(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124419
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】管理装置および管理方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/02 20060101AFI20230830BHJP
B66B 1/34 20060101ALI20230830BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B66B5/02 L
B66B1/34 A
B66B3/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028161
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 文江
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CB24
3F303CB31
3F304CA05
3F304EA35
3F304EC04
3F502HC07
3F502JA42
3F502JA44
3F502KA12
3F502KA19
3F502KA32
3F502NA31
(57)【要約】
【課題】停電の発生による閉じ込め状態を解消するために、電力を供給可能なロボットをエレベータに対して好適に割当てることができる管理装置および管理方法を提供する。
【解決手段】CPU111は、停電の発生によりエレベータ20のかご71が戸開できない閉じ込め状態となった場合に、閉じ込め状態を解消するために必要な必要電力を算出する。CPU111は、所定情報に基づき、少なくとも1台のロボット200のうち閉じ込め状態を解消可能なロボット200を割当ロボットとして割当てる。所定情報は、少なくとも1台のロボット200に搭載されたバッテリ217の残量と、必要電力とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を搭載した少なくとも1台のロボットを管理する管理装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記少なくとも1台のロボットのいずれかとエレベータとが接続されることで、前記エレベータと接続されたロボットに搭載された蓄電池から前記エレベータに電力が供給可能なように、前記少なくとも1台のロボットと前記エレベータとが構成されており、
前記プロセッサは、
停電の発生により前記エレベータのかごが戸開できない閉じ込め状態となった場合に、前記閉じ込め状態を解消するために必要な必要電力を算出し、
所定情報に基づき、前記少なくとも1台のロボットのうち前記閉じ込め状態を解消可能なロボットを割当ロボットとして割当て、
前記所定情報は、前記少なくとも1台のロボットに搭載された蓄電池の残量と、前記必要電力とを含む、管理装置。
【請求項2】
前記少なくとも1台のロボットの各々は、自律移動型のロボットであり、
前記閉じ込め状態は、停電の発生により前記かごが走行および戸開できないために、前記かごから乗客が降車できない状態であり、
前記エレベータに設置された供給口に前記割当ロボットが接続することで、前記割当ロボットに搭載された蓄電池から前記エレベータに電力が供給可能であり、
前記プロセッサは、前記割当ロボットに対して、前記供給口が設けられた場所まで走行した後に、前記供給口と接続して前記エレベータに電力を供給するように指令する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記必要電力は、第1電力と第2電力とを含み、
前記第1電力は、戸開可能な複数の停止可能階のいずれかで前記かごが停止していない場合に、前記複数の停止可能階のうち走行による消費電力が最も少ない階まで前記かごが走行するために必要な電力であり、
前記第2電力は、前記かごが戸開するための電力であり、
前記プロセッサは、前記かごの重量に関する情報と前記かごの位置に関する情報とを含むかご情報に基づき、前記消費電力が最も少ない階を決定する、請求項1または請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記エレベータには、前記かごの動作を制御する制御部が設けられ、
前記プロセッサは、前記制御部から前記かご情報を取得し、
前記メモリは、前記かご情報を記憶する、請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記かごには、前記かご内を撮像するカメラが設置され、
前記カメラは、前記かご内の乗客を撮像するとともに、前記かごの位置に関する情報を表示する位置表示を撮像し、
前記プロセッサは、
前記カメラが撮像した前記乗客の画像を含む情報に基づき、前記かごの重量に関する情報を推測し、
前記カメラが撮像した前記位置表示の画像を含む情報に基づき、前記かごの位置に関する情報を推測する、請求項3に記載の管理装置。
【請求項6】
前記かごには、前記かごの加速度を計測するセンサが設置され、
前記プロセッサは、前記カメラが撮像した前記位置表示の画像と、前記センサが計測した前記加速度とを含む情報に基づき、前記かごの位置に関する情報を推測する、請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記割当ロボットによって複数のかごに電力が供給される場合、優先度の高い順に前記複数のかごに電力が供給されるように前記割当ロボットに対して指令する。
前記優先度は、前記乗客の属性と前記乗客の状態とを含む乗客情報に基づき決定される、請求項5または請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記カメラが撮像した前記乗客の画像に基づき、前記乗客情報を推定する、請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
前記管理装置は、前記乗客が操作する端末と無線で通信可能であり、
前記プロセッサは、前記乗客が前記端末上で入力した情報から前記乗客情報を取得する、請求項7に記載の管理装置。
【請求項10】
蓄電池を搭載した少なくとも1台のロボットを管理する管理方法であって、
前記少なくとも1台のロボットのいずれかとエレベータとが接続されることで、前記エレベータと接続されたロボットに搭載された蓄電池から前記エレベータに電力が供給可能なように、前記少なくとも1台のロボットと前記エレベータとが構成されており、
停電の発生により前記エレベータのかごが戸開できない閉じ込め状態となった場合に、前記閉じ込め状態を解消するために必要な必要電力を算出するステップと、
所定情報に基づき、前記少なくとも1台のロボットのうち前記閉じ込め状態を解消可能なロボットを割当ロボットとして割当てるステップとを備え、
前記所定情報は、前記少なくとも1台のロボットに搭載された蓄電池の残量と、前記必要電力とを含む、管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電池を搭載した少なくとも1台のロボットを管理する管理装置および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2020/016925号)には、蓄電池を搭載した自立移動体からエレベータへの電力供給を行うエレベータシステムが開示されている。本エレベータシステムにおいて、エレベータへの電力供給が必要であると判定した際に、建築物の内部を移動する自立移動体がエレベータに電力供給を行うよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のエレベータシステムにおいて、自立移動体のようなロボットの蓄電池の残量が不足した場合、エレベータに対して十分な電力を供給できない場合が考えられる。たとえば、停電の発生により商用電源からの電力供給が絶たれ、エレベータのかごが停止階と停止階との間で停止してしまい、乗客がかごから降車できなくなるような閉じ込め状態が発生するケースが想定される。
【0005】
この場合、かごを最寄り階まで走行させた後に戸開させ、乗客を降車させる必要がある。ところが、ロボットの蓄電池の残量が十分でない場合、かごが最寄り階に到着する前に再度停止してしまい、かごに閉じ込められた乗客を救出することができなくなってしまう。
【0006】
エレベータが複数台設置されているような場合、かごの乗車人数(積載重量)および最大積載重量に応じて、乗客の救出に必要な電力はそれぞれのエレベータで異なる。救出に必要な電力をロボットがエレベータに供給できるのか、あるいは、ロボットが複数台設置されている場合、どのエレベータにどのロボットを割当てて電力を供給させれば乗客を救出することができるのかについては、特許文献1に記載のエレベータシステムにおいて考慮されていなかった。
【0007】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、停電の発生による閉じ込め状態を解消するために、電力を供給可能なロボットをエレベータに対して好適に割当てることができる管理装置および管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る管理装置は、蓄電池を搭載した少なくとも1台のロボットを管理する装置である。管理装置は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備える。少なくとも1台のロボットのいずれかとエレベータとが接続されることで、エレベータと接続されたロボットに搭載された蓄電池からエレベータに電力が供給可能なように、少なくとも1台のロボットとエレベータとが構成されている。プロセッサは、停電の発生によりエレベータのかごが戸開できない閉じ込め状態となった場合に、閉じ込め状態を解消するために必要な必要電力を算出する。プロセッサは、所定情報に基づき、少なくとも1台のロボットのうち閉じ込め状態を解消可能なロボットを割当ロボットとして割当てる。所定情報は、少なくとも1台のロボットに搭載された蓄電池の残量と、必要電力とを含む。
【0009】
本開示に係る管理方法は、蓄電池を搭載した少なくとも1台のロボットを管理する方法である。少なくとも1台のロボットのいずれかとエレベータとが接続されることで、エレベータと接続されたロボットに搭載された蓄電池からエレベータに電力が供給可能なように、少なくとも1台のロボットとエレベータとが構成されている。管理方法は、停電の発生によりエレベータのかごが戸開できない閉じ込め状態となった場合に、閉じ込め状態を解消するために必要な必要電力を算出するステップと、所定情報に基づき、少なくとも1台のロボットのうち閉じ込め状態を解消可能なロボットを割当ロボットとして割当てるステップとを備える。所定情報は、少なくとも1台のロボットに搭載された蓄電池の残量と、必要電力とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、停電の発生による閉じ込め状態を解消するために、電力を供給可能なロボットをエレベータに対して好適に割当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態におけるロボット管理システムの概要について説明するための図である。
【
図2】ロボット管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】管理装置とエレベータシステムとロボットとにおける電力供給方法について説明するための図である。
【
図4】ロボットによるエレベータへの給電を説明するための図である。
【
図5】かご内負荷と走行方向について説明するための図である。
【
図6】情報取得装置により撮影された画像の一例を示す図である。
【
図7】利用者端末に表示される画面の一例を示す図である。
【
図10】ロボット割当処理のフローチャートである。
【
図12】かご情報生成処理のフローチャートである。
【
図13】変形例に係るかご情報生成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、本実施の形態におけるロボット管理システムの概要について説明するための図である。ロボット管理システムは、管理装置100と、複数台のロボット200と、情報取得装置300と、利用者端末400と、複数台のエレベータ20が設けられたエレベータシステム10(後述の
図3参照)とを備える。
【0014】
管理装置100は、ロボット200を管理するサーバ装置である。管理するロボットの台数は1台であってもよいし、複数台であってもよい。本実施の形態では、複数台のロボット200のいずれかとエレベータ20とが接続されることで、エレベータ20と接続されたロボット200に搭載されたバッテリ(蓄電池)217からエレベータ20に電力が供給可能なように、複数台のロボット200とエレベータ20とが構成されている。ビル内に設置されるエレベータ20も、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0015】
本例では、管理装置100は、ロボット200a(「ロボットA」とも称する)、ロボット200b(「ロボットB」とも称する)を含む複数台のロボット200を管理する。
【0016】
詳しくは後述するが、管理装置100は、ロボット200のバッテリの残量と、閉じ込め状態を解消するために必要な必要電力とに基づき、閉じ込め状態が発生したエレベータ200に対して電力を供給するロボット200を割当てる(以下、このように割当てられたロボットを「割当ロボット」とも称する)。
図1の例では、ロボットAのバッテリは80%充電された状態であり、ロボットBのバッテリは40%充電された状態である。
【0017】
ロボット200は、自律移動型のロボットである。割当てられたロボット200(割当ロボット)は、エレベータ20に設置された供給口(コネクタ)のある場所まで自動で走行し、供給口に接続することで、割当ロボットからエレベータ20に電力が供給可能となる。
【0018】
図1には、閉じ込め状態が発生したエレベータ20のかご71内の様子が示されている。現在、かご71内は閉じ込め状態になっているとする。閉じ込め状態とは、停電の発生によりエレベータ20のかご71が戸開できない(かご71の扉32が開くことができない)状態である。より具体的には、閉じ込め状態は、停電の発生によりかご71が走行および戸開できないために、かご71から乗客が降車できない状態を指す。
【0019】
かご71内には、車椅子に乗った乗客54が乗車している。かご71内には、かご71の階床位置およびかご71の走行方向(上方向または下方向)を示す表示器31が設けられている。ここで、「階床位置」は、かご71がいずれの階床に位置しているのかを示すものである。たとえば、4階建てのビルにおいては、階床位置として、1階、2階、3階および4階のいずれかの階床が示される。
【0020】
かご71内には、情報取得装置300が設置されている。情報取得装置300は、たとえば、モバイル端末である。情報取得装置300は、表示器31および乗客54を含めてかご71内を撮影およびかご71の加速度を計測可能である。管理装置100は、情報取得装置300から取得した情報に基づきかご情報を算出する。管理装置100は、かご情報に基づいて必要電力を算出する。詳しくは、
図6、
図12を用いて後述する。
【0021】
さらに、かご71の壁面には、二次元コード33が付されている。乗客54は、乗客54が使用する利用者端末400を用いて、二次元コード33を読み込むことができる。利用者端末400は、たとえば、スマートフォンである。
【0022】
乗客54は、二次元コード33から特定されるURLにアクセスすることで、利用者端末400から管理装置100に接続することができる。そして、管理装置100に対して、利用者端末400からかご内の情報(救出の緊急度)を通知することで、ロボット200がかご71を優先的に救出する。詳しくは、
図7、
図11を用いて後述する。
【0023】
図2は、ロボット管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。上述のように、ロボット管理システムは、管理装置100と、ロボット200と、情報取得装置300と、利用者端末400と、エレベータシステム10とを備える。
【0024】
管理装置100は、CPU(Central Processing Unit)111と、メモリ112と、通信インターフェイス113とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0025】
メモリ112は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、記憶部とを備えるように構成してもよい。記憶部は、不揮発性の記憶装置である。記憶部は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であってもよい。
【0026】
CPU111は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、管理装置100の各種機能を実現する。ROMは、管理装置100の処理手順が記されたプログラムを格納する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0027】
管理装置100は、通信インターフェイス113を介して、ロボット200、情報取得装置300、利用者端末400およびエレベータシステム10と接続可能である。管理装置100は、ロボット200、情報取得装置300および利用者端末400とは無線による通信を行い、エレベータシステム10とは有線による通信を行う。
【0028】
本実施の形態におけるロボット200は、自律移動型の掃除機(清掃ロボット)である。ロボット200は、バッテリ217を搭載しており、バッテリ217に蓄えられた電力を用いて清掃対象のフロアを走行することができる。ロボット200は、自律的に移動しながら清掃部材を用いてフロアの清掃を行うことができる。
【0029】
さらに、ロボット200は、停電時においてバッテリ217を用いてエレベータ20を動作させることができる。このように、本実施の形態においては、ビル内を清掃する用途に用いられるロボット200を有効活用して、停電時にエレベータ20を動作させるようにしている。なお、ロボット200は、たとえば、荷物運搬用のロボットであってもよいし、案内ロボットであってもよいし、停電時のみに用いられるロボットであってもよいし、どのような用途に用いられるロボットであってもよい。
【0030】
ロボット200は、CPU211と、メモリ212と、通信機213と、カメラ214と、表示部221と、駆動部231と、バッテリ217とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ212も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0031】
CPU211は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、ロボット200の各種機能を実現する。ROMは、ロボット200の処理手順が記されたプログラムを格納する。表示部221は、各種情報の表示を行う。表示部221は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0032】
本実施の形態における通信機213は、無線通信機である。ロボット200は、通信機213を介して、管理装置100と接続可能である。また、管理装置100は、通信機213を用いてロボット200の位置を特定可能である。
【0033】
通信機213は、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy、「Bluetooth」は登録商標)通信規格に従う通信方式を用いて、ロボット200の位置を検出するための信号を発信する。BLE通信規格に代えて、UWB(Ultra Wide Band)通信規格等に従う通信方式を用いてもよい。また、通信機213は、たとえば、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信規格に従う通信方式を用いて、ロボット200を識別するためのIDや、ロボット200の清掃の開始/終了を示す信号等を管理装置100へ送信する。
【0034】
また、たとえば、ビル内の天井に適当な距離をおいて複数の通信機(図示せず、以下、「設置通信機」と称する)が配置される。設置通信機は、ロボット200の通信機213と同じ通信規格に従う通信方式を用いて、ロボット200から発信される信号を受信するとともにその受信強度を検知する。設置通信機における受信強度から、フロアにおけるロボット200の位置を測定することができる。設置通信機は、管理装置100と有線で接続されている。設置通信機は、ロボット200から受信した信号の受信強度を管理装置100へ出力する。これにより、管理装置100は、ロボット200の位置を特定する。
【0035】
あるいは、「設置通信機」ではなく、ビル内の天井に設置された複数のカメラ(図示せず。以下、「設置カメラ」と称する)を用いてもよい。設置カメラは、フロアを含むビル内を撮像する。設置カメラによる撮像画像には、ロボット200の画像が含まれている。設置カメラは、管理装置100と有線で接続されている。設置カメラは、撮像画像を示すデータを管理装置100へ出力する。管理装置100は、公知の画像解析技術を用いて撮像画像からロボット200の位置を特定する。
【0036】
管理装置100は、通信機213から送信される、ロボット200を識別するためのID、ロボットから出力される各種情報を受信する。また、管理装置100は、通信機213を介して、ロボット200に対して清掃を指示する信号、あるいは、停電時にエレベータ20に給電するように指示する信号等を送信することができる。
【0037】
CPU211は、ロボット200の動作を制御する。清掃を行う際は、ロボット200が自律的に移動しながら清掃を行うように駆動部231および清掃部材(図示せず)を制御する。清掃部材は、ロボット200の底面に設けられ、フロア(床面)の塵埃を吸引するための部材である。清掃部材は、たとえば、吸込口と、吸込口から塵埃を吸引するための送風機と、吸込口に設けられる回転ブラシと、回転ブラシを駆動するモータとを含んで構成される。
【0038】
カメラ214は、ロボット200の周囲を撮像し、撮像画像をCPU211へ出力する。CPU211は、カメラ214からの撮像画像および清掃エリア情報に基づいて、ロボット200が自律的に移動しながら清掃を行うように駆動部231および清掃部材を制御する。
【0039】
駆動部231は、ロボット200が走行するための駆動力を発生する。駆動部231は、たとえば、ロボット200が移動するための車輪と、車輪を駆動するためのモータとを含む。駆動部231は、バッテリ217から電力の供給を受けて作動することができる。バッテリ217は、駆動部231その他ロボット200の各機器が作動するための電力を供給する。
【0040】
ロボット200がエレベータ20と接続して給電する場合は、管理装置100からの指示に基づき、駆動部231を駆動させてエレベータ20の給電用のコネクタがある位置まで走行する。そして、カメラ214の撮像画像に基づき、ロボット200側のコネクタをエレベータ20側のコネクタと接続させる。そして、バッテリ217からエレベータ20に対して電力を供給する。これらの動作の詳細については、
図3以降の図を用いて後述する。
【0041】
情報取得装置300は、CPU311と、メモリ312と、通信インターフェイス313と、カメラ314と、加速度センサ315とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ312も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0042】
CPU311は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、情報取得装置300の各種機能を実現する。ROMは、情報取得装置300の処理手順が記されたプログラムを格納する。情報取得装置300は、通信インターフェイス313を介して、管理装置100と接続可能である。
【0043】
上述のように、情報取得装置300は、かご71内に設置されている。加速度センサ315は、かご71の加速度を計測するためのセンサである。加速度センサ315によって計測された加速度情報は、管理装置100に送信される。カメラ314は、かご71内を撮像する。カメラ314によって撮像された画像は、管理装置100に送信される。
【0044】
利用者端末400は、CPU411と、メモリ412と、通信インターフェイス413と、カメラ414と、入力部420と、表示部421とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ412も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0045】
CPU411は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、利用者端末400の各種機能を実現する。ROMは、利用者端末400の処理手順が記されたプログラムを格納する。利用者端末400は、通信インターフェイス413を介して、管理装置100と接続可能である。
【0046】
入力部420は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部420は、たとえば、タッチパネルであるが、キーボード、マウスであってもよい。表示部421は、各種情報の表示を行う。表示部421は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0047】
利用者端末400は、カメラ414によってかご71内に配置された二次元コード33を読み取り、これにより管理装置100にアクセスすることが可能となる。
【0048】
図3は、管理装置100とエレベータシステム10とロボット200とにおける電力供給方法について説明するための図である。
【0049】
エレベータシステム10は、電源11(商用電源)と、複数のエレベータ20とを備える。複数のエレベータ20は、エレベータ20a~cを含む。エレベータ20aは「1号機」とも称し、エレベータ20bは「2号機」とも称し、エレベータ20cは「3号機」とも称する。本実施の形態において、エレベータ20は、N台設置されているものとする(1号機~N号機が設置されている)。
【0050】
エレベータ20のかご71は、ビル内に設けられた昇降路内に設置されている。かご71は、昇降路内を走行して複数の階床間を移動する。
【0051】
各エレベータ20は、CC制御部22と、巻上機23と、かご装置24と、コネクタ25とを備える。エレベータ20a(1号機)については、さらに、GC制御部21を備えている。これらの各装置には、ケーブル41~43を介して、電源11から電力が供給される。仮に停電が発生した場合は、電源11から電力が供給されなくなり、これら全ての機器に対して電力が供給されなくなる。
【0052】
昇降路の直上には、機械室が設けられている。機械室には、巻上機23および制御盤が設けられている。制御盤内には、CC制御部22およびGC制御部21が設置されている。かご装置24は、かご内に設けられている。
【0053】
エレベータシステム10には、かご71の動作等、エレベータを制御する制御部としてGC制御部21、CC制御部22が設けられている。
【0054】
GC制御部(「群管理制御装置」とも称する)21は、複数台のエレベータ(エレベータ20a~c等)を制御する装置である。CC制御部(「各台管理制御装置」とも称する)22は、各エレベータ(エレベータ20a~c等のいずれか)を制御する装置である。GC制御部21と各CC制御部22は、互いに通信し、エレベータに関する各種データをやり取りする。
【0055】
巻上機23は、かご71を昇降させるために駆動するモータである。かご装置24は、かごに設置された各種機器であり、
図1で示した表示器31等を含む。コネクタ25は、停電が発生したときに、ロボット200から電源を供給するための供給口である。詳細は、
図4以降の図を用いて説明する。
【0056】
管理装置100も、通常は電源11から電力が供給される。管理装置100は、無停電電源装置であるUPS(Uninterruptible Power Supply)101と接続されている。管理装置100は、停電が発生して電源11からの電力が供給されなくなった場合であっても、一定時間はUPS101から電力が供給されるよう構成されている。
【0057】
ロボット200は、バッテリ217とコネクタ218とを備えている。ロボット200は自律移動型であるため、エレベータ20a~c等のコネクタ25の設置場所まで移動し、コネクタ218とコネクタ25とを接続することができる。
【0058】
これにより、エレベータ20の各機器に対して、ロボット200のバッテリ217から電力を供給することができる。
図3の例では、ロボット200のコネクタ218は、エレベータ20a(1号機)のコネクタ25と接続されている。これにより、ロボット200のバッテリ217から、エレベータ20a(1号機)のGC制御部21、CC制御部22、巻上機23およびかご装置24に電力が供給される。ロボット200は、2号機のコネクタ25と接続した場合、2号機のCC制御部22、巻上機23およびかご装置24に電力を供給する。
【0059】
管理装置100は、エレベータ20a~c等と通信可能である。管理装置100は、エレベータ20aのGC制御部21と通信可能である。GC制御部21は、エレベータ20a~cの各CC制御部22と通信可能である。管理装置100は、GC制御部21あるいはCC制御部22が保持するデータを取得可能である。
【0060】
たとえば、CC制御部22は、各かご71の階床位置を取得する。管理装置100は、GC制御部21を介してCC制御部22が取得した階床位置の情報を受信可能である。このように取得した情報は、管理装置100のメモリ112に記憶される。
【0061】
また、管理装置100は、ロボット200と通信可能である。これにより、管理装置100は、ロボット200から情報を取得するとともに、ロボット200に対して各種指令を出力することができる。
【0062】
図4は、ロボット200によるエレベータへの給電を説明するための図である。
図4には、1階のエレベータ乗場が示されている。ここでは、エレベータ20a(1号機)、エレベータ20b(2号機)およびエレベータ20c(3号機)の乗場が示されている。
【0063】
現在、停電が発生しており、1号機と3号機とにおいて閉じ込めが発生しているとする。エレベータ20a~c(1号機~3号機)の扉26は、閉じた状態(戸閉状態)である。エレベータ20a~cの扉26の左側には、それぞれコネクタ25が設けられている。
【0064】
エレベータ20に設置された供給口(コネクタ25)に割当ロボットが接続することで、割当ロボットに搭載されたバッテリ217から、電力供給対象となるエレベータ20に電力が供給可能である。管理装置100は、割当ロボットに対して、コネクタ25が設けられた場所まで走行した後に、コネクタ25と接続して電力供給対象となるエレベータ20に電力を供給するように指令する。
【0065】
ロボット200a(ロボットA)は、1号機に割当てられているとする。ロボット200aは、現在1号機に向けて走行中である。ロボット200aは、コネクタ218を1号機のコネクタ25に接続させて、1号機に対して給電しようとしている。
【0066】
ロボット200b(ロボットB)は、3号機に割当てられているとする。ロボット200bは、コネクタ218を3号機のコネクタ25に接続している。ロボット200bは、3号機に対して電力を供給している状態である。
【0067】
ロボット200a,bの表示部221には、エレベータ20の情報が表示される。1号機においては、閉じ込めが発生している旨が表示されている。2号機においては、閉じ込めが発生しておらず、2号機は現在休止中である旨が表示されている。3号機においては、閉じ込めが発生しており、現在救出中である旨が表示されている。ここで、「救出中」とは、ロボット200からエレベータ20に対して電力を供給中であり、エレベータ20は最寄り階に向けて走行中あるいは扉26を開きつつある状態であることを示す。
【0068】
図5は、かご内負荷と走行方向について説明するための図である。本実施の形態において、エレベータ20は、釣合いロープ式のエレベータであるとする。
【0069】
エレベータ20は、かご71、秤装置72、カウンターウェイト(釣り合い重り)73、ロープ74、巻上機23(モータ)およびそらせ車75を備える。巻上機23およびそらせ車75にはロープ(主ロープ)74が掛けられており、ロープ74の両端には、かご71およびカウンターウェイト73が吊り下げられた状態になっている。
【0070】
エレベータ20は、巻上機23を駆動させることで、昇降路内に設置されたかご71を上方向(「UP方向」とも称する)または下方向(「DN方向」とも称する)に走行させることができ、ブレーキによりかご71を静止(停止)させる。
【0071】
乗客を含むかご71の重量は、秤装置72を用いて測定することができる。エレベータ20は、かご71の最大積載重量の50%を積載した状態で、カウンターウェイト73の重さと、乗客を含むかご71の重さが釣り合うように設計されている。
【0072】
本実施の形態においては、かご71は、最大積載重量が390kgであり、6人乗りであるとする。また、本実施の形態においては、乗客1人当たりの重量が65kgであるとする。この場合、かご71内に定員の50%(3人)が乗車した状態で、カウンターウェイト73の重さと、乗客を含むかご71の重さが釣り合う。
【0073】
ここで、かご内負荷は、積載重量/最大積載重量[%]で定義される。6人乗車した場合は、積載重量=65kg×6人=390kg(満員状態=最大積載重量)である。かご内負荷=(65kg×6人)/(65kg×6人)=100%となる。
【0074】
3人乗車した状態では、かご内負荷=(65kg×3人)/(65kg×6人)=50%となる。同様に、1人乗車した状態ではかご内負荷は17%となり、乗客がいない状態ではかご内負荷は0%となる。
【0075】
図5(a)に示すように、1人乗車した状態ではかご内負荷は17%(<50%)となる。このため、かご71よりもカウンターウェイト73の方が重い状態となる。このため、単純にブレーキを開放した場合、かご71はUP方向に走行することになる。
【0076】
図5(a)の例においては、かご71は、停電により、2階のフロア77と3階のフロア78との間に停止しているものとする。かご71がUP方向に走行して3階のフロア78に到着(着床)するまでの距離は、距離L1であるとする。3階のフロア78に到着(着床)すると、かご71は戸開可能になる。
【0077】
一方、かご71がDN方向に走行して2階のフロア77に到着(着床)するまでの距離は、距離L2であるとする。2階のフロア77に到着すると、かご71は戸開可能になる。ここで、距離L1>距離L2である。
【0078】
閉じ込め状態を解消するためには、少なくとも最寄り階である2階または3階までかご71を走行させた後に戸開させればよい。しかし、ロボット200のバッテリ容量にも制限があるため、できる限り、少ない電力で閉じ込め状態を解消するのが望ましい。
【0079】
このため、本実施の形態においては、閉じ込め状態の解消のために最も使用電力量が小さくなる最寄階(以下、「低負荷最寄階」とも称する)へ走行させた後に戸開させるようにしている。
図5(a)の例においては、DN方向よりもUP方向に走行させる方が使用する電力が少なくなるため、閉じ込め状態を解消するために3階へかご71を走行させるようにしている。つまり、3階が低負荷最寄階となる。
【0080】
図5(b)に示すように、6人乗車した状態ではかご内負荷は100%(>50%)となる。このため、カウンターウェイト73よりもかご71の方が重い状態となる。このため、単純にブレーキを開放した場合、かご71はDN方向に走行することになる。
【0081】
図5(b)の例おいては、UP方向よりもDN方向に走行させる方が使用する電力が少なくなるため、閉じ込め状態を解消するために2階へかご71を走行させるようにしている。つまり、2階が低負荷最寄階となる。
【0082】
図5(c)に示すように、3人乗車した状態ではかご内負荷は50%となる。このため、かご71とカウンターウェイト73とが釣り合った状態となる。この場合、ブレーキを開放しても、かご71はUP方向にもDN方向にも走行しない。このため、いずれの方向に走行させたとしても単位走行距離あたりに使用する電力は変わらない。
【0083】
ただし、3階のフロア78までの距離はL1であり、2階のフロア77までの距離はL1より短いL2である。このため、
図5(c)の例においては、距離が短い2階に走行させる方が使用する電力が少なくなるため、閉じ込め状態を解消するために2階へかご71を走行させるようにしている。つまり、2階が低負荷最寄階となる。
【0084】
上述のような、釣合いロープ式のエレベータにおいては、たとえば、かご内負荷が100%の場合、ブレーキ開放と運転に必要な出力(制御盤等への電力供給、運転制御電力)のみであって、回生制動運転であるため、大きな電力を必要としない。一方、かご内負荷が50%の場合、カウンターウェイト73の重さとかご71の重さとが釣り合った状態であるので、かご71の移動には大きな電力が必要となる。
【0085】
なお、エレベータ20は、上記のような釣合いロープ式のエレベータに限らず、油圧式エレベータあるいは巻胴式エレベータであってもよい。油圧式エレベータの場合、制御電力とバルブ制御電力のみであり、DN方向への荷重落下で駆動力を得るため、救出運転に要する時間(乗場までの距離に応じて時間が長くなる)のみが必要電力に影響する。巻胴式エレベータの場合も、ブレーキ開放および自重でのDN方向への移動を行うため、救出運転に要する時間のみが必要電力に影響する。
【0086】
図6は、情報取得装置300により撮影された画像の一例を示す図である。画像80は、
図1で示した情報取得装置300によりかご71内を撮影した画像である。情報取得装置300は、停電が発生したか否かに関わらず、常にかご71内を撮影している。情報取得装置300は、バッテリ(図示なし)を備えるため、停電中においても動作可能である。
【0087】
画像80には、扉32が閉じた状態(戸閉状態)で、乗客53が5人乗車している様子が映し出されている。また、画像80には、表示器31において、かご71が2階をUP方向に走行している様子(階床位置=2階、走行方向=UP方向)が映し出されている。
【0088】
管理装置100は、情報取得装置300が撮影した画像を周期的(たとえば、100msecごと)に取得する。そして、管理装置100は、取得した画像から、公知の画像解析技術を用いて、かご71の戸開閉状態、位置、走行方向、乗車人数を抽出する。
【0089】
本例においては、かご71の戸開閉状態=戸閉状態、階床位置=2階、走行方向=UP方向、乗車人数=5人といった情報が抽出される。さらに、乗車人数からかご内負荷が算出される。上述のように、6人乗りである場合、かご内負荷=(65kg×5人)/(65kg×6人=390kg)=83%が算出される。
【0090】
管理装置100は、情報取得装置300に設けられた加速度センサ315が検出した加速度情報も取得可能である。管理装置100は、加速度、戸開閉状態、階床位置、走行方向から、最寄り階までの距離を推定する。
【0091】
たとえば、かごが2階から3階に向かってUP方向に走行するとする。現在2階で戸開して停止中である場合、走行方向=UP方向、階床位置=2階、戸開閉状態=戸開状態、加速度=0となる(状態A)。その後、戸開閉状態=戸閉状態(状態B)となり、加速度>0(状態C)となると、かごが走行状態となる。
【0092】
さらに、階床位置=3階(状態D)となり、加速度<0(状態E)となった後に、加速度=0(状態F)となり、戸開閉状態=戸開状態(状態G)となり、3階で戸開して停止した状態となる。こういった情報を用いることで、
図5で示したような、最寄り階までの距離L1,L2を推定することができる。
【0093】
具体的には、上記の一連の状態A~状態Gにおいて、状態B~状態Fまでが走行状態である。ここで、本実施の形態においては、上記のように「階床位置」は、かごがいずれの階にいるのかを示すもの(たとえば、1階~4階のいずれか)である。これに対して、かご位置はさらに具体的な位置を示す。たとえば、かご位置は、最下階(1階)からの距離を示すものであってもよい。
【0094】
たとえば、状態B(階床位置=2階、走行方向=UP)からの計測時間まで)に基づき最寄り階までの距離を求めてもよい。かご71は、一定の速度パターン(速度曲線)に基づき走行する(かご位置と速度との関係が規定されている)。このため、状態Bからの計測時間(計測するのは状態Fまで)を、この速度パターンに当てはめる(時間と距離との関係を対応付ける)ことで具体的なかご位置を算出することができる。かご位置と各階床間の距離情報とを用いれば、
図5のL1,L2のような最寄り階までの距離を算出することができる。
【0095】
また、状態B(階床位置=2階、走行方向=UP)を起点として、加速度を2回積分した値(位置に相当する値)を利用して具体的なかご位置を算出することができる。その際、上記速度パターンの情報も組み合わせると、より正確にかご位置を算出することができる。
【0096】
このように、本実施の形態においては、カメラ314が撮像した位置表示の画像(階床位置、走行方向)を含む情報に基づき、かごの位置に関する情報(かご位置、最寄り階までの距離)を推測する。あるいは、カメラ314が撮像した位置表示の画像(階床位置、走行方向)と、加速度センサ315が計測した加速度とを含む情報に基づき、かごの位置に関する情報(かご位置、最寄り階までの距離)を推測する。
【0097】
図7は、利用者端末400に表示される画面の一例を示す図である。
図1を用いて説明したように、閉じ込め状態が発生した場合、かご71内の乗客は、利用者端末400(スマートフォン)を用いて二次元コード33を読み込んで、管理装置100にアクセスすることが可能である。
【0098】
管理装置100にアクセスすると、乗客53が所有する利用者端末400の表示部421には、
図7に示すような画面が表示される。かご71内の二次元コード33は、ビルの名称と号機名が紐付けられている。画面には、乗客53が利用しているビルの名称が「ABCビル」であり、現在「3号機」に乗車していることが表示されている。
【0099】
この画面では、表示部421には、かご71内での乗車人数の入力を促す「乗車人数を入力してください」が表示されている。本例では、乗客53は、入力部420を用いて、乗車人数が「5」人である旨の入力を行っている。
【0100】
さらに、表示部421には、かご71内の乗客に関する情報を入力するように促す「該当する項目にチェックを入れてください」が表示されている。本チェック項目は、車椅子に乗った乗客がいることを示す「車椅子」、お年寄りが乗車していることを示す「お年寄り」、幼児が乗車していることを示す「幼児」、妊婦が乗車していることを示す「妊婦」、体調不良の乗客がいることを示す「体調不良」を含む。
【0101】
本例では、車椅子および体調不良の乗客がいるため、乗客53は、入力部420を用いて、「車椅子」および「体調不良」にチェックマークを入れている。
【0102】
そして、「送信」ボタンをクリックすると、管理装置100に対して、上記情報が送信される。これにより、管理装置100は、利用者端末400において入力した情報から乗客情報を取得することが可能となる。管理装置100は、この乗客情報に基づき、緊急度の高いかご71を優先的に救出する(後述の
図11参照)。
【0103】
以下、
図8~
図13を用いて、本実施の形態において実行される処理についてフローチャートを用いて説明する。
図8は、メイン処理のフローチャートである。管理装置100は、メイン処理を実行する。たとえば、管理装置の電源を起動したタイミングでメイン処理が開始するようにすればよい。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。
【0104】
図8に示すように、メイン処理が開始すると、管理装置100は、S101において、停電(UPS101への切り変え)が発生したか否かを判定する。管理装置100は、停電が発生したと判定した場合(S101でYES)、処理をS102に進める。一方、管理装置100は、停電が発生したと判定しなかった場合(S101でNO)、再度S101に戻る。つまり、停電が発生した場合において、S102以下の処理が実行される。
【0105】
UPS101は、停電が発生したか否か(商用電源(電源11)からの電力の供給が停止した否か)を検出することが可能である。管理装置100は、UPS101からの情報に基づき停電が発生したか否かを判断することができる。
【0106】
管理装置100は、S102において、かご情報を取得する。かご情報は、後述する
図12あるいは
図13のかご情報生成処理において生成された情報である。かご情報は、かご内負荷、かご位置、戸開閉情報等を含む。
【0107】
管理装置100は、S103において、i=0に設定する。管理装置100は、S104において、iに1を加える(i++)。管理装置100は、S105において、i号機の戸開閉情報およびかご内負荷から閉じ込め発生有無を判断する。これにより、1号機から順に、閉じ込め発生有無を判断していく。
【0108】
具体的には、i号機が戸閉状態であり、かつ、かご内負荷が0%より大きい場合に、閉じ込めが発生したと判断する。かご内負荷が0%より大きい場合はかご71内に乗客がいると判断できる。さらに、停電が発生したときにかご71が戸閉状態である場合、かご71内に乗客が閉じ込められて降車できない状態であると判断できる。
【0109】
管理装置100は、S106において、閉じ込めが発生したと判定した場合(S106でYES)、処理をS107に進めて、電力算出処理(
図9)を実行する。一方、管理装置100は、閉じ込めが発生したと判定しなかった場合(S106でNO)、処理をS108に進める。
【0110】
電力算出処理は、閉じ込め状態解消に必要な必要電力を算出する処理であり、上記のように、閉じ込めが発生したかご71に対して必要電力を算出している。
【0111】
管理装置100は、S108において、i=N(設置かご台数)であるか否かを判定する。管理装置100は、i=Nであると判定した場合(S108でYES)、処理をS109に進める。一方、管理装置100は、i=Nであると判定しなかった場合(S108でNO)、処理をS104に進める。
【0112】
本実施の形態においては、管理装置100は、ビルに設置された1号機からN号機までの全てのかご71について、閉じ込めが発生している場合に閉じ込め状態解消に必要な必要電力を算出する。
【0113】
管理装置100は、S109において、ロボット割当処理(
図10)を実行し、S101に戻る。ロボット割当処理は、閉じ込めが発生したかご71(エレベータ20)に対して、どのロボット200を割当てて給電させるかを決定し(割当ロボットを決定し)、割当ロボットに対して閉じ込めが発生したかご71(エレベータ20)に対して給電するよう指令する処理である。
【0114】
ロボット割当処理の実行により、閉じ込め状態が解消されるようにロボット200が動作する。そして、処理がS101に戻ることで、次に停電が発生した場合に、再度ロボットの割当てを行うことになる。
【0115】
図9は、電力算出処理のフローチャートである。管理装置100は、かご71の重量に関する情報(たとえば、かご内負荷)とかご71の位置に関する情報(たとえば、かご位置)とを含むかご情報に基づき、消費電力が最も少ない階(低負荷最寄階)を決定する。
【0116】
電力算出処理が開始すると、管理装置100は、S201において、かご内負荷およびかご位置から走行方向および低負荷最寄階までの走行距離を決定する。
【0117】
たとえば、
図5(a)に示したように、かご内負荷<50%である場合は、走行方向をUP方向に決定する。そして、UP方向に走行した場合の最寄階(=低負荷最寄階)までの走行距離をかご位置(1階からの距離)に基づき決定する。
図5(a)の例では、低負荷最寄階までの走行距離はL1である。
【0118】
図5(b)に示したように、かご内負荷>50%である場合は、走行方向をDN方向に決定する。そして、DN方向に走行した場合の最寄階(=低負荷最寄階)までの走行距離をかご位置(1階からの距離)に基づき決定する。
図5(b)の例では、低負荷最寄階までの走行距離はL2である。
【0119】
図5(c)に示したように、かご内負荷=50%である場合(かご71の重さとカウンターウェイト73の重さとが釣り合った状態)、L1>L2である場合に、走行方向をDN方向に決定する。
図5(c)の例では、低負荷最寄階までの走行距離はL2である。
【0120】
かご内負荷=50%である場合、L1<L2である場合に、走行方向をUP方向に決定する。つまり、かご71から乗場までの距離が近い最寄階に走行するように走行方向を決定する。この場合、低負荷最寄階までの走行距離はL1である。
【0121】
なお、
図5(c)のような、かご71の重さとカウンターウェイト73の重さとが釣り合った状態は、かご内負荷=50%である場合に限らず、たとえば、かご内負荷=47~53%のように数%程度の幅を持たせて定義してもよい。
【0122】
管理装置100は、S202において、低負荷最寄階への走行に必要な電力を算出する。言い換えると、管理装置100は、戸開可能な複数の停止可能階のいずれかでかご71が停止していない場合に、複数の停止可能階のうち走行による消費電力が最も少ない階(低負荷最寄階)までかご71が走行するために必要な電力を算出する。
【0123】
図5(a),(b)の場合は、ブレーキ開放のみで、かご71は低負荷最寄階まで走行可能であるので、低負荷最寄階への走行に電力はいらない。ただし、速度を一定に制御するために速度制御を行う場合にはその分の電力が必要となる。この場合、走行に必要な電力=単位走行距離あたりの必要電力×低負荷最寄階までの距離となる。
【0124】
また、
図5(c)の場合は、ブレーキを開放してもかご71は動かないため、巻上機23を駆動して低負荷最寄階までかご71を走行させる、走行に必要な電力=単位走行距離あたりの必要電力×低負荷最寄階までの距離となる。
【0125】
管理装置100は、S203において、閉じ込め状態解消に必要な必要電力を算出する。必要電力は、S202で求めた走行に必要な電力に加えて、かご71を戸開させるために必要な電力、制御盤(GC制御部21およびCC制御部22)を動作させるための電力、かご装置24を動作させるための電力等である。
【0126】
図10は、ロボット割当処理のフローチャートである。管理装置100は、バッテリ217の残量と、必要電力とを含む情報に基づき、閉じ込め状態を解消可能なロボット200を割当ロボットとして割当てる。
【0127】
ロボット割当処理が開始すると、管理装置100は、S301において、各ロボット200のバッテリ残量を取得する。たとえば、
図1の例において、ロボットAのバッテリ残量は80%(ロボットAが供給可能な最大電力の80%)であり、ロボットBのバッテリ残量は40%である。
【0128】
管理装置100は、S302において、閉じ込めが発生した各かご71における必要電力を取得する。ここでは、電力算出処理において算出した必要電力を取得している。
【0129】
管理装置100は、S303において、必要電力を供給してもバッテリ残量が所定量(たとえば、10%)以下にならないロボット200を割当てる(割当ロボットを決定する)。たとえば、上記例では、ロボットAの方がロボットBよりもバッテリ残量が多い。
【0130】
図5(c)のような状況で、1号機を低負荷最寄階(2階)まで走行させた後にかご71を戸開させるのに必要な場合、ロボットBのバッテリ残量(40%)では足りないがロボットAのバッテリ残量(80%)でまかなうことができる場合、1号機に対して割当ロボットとしてロボットAを割当てる。
【0131】
一方、たとえば、3号機は3階で停止しているものの戸閉状態であるため閉じ込め状態となっている場合、走行のための電力が必要なく戸開のための電力が必要となる。この閉じ込め状態を解消するのに、ロボットBのバッテリ残量でまかなうことができる場合、3号機に対して割当ロボットとしてロボットBを割当てればよい。
【0132】
なお、ロボット200は、乗場まで走行した後に電力を供給するため、少なくとも乗場まで走行するのに必要な電力も加味してバッテリ残量が0にならないようにロボット200を割当てる必要がある。
【0133】
管理装置100は、S304において、割当ロボットに対し電力供給を指令する。上記例では、ロボットAに対して1号機に電力を供給するよう指令し、ロボットBに対して3号機に電力を供給するよう指令する。
【0134】
管理装置100は、S305において、1台の割当ロボットで複数のかご71に電力を供給するか否かを判定する。管理装置100は、1台の割当ロボットで複数のかご71に電力を供給すると判定した場合(S305でYES)、処理をS306に進める。一方、管理装置100は、1台の割当ロボットで複数のかご71に電力を供給すると判定しなかった場合(S305でNO)、ロボット割当処理を終了する。
【0135】
管理装置100は、S306において、優先度決定処理を実行する。たとえば、ロボットBのバッテリ残量が不足しているために、ロボットAが1号機および3号機に対して割当てられたような場合に、優先度決定処理が実行される。
【0136】
割当ロボットは、優先度決定処理において決定された順番でエレベータ20に対して電力を供給する。上記例において、1号機の優先度の方が3号機の優先度よりも高い場合は、ロボットAは、1号機に対して電力を供給した後に、3号機に対して電力を供給する。
【0137】
管理装置100は、S307において、割当ロボットに対し電力供給順序を指令する。上記例では、ロボットAに対して、1号機に対して電力を供給した後に、3号機に対して電力を供給するように指令する。
【0138】
管理装置100は、S308において、全ての閉じ込めが解消したか否かを判定する。管理装置100は、全ての閉じ込めが解消と判定した場合(S308でYES)、ロボット割当処理を終了する。一方、管理装置100は、全ての閉じ込めが解消と判定しなかった場合(S308でNO)、処理をS309に進める。
【0139】
上記例において、閉じ込めが発生した1号機および3号機に対して割当ロボットが電力を供給し、いずれの号機からも乗客が降車した状態(かご内負荷=0%)になると、全ての閉じ込めが解消したと判断される。
【0140】
管理装置100は、S309において、利用者からの情報(「乗客情報」)を受信したか否かを判定する。管理装置100は、利用者からの情報を受信したと判定した場合(S309でYES)、処理をS306に進める。一方、管理装置100は、利用者からの情報を受信したと判定しなかった場合(S309でNO)、処理をS308に進める。
【0141】
閉じ込めが発生した後に、
図1、
図7を用いて説明したように、かご71内の乗客53,54が利用者端末400(スマートフォン)から、乗車人数および体調不良者や車椅子等の乗客情報(利用者からの情報)が送信された場合、処理をS306に戻し、あらためて優先度決定処理を行う。このように、本実施の形態においては、各かご71の乗客情報が送信されるたびに、その都度、優先度を見直すように構成している。
【0142】
図11は、優先度決定処理のフローチャートである。管理装置100は、1台の割当ロボットによって複数のかご71に電力が供給される場合、優先度の高い順に複数のかご71に電力が供給されるように割当ロボットに対して指令するように構成されている。以下に説明するように、優先度は、乗車人数と乗客の属性と乗客の状態とを含む乗客情報に基づき決定される。
【0143】
優先度決定処理が開始すると、管理装置100は、S401において、利用者からの情報(乗客情報)を受信したか否かを判定する。管理装置100は、乗客情報を受信したと判定した場合(S401でYES)、処理をS402に進める。一方、管理装置100は、乗客情報を受信したと判定しなかった場合(S401でNO)、処理をS403に進める。
【0144】
管理装置100は、S402において、受信した情報から乗客情報を取得する。
図7の例においては、3号機において、乗車人数が5人であり、乗客の属性として車椅子に乗車した乗客が存在し、乗客の状態として体調不良の乗客が存在するという乗客情報を取得する。
【0145】
管理装置100は、S404において、取得した乗客情報に基づき優先度を決定し、優先度決定処理を終了する。たとえば、体調不良の乗客が存在する場合は、優先順位を最も高く設定するようにしてもよい。また、体調不良、妊婦、車椅子、お年寄り、幼児に該当する項目の数(該当者数でもよい)に応じて優先順位を高く設定してもよい。このような乗客が存在しない場合は、乗車人数が多いかご71の優先度を高く設定するようにしてもよい。このように、本実施の形態においては、かご71内の乗客に関する緊急度に応じて優先度を決定している。
【0146】
上記例においては、3号機において車椅子の乗客と体調不良の乗客が乗車している。一方で、1号機にはそのような乗客は存在しない。このため、優先順位は、3号機、1号機の順に決定される。
【0147】
また、利用者からの情報(乗客情報)が取得されていない場合は、情報取得装置300からの情報に基づきこれらを推測してもよい。たとえば、
図6を用いて説明したように、公知の画像解析技術を用いて、画像80内には5人の乗客が乗車していることを検出する。また、画像中において乗客に該当する領域を抽出し、抽出した領域の大きさ、形状等から、車椅子、幼児、倒れている乗客(体調不良)等を判定するようにしてもよい。
【0148】
管理装置100は、S403において、乗車人数および車椅子呼びに基づき優先度を決定し、優先度決定処理を終了する。本実施の形態のように、管理装置100がGC制御部21からの情報を取得可能である場合、GC制御部21から、各かご71の積載重量(
図5の説明参照)および車椅子かご呼びの有無を取得することができる。
【0149】
図5の例においては、かご71は、最大積載重量が390kgであり、6人乗り(65kg×6人)である。この場合、たとえば、積載量が65kgであれば、乗車人数は1人(=65kg/65kg)と算出され、積載量が390kgであれば、乗車人数は6人(=390kg/65kg)と算出される。
【0150】
また、本実施の形態では、かご71内に、車椅子かご呼び釦(図示なし)が設置されている。車椅子に乗った乗客は、車椅子かご呼び釦を押すことで行先階を登録する。そして、管理装置100は、GC制御部21から、車椅子かご呼びの情報を取得することで、かご71内に車椅子の乗客が乗車しているか否かを判断することができる。
【0151】
たとえば、車椅子かご呼びが登録されているかご71の優先順位を高く設定してもよい。このような乗客が存在しない場合は、乗車人数が多いかご71の優先度を高く設定するようにしてもよい。たとえば、3号機において車椅子かご呼びが登録されているが、1号機において車椅子かご呼びが登録されていない場合は、優先順位は、3号機、1号機の順に決定される。
【0152】
本実施の形態においては、管理装置100は、かご71内に設置された情報取得装置300(モバイル端末)からかご71に関する情報を取得可能である。また、管理装置100は、制御盤に設置されたGC制御部21(CC制御部22)からかご71に関する情報を取得可能である。
【0153】
しかし、上記のように構成するものに限らず、管理装置100は、情報取得装置300およびGC制御部21のいずれかから情報を取得可能に構成すればよい。管理装置100は、情報取得装置300からの情報に基づき割当ロボットを決定することもできるし、GC制御部21からの情報に基づき割当ロボットを決定することもできる。また、管理装置100は、利用者端末400からの情報を取得できなかったとしても、GC制御部21からの情報を取得することで優先度を算出することが可能である。
【0154】
たとえば、エレベータメーカーであれば、GC制御部21からどのような信号が取得できるのかが把握できるため、情報取得装置300および利用者端末400から情報を取得することなく優先度を算出するとともに割当ロボットを決定するようなロボット管理システムを構築することが可能である。
【0155】
一方で、上記メーカーとは無関係のエレベータメーカーあるいは保守会社は、GC制御部21に接続して自由に情報を取得できるとは限らない。このような場合には、情報取得装置300(モバイル端末)をかご71内に設置するとともに利用者端末400から情報を取得することで、GC制御部21に接続することなく優先度を算出するとともに割当ロボットを決定するようなロボット管理システムを構築することが可能である。
【0156】
以下、後者のケース(GC制御部21に接続せず、情報取得装置300の情報を利用する)において、かご情報を生成するかご情報生成処理のフローチャートについて
図12を用いて説明する。一方、後者のケースの変形例として、前者のケース(GC制御部21に接続してこの情報を利用するが、情報取得装置300を使用しない)において、かご情報を生成するかご情報生成処理のフローチャートについて
図13を用いて説明する。
【0157】
図12は、かご情報生成処理のフローチャートである。
図6に示したように、かご71内に設置された情報取得装置300が備えるカメラ314は、かご71内の乗客を撮像するとともに、表示器31を撮像する。
【0158】
表示器31は、かご71の位置に関する情報を表示する。具体的には、表示器31は、かご71の階床位置およびかご71の走行方向を表示している。また、情報取得装置300が備える加速度センサ315はかご71の加速度を計測する。
【0159】
かご情報生成処理が開始すると、管理装置100は、S501において、各かごについてカメラ314が撮像した画像および加速度センサ315が検出した加速度を取得する。
【0160】
管理装置100は、S502において、画像から階床情報を抽出する。具体的には、
図6の例では、階床情報として、階床位置=2、走行方向=UP方向を抽出する。管理装置100は、S503において、画像から乗客人数を推測する。具体的には、
図6の例では、乗客人数=5人を推定する。
【0161】
管理装置100は、S504において、最大積載重量および乗車人数からかご内負荷を算出する。具体的には、
図6の例では、かご内負荷=(65kg×5人)/390kg=83%が算出される。
【0162】
管理装置100は、S505において、加速度および階床情報の時系列データからかごの位置を推測する。具体的には、
図6の説明の通りであり、時系列データは、
図6の説明において状態A~状態Gにおける各データである。
【0163】
管理装置100は、S506において、メモリ112が各かごのかご位置およびかご内負荷を含むかご情報を記憶し、かご情報生成処理を終了する。
【0164】
このように、管理装置100は、カメラ314が撮像した乗客の画像に基づき、乗客情報として乗車人数(乗客人数)を推定し、さらに、最大積載重量および乗車人数に基づき、かご71の重量に関する情報としてかご内負荷を推測している。管理装置100は、カメラ314が撮像した表示器31の画像を含む情報に基づき、かご71の位置に関する情報としてかご位置を推測する。かご位置は、カメラ314が撮像した画像に加えて、加速度センサ315が計測した加速度情報も含めて推測するようにしてもよい。
【0165】
図13は、変形例に係るかご情報生成処理のフローチャートである。本変形例においては、管理装置100は、制御部(GC制御部21、CC制御部22)からかご情報を取得あるいは生成することが可能である。
【0166】
かご情報生成処理が開始すると、管理装置100は、S601において、GC制御部21に接続する。管理装置100は、S602において、各かごのかご位置、秤情報および最大積載容量を取得する。
【0167】
管理装置100は、S603において、秤装置72から取得した秤情報および最大積載重量からかご内負荷を算出する。たとえば、秤情報に基づき、積載重量=325kgが算出されたとする。また、最大積載重量=390kgである場合、かご内負荷=325kg/390kg=83%が算出される。
【0168】
管理装置100は、S604において、メモリ112が各かごのかご位置およびかご内負荷を記憶し、かご情報生成処理を終了する。
【0169】
本実施の形態においては、1台または複数台のエレベータ20に対して1台のロボット200を割当てるようにした。しかし、これに限らず、1台のロボット200からの電力供給では閉じ込め状態を解消できない場合は、1台のエレベータ20に対して複数台のロボット200を割当てるようにしてもよい。
【0170】
また、本実施の形態において、コネクタ25は1階の乗場に設けられているが、これに限らず、任意の階の乗場あるいは各階の乗場に設置するようにしてもよい。各階の乗場に設置した場合、各階に配置された掃除用ロボットを活用することができる。
【0171】
本実施の形態において、閉じ込めが発生していないかご71あるいは救出が完了したかご71に対しては、管理装置200は、GC制御部21に対して、休止信号を送信する。休止信号を送信することで、かご71は戸閉して運転を休止する。この場合、
図4において示したように、ロボット200の表示部221において、かご71内が無人状態で休止中であることが示される。
【0172】
また、ロボット200に発電機能を持たせるようにしてもよい。たとえば、ロボット200に設けられたエンジンを稼働することにより発電してもよいし、太陽光により発電するようにしてもよく、このように発電した電力をエレベータ20に供給するようにしてもよい。
【0173】
以上説明したように、本実施の形態における管理装置100において、少なくとも1台のロボット200のいずれかとエレベータ20とが接続されることで、エレベータ20と接続されたロボット200に搭載されたバッテリ217からエレベータ20に電力が供給可能なように構成されている。管理装置100のCPU111は、停電の発生によりエレベータ20のかご71が戸開できない閉じ込め状態となった場合に、閉じ込め状態を解消するために必要な必要電力を算出する。CPU111は、所定情報に基づき、少なくとも1台のロボット200のうち閉じ込め状態を解消可能なロボット200を割当ロボットとして割当てる。所定情報は、少なくとも1台のロボット200に搭載されたバッテリ217の残量と、必要電力とを含む。
【0174】
このようにすることで、停電の発生による閉じ込め状態を解消するために、電力を供給可能なロボット200をエレベータ20に対して好適に割当てることができる。
【0175】
停電により閉じ込め状態が発生した場合は、かご71内から保守会社の情報センターと電話回線を通じて通話することが可能である。しかし、大規模停電が発生した場合、保守会社から保守員を派遣して救出を行った場合、人手がふそくするために、たとえば半日かかるようなこともある。これに対して、本実施の形態のように構成すれば、ビル内に配置されたロボット200が即座に対応することが出来るため、迅速に閉じ込め状態を解消することができる。また、バッテリ残量が十分なロボット200を割当てるため、救出中にバッテリ不足で再度かご71が停止してしまって、これによる二次災害が発生するような事態も防止することができる。
【0176】
少なくとも1台のロボット200の各々は、自律移動型のロボット200である。閉じ込め状態は、停電の発生によりかご71が走行および戸開できないために、かご71から乗客が降車できない状態である。エレベータ20に設置された供給口(コネクタ25)に割当ロボットが接続することで、割当ロボットに搭載されたバッテリ217からエレベータ20に電力が供給可能である。CPU111は、割当ロボットに対して、コネクタ25が設けられた場所まで走行した後に、コネクタ25と接続してエレベータ20に電力を供給するように指令する。
【0177】
このようにすることで、自律移動型のロボット200が、エレベータ20と接続可能な位置まで走行し、エレベータ20に対して給電することができる。たとえば、自律移動型の清掃ロボットを活用して、閉じ込めが発生したエレベータ20に対して電力を供給することができるため、ロボットの設置コストを削減することができる。
【0178】
必要電力は、第1電力と第2電力とを含む。第1電力は、戸開可能な複数の停止可能階のいずれかでかご71が停止していない場合に、複数の停止可能階のうち走行による消費電力が最も少ない階までかご71が走行するために必要な電力である。第2電力は、かご71が戸開するための電力である。CPU111は、かご71の重量に関する情報とかご71の位置に関する情報とを含むかご71情報に基づき、消費電力が最も少ない階を決定する。このようにすることで、必要最小限の電力で閉じ込め状態を解消することができる。
【0179】
エレベータ20には、かご71の動作を制御する制御部(GC制御部21、CC制御部22)が設けられる。CPU111は、制御部(GC制御部21、CC制御部22)からかご情報を取得する。メモリ112は、かご情報を記憶する。このようにすることで、エレベータ20の制御部(GC制御部21、CC制御部22)からの情報を活用して、閉じ込め状態を解消することができる。
【0180】
かご71には、かご71内を撮像するカメラ314が設置されている。カメラ314は、かご71内の乗客を撮像するとともに、かご71の位置に関する情報を表示する位置表示を撮像する。CPU111は、カメラ314が撮像した乗客の画像を含む情報に基づき、かご71の重量に関する情報を推測する。CPU111は、カメラ314が撮像した位置表示の画像を含む情報に基づき、かご71の位置に関する情報を推測する。このようにすることで、エレベータ20の制御部からの情報を使用できない場合であっても、カメラ314を設置することで、閉じ込め状態を解消することができる。
【0181】
かご71には、かご71の加速度を計測する加速度センサ315が設置されている。CPU111は、カメラ314が撮像した位置表示の画像と、加速度センサ315が計測した加速度とを含む情報に基づき、かご71の位置に関する情報を推測する。カメラ314と加速度センサ315とを設置することで、より精度よく、かご71の位置に関する情報を推測することができる。
【0182】
CPU111は、割当ロボットによって複数のかご71に電力が供給される場合、優先度の高い順に複数のかご71に電力が供給されるように割当ロボットに対して指令する。優先度は、乗客の属性と乗客の状態とを含む乗客情報に基づき決定される。このようにすることで、救出の緊急度の高いかご71から順に、閉じ込め状態を解消することができる。
【0183】
CPU111は、カメラ314が撮像した乗客の画像に基づき、乗客情報を推定する。このようにすることで、エレベータ20の制御部(GC制御部21、CC制御部22)からの情報を活用して、救出の緊急度の高いかご71から順に、閉じ込め状態を解消することができる。
【0184】
管理装置100は、乗客が操作する利用者端末400と無線で通信可能である。CPU111は、利用者端末400が端末上で入力した情報から乗客情報を取得する。このようにすることで、閉じ込められた乗客からの情報に基づいて、緊急度の高いかご71から順に、閉じ込め状態を解消することができる。また、この場合、エレベータ20の制御部からの情報を使用しなくても、緊急度の高いかご71から順に、閉じ込め状態を解消することができる。
【0185】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0186】
10 エレベータシステム、11 電源、20,20a~c エレベータ、21 GC制御部、22 CC制御部、23 巻上機、24 かご装置、25 コネクタ、26 扉、31 表示器、32 扉、33 二次元コード33、41 ケーブル、53,54 乗客、71 かご、72 秤装置、73 カウンターウェイト、74 ロープ、75 そらせ車、77,78 フロア、80 画像、100 管理装置、101 UPS、111,211,311,411 CPU、112,212,312,412 メモリ、113,413 通信インターフェイス、213 通信機、200,200a,200b ロボット、214,314,414 カメラ、217 バッテリ、218 コネクタ、221 表示部、231 駆動部、300 情報取得装置、313 加速度センサ、400 利用者端末、420 入力部、421 表示部。