(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124403
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】顧客対応支援方法、顧客対応支援装置、及び顧客対応支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230830BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028143
(22)【出願日】2022-02-25
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸津 亮
(72)【発明者】
【氏名】真弓 武行
(72)【発明者】
【氏名】与川 峻介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】顧客来訪時における本人確認やチェックイン手続の手間やコストを効率よく低減可能とする。
【解決手段】顧客対応支援装置100において、生体認証基盤200と連携するライブラリを保持する記憶装置101と、顧客の生体情報をライブラリの機能を通じて生体認証基盤200と連携して生体認証を実行し、認証成功した場合、当該生体認証基盤200が顧客に関して発行した個人向けトークンを取得し、個人向けトークンを用いて生体認証基盤200に対して当該顧客に関して保持している情報を要求して取得し、当該情報に基づいて顧客に関する所定手続を行う演算装置104を含む構成とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の情報処理装置が、
所定の生体認証基盤と連携するためのライブラリを記憶装置にて保持し、
前記施設の顧客に対する、生体認証デバイスでの読み取り動作の結果である生体情報を取得し、前記生体情報を、前記ライブラリの機能を通じて前記生体認証基盤と連携し、前記顧客に関する生体認証を行う処理と、
前記生体認証基盤での認証に成功した場合、当該生体認証基盤が前記顧客に関して発行した個人向けトークンを取得する処理と、
前記個人向けトークンを用いて、前記生体認証基盤に対して、当該生体認証基盤で当該顧客に関して保持している情報を要求して取得し、当該情報に基づいて前記施設における前記顧客に関する所定手続を行う処理と、
を実行することを特徴とする顧客対応支援方法。
【請求項2】
前記情報処理装置が、
前記所定手続として、前記個人向けトークンの有効期限内において、当該顧客に関する前記情報をキーに、所定の予約管理手段から当該顧客の予約情報を照会し、チェックイン処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の顧客対応支援方法。
【請求項3】
前記情報処理装置が、
前記記憶装置において、前記個人向けトークンを保持し、
前記チェックイン処理が一定時間以上の中断または未了となった場合、前記個人向けトークンの有効期限を確認し、当該個人向けトークンが有効期限内であったならば、前記生体認証基盤での生体認証の再実行は回避し、前記顧客に関する前記チェックイン処理を再開する、
ことを特徴とする請求項2に記載の顧客対応支援方法。
【請求項4】
所定の生体認証基盤と連携するためのライブラリを保持する記憶装置と、
施設の顧客に対する、生体認証デバイスでの読み取り動作の結果である生体情報を取得し、前記生体情報を、前記ライブラリの機能を通じて前記生体認証基盤と連携し、前記顧客に関する生体認証を行う処理と、前記生体認証基盤での認証に成功した場合、当該生体認証基盤が前記顧客に関して発行した個人向けトークンを取得する処理と、前記個人向けトークンを用いて、前記生体認証基盤に対して、当該生体認証基盤で当該顧客に関して保持している情報を要求して取得し、当該情報に基づいて前記施設における前記顧客に関する所定手続を行う処理と、を実行する演算装置と、
を含むことを特徴とする顧客対応支援装置。
【請求項5】
前記演算装置は、
前記所定手続として、前記個人向けトークンの有効期限内において、当該顧客に関する前記情報をキーに、所定の予約管理手段から当該顧客の予約情報を照会し、チェックイン処理を実行するものである、
ことを特徴とする請求項4に記載の顧客対応支援装置。
【請求項6】
前記記憶装置は、
前記個人向けトークンを保持し、
前記演算装置は、
前記チェックイン処理が一定時間以上の中断または未了となった場合、前記個人向けトークンの有効期限を確認し、当該個人向けトークンが有効期限内であったならば、前記生体認証基盤での生体認証の再実行は回避し、前記顧客に関する前記チェックイン処理を再
開するものである、
ことを特徴とする請求項5に記載の顧客対応支援装置。
【請求項7】
所定の生体認証基盤と連携するためのライブラリを保持する記憶装置と、
施設の顧客に対する、生体認証デバイスでの読み取り動作の結果である生体情報を取得し、前記生体情報を、前記ライブラリの機能を通じて前記生体認証基盤と連携し、前記顧客に関する生体認証を行う処理と、前記生体認証基盤での認証に成功した場合、当該生体認証基盤が前記顧客に関して発行した個人向けトークンを取得する処理と、前記個人向けトークンを用いて、前記生体認証基盤に対して、当該生体認証基盤で当該顧客に関して保持している情報を要求して取得し、当該情報に基づいて前記施設における前記顧客に関する所定手続を行う処理と、を実行する演算装置と、
を備えた顧客対応支援装置を含むことを特徴とする顧客対応支援システム。
【請求項8】
前記顧客対応支援装置に対して、前記ライブラリを提供し、前記顧客対応支援装置から、前記顧客の前記生体情報を含む生体認証要求を受信し、前記顧客に関する生体認証を実行し、当該結果を応答する処理と、前記顧客対応支援装置から、前記個人向けトークンを介した前記情報の要求を受信し、前記顧客に関して保持している当該情報を応答する処理を実行する演算装置を備えた生体認証基盤、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の顧客対応支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客対応支援方法、顧客対応支援装置、及び顧客対応支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種サービスを顧客に提供する施設では、当該顧客の来訪に伴い、顧客が施設の利用資格を満たす本人であることの確認、いわゆる本人確認を行う。また、予約の有無、またその内容の確認といった、いわゆるチェックイン手続についても行うことがある。こうした手続は、顧客と向き合う対面業務であり、効率化が難しい部分もあった。
【0003】
顧客の予約やチェックイン等の管理業務に関連する従来技術としては、生体情報を搭乗券として用いることにより、紙やモバイルの媒体を利用(提示)する必要を無くし、利用者の利便性向上と空港内のスループット向上を図るシステム(特許文献1参照)などが提案されている。
【0004】
このシステムは、 航空機利用者の生体情報をチェックイン時に所得するチェックイン
時生体情報所得手段と、該生体情報を格納する搭乗サーバと、搭乗ゲートとを備え、前記搭乗サーバは前記生体情報と予約情報との紐付けを行う機能を具備するコンピュータであり、更に前記搭乗ゲートは前記航空機利用者の該ゲート通過時に所得される生体情報と前記搭乗サーバ内の搭乗者情報とのマッチングを行って搭乗可否の判定を出力する判定出力機能を備えたチケットレス搭乗システムである。
【0005】
また他にも、テロ対策などの犯罪抑止のために航空機の搭乗者を特定するシステム(特許文献2参照)が提案されている。
【0006】
このシステムは、所定の場所への入場を所望するユーザにより入力された予約情報を取得するユーザ端末と、前記ユーザの身体的特徴を示す登録生体情報を取得する生体情報取得装置と、前記予約情報及び前記登録生体情報を登録するホストコンピュータと、前記所定の場所の入口近傍に設置され、前記所定の場所への入場の際に前記ユーザから前記予約情報が指定された時、前記ホストコンピュータから前記登録生体情報を呼び出し、前記ユーザから生体情報を取得し、前記ユーザの生体情報と前記登録生体情報とを照合し、照合が合致を示す場合、前記ユーザの前記所定の場所への入場を許可する照合装置を具備する認証システムである。
【0007】
また、ユーザの宿泊施設へのチェックイン及びサービス利用を適切に管理するシステム(特許文献3参照)が提案されている。
【0008】
このシステムは、宿泊施設の受付カウンターから視認可能な位置に設置されたチェックイン端末を利用する訪問ユーザの顔画像を取得する第1取得手段と、前記訪問ユーザの顔画像に基づいて前記訪問ユーザを特定して、前記訪問ユーザのチェックイン処理を実行する実行手段と、前記サービスを利用する特定ユーザの顔画像を取得する第2取得手段と、前記特定ユーザの顔画像に基づいて特定された前記特定ユーザの前記チェックイン処理が完了している場合に、前記サービスの利用を許可する許可手段とを備える宿泊施設管理システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-079656号公報
【特許文献2】特開2007-328556号公報
【特許文献3】特開2021-68371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術のごとき先進的なシステムを導入できるのは、相応規模の事業者等であり、それ以外の事業者等にとっては、旧来からの紙台帳やスタンドアロンの管理装置での対応がまだまだ一般的である。
【0011】
その場合、予め予約した客は利用日当日に施設を訪れ、スタッフに対して自分の氏名と予約内容等を申し出るなどして受付手続を受ける。その際のスタッフは、例えば、紙台帳を当該客に差し出して記入をお願いするとともに、予約を管理しているスプレッドシートや外部の予約管理サービスにアクセスし、該当顧客の予約内容の有無や正しさを確認する。
【0012】
そうした運用は、客からすれば、間違いなく予約をしているにも関わらず、自身や予約の情報を手書きする必要があり、煩わしく感じることになる。勿論、施設のスタッフからしても、そうした客の記入内容と、予約台帳や予約管理システムでの予約済み内容とを照合する作業が毎回発生し、業務効率は低いままとなってしまう。
【0013】
特に、施設を訪れる客数が多くなれば、一定時間内に客の集中が生じた場合、チェックイン手続が遅滞し、顧客満足度が低下する事態を招きかねない。他方、何らかの管理システムを導入しても、慣れないスタッフによる誤操作等があれば、客に再操作を強いるなど業務効率改善に結びつかないケースもある。
【0014】
そこで本発明の目的は、顧客来訪時における本人確認やチェックイン手続の手間やコストを効率よく低減可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する本発明の顧客対応支援方法は、施設の情報処理装置が、所定の生体認証基盤と連携するためのライブラリを記憶装置にて保持し、前記施設の顧客に対する、生体認証デバイスでの読み取り動作の結果である生体情報を取得し、前記生体情報を、前記ライブラリの機能を通じて前記生体認証基盤と連携し、前記顧客に関する生体認証を行う処理と、前記生体認証基盤での認証に成功した場合、当該生体認証基盤が前記顧客に関して発行した個人向けトークンを取得する処理と、前記個人向けトークンを用いて、前記生体認証基盤に対して、当該生体認証基盤で当該顧客に関して保持している情報を要求して取得し、当該情報に基づいて前記施設における前記顧客に関する所定手続を行う処理と、を実行することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の顧客対応支援装置は、所定の生体認証基盤と連携するためのライブラリを保持する記憶装置と、前記施設の顧客に対する、生体認証デバイスでの読み取り動作の結果である生体情報を取得し、前記生体情報を、前記ライブラリの機能を通じて前記生体認証基盤と連携し、前記顧客に関する生体認証を行う処理と、前記生体認証基盤での認証に成功した場合、当該生体認証基盤が前記顧客に関して発行した個人向けトークンを取得する処理と、前記個人向けトークンを用いて、前記生体認証基盤に対して、当該生体認証基盤で当該顧客に関して保持している情報を要求して取得し、当該情報に基づいて前記施設における前記顧客に関する所定手続を行う処理と、を実行する演算装置と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の顧客対応支援システムは、所定の生体認証基盤と連携するためのライブラリを保持する記憶装置と、前記施設の顧客に対する、生体認証デバイスでの読み取り動作の結果である生体情報を取得し、前記生体情報を、前記ライブラリの機能を通じて前記生体認証基盤と連携し、前記顧客に関する生体認証を行う処理と、前記生体認証基盤での認証に成功した場合、当該生体認証基盤が前記顧客に関して発行した個人向けトークンを取得する処理と、前記個人向けトークンを用いて、前記生体認証基盤に対して、当該生体認証基盤で当該顧客に関して保持している情報を要求して取得し、当該情報に基づいて前記施設における前記顧客に関する所定手続を行う処理と、を実行する演算装置とを備えた顧客対応支援装置を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、顧客来訪時における本人確認やチェックイン手続の手間やコストを、効率よく低減可能とできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態の顧客対応支援装置を含むネットワーク構成図である。
【
図2】本実施形態のトークンDBの構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態の認証DBの構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態の予約管理DBの構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態における顧客対応支援方法のフロー例を示す図である。
【
図6】本実施形態における顧客対応支援方法のフロー例を示す図である。
【
図10】本実施形態における画面例を示す図である。
【
図11】本実施形態における画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<ネットワーク構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の顧客対応支援装置100を含むネットワーク構成図である。
図1に示す顧客対応支援装置100は、顧客来訪時における本人確認やチェックイン手続の手間やコストを効率よく低減可能とするコンピュータである。
【0021】
本実施形態の顧客対応支援装置100は、
図1で示すように、適宜なネットワーク1を介して、生体認証基盤200、生体認証デバイス300、及び予約管理システム400などと通信可能に接続されている。よって、これらを総称して顧客対応支援システム10としてもよい。
【0022】
本実施形態の顧客対応支援装置100は、顧客に各種サービスを提供する施設5が運用する、例えばチェックイン業務装置である(勿論、これに限定するものではない)。施設5の例としては、顧客から予約を受けておき、当該顧客に対して予約日にサービスを提供する事業者の施設であれば、いずれのものも対象となりうるが、一例としてはゴルフ場や宿泊施設、交通機関などを想定できる。
【0023】
なお、上述のチェックイン業務に際しては、チェックイン対象の顧客に関する生体認証処理を必須としている。そのため、顧客対応支援装置100は、所定の生体認証基盤200から、連携用のライブラリ110を提供され、これを記憶装置101に予め保持するものとする。
【0024】
ライブラリ110としては、例えば、DLL(Dynamic Link Library)を想定する。その場合、DLLは、顧客対応支援装置100(或いは生体認証デバイス300)において生体認証処理用のプログラムが起動される際、記憶装置101から呼び出されて当該プログラムに連結され、メモリ上に展開されることで、生体認証基盤200と協働して生体認証処理を行う際の各種機能を実装する。ライブラリ110としては、他にもJavascriptによるライブラリも想定でき、特段の限定はしないものとする。
【0025】
こうした顧客対応支援装置100は、具体的には、施設5でチェックイン業務を担う情報処理装置全般が対象であって、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、或いはPOS端末なども想定できる。
【0026】
一方、生体認証基盤200は、ユーザ企業などからの認証要求をAPIゲートウェイ205経由で受け付けて、生体認証システム210において、当該認証要求に応じた生体認証処理を実行し、その結果を当該ユーザ企業に応答する基盤となる。そのため、生体認証基盤200は、各ユーザ企業における顧客について、その識別情報と各生体の特徴量といったデータを認証DB225で保持、管理している。
【0027】
特に本出願人らは、公開型生体認証基盤(PBI:Public Biometric
Infrastructure)と呼ばれる基盤を開発、実装しており、当該公開型生体認証基盤であれば特に好適である。公開型生体認証基盤「PBI」(https://www.hitachi.co.jp/products/it/security/solution/cyber-security/authentication/index.html)は、生体情報を復元不可能な形に変換し、「公開鍵」として安全に利用することで、認証対象者のプライバシーの保護と高度なセキュリティを両立する認証基盤となっている。
【0028】
また、生体認証デバイス300は、施設5を訪れた顧客が自身の身体の一部を提示して生体情報を読み取らせるカメラなどのセンサーである。具体的には、指や掌等の静脈センサー、虹彩センサー、顔認証センサー、など種々の生体情報用のセンサーを想定できる。いずれにしても、上述の生体認証基盤200で定めた認証方式に合致した生体のセンシングが可能なデバイスである。
【0029】
また、予約管理システム400は、施設5の運営事業者が管理する業務システムか、或いは、当該運営事業者が予約管理業務を委託している外部業者のシステムであって、施設5の顧客による予約情報を管理するサーバ装置である。この予約管理システム400は、予約管理DB425で、各顧客の予約情報を管理し、顧客対応支援装置100からの照会等に応じて対応する顧客の予約情報を応答するものとなる。
【0030】
<ハードウェア構成>
また、本実施形態の顧客対応支援装置100のハードウェア構成は、
図2に以下の如くとなる。
【0031】
すなわち顧客対応支援装置100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、入力装置105、出力装置106、および通信装置107、を備える。
【0032】
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0033】
また、メモリ103は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0034】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制
御処理を行なうCPUである。このプログラム102は、生体認証基盤200との連携用のライブラリ110を保持しているものとする。
【0035】
また、入力装置105は、顧客や或いは施設5の窓口担当者らからのキー入力や音声入力を受け付ける装置であって、キーボードやマウス、マイクなどを想定する。
【0036】
また、出力装置106は、演算装置104での処理結果を出力するディスプレイやスピーカー等の装置である。
【0037】
また、通信装置107は、ネットワーク10と接続してユーザ端末200との通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0038】
また、記憶装置101内には、本実施形態の顧客対応支援装置として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、トークンDB125が少なくとも記憶されている。ただし、このトークンDB125についての詳細は後述する。
【0039】
<データ構造例>
続いて、本実施形態の顧客対応支援装置100が用いる各種情報について説明する。
図2に、本実施形態におけるトークンDB125の一例を示す。
【0040】
本実施形態のトークンDB125は、顧客対応支援装置100が生体認証基盤200から得た個人向けトークンを格納、管理するデータベースである。このトークンDB125は、例えば、個人用トークンを一意に示すIDをキーとして、発行対象の顧客(の顧客ID)、発行対象の業務、当該トークンを用いた業務の処理結果、及び、有効期限といったデータを紐付けレコードの集合体となっている。
【0041】
また
図3に、本実施形態における認証DB225の一例を示す。この認証DB225は、生体認証基盤200において管理されるデータベースであって、施設5の各顧客の生体認証用の情報を格納したデータベースである。
【0042】
認証DB225は、例えば、顧客を一意に特定する顧客IDをキーとして、当該顧客の認証用データを紐付けレコードの集合体となっている。認証用データは、例えば、当該顧客の生体情報の特徴量を想定出来る。
【0043】
また
図4に、本実施形態における予約管理DB425の一例を示す。この予約管理DB425は、予約管理システム400において、施設5の顧客に関して受け付けて管理している予約情報を格納したデータベースである。この予約管理DB425は、例えば、予約を一意に特定する予約IDをキーとして、当該予約を行った顧客、予約日時、予約対象のサービスを利用する人数、及びオプションといったデータを紐付けレコードの集合体となっている。
【0044】
<フロー例:ライブラリ取得>
以下、本実施形態における顧客対応支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する顧客対応支援方法に対応する各種動作は、顧客対応支援装置100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0045】
図5は、本実施形態における顧客対応支援方法のフロー例を示す図である。この場合、顧客対応支援装置100は、生体認証基盤200に対して、ライブラリ110の配信要求を行う(s1)。このライブラリ110は、顧客対応支援装置100が生体認証基盤20
0と協働して生体認証処理を行うための機能を実装するためのDLL等である。生体認証基盤200は、この配信要求に応じてDLLをネットワーク1経由で配信する。
【0046】
顧客対応支援装置100は、DLLを生体認証基盤200から受信し、これを記憶装置101に格納し(s2)、処理を終了する。
【0047】
<フロー例:生体認証処理とチェックイン処理>
続いて、上述のようにライブラリ110を得た顧客対応支援装置100が、生体認証基盤200及び生体認証デバイス300と協働し、施設5を訪れた顧客に関する生体認証およびチェックインの各処理を行うフローについて説明する。
図6は、本実施形態における顧客対応支援方法のフロー例を示す図である。
【0048】
この場合、顧客対応支援装置100は、生体認証基盤200に対して、予め定めた認証用情報を含む認証要求を送信し、その応答として企業向けトークンを取得する(s10)。このため、生体認証基盤200は、認証DB225において、施設5の運用組織に関して、予め認証情報を保持して認証処理が可能である。また同様に、施設5の運営事業者に関して、企業向けトークンを発行するアルゴリズムを予め備えている。
【0049】
顧客対応支援装置100は、企業向けトークンを有効に保持した状態で、生体認証デバイス300から、施設5を訪れた顧客の生体情報を取得し、これを含む認証要求として生体認証基盤200に送信する(s11)。この時、顧客対応支援装置100は、記憶装置101で保持するライブラリ110であるDLLを呼び出して、本生体認証の処理に必要な機能を適宜に実装し、生体認証基盤200と協働する。
【0050】
一方、生体認証基盤200は、上述の認証要求を受信し、認証DB225で保持する認証用データと照合することで生体認証処理を実行し、その結果を応答することになる。生体認証に成功した場合、生体認証基盤200は、当該顧客に関して個人向けトークンを発行し、応答に含めるものとする。
【0051】
顧客対応支援装置100は、上述の応答を取得し(s12)、その内容が当該顧客の生体認証失敗(
図7の画面1000参照)を示す場合(s13:N)、本フローを終了する。
【0052】
他方、上述の判定の結果、上述の応答の内容が生体認証成功(
図8の画面1010参照)を示す場合(s13:Y)、顧客対応支援装置100は、それに含まれる個人用トークンをトークンDB125に格納すると共に、自身の企業IDと上述の個人向けトークンの情報を含む、当該顧客の情報(例えば、顧客ID)の取得要求を生体認証基盤200に送信する(s14)。
【0053】
生体認証基盤200は、上述の取得要求を受信して、企業IDが企業向けトークンで担保された事業者のIDであることを確認しつつ、上述の個人向けトークンの発行対象とした顧客の顧客IDを認証DB225で特定し、応答する。
【0054】
顧客対応支援装置100は、生体認証基盤200からの応答により、上述の顧客の情報を取得する(s14)。
【0055】
また、顧客対応支援装置100は、s14で得た顧客の情報(顧客ID)をキーに、予約管理システム400に対して予約情報の照会を実行して、当該予約情報を取得し、これを出力装置106に表示(
図9の画面1020参照)させる(s15)。勿論、この時、個人向けトークンの有効期限内であることが前提である。
【0056】
施設5の窓口担当者等は、出力装置106で表示された予約情報を確認し、当該顧客との間で適宜な口頭確認等のやり取りを実施して、チェックイン手続を実行する。
【0057】
上述のチェックイン手続が実行された結果、チェックイン完了(
図10の画面1030参照)となった場合(s16:Y)、顧客対応支援装置100は、本フローを終了する。
【0058】
一方、上述のチェックイン手続が途中で中断されるなどにより、チェックイン未完(
図11の画面1040参照)となった場合(s16:N)、顧客対応支援装置100は、当該顧客の個人向けトークンが有効期限内か判定する(s17)。
【0059】
上述の判定の結果、当該個人向けトークンが有効期限内であったならば(s17:Y)、顧客対応支援装置100は、(生体認証基盤200での生体認証の再実行は回避し)処理をs15に戻す。
【0060】
他方、上述の判定の結果、当該個人向けトークンが有効期限を過ぎていた場合(s17:N)、顧客対応支援装置100は、本フローを一旦終了し、当該顧客に関する生体認証からフローを再開する。
【0061】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0062】
こうした本実施形態によれば、例えば、各種施設において、同時間帯に客が集中した場合であっても、予約確認や顧客認証が効率良く進み、顧客満足度低下を抑止できる。また、予約管理用の機能と客の個人認証機能とが連携することで、チェックインと予約確認をあわせて効率化できる。しかも、誤操作等があっても、トークンに基づき生体認証の再実行を回避できるため、客やスタッフに無駄な操作を強いることない。すなわち、顧客来訪時における本人確認やチェックイン手続の手間やコストを、効率よく低減可能となる。
【0063】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態の顧客対応支援装置において、前記情報処理装置が、前記所定手続として、前記個人向けトークンの有効期限内において、当該顧客に関する前記情報をキーに、所定の予約管理手段から当該顧客の予約情報を照会し、チェックイン処理を実行する、としてもよい。
【0064】
これによれば、生体認証基盤と連携した確かな認証結果を踏まえた、当該顧客のセキュアな手続きを施設側で効率良く実施可能となる。ひいては、顧客来訪時におけるチェックイン手続の手間やコストを、より効率よく低減可能となる。
【0065】
また、本実施形態の顧客対応支援方法において、前記情報処理装置が、前記記憶装置において、前記個人向けトークンを保持し、前記チェックイン処理が一定時間以上の中断または未了となった場合、前記個人向けトークンの有効期限を確認し、当該個人向けトークンが有効期限内であったならば、前記生体認証基盤での生体認証の再実行は回避し、前記顧客に関する前記チェックイン処理を再開する、としてもよい。
【0066】
これによれば、顧客や施設担当者にとって厭われる可能性のある、再度の生体認証手続を無駄なく回避可能となる。ひいては、顧客来訪時におけるチェックイン手続の手間やコストを、効率よく低減可能となる。
【0067】
また、本実施形態の顧客対応支援方装置において、前記演算装置は、前記所定手続として、前記個人向けトークンの有効期限内において、当該顧客に関する前記情報をキーに、
所定の予約管理手段から当該顧客の予約情報を照会し、チェックイン処理を実行するものである、としてもよい。
【0068】
また、本実施形態の顧客対応支援装置において、前記記憶装置は、前記個人向けトークンを保持し、前記演算装置は、前記チェックイン処理が一定時間以上の中断または未了となった場合、前記個人向けトークンの有効期限を確認し、当該個人向けトークンが有効期限内であったならば、前記生体認証基盤での生体認証の再実行は回避し、前記顧客に関する前記チェックイン処理を再開するものである、としてもよい。
【0069】
また、本実施形態の顧客対応支援装置において、前記顧客対応支援装置に対して、前記ライブラリを提供し、前記顧客対応支援装置から、前記顧客の前記生体情報を含む生体認証要求を受信し、前記顧客に関する生体認証を実行し、当該結果を応答する処理と、前記顧客対応支援装置から、前記個人向けトークンを介した前記情報の要求を受信し、前記顧客に関して保持している当該情報を応答する処理を実行する演算装置を備えた生体認証基盤、をさらに含むとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 ネットワーク
10 顧客対応支援システム
100 顧客対応支援装置
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 通信装置
110 ライブラリ
125 トークンDB
200 生体認証基盤
225 認証DB
300 生体認証デバイス
400 予約管理システム
425 予約管理DB