流れる電流の値が所定の範囲内となるようにしている。
【0040】
発光素子21a、22aに流れる電流の値が所定の範囲内となれば、発光素子21a、22aから照射される光の明るさを所定の範囲内に収めることができる。すなわち、比較例に係る回路121、および回路122は、抵抗駆動回路となっている。
【0041】
ここで、車両用照明装置に印加される電圧(入力電圧)は変動する。例えば、一般的な自動車用の車両用照明装置の場合には、動作標準電圧(定格電圧)が13.5V程度とされている。そのため、入力電圧が13.5Vの場合に所定の全光束が得られるように、抵抗121a、122aの抵抗値が設定されている。
【0042】
ところが、入力電圧が極端に低下する場合が生じ得る。例えば、スターターモータでクランキングしてエンジンを始動する場合などにおいては、入力電圧が6V程度となる場合がある。
【0043】
一般的に、発光素子21a、22aの順方向の電圧降下は3V程度である。そのため、4つの発光素子21aと抵抗121aとが直列接続された回路121においては、電圧降下が12V以上となる。そのため、エンジンの始動時などにおいては、ストップランプの回路である回路121における点灯が維持できなくなる。
また、車両の走行中などにおいても、入力電圧が変動する場合がある。例えば、自動車用の車両用照明装置の場合には、入力電圧が9V以上、16V以下の範囲で変動する場合が生じ得る。そのため、入力電圧がこの様な範囲で変動した場合にも、ストップランプの回路である回路121における点灯が維持できなくなったり、必要となる全光束が得られなくなったりする場合が生じ得る。
【0044】
図4は、第1の回路21、および第2の回路22を例示するための回路図である。
前述した様に、第1の回路21は、例えば、ストップランプの回路である。第1の回路21は、基板23の上に設けられている。図4に示すように、第1の回路21は、例えば、複数の発光素子21a、ダイオード21b、および制御素子21cを有する。例えば、図1および図4に示すように、第1の回路21には、4つの発光素子21aを設けることができる。ただし、発光素子21aの数は例示をしたものに限定されるわけではない。
【0045】
図1に示すように、複数の発光素子21a、ダイオード21b、および制御素子21cは、基板23の上に設けられている。複数の発光素子21a、ダイオード21b、および制御素子21cは、配線パターン23aを介して直列接続されている。第1の回路21は、配線パターン23aを介して、給電端子31a、および給電端子31cに電気的に接続されている。
【0046】
発光素子21aは、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子21aは、チップ状の発光素子とすることもできるし、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることもできるし、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。図1および図2に例示をした発光素子21aは、チップ状の発光素子である。この場合、発光素子21aを、表面実装型の発光素子、または砲弾型などのリード線を有する発光素子とすれば、前述した枠部24および封止部25を省くことができる。ただし、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、チップ状の発光素子とすることが好ましい。以下においては、一例として、発光素子21aがチップ状の発光素子である場合を説明する。
【0047】
チップ状の発光素子21aは、COB(Chip On Board)により配線パターン23aに実装することができる。チップ状の発光素子21aは、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、およびフリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。
発光素子21aの数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや、第1の回路21の用途などに応じて適宜変更することができる。
【0048】
ダイオード21bは、給電端子31aと、発光素子21aおよび制御素子21cと、の間に電気的に接続されている。ダイオード21bは、例えば、逆方向電圧が発光素子21aおよび制御素子21cに印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子21aおよび制御素子21cに印加されないようにするために設けられる。ダイオード21bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。図1に例示をしたダイオード21bは、表面実装型のダイオードである。
【0049】
制御素子21cは、ダイオード21bと、複数の発光素子21aとの間に電気的に接続されている。発光素子21aの順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、給電端子31aと給電端子31cとの間の印加電圧を一定にすると、発光素子21aから照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。また、入力電圧が変動すると、発光素子21aから照射される光の明るさが変動する。そのため、制御素子21cは、複数の発光素子21aに流れる電流の値を制御する。例えば、制御素子21cは、複数の発光素子21aに流れる電流の値が略一定となるようにする。制御素子21cは、例えば、ミラー回路、定電流ダイオードを用いた定電流回路、トランジスタを用いたカレントリミッタ回路、定電流ICなどを有することができる。
【0050】
また、複数の発光素子21aが直列接続されていると、入力電圧が低下した際に、複数の発光素子21aに流れる電流の値が小さくなって、必要となる全光束が得られなくなるおそれがある。そのため、制御素子21cは、入力電圧を検出し、検出された入力電圧に応じて、電流を流す発光素子21aの数を変えることができる。例えば、図4に示すように、入力電圧が所定の電圧よりも高い場合には、制御素子21cは、直列接続された4つの発光素子21aに電流を流す。入力電圧が所定の電圧よりも低い場合には、制御素子21cは、直列接続された2つの発光素子21aに電流を流し、直列接続された他の2つの発光素子21aには電流を流さない。この様にすれば、入力電圧が低下した際に、2つの発光素子21aに流れる電流の値が小さくなるのを抑制することができる。そのため、入力電圧が低下した際に、必要となる全光束を確保することができ、且つ、全光束の変動を抑制することができる。
【0051】
前述した様に、第2の回路22は、例えば、テールランプの回路である。第2の回路22は、基板23の上に設けられている。図4に示すように、第2の回路22は、例えば、発光素子22a、ダイオード22b、および抵抗22cを有する。図1に示すように、発光素子22a、ダイオード22b、および抵抗22cは、基板23の上に設けられている。発光素子22a、ダイオード22b、および抵抗22cは、配線パターン23bを介して直列接続されている。第2の回路22は、配線パターン23bを介して、給電端子31b、および給電端子31cに電気的に接続されている。
【0052】
発光素子22aは、前述した発光素子21aと同様とすることができる。ただし、発光素子22aの数は、発光素子21aの数よりも少ない。例えば、図1および図4に示すように、第2の回路22には、1つの発光素子22aを設けることができる。ただし、発光素子22aが、複数設けられていてもよい。
【0053】
この場合、ストップランプとしては、光の出射面(例えば、光学要素26の、封止部25側とは反対側の面)の周縁領域が明るい発光分布が好ましく、テールランプとしては、光の出射面の中央領域が明るい発光分布が好ましい。
【0054】
そのため、例えば、テールランプ用として、第2の回路22に1つの発光素子22aを設けることが好ましい。また、ストップランプ用として、第1の回路21に複数の発光素子21aを設けることが好ましい。この場合、複数の発光素子21aは、発光素子22aを囲む位置に設けることができる。この様にすれば、車両用照明装置1をテールランプとして用いる場合であっても、車両用照明装置1をストップランプとして用いる場合であっても、好ましい発光分布を得ることができる。
【0055】
ダイオード22bは、給電端子31bと、発光素子22aおよび制御素子22cと、の間に電気的に接続されている。ダイオード22bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22aに印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22aに印加されないようにするために設けられる。ダイオード22bは、前述したダイオード21bと同様とすることができる。
【0056】
抵抗22cは、ダイオード22bと、発光素子22aとの間に電気的に接続されている。発光素子21aと同様に、発光素子22aの順方向電圧特性にも、ばらつきがあるので、給電端子31bと給電端子31cとの間の印加電圧を一定にすると、発光素子22aから照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。
【0057】
そのため、発光素子22aから照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22aに直列接続された抵抗22cにより、発光素子22aに流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗22cの抵抗値を変化させることで、発光素子22aに流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0058】
抵抗22cは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗22cは、膜状の抵抗器である。
【0059】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗22cが膜状の抵抗器であれば、抵抗22cと基板23との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、生産性の向上や、抵抗値のばらつきの抑制を図ることもできる。
【0060】
抵抗22cが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22aの順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗22cを選択する。抵抗22cが膜状の抵抗器の場合には、抵抗22cの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗22cの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22aの数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0061】
また、第1の回路21、および第2の回路22の少なくともいずれかには、発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子をさらに設けることもできる。例えば、第1の回路21、および第2の回路22の少なくともいずれかに、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などをさらに設けることもできる。
【0062】
以上に説明した様に、複数の発光素子21aを有する第1の回路21には、制御素子21cが設けられている。そのため、入力電圧が極端に低下した場合(例えば、6V程度)であっても、複数の発光素子21aによる点灯を維持したり、必要となる全光束を維持したりすることができる。また、制御素子21cは、入力電圧に応じて、電流を流す発光素子21aの数を変えることができるので、必要となる全光束を確保することができ、且つ、全光束の変動を抑制することができる。
【0063】
この場合、抵抗22cに代えて、第2の回路22にも制御素子21cを設けることもできる。しかしながら、第2の回路22に設けられる発光素子22aの数は、第1の回路21に設けられる発光素子21aの数よりも少ないので、入力電圧が極端に低下した場合であっても、発光素子22aによる点灯を維持したり、必要となる全光束を維持したりするのが容易である。また、抵抗22cは、制御素子21cに比べて価格が安く、大きさも小さい。そのため、第2の回路22に抵抗22cを設ける様にすれば、車両用照明装置1の低コスト化や小型化を図ることができる。
【0064】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるリアコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるリアコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられ、複数の用途を兼用する車両用灯具であればよい。
【0065】
図5は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図5に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0066】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0067】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0068】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0069】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図5に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0070】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0071】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0072】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している給電端子31a~31cの端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を給電端子31a~31cの端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、第1の回路21および第2の回路22とを電気的に接続することができる。
【0073】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0074】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、20 発光モジュール、21 第1の回路、21a 発光素子、21c 制御素子、22 第2の回路、22a 発光素子、22c 抵抗、23 基板、31a~31c 給電端子、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4
図5