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特開2023-124412粉体供給装置、リチウムイオン電池用電極の製造装置およびリチウムイオン電池用電極の製造方法
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  • 特開-粉体供給装置、リチウムイオン電池用電極の製造装置およびリチウムイオン電池用電極の製造方法 図1
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  • 特開-粉体供給装置、リチウムイオン電池用電極の製造装置およびリチウムイオン電池用電極の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124412
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】粉体供給装置、リチウムイオン電池用電極の製造装置およびリチウムイオン電池用電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20230830BHJP
【FI】
H01M4/139
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028153
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 勇輔
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CA20
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB12
5H050CB20
5H050GA29
(57)【要約】
【課題】装置構成が簡素でありながら、基材上に電極活物質組成物を間欠的に配置することが可能な粉体供給装置と、この粉体供給装置を用いたリチウムイオン電池用電極の製造装置およびリチウムイオン電池用電極の製造方法を提供する。
【解決手段】リチウムイオン電池の正極101Aを製造する電極製造装置1は、基材21の上に正極活物質組成物5を供給する正極活物質組成物供給部3として、正極活物質組成物5を貯留するホッパー31と、ホッパー31の吐出口31aを開閉するシャッタ32と、吐出口31aに向けて正極活物質組成物5を送り出すベルトフィーダ33と、基材21上の正極活物質組成物5の厚みを均一化する均しローラ34と、シャッタ32の開閉と、ベルトフィーダ33の起動および停止を制御する制御部35とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質粒子を含む粉体状の電極活物質組成物を貯留するホッパーを備え、相対移動するシート状の基材の上に前記ホッパーの吐出口から前記電極活物質組成物を供給し、前記電極活物質組成物からなる電極活物質層を形成する粉体供給装置であって、
前記吐出口を開閉するシャッタを設け、前記シャッタの開閉により前記基材の上に所定量の前記電極活物質組成物を供給する、
ことを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記吐出口には、前記基材に供給された前記電極活物質組成物を均すための均しローラが設置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記ホッパー内には、前記吐出口に向けて前記電極活物質組成物を送り出すベルトフィーダが設置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記シャッタが開放されたときに前記ベルトフィーダを駆動させ、前記シャッタが閉じられたときに前記ベルトフィーダを停止させる制御手段を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の粉体供給装置。
【請求項5】
シート状の基材の上に、電極活物質粒子を含む粉体状の電極活物質組成物からなる電極活物質層が形成されたリチウムイオン電池用電極の製造装置であって、
前記基材の上に前記電極活物質組成物を供給する供給手段と、
前記基材と、前記供給手段とを相対移動させる移動手段と、を備え、
前記供給手段として、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粉体供給装置を用いた、
ことを特徴とするリチウムイオン電池用電極の製造装置。
【請求項6】
シート状の基材の上に、電極活物質粒子を含む粉体状の電極活物質組成物からなる電極活物質層が形成されたリチウムイオン電池用電極の製造方法であって、
前記基材と、前記基材の上に前記電極活物質組成物を供給して前記電極活物質層を形成する供給手段と、を相対移動させ、
前記供給手段として、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粉体供給装置を用い、前記供給手段により前記基材上へ前記電極活物質組成物を供給する際に、前記吐出口のシャッタを開閉させる、
ことを特徴とするリチウムイオン電池用電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置、リチウムイオン電池用電極の製造装置およびリチウムイオン電池用電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、小型軽量でエネルギー密度が高い、自己放電量が少ない、などという利点を有するため、自動車用蓄電池や電気・電子機器用蓄電池などとして広く利用されている。このようなリチウムイオン電池として、シート状の正極集電体に正極活物質層が形成された正極と、シート状の負極集電体に負極活物質層が形成された負極とが、シート状のセパレータを介して積層され、正極活物質層および負極活物質層の外周が封止材により封止された構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、リチウムイオン電池用電極の製造過程において、リチウムイオン電池用電極材を製造する方法および装置が開示されている。リチウムイオン電池用電極材とは、連続するシート状の基材(例えば、電極集電体)の表面に、電極活物質粒子を含む粉体状の電極活物質組成物からなる電極活物質層が間欠的に配置されたものである。リチウムイオン電池用電極は、リチウムイオン電池用電極材の基材が電極活物質層の間で切断されることにより製造される。このリチウムイオン電池用電極材の製造方法は、基材上に電極活物質組成物を連続的に供給する供給工程と、基材上に供給された電極活物質組成物の一部を除去して間欠的に配置する除去工程と、基材上に残された電極活物質組成物を加圧して電極組成物層を得る加圧工程と、を備えている。
【0004】
上記の除去工程では、基材上に複数の開口が設けられたマスクを重ねた状態で電極活物質組成物を連続的に供給し、その後にマスクを除去することによって、基材上に電極活物質組成物を間欠的に配置している。また、除去工程の別の手法では、基材上に電極活物質組成物を連続的に供給した後、基材上の電極活物質組成物の上に板状のカバー層を間欠的に載置し、カバー層が載置されていない部分の電極活物質組成物を吸引して除去し、その後にカバー層を除去することによって、基材上に電極活物質組成物を間欠的に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-027043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、基材上に電極活物質組成物を間欠的に配置するために、基材上にマスクやカバー層を載置し、電極活物質組成物の供給後にマスクやカバー層を除去しなければならないため、装置構成が複雑となる。
【0007】
そこで本発明は、装置構成が簡素でありながら、基材上に電極活物質組成物を間欠的に配置することが可能な粉体供給装置、リチウムイオン電池用電極の製造装置およびリチウムイオン電池用電極の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、電極活物質粒子を含む粉体状の電極活物質組成物を貯留するホッパーを備え、相対移動するシート状の基材の上に前記ホッパーの吐出口から前記電極活物質組成物を供給し、前記電極活物質組成物からなる電極活物質層を形成する粉体供給装置であって、前記吐出口を開閉するシャッタを設け、前記シャッタの開閉により前記基材の上に所定量の前記電極活物質組成物を供給する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置構成が簡素でありながら、基材上に電極活物質組成物を間欠的に配置することが可能な粉体供給装置と、この粉体供給装置を用いたリチウムイオン電池用電極の製造装置およびリチウムイオン電池用電極の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造装置の構成を示す概略図である。
図2】この発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池の構成を示す断面図である。
図3図2に示すリチウムイオン電池を製造するための組合せ工程を示す断面図である。
図4図1の正極活物質組成物供給部において、シャッタの開放状態および閉鎖状態を示す図である。
図5】この発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、本明細書におけるリチウムイオン電池は、リチウムイオン二次電池を含む。
【0012】
図1図5は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造装置(以下、「電極製造装置1」という)の概略構成図である。電極製造装置1は、リチウムイオン電池101を構成するリチウムイオン電池用電極(正極101Aおよび負極101B)の製造過程において、リチウムイオン電池用電極を製造するための装置である。
【0013】
ここで、リチウムイオン電池101は、図2に示すように、樹脂製の正極集電体102の表面に正極活物質層103が形成された正極101Aと、樹脂製の負極集電体104の表面に負極活物質層105が形成された負極101Bとが、正極活物質層103と負極活物質層105とが対向するようにセパレータ106を介して積層されている。また、正極集電体102と負極集電体104とが所定の間隔で配置、保持されるように、正極集電体102と負極集電体104の周囲が封止材107によって封止されている。これにより、リチウムイオン電池101は、全体が略四角い平板形に形成されている。
【0014】
リチウムイオン電池101の製造工程は、図3に示すように、正極集電体102の表面に正極活物質層103が形成された正極101Aと、負極集電体104の表面に負極活物質層105が形成された負極101Bとを製造する電極製造工程と、電極製造工程にて製造された正極101Aおよび負極101Bと、セパレータ106が組み込まれた封止材107とを積層し、正極集電体102および負極集電体104と封止材107とを接着する組合せ工程とを備えている。
【0015】
図1は、リチウムイオン電池101の製造ラインに設けられた、正極101Aを製造するための電極製造装置1を示している。詳しくは図示しないが、リチウムイオン電池101の製造ラインには、正極101A用の電極製造装置1とともに、負極101Bを製造するための電極製造装置も設置されている。なお、負極101Bの電極製造装置は、正極101Aの電極製造装置1と同様の構成を備えているため、詳しい説明は省略する。
【0016】
電極製造装置1は、基材供給部2と、正極活物質組成物供給部(粉体供給装置および供給手段)3と、加圧部4と、を備えている。また、詳しくは図示しないが、矢印A方向の最下流側に、基材21を切断して複数の正極101Aを形成する切断部が設けられている。
【0017】
基材供給部2は、基材21として、長尺の帯状をした正極集電体102を供給する。基材供給部2は、基材21が巻かれた基材ロール22と、基材ロール22から引き出された基材21をガイドするガイドローラ23とを備えている。基材ロール22から引き出された基材21は、図示しない搬送ローラにより、矢印A方向に所定速度で搬送される。
【0018】
基材21を構成する正極集電体102としては、公知のリチウムイオン電池に用いられる集電体を用いることができ、例えば公知の金属集電体、あるいは導電性材料と合成樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012-150905号公報および国際公開第2015-005116号などに記載の樹脂集電体など)を用いることができる。なお、正極集電体102としては、電池特性などの観点から、樹脂集電体であることが好ましい。
【0019】
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は薄板や金属箔などの形態で用いてもよい。また、上記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布などの方法により上記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
【0020】
樹脂集電体としては、導電性フィラーとマトリックス樹脂とを含むことが好ましい。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物などが挙げられる。電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
【0021】
導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択される。具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタンなど]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラックなど)など]、及びこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電性フィラーとしては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電性フィラーの材料のうち金属のもの)をめっきなどでコーティングしたものでもよい。
【0022】
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましく、0.02~5μmであることがより好ましく、0.03~1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
【0023】
導電性フィラーの形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブなど、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
【0024】
導電性フィラーは、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレスのような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維などが挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。導電性フィラーが導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1~20μmであることが好ましい。
【0025】
樹脂集電体中の導電性フィラーの重量割合は、5~90重量%であることが好ましく、20~80重量%であることがより好ましい。特に、導電性フィラーがカーボンの場合、導電性フィラーの重量割合は、20~30重量%であることが好ましい。
【0026】
樹脂集電体は、マトリックス樹脂及び導電性フィラーのほかに、その他の成分(分散剤、架橋促進剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤など)を含んでいてもよい。また、複数の樹脂集電体を積層して用いてもよく、樹脂集電体と金属箔とを積層して用いてもよい。
【0027】
正極集電体102の幅としては、製造しようとするリチウムイオン電池101に応じて適宜設定すればよい。また、正極集電体102の厚さは特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。複数の樹脂集電体を積層して正極集電体として用いる場合には、積層後の全体の厚さが5~150μmであることが好ましい。
【0028】
正極集電体102を構成する基材21は、例えば、マトリックス樹脂、導電性フィラー及び必要により用いるフィラー用分散剤を溶融混練して得られる導電性樹脂組成物を公知の方法でフィルム状に成形することにより得ることができる。導電性樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法及びカレンダー法などの公知のフィルム成形法が挙げられる。なお、基材21は、フィルム成形以外の成形方法によっても得ることができる。
【0029】
以上では、正極集電体102を構成する基材21について説明したが、負極101B用の電極製造装置では、同様に長尺で帯状をした負極集電体104からなる基材が用いられる。この負極集電体104を構成する基材としては、正極集電体102で記載した構成と同様のものを適宜選択して用いることができ、同様の方法により得ることができる。負極集電体104は、電池特性などの観点から、樹脂集電体であることが好ましい。また、負極集電体104の幅としては、製造しようとするリチウムイオン電池に応じて適宜設定すればよい。さらに、負極集電体104の厚さは特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。
【0030】
正極活物質組成物供給部3は、矢印A方向において、基材供給部2の下流側に配置されている。正極活物質組成物供給部3は、ホッパー31と、シャッタ32と、ベルトフィーダ33と、均しローラ34と、制御部(制御手段)35と、を備えている。
【0031】
ホッパー31は、箱形状をした容器体であり、内部に正極活物質組成物5を収容する。ホッパー31の下部には、収容した正極活物質組成物5を基材21上へ供給する吐出口31aが設けられている。
【0032】
シャッタ32は、吐出口31aを開閉する。シャッタ32は、図示しない駆動機構により、例えば、水平方向に移動自在とされた板状の部材からなる。シャッタ32は、図4(A)に示すように、吐出口31aを開放する開放位置と、同図(B)に示すように、吐出口31aを閉鎖する閉鎖位置との間で移動自在とされている。
【0033】
ベルトフィーダ33は、例えば、一対のローラと、これらのローラに掛け回された搬送ベルトとを備え、ホッパー31内の正極活物質組成物5を搬送ベルトにより吐出口31aへ搬送する。
【0034】
均しローラ34は、矢印A方向において、吐出口31aの下流側に配置されている。均しローラ34は、ホッパー31の吐出口31aから基材21上へ供給された正極活物質組成物5の上で回転し、正極活物質組成物5の上部を均して厚みを均一化する。なお、均しローラ34は、基材21の搬送に従動して回転するようにしてもよいし、モータなどで回転させるようにしてもよい。
【0035】
制御部35は、シャッタ32の開閉とベルトフィーダ33の駆動および停止とを制御する。具体的には、制御部35は、図4(A)に示すように、シャッタ32が開放されたときにベルトフィーダ33を駆動させる。これにより、ホッパー31から基材21上に正極活物質組成物5を安定的に供給することが可能である。また、同図(B)に示すように、シャッタ32が閉じられたときにベルトフィーダ33を停止させる。これにより、正極活物質組成物5がベルトフィーダ33によりシャッタ32に押しつけられて押し固められ、正極活物質組成物5の吐出に支障が生じる、というような吐出不良の発生を抑制することが可能となる。
【0036】
正極活物質組成物供給部3は、基材21の搬送速度に対するシャッタ32の開放量を変化させることにより、基材21に対する正極活物質組成物5の供給量、すなわち、基材21上に形成される正極活物質層103の厚みを調整することができる。また、基材21の搬送速度に対するシャッタ32の開放時間を変化させることで、基材21上に形成される正極活物質層103の長さ(A方向の長さ)を調整することができる。すなわち、正極活物質組成物供給部3によれば、基材21の搬送速度と、シャッタ32の開放量および開放時間との組合せを変えることにより、基材21上に形成される正極活物質層103のサイズ(厚みおよび長さ)を調整することができる。
【0037】
次に、正極活物質組成物5について説明する。正極活物質組成物5は、正極活物質粒子と、電解液とを含む。
【0038】
正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1-xCo、LiMn1-yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ-p-フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
【0039】
正極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01~100μmであることが好ましく、0.1~35μmであることがより好ましく、2~30μmであることがさらに好ましい。
【0040】
正極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆正極活物質粒子であってもよい。正極活物質粒子の周囲が被覆材で被覆されていると、正極の体積変化が緩和され、正極の膨張を抑制することができる。
【0041】
被覆材を構成する高分子化合物としては、特開2017-054703号公報及び国際公開第2015-005117号等に活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
【0042】
被覆材には、導電剤が含まれていてもよい。導電剤としては、正極集電体に含まれる導電性フィラーと同様のものを好適に用いることができる。
【0043】
電解液としては、電解質と非水溶媒とを含むものが挙げられる。電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(FSO及びLiClO等の無機酸のリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機酸のリチウム塩等が挙げられ、LiN(FSO(LiFSIともいう)が好ましい。
【0044】
電解液の電解質濃度としては、特に限定されないが、0.5~5mol/Lであることが好ましく、0.8~4mol/Lであることがより好ましく、1~2mol/Lであることがさらに好ましい。
【0045】
非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
【0046】
ラクトン化合物としては、5員環(γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ-バレロラクトン等)等を挙げることができる。
【0047】
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート及びジ-n-プロピルカーボネート等が挙げられる。
【0048】
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
【0049】
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2-エトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン、2-トリフルオロエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン及び2-メトキシエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、DMF等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等が挙げられる。非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液である。
【0051】
正極活物質組成物5は、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極集電体に含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。導電助剤は、正極活物質層を形成したときに、正極活物質層における導電助剤の重量割合が、3~10重量%となる範囲で含むことが好ましい。
【0052】
正極活物質組成物5は、結着剤を含まないことが好ましい。正極活物質組成物5が結着剤を含まない場合には、非結着体の正極活物質層を形成することができる。ここで、非結着体とは、正極活物質粒子が結着剤(バインダともいう)により位置を固定されておらず、正極活物質粒子同士及び正極活物質粒子と集電体が不可逆的に固定されていないことを意味する。正極活物質層が非結着体である場合、正極活物質粒子同士は不可逆的に固定されていないため、正極活物質粒子同士の界面を機械的に破壊することなく分離することができ、正極活物質層に応力がかかった場合でも正極活物質粒子が移動することで正極活物質層の破壊を防止することができるため、好ましい。なお、本明細書において、結着剤とは、正極活物質粒子同士及び正極活物質粒子と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を示すことなく固体化するので正極活物質粒子同士及び正極活物質粒子と集電体とを可逆的に固定することができない。
【0053】
正極活物質組成物5には、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、例えば、特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調整したもの、及び、特開平10-255805公報に粘着剤として記載されたもの等を好適に用いることができる。なお、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水、溶剤、熱などを使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。一方、結着剤として用いられる溶液乾燥型の電極用バインダーは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して活物質粒子同士を強固に接着固定するものを意味する。従って、上述した結着剤(溶液乾燥型の電極バインダー)と粘着性樹脂とは異なる材料である。
【0054】
次に、負極101B用の電極製造装置において、負極活物質層105の形成に用いられる負極活物質組成物について説明する。負極活物質組成物は、負極活物質粒子と、電解液とを含む。
【0055】
負極活物質粒子としては、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素-炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-アルミニウム合金及びリチウム-アルミニウム-マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。上記負極活物質粒子のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質粒子の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
【0056】
これらの中でも、電池容量等の観点から、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物が好ましく、炭素系材料としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及びアモルファス炭素がさらに好ましく、珪素系材料としては、酸化珪素及び珪素-炭素複合体がさらに好ましい。
【0057】
負極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01~100μmが好ましく、0.1~20μmであることがより好ましく、2~10μmであることがさらに好ましい。
【0058】
本明細書において、負極活物質粒子の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
【0059】
負極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆負極活物質粒子であってもよい。負極活物質粒子の周囲が被覆材で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。
【0060】
被覆材としては、被覆正極活物質粒子を構成する被覆材と同様のものを好適に用いることができる。
【0061】
電解液の組成は、正極活物質組成物5に含まれる電解液と同様の電解液を好適に用いることができる。
【0062】
負極活物質組成物には、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極活物質組成物5に含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。負極活物質層としたときの導電助剤の重量割合が、2~10重量%となる範囲で含むことが好ましい。
【0063】
負極活物質組成物には、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、正極活物質組成物5の任意成分である粘着性樹脂と同様のものを好適に用いることができる。
【0064】
負極活物質組成物は、結着剤を含まないことが好ましい。負極活物質組成物が結着剤を含まない場合には、非結着体の負極活物質層を形成することができる。負極活物質層が非結着体であることが好ましい理由は、正極活物質層が非結着体であることが好ましい理由と同様である。
【0065】
加圧部4は、矢印A方向において、正極活物質組成物供給部3の下流側に配置されている。加圧部4は、基材21上の正極活物質組成物5の上面に当接するように配置された加圧ローラ41と、加圧ローラ41に対面する位置で、基材21の下面に当接するように配置された加圧受けローラ42とを備えている。加圧ローラ41および加圧受けローラ42は、基材21上に供給された正極活物質組成物5を圧縮し、正極活物質層103を形成する。
【0066】
正極活物質層103の厚みとしては、特に限定されず、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
【0067】
加圧ローラ41および加圧受けローラ42により正極活物質組成物5に加える線圧としては、35~3500N/cmであることが好ましい。なお、正極活物質組成物5に加える線圧は、加圧ローラ41および加圧受けローラ42に付属されているロードセルによる得られる荷重と、圧縮後の正極活物質層103の厚みとにより計算した線圧を意味する。
【0068】
詳しくは図示しないが、矢印A方向において、加圧部4の下流側には、基材21を正極活物質層103の間で切断して複数の正極101Aを形成する切断部が設けられている。これにより、基材21および正極活物質組成物5により、複数の正極101Aを連続して製造することが可能である。また、詳しくは説明しないが、負極101Bについても、負極用の電極製造装置によって、正極101Aと同様に製造される。
【0069】
電極製造装置1により製造された正極101Aは、セパレータ106を備える封止材107および負極101Bと組み合わされることにより、リチウムイオン電池101が製造される。正極101A、負極101Bおよび封止材107を組み合わせる際に、上述した電解液を別途注入してもよい。
【0070】
セパレータ106の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム、上記多孔性フィルムの積層フィルム(多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルムなど)、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維など)又はガラス繊維などからなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニアなどのセラミック微粒子を付着させたものなどの公知のリチウムイオン電池に用いられるセパレータを用いることができる。
【0071】
封止材107の材質としては、電解液に対して耐久性がある材料であれば特に限定されないが、高分子材料が好ましく、熱硬化性高分子材料がより好ましい。熱硬化性高分子材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂などが挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。また、封止材107としては、両面テープ状のシール部材(平面状の基材の両面に上述の熱硬化性高分子材料などを塗布して形成したシール部材など)を好適に用いることができ、例えば、三層構造のシールフィルム(ポリエチレンナフタレートフィルムの上下に変性ポリプロピレンフィルムを積層したフィルムなど)などの公知のものを用いることができる。
【0072】
封止材107の幅および厚みなどについては特に限定されず、製造しようとするリチウムイオン電池101に応じて適宜設定すればよい。封止材107の幅としては、例えば製造されるリチウムイオン電池101が四角形の場合、一片の長さが、30~2000mmであることが好ましく、40~1000mmであることがより好ましい。また、封止材107の厚みとしては、充分な強度を付与する観点から、例えば、5~20mmであることが好ましく、10~20mmであることがより好ましい。
【0073】
また、正極101Aおよび負極101Bと、封止材107とを組み合わせるために、正極101Aと封止材107、および負極101Bと封止材107とを接着しているが、封止材107に熱硬化性高分子材料が用いられている場合には、インパルスシーラーなどにより封止材107に熱を加えて接着することが可能である。
【0074】
次に、以上で説明した電極製造装置1を使用した正極101Aの製造方法などについて、図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0075】
電極製造装置1は、図示しない搬送ローラなどを利用し、所定間隔で基材21を矢印A方向に搬送する(ステップS1)。次いで、正極活物質組成物供給部3は、基材21上に正極活物質組成物5を供給する(ステップS2)。具体的には、制御部35は、シャッタ32を開放してベルトフィーダ33を起動させ、基材21上に所定量の正極活物質組成物5を供給し、所定量の供給完了後にシャッタ32を閉鎖してベルトフィーダ33を停止させる。また、正極活物質組成物供給部3は、基材21上に供給された正極活物質組成物5を均しローラ34により均して厚みを均一化する。
【0076】
加圧部4は、加圧ローラ41と、加圧受けローラ42とによって基材21および正極活物質組成物5を挟み込み、正極活物質組成物5を加圧して正極活物質層103を形成する(ステップS3)。これにより、基材21の上に複数の正極活物質層103が間欠的に形成される。また、電極製造装置1は、加圧部4の下流側で基材21を間欠搬送させ、基材21の搬送が停止しているタイミングで、図示しない切断部により、基材21を正極活物質層103の間で切断し、複数の正極101Aを形成する。(ステップS4)。
【0077】
以上のように、この実施形態に係る電極製造装置1および電極製造方法によれば、ホッパー31の吐出口31aにシャッタ32を設け、このシャッタ32の開閉により基材21の上に所定量の正極活物質組成物5を供給するようにしたので、シャッタ32の開閉のみで基材21上に正極活物質組成物5を間欠的に配置することが可能である。また、基材21の搬送速度に応じて、シャッタ32の開放量および開放時間を変えることにより、基材21上に形成される正極活物質組成物5のサイズ(厚みおよび長さ)を調整することが可能である。
【0078】
また、この実施形態に係る電極製造装置1および電極製造方法によれば、ホッパー31の吐出口31aに基材21に供給された正極活物質組成物5を均すための均しローラ34を設置したので、基材21上に均一な厚みの正極活物質組成物5を間欠的に配置することが可能である。
【0079】
さらに、この実施形態に係る電極製造装置1および電極製造方法によれば、ホッパー31内に吐出口31aに向けて正極活物質組成物5を送り出すベルトフィーダ33を設置したので、ホッパー31から基材21上に正極活物質組成物5を安定的に供給することが可能である。
【0080】
また、この実施形態に係る電極製造装置1および電極製造方法によれば、制御部35により、シャッタ32が開放されたときにベルトフィーダ33を駆動させるようにしたので、ホッパー31から基材21上に正極活物質組成物5を安定的に供給することが可能である。また、シャッタ32が閉じられたときにベルトフィーダ33を停止させるようにしたので、正極活物質組成物5がベルトフィーダ33によりシャッタ32に押しつけられて押し固められ、正極活物質組成物5の吐出に支障が生じる、というような吐出不良の発生を抑制することが可能である。
【0081】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、長尺状の基材21上に正極活物質組成物5を間欠的に供給するようにしたが、予めリチウムイオン電池101のサイズに合わせて切断された正極集電体102をベルトコンベアなどで搬送し、その搬送中の正極集電体102の上に正極活物質組成物5を供給するようにしてもよい。
【0082】
以上で説明した実施の形態は、請求項2~請求項6に記載の発明を含む。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粉体供給装置において、前記吐出口には、前記基材に供給された前記電極活物質組成物を均すための均しローラが設置されている、ことを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、基材上に均一な厚みの電極活物質組成物を間欠的に配置することが可能である。
【0083】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の粉体供給装置において、前記ホッパー内には、前記吐出口に向けて前記電極活物質組成物を送り出すベルトフィーダが設置されている、ことを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、ホッパーから基材上に電極活物質組成物を安定的に供給することが可能である。
【0084】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の粉体供給装置において、前記シャッタが開放されたときに前記ベルトフィーダを駆動させ、前記シャッタが閉じられたときに前記ベルトフィーダを停止させる制御手段を備える、ことを特徴とする。請求項4に記載の発明によれば、ホッパーから基材上に電極活物質組成物を安定的に供給することが可能である。また、シャッタが閉じられたときにベルトフィーダを停止させるようにしたので、電極活物質組成物がベルトフィーダによりシャッタに押しつけられて押し固められ、電極活物質組成物の吐出に支障が生じる、というような吐出不良の発生を抑制することが可能である。
【0085】
請求項5に記載の発明は、シート状の基材の上に、電極活物質粒子を含む粉体状の電極活物質組成物からなる電極活物質層が形成されたリチウムイオン電池用電極の製造装置であって、前記基材の上に前記電極活物質組成物を供給する供給手段と、前記基材と、前記供給手段とを相対移動させる移動手段と、を備え、前記供給手段として、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粉体供給装置を用いた、ことを特徴とする。請求項5に記載の発明によれば、シャッタの開閉のみで基材上に電極活物質組成物を間欠的に配置することが可能である。また、基材の搬送速度に応じて、シャッタの開放量および開放時間を変えることにより、基材上に形成される電極活物質層のサイズ(厚みおよび長さ)を調整することが可能である。
【0086】
請求項6に記載の発明は、シート状の基材の上に、電極活物質粒子を含む粉体状の電極活物質組成物からなる電極活物質層が形成されたリチウムイオン電池用電極の製造方法であって、前記基材と、前記基材の上に前記電極活物質組成物を供給して前記電極活物質層を形成する供給手段と、を相対移動させ、前記供給手段として、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粉体供給装置を用い、前記供給手段により前記基材上へ前記電極活物質組成物を供給する際に、前記吐出口のシャッタを開閉させる、ことを特徴とする。請求書6に記載の発明によれば、シャッタの開閉のみで基材上に電極活物質組成物を間欠的に配置することが可能である。また、基材の搬送速度に応じて、シャッタの開放量および開放時間を変えることにより、基材上に形成される電極活物質層のサイズ(厚みおよび長さ)を調整することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 リチウムイオン電池用電極の製造装置(電極製造装置)
2 基材供給部
3 正極活物質組成物供給部(粉体供給装置、供給手段)
31 ホッパー
31a 吐出口
32 シャッタ
33 ベルトフィーダ
34 均しローラ
35 制御部(制御手段)
4 加圧部
5 正極活物質組成物
101 リチウムイオン電池
101A 正極
101B 負極
102 正極集電体
103 正極活物質層
104 負極集電体
105 負極活物質層
106 セパレータ
107 封止材
図1
図2
図3
図4
図5