(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124398
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】シート供給装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 26/00 20060101AFI20230830BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20230830BHJP
B65H 16/00 20060101ALI20230830BHJP
B65H 18/10 20060101ALI20230830BHJP
B65H 19/10 20060101ALI20230830BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20230830BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B65H26/00
B41J15/04
B65H16/00
B65H18/10
B65H19/10 A
B41J11/42
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028136
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】石塚 誠一
(72)【発明者】
【氏名】晝間 存
(72)【発明者】
【氏名】馬場 達
(72)【発明者】
【氏名】重本 昌洋
(72)【発明者】
【氏名】細井 英明
(72)【発明者】
【氏名】原澤 陽子
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
3F048
3F052
3F055
3F064
3F105
【Fターム(参考)】
2C058AB10
2C058AB16
2C058AC07
2C058AC08
2C058AE04
2C058AE08
2C058AF06
2C058GA11
2C058GB27
2C058GB31
2C058GB47
2C058GB52
2C058GB54
2C058GE16
2C060BA04
2C060BA05
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC04
3F048BA19
3F048BB03
3F048BB05
3F048BC03
3F048CC03
3F048DA01
3F048DB07
3F048DB11
3F048DB13
3F048DC09
3F048EA03
3F048EB02
3F052AA01
3F052AB05
3F052BA14
3F052CA01
3F055AA01
3F055DA01
3F055EA02
3F064AA01
3F064EB01
3F105AA01
3F105AB04
3F105BA30
3F105BA33
3F105CA02
3F105CB01
3F105DA51
3F105DA61
3F105DB03
(57)【要約】
【課題】スプールに巻回された長尺のシートを供給するシート供給装置において、連帳シートの逆セットを判定して、判定までに繰り出されたシートを巻き戻すことができるシート供給装置を提供する。
【解決手段】シート供給装置は、回転手段によってスプールを逆方向に回転させ、スプールが支持部において正しい向きでセットされているか、逆向きにセットされているかをシートの先端が第一センサを通過するときの第一検知信号に基づいて判定し、スプールが逆向きにセットされているときには回転手段の動作を停止させる。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のシートをスプールに巻回してなるロールを支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記ロールから前記シートを繰り出す順方向と、当該シートを前記ロールに巻き取る逆方向に回転させる回転手段と、
前記ロールの外周面に対面する対面部、及び当該対面部から前記シートを前記順方向に向けて延設された案内部を有するガイド部材と、
前記ガイド部材における端部であって、前記順方向の下流側の端部を回動中心として、前記対面部を前記外周面に接近又は離間させる方向へと当該ガイド部材を回動可能に支持する支軸と、
前記対面部を前記ロールに接近させる方向へ前記ガイド部材の回動を付勢する付勢部材と、
前記対面部から前記ロールに向けて突出し且つ当該ロールの外周面に当接する方向に付勢され、突出量に応じた信号レベルの第一検知信号を出力する第一センサと、
前記対面部に支持され、前記ロールの周方向において前記第一センサと異なる位置で前記ロールの外周面に当接するコロと、
前記第一検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量である信号変化率に基づいて、前記回転手段を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記回転手段によって前記スプールを前記逆方向に回転させ、前記スプールが前記支持部において正しい向きでセットされているか、逆向きにセットされているかを前記シートの先端が前記第一センサを通過するときの前記第一検知信号に基づいて判定し、当該スプールが逆向きにセットされているときには前記回転手段の動作を停止させる、
ことを特徴とするシート供給装置。
【請求項2】
前記ロールの外周面に向けて突出し且つ当該ロールから剥離した前記シートの弛みに応じて第二検知信号を出力する第二センサを備え、
前記コントローラは、
前記回転手段によって前記スプールを前記逆方向に回転させたとき、前記第二検知信号に基づいて、前記シートの弛みの有無を判定し、当該シートに弛みが生じているときには前記回転手段の動作を停止させる、
請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記回転手段の動作を停止させるまでの逆回転数を計測し、当該逆回転数が所定の閾値を越えたときに前記回転手段を停止させる、
請求項2に記載のシート供給装置。
【請求項4】
前記第二センサは、少なくとも、前記コロよりも、逆回転時の上流側に一つ設置されている、
請求項3に記載のシート供給装置。
【請求項5】
前記第二センサは、少なくとも、前記コロよりも、逆回転時の上流側に二つ設置されている、
請求項3に記載のシート供給装置。
【請求項6】
前記第二センサは、少なくとも、前記第一センサよりも、前記逆回転時の下流側であって前記ガイド部材の端部近傍に設置されている、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載のシート供給装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記シートに弛みが生じていることで前記回転手段の動作を停止させたときは、前記逆回転数に基づいて前記回転手段によって前記スプールを順回転させてから当該回転手段を停止させる、
請求項6に記載のシート供給装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記シートに弛みが生じていることで前記回転手段の動作を停止させたときは、前記逆回転数に基づいて前記回転手段によって前記スプールを順回転させ、かつ、前記第二センサの検知信号に基づいて当該回転手段を停止させる、
請求項6又は7に記載のシート供給装置。
【請求項9】
前記スプールの回転の制御の内容を報知する報知手段を備え、
前記コントローラは、前記スプールが前記支持部において逆向きにセットされていると判定したとき、し、当該スプールが逆向きにセットされているときには前記報知手段を介して警告を報知する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシート供給装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート供給装置と、
前記シート供給装置によって供給されたシートに画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート供給装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き筒(スプール)に巻回された長尺のシートとしての連帳シートを供給するシート供給装置が知られている。また、当該シート供給装置を備え、供給される連帳シートに画像を形成する画像形成装置が知られている。シート供給装置として、ユーザーが連帳シートの先端(シート先端)を手で供給部へと挿入した後、装置が先端を検知後にシート供給動作を行うシート供給機構を備えるものが既に知られている。
【0003】
従来のシート供給機構において、連帳シートを巻き取る方向にスプールを回転させ、シート先端をセンサで検知し、先端を検知した後に、連帳シートを繰り出す方向にスプールを順回転させる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術において、連帳シートの巻き取る方向の回転を逆回転といい、連帳シートを繰り出す方向の回転を順回転とする。従来技術を適用したシート供給機構は、仮に、スプールのセット方向を間違えて逆にしたとき(逆セットしたとき)にシート先端を正確に検知することができず、逆回転が停止せずに継続することになる。その結果、連帳シートの先端がスプールから、供給方向とは逆方向へと繰り出されてしまい、傷が付くなどの課題が生ずる。
【0005】
本発明は、スプールに巻回された長尺のシートを供給するシート供給装置において、連帳シートの逆セットを判定して、判定までに繰り出されたシートを巻き戻す技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、長尺のシートをスプールに巻回してなるロールを支持する支持部と、前記支持部に支持された前記ロールから前記シートを繰り出す順方向と、当該シートを前記ロールに巻き取る逆方向に回転させる回転手段と、前記ロールの外周面に対面する対面部、及び当該対面部から前記シートを前記順方向に向けて延設された案内部を有するガイド部材と、前記ガイド部材における端部であって、前記順方向の下流側の端部を回動中心として、前記対面部を前記外周面に接近又は離間させる方向へと当該ガイド部材を回動可能に支持する支軸と、前記対面部を前記ロールに接近させる方向へ前記ガイド部材の回動を付勢する付勢部材と、前記対面部から前記ロールに向けて突出し且つ当該ロールの外周面に当接する方向に付勢され、突出量に応じた信号レベルの第一検知信号を出力する第一センサと、前記対面部に支持され、前記ロールの周方向において前記第一センサと異なる位置で前記ロールの外周面に当接するコロと、前記第一検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量である信号変化率に基づいて、前記回転手段を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記回転手段によって前記スプールを前記逆方向に回転させ、前記スプールが前記支持部において正しい向きでセットされているか、逆向きにセットされているかを前記シートの先端が前記第一センサを通過するときの前記第一検知信号に基づいて判定し、当該スプールが逆向きにセットされているときには前記回転手段の動作を停止させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スプールに巻回された長尺のシートを供給するシート供給装置において、連帳シートの逆セットを判定して、判定までに繰り出されたシートを巻き戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の外観斜視図。
【
図5】正しくセットされた連帳シートの対面部との周辺の拡大図。
【
図6】正しくセットされた連帳シートの先端と、先端検知センサ及びコロとの位置関係を示す図。
【
図7】正しくセットされた連帳シートの先端を検知する先端検知センサの検知信号の信号レベルの推移を示す図。
【
図8】正しくセットされた連帳シートの対面部との周辺の拡大図。
【
図9】逆にセットされた連帳シートの先端と、先端検知センサ及びコロとの位置関係を示す図。
【
図10】逆にセットされた連帳シートの先端を検知する先端検知センサの検知信号の信号レベルの推移を示す図。
【
図11】連帳シートが逆セットされたときに生ずる不具合の第一例を示す図。
【
図12】連帳シートが逆セットされたときに生ずる不具合の第二例を示す図。
【
図13】連帳シートが逆セットされたときに生ずる不具合の第三例を示す図。
【
図14】画像形成装置の制御ブロックのハードウェア構成図。
【
図15】シートセット処理の第一実施形態を示すフローチャート。
【
図16】シートセット処理の第二実施形態を示すフローチャート。
【
図17】シートセット処理の第三実施形態を示すフローチャート。
【
図18】シートセット処理の第四実施形態を示すフローチャート。
【
図19】シートセット処理の第五実施形態を示すフローチャート。
【
図20】シートセット処理の第六実施形態の一部を示すフローチャート。
【
図21】シートセット処理の第六実施形態の他の一部を示すフローチャート。
【
図22】従来のロール紙のセット方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態]
以下、
図1及び
図2を参照して、本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのプリンタ1について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の外観斜視図である。
図2は、プリンタ1の内部構造を示す断面図である。
【0010】
[プリンタ1の全体構成]
図1に示すように、画像形成装置の実施形態としてのプリンタ1は、全体的には幅広の外形を有しており、その幅広方向の中央部分には中央カバー2を備え、中央カバー2を挟んだ両端には右カバー3及び左カバー4を備える。また、右カバー3及び左カバー4の外側の端部には側板5を備え、中央カバー2に対して開閉する操作用カバー6と、を備える。プリンタ1は、これら各カバー(右カバー3及び左カバー4、側板5、操作用カバー6)によって筐体の外形が形成されている。また、プリンタ1は、各カバーによって覆われる装置本体の長尺方向の両端付近に設けられている脚部7によって支持されている。脚部7には、移動を容易にするためのキャスタが設置されている。
【0011】
本実施形態に係るプリンタ1は、長尺のシートとしての連帳シートPに液体インクを吐出して、当該連帳シートPに画像を形成するインクジェット式の画像形成装置である。但し、プリンタ1の画像形成方式は、インクジェット方式に限定されず、電子写真方式などであってもよい。
【0012】
プリンタ1は、
図2に示すように、本発明に係るシート供給装置の実施形態としてのシート供給部10と、搬送部20と、画像形成部30と、巻取り部40と、制御部としてコントローラ50と、を主に備える。コントローラ50の詳細な構成については、
図14を用いて後述する。
【0013】
シート供給部10は、スプール8(巻き筒)に巻回された連帳シートPを、搬送路Lを通じて搬送部20に送り出して供給する。本明細書では、シート供給部10において、連帳シートPを搬送部20に送り出す方向を搬送方向とする。そして、連帳シートPを搬送方向へと搬送するときのスプール8の回転を順回転とする。なお、シート供給部10において、連帳シートPを搬送方向とは逆方向に移動させてスプール8に巻き取る回転を逆回転とする。
【0014】
搬送路Lは、プリンタ1の内部において、連帳シートPが通過する空間である。より詳細には、搬送路Lは、シート供給部10から搬送部20及び画像形成部30を経て巻取り部40に至る経路である。シート供給部10の詳細は、
図2~
図10を参照しつつ、後述する。
【0015】
搬送部20は、搬送路Lを通じてシート供給部10から供給された連帳シートPを、画像形成部30に対面する位置を通じて、巻取り部40まで搬送する。搬送部20は、搬送ローラ21と、加圧ローラ22と、搬送モータ23と、を主に備える。搬送ローラ21及び加圧ローラ22は、連帳シートPを厚み方向の両側から挟持して回転する。搬送ローラ21は、搬送モータ23の駆動力が伝達されることによって回転する。加圧ローラ22は、所定の圧力で搬送ローラ21に押圧されており、搬送ローラ21の回転に伴って従動する。
【0016】
画像形成部30は、搬送部20より連帳シートPの搬送方向の下流側に配置されている。画像形成部30は、搬送部20によって搬送された連帳シートPにインクを吐出することによって、当該連帳シートPに画像を形成する。画像形成部30は、記録ヘッド31と、キャリッジモータ32と、プラテン33と、主走査キャリッジ34と、を主に備える。
【0017】
主走査キャリッジ34は、キャリッジモータ32の駆動力が伝達されることによって、連帳シートPの搬送方向に直交する主走査方向に往復移動する。また、主走査キャリッジ34には、には、ブラック(k)、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)の各色の液体インクを吐出する記録ヘッド31が搭載されている。より詳細には、ブラックインクを吐出する記録ヘッド31k、シアンインクを吐出する記録ヘッド31c、マゼンタインクを吐出する記録ヘッド31m、イエローインクを吐出する記録ヘッド31yが搭載されている。
【0018】
記録ヘッド31のそれぞれは、コントローラ50の指示に従って、プラテン33に支持された連帳シートPに向けて各色の液体インクを吐出する。一般的に、記録ヘッド31は重力方向に向けて液体インクを吐出する。したがって、主走査キャリッジ34とプラテン33の位置関係は、重力方向において上下の関係である。すなわち、プラテン33は、対面する主走査キャリッジ34の下側に配置されている。そして、プラテン33は、搬送部20によって搬送された連帳シートPを支持する。
【0019】
巻取り部40は、搬送部20及び画像形成部30よりも、連帳シートPの搬送方向の下流側に配置されている。巻取り部40は、画像形成部30によって画像が形成された連帳シートPを巻き取る。巻取り部40は、巻取りローラ41と、巻取りモータ42と、を主に備える。巻取りローラ41は、巻取りモータ42の駆動力が伝達されることによって、画像が形成された後の連帳シートPを巻き取る向きに回転する。
【0020】
[従来のセット方法及び課題]
ここで、従来のロール紙のセット方法に関して
図22を参照しつつ説明する。ロール紙は、幅方向端部にフランジ(フランジ部材)が設けられ、スプールがセットされる。ユーザーは、スプールがセットされたロール紙を装置の給紙部受け部(スプール軸受台)にセットし(
図22(A))、ロール紙の用紙先端を探し、先端を維持しながら、
図22(B)のように両手で押さえ、用紙の先端が手前に来るようにロール紙を回転させる。次に、ユーザーは、用紙先端をロール紙の奥にあるガイド板の間に位置させてロール紙を回転させながら挿入する(
図22(C))。ユーザーが紙をガイドの奥に挿入すると、用紙は、内部で固定され、装置内部に引き込まれるようになっている。
【0021】
図22(C)で示したように、用紙先端を挿入するガイド板はロール紙の奥にある為、ロール紙に隠れてしまい見えづらく、挿入できたのかの確認がしづらくなってしまう。
【0022】
また、
図22(D)及び
図22(E)で示すように、ロール紙セット部が二段で構成された装置において、上段にロール紙がセットされている場合に下段にロール紙をセットし、先端をガイド板間に挿入する場合には上段のロール紙が既にある為に、更にガイド板が見えづらくセットの困難や斜め挿入の恐れが大きくなってしまう。
【0023】
以上説明をした従来のロール紙のセット方法では、ロール紙の用紙先端を探して搬送方向に挿入するときに、挿入確認が困難、かつ、用紙先端を均等に挿入する必要があるなど、手間を要する作業となっていた。さらに、用紙先端が均等に挿入されなかった場合には、斜めに給紙されスキューの原因となってしまい、操作のやり直しやジャムの発生など、さらに手間を要することになっていた。
【0024】
本発明に係るシート供給装置は、上記のような課題を解決する。そして、ロール紙を装置の給紙部受け部(スプール軸受台)にセットするときの方向を逆方向にしてしまった場合の課題も解決する。以下、図面を参照しながら本発明に係るシート供給装置の実施形態としてのシート供給部10について詳細に説明する。
【0025】
[シート供給部10の説明]
図3は、シート供給部10の概略構成図である。
図4は、シート供給部10が備えるガイドアーム13の斜視図である。
図2、
図3及び
図4に示すように、シート供給部10は、支持部11と、供給モータ12と、ガイドアーム13と、支軸14と、コイルバネ15と、第一センサとしての紙厚センサ16と、複数のコロ17(右コロ17a、左コロ17b)と、カッタ18と、ガイド板19(上ガイド板19a、下ガイド板19b)と、を主に備える。
【0026】
また、シート供給部10は、ロール9の外周において、連帳シートPの弛みを抑えるために、ロール9の外周面に当接するように配置されているロール押えコロ70を備える。そして、シート供給部10は、ロール9の回転中において連帳シートPの一部に弛みが生じて正常な回転が困難になったことを検知する第二センサとしての弛みセンサ60を、ロール9の外周の所定位置において複数備えている。弛みセンサ60は、例えば、逆回転時のロール9の回転方向において紙厚センサ16の下流側に相当する位置に第一弛みセンサ61を備える。また、コロ17の上流側に相当する位置に第二弛みセンサ62を備え、ロール押えコロ70の上流側に相当する位置に第三弛みセンサ63を備える。
【0027】
支持部11は、連帳シートPを軸状のスプール8に巻回してなるロール9を支持する。支持部11は、ロール9を着脱自在に支持する。また、支持部11は、スプール8の両端を回転可能に支持する。
【0028】
回転手段としての供給モータ12は、支持部11に支持されたスプール8を所定の回転方向へと回転させる。供給モータ12によるスプール8の回転は、連帳シートPを繰り出す繰出方向R1の方向(順方向)に回転させる「順回転」と、連帳シートPを巻き取る巻取方向R2の方向(逆方向)を回転させる「逆回転」に区別される。
【0029】
ガイド部材としてのガイドアーム13は、紙厚センサ16及びコロ17(右コロ17a、左コロ17b)をロール9に当接させると共に、ロール9から繰り出された連帳シートPをガイド板19の間に導く役割を担う。ガイドアーム13は、長尺板状の外形を有する。ガイドアーム13は、対面部13aと、案内部13bと、を有する。
【0030】
対面部13aは、ロール9の外周面に沿う円弧形状の外形を有する。対面部13aは、スプール8の回転中心を通る水平線より下方において、ロール9の外周面に対面している。また、案内部13bは、対面部13aから連帳シートPの供給方向の下流側に向けて延設されている。より詳細には、対面部13aは、ロール9の下端を含む領域(下部領域)に対面するように設けられており、案内部13bは、対面部13aからガイド板19の間の位置まで延設されている。
【0031】
支軸14は、支持部11に支持されたスプール8の延設方向と同じ方向に延設されている。支軸14は、各カバーの内部に固定されている。また、支軸14は、案内部13bの連帳シートPの供給方向の下流側の端部に取り付けられて、ガイドアーム13を回動可能に支持している。すなわち、ガイドアーム13は、支軸14を回動中心として、対面部13aをロール9に接触又は離間させる方向へ回動可能に構成されている。
【0032】
また、付勢部材としてのコイルバネ15は、対面部13aをロール9に近接させる向きにガイドアーム13を付勢する。
【0033】
紙厚センサ16は、対面部13aからロール9に接する方向へと突出している。また、紙厚センサ16は、対面部13aのロール9の対向面との相対的な位置関係が変化すると、対面部13aからの突出量が可変するように支持されている。さらに、紙厚センサ16は、ロール9の外周面に当接する(すなわち、対面部13aから突出する)向きに付勢されている。そして、紙厚センサ16は、対面部13aからの突出量に応じた信号レベルの第一検知信号を、コントローラ50に出力する。より詳細には、対面部13aに対しロール9に向けての紙厚センサ16の突出量が多いほど検知信号の信号レベルは大きくなる。逆に、対面部13aに対し紙厚センサ16の突出量が少なるなるほど(対面部13aへの没入量が大きくなるほど)検知信号の信号レベルは小さくなる。
【0034】
複数のコロ17は、対面部13aに回転可能に支持されている。コロ17の各々の回転軸は、スプール8及び支軸14の延設方向と同じ方向に延設されている。コロ17は、ロール9の周方向において、紙厚センサ16と異なる位置に配置されている。例えば、
図3の例では、コロ17が紙厚センサ16より巻取方向R2の上流側に配置されている。さらに、コロ17は、ロール9の周方向に直交する幅方向に離間して配置されていて、右コロ17aと左コロ17bの間に紙厚センサ16が配置されている。
【0035】
第一弛みセンサ61、第二弛みセンサ62、及び第三弛みセンサ63はいずれも、紙厚センサ16と同様に、ロール9に接する方向へと突出している状態を通常状態とする。逆セットされたロール9が巻取方向R2に回転するうちにシート先端が剥離すると、連帳シートPがロール9の外周に配置されている構造物に接触または衝突することがある。そのとき、連帳シートPが、接触又は衝突位置の近傍においてたるむ状態になる。この連帳シートPの弛み量が増加すると、弛みセンサ60を連帳シートPの弛みが押して突出量を減少させる。弛みセンサ60は突出量が減少すると第二検出信号の信号レベルが減少するように構成されているので、各弛みセンサ60の第二検知信号の信号レベルの減少を監視することで、連帳シートPに弛みが生じていること及びその場所を検知できる。
【0036】
なお、
図3では省略しているが、カッタ18は、連帳シートPの先端を幅方向の全域に亘って切断する。カッタ18による切断線は、連帳シートPの供給方向に直交する方向に延びる。すなわち、連帳シートPの先端が供給方向に対して傾斜(スキュー)している場合において、この連帳シートPの先端をカッタ18で切断することによって、連帳シートPの先端を供給方向に対して直交させることができる。
【0037】
ガイド板19(上ガイド板19a、下ガイド板19b)は、ガイドアーム13より連帳シートPの供給方向の下流側に配置されている。上ガイド板19aと下ガイド板19bは、搬送路Lを挟んで対向配置されている。ガイドアーム13に沿って進む連帳シートPは、上ガイド板19aと下ガイド板19bの間を通過して、搬送部20に供給される。すなわち、ガイド板19は、ロール9から繰り出された連帳シートPが進入する給紙部としての役割を担う。
【0038】
[ロール9を正当な向きにセットした場合の動作]
まず、ロール9を正当な向きにセットした場合を説明する。以下の説明において、ロール9を正当な向きにセットすることを「正セットする」と表記する。なお、正セットした場合、ロール9から剥離する連帳シートPの先端の方向は、巻取方向R2に対する逆方向に端部を向けている状態になる。
【0039】
正セットした後に、スプール8を巻取方向R2に回転させた場合の、紙厚センサ16の動作及び検知信号の変化の様子について説明する。
図5~
図7は、連帳シートPの先端(以下「シート先端」と表記する。)の位置と、紙厚センサ16が出力する検知信号の信号レベルとの関係を説明する一連の図である。
図5は、対面部13aの周辺の拡大図である。
図6は、シート先端と、紙厚センサ16及びコロ17との位置関係を示す部分拡大図である。
図7は、紙厚センサ16の検知信号の信号レベルの経時的な推移を示す図である。
【0040】
付勢部材としてのコイルバネ15(
図3を参照)によってガイドアーム13はロール9に近接する向きに付勢されている。したがって、
図5に示すように、紙厚センサ16とコロ17は、ロール9の外周面に当接している。また、スプール8を巻取方向R2に回転させると、ロール9の外周面に密着したシート先端は、コロ17を通過し、さらに巻取方向R2への回転によって、紙厚センサ16を通過する。以下の説明において、
図5に示すように、シート先端がコロ17を通過する前を「領域α」とする。シート先端がコロ17を通過し、そして、紙厚センサ16を通過する前を「領域β」とする。そして、シート先端が紙厚センサ16を通過した後を「領域γ」とする。
【0041】
領域αにシート先端がある状態を
図6(A)に示す。また、領域βにシート先端がある状態を
図6(B)に示す。まず、
図6(A)及び
図6(B)に示すように、シート先端がコロ17を通過すると、コロ17がロール9の外周面に当接する方向に、連帳シートPの厚み分だけガイドアーム13が回動する。その結果、紙厚センサ16は、連帳シートPの厚み分だけ対面部13aに没入する。すなわち、シート先端がコロ17を通過したことによって、紙厚センサ16の突出量が減少する。
【0042】
領域γにシート先端が至った状態を
図6(C)に示す。
図6(B)及び
図6(C)に示すように、シート先端が紙厚センサ16を通過すると、連帳シートPの外周面にコロ17が当接していることで、連帳シートPの厚みに相当するの隙間が生ずる。その結果、連帳シートPの厚みに相当する量で紙厚センサ16が対面部13aから突出する。すなわち、シート先端が紙厚センサ16を通過したことによって、紙厚センサ16の突出量が増加する。
【0043】
図7(A)は、シート先端が
図6(A)から
図6(B)及び
図6(C)に至るようにロール9が巻取方向R2に回転したときの紙厚センサ16の検知信号の変化を示している。すなわち、
図7(A)に示すように、紙厚センサ16の検知信号は、シート先端がコロ17を通過する前(
図5の領域α)はHigh信号であり、シート先端がコロ17を通過した後(
図5の領域β)はLow信号となる。なお、High信号は、Low信号より信号レベルが高い。すなわち、紙厚センサ16の検知信号は、シート先端がコロ17(右コロ17a、左コロ17b)を通過したことによって、信号レベルが低下する。
【0044】
また、シート先端が紙厚センサ16を通過した後(
図5の領域γ)は、紙厚センサ16の検知信号がLOW信号からHigh信号になる。すなわち、紙厚センサ16の検知信号は、シート先端が紙厚センサ16を通過したことによって、信号レベルが増大する。
【0045】
ここで、
図7(B)に示すように、検知信号の信号レベルの変化を微視的に観察すると、シート先端がコロ17を通過する過程において、紙厚センサ16の検知信号は、時間x1の間に信号レベルy1だけ低下する。また、シート先端が紙厚センサ16を通過する過程において、紙厚センサ16の検知信号は、時間x2の間に信号レベルy2だけ上昇する。
【0046】
以下、検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量を「信号変化率」と表記する。また、紙厚センサ16が没入するときの信号変化率を第一変化率と表記し、紙厚センサ16が突出するときの信号変化率を第二変化率と表記する。そして、詳細は後述するが、ロール9を誤ってセットした状態で巻取方向R2へ回転させたときに、発生する検知信号の信号レベルの単位時間当たりの変化量を逆セット変化率と表記する。
【0047】
そして、シート先端がコロ17を通過する際の第一信号変化率K1=|y1/x1|は、ロール9が正当にセットされていれば、巻取方向R2への回転時において、予め定められた第一閾値を超える。また、シート先端が紙厚センサ16を通過する際の第二信号変化率K2=|y2/x2|は、ロール9が正当にセットされていれば、巻取方向R2への回転時において、予め定められた第二閾値を超える。第一閾値及び第二閾値は、ロール9の微小な直径のばらつきを吸収するための閾値である。第一閾値及び第二閾値は、同一の値でもよいし、異なる値でもよい。
【0048】
以上のように、シート供給部10では、ロール9が正セットされていれば、ロール9を巻取方向R2へと回転させとき(逆回転させたとき)に、紙厚センサ16の検知信号は、HIGH信号からLOW信号へと変化してHIGH信号に戻るように変化する。そして、この検知信号の変化が、逆回転の回転速度に応じた時間範囲内に生ずる。これらに基づいて、ロール9が正しい向きにセットされていること、及び、シート先端の位置の判定をすることができる。
【0049】
[ロール9を逆セットした場合の動作]
つぎに、シート供給部10に対してロール9を逆セットしたときに、シート先端の位置と、紙厚センサ16が出力する検知信号の信号レベルとの関係を説明する。
図8は、
図5と同様の拡大図であって、ロール9を逆セットした状態を例示してる。
図9は、ロール9を逆セットしたときの連帳シートPの先端と、紙厚センサ16及びコロ17との位置関係を示す図である。
図10は、逆セット時の紙厚センサ16の検知信号の信号レベルの経時的な推移を示す図である。
【0050】
図8に示すように、ロール9を逆セットすると、連帳シートPの先端は、正セットしたときの逆方向、すなわち、巻取方向R2に向いている状態になる。
図9(A)のように領域αにシート先端がある状態から、巻取方向R2に回転してシート先端がコロ17を通過する。そして、シート先端がコロ17を通過すると、ロール9の外周面に対してコロ17の位置が連帳シートPの厚み分だけ、ロール9の外周面から離間する方向に変位する(
図9(B))。その結果、ガイドアーム13が連帳シートPの厚み分だけ回動し、紙厚センサ16は、連帳シートPの厚み分だけ対面部13aから突出する。すなわち、シート先端がコロ17を通過したことによって、紙厚センサ16の突出量が増加する。
【0051】
なお、
図9(B)に至るまでは、紙厚センサ16はロール9の外周面に当接した状態である。この状態でロール9が回転することで、紙厚センサ16は、外周面の微小な変位に応じた検出信号を出力することになる。
【0052】
続いて、シート先端が領域γに至ると(
図9(C))、シート先端が紙厚センサ16を通過するので、連帳シートPの厚みに相当する分、紙厚センサ16が対面部13aに没入する。すなわち、シート先端が紙厚センサ16を通過したことによって、紙厚センサ16の突出量が減少する。
【0053】
したがって、ロール9を逆セットした状態で巻取方向R2に回転すると、紙厚センサ16の検知信号は、正当なセット状態のようには変化せずに、
図10に示すように逆向きの変化になる。すなわち、紙厚センサ16の検知信号はLOW信号からHIGH信号になりLOW信号へと戻るように変化し、この変化が巻取方向R2への回転速度に応じて生じることになる。紙厚センサ16の検知信号の変化の方向性を監視することで、ロール9が逆セットになっていることを検出することができる。
【0054】
[逆セットで生ずる不具合の説明]
ロール9が逆セットされた状態で巻取方向R2へ回転したときの紙厚センサ16の検知信号の変化に基づいて逆セットを検知することはできるが、逆セットが検知されて逆回転を停止するために、シート先端がロール9の外周面から剥離してたるむことがある。以下において、逆セット時に生ずる可能性がある不具合の例を説明する。
【0055】
[逆セットによって生ずる不具合の第一例]
ロール9を逆セットした状態で、巻取方向R2へロール9を回転させたとき、シート先端がロール9の外周から剥離せずに巻き付いた状態が継続すると、シート先端を検知しないので、逆回転が継続し、ロール9の傷をつけることになる。
【0056】
また、
図11に例示するように、ロール9から剥離した連帳シートPのシート先端が、コロ17に突き当たって通過できない状態になると、逆回転が続くことで連帳シートPがコロ17の上流に溜まってたるむ状態になる。この場合、第二弛みセンサ62が、弛んだ連帳シートPによって押されるので、第二弛みセンサ62の検知信号はLOW信号になる。
【0057】
第二弛みセンサ62の検知信号がLOW信号になったときには、ロール9が逆セット状態であって、
図11に例示するように、連帳シートPがコロ17の上流位置でたるんでいることを検知できる。
【0058】
[逆セットによって生ずる不具合の第二例]
ロール9を逆セットして逆回転(巻取方向R2)させたときに、ロール9から剥離した連帳シートPのシート先端がロール押えコロ70に突き当たって通過できない状態になると、逆回転が続くことで連帳シートPがロール押えコロ70の上流に溜まってたるむ状態になる。この場合、第三弛みセンサ63が弛んだ連帳シートPによって押されるので、第二弛みセンサ62の検知信号はLOW信号になる。
【0059】
したがって、第三弛みセンサ63の検知信号がLOW信号になったときには、ロール9が逆セット状態であって、
図12に例示するように、連帳シートPがコロ17の上流位置でたるんでいることを検知できる。
【0060】
[逆セットによって生ずる不具合の第三例]
ロール9を逆セットして逆回転(巻取方向R2)させたときに、ロール9から剥離した連帳シートPのシート先端がロール押えコロ70やコロ17を通過したとしても、そのまま逆回転が続くとガイドアーム13の端部からシート先端が押し出されてしまう。この場合、ガイドアーム13の端部近傍に設置されている第一弛みセンサ61が弛んだ連帳シートPによって押されるので、第一弛みセンサ61の検知信号はLOW信号になる。
【0061】
したがって、第一弛みセンサ61の検知信号がLOW信号になったときには、ロール9が逆セット状態であって、
図13に例示するように、連帳シートPがガイドアーム13から排出されていることを検知できる。
【0062】
[ロール9の逆セット検知処理を実行する制御ブロック]
以下、上記で説明した不具合の例に対応すべく、ロール9の逆セットを検知する処理について説明をする。まず、逆セット検知処理を実行可能にする制御ブロックについて
図14を用いて説明する。
図14は、上記にて説明をした制御処理を実行するプリンタ1のハードウェア構成である。
【0063】
図14に示すように、プリンタ1は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)51、記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)52、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)53、記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)54、及びインタフェースとしてのI/F55が通信手段としての共通バス56を介して接続されている構成を備える。CPU51、RAM52、ROM53、HDD54は、コントローラ50の一例である。
【0064】
CPU51は演算手段であり、プリンタ1全体の動作を制御する。RAM52は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU51が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM53は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD54は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム等が格納される。
【0065】
プリンタ1は、ROM53やHDD54からRAM52にロードされた各種プログラムをCPU51が備える演算機能によって処理する。その処理によって、プリンタ1の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、プリンタ1に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、プリンタ1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0066】
I/F55は、シート供給部10、搬送部20、画像形成部30、巻取り部40、及び操作パネル(入力部)57を、共通バス56に接続するインタフェースである。すなわち、コントローラ50は、I/F55を通じて、シート供給部10、搬送部20、画像形成部30、巻取り部40、操作パネル57、及びアラーム58を制御する。
【0067】
操作パネル57は、オペレータに報知すべき各種情報を表示するディスプレイ、及びオペレータによる操作を受け付けるボタン、スイッチ、ダイヤルなどを備えるユーザインタフェースである。また、操作パネル57は、ディスプレイに重畳されたタッチパネルを備えてもよい。オペレータの操作を受け付けて、受け付けた操作に対応する操作信号をコントローラ50に出力する。
【0068】
報知手段としてのアラーム58は、逆セットが検知されたことや、弛みが検出されたことをオペレータに報知するときに、その報知音を発する。操作パネル57は報知すべき各種情報を表示するが、アラーム58は、報知すべき各種情報の内容に応じて対応する音を発すればよい。
【0069】
[逆セット検知処理の第一実施形態]
次に、
図15のフローチャートを用いて、シートセット処理の第一実施形態について説明する。以下において説明する制御処理フローや、前述したコントローラ50において実現される処理の例である。
【0070】
シートセット処理が開始されると、ロール9を巻取方向R2へ回転させるため、供給モータ12の逆回転を開始する(S1501)。逆回転が開始された後、紙厚センサ16と各弛みセンサ60の検知信号の変化を監視する。紙厚センサ16の検知信号によって逆セット状態にあると判定されず(S1502:NO)、第一弛みセンサ61の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されないとき(S1503:NO)、ロール9のセット状態は正当である可能性があるので、シート先端検知の判定をする(S1504)。
【0071】
S1504において、シート先端も検知されない状態のときは(S1504:NO)、処理をS1502に戻し、上記の判定処理を繰り返し実行する。
【0072】
S1504において、シート先端が検知されたときは(S1504:Yes)、処理終了して、後段の処理へと移行する。後段の処理は、例えば、シート先端を搬送方向に繰り出して、連帳シートPの搬送を開始する処理である。シート先端検知処理の詳細は省略する。
【0073】
S1502において紙厚センサ16の検知信号の変化が逆セット時のものであるとき(S1502:Yes)、または、S1503において第一弛みセンサ61の検知信号がLOW信号であるとき(S1503:Yes)、ロール9は逆セットされている。そこで、ロール9の回転を停止し(S1505)、操作パネル57に「用紙が逆にセットされていますので、正しい向きにしてください」などの情報を表示し、合わせてアラーム58を介して逆セットを知らせる音を発して(S1506)、処理を終了する。
【0074】
以上のように、連帳シートPの先端がガイドアーム13からはずれて、シート供給部10から排出されてしまった場合において、第一弛みセンサ61の検知信号を監視して、逆セットを検出する。これによって、ロール9の逆回転を止めて連帳シートPの破損を防ぐことができる。
【0075】
[逆セット検知処理の第二実施形態]、
次に、
図16のフローチャートを用いて、シートセット処理の第二実施形態について説明する。以下において説明する制御処理フローや、前述したコントローラ50において実現される処理の例である。
【0076】
シートセット処理が開始されると、ロール9を巻取方向R2へ回転させるため、供給モータ12の逆回転を開始する(S1601)。逆回転が開始された後、紙厚センサ16と各弛みセンサ60の検知信号の変化を監視する。紙厚センサ16の検知信号によって逆セット状態にあると判定されず(S1602:NO)、第一弛みセンサ61の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されず(S1603:NO)、第二弛みセンサ62の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されないとき(S1604:NO)、ロール9のセット状態は正当である可能性があるので、シート先端検知の判定をする(S1604)。
【0077】
S1604において、シート先端も検知されない状態のときは(S1604:NO)、処理をS1602に戻し、上記の判定処理を繰り返し実行する。
【0078】
S1604において、シート先端が検知されたときは(S1604:Yes)、処理終了して、後段の処理へと移行する。後段の処理は、例えば、シート先端を搬送方向に繰り出して、連帳シートPの搬送を開始する処理である。シート先端検知処理の詳細は省略する。
【0079】
S1602において紙厚センサ16の検知信号の変化が逆セット時のものであるとき(S1602:Yes)、S1603において第一弛みセンサ61の検知信号がLOW信号であるとき(S1603:Yes)または、S1604において第二弛みセンサ62の検知信号がLOW信号であるとき(S1604:Yes)、ロール9は逆セットされている。そこで、ロール9の回転を停止し(S1606)、操作パネル57に「用紙が逆にセットされていますので、正しい向きにしてください」などの情報を表示し、合わせてアラーム58を介して逆セットを知らせる音を発して(S1607)、処理を終了する。
【0080】
以上のように、コロ17の回転方向下流側に配置されている第二弛みセンサ62によって、コロ17に衝突して連帳シートPに弛みが生じていることを検出する。これによって、第一弛みセンサ61による逆セット検出よりも異常状態を早く検出することができるため、より確実に連帳シートPの破損を防ぐことができる 。
【0081】
[第三実施形態]、
次に、
図17のフローチャートを用いて、シートセット処理の第三実施形態について説明する。以下において説明する制御処理フローや、前述したコントローラ50において実現される処理の例である。
【0082】
シートセット処理が開始されると、ロール9を巻取方向R2へ回転させるため、供給モータ12の逆回転を開始する(S1701)。逆回転が開始された後、紙厚センサ16と各弛みセンサ60の検知信号の変化を監視する。紙厚センサ16の検知信号によって逆セット状態にあると判定されず(S1702:NO)、第一弛みセンサ61の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されず(S1703:NO)、第二弛みセンサ62の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されず(S1704:NO)、第三弛みセンサ63の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されないとき(S1705:NO)、ロール9のセット状態は正当である可能性があるので、シート先端検知の判定をする(S1706)。
【0083】
S1706において、シート先端も検知されない状態のときは(S1706:NO)、処理をS1602に戻し、上記の判定処理を繰り返し実行する。
【0084】
S1706において、シート先端が検知されたときは(S1706:Yes)、処理終了して、後段の処理へと移行する。後段の処理は、例えば、シート先端を搬送方向に繰り出して、連帳シートPの搬送を開始する処理である。シート先端検知処理の詳細は省略する。
【0085】
S1702において紙厚センサ16の検知信号の変化が逆セット時のものであるとき(S1702:Yes)、またはS1703において第一弛みセンサ61の検知信号がLOW信号であるとき(S1703:Yes)、またはS1704において第二弛みセンサ62の検知信号がLOW信号であるとき(S1704:Yes)、またはS1705において第三弛みセンサ63の検知信号がLOW信号であるとき(S1705:Yes)ロール9は逆セットされている。そこで、ロール9の回転を停止し(S1707)、操作パネル57に「用紙が逆にセットされていますので、正しい向きにしてください」などの情報を表示し、合わせてアラーム58を介して逆セットを知らせる音を発して(S1708)、処理を終了する。
【0086】
以上のように、コロ17の回転方向下流側であってロール押えコロ70の回転方向下流側に配置されている第三弛みセンサ63によって、ロール押えコロ70に衝突して連帳シートPに弛みが生じていることを検出する。これによって、逆セット時に弛みを生ずる可能性が高い箇所で、逆セット検出と異常状態を早く検出することができるため、連帳シートPの弛みの発生をより効率的に抑制できる。
【0087】
[第四実施形態]
次に、
図18のフローチャートを用いて、シートセット処理の第四実施形態について説明する。以下において説明する制御処理フローや、前述したコントローラ50において実現される処理の例である。
【0088】
シートセット処理が開始されると、ロール9を巻取方向R2へ回転させるため、供給モータ12の逆回転を開始し、逆回転の逆回転数Nrの計測を開始する(S1801)。逆回転が開始された後、紙厚センサ16と各弛みセンサ60の検知信号の変化を監視する。紙厚センサ16の検知信号によって逆セット状態にあると判定されず(S1802:NO)、第一弛みセンサ61の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されず(S1803:NO)、逆回転数Nrが所定の閾値である回転閾値Neに達していなければ(S1804:NO)ロール9のセット状態は正当である可能性があるので、シート先端検知の判定をする(S1805)。
【0089】
S1804において、シート先端も検知されない状態のときは(S1805:NO)、処理をS1602に戻し、上記の判定処理を繰り返し実行する。このとき、逆回転数Nrには一回転を加算する。
【0090】
S1805において、シート先端が検知されたときは(S1805:Yes)、処理終了して、後段の処理へと移行する。後段の処理は、例えば、シート先端を搬送方向に繰り出して、連帳シートPの搬送を開始する処理である。シート先端検知処理の詳細は省略する。
【0091】
S1802において紙厚センサ16の検知信号の変化が逆セット時のものであるとき(S1802:Yes)、またはS1803において第一弛みセンサ61の検知信号がLOW信号であるとき(S1803:Yes)、または、S1804において逆回転数Nrが、回転閾値Neに達しているとき(S1804:Yes)、ロール9は逆セットされているものと判定する。そこで、ロール9の回転を停止し(S1806)、操作パネル57に「用紙が逆にセットされていますので、正しい向きにしてください」などの情報を表示し、合わせてアラーム58を介して逆セットを知らせる音を発して(S1807)、処理を終了する。
【0092】
本実施形態によれば、ロール9が、巻き状態が崩れないように連帳シートPのシート先端を封止材で封止したままセットされたとき、シート先端が剥離しない状態になっているときなど、逆回転によって先端検知ができない場合にも対応可能である。すなわち、シート先端を検知する処理を実行する際に、逆回転数として許容可能な数を、回転閾値Neとして予め規定し、シートセット処理において逆回転数の上限を制御する。これによって、仮に正セットされている場合でもシート先端検知が困難な場合には、ロール9の逆回転を停止して、セット異常をユーザーに報知することができる。
【0093】
[第五実施形態]
次に、
図19のフローチャートを用いて、シートセット処理の第五実施形態について説明する。以下において説明する制御処理フローや、前述したコントローラ50において実現される処理の例である。
【0094】
シートセット処理が開始されると、ロール9を巻取方向R2へ回転させるため、供給モータ12の逆回転を開始し、逆回転の逆回転数Nrの計測を開始する(S1901)。逆回転が開始された後、紙厚センサ16と各弛みセンサ60の検知信号の変化を監視する。紙厚センサ16の検知信号によって逆セット状態にあると判定されず(S1902:NO)、または第一弛みセンサ61の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されなければ(S1903:NO)、ロール9のセット状態は正当である可能性があるので、シート先端検知の判定をする(S1904)。
【0095】
S1904において、シート先端も検知されない状態のときは(S1904:NO)、処理をS1902に戻し、上記の判定処理を繰り返し実行する。このとき、逆回転数Nrには一回転を加算する。
【0096】
S1904において、シート先端が検知されたときは(S1904:Yes)、処理終了して、後段の処理へと移行する。後段の処理は、例えば、シート先端を搬送方向に繰り出して、連帳シートPの搬送を開始する処理である。
【0097】
S1902において紙厚センサ16の検知信号の変化が逆セット時のものであるとき(S1902:Yes)、またはS1903において第一弛みセンサ61の検知信号がLOW信号であるとき(S1903:Yes)、ロール9の回転を停止し、合わせて逆回転数Nrの計測も停止する(S1905)。
【0098】
続いて、ロール9の順回転を開始し、合わせて、順回転数Nfの計測を開始する(S1906)。順回転数Nfが逆回転数Nrに達するまで順回転を継続する(S1906:No)。順回転数Nfが逆回転数Nrに達したとき(S1906:Yes)、ロール9の順回転を停止する(S1908)。
【0099】
この場合、ロール9は逆セットされていたことになるので、操作パネル57に「用紙が逆にセットされていますので、正しい向きにしてください」などの情報を表示し、合わせて音で報知して(S1909)、処理を終了する。
【0100】
本実施形態によれば、シート先端が搬送経路から外れて、ガイドアーム13の外にはみ出てしまった場合、第一弛みセンサ61の検知信号によって、その異常状態を検知してロール9の逆回転を停止する。停止するまでの間、連帳シートPは、逆回転数Nrに相当する長さがガイドアーム13の外側へと送り出されることになる。そこで、逆セットが検知されて逆回転を停止するまでの逆回転数Nrに相当する分の順回転を行うことで、排出された連帳シートPをスプール8の巻き戻すことができる。これによって、連帳シートPの汚れや破損を防止することができる。
【0101】
[第六実施形態]
次に、
図20及び
図21のフローチャートを用いて、シートセット処理の第六実施形態について説明する。以下において説明する制御処理フローや、前述したコントローラ50において実現される処理の例である。
【0102】
シートセット処理が開始されると、ロール9を巻取方向R2へ回転させるため、供給モータ12の逆回転を開始し、逆回転の逆回転数Nrの計測を開始する(S2001)。逆回転が開始された後、紙厚センサ16と各弛みセンサ60の検知信号の変化を監視する。紙厚センサ16の検知信号によって逆セット状態にあると判定されず(S2002:NO)、または第一弛みセンサ61の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されず(S2003:NO)、または第二弛みセンサ62の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されず(S2004:NO)、または第三弛みセンサ63の検知信号によっても逆セット状態にあると判定されなければ(S2005:NO)、ロール9のセット状態は正当である可能性があるので、シート先端検知の判定をする(S2006)。
【0103】
S2006において、シート先端も検知されない状態のときは(S2006:NO)、処理をS2002に戻し、上記の判定処理を繰り返し実行する。このとき、逆回転数Nrには一回転を加算する。
【0104】
S2006において、シート先端が検知されたときは(S2006:Yes)、処理終了して、後段の処理へと移行する。後段の処理は、例えば、シート先端を搬送方向に繰り出して、連帳シートPの搬送を開始する処理である。シート先端検知処理の詳細は省略する。
【0105】
S2002において紙厚センサ16の検知信号の変化が逆セット時のものであるとき(S1902:Yes)、ロール9の逆回転を停止する(S2007)。この場合、ロール9は逆セットされていたことになるので、操作パネル57に「用紙が逆にセットされていますので、正しい向きにしてください」などの情報を表示し、合わせてアラーム58を介して逆セットを知らせる音を発して(S2008)、処理を終了する。
【0106】
S2003において第一弛みセンサ61の検知信号がLOW信号であるとき(S2003:Yes)、S2004において第二弛みセンサ62の検知信号がLOW信号であるとき(S2004:Yes)、S2005において第三弛みセンサ63の検知信号がLOW信号であるとき(S2005:Yes)、
図21に示す処理を行う。
【0107】
図21に示すように、前段の処理において、弛みセンサ60のいずれかの検知信号がLOW信号であった場合、逆セット状態であるから、まずロール9の逆回転を停止し、合わせて逆回転数Nrの計測も停止する(S2101)。
【0108】
続いて、ロール9の順回転を開始し、合わせて、順回転数Nfの計測を開始する(S2202)。順回転数Nfが逆回転数Nrに達しておらず、第一弛みセンサ61の検知信号が逆セット状態のままであり(S2104:Yes)、第二弛みセンサ62の検知信号も逆セット状態のままであり(S2105:Yes)、第三弛みセンサ63の検知信号も逆セット状態のままである間は(S2106:Yes)、順回転を継続する。
【0109】
順回転数Nfが逆回転数Nrに達したとき(S2103:Yes)、又は、弛みセンサ60のいずれも、検知信号がLOW信号ではない状態になったとき(S2104:No、S2105:No、S2106:No)、ロール9の順回転を停止する(S21087)。
【0110】
この場合、ロール9は逆セットされていたことになるので、操作パネル57に「用紙が逆にセットされていますので、正しい向きにしてください」などの情報を表示し、合わせてアラーム58を介して逆セットを知らせる音を発して(S2109)、処理を終了する。
【0111】
本実施形態によれば、シート先端が搬送経路から外れて、ガイドアーム13の外にはみ出てしまった場合、第一弛みセンサ61の検知信号によって、その異常状態を検知してロール9の逆回転を停止する。停止するまでの間、連帳シートPは、逆回転数Nrに相当する長さがガイドアーム13の外側へと送り出されるか、または、いずれかの位置でたるむことになる。そこで、逆セットが検知されて逆回転を停止するまでの逆回転数Nrに相当する分の順回転を行うことで、排出された連帳シートPや、弛みを解消してスプール8の巻き戻すことができる。これによって、連帳シートPの汚れや破損を防止することができる。
【0112】
なお、上記にて説明した各実施形態において、巻き戻しの動作を行うときに、それまでの回転数(逆回転数Nr)に基づいて、順回転数Nfを規定しているが、この制御に限定されるものではない。たとえば、ロールセット処理中のロール9の回転している時間に基づいて制御してもよい。
【0113】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1 :プリンタ
8 :スプール
9 :ロール
10 :シート供給部
12 :供給モータ
13 :ガイドアーム
13a :対面部
16 :紙厚センサ
17 :コロ
30 :画像形成部
50 :コントローラ
51 :CPU
52 :RAM
53 :ROM
54 :HDD
55 :I/F
56 :共通バス
57 :操作パネル
58 :アラーム
60 :弛みセンサ
61 :第一弛みセンサ
62 :第二弛みセンサ
63 :第三弛みセンサ
70 :ロール押えコロ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】