(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124371
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】風防機構及びこれを備えたガスコンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 3/14 20210101AFI20230830BHJP
F23D 14/28 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
F24C3/14 P
F23D14/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028101
(22)【出願日】2022-02-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】591156009
【氏名又は名称】東邦金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203910
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 健弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 靖彦
(57)【要約】 (修正有)
【課題】風により炎が消えることを防止しつつ燃焼部や容器室の過度な温度上昇を抑制して対象物の加熱を促進することができる風防機構及びこれを備えたガスコンロを提供する。
【解決手段】調理容器を加熱するバーナー111の周囲に配置される風防機構50であって、前記バーナー111を囲むように配置される一以上の風防部材10を有する第1風防体1と、前記第1風防体1を囲むように配置される一以上の風防板20を有する第2風防体2とを備え、前記一以上の風防部材10のそれぞれは、複数の通気孔11hが形成されるとともに、前記バーナー111に面する第1面11aと第2風防体2に面する第2面11bとを有する壁部11を有し、前記一以上の風防板20のそれぞれは、前記バーナー111側に向かう風を遮蔽するとともに複数の連通孔21hが形成される平板部21を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーが配置される燃焼部とガスボンベが配置される供給部とを有するガスコンロにおいて燃焼部の周囲に配置される風防機構であって、
前記バーナーを囲むように配置される一以上の風防部材を有する第1風防体と、
前記第1風防体を囲むように配置される一以上の風防板を有する第2風防体とを備え、
前記一以上の風防部材のぞれぞれは、複数の通気孔が形成されるとともに、前記バーナーに面する第1面と第2風防体に面する第2面とを有する壁部を有し、
前記一以上の風防板のぞれぞれは、前記バーナー側に向かう風を遮蔽するとともに複数の連通孔が形成される平板部を有していることを特徴とする風防機構。
【請求項2】
前記一以上の風防板のぞれぞれは、いずれかの前記壁部の前記第2面と対向した状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の風防機構。
【請求項3】
前記複数の風防板のぞれぞれは、その幅方向の両端において前記幅方向及び上方に延びる延出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の風防機構。
【請求項4】
前記複数の通気孔には、バーナー側に突出するとともに、下方側に開口された案内部が設けられ、
前記複数の通気孔は前記複数の連通孔よりも下方側に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の風防機構。
【請求項5】
前記第1風防体及び第2風防体は、平面視四角形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の風防機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の風防機構を備えたガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風防機構及びこれを備えたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋外で使用されるための携帯型コンロが製造・販売されている。屋内での使用とは異なり、屋外でコンロを使用する場合には、自然現象、特に風の影響を受けてコンロの火が消えることがないよう、携帯型コンロには様々な対策が講じられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ガスバーナーへの外風の吹き込みを抑えるための風防手段を備えた携帯式ガスコンロが開示されている。風防手段は、ガスバーナーの周囲に配置される貫通孔のない内側風防手段と、複数の衝立部と複数の空気導入部とが交互に配置されて形成された外側風防手段とを有している。ガスコンロがこのような風防手段を備えているため、強風の中であっても火炎の横倒しを有効に防止し、加熱性能を維持することができる。
【0004】
また、特許文献2には、アウトドアレジャーでの使用に適した風防付携帯用コンロ装置が開示されている。コンロ装置は、地面に載置可能な平面視筒状若しくはC字状に形成された、折り畳み式の風防壁材を有している。風防壁材の上縁部より低い位置に存する状態でコンロ本体を風防壁材内に配設することにより、コンロ本体のバーナー部が風防壁材に囲まれて確実な風避け作用を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5174947号公報
【特許文献2】特許第6008907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1、2に記載の風防手段等は、ガスバーナーへの外風の吹き込みを抑えるために設けられたものであり、バーナーが配置される燃焼部やガスボンベが配置される容器室(供給部)の温度の上昇を抑制することは特段重視されるものではなかった。例えば、特許文献1では、ガスバーナーが配置される本体部とガスボンベを収容するボンベ収容室との間に配置される外側風防手段の上端部は五徳の上縁よりも低いため、ガスバーナーによる熱い空気がボンベ収容室側に排気される虞があった。また、特許文献2では、燃料タンクは燃焼部から離れて配置されているため、燃焼部で発生した熱い空気を回避しなければならないという必要性が乏しかった。燃焼部や容器室の温度が過度に上昇すると、安全装置が作動してバーナーの炎が消えることもあるため、燃焼部や容器室の過度な温度上昇は加熱調理を行う過程において支障をきたす。そのため、バーナーを強風から保護するとともに、燃焼部や容器室の過度な温度上昇を回避することが求められている。
【0007】
そこで、本発明は風により炎が消えることを防止しつつ燃焼部や容器室の過度な温度上昇を抑制して対象物の加熱を促進することができる風防機構及びこれを備えたガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、バーナーが配置される燃焼部とガスボンベが配置される供給部とを有するガスコンロにおいて燃焼部の周囲に配置される風防機構であって、前記バーナーを囲むように配置される一以上の風防部材を有する第1風防体と、前記第1風防体を囲むように配置される一以上の風防板を有する第2風防体とを備え、前記一以上の風防部材のぞれぞれは、複数の通気孔が形成されるとともに、前記バーナーに面する第1面と第2風防体に面する第2面とを有する壁部を有し、前記一以上の風防板のぞれぞれは、前記バーナー側に向かう風を遮蔽するとともに複数の連通孔が形成される平板部を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る風防機構において、前記一以上の風防板のぞれぞれは、いずれかの前記壁部の前記第2面と対向した状態で配置されていてもよい。
【0010】
本発明に係る風防機構において、前記複数の風防板のぞれぞれは、その幅方向の両端において前記幅方向及び上方に延びる延出部が形成されていてもよい。
【0011】
本発明に係る風防機構において、前記複数の通気孔には、バーナー側に突出するとともに、下方側に開口された案内部が設けられ、前記複数の通気孔は前記複数の連通孔よりも下方側に位置していてもよい。
【0012】
本発明に係る風防機構において、前記第1風防体及び第2風防体は、平面視四角形状に形成されていてもよい。
【0013】
更に本発明は、前記風防機構を備えたガスコンロである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、風により炎が消えることを防止しつつ燃焼部や容器室の過度な温度上昇を抑制して対象物の加熱を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る風防機構及びこれを備えたガスコンロの模式的な斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、実施形態に係る風防部材の模式的な斜視図であり、
図2(b)は、実施形態に係る風防部材の模式的な正面図であり、
図2(c)は、実施形態に係る風防部材の模式的な上面図である。
【
図3】
図3(a)は、実施形態に係る風防板を背面側から視た斜視図であり、
図3(b)は、
図3(a)のA-A断面図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態に係る風防板の模式的な斜視図であり、
図4(b)は、実施形態に係る風防板の模式的な正面図である。
【
図5】
図5(a)は、調理容器及び風防機構が配置されたガスコンロの使用状態を示す図であり、
図5(b)は、使用状態のガスコンロを上方から見た図である。
【
図6】
図6は、ガスコンロを通過する風の流れを示す図である。
【
図7】
図7(a)は、ガスコンロを通過する風の流れを示す部分拡大図であり、
図7(b)は、ガスコンロを通過する風の流れを上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る風防機構50及び風防機構50が配置されるガスコンロ100の模式的な斜視図である。風防機構50は、外側の枠体と内側の枠体により構成された二重構造であり、ガスコンロ100の燃焼部110を囲むように配置されている。風防機構50の外形寸法は、燃焼部110の外形寸法と一致する程度の大きさに形成されている。
【0018】
ガスコンロ100は、燃焼部110と、供給部120から構成されている。燃焼部110は、バーナー111及び五徳112を有する。供給部120には、図示しないガスボンベが配置されている。風防機構50は、バーナー111を囲むように並んで配置される複数の風防部材10を有する第1風防体1と、第1風防体1を囲むように並んで配置される複数の風防板20を有する第2風防体2を有している。以下において、複数の風防部材10又は複数の風防板20が並ぶ方向(X方向又はY方向)を水平方向とし、水平方向に直交する方向を上下方向(Z方向)とする。
【0019】
図2(a)は、風防部材10の模式的な斜視図であり、
図2(b)は、風防部材10の模式的な正面図であり、
図2(c)は、風防部材10の模式的な上面図である。風防部材10は、壁部11と、壁部11の上端部から外側に突出する突出部12と、壁部11の下端部から突出部12と同じ側に水平方向に延びる水平部13とを有する。
【0020】
壁部11は、水平方向(X方向又はY方向)に延出する板状の部材であり、バーナー111側に第1面11aを有し、第2風防体2側に第2面11bを有する。壁部11における下方側には、通気孔11hが形成されている。ここでは、壁部11の長手方向(幅方向)に沿って3個の通気孔11hが並んで形成されている例を示す。通気孔11hは、ガスコンロ100に流入する空気(以下「外風」と称する)あるいはバーナー111により温められた後ガスコンロ100から流出する空気(以下「加熱風」と称する)が通過する孔である。
【0021】
通気孔11hの個数、大きさ等は、壁部11の面積やガスコンロ100の大きさを考慮して適宜決定すればよい。通気孔11hの個数が多すぎると、外風が通り抜けやすく、炎の揺れを防ぐことが出来ない一方で、通気孔11hの個数が少なすぎると、外風による新鮮な空気(二次空気)の不足により青い炎(良い燃焼)が得られなくなり、また熱がバーナー111付近に籠りやすくなる。外風の勢いを軽減させ、新鮮な空気(二次空気)をバーナー111付近まで取り入れることが出来、かつバーナー111付近に籠った熱をガスコンロ100の外部に少しでも多く放出するのであれば、通気孔11hの面積は大きければ大きいほど好ましい。
【0022】
突出部12は、壁部11から外側に突出する。具体的には、突出部12は、壁部11に連続するように、ガスコンロ100に配置される鍋(規定鍋)60の鍋底と炎に出来るだけ当たらないよう、また外風からの影響を出来るだけ受けにくいように壁部11の上端から第1面11aと反対側に設けられている。水平部13は、第1風防体1の強度を考慮し、汁受皿(不図示)への装着のために、壁部11から外側に突出する。具体的には、水平部13は、壁部11に連続するように、壁部11の下端から第1面11aと反対側に延びるように設けられている。突出部12及び水平部13の長手方向における寸法は、壁部11の長手方向における寸法とほぼ等しい。風防部材10は、壁部11と、バーナー111と反対側に突出する突出部12及び水平部13により、第2面11b側から見た場合に凹状となるように形成されている。
【0023】
壁部11の長手方向における両側には、第2風防体2側に湾曲する湾曲部14が設けられている。具体的には、湾曲部14は、壁部11に連続するように、壁部11の左右両端からバーナー111と反対側に突出するように設けられている。湾曲部14は、五徳112に取り付けられて、風防部材10がガスコンロ100に固定されるための部材である。なお、湾曲部14同士が接合されることにより風防機構50が構成されてもよい。
【0024】
図3(a)は、実施形態に係る風防部材10を背面側から視た斜視図であり、
図3(b)は、
図3(a)のA-A断面図である。
図3(a)、(b)に示すように、各通気孔11hには、バーナー111側に突出するとともに、下方側に開口された案内部15が設けられている。即ち、第2面11bには、通気孔11hが形成されている場所に対応して、バーナー111側に突出する案内部15が設けられている。案内部15は、下方側に延びるように形成されており、案内部15の下方側には開口15aが形成されている。これは、第2風防体2を通り抜けた外風に対して勢いを軽減させ、良い燃焼に必要な空気(二次空気)を下方側、即ちバーナー111炎口の可能なかぎり近い場所に送り込むためである。
【0025】
このような風防部材10を、バーナー111の周囲に配置することにより第1風防体1が構成される。具体的には、各五徳112間に配置された4個の風防部材10により、平面視四角形状の第1風防体1が形成される。バーナー111に近い側に配置される第1風防体1は、外風の入り込み軽減と熱による影響を考慮し、バーナー111から適度な距離を隔てて配置される。また、変形や燃焼を防止する観点から、風防部材10は不燃性の材料により形成されていることが望ましい。
【0026】
なお、風防部材10の湾曲部14同士を連結することにより、第1風防体1が多角形状をなすように形成されてもよい。
図1には、4個の風防部材10により構成された第1風防体1を示したが、これは一例であり、第1風防体1を構成する風防部材10の個数は、特に限定されるものではない。また、1個あるいは複数の湾曲した状態の風防部材10を、バーナー111の周囲に配置してもよい。
【0027】
図4(a)は、風防板20の模式的な斜視図であり、
図4(b)は、風防板20の模式的な正面図である。風防板20は、
図1上のガスコンロ100外周に沿って配置され、例えばガスコンロ100の汁受皿一辺に相当する長さ程度の寸法に形成された平板状の部材である。風防板20は、平板部21と、延出部22とを有して構成される。
【0028】
平板部21は、バーナー111側に向かう風を遮蔽するとともに複数の連通孔21hが形成される。具体的には、
図4(a)、(b)の平板部21は
図1上の水平方向(X方向又はY方向)に延出する平板状の部材である。平板部21の水平方向における寸法は、
図1上のガスコンロ100の汁受皿一辺の寸法とほぼ一致するように形成されている。平板部21の下方側には、幅方向(水平方向)に沿って連通孔21hが形成されている。ここでは、水平方向に9個の連通孔21hが一定間隔で9個形成されている例を示す。
【0029】
連通孔21hの個数は、平板部21の大きさやガスコンロ100の大きさによって決定される。連通孔21hから燃焼を良くするための空気(二次空気)を、第1風防体1を介してバーナー111に供給する必要があるとともに、燃焼によってバーナー111に籠りやすい熱を外部に少しでも多く放出する必要がある。従って、外風がバーナー111の炎を煽る恐れが少ないのであれば、連通孔21hの大きさ(面積)が大きければ大きいほど好ましい。但し、連通孔21hを通り抜けて外風の勢いを軽減させた空気(二次空気)を第1風防体1の通気孔11hのより下側へ、またバーナー111のより下側へ送り込むために、また連通孔21hを通り抜けた外風や空気(二次空気)が第1風防体1の突出部12の上側を通り抜けて、バーナー111から出る炎に直接当たって、炎が煽られないようにするために、連通孔21hは第1風防体1の突出部12よりも下側に設置することが望ましい。
【0030】
各風防板20は、
図1上の幅方向(X方向又はY方向)における両端に、幅方向及び上方(幅方向に略直交する方向)側に延びる延出部22が形成されている。延出部22の風防板20全体に占める割合は、例えば4分の1以上であることが望ましいが、特に限定されるものではない。延出部22の幅が広く、高さが高いほど、ガスコンロ100内への外風の侵入を防止することができ、炎の揺れを軽減することができる。風防板20における上方側には、両側の延出部22とその間の平板部21により、通気部20cが形成されている。通気部20cは、例えば風防板20の一部を切り欠くことにより形成される。一例として、延出部22の高さは50mm程度であり、幅は50mm程度である。延出部22が低く幅が狭いと、斜め方向からの外風防止の効果を得ることが難しい。また、一例として、通気部20cの幅は95mm以上であるが、これは規定鍋60が接触しにくく、良い燃焼に必要な二次空気をバーナー111までできるだけ多く取り込むことができるようにするためである。通気部20cが位置する風防板20(延出部22が設けられていない風防板20)の高さは20-30mmである。これは、風防板20が高すぎると規定鍋60がずれた時に鍋底にあたる一方で、第1風防体1より高くする必要があるためである。なお、延出部22、通気部20cの寸法は、ガスコンロ100の寸法を考慮して、適宜決定すればよい。
【0031】
このような風防板20を、第1風防体1を囲むように配置することにより第2風防体2が構成される。具体的には、ガスコンロ100の汁受皿外周において、4角形の各辺において第2風防体2が立設されている。各風防板20は、いずれかの壁部11の第2面11bと対向した状態で配置されていればよい。風防板20は、正面視にて風防部材10を遮蔽する程度の寸法に形成されていればよい。なお、
図1には、4個の風防板20により構成された第2風防体2を示したが、これは一例であり、第2風防体2を構成する風防板20の個数は、特に限定されるものではない。第2風防体2は第1風防体1よりもバーナー111から遠い位置に配置され、バーナー111の熱による影響を受けにくいため、第1風防体1よりも耐熱性の低い素材により形成されてもよいが、同じ素材により形成されていてもよい。
【0032】
図5(a)は、調理容器の一例としての鍋60及び風防機構50が配置されたガスコンロ100の使用状態を示す図である。鍋60は、JIS規格(JIS S2147(カセットコンロ))に規定される試験で認められた鍋(以下「規定鍋」と称する)のことである。ガスコンロ100には風防機構50が配置され、この状態で規定鍋60が五徳112上に配置されている。規定鍋60が五徳112上に配置された状態では、第1風防体1がバーナー111の周囲全体を囲むとともに、第2風防体2が第1風防体1の外側を囲む。即ち、風防機構50はバーナー111の周囲に配置され、第1風防体1及び第2風防体2によりバーナー111を二重に囲んでいる。その上で、バーナー111が上側から規定鍋60により覆われる。なお、側方視において通気孔11hが連通孔21hよりも下方側に位置していることが望ましい。
【0033】
図5(b)は、使用状態のガスコンロ100を上方から見た図である。図示するように、第1風防体1及び第2風防体2は、いずれも平面視四角形状に形成されており、五徳112上に配置された規定鍋60は、平面視円形状に形成されている。このため、第1風防体1の4隅には、規定鍋60との間にスペースSが形成される。
【0034】
図6に、ガスコンロを通過する空気の流れを示す。図中、ガスコンロ100に流入する外風の流れを一点鎖線で示し、バーナー111により温められた後ガスコンロ100から流出する加熱風の流れを実線で示し、バーナー111により温められた空気が仕切板40で遮られ、容器室(供給部)120側へ流入出来ない、又は流入しづらい加熱風の流れを破線で示す。対向する第1風防体1における風防部材10同士、風防板20における風防板20同士により、ガスコンロ100を通過する複数の空気の流路が形成される。なお、説明の都合上、供給部120等は図示を省略する。
【0035】
ガスコンロ100内に流入する外風は、一部が第2風防体2によりガスコンロ100内への流入を阻止され、その他はガスコンロ100内へ流入する。具体的には、主にガスコンロ100の正面と側面からの外風は平板部21、又は主にガスコンロ100の四隅からの外風は、4隅に設けられた延出部22によりガスコンロ100内(第2風防体2と第1風防体1との間)への流入が阻止され、その他は通気部20cを介してあるいは連通孔21h、案内部15及び通気孔11hを介して、風の勢いが低減された燃焼に必要な空気(二次空気)として第2風防体2と第1風防体1との間やバーナー111側へ流入する。
【0036】
図7(a)は、ガスコンロ100を通過する風の流れを示す部分拡大図である。図中、ガスコンロ100に流入する外風の流れを一点鎖線で示す。
図7(a)に示すように、連通孔21h及び通気孔11hを介してガスコンロ100内へ流入する外風は、下方側に誘導される。これは、側方視において通気孔11hが連通孔21hよりも下方側に位置していることによる。通気孔11hに至った外風は案内部15(開口15a)を通って燃焼部110のバーナー111炎下部に新鮮な空気(二次空気)が風の勢いの低減された状態で当たる。なお、外風の一部は、延出部22によりガスコンロ100内への流入が阻止される。第2風防体2の風防板20の上側を通り抜けた外風の多くは、規定鍋60の底面に近い側面下部に当たり、風の勢いが軽減された状態になって風防板20と規定鍋60との隙間、風防部材10の突出部12と規定鍋60との隙間を通り、新鮮な空気(二次空気)として燃焼部110のバーナー111まで流入する。このように、外風が連通孔21h、案内部15及び通気孔11hを介してガスコンロ100内へ供給されるため、勢いの少ない風(空気)がバーナー111に到達し、燃焼の質を向上させることができる。
【0037】
図7(b)は、ガスコンロ100を通過する風の流れを上方から見た図である。図中、ガスコンロ100に流入する外風の流れを一点鎖線で示し、バーナー111により温められた後ガスコンロ100から流出する加熱風の流れを実線で示す。
図7(b)に示すように、幅広に形成されるとともに上方に延びた延出部22がガスコンロ100の外周の4隅に位置しているため、斜め上方向からガスコンロ100内へ流入する外風を遮り、あるいはガスコンロ100内へ流入する外風の勢いを低減し、炎が煽られて暴れたり消えたりすることなく、鍋底に炎が当たるようになり、鍋の中のものが煮えるようになる。
【0038】
燃焼部110に供給された空気は、バーナー111により加熱される(「加熱風」)。加熱風は、一部はバーナー111付近にとどまるとともに、その他は通気孔11hを介してあるいは風防部材10を回避するように第2風防体2側へと流出する。第2風防体2側へと流出した加熱風は、通気部20cあるいは連通孔21hを介してガスコンロ100の外側に流出する。なお、規定鍋60は、一般的に有底略円筒状に形成されていることが多く、このような規定鍋60をガスコンロ100に配置した場合、
図7(b)のスペースSのように平面視四角形状に形成された第1風防体1及び第2風防体2との間に隙間が生じやすいため、ガスコンロ100の外側に流出する加熱風の量が増加し、より温度上昇を抑制することができる。なお、仕切板40を供給部120側に設けることにより、供給部120側への加熱風の移動を抑制することができる。これにより、バーナー111から供給部120側(
図6中右側)への熱の移動を軽減することができ、安全装置(図示せず)の起動を抑制することができる。
【0039】
なお、上記では、供給部120側に向けて空気の流路が形成される場合を例に挙げて説明したが、他の方向から外風がガスコンロ100側へ流入する場合も同様である。供給部120側に向けて空気の流路が形成される場合には、供給部120側の壁部11に形成された通気孔11hと平板部21に形成された連通孔21hの開口面積を、他の通気孔11h及び連通孔21hの開口面積よりも大きくしてもよい。即ち、供給部120の過度な加熱を抑制するために、供給部120側に位置する通気孔11h及び連通孔21hの開口面積を増加させることが望ましい。これにより、燃焼部110で生じた加熱風をガスコンロ100の外側に排出させる可能性を高め、燃焼部110の過度な温度上昇を回避して、安全装置(図示せず)の起動を抑制することができる。
【0040】
上述の通り、ガスコンロ100上に配置される風防機構50が、内側の第1風防体1と外側の第2風防体2の二重の風防構造により形成されている。このように、バーナー111が第1風防体1及び第2風防体2により二重に囲まれているため、防風効果をより高めることができる。その上で、正面視四角形状に形成された第1風防体1を構成する風防部材10と、第2風防体2を構成する風防板20が対向した状態であるため、風防部材10側の通気孔11hと風防板20の連通孔21hとが通気し易い状態となる。従って、ガスコンロ100を通過する空気の流路が形成され、燃焼部110で生じた熱を排出し易くすることができる。なお、バーナー111から出る炎の熱が第1風防体1と規定鍋60との間に熱が籠らないようにするために、第1風防体1の四隅スペースSや複数の通気孔11hから第2風防体2側(外側)へ熱を逃がす。さらに第2風防体2の四隅や通気部20c、連通孔21hよりガスコンロ100の外側へ熱を逃がす。この時、熱は上方へと移動しやすいため、側方視において通気孔11hが通気部20cや連通孔21hよりも下方側に位置していることが望ましい。これにより、更に効率よく熱が排出される流路を形成することができる。
【0041】
なお、上記のように本発明の一実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0042】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、風防機構及びガスコンロの構成も本発明の一実施形態及び実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 第1風防体、2 第2風防体、10 風防部材、11 壁部、11h 通気孔、12 突出部、13 水平部、14 湾曲部、15 案内部、20 風防板、20c 通気部、21 平板部、21h 通気孔、22 延出部、40 仕切板、50 風防機構、60 規定鍋、100 ガスコンロ、111 バーナー、120 供給部
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーが配置される燃焼部とガスボンベが配置される供給部とを有するガスコンロにおいて燃焼部の周囲に配置される風防機構であって、
前記バーナーを囲むように配置される一以上の風防部材を有する第1風防体と、
前記第1風防体を囲むように配置される一以上の風防板を有する第2風防体とを備え、
前記一以上の風防部材のそれぞれは、複数の通気孔が形成されるとともに、前記バーナーに面する第1面と第2風防体に面する第2面とを有する壁部を有し、
前記一以上の風防板のそれぞれは、前記バーナー側に向かう風を遮蔽するとともに複数の連通孔が形成される平板部を有し、
前記複数の通気孔には、バーナー側に突出するとともに、下方側に開口された案内部が設けられ、
前記複数の通気孔は前記複数の連通孔よりも下方側に位置していることを特徴とする風防機構。
【請求項2】
前記一以上の風防板のそれぞれは、いずれかの前記壁部の前記第2面と対向した状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の風防機構。
【請求項3】
前記一以上の風防板のそれぞれは、その幅方向の両端において前記幅方向及び上方に延びる延出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の風防機構。
【請求項4】
前記第1風防体及び第2風防体は、平面視四角形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の風防機構。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の風防機構を備えたガスコンロ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、バーナーが配置される燃焼部とガスボンベが配置される供給部とを有するガスコンロにおいて燃焼部の周囲に配置される風防機構であって、前記バーナーを囲むように配置される一以上の風防部材を有する第1風防体と、前記第1風防体を囲むように配置される一以上の風防板を有する第2風防体とを備え、前記一以上の風防部材のそれぞれは、複数の通気孔が形成されるとともに、前記バーナーに面する第1面と第2風防体に面する第2面とを有する壁部を有し、前記一以上の風防板のそれぞれは、前記バーナー側に向かう風を遮蔽するとともに複数の連通孔が形成される平板部を有し、前記複数の通気孔には、バーナー側に突出するとともに、下方側に開口された案内部が設けられ、前記複数の通気孔は前記複数の連通孔よりも下方側に位置していることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る風防機構において、前記一以上の風防板のそれぞれは、いずれかの前記壁部の前記第2面と対向した状態で配置されていてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明に係る風防機構において、前記複数の風防板のそれぞれは、その幅方向の両端において前記幅方向及び上方に延びる延出部が形成されていてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】