(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124357
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ネームホルダー
(51)【国際特許分類】
G09F 1/10 20060101AFI20230830BHJP
B42D 15/02 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G09F1/10 A
B42D15/02 521
G09F1/10 V
G09F1/10 U
G09F1/10 F
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028081
(22)【出願日】2022-02-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】520042467
【氏名又は名称】上辻 澄子
(74)【代理人】
【識別番号】100098350
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 睦彦
(72)【発明者】
【氏名】平田 慶
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005UA08
(57)【要約】
【課題】シンプルかつ低コストの、名刺束を保持する機能を兼ね備えたネームホルダーを提供する。
【解決手段】シート状の可撓性のホルダー本11aは、切欠きまたは切込みにより形成された、横方向に対向する1対の第1の突状片14と、切欠きまたは切込みにより形成された、縦方向に対向する1対の第2の突状片16とを備える。1対の第1の突状片14はホルダー本体11aの表面においてネームプレート21を保持し、1対の第2の突状片16はホルダー本体11aの裏面において名刺束25を保持する。ホルダー本体11aに切込みまたは切欠きにより形成された少なくとも1つの係止片18をさらに備え、この係止片18はホルダー本体11aの表面において1対の第1の突状片14で保持されたネームプレート21の下端を支持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の可撓性のホルダー本体で形成されるネームホルダーであって、
前記ホルダー本体は、
切欠きまたは切込みにより形成された、横方向に対向する1対の第1の突状片と、
切欠きまたは切込みにより形成された、縦方向に対向する1対の第2の突状片とを備え、
前記1対の第1の突状片は前記ホルダー本体の表面においてネームプレートを保持し、前記1対の第2の突状片は前記ホルダー本体の裏面において名刺束を保持するネームホルダー。
【請求項2】
前記ホルダー本体に、切込みまたは切欠きにより形成された少なくとも1つの係止片をさらに備え、この係止片は前記ホルダー本体の表面において前記1対の第1の突状片で保持された前記ネームプレートの下端を支持するよう機能する請求項1に記載のネームホルダー。
【請求項3】
前記1対の第1の突状片は前記ホルダー本体の切欠きにより形成され、当該切欠き部は、ネームプレートを前記ホルダー本体の表面に沿って上縁側から装着する際に前記ネームプレートの案内部として機能する、側方から内側方向へ傾斜する傾斜部と、前記ネームプレートの下端が当接する当接部を有する請求項1または2に記載のネームホルダー。
【請求項4】
前記1対の第1の突状片を形成する前記切欠き部において、前記傾斜部は前記ホルダー本体のほぼ上半分の領域に位置し、前記ホルダー本体のほぼ下半分の領域に前記傾斜部に続く、内側から外側方向へ傾斜する他の傾斜部を有する請求項3に記載のネームホルダー。
【請求項5】
前記1対の第1の突状片の基部同士の間隔はほぼ前記ネームプレートの横幅に相当する請求項1から4のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項6】
前記1対の第2の突状片の基部同士の間隔はほぼ前記名刺の短辺幅に相当する請求項1から5のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項7】
吊り下げ用の連結部を前記ホルダー本体に有する請求項1から6のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項8】
前記ホルダー本体は、その側縁部において、切欠きにより形成された、クリップ付きの筆記具を保持するための筆記具保持部を有する請求項1から7のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項9】
前記筆記具はアンケート記入用ペンである請求項8に記載のネームホルダー。
【請求項10】
前記筆記具はボールペンである請求項8に記載のネームホルダー。
【請求項11】
前記ホルダー本体は、切欠きにより形成された、印鑑を保持するための印鑑保持部を有する請求項1から10のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項12】
前記ホルダー本体は、その側縁部において、切欠きにより形成された、カッター部材を保持するためのカッター保持部を有する請求項1から11のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項13】
前記ホルダー本体は、周縁部の少なくとも一部に設けられた長さ測定用の目盛を有する請求項1から12のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項14】
前記ホルダー本体は携帯用記録媒体を保持するための記録媒体保持部を有する請求項1から13のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項15】
前記ホルダー本体は、前記記録媒体保持部として、前記携帯用記録媒体をストラップでぶら下げるための透孔および前記携帯用記録媒体を収容するための切欠き部を有する請求項14に記載のネームホルダー。
【請求項16】
前記第2の突状片に代えて、横方向に対向して並置されたほぼ縦方向に伸びる1対の切込みを有し、前記1対の切込みは名刺束を保持するトンネル状部を形成する請求項1~15のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項17】
前記ネームプレートは前記名刺とほぼ同等のサイズを有する請求項1から16のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項18】
前記ネームプレートは前記名刺より大きいサイズを有する大判のネームプレートである請求項1から16のいずれかに記載のネームホルダー。
【請求項19】
前記ホルダー本体は、前記1対の第1の突状片の下方に、横方向に対向するもう一組の1対の突状片としての第3の突状片を有する請求項18に記載のネームホルダー。
【請求項20】
前記1対の第3の突状片は各々の頂部に凹部を有し、
前記ホルダー本体は、さらに、前記1対の第2の突状片の下側の突状片の下方に、切欠きまたは切込みにより形成された、「山」型の突状片を有し、
前記ホルダー本体の表面において、前記1対の第3の突状片と前記「山」型の突状片とにより、前記大判のネームプレートより小さいサイズのネームプレートを保持することができる請求項19に記載のネームホルダー。
【請求項21】
前記ホルダー本体は紙、プラスチック、または金属で形成される請求項1から20のいずれかに記載のネームホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネームプレートを保持するネームホルダーであって、名刺束を保持する機能を兼ね備えたネームホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、展示会の会場などで参加者が自己を表示するネームカードをストラップで首からぶら下げたり、上着のポケット等にクリップで留めたりすることが広く行われている。また、会社等の組織において組織の構成員が自己のIDカードを首からぶら下げて提示するとともにゲートや部屋の解錠キーとして使用することも一般的となっている。そのために、ネームカードやIDカードを収納する袋状ないしケース状の透明のカードホルダが用いられる。
【0003】
一方、展示会の参加者や組織の構成員は他者との面会時等の自己紹介のために名刺束を別途、名刺入れなどに所持している。この名刺入れは通常、上着のポケットやカバンなどに収納しており、必要時に一々取り出すのに探したり手間取ったりする不便がある。
【0004】
このような問題に鑑み、特許文献1には、名刺入れとカードホルダーの両方の機能を兼ね備えた携帯用ケースが提案されている。この携帯用ケースは、複数枚の名刺を収容する蓋部付き箱状部の表面の四隅に立ち上がり部と三角形の覆い部によって形成された名刺保持部が設けられ、それら4つの開口にネームカード(名刺や社員証、IDカード等)の四つの角部を差し込んで保持するよう構成されている。携帯用ケースの上端部には首掛けストラップを連結できる連結部が設けられており、名刺交換時には首からぶら下げた携帯用ケースを手にしてその蓋部を開くことにより迅速に名刺を取り出すことができる。
【0005】
特許文献2には、表裏同時に名刺等のカードを保持できるカードホルダが提案されている。このカードホルダは、屈曲可能なシートに複数の切目が切り込まれたもので、複数の切目に含まれる内切目および外切目で形成される帯部と、外切目およびシート面で形成されるポケット部とを備え、シートの一面において帯部およびポケット部のいずれか一方を用いて第1のカードを保持するとともに、シートの他面において帯部およびポケット部のいずれか他方を用いて第2のカードを保持できるようにしたものである。
【0006】
特許文献3には、分別廃棄する必要がなく再生利用可能な紙製のカードホルダが提案されている。このカードホルダは、紙素材からなり、且つ収納領域を頂面部より窪ませてなる凹部により形成され、名刺を凹部に収納した状態で保持しうる係止片として、凹部の上辺に第1の係止片を設けるとともに、凹部の左右下部に第2の係止片を設けたものである。ホルダ本体の左右上縁部にはストラップが挿通可能な1対の挿通孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-41288号公報
【特許文献2】特開2013-129143号公報
【特許文献3】特開2005-125553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ネームホルダーの特定の用途、例えば、展示会などで主催者が用意するネームホルダーは、その場限りのものであって、参加者が持ち帰ってもよいような低コストの透明プラスチック製のものが使用されることが多い。しかし、大量に消費される用途で使用されるネームホルダーとしては、さらなる低コスト化が望ましい。
【0009】
特許文献1に記載の携帯用ケースは名刺入れを兼ね備えており機能的には好ましいものであるが、展示会などの用途には適さない。なぜなら、この携帯用ケースでは、複数枚の名刺(名刺束)は蓋付の箱状部に収納するものであり、その製造コストがかさみ、販売価格もそれ相応のものとならざるを得ないからである。参加者が多数になる大規模な展示会や、頻繁に開催される展示会などでは、なおさらである。使用後に回収するにしても、回収には手間が掛かり、回収物の管理も煩雑である。
【0010】
特許文献2に記載のカードホルダは、表裏同時に名刺等のカードを保持できるが、複数の名刺(名刺束)を保持することは想定されておらず、その構造的にも名刺束を保持することは困難である。
【0011】
特許文献3は分別廃棄する必要がなく再生利用可能な紙製のカードホルダを開示しているが、その表面側に名刺等のカードを保持するのみで、名刺束を保持することはできない。また、表面のカード保持構造は凹部および係止片で立体的なカード収納空間を形成するものであって、その構造が複雑であり、コスト高となることは否めない。
【0012】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、その課題は、シンプルかつ低コストの、名刺束を保持する機能を兼ね備えたネームホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示によるネームホルダーは、シート状の可撓性のホルダー本体で形成されるネームホルダーであって、前記ホルダー本体は、切欠きまたは切込みにより形成された、横方向に対向する1対の第1の突状片と、切欠きまたは切込みにより形成された、縦方向に対向する1対の第2の突状片とを備える。前記1対の第1の突状片は前記ホルダー本体の表面においてネームプレートを保持し、前記1対の第2の突状片は前記ホルダー本体の裏面において名刺束を保持することができる。
【0014】
前記ホルダー本体に、切込みまたは切欠きにより形成された少なくとも1つの係止片をさらに備えてもよい。この係止片は前記ホルダー本体の表面において前記1対の第1の突状片で保持された前記ネームプレートの下端を支持するよう機能する。
【0015】
前記ネームホルダーにおいて、前記1対の第1の突状片は前記ホルダー本体の切欠きにより形成され、当該切欠き部は、ネームプレートを前記ホルダー本体の表面に沿って上縁側から装着する際に前記ネームプレートの案内部として機能する、側方から内側方向へ傾斜する傾斜部と、前記ネームプレートの下端が当接する当接部を有してもよい。
【0016】
前記1対の第1の突状片を形成する前記切欠き部において、前記傾斜部は前記ホルダー本体のほぼ上半分の領域に位置し、前記ホルダー本体のほぼ下半分の領域に前記傾斜部に続く、内側から外側方向へ傾斜する他の傾斜部を有してもよい。
【0017】
前記ネームホルダーの一形態において、前記1対の第1の突状片の基部同士の間隔はほぼ前記ネームプレートの横幅に相当する。
【0018】
前記ネームホルダーの一形態において、前記1対の第2の突状片の基部同士の間隔はほぼ前記名刺の短辺幅に相当する。
【0019】
前記ネームホルダーにおいて、吊り下げ用の連結部を前記ホルダー本体に有してもよい。
【0020】
前記ネームホルダーにおいて、前記ホルダー本体は、その側縁部において、切欠きにより形成された、クリップ付きの筆記具を保持するための筆記具保持部を有してもよい。
【0021】
このネームホルダーの一形態において、前記筆記具はアンケート記入用ペンである。
【0022】
このネームホルダーの他の形態において、前記筆記具はボールペンである。
【0023】
前記ネームホルダーにおいて、前記ホルダー本体は、切欠きにより形成された、印鑑を保持するための印鑑保持部を有してもよい。
【0024】
前記ネームホルダーにおいて、前記ホルダー本体は、その側縁部において、切欠きにより形成された、カッター部材を保持するためのカッター保持部を有してもよい。
【0025】
前記ネームホルダーにおいて、前記ホルダー本体は、周縁部の少なくとも一部に設けられた長さ測定用の目盛を有してもよい。
【0026】
前記ネームホルダーにおいて、前記ホルダー本体は携帯用記録媒体を保持するための記録媒体保持部を有してもよい。
【0027】
前記ネームホルダーにおいて、前記ホルダー本体は、前記記録媒体保持部として、前記携帯用記録媒体をストラップでぶら下げるための透孔および前記携帯用記録媒体を収容するための切欠き部を有してもよい。
【0028】
前記ネームホルダーにおいて、前記第2の突状片に代えて、横方向に対向して並置されたほぼ縦方向に伸びる1対の切込みを有してもよい。前記1対の切込みは名刺束を保持するトンネル状部を形成することができる。
【0029】
前記ネームプレートは前記名刺とほぼ同等のサイズを有するものであってもよいし、前記名刺より大きいサイズを有する大判のネームプレートであってもよい。
【0030】
前記ネームプレートが大判のネームプレートである場合、前記ホルダー本体は、前記1対の第1の突状片の下方に、横方向に対向するもう一組の1対の突状片としての第3の突状片を有してもよい。
【0031】
前記1対の第3の突状片は各々の頂部に凹部を有し、前記ホルダー本体は、さらに、前記1対の第2の突状片の下側の突状片の下方に、切欠きまたは切込みにより形成された、「山」型の突状片を有してもよい。これにより、前記ホルダー本体の表面において、前記1対の第3の突状片と前記「山」型の突状片とにより、前記大判のネームプレートより小さいサイズのネームプレートを保持することができる。
【0032】
前記ホルダー本体は、例えば、紙、プラスチックまたは金属で構成することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、シンプルかつ低コストの、名刺束を保持する機能を兼ね備えたネームホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図6】本発明の第6の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図7】本発明の第6の実施形態に係るネームホルダーを示す他の図である。
【
図8】本発明の第7の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図9】本発明の第7の実施形態に係るネームホルダーを示す他の図である。
【
図10】本発明の第8の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図11】本発明の第9の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【
図12】本発明の第10の実施形態に係るネームホルダーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係るネームホルダー10aを示している。
図1(a)はネームホルダー10aを構成するホルダー本体11aの正面図、
図1(b)はホルダー本体11aの一面(表面)にネームプレート21を保持し、他面(裏面)に複数枚の名刺からなる名刺束25を保持した利用状態を示す正面図、
図1(c)はその背面図である。本明細書において、「ネームプレート」とは自己の名前や所属情報(会社名、部署名等)を表示するシート状部材であり、会場や組織内等でユーザが身に着けるネームホルダー10aに装着して提示するものを想定している。名前や所属情報の他に付属情報(例えば、会社名や顔写真、住所、連絡先等)を併せて表示するものであってもよい。ネームプレート21のサイズは特に限定しない。典型的にはクレジットカード程度のサイズであるが、場合によってはさらに大判のものもありうる。
【0037】
ホルダー本体11aは、ほぼ方形、この例では若干横長のほぼ長方形の形状を有するシート状の可撓性の材料で構成されている。具体的には所定の曲げ剛性(曲げこわさ)を有する素材、例えば、厚紙、プラスチックシート、金属シート等で構成することができる。ここでの所定の曲げ剛性とは、好ましくは、所定の範囲内の外力に応じて湾曲し、外力を解除すれば元の形状に戻るような性質をいう。使い捨ての素材としては厚紙が好ましい。
【0038】
ホルダー本体11aは、切込みにより形成された、横方向に凸部を対向させて配置された1対の第1の突状片14と、切込みにより形成された、縦方向に凸部を対向させて配置された1対の第2の突状片16とを備える。突状片14,16はいずれも図示の例では舌状片であるが、必ずしも舌状片に限るものではない。縦方向に対向する1対の第2の突状片16と、横方向(左右方向)に対向する1対の第1の突状片14とは、ホルダー本体11aの中央部を共有し、ホルダー本体11aの全体領域を互いに干渉することなく言わば住み分けて利用することができ、コンパクトなネームホルダー10aが実現される。
【0039】
図1(b)に示すように、1対の第1の突状片14は、ホルダー本体11aの表面においてホルダー本体11aとの間にネームプレート21を挟持して保持するよう機能する。1対の第1の突状片14の基部(根本)同士の間隔はほぼネームプレート21の横幅に相当する。ネームプレート21は1対の第1の突状片14とホルダー本体11aの表面との間の摩擦力で保持される。
【0040】
但し、ネームホルダー10aの表面が鉛直方向に沿うように保持されているときに、重力等の外力によりネームプレート21が意図せずにずり落ちることを阻止するために、ホルダー本体11aに、切込みまたは切欠きにより形成された少なくとも1つの(図では左右下部の2つ)係止片18を設けている。係止片18は、ホルダー本体11aの表面において、1対の第1の突状片14で保持されたネームプレート21の下端を支持する係止部(当接部)23を構成する。
【0041】
ホルダー本体11aを紙等の不透明の材料で形成した場合、突状片14および係止片18は、保持したネームプレート21の表面の一部を被覆(覆い隠す)ことになるが、本構成では
図1(b)に示すように、その影響はほぼ問題とならない。すなわち、通常横長のネームプレート21に対して、表面側の左右の1対の突状片14はネームプレート21の視認性を極力阻害しないサイズとされている。
【0042】
図1(c)に示すように、1対の第2の突状片16はホルダー本体11aの裏面においてホルダー本体11aとの間に名刺束25を挟持して保持することができる。1対の第2の突状片16の基部同士の間隔はほぼ名刺の短辺幅に相当する。実際上、その間隔は、保持する名刺束25の最大厚さに応じて、名刺の短辺幅より若干大きく設定される。名刺束25の保持は単なる保持が目的であり、しかもネームホルダー10aの通常の使用時に、名刺束25は表面側のネームプレート21の裏側に位置するので、突状片16が名刺表面を大きく被覆して視認を妨げても何ら問題がない。また、1対の第2の突状片16は上下方向において互いに対向して配置されるので、保持した名刺束25が重力でずり落ちることはない。
【0043】
ホルダー本体11aの上縁部には、吊り下げ用の連結部12,13が設けられている。連結部13は、図示しない首掛け用のストラップを通すための左右1対の円形透孔である。連結部12は、クリップの挟持部のずれを防止するためのものであり、図の例では中央の長孔で形成されている。クリップは、首掛け用ストラップの先端についている場合もあれば、衣服に取り付け可能な安全ピンと一体化されている場合もある。但し、連結部12,13は必須ではなく、それらの形状、サイズ、位置も図示のものに限定されるものではない。
【0044】
本実施形態によれば、ネームプレート21と名刺束25の同時保持の機能をきわめてコンパクトな構成でかつ低コストで実現することができる。特に、ホルダー本体を紙製とすれば廃棄に問題がなく、再生利用も可能となる。
【0045】
<第2の実施形態>
図2に本発明の第2の実施形態に係るネームホルダー10bを示す。
図2(a)はネームホルダー10bを構成するホルダー本体11bの正面図、
図2(b)はホルダー本体11bの一面(表面)にネームプレート21を保持し、他面(裏面)に名刺束25を保持した利用状態を示す正面図、
図2(c)はその背面図である。第1の実施形態と同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。
【0046】
第2の実施形態のネームホルダー10bが第1の実施形態のネームホルダー10aと異なる点は、突状片14,16および係止片18が、ホルダー本体の切込みではなく切欠き部によって形成されていることである。本明細書において、「切込み」とはホルダー本体に単に線状(直線・曲線を問わない)の切目を形成することを意味するのに対して、「切欠き」とはループ状の切込み(切抜き)を行うことにより、ホルダー本体の一部が離脱する切片が生じることを意味する。
【0047】
この第2の実施形態における第1の突状片14および係止片18は切欠き部15により形成される。切欠き部(切欠き領域)15は、ネームプレート21をホルダー本体11aの表面に沿って上縁側から装着する際にネームプレート21の案内部として機能する、側方から内側方向へ傾斜する傾斜部15aと、ネームプレート21の下端が当接する係止部(当接部)23を有する。傾斜部15aはホルダー本体11aのほぼ上半分の領域に位置する。切欠き部(切欠き領域)15はさらに、ホルダー本体11aのほぼ下半分の領域において、傾斜部11aに続く、内側から外側方向へ傾斜する他の傾斜部15bを有する。
【0048】
このように第2の実施形態のネームホルダー10bにおいて、ネームプレート21がホルダー本体11bの上縁側からほぼホルダー本体面に平行に下縁側へスライド装着される際に、切欠き部15は、その装着を容易化するようにネームプレート21を案内する手段として機能する。すなわち、ネームプレート21のスライド装着時には切欠き部15の存在により、比較的容易に、ネームプレート21の側縁下端部がホルダー本体11bの表面から突状片14の背面を通って、係止片18の背後に入り込み、係止部23で停止する。
【0049】
他方、切欠き部17は1対の第2の突状片16を形成する。この実施形態における切欠き部17は、第1の実施形態における突状片14の切込み線を拡大した形状を有する。この切欠き部17は名刺束25をホルダー本体11bに対してその面に平行にスライドさせて装着する際に、その装着を容易化させる手段として機能する。
【0050】
第1の実施形態のネームホルダー10aは紙製にしろ、プラスチック製にしろ、シンプルな構成で、その重量は特許文献1に記載のような従来品に比べて軽いものである。第2の実施形態のネームホルダー10bの切欠き部15および切欠き部17はホルダー本体11bの一部を切除するものであり、これにより、ネームホルダー10bをさらに軽量化することができる。第2の実施形態のこのような切欠き構成は、例えば後述するより大判のネームホルダーで特に有効となる。
【0051】
<第3の実施形態>
図3に本発明の第3の実施形態に係るネームホルダー10cを示す。
図3(a)はネームホルダー10cを構成するホルダー本体11cの正面図、
図3(b)はホルダー本体11cの一面(表面)にネームプレート21を保持し、他面(裏面)に名刺束25を保持した利用状態を示す正面図、
図3(c)はその背面図である。
【0052】
この第3の実施形態は第1の実施形態(
図1)に類似しており、第1の実施形態と同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。第1の実施形態と異なる点は、1対の第2の突状片16に代えて、横方向に対向して並置された縦方向に伸びる1対の切込み19を有するものである。この1対の切込み19は、
図3(c)に示すように、名刺束25を保持するトンネル状部を形成する。この例では、切込み19は内側へ若干湾曲して突出した円弧形状を有する。このような形状はホルダー本体11c上での1対の突状片14との住み分けに効果的である。特に図示はしないが、切込み19に代えて、その線幅を拡大したような切欠きとしてもよい。
【0053】
この第3の実施形態は、第1および第2の実施形態に比べてホルダー本体11cの素材の曲げ剛性の程度が小さい、すなわち、可撓性が比較的高い場合により有効である。
【0054】
<第4の実施形態>
図4は第4の実施形態に係るネームホルダー10dを示している。
図4(a)はネームホルダー10dを構成するホルダー本体11dの正面図、
図4(b)はホルダー本体11dの一面(表面)にネームプレート21を保持し、他面(裏面)に名刺束25を保持した利用状態を示す正面図、
図4(c)はその背面図である。
【0055】
この第4の実施形態は第1の実施形態(
図1)に類似しており、第1の実施形態と同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。第1の実施形態と異なる点は、ホルダー本体11dにアンケート記入用ペンのペン保持部32,33が追加されたものである。これらはホルダー本体11dの上縁部周辺において、クリップ付きの筆記具を保持するための筆記具保持部を構成するものであり、切欠きにより形成される。
【0056】
図4(d)に示すように、展示会などでアンケート用紙に記入するためのクリップ31aが付いた簡易・軽量のアンケート記入用ペン31が配布される場合がある。本実施形態によればそのようなペン31をネームホルダー10dに装着できるようにしたものである。これにより、会場で配布されたペン31を保管したり探したりする手間が省ける。
【0057】
この例では、ホルダー本体11dの上縁の左右に2か所、左右の側縁上部に2か所の計4か所にほぼU字状の切欠きとしてのペン保持部32,33が設けられている。これらの4つのペン保持部32,33はすべてが必要という訳ではなく、少なくとも1つがあれば足りる。但し、このような複数のペン保持部を設けることにより、ユーザの利き手や使用状況に応じて、任意のペン保持部が選択できるように便宜を図ることができる。また、ホルダー本体11dを軽量化する狙いもある。
【0058】
このような切欠きによるペン保持部32,33がなくてもクリップ31aでホルダー本体11dの所望の周縁部にペン31を装着することは可能であるが、ペン保持部32,33の存在によりペン31の取り付けができることをユーザに知らしめる効果、および、装着時にペン31の頭部がホルダー本体11dの内方へ入り込むことにより、ホルダー本体11dの周縁部から突出して邪魔になることがないという効果が得られる。(アンケート記入用ペン31は通常比較的長さが短いので、ペン31の先端部もホルダー本体11dからはみ出すことがない、あるいは、はみ出したとしてもそのはみだし量が少なくて済む。)
【0059】
<第5の実施形態>
図5は第5の実施形態に係るネームホルダー10eを示している。
図5(a)はネームホルダー10eを構成するホルダー本体11eの正面図、
図5(b)はホルダー本体11eの一面(表面)にネームプレート21を保持し、他面(裏面)に名刺束25を保持した利用状態を示す正面図、
図5(c)はその背面図である。
【0060】
この第5の実施形態は第2および第4の実施形態(
図2,
図4)に類似しており、第2および第4の実施形態と同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。第5の実施形態のネームホルダー10eは、第2の実施形態のネームホルダー10bに対して、第4の実施形態のネームホルダー10dのアンケート記入用ペン31のペン保持部32,33を追加するとともに、ホルダー本体11eの周縁部の少なくとも一縁(図の例では下縁)に長さ測定用の目盛表示部39を設けたものである。商談時などに商談商品の寸法を測定したい場合があり、目盛表示部39によりそのような場面で定規を探す手間が省ける。特に図示はしないが、このような目盛表示部39は他の任意の実施形態のネームホルダーに採用することが可能である。
【0061】
<第6の実施形態>
図6に本発明の第6の実施形態に係るネームホルダー10fを示す。この図はネームホルダー10fを構成するホルダー本体11fの正面図である。第6の実施形態は第2の実施形態(
図2)と類似しており、同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。
【0062】
第6の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、第2の実施形態のホルダー本体11bが大型化された、名刺より大きいサイズの大判のホルダー本体11fとなっていることである。より具体的には、切欠き部15のサイズが大型化され、突状片14の下方にもう一組の1対の突状片14a(第3の突状片)が追加されている。名刺束25のサイズは変わらないので、名刺束25を保持するための1対の突状片16のサイズは第2の実施形態と同じである。
【0063】
図7(a)はホルダー本体11fの一面(表面)に大判のネームプレート21aを保持し、他面(裏面)に名刺束25を保持した利用状態を示す正面図である。
図7(b)はその背面図である。
【0064】
図7(a)から分かるように、大判のネームプレート21aがホルダー本体11fに装着されるとき、ネームプレート21aの両側縁下端部は、ホルダー本体11fの上縁側から突状片14の背面を通った後、突状片14aの表面を通り、さらに、係止片18の背面に差し込まれる。この状態で、ネームプレート21aは係止部(当接部)23に当接してそれ以上の差し込み動作が阻止される。これにより、ネームプレート21aがホルダー本体11fに、脱落するおそれなく確実に保持される。
【0065】
この例では、ホルダー本体11fの上縁のペン保持部32のみを示しているが、側縁のペン保持部33も設けてもよい。突状片16は切欠きでなく切込みで形成されてもよい。
【0066】
図7(b)に示すように、ネームホルダー10fの背面における名刺束25の保持状態は第2の実施形態と同様である。
【0067】
この実施形態によれば、大判のネームプレート21aに対応可能となる大判のネームホルダー10fが実現される。また、特に大型の切込み部15を設けたことにより、大判のネームホルダー10fの軽量化を図ることができる。
【0068】
<第7の実施形態>
図8に本発明の第7の実施形態に係るネームホルダー10gを示す。この図はネームホルダー10gを構成するホルダー本体11gの正面図である。第7の実施形態は第6の実施形態(
図6)と類似しており、同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。
【0069】
第7の実施形態で特徴的な点は、ホルダー本体11gにおいて、下側の突状片16の下方に切込みにより形成された「山」型の突状片36を有することである。すなわち、この突状片36は、左右の凸部36a,36eと中央の凸部36cを有する。中央の凸部36cと左の凸部36aとの間には左側の凹部36bを有する。また、中央の凸部36cと右側の凸部36eとの間には右側の凹部36dを有する。なお、本明細書において、「左」とは「対象物に向かって左」を意味し、「右」とは「対象物に向かって右」を意味するものとする。
【0070】
さらに、両側縁部の1対の突状片14の下方に1対の突状片37(第3の突状片)を有する。1対の突状片37は各々の頂部に凹部を有する。より具体的には、突状片37は2つの凸部37a,37cとその間の凹部37bとにより構成される。
【0071】
この例では突状片36は切込みで形成されているが、切欠きで形成されてもよい。
【0072】
第7の実施形態は、展示会の主催者等が用意したネームプレート21aが手書き用の空白形式のものである場合等に参加者が自己の有するIDカード(名刺等を含む)を別途装着できるようにしたものである。
【0073】
図9(a)は第7の実施形態のホルダー本体11gに大判のネームプレート21aを保持した状態を示す正面図である。このネームプレート21aはユーザの情報が空欄となっている。ネームプレート21aの保持時に、その両側縁下端部がホルダー本体11gの表面に沿って、その上縁側から左右の突状片14の背面さらに突状片37の背面を通って、ホルダー本体11gの係止片18の背面に差し込まれ、ネームプレート21aの下端が係止部(当接部)23に当接して差し込み動作が停止する。その際、ネームプレート21aの中央下端部は、ホルダー本体11gの主要部の表面と突状片36の背面の間に挟持される。このようにして、ネームプレート21aがホルダー本体11fに、脱落するおそれなく確実に保持される。本実施形態ではネームプレート21aは空欄のままであり、その上に、ユーザが別途自身のIDカード21b等がネームプレートとして装着される。本実施形態では、ネームホルダー10gにIDカード21bを保持するのでネームプレート21aは必ずしも保持しなくてもよいが、美観的には保持した方が好ましい。
【0074】
図9(b)は
図9(a)の状態のネームホルダー10gに対して、突状片37および突状片36を利用してIDカード21bを保持した状態を示す正面図である。
【0075】
図9(b)に示すように、IDカード21bの両側縁下端部は、左右の突状片37の凸部37aの表面側を通って凹部37bから凸部37cの背面側に回り込み、さらに、IDカード21bの下辺部が、突状片36の中央の凸部36cの背面側かつ左右の凸部36a,36eの表面側に位置し凹部36b、36dに当接するようにホルダー本体11gに装着される。
【0076】
図9(c)に示すように、ネームホルダー10gの背面における名刺束25の保持は第6の実施形態(
図6)と同様である。その際、突状片36は1対の突状片16より下方に位置しており、名刺束25の装着および保持に何ら影響しない。
【0077】
<第8の実施形態>
図10に本発明の第8の実施形態に係るネームホルダー10hを示す。
図10(a)はネームホルダー10hを構成するホルダー本体11hの正面図、
図10(b)はホルダー本体11hの一面(表面)にネームプレート21を保持し、他面(裏面)に名刺束25を保持した利用状態を示す正面図、
図10(c)はその背面図である。このネームホルダー10hは第2の実施形態(
図2)のネームホルダー10bに類似しており、同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。
【0078】
第8の実施形態で特徴的な点は、第2の実施形態の機能に加えてさらに、ボールペン49のようなクリップ付きの筆記具およびUSBメモリのような携帯用記録媒体43の装着機能を備えていることである。
【0079】
そのために、
図10(a)に示すように、このホルダー本体11hは、ネームホルダー10bのホルダー本体11bに比べてその下端が下方向に延長されて、この例では縦長の形状となっている。
【0080】
ホルダー本体11hは、その側縁部において、左右1対のペン保持部41およびもう一組の左右1対のペン保持部42を有する。これらはホルダー本体11hの両側縁部において、ほぼU字状の切欠きにより形成された、クリップ付きの筆記具を保持するための筆記具保持部を構成する。したがって、この例では、2本のボールペンを同時にネームホルダー10hに保持することができる。クリップ49aを装着できる箇所はこの例では4か所となる。
図10(b)には左側のペン保持部41にクリップ49aを装着することにより、ボールペン49を水平方向に保持した例を示している。
【0081】
ホルダー本体11hの下半分の中央部には記録媒体収容部47となるほぼU字状の切欠き部が形成されている。この切欠き部の直上部でかつ突状片16(下側)の下方に透孔46が設けられている。この透孔46は記録媒体43を吊り下げるためのストラップ48の接続部となる。ストラップ48の他端は記録媒体43の透孔部43cに接続される。
【0082】
記録媒体43は本体部43aと蓋部43bを有し、本体部43aにコネクタ部が隠れており、使用時に蓋部43bが外されて利用される。ストラップ48の一端または中間部に着脱可能な連結具(図示せず)を備えてもよい。
【0083】
<第9の実施形態>
図11に本発明の第9の実施形態に係るネームホルダー10iを示す。
図11(a)はネームホルダー10iを構成するホルダー本体11iの正面図、
図11(b)はホルダー本体11iの一面(表面)にネームプレート21を保持し、他面(裏面)に名刺束25を保持した利用状態を示す正面図、
図11(c)はその背面図である。このネームホルダー10iは第8の実施形態(
図10)のネームホルダー10hに類似しており、同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。
【0084】
第9の実施形態で特徴的な点は、ホルダー本体11iの一方のペン保持部41に対向する他方のペン保持部41に代えてペン先保持部50が設けられたことである。
【0085】
ペン先保持部50はペン保持部41で水平方向に保持されたボールペン49のペン先を保持するための部位であり、ほぼU字状の切欠き51とその内側の透孔53により構成される。このU字状の切欠き51をホルダー本体表面において90度谷折りすることにより、ホルダー本体表面から直立したペン先保持部50が実現される。ペン保持部41にクリップ49aを装着したボールペン49の先端部を透孔53に挿入することにより、水平に保持されたボールペン49のペン先が重力により垂れ下がるのを防止することができる。
【0086】
<第10の実施形態>
図12に本発明の第10の実施形態に係るネームホルダー10jを示す。
図12(a)はネームホルダー10jを構成するホルダー本体11jの正面図、
図12(b)はホルダー本体11jの一面(表面)にネームプレート21を保持し、他面(裏面)に名刺束25を保持した利用状態を示す正面図、
図12(c)はその背面図、
図12(d)はこのネームホルダー10jの付属品の外観図である。このネームホルダー10jは第2の実施形態(
図2)のネームホルダー10bに類似しており、同様の要素には同様の参照符号を付して、重複した説明は省略する。
【0087】
物流センターのピッキング業務などでは、商品の取り出し、検品、荷受け、段ボール箱の開封などの作業が行われる。その際、印鑑(ネーム印)、カッターナイフ、ペン等の複数の用具をポケットに入れて作業を行うのが通例であるが、それらの用具の取り出しに手間取りやすく作業に支障をきたす問題がある。
【0088】
第10の実施形態はそのような用途に適したもので、特徴的な点は、第2の実施形態の機能に加えてさらに、印鑑85を保持するための印鑑保持部80および、カッター部材としてのマイクロカッター60を有することである。
【0089】
そのために、
図12(a)に示すように、このホルダー本体11jはネームホルダー10bのネームホルダー10bに比べてその下端が下方向に延長されて、この例では縦長の形状となっている。
【0090】
図12(a)に示すようにこのホルダー本体11jは、その左側縁下部に長方形状の切欠きにより形成されたカッター保持部65を有する。カッター保持部65には
図12(d)に示すようなマイクロカッター60(カッター部材)が装着される。マイクロカッター60は、カッター本体部66とカッターさや部67により構成される。
【0091】
図12(d1)(d2)(d3)はそれぞれ、カッター本体部66の左側面図、正面図、および右側面図を示している。これらの図からわかるように、カッター本体部66は、その上下縁面にその長手方向に沿った溝66aを有し、断面H状の形状を有する主要部66dと、その側縁部面から隆起した凸部66bおよびこの凸部66bに支持されて外方に突出する刃部66cを備える。
【0092】
他方、
図12(d1)(d2)(d3)はそれぞれ、カッターさや部67の左側面図、正面図、および右側面図を示している。カッターさや部67は、その3辺の周縁面にその長手方向に沿った溝67aを有する主要部67dと、その左側縁面に設けられた2段階の凹部67b,67cを備える。凹部67bにはカッター本体部66の凸部66bが嵌合し、凹部67cには刃部66cが収容される。
【0093】
図12(b)からわかるように、カッターさや部67は、カッター保持部65の切欠き部の上下縁が溝67aに嵌合するようにカッター保持部65に挿入され、先端の溝67aにカッター保持部65の端部が嵌合した状態で停止する。この停止状態は接着剤等の固定手段で固定化してもよい。この状態のカッターさや部67に対して、カッター本体部66はカッター保持部65(切欠き部)の上下縁が溝66aに嵌合するようにカッター保持部65に挿入され、カッターさや部67と連結される。カッター本体部66は必要時にユーザによりカッターさや部67から離脱してホルダー本体11jから取り外され、段ボール箱等の開封などの用途に利用される。
【0094】
このように、カッター本体部66は不使用時にもユーザ自身の面前のネームホルダー10jのカッター保持部65に保持されており、必要時に直ちに取り外して利用でき、使用後も即座に安全に収納できる。
【0095】
さらに、ホルダー本体11jはカッター保持部65の隣接する下部領域に印鑑保持部80を有する。印鑑保持部80はほぼU字状の切込み81aとその内側の透孔81bからなる印鑑通し部81、およびその下方にほぼU字状の切欠き83aにより構成された印鑑支持部83により構成される。U字状の切込み81aの切片をホルダー本体表面から90度谷折りすることにより、ホルダー本体表面から直立した印鑑通し部81が実現される。さらに、U字状の切込み83aの切片をホルダー本体表面から90度谷折りすることにより、ホルダー本体表面から直立した印鑑支持部83が実現される。
図12(b)(c)から分かるように、印鑑85は印鑑通し部81の透孔81bを通して、印鑑85の底部が印鑑支持部83に当接した状態で支持される。
【0096】
このように、印鑑85は不使用時にもユーザ自身が面前のネームホルダー10jの印鑑保持部80に保持されており、必要時に直ちに取り外して利用でき、使用後も即座に印鑑保持部80に収納できる。
【0097】
図示の例では、ユーザがネームホルダー10jを身に着ける手段として、首掛けストラップではなく安全ピン付きクリップ70を用いる場合を示している。安全ピン付きクリップ70は、表面プレート73の背面に固定されたばね仕掛けのクリップ部71と、同じく背面に固定された安全ピン72を有する。表面プレート73は円形のものを示しているが、円形に限定されるものではない。安全ピン付きクリップ70はそのクリップ部71でホルダー本体11jの連結部(クリップ取り付け部)12に固着されるとともに、安全ピン72でユーザの衣服に取り付けられる。これにより、ネームホルダー10jがユーザの衣服に取り付けられた状態となる。
【0098】
このように実施形態のネームホルダー10jによれば、マイクロカッター60や印鑑85を必要時に即座に利用し、使用後に即座に元の位置に収納することができる。
【0099】
ボールペン49などのクリップ付き筆記具も、上記と同様に、ホルダー本体11jのペン保持部32に取り付けておくことができ、必要時に直ちに取り外して使用し、使用後はペン保持部32に戻すことができる。
【0100】
<変形例>
上述した実施形態における構成要素の形状、サイズ、位置、向き、構成要素間の相互の位置関係、等、あくまで例示であり、それらに限定されるものではなく、種々の変形、変更を行うことが可能である。
【0101】
また、上述した以外にも、可能な範囲で、異なる実施形態の特徴を相互に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0102】
10a~10j ネームホルダー
11a~11j ホルダー本体
12,13 連結部
14 突状片(1対の第1の突状片)
14a 突状片(1対の第3の突状片)
15 切欠き部(切欠き領域)
15a,15b 傾斜部
16 突状片(1対の第2の突状片)
17 切欠き部
18 係止片
21,21a ネームプレート
21b IDカード
23 係止部(当接部)
25 名刺束
31 アンケート記入用ペン
31a クリップ
32,33 ペン保持部
36 突状片
36a 凸部
36b 凹部
36c 凸部
36d 凹部
36e 凸部
37 突状片(1対の第3の突状片)
37a 凸部
37b 凹部
37c 凸部
39 目盛表示部
41,42 ペン保持部
43 携帯用記録媒体(USBメモリ)
43a 本体部
43b 蓋部
43c 透孔部
46 透孔
47 記録媒体収容部
48 ストラップ
49 ボールペン(クリップ付きの筆記具)
50 ペン先保持部
53 透孔
60 マイクロカッター(カッター部材)
65 カッター保持部
66 カッター本体部
66a 溝
66b 凸部
66c 刃部
66d 主要部
67 カッターさや部
67a 溝
67b,67c 凹部
67d 主要部
70 安全ピン付きクリップ
71 クリップ部
72 安全ピン
73 表面プレート
80 印鑑保持部
81 印鑑通し部
81a 切込み
81b 透孔
83 印鑑支持部
85 印鑑