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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124416
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】組合せ計数装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028157
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】西 竜矢
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇起
(57)【要約】
【課題】組合せ計数装置へ物品を供給する製造装置で製造される物品の単位重量を容易に取得できるようにする。
【解決手段】最適組合せのホッパから排出される物品の重量を累積した累積重量値を、最適組合せのホッパから排出される物品の個数を累積した累積個数値で除算して物品の単位重量平均値を算出すると共に、算出した単位重量平均値を、製造装置に送信する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置によって製造される物品が供給される複数のホッパと、前記ホッパで計量される前記物品の重量に基づいて、前記ホッパに供給された物品の個数を求めると共に、組合せ演算を行って最適組合せとして選択されたホッパから物品を排出させる演算制御部とを備え、
前記演算制御部は、前記最適組合せのホッパから排出される物品の重量を累積した累積重量値を、前記最適組合せのホッパから排出される物品の個数を累積した累積個数値で除算して前記物品の単位重量の平均値である単位重量平均値を算出すると共に、算出した単位重量平均値を前記製造装置に送信する、
ことを特徴とする組合せ計数装置。
【請求項2】
前記演算制御部は、前記算出した単位重量平均値、算出した前記単位重量平均値に基づく値、及び、算出した前記単位重量平均値と基準値との比較判定結果の少なくともいずれか一つを、報知装置に送信する、
請求項1に記載の組合せ計数装置。
【請求項3】
前記報知装置が、表示器及び警報器の少なくともいずれか一方である、
請求項2に記載の組合せ計数装置。
【請求項4】
前記報知装置が、当該組合せ計数装置及び前記製造装置の少なくともいずれか一方に備えられている、
請求項3に記載の組合せ計数装置。
【請求項5】
前記基準値が、上限基準値及び下限基準値の少なくともいずれか一方であり、
前記演算制御部は、算出した前記単位重量平均値が前記上限基準値を上回ったとき、及び、算出した前記単位重量平均値が前記下限基準値を下回ったときの少なくともいずれか一方のときに、異常であるとの前記比較判定結果を前記報知装置に送信する、
請求項2ないし4のいずれか一項に記載の組合せ計数装置。
【請求項6】
前記報知装置が、異常を報知する警報器である、
請求項5に記載の組合せ計数装置。
【請求項7】
前記累積重量値及び前記累積個数値は、所定時間が経過する間に累積された累積値、又は、前記組合せ演算によって選択された前記最適組合せのホッパから物品が排出される回数が所定回数となる間に累積された累積値であって、前記所定時間が経過する毎に、又は、前記所定回数となる毎に、前記累積値が更新される、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の組合せ計数装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ演算を行って物品の個数を計数する組合せ計数装置に関し、更に詳しくは、製造装置で製造されて供給される物品を計数するのに好適な組合せ計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ計数装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、複数の計量機を備えており、各計量機内の物品の計量値(重量値)を、設定された物品1個あたりの単位重量(単重)で除算して個数に変換し、すなわち、各計量機に供給されている物品の個数を求め、この個数を種々に組合せる組合せ演算を行う。
【0003】
この組合せ演算において、得られた組合せ個数を、予め設定されている目標個数と比較し、例えば、重量の制限がなく、上限個数が設定されている場合には、目標個数以上、上限個数以下で目標個数に等しいか又はこれに最も近い値となる計量機の組合せを最適組合せとして選定し、また、例えば、上限重量、下限重量、及び目標重量がそれぞれ設定されている場合には、組合せ個数が目標個数に等しくて、その組合せ重量が上限重量及び下限重量の範囲内で且つ目標重量に等しいか又はこれに最も近い値となる計量機の組合せを最適組合せとして選定する。
【0004】
通常、組合せ計数装置には包装機が付設されて計量包装ラインが構成され、組合せ計数装置で上記最適組合せとして選定された計量機から物品が排出されて、包装機へ投入され、包装機で1つの包装品として包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6-63816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような計量包装ラインに対して、製造装置で製造された物品が供給される場合、特に物品が、例えばウィンナーやソーセージ等の腸詰め食品である場合には、製造条件、例えば、食肉を含む原料を皮材となる腸に充填する際の充填圧力、温度、湿度、原料の粘度等によって物品1個あたりの重量である単位重量(単重)が変動し易い。
【0007】
このように製造される物品の単位重量が変動して、組合せ計数装置に設定されている単位重量との差が大きくなると、上記のように各計量機内の物品の重量値を、設定された単位重量で除算して個数に変換するので、計量機毎に算出される物品の個数に誤差が発生し、正確な計数が困難となる。
【0008】
このため、製造装置を操作する作業者は、製造される物品を定期的、例えば、1時間に1回抜き取って物品の重量である単位重量をチェックし、製造される物品の単位重量が、組合せ計数装置に設定されている単位重量に一致するように製造条件を調整している。
【0009】
製造される物品を抜き取ってその重量をチェックする間隔を長くすれば、作業者の負担は軽減されるが、その間隔が長過ぎると、上記のように製造される物品の重量、すなわち、物品の単位重量が変動した場合に、組合せ計数装置に設定されている個数を算出するための単位重量との差が大きくなって、正確な計数が困難となる。
【0010】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、物品を組合せ計数装置へ供給する製造装置で製造される前記物品の単位重量を容易に取得できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0012】
(1)本発明に係る組合せ計数装置は、製造装置によって製造される物品が供給される複数のホッパと、前記ホッパで計量される前記物品の重量に基づいて、前記ホッパに供給された物品の個数を求めると共に、組合せ演算を行って最適組合せとして選択されたホッパから物品を排出させる演算制御部とを備え、
前記演算制御部は、前記最適組合せのホッパから排出される物品の重量を累積した累積重量値を、前記最適組合せのホッパから排出される物品の個数を累積した累積個数値で除算して前記物品の単位重量の平均値である単位重量平均値を算出すると共に、算出した単位重量平均値を前記製造装置に送信する。
【0013】
本発明に係る組合せ計数装置によると、製造装置から供給される物品を計数すると共に、製造される物品の単位重量平均値を算出し、算出した単位重量平均値を製造装置に送信するので、製造装置側で、物品の重量をチェックすることなく、物品の単位重量を取得することが可能になる。これによって、製造する物品の単位重量が変動した場合には、製造装置を操作する作業者が、製造装置の製造条件を調整することによって、あるいは、製造装置が自動的に製造条件を調整することによって、物品の単位重量の変動を抑制することができる。
【0014】
(2)本発明の一実施態様では、前記演算制御部は、前記算出した単位重量平均値、算出した前記単位重量平均値に基づく値、及び、算出した前記単位重量平均値と基準値との比較判定結果の少なくともいずれか一つを、報知装置に送信する。
【0015】
算出した前記単位重量平均値に基づく値は、例えば、算出した前記単位重量平均値を移動平均した値などである。
【0016】
この実施態様によると、作業者は、製造される物品の単位重量の状況を、単位重量平均値、単位重量平均値に基づく値、及び、単位重量平均値と基準値との比較判定結果の少なくともいずれか一つとして、報知装置によって把握することができる。したがって、製造する物品の単位重量が変動した場合には、その変動を報知装置によって把握した作業者は、製造装置に対する調整操作を行って、物品の単位重量の変動を抑制することができる。
【0017】
(3)本発明の他の実施態様では、前記報知装置が、表示器及び警報器の少なくともいずれか一方である。
【0018】
この実施態様によると、演算制御部によって算出される単位重量平均値、単位重量平均値に基づく値、単位重量平均値と基準値との比較判定結果を表示器に表示したり、あるいは、単位重量平均値と基準値との比較判定結果に基づいて警報器で警報を発したりすることによって、作業者に対して、製造される物品の単位重量の状況を知らせることができる。
【0019】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記報知装置が、当該組合せ計数装置及び前記製造装置の少なくともいずれか一方に備えられている。
【0020】
この実施態様によると、作業者は、製造される物品の単位重量の状況を、製造装置及び組合せ計数装置のいずれか一方に備えられている報知装置によって把握することができる。したがって、製造する物品の単位重量が変動した場合には、その変動を報知装置によって把握した作業者は、製造装置に対する調整操作を行って、物品の単位重量の変動を抑制することができる。
【0021】
(5)本発明の一実施態様では、前記基準値が、上限基準値及び下限基準値の少なくともいずれか一方であり、前記演算制御部は、算出した前記単位重量平均値が前記上限基準値を上回ったとき、及び、算出した前記単位重量平均値が前記下限基準値を下回ったときの少なくともいずれか一方のときに、異常であるとの前記比較判定結果を前記報知装置に送信する。
【0022】
この実施態様によると、製造装置で製造される物品の単位重量が変動して、演算制御部によって算出される単位重量平均値が、上限基準値を上回ったとき、及び、下限基準値を下回ったときの少なくともいずれか一方のときには、異常であることが報知装置で報知されるので、作業者は、製造装置に対する調整操作を行って、製造される物品の単位重量を、上限基準値以内あるいは下限基準値以上に制御することができる。
【0023】
(6)本発明の他の実施態様では、前記報知装置が、異常を報知する警報器である。
【0024】
この実施態様によると、製造装置で製造される物品の単位重量が変動して、演算制御部によって算出される単位重量平均値が、上限基準値を上回ったとき、及び、下限基準値を下回ったときの少なくともいずれか一方のときには、警報器によって警報が発せられるので、作業者は、直ちに製造装置に対する調整操作を行って、製造される物品の単位重量を、迅速に上限基準値以内あるいは下限基準値以上に制御することができる。
【0025】
(7)本発明の更に他の実施態様では、前記累積重量値及び前記累積個数値は、所定時間が経過する間に累積された累積値、又は、前記組合せ演算によって選択された前記最適組合せのホッパから物品が排出される回数が所定回数となる間に累積された累積値であって、前記所定時間が経過する毎に、又は、前記所定回数となる毎に、前記累積値が更新される。
【0026】
この実施態様によると、前記所定時間が経過する間、あるいは、前記所定回数となる間毎に、物品の単位重量の平均値を算出することができる。
【発明の効果】
【0027】
このように、本発明の組合せ計数装置によれば、製造される物品の単位重量平均値を算出し、算出した単位重量平均値を製造装置に送信するので、製造装置側で、物品の重量をチェックすることなく、物品の単位重量を取得することが可能になる。これによって、製造する物品の単位重量が変動した場合には、作業者が製造装置に対する調整操作を行ったり、あるいは、製造装置が自動調整することによって、物品の単位重量の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は本発明の一実施形態に係る組合せ計数装置の概略構成を示す模式図である。
図2図2は組合せ計数装置の制御系統の概略を示すブロック図である。
図3図3は組合せ計数装置及び組合せ計数装置へ物品を供給する物品製造装置を示す概略図である。
図4図4は組合せ計数装置の操作設定表示器の設定画面例を示す図である。
図5図5は組合せ計数装置の操作設定表示器の警報画面例を示す図である。
図6図6は組合せ計数装置の全体の制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7図7図6の計数重量組合せ演算処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8図6の単重制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態の組合せ計数装置の構成を示す概略模式図である。この組合せ計数装置1には、その上部の中央に、後述の物品製造装置で製造された物品が供給装置10から落下供給される。この物品としては、製造条件によって、物品1個あたりの重量である単位重量(単重)が変化しやすい食品、例えば、ウィンナーやソーセージなどの物品が好適である。
【0031】
組合せ計数装置1には、供給される物品を振動によって放射状に分散させる円錐形の分散フィーダ11が設けられている。分散フィーダ11では、供給装置10から供給される物品を振動によってその周縁部方向へ搬送する。分散フィーダ11の周囲には、分散フィーダ11によって搬送された物品を振動によって各供給ホッパ13へ搬送する複数の直進フィーダ12が設けられている。
【0032】
各直進フィーダ12の下方には、供給ホッパ13及び計量ホッパ14がそれぞれ対応して設けられている。供給ホッパ13は、直進フィーダ12から送り込まれた物品を一旦保持し、その下方に配置された計量ホッパ14が空になると、ゲートを開いて計量ホッパ14へ物品を投入する。計量ホッパ14の下方には、集合シュート16及び集合ファネル18が設けられ、その下方に包装機20が配置される。
【0033】
この組合せ計数装置1の中央部には、センター基体17が設けられており、このセンター基体17の上面には、上記の分散フィーダ11及び直進フィーダ12が配置され、その周壁には、上記の供給ホッパ13及び計量ホッパ14が着脱自在に取り付けられている。計量ホッパ14は、センター基体17内の複数の重量センサ15にそれぞれ支持されてその重量が検出され、各重量センサ15から出力される荷重信号は、制御装置21へ入力される。
【0034】
制御装置21に接続されている操作設定表示器19は、例えばタッチパネル等で構成され、組合せ計数装置1に対する各種の操作や運転パラメータの設定等を行うことができる。この操作設定表示器19は、後述の設定画面や異常である旨の警報画面等を表示するものであり、報知装置としての機能を有する。
【0035】
図2図1の組合せ計数装置1の制御系統の概略を示すブロック図である。
【0036】
制御装置21は、演算制御部22と、振動駆動回路26,27と、ゲート駆動回路28,29と、増幅部を含むA/D変換回路30とを備えている。
【0037】
演算制御部22は、CPU23、メモリ24及びI/O部25を備えており、CPU23が、メモリ24に記憶されている動作プログラムを実行することにより、組合せ計数装置全体の動作を制御する。
【0038】
演算制御部22は、各部を制御すると共に、後述のように設定された組合せモードに応じた組合せ演算を行って、物品を排出する計量ホッパ14の最適組合せを選択する。
【0039】
振動駆動回路26,27は、演算制御部22からの制御信号に基づいて、分散フィーダ11及び各直進フィーダ12のそれぞれの振動動作を制御する。ゲート駆動回路28,29は、演算制御部22からの制御信号に基づいて、供給ホッパ13および計量ホッパ14のそれぞれのゲートの開閉動作を制御する。A/D変換回路30は、各重量センサ15からのアナログ荷重信号を増幅し、デジタル荷重信号に変換して演算制御部22へ出力する。また、演算制御部22は、操作設定表示器19と相互に通信できるように接続され、操作設定表示器19からの信号を入力すると共に、操作設定表示器19へ表示するデータ等の信号を出力する。また、演算制御部22は、包装機20とも通信可能に接続されている。
【0040】
この実施形態の組合せ計数装置1の制御装置21は、図3に示すように、当該組合せ計数装置1に供給する物品、例えば、ウィンナーを製造する物品製造装置2と通信可能である。この物品製造装置2は、ウィンナーを製造するものであって、ミンチ状にした食肉を含む原料を、皮材となる腸に充填する充填機(図示せず)を備えている。
【0041】
上記構成の組合せ計数装置1では、供給装置10から供給される物品を、分散フィーダ11によって、その周囲に配設されている複数の直進フィーダ12に分散搬送し、直進フィーダ12は、物品を更に外方へ搬送して、複数の供給ホッパ13に供給する。複数の供給ホッパ13は、複数の計量ホッパ14に物品を供給し、複数の計量ホッパ14で物品の重量を計量する。これら複数の計量ホッパ14の物品の重量に基づいて、後述のように最適組合せの計量ホッパ14を選択し、最適組合せの計量ホッパ14の物品を排出して、集合シュート16及び集合ファネル18を介して下方の包装機20に投入する。
【0042】
なお、本発明の他の実施形態として、前記計量ホッパ14から排出される物品を保持して排出するメモリホッパを設け、計量ホッパ14及びメモリホッパを対象にして組合せ演算を行い、最適組合せのホッパを選択するようにしてもよい。
【0043】
本実施形態では、物品製造装置2で製造されて組合せ計数装置1に供給される物品1個あたりの重量、すなわち、単位重量と、組合せ計数装置1に設定されている個数を算出するための単位重量との差が大きくなることによって、組合せ計数装置1で算出される物品の個数に誤差が生じて正確な計数が困難になるのを回避するために、次のようにしている。
【0044】
すなわち、組合せ計数装置1では、最適組合せの計量ホッパ14から排出される物品の重量を累積した累積重量値を、最適組合せの計量ホッパ14から排出される物品の個数を累積した累積個数値で除算して単位重量の平均値を算出し、算出した単位重量平均値を、物品製造装置2に送信するようにしている。更に、算出した単位重量平均値が、設定されている上限基準値及び下限基準値で規定される許容重量範囲を外れたときには、物品の単位重量の変動が大きい異常であるとして、操作設定表示器19に警報表示を行うと共に、異常信号を物品製造装置2に送信するようにしている。
【0045】
このため、この実施形態の組合せ計数装置1では、運転に先立つ運転パラメータの設定時には、単位重量平均値の上限基準値及び下限基準値を設定する。
【0046】
図4は、操作設定表示器19によって運転パラメータを設定する際の設定画面例を示す図である。
【0047】
この設定画面35では、組合せ演算のモードを選択するための組合せモード選択用のタッチキー45が表示されており、このタッチキー45にタッチして組合せモードを選択設定する。
【0048】
この例では、「計数+重量」の組合せモードが設定されている。この「計数+重量」の組合せモードは、計数を優先する組合せ演算のモードである。この組合せモードでは、例えば、計量ホッパ14の組合せの中から所定個数範囲となる計量ホッパ14の組合せを探して、それらを記憶しておき、それら計量ホッパ14の組合せの中から所定重量範囲となる計量ホッパ14の組合せを求めたり、あるいは、計量ホッパ14の組合せの中から目標個数となる計量ホッパ14の組合せを探し、それらの中から所定重量範囲となる計量ホッパ14の組合せを求めるといったことが可能である。
【0049】
なお、組合せモードは、「計数+重量」の組合せモードに限らず、重量の制限がなく個数のみで最適組合せを求める「計数」の組合せモードやその他の組合せモードがあり、組合せモード選択用のタッチキー45にタッチして切換え選択することができる。
【0050】
この設定画面35の右側の領域には、前記所定個数範囲を規定するための目標個数、上限個数及び下限個数をそれぞれ設定するためのタッチキー36~38が表示されている。この例では、目標個数が6個、上限個数及び下限個数が1個であるので、所定個数範囲は、5個以上7個以下である。
【0051】
下限個数を設定するためのタッチキー38の下には、物品の重量を除算して個数に変換するための単位重量値(単重値)を設定するためのタッチキー39が表示されている。この例では、単重値として20.0gが設定されている。
【0052】
また、設定画面35の左側の領域には、前記所定重量範囲を規定するための目標重量(目標組合せ重量)及び上限重量をそれぞれ設定するためのタッチキー43,44が表示されている。この例では、目標重量が120g、上限重量が10gであるので、所定重量範囲は、120g以上130g以下である。目標重量を設定するためのタッチキー43の上には、速度(運転速度)を設定するためのタッチキー42が表示されている。
【0053】
これらの各タッチキー36~39,42~44にタッチすることによって、テンキーが操作設定表示器19にポップアップ表示され、このテンキーを操作して対応する各項目の数値を設定できるように構成されている。
【0054】
以上の各項目の設定は、基本的に従来例と同様である。
【0055】
この実施形態では、最適組合せの計量ホッパ14から排出される物品の重量を累積した累積重量値を、最適組合せの計量ホッパ14から排出される物品の個数を累積した累積個数値で除算して算出される単位重量平均値と比較する基準値として、単重平均上限値及び単重平均下限値をそれぞれ設定する。
【0056】
この設定画面35では、単重値を設定するためのタッチキー39の下に、単重平均上限値及び単重平均下限値をそれぞれ設定するためのタッチキー40,41が表示されている。これらタッチキー40,41にタッチして、テンキーをポップアップ表示し、テンキーを操作して数値を設定する。
【0057】
この例では、単重平均上限値として7.5%、すなわち、単重20.0gの7.5%である1.5gが設定されており、単重平均下限値として2.5%、すなわち、単重20.0gの2.5%である0.5gが設定されている。したがって、単位重量平均値の上限基準値は、21.5gとなり、下限基準値は、19.5gとなる。
【0058】
この実施形態では、所定時間、又は、最適組合せの計量ホッパ14から物品が排出される回数が所定回数となる時間に亘って、最適組合せの計量ホッパ14から排出される物品の重量を累積した累積重量値を、最適組合せの計量ホッパ14から排出される物品の個数を累積した累積個数値で除算して単位重量平均値(単重平均値)を算出し、算出した単重平均値が、上限基準値である21.5gを上回ったとき、又は、下限基準値である19.5g下回ったときには、操作設定表示器19に、物品の単重平均値が許容重量範囲を外れた異常である旨の警報表示を行うと共に、異常信号を物品製造装置2に送信する。
【0059】
図5は、操作設定表示器19の警報表示の画面例をしている。この図5では、単重平均値が、22.0gであり、上限基準値である21.5gを上回っており、異常である旨の警報表示を行っている。
【0060】
次に、この実施形態の組合せ計数装置1の動作を、図6図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0061】
図6は、組合せ計数装置1の全体の処理動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0062】
先ず、運転条件の設定等の初期設定が行われ(ステップS1)、電源がONされると(ステップS2)、例えば、図4に示される設定値に応じた運転パラメータがセットされ(ステップS3)、ステップS4に移る。
【0063】
ステップS4では、分散フィーダ11を駆動して供給される物品を周囲へ分散させて直進フィーダ12に物品を供給する分散部制御を行う。
【0064】
次に、直進フィーダ12を駆動して、物品を空の供給ホッパ13に供給する直進フィーダ制御を行う(ステップS5)。
【0065】
更に、供給ホッパ13のゲートを開閉し、物品を空の計量ホッパ14へ供給する供給ホッパ制御を行う(ステップS6)。このように空の計量ホッパ14に物品が供給されると、対応する重量センサ15によって、前記計量ホッパ14に供給された物品の重量を計量し、計量値を取込む計量制御を行う(ステップS7)。
【0066】
次に、計量ホッパ14に供給されている物品の重量に基づいて、組合せ演算、この例では、後述のように計数重量組合せ演算を行ってステップS9に移る(ステップS8)。
【0067】
ステップS9では、この計数重量組合せ演算で、最適組合せが有ったか否かを判断し、最適組合せが有ったときには、ステップS10に移り、包装機20から排出命令信号が入力されたか否かを判断し、排出命令信号が入力されると、最適組合せの計量ホッパ14のゲートを開閉して包装機20へ物品を排出する計量ホッパ制御を行う(ステップS11)。
【0068】
次に、単位重量平均値を算出する後述の単重制御を行い(ステップS12)、運転スイッチがOFFされたか否かを判断し(ステップS13)、運転スイッチがOFFされていないときには、ステップS4に戻り、OFFされたときには、ステップS1に戻る。上記ステップS9で、最適組合せがないときには、ステップS4に戻る。
【0069】
図7は、図6の上記ステップS8の計数重量組合せ演算処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
この計数重量組合せ演算では、先ず、各計量ホッパ14で計量される物品の重量値を、設定された物品1個あたり単位重量である単重、上記図4の例では、20.0gで除算し、四捨五入して個数をそれぞれ算出して記憶する(ステップS81)。
【0071】
次に、各計量ホッパ14の物品の個数を種々組合せた組合せ個数が、目標個数(目標組合せ個数)、上記図4の例では、6個と一致する、あるいは、所定個数範囲、上記図4の例では、5個以上7個以内となる計量ホッパの組合せを探し、計数組合せのグループとして記憶する(ステップS82)。
【0072】
次に、計数組合せのグループに属する計量ホッパ14の組合せがあるか否かを判断し(ステップS83)、計数組合せのグループに属する計量ホッパ14の組合せがあるときには、その組合せの中から目標重量(目標組合せ重量)、上記図4の例では、120gに等しい、あるいは、目標重量に最も近い組合せを探し、計数計量組合せとする(ステップS84)。
【0073】
次に、計数計量組合せの計量ホッパ14の組合せ重量値が、許容重量範囲、上記図4の例では、120g以上130g以下であるか否かを判断し(ステップS85)、許容重量範囲であるときには、その計数計量組合せの計量ホッパ14を、最適組合せとしてセットし(ステップS86)、最適組合せが有ったことを示す最適組合せ有りフラグをONにして戻る(ステップS87)。
【0074】
上記ステップS83で、計数組合せのグループに属する計量ホッパ14の組合せがないとき、又は、ステップS85で、計数計量組合せの計量ホッパ14の組合せ重量値が、許容重量範囲でないときには、最適組合せが無いとして、最適組合せ有りフラグをOFFにして戻る(ステップS88)。
【0075】
図8は、図6の上記ステップS12の単重制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
この単重制御処理では、先ず、最適組合せの計量ホッパ14から排出された物品の重量値を累積加算し(ステップS121)、同様に、最適組合せの計量ホッパ14から排出された物品の個数を累積加算し(ステップS122)、ステップS123に移る。
【0077】
ステップS123では、計量回数による制御が設定されているか否かを判断する。計量回数による制御とは、単重平均値の算出のタイミングを、計量回数、すなわち、計量ホッパ14の物品の重量を計量して、最適組合せの計量ホッパ14から物品を排出した回数によって決定するものである。計量回数による制御でないときには、単重平均値の算出のタイミングを、内蔵の時計によって計測した経過時間によって決定する。
【0078】
ステップS123で、計量回数による制御が設定されているときには、上記図6のステップS11で最適組合せの計量ホッパ14から物品を排出したので、
計量回数を1回加算し(ステップS124)、計量回数が所定回数になったか否かを判断し(ステップS125)、所定回数になったときには、計量回数を初期化し(ステップS126)、単重平均値の算出のタイミングであるとしてステップS127に移る。
【0079】
ステップS127では、累積加算した物品の重量値である累積重量値を、累積加算した物品の個数である累積個数値で除算し、単重平均値を算出し、算出した単重平均値が、予め設定されている単重平均上限値を上回るか否かを判断し(ステップS128)、単重平均値が、単重平均上限値、上記の例で21.5gを上回るときには、単重上限異常信号を、物品製造装置2に送信すると共に、操作設定表示器19に単重平均値が上限異常である旨のメッセージを表示し(ステップS129)、算出した単重平均値を物品製造装置2に送信して戻る(ステップS130)。
【0080】
上記ステップS128で、算出した単重平均値が、予め設定されている単重平均上限値を上回っていないときには、ステップS134に移り、算出した単重平均値が、予め設定されている単重平均下限値を下回るか否かを判断し、単重平均値が、単重平均下限値、上記の例では、19.5gを下回るときには、単重下限異常信号を、物品製造装置2に送信すると共に、操作設定表示器19に単重平均値が下限異常である旨のメッセージを表示し(ステップS135)、ステップS130に移る。ステップS130では、算出した単重平均値を物品製造装置2に送信する。上記ステップS134において、算出した単重平均値が、単重平均下限値を下回っていないときには、ステップS130に移り、算出した単重平均値を物品製造装置2に送信する。
【0081】
上記ステップS123において、計量回数による制御が設定されていないときには、ステップS131に移り、内部時計から時刻を読み取り、運転を開始してからの経過時間が所定時間になったか、あるいは、前回の単重平均値の算出からの経過時間が所定時間になったか否かを判断し(ステップS132)、所定時間になったときには、経過時間を初期化し(ステップS133)、単重平均値の算出のタイミングであるとしてステップS127に移る。上記ステップS132で、所定時間になっていないときには戻る。
【0082】
上記ステップS129、ステップS135及びステップS130で物品製造装置2に送信されたデータに基づいて、物品製造装置2に備えられた表示器に、単重平均値及び警報が表示される。この物品製造装置2に備えられた表示器は、上記操作設定表示器19と同様に、報知装置としての機能を有する。
【0083】
なお、上記ステップS125の所定回数、及び、ステップS132の所定時間は、操作設定表示器19を操作して可変設定することができる。
【0084】
以上のように本実施形態によれば、物品製造装置2で製造されて組合せ計数装置1に供給される物品の単重平均値が、組合せ計数装置1で算出されて物品製造装置2に送信されるので、物品製造装置2側で、製造される物品を定期的に抜き取って物品の重量をチェックすることなく、物品の単位重量を取得することが可能となる。
【0085】
更に、この実施形態によれば、物品製造装置2で製造される物品の単位重量が変動して、組合せ計数装置1で算出される単重平均値が、単重平均上限値及び単重平均下限値で規定される許容重量範囲を外れると、報知装置としての操作設定表示器19に表示されるので、作業者は、物品製造装置2で製造される物品の単重平均値が、許容重量範囲を外れていることを知ることができる。
【0086】
これによって、作業者は、物品製造装置2の製造条件、例えば、ミンチ状にした食肉を含む原料を、皮材となる腸に充填する充填機の充填圧力等を調整して、製造される物品の単位重量を、許容重量範囲に収まるように制御することができる。
【0087】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、報知装置として、操作設定表示器19に警報表示を行うようにしたが、警告灯などの警報器によって、異常を報知するようにしてもよい。
【0088】
上記実施形態では、単重平均値のみを算出したが、この単重平均値に基づく値、例えば、単重平均値を移動平均した値を算出し、操作設定表示器19等の表示器に表示するようにしてもよい。
【0089】
上記実施形態では、算出した単重平均値が、許容重量範囲を外れたときに、異常の警報を報知したが、算出した単重平均値を、操作設定表示器19等の表示器に表示してよく、あるいは、所定の操作がされたときに、算出した単重平均値を表示してもよい。単重平均値等の表示は、数値による表示に限らず、数値の変化が分かるようにグラフで表示してもよい。
【0090】
上記実施形態では、算出した単重平均値が、許容重量範囲を外れたときに、異常の警報を報知したが、本発明の他の実施形態として、算出した単重平均値が、単重平均上限値を上回ったときのみ異常の警報を報知してもよく、あるいは、算出した単重平均値が、単重平均下限値を下回ったときのみ異常の警報を報知してもよい。
【0091】
本発明の他の実施形態として、上記許容重量範囲よりも広い第2の許容重量範囲を設け、算出される単重平均値が、この第2の許容重量範囲を外れたときには、物品製造装置2で製造される物品の単重の変動が大き過ぎるとして、物品製造装置2の運転を停止させるようにしてもよい。
【0092】
また、物品製造装置2は、組合せ計数装置1から送信される単位重量平均値に基づいて、単位重量平均値が、所定の重量範囲に収まるように、製造条件を自動調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 組合せ計数装置
2 物品製造装置
11 分散フィーダ
12 直進フィーダ
13 供給ホッパ
14 計量ホッパ
19 操作設定表示器
20 包装機
21 制御装置
22 演算制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8