(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124414
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】電力設備
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20230830BHJP
H01H 33/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G01R31/12 A
H01H33/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028155
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直喜
【テーマコード(参考)】
2G015
5G027
【Fターム(参考)】
2G015AA10
2G015AA26
2G015BA02
2G015BA04
2G015CA01
5G027AA21
(57)【要約】
【課題】部分放電の検出感度のばらつきが低減された部分放電検出用センサを持つ、三相交流を送電する電力設備を提供する。
【解決手段】連結された複数の金属管1a,1bと、複数の金属管1a,1bの内部に配置されて三相交流を送電する第1ないし第3の母線2a~2cとを備える電力設備10であって、三相交流の第1の交流を送電する第1の母線2aで発生する部分放電と、三相交流の第2の交流を送電する第2の母線2bで発生する部分放電とを検出する第1のセンサ3aと、三相交流の第3の交流を送電する第3の母線2cで発生する部分放電を検出する第2のセンサ3bと、を備え、第1のセンサ3aと第1の母線2aとの間の第1の距離D1、第1のセンサ3aと第2の母線2bとの間の第2の距離D2、および第2のセンサ3bと第3の母線2cとの間の第4の距離D4は、第1のセンサ3aと第3の母線2cとの間の第3の距離D3未満である、電力設備10。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結された複数の金属管と、複数の前記金属管の内部に配置されて三相交流を送電する第1ないし第3の母線とを備える電力設備であって、
前記三相交流の第1の交流を送電する第1の母線で発生する部分放電と、前記三相交流の第2の交流を送電する第2の母線で発生する部分放電とを検出する第1のセンサと、
前記三相交流の第3の交流を送電する第3の母線で発生する部分放電を検出する第2のセンサと、
を備え、
前記第1のセンサと前記第1の母線との間の距離を第1の距離とし、
前記第1のセンサと前記第2の母線との間の距離を第2の距離とし、
前記第1のセンサと前記第3の母線との間の距離を第3の距離とし、
前記第2のセンサと前記第3の母線との間の距離を第4の距離とすると、
前記第1の距離、前記第2の距離および前記第4の距離は、前記第3の距離未満である、電力設備。
【請求項2】
前記第2のセンサと前記第2の母線との間の距離を第5の距離とすると、前記第5の距離は、前記第3の距離未満である、請求項1に記載の電力設備。
【請求項3】
前記第2のセンサと前記第1の母線との間の距離を第6の距離とすると、前記第4の距離および前記第5の距離は、前記第6の距離未満である、請求項2に記載の電力設備。
【請求項4】
前記第1の距離および前記第2の距離は、前記第6の距離未満である、請求項3に記載の電力設備。
【請求項5】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサは、前記第2の母線を挟んで対称な位置に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力設備。
【請求項6】
複数の前記金属管の間に挟まれて配置され、前記第1ないし第3の母線を保持する絶縁部材をさらに備え、
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサは、前記絶縁部材に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の電力設備。
【請求項7】
前記第1のセンサからの第1の検出信号と、前記第2のセンサからの第2の検出信号とを並列に接続する接続器と、
前記接続器に接続されて、前記第1の検出信号と前記第2の検出信号との間の位相差を整合するインピーダンス整合器と、
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の電力設備。
【請求項8】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサからの検出信号に基づいて、前記第1ないし第3の母線で発生する部分放電を監視する監視装置をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の電力設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変成器や開閉器等の送変電機器を含む電力設備に関し、より詳細には、内部で発生する部分放電を検出する機能を有する電力設備に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会において電力は欠かすことができず、電力設備は必要不可欠なインフラストラクチャとなっている。変成器や開閉器等の送変電機器を含む電力設備は、一旦運転に入ると停止できる機会が少なく、このような電力設備に万が一故障が発生すると、社会的に与える影響は大きい。
【0003】
電力設備に故障が生じ始める初期の頃には、電力設備を構成する例えばガス絶縁開閉装置(GIS)内部に部分放電が生じる。電力設備に部分放電が発生すると、電力設備の動作に不具合が生じる。そのため、電力設備に発生する部分放電を検出することにより、電力設備の故障をいち早く察知することが行われている。例えば下記特許文献1には、ガス絶縁開閉装置(GIS)等の電力設備の内部で発生する部分放電を検出するセンサが開示されている。
図4は、従来技術に係る部分放電センサの配置を示す図である。
図4に示すように、特許文献1では、部分放電センサ93は、単相交流を送電する1本の母線92に適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5は、従来技術に係る部分放電センサの配置を三相交流の母線に適用した場合の問題点を説明する図である。
【0006】
電力は、比較的大きな電力を必要とする工場等の需要家には三相交流により送電されている。特許文献1に開示されている部分放電センサ93の配置を、A相、B相およびC相の三相交流を送電する電力設備にそのまま適用すると、
図5に示すように、A相母線92a(以下、A相母線92aと記載)および部分放電センサ93間の距離D1と、C相母線92c(以下、C相母線92cと記載)および部分放電センサ93間の距離D3とが異なる。
【0007】
このように距離D1と距離D3とが異なっていると、略同一の電荷量の部分放電がA相母線92aまたはC相母線92cにおいて発生したとき、A相母線92aで発生した部分放電を部分放電センサ93が検出する感度と、C相母線92cで発生した部分放電を部分放電センサ93が検出する感度とが同一にならず、検出感度にばらつきが生じる。検出感度にばらつきが生じていると、略同一の電荷量の部分放電であるにもかかわらず、検出感度が低い方の母線において発生している部分放電の発生を見落とすおそれがある。三相交流を送電する電力設備において、部分放電の検出感度のばらつきを低減することが求められている。
【0008】
本発明は、部分放電の検出感度のばらつきが低減された部分放電検出用センサを持つ、三相交流を送電する電力設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る電力設備は、連結された複数の金属管と、複数の前記金属管の内部に配置されて三相交流を送電する第1ないし第3の母線とを備える電力設備であって、前記三相交流の第1の交流を送電する第1の母線で発生する部分放電と、前記三相交流の第2の交流を送電する第2の母線で発生する部分放電とを検出する第1のセンサと、前記三相交流の第3の交流を送電する第3の母線で発生する部分放電を検出する第2のセンサと、を備え、前記第1のセンサと前記第1の母線との間の距離を第1の距離とし、前記第1のセンサと前記第2の母線との間の距離を第2の距離とし、前記第1のセンサと前記第3の母線との間の距離を第3の距離とし、前記第2のセンサと前記第3の母線との間の距離を第4の距離とすると、前記第1の距離、前記第2の距離および前記第4の距離は、前記第3の距離未満である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、部分放電の検出感度のばらつきが低減された部分放電検出用センサを持つ、三相交流を送電する電力設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電力設備の金属管部分の側面図である。
【
図3】
図2に示す電力設備のIII-III線に沿う断面図上に、電力設備の模式的な構成を表した図である。
【
図4】従来技術に係る部分放電センサの配置を示す図である。
【
図5】従来技術に係る部分放電センサの配置を三相交流の母線に適用した場合の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する重複した説明を省略する。
【0013】
[実施形態]
図1ないし
図3は、本発明の一実施形態に係る電力設備の模式的な構成を示す図である。
図1は、電力設備の金属管部分の側面図である。
図2は、
図1に示す側面図の部分拡大図である。
図3は、
図2に示す電力設備のIII-III線に沿う断面図上に、電力設備の模式的な構成を表した図である。以下に説明する本発明の一実施形態では、電力設備がガス絶縁開閉装置(GIS)である場合を一例として挙げて説明する。
【0014】
図1ないし
図3に示すように、一実施形態に係る電力設備10は、連結された複数の金属管1a,1bと、三相交流を送電する第1ないし第3の母線2a~2cと、部分放電を検出する第1および第2のセンサ3a,3bとを備える。本実施形態では、電力設備10はガス絶縁開閉装置(GIS)であり、電力設備10はガス絶縁開閉装置(GIS)の一構成要素として、遮断器、母線断路器および接地開閉器等をさらに備えることができる。
【0015】
本実施形態に係る電力設備10では、第1および第2のセンサ3a,3bと三相交流の母線2a~2cとは、部分放電の検出感度のばらつきを低減するために、所定の位置関係を満たすように配置されている。位置関係の詳細については
図3を参照して後述する。
【0016】
金属管1a,1bは、第1ないし第3の母線2a~2cを保護および絶縁するための構成である。第1ないし第3の母線2a~2cは、金属管1a,1bの内部の筒状の空洞内に配置されている。金属管1a,1bの端部にはフランジ4a,4bが形成されており、フランジ4a,4bの間には絶縁部材5が配置されている。対向するフランジ4a,4bは接続ボルト9により接続されている。例示的には、金属管1a,1bの材質は鉄(圧延鋼材)またはアルミニウムであり、絶縁部材5の材質はエポキシ樹脂である。絶縁部材5は、複数の金属管1a,1bの間に挟まれて配置され、金属管1a,1bの内部に閉空間を区画し、複数の金属管1a,1bの内部に第1ないし第3の母線2a~2cを保持している。例示的には、閉空間には、六フッ化硫黄ガス(SF6)等の絶縁性の物質が充填されている。
【0017】
第1ないし第3の母線2a~2cは、複数の金属管1a,1bの内部に配置されて、位相が約120度ずつずれたA相、B相およびC相の三相交流を送電する。第1の母線2aは、第1の交流であるA相の交流を送電するA相母線である。同様に、第2の母線2bは、第2の交流であるB相の交流を送電するB相母線であり、第3の母線2cは、第3の交流であるC相の交流を送電するC相母線である。本実施形態では、第2の母線2bは中相となる。例示的には、A相母線2a~C相母線2cに流される三相交流の電圧は、84kVクラスとするが、三相一括形の電力設備であれば84kV以外(例えば154kV、275kV)の電圧クラスでも良い。
【0018】
第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bは、本実施形態では金属管1a,1bの外側に位置する絶縁部材5の表面に配置されている。第1のセンサ3aは、A相母線2aで発生する部分放電と、B相母線2bで発生する部分放電とを検出する。第2のセンサ3bは、B相母線2bで発生する部分放電と、C相母線2cで発生する部分放電とを検出する。B相母線2bで発生する部分放電は、第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bの少なくとも一方で検出することができればよい。部分放電が発生することにより放出される電磁波は、金属管1a,1bの間に配置されている絶縁部材5を通じて金属管1a,1bの外部に放出される。第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bはそれぞれ、絶縁部材5を通じて金属管1a,1bの外部に漏れ出す電磁波を検出する。第1のセンサ3aにより検出される信号は、信号線6aを通じて監視装置20に入力され、第2のセンサ3bにより検出される信号は、信号線6bを通じて監視装置20に入力される。例示的には、第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bには、導体で構成されたアンテナを用いることができ、信号線6a,6bには、同軸ケーブルを用いることができる。
【0019】
なお、第1のセンサ3aは、C相母線2cで発生する部分放電を検出することが可能であるが、その検出感度は、A相母線2aまたはB相母線2bで発生する部分放電を検出する感度よりも低い。同様に、第2のセンサ3bは、A相母線2aで発生する部分放電を検出することが可能であるが、その検出感度は、B相母線2bまたはC相母線2cで発生する部分放電を検出する感度よりも低い。
【0020】
図3に例示するように、電力設備10は、本実施形態では接続器7とインピーダンス整合器8と監視装置20とをさらに備えている。
【0021】
接続器7は、第1のセンサ3aからの第1の検出信号と、第2のセンサ3bからの第2の検出信号とを並列に接続する。接続器7に入力された第1の検出信号と第2の検出信号とは混合されて、監視装置20に入力される。インピーダンス整合器8は、接続器7に接続されて、第1の検出信号と第2の検出信号との間の位相差を整合する。位相差は例えばQマッチ法により整合する。第1の検出信号と第2の検出信号との間の位相差を整合すると、第1の検出信号および第2の検出信号間の位相の遅れが低減される。これにより、部分放電の検出感度のばらつきはより低減される。本実施形態では、インピーダンス整合器8は、第1のセンサ3aと接続器7との間の信号線6aと、第2のセンサ3bと接続器7との間の信号線6bとの両方に接続されている。例示的には、接続器7には、T型の同軸コネクタを用いることができ、インピーダンス整合器8には、λ/4変成器を用いることができる。
【0022】
接続器7において並列に接続された第1の検出信号および第2の検出信号は、例えば図示しないAD変換器等(監視装置20に搭載されていても良い)により信号処理がなされて、監視装置20に入力される。監視装置20は、第1のセンサ3aからの第1の検出信号と第2のセンサ3bからの第2の検出信号とに基づいて、A相母線2aないしC相母線2cで発生する部分放電を監視する。例示的には、監視装置20はコンピュータ機器とすることができる。
【0023】
監視装置20は、部分放電を検出すると、例えばA相母線2aないしC相母線2c(A相母線2a、B相母線2b、C相母線2cのいずれか)において部分放電が発生している旨の情報を、例えば監視装置20のモニターに表示する。または、監視装置20は、部分放電が発生している旨の情報を、他の複数の電力設備の運転状況を集中監視する図示しない集中監視装置に、例えばネットワークを介して有線通信または無線通信により送信する。集中監視装置のモニターには、例えばA相母線2aないしC相母線2cにおいて部分放電が発生している旨の情報と共に、部分放電が発生している電力設備のメンテナンスを促すメッセージが表示される。
【0024】
図3を参照して、第1および第2のセンサ3a,3bと三相交流の母線2a~2cとの位置関係について詳細に説明する。本実施形態に係る電力設備10では、第1および第2のセンサ3a,3bと三相交流の母線2a~2cとは、部分放電の検出感度のばらつきを低減するために、所定の位置関係を満たすように配置されている。
【0025】
以下の説明では、第1のセンサ3aとA相母線2aとの間の距離を第1の距離D1とし、第1のセンサ3aとB相母線2bとの間の距離を第2の距離D2とし、第1のセンサ3aとC相母線2cとの間の距離を第3の距離D3とする。また、第2のセンサ3bとC相母線2cとの間の距離を第4の距離D4とし、第2のセンサ3bとB相母線2bとの間の距離を第5の距離D5とし、第2のセンサ3bとA相母線2aとの間の距離を第6の距離D6とする。なお説明の便宜上、複数の構成間の距離とは、図示するように複数の構成間の最短距離であるとする。
【0026】
本実施形態では、
図3に例示するように、第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bは、B相母線2bを挟んで概ね左右対称な位置に配置されている。
図3に例示する態様においてB相母線2bを挟んで左右対称な位置とは、図中A相母線2aの中心とC相母線2cの中心とを結ぶ線に対してB相母線2bの中心から垂線を下ろしたとき、その垂線を挟んで左右対称な位置であることを意味する。これにより、A相母線2aまたはB相母線2bで発生した部分放電を第1のセンサ3aが検出する感度と、B相母線2bまたはC相母線2cで発生した部分放電を第2のセンサ3bが検出する感度とのばらつきが低減される。理想的には、第1の距離D1および第2の距離D2が同じであり、第4の距離D4および第5の距離D5が同じであり、第1の距離D1および第2の距離D2は第3の距離D3未満であり、第4の距離D4および第5の距離D5は第6の距離D6未満である。
【0027】
以下に説明するように、第1および第2のセンサ3a,3bとA相母線2a~C相母線2cとの位置関係は、このような理想的な位置関係にある必要は必ずしもない。例えば第1の距離D1および第2の距離D2は厳密に同じである必要はなく、部分放電の検出感度のばらつきを低減することが可能な範囲内において、第1の距離D1および第2の距離D2はばらつきを有している。第4の距離D4および第5の距離D5においても同様に、これらは厳密に同じである必要はなくばらつきを有していてもよい。すなわち、第1および第2のセンサ3a,3bとA相母線2a~C相母線2cとの位置関係は、距離のばらつきを許容したうえで次のように規定することができる。
【0028】
本実施形態に係る電力設備10では、第1の距離D1、第2の距離D2および第4の距離D4は第3の距離D3未満である条件を少なくとも満たす。すなわち、
D1,D2<D3 かつ D4<D3 (条件式1)
を満たす。これにより、A相母線2aまたはB相母線2bで発生した部分放電を第1のセンサ3aが検出する感度と、B相母線2bまたはC相母線2cで発生した部分放電を第2のセンサ3bが検出する感度とのばらつきが低減される。
【0029】
好ましくは、第5の距離D5は、第3の距離D3未満である条件をさらに満たすことができる。すなわち、条件式1に加えて、
D5<D3 (条件式2)
をさらに満たすことができる。これにより、検出感度のばらつきはより低減される。
【0030】
さらに好ましくは、第4の距離D4および第5の距離D5は、第6の距離D6未満である条件をさらに満たすことができる。すなわち、条件式1および条件式2に加えて、
D4,D5<D6 (条件式3)
をさらに満たすことができる。
【0031】
ことさらに好ましくは、第1の距離D1および第2の距離D2は、第6の距離D6未満である条件をさらに満たすことができる。すなわち、条件式1ないし条件式3に加えて、
D1,D2<D6 (条件式4)
をさらに満たすことができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態に係る電力設備によると、部分放電の検出感度のばらつきを低減することができる。一実施形態に係る電力設備10では、第1および第2のセンサ3a,3bと三相交流の母線2a~2cとは、上記説明した所定の位置関係を満たすように配置されている。これにより、部分放電の検出感度のばらつきを低減することができる。
【0033】
[その他の形態]
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0034】
上記した実施形態では、電力設備10はガス絶縁開閉装置(GIS)であるが、三相交流を送電する少なくとも3本の母線を備えている限り、電力設備はガス絶縁開閉装置(GIS)に限定されず、電力設備は、例えば変成器等の送変電機器とすることができる。また、電力設備10は、三相交流を送電する母線としての3本の母線を備えている限り、結線の方式は制限されない。すなわち、電力設備10は、中性線を備える例えばスター型結線の三相4線式の電力設備であってもよいし、中性線を備えない例えばデルタ型結線の三相3線式の電力設備であってもよい。
【0035】
上記した実施形態では、第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bは、金属管1a,1bの外側に位置する絶縁部材5の表面に配置されているが、第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bの配置はこれに限定されない。第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bは絶縁部材5に配置されていればよく、第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bは、例えば対向するフランジ4a,4bに挟まれている部分の絶縁部材5内や、例えば金属管1a,1bの内側に位置する絶縁部材5内に、例えば埋め込まれて配置されてもよい。これにより、第1のセンサ3aおよび第2のセンサ3bを、A相母線2a~C相母線2cのより近くに配置することができる。
【0036】
上記した実施形態では、金属管1a,1bの内部に区画される閉空間には六フッ化硫黄ガスが充填されているが、閉空間に充填される物質はこれに限定されない。第1ないし第3の母線2a~2cが配置される閉空間には絶縁性の物質が充填されていればよく、例えば六フッ化硫黄ガス以外の絶縁性のガスや絶縁油が充填されていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1a,1b 金属管
2a 第1の母線(A相母線)
2b 第2の母線(B相母線)
2c 第3の母線(C相母線)
3a 第1のセンサ
3b 第2のセンサ
4a,4b フランジ
5 絶縁部材
6a,6b 信号線
7 接続器
8 インピーダンス整合器
9 接続ボルト
20 監視装置
91a,91b 金属管
92(92a,92b,92c) 母線(A相母線、B相母線、C相母線)
93 部分放電センサ
94a,94b フランジ
95 絶縁スペーサ
96 信号線
99 接続ボルト