(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124446
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ノートブック型コンピュータ
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20230830BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312E
H05K5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028209
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩本 浩光
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB08
4E360AB17
4E360AB18
4E360AB42
4E360AC14
4E360AC15
4E360BA02
4E360BA11
4E360BB02
4E360BB12
4E360BD02
4E360EA14
4E360EA22
4E360EB03
4E360EC05
4E360EC11
4E360EC14
4E360ED03
4E360ED16
4E360ED23
4E360GA01
4E360GA46
4E360GA52
4E360GB46
4E360GC02
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】容易に移動可能にされるノートブック型コンピュータを提供する。
【解決手段】ノートブック型コンピュータは、第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面と、前記第1の面に設けられたキーボードと、を有する第1の部分と、前記第1の部分に設けられたヒンジと、ディスプレイを有し、前記ヒンジに回転可能に取り付けられた第2の部分と、前記第1の部分に設けられ、前記第2の面から部分的に突出するとともに前記第1の部分を支持することが可能な転動体を有する、キャスターと、を備え、前記キャスターは、ユーザの操作により前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面と、前記第1の面に設けられたキーボードと、を有する第1の部分と、
前記第1の部分に設けられたヒンジと、
ディスプレイを有し、前記ヒンジに回転可能に取り付けられた第2の部分と、
前記第1の部分に設けられ、前記第2の面から部分的に突出するとともに前記第1の部分を支持することが可能な転動体を有する、キャスターと、
を備え、
前記キャスターは、ユーザの操作により前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である、
ノートブック型コンピュータ。
【請求項2】
前記キャスターは、前記第1の部分の外面に設けられたボタンを有し、前記ボタンを前記ユーザから押下されることにより前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である、
請求項1に記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項3】
前記キャスターは、当該キャスターに対して前記第1の部分が前記第1の面に沿う方向に移動させられることにより前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である、
請求項1に記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項4】
前記キャスターは、弾性体と、第1の操作部材と、を有し、
前記弾性体は、前記転動体に接触することにより前記転動体の転動を制限し、
前記第1の操作部材は、前記ユーザの操作により前記弾性体を弾性変形させることで、当該弾性体を前記転動体に接触する状態と前記転動体から離間する状態とに切り替えることが可能である、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項5】
前記キャスターは、前記第1の部分に対して回転可能に前記第1の部分に収容されるとともに前記転動体を囲む回転部材を有し、
前記第1の操作部材は、前記ユーザの操作により前記回転部材を前記第1の部分に対して回転させ、
前記弾性体は、前記回転部材に取り付けられた第1の取付部と、前記第1の部分に取り付けられた第2の取付部と、を有し、前記回転部材の回転に伴って弾性変形することで前記転動体に接触する状態と前記転動体から離間する状態とに切り替えられることが可能である、
請求項4に記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項6】
前記弾性体は、前記転動体の外面に沿って延びている、
請求項5に記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項7】
前記キャスターは、前記第1の操作部材から離間するとともに前記ユーザの操作により前記回転部材を前記第1の部分に対して回転させる第2の操作部材を有し、
前記回転部材は、前記第1の操作部材および前記第2の操作部材のうち少なくとも一方が前記ユーザに操作されることで回転し、前記弾性体を前記転動体に接触する状態と前記転動体から離間する状態とに切り替えるように弾性変形させることが可能である、
請求項5又は6に記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項8】
前記転動体は、ゴムで形成された、
請求項4~7のうちいずれか1項に記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項9】
前記転動体は、球体である、
請求項4~8のうちいずれか1項に記載のノートブック型コンピュータ。
【請求項10】
複数の前記キャスターを備え、
複数の前記キャスターは、前記ユーザの一つの操作により前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である、
請求項1~9のうちいずれか1項に記載のノートブック型コンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートブック型コンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノートブック型コンピュータの底面には、設置面と接触して当該ノートブック型コンピュータを支持する脚部が設けられている。脚部は、例えば、ゴム等の滑りにくい素材で形成され、ノートブック型コンピュータを安定して支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノートブック型コンピュータは、使用時に、設置場所から移動させられることがある。ノートブック型コンピュータが重いと、ユーザは当該ノートブック型コンピュータを持ち上げて移動させにくい。また、脚部と接地面との間の摩擦は、ノートブック型コンピュータを滑らせての移動を妨げることがある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、容易に移動可能にされるノートブック型コンピュータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のノートブック型コンピュータは、第1の面と、前記第1の面の反対側に位置する第2の面と、前記第1の面に設けられたキーボードと、を有する第1の部分と、前記第1の部分に設けられたヒンジと、ディスプレイを有し、前記ヒンジに回転可能に取り付けられた第2の部分と、前記第1の部分に設けられ、前記第2の面から部分的に突出するとともに前記第1の部分を支持することが可能な転動体を有する、キャスターと、を備え、前記キャスターは、ユーザの操作により前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【0007】
前記ノートブック型コンピュータでは、前記キャスターは、前記第1の部分の外面に設けられたボタンを有し、前記ボタンを前記ユーザから押下されることにより前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【0008】
前記ノートブック型コンピュータでは、前記キャスターは、当該キャスターに対して前記第1の部分が前記第1の面に沿う方向に移動させられることにより前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【0009】
前記ノートブック型コンピュータでは、前記キャスターは、弾性体と、第1の操作部材と、を有し、前記弾性体は、前記転動体に接触することにより前記転動体の転動を制限し、前記第1の操作部材は、前記ユーザの操作により前記弾性体を弾性変形させることで、当該弾性体を前記転動体に接触する状態と前記転動体から離間する状態とに切り替えることが可能である。
【0010】
前記ノートブック型コンピュータでは、前記キャスターは、前記第1の部分に対して回転可能に前記第1の部分に収容されるとともに前記転動体を囲む回転部材を有し、前記第1の操作部材は、前記ユーザの操作により前記回転部材を前記第1の部分に対して回転させ、前記弾性体は、前記回転部材に取り付けられた第1の取付部と、前記第1の部分に取り付けられた第2の取付部と、を有し、前記回転部材の回転に伴って弾性変形することで前記転動体に接触する状態と前記転動体から離間する状態とに切り替えられることが可能である。
【0011】
前記ノートブック型コンピュータでは、前記弾性体は、前記転動体の外面に沿って延びている。
【0012】
前記ノートブック型コンピュータでは、前記キャスターは、前記第1の操作部材から離間するとともに前記ユーザの操作により前記回転部材を前記第1の部分に対して回転させる第2の操作部材を有し、前記回転部材は、前記第1の操作部材および前記第2の操作部材のうち少なくとも一方が前記ユーザに操作されることで回転し、前記弾性体を前記転動体に接触する状態と前記転動体から離間する状態とに切り替えるように弾性変形させることが可能である。
【0013】
前記ノートブック型コンピュータでは、前記転動体は、ゴムで形成されている。
【0014】
前記ノートブック型コンピュータでは、前記転動体は、球体である。
【0015】
前記ノートブック型コンピュータは、複数の前記キャスターを備え、複数の前記キャスターは、前記ユーザの一つの操作により前記転動体を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、ノートブック型コンピュータが容易に移動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1実施形態のノートブック型コンピュータの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のベース部の下面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のキャスターの側面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のキャスターの平面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のキャスターの
図3の動作後の平面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態のベース部の平面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態のキャスターの平面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態のキャスターの変形例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態)
以下、実施形態に係るノートブック型コンピュータ1を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0019】
また、以下に開示される複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のノートブック型コンピュータ1の斜視図である。本実施形態のノートブック型コンピュータ1は、例えば、ワークステーションのような大型且つ重いノートブック型コンピュータ(ラップトップ型コンピュータ)である。しかしながら、ノートブック型コンピュータ1は、これに限定されず、例えば、一般的なノートブック型のパーソナルコンピュータであっても良い。
【0021】
図1に示すように、ノートブック型コンピュータ1は、ベース部2と、二つのヒンジ3と、画面表示部4と、を備える。なお、ベース部2は第1の部分の一例であり、画面表示部4は第2の部分の一例である。
【0022】
以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、ベース部2の短手方向に沿う方向であり、前後方向とも称され得る。Y方向は、ベース部2の長手方向に沿う方向であり、左右方向とも称され得る。Z方向は、ベース部2の厚さ方向に沿う方向であり、上下方向とも称され得る。なお、本実施形態における前後左右上下のような方向を示す表現は、便宜上の呼称であり、ノートブック型コンピュータ1の位置、姿勢、及び使用態様を限定するものではない。
【0023】
図2は、本実施形態のベース部2の下面図である。
図1及び
図2に示すように、ベース部2は、上面21と、底面22と、側面23と、キーボード24と、タッチパッド25と、を有する。なお、上面21は、第1の面の一例であり、底面22は、第2の面の一例である。そして、側面23は、外面の一例である。
【0024】
上面21は、略上方向(+Z方向)に向く略平坦な面である。上面21は、上下方向(Z方向)と直交する方向(XY平面)に沿って延びている。なお、上面21は、この例に限られず、凹凸を有しても良い。上面21には、入力手段であるキーボード24及びタッチパッド25が設けられている。
【0025】
底面22は、下方向(-Z方向)に向く略平坦な面である。すなわち、底面22は、上面21の反対側に位置する。底面22は、上下方向(Z方向)と直交する方向(XY平面)に沿って延びている。
【0026】
側面23は、上面21と底面22とを繋ぐ略平坦な面である。側面23は、上下方向(Z方向)に沿う方向(XZ平面)に沿って延びている。ベース部2の外面は、上面21と、底面22と、側面23と、を含む。
【0027】
図2に示すように、ベース部2には、複数の開口部26が設けられている。本実施形態では、ベース部2に四つの開口部26が設けられている。開口部26は、底面22に開口して外部と連通している。
【0028】
図1に示すヒンジ3は、画面表示部4を開閉可能にするものである。ヒンジ3は、後方向(-X方向)におけるベース部2の端部である後端部2aに設けられる。本実施形態では、ベース部2の後端部2aに二つのヒンジ3が設けられている。また、ヒンジ3は、例えば、後端部2aにおいて上面21から上方向(+Z方向)に突出している。なお、ヒンジ3の数、位置、及び形状は適宜変更されても良い。
【0029】
画面表示部4は、ヒンジ3に回転可能に取り付けられる。本実施形態において、ヒンジ3に取り付けられた画面表示部4は、ベース部2及びヒンジ3に対して回転することができる。画面表示部4は、筐体41と、ディスプレイ42と、を有する。
【0030】
筐体41は、例えば、金属製又は樹脂製であり、略矩形(四角形)の薄い箱状に形成される。筐体41には、例えば、ディスプレイ42と、他の部品と、が収納されている。
【0031】
筐体41の下端部41aが、ヒンジ3を介してベース部2の後端部2aに回転可能に取り付けられる。下端部41aは、
図1のようにノートブック型コンピュータ1が開かれた状態における、筐体41の下方向(-Z方向)の端部である。
【0032】
筐体41は、前面411を有する。前面411は、
図1のようにノートブック型コンピュータ1が開かれた状態において、おおよそ前方向(+X方向)に向く略平坦な面である。前面411は、当該前面411が向く方向(+X方向)と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。
【0033】
筐体41には、画面開口部413が設けられている。画面開口部413は、前面411に開口している。画面開口部413は、ディスプレイ42に設けられた表示画面421を筐体41の外部に露出させる。
【0034】
表示画面421は、画面開口部413を通じて筐体41の前方向(+X方向)へ向く。ディスプレイ42は、表示画面421に画像を表示可能である。また、ディスプレイ42は、タッチパネルを有しても良い。その場合、ユーザは、表示画面421へのタッチ操作により画面表示部4を操作することができる。
【0035】
図2に示すように、本実施形態のノートブック型コンピュータ1は、二つのキャスター5と、二つのキャスター6と、をさらに備える。二つのキャスター5は、ベース部2の前方向(+X方向)における端部である前端部2b側の角部付近にそれぞれ設けられている。二つのキャスター6は、ベース部2の後端部2a側の角部付近にそれぞれ設けられている。
【0036】
図3は、本実施形態の各キャスター5の側面図である。なお、
図3は、ベース部2を二点鎖線で仮想的に示す。
図3に示すように、各キャスター5は、ボール51と、二つのリング52と、二つの突片53と、二つのベルト54と、ボタン機構55と、を有する。なお、ボール51は転動体の一例であり、リング52は回転部材一例である。さらに、ベルト54は弾性体の一例である。
【0037】
図4は、本実施形態の各キャスター5の平面図である。
図4に示すように、ベース部2に、各キャスター5に対応する内部空間27及び連通空間28が設けられる。内部空間27は、ベース部2の内部に設けられ、対応する開口部26によってベース部2の外部に連通される。連通空間28は、対応する内部空間27とベース部2の側面23とを連通する。
【0038】
ボール51、リング52、突片53、及びベルト54は、内部空間27に収容される。ボタン機構55は、少なくとも部分的に連通空間28に収容される。すなわち、二つのキャスター5は、ベース部2の内部に設けられる。キャスター5は、ユーザの一つの操作によりボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【0039】
ボール51は、ゴムで形成された略球体である。なお、ボール51の素材はゴムに限らず、例えば他の合成樹脂で形成されていても良い。
図3に示すように、ボール51の一部は、開口部26を通り、底面22からベース部2の外部に突出している。このため、ボール51はベース部2を支持することが可能である。なお、ボール51のサイズは、開口部26から落ちないサイズであれば、適宜変更されても良い。
【0040】
二つのリング52は、合成樹脂等で形成されたリング状の部品である。各リング52は、上下方向(Z方向)からボール51に嵌め込まれている。すなわち、各リング52は、対応するボール51を囲んでいる。各リング52は、ベース部2に対して当該リング52の周方向へ回転可能に、例えば内部空間27の内面に支持されている。
【0041】
一つのボール51に対応する一方のリング52は、当該ボール51の中心より上方に位置する。当該ボール51に対応する他方のリング52は、当該ボール51の中心より下方に位置する。二つのリング52は、略平行に配置される。
【0042】
図4に示すように、各リング52には、孔521と二つの孔522とが設けられている。各孔521,522は、対応するリング52を、当該リング52の厚さ方向に貫通している。二つの孔522は、例えば、リング52の中心に対して互いに反対側に位置する。
【0043】
二つの突片53は、合成樹脂等で形成された突起である。各突片53は、各リング52の厚さ方向に延びるとともに、対応する孔521に挿通されている。一方の突片53は、上方のリング52から上方向(+Z方向)に突出している。他方の突片53は、下方のリング52から下方向(-Z方向)に突出している。各突片53は、二つのリング52の間の空間へは突出していない。
【0044】
二つのベルト54は、金属もしくは合成樹脂等の弾性変形可能な素材で形成された部品である。
図3、4に示すように、各ベルト54は、それぞれ二つのリング52の間に位置するとともに、ボール51の外面に沿って延びている。各ベルト54は、ボール51に接触することによりボール51の転動を制限する。
【0045】
各ベルト54は、第1の取付部54aと、第2の取付部54bと、を有する。第1の取付部54aは、例えば、円柱状に形成されている。第2の取付部54bは、例えば、円筒状に形成されている。第1の取付部54aは、各リング52の厚さ方向に延びて、対応する孔522に挿通している。すなわち、第1の取付部54aは、二つのリング52に回転可能に取り付けられている。
【0046】
ベース部2の開口部26の付近において、二つの取付棒29が、内部空間27の内面から上方向(+Z方向)又は下方向(-Z方向)に突出している。二つの取付棒29は、例えば、リング52の中心に対して互いに反対側に位置する。各取付棒29は、対応する孔522の近傍に配置されている。取付棒29は、第2の取付部54bに挿通されている。すなわち、第2の取付部54bは、ベース部2に取り付けられている。
【0047】
一方の孔522と一方の取付棒29とは、例えば、リング52の中心に対して互いにおおよそ反対側に位置する。一方のベルト54は、第1の取付部54aにおいて当該孔522に取り付けられ、第2の取付部54bにおいて当該取付棒29に取り付けられる。これにより、ベルト54は、ボール51の外周のおおよそ半分に沿って、当該孔522と当該取付棒29との間で略円弧状に延びている。
【0048】
他方の孔522と他方の取付棒29とは、例えば、リング52の中心に対して互いにおおよそ反対側に位置する。他方のベルト54は、第1の取付部54aにおいて当該孔522に取り付けられ、第2の取付部54bにおいて当該取付棒29に取り付けられる。これにより、ベルト54は、ボール51の外周のおおよそ半分に沿って、当該孔522と当該取付棒29との間で略円弧状に延びている。略円弧状に延びる二つのベルト54は、ボール51を囲む。
【0049】
ボタン機構55は、操作部材550を有する。操作部材550は、第1の操作部材の一例である。操作部材550は、ユーザの操作により各リング52をベース部2に対して当該リング52の周方向へ回転させる。操作部材550は、操作ボタン551と、押板552と、棒553と、を有する。なお、操作ボタン551は、ボタンの一例である。
【0050】
操作ボタン551は、ベース部2の側面23に設けられる。例えば、操作ボタン551は、側面23に設けられた窪みに嵌め込まれ、ベース部2の外部に露出されている。キャスター5は、操作ボタン551をユーザから押下されることにより、ボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【0051】
押板552は、上下方向(Z方向)から二つのリング52を挟み込む。例えば、押板552は略C字状に形成され、当該押板552の上側の部分と下側の部分との間に二つのリング52が配置される。押板552と各リング52とは接触しておらず、押板552と各リング52との間に若干の隙間が設けられている。また、押板552の一部は、内部空間27と連通空間28とに跨って配置されている。
【0052】
棒553は、連通空間28に収容される。棒553は、押板552の表面からベース部2の外部に向かって延び、操作ボタン551に接続されている。すなわち、押板552は、棒553を介して操作ボタン551と接続されている。なお、棒553の長さは、ベース部2の側面23と操作ボタン551との間に隙間が生じる長さであれば、適宜変更されても良い。
【0053】
ボタン機構55は、第1バネ554と、第2バネ555と、をさらに有する。第1バネ554は、押板552と連通空間28の端部(底)との間に設けられている。第2バネ555は、ベース部2の側面23と操作ボタン551との間に設けられている。第2バネ555は、操作ボタン551とベース部2の側面23を接続している。
【0054】
図5は、本実施形態の各キャスター5の動作後の平面図である。以下、
図4及び
図5を参照して、キャスター5の動作を説明する。ユーザが操作ボタン551を操作していないとき、
図4に示すように、各キャスター5は、ベルト54がボール51に接触することによってボール51の回転を制限する固定状態となっている。このため、キャスター5は、ノートブック型コンピュータ1が移動することを制限できる。
【0055】
各キャスター5の固定状態を解除したい場合、ユーザはボタン機構55の操作ボタン551を押下する。
図5に示すように、これにより、押板552が突片53と当接して各リング52を周方向に回転させる。この時、二つのリング52に固定されている各ベルト54の第1の取付部54aが、リング52とともに周方向に移動する。
【0056】
第1の取付部54aが周方向に移動したことで、第1の取付部54aと第2の取付部54bとの間の距離が縮まる。これにより、各ベルト54は、第1の取付部54aと第2の取付部54bとの間で弾性的に曲がり、ボール51から離間する。このように、二つのベルト54は、各リング52の回転に伴って弾性変形することで、ボール51に接触する状態とボール51から離間する状態とに切り替えられることが可能になる。
【0057】
ベルト54がボール51から離間することで、ベルト54によるボール51の転動の制限が解除され、ボール51が転動可能となる。これにより、各キャスター5の固定状態が解除される。ユーザが操作ボタン551を押下し続けることで、各キャスター5は固定状態が解除されたままに保たれる。
【0058】
ユーザが操作ボタン551から手を離すと、第1バネ554および第2バネ555によって操作ボタン551及び押板552が元の位置に押し戻される。さらに、弾性変形可能な素材で形成された各ベルト54は、元の形状に戻ろうとする力でリング52を逆回転させる。
【0059】
リング52が逆回転することで、第1の取付部54aと第2の取付部54bとの間の距離が拡大する。これにより、各ベルト54の弾性変形が縮小し、当該ベルト54がボール51に再び接触する。これにより、ベルト54がボール51の回転を制限し、各キャスター5が固定状態に戻る。
【0060】
以上のように、操作部材550は、ユーザの操作により各ベルト54を弾性変形させることで、当該ベルト54をボール51に接触する状態とボール51から離間する状態とに切り替えることが可能である。なお、操作部材550は、上述の例に限定されない。
【0061】
二つのキャスター6は、キャスター5と同じく、ボール51をそれぞれ有する。キャスター6におけるボール51は、ベース部2に転動自由に収容されている。これにより、二つのキャスター5の固定状態が解除されると、ノートブック型コンピュータ1は滑らかに移動可能になる。
【0062】
以上のように、本実施形態のノートブック型コンピュータ1は、ユーザの操作により容易に移動可能である。また、ノートブック型コンピュータ1は、ユーザの操作が解除されることで、設置面上に容易に固定されることができる。
【0063】
以上のように、本実施形態のノートブック型コンピュータ1は、ベース部2と、ヒンジ3と、画面表示部4と、キャスター5と、を備える。ベース部2は、上面21と、上面21の反対側に位置する底面22と、上面21に設けられたキーボード24と、を有する。ヒンジ3は、ベース部2に設けられている。画面表示部4は、ディスプレイ42を有し、ヒンジ3に回転可能に取り付けられている。キャスター5は、ベース部2に設けられ、底面22から部分的に突出するとともにベース部2を支持することが可能なボール51を有する。さらに、キャスター5は、ユーザの操作によりボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【0064】
キャスター5がボール51の転動を制限することで、ノートブック型コンピュータ1が作業スペースから移動することが制限される。このため、ユーザは、ノートブック型コンピュータ1を安定して使用することができる。一方、ユーザは、操作によってボール51を転動可能な状態に切り替えることができる。
【0065】
これにより、ユーザは、ボール51を転動させて目的の作業スペースまでノートブック型コンピュータ1を容易に移動させることができる。従って、ノートブック型コンピュータ1は、容易に移動可能にされることができ、当該ノートブック型コンピュータ1の使用時及び移動時における使用者の負担を軽減することができる。
【0066】
また、本実施形態では、キャスター5は、ベース部2の側面23に設けられた操作ボタン551を有し、操作ボタン551をユーザから押下されることによりボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。これにより、ユーザはボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに容易に切り替えることができる。
【0067】
また、本実施形態では、キャスター5は、ベルト54と、操作部材550と、を有する。ベルト54は、ボール51に接触することによりボール51の転動を制限する。操作部材550は、ユーザの操作によりベルト54を弾性変形させることで、当該ベルト54をボール51に接触する状態とボール51から離間する状態とに切り替えることが可能である。
【0068】
すなわち、ベルト54は、ボール51に対する接触および離間を切り替える弾性変形と、摩擦によるボール51の転動の制限と、を行うことができる。これにより、ノートブック型コンピュータ1は、簡素な構成により容易に移動可能にされることができる。
【0069】
また、本実施形態では、キャスター5は、リング52を有する。リング52は、ベース部2に対して回転可能にベース部2に収容されるとともにボール51を囲む。操作部材550は、ユーザの操作によりリング52をベース部2に対して回転させる。ベルト54は、リング52に取り付けられた第1の取付部54aと、ベース部2に取り付けられた第2の取付部54bと、を有し、リング52の回転に伴って弾性変形することでボール51に接触する状態とボール51から離間する状態とに切り替えられることが可能である。
【0070】
すなわち、キャスター5は、リング52の回転により、ベルト54がボール51に接触する状態とボール51から離間する状態とを切り替えることができる。これにより、ノートブック型コンピュータ1は、簡素な構成により容易に移動可能にされることができる。また、例えばキャスター5が往復運動によりベルト54を弾性変形させる場合、当該往復運動のためのスペースがベース部2に生じる。これに対し、リング52は、回転しても同一位置に留まることができるため、ベース部2においてキャスター5が占めるスペースの増大を抑制できる。
【0071】
また、本実施形態では、ボール51は、ゴムで形成されている。これにより、ボール51の転動が制限されている状態において、ボール51は、ノートブック型コンピュータ1が移動することをより効果的に抑制できる。従って、ユーザは、ノートブック型コンピュータ1を安定して使用することができる。
【0072】
また、本実施形態では、ボール51は、球体である。これにより、ノートブック型コンピュータ1は、前後方向もしくは左右方向にも滑らかに移動することができる。
【0073】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態のノートブック型コンピュータ1Aのベース部2の平面図である。
図6に示すように、第2実施形態のベース部2は、下記に説明される構成を除き、前記第1実施形態のノートブック型コンピュータ1と同様の構成を備えている。よって、第2実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の構成に基づく効果が得られる。
【0074】
第2実施形態では、ノートブック型コンピュータ1Aは、前記第1実施形態のノートブック型コンピュータ1と異なる四つのキャスター5Aを有する。四つのキャスター5Aは、ベース部2の四つの角部付近にそれぞれ設けられている。
【0075】
図7は、第2実施形態のキャスター5Aの平面図である。
図7に示すように、各キャスター5Aの各リング52には、第1の実施形態とは異なり、四つの孔521が設けられている。
【0076】
さらに、各キャスター5Aは、第1の実施形態とは異なり、八つの突片53と、四つのボタン機構55と、筐体56と、を有する。なお、四つのボタン機構55は、各ボタン機構55a,55b,55c,55dを含む。
【0077】
各リング52は、各ボタン機構55a,55b,55c,55dのうち少なくとも一つの操作部材550がユーザに操作されることで回転し、各ベルト54をボール51に接触する状態とボール51から離間する状態とに切り替えるように弾性変形させることが可能である。
【0078】
各孔521は、各リング52の周方向において略等間隔に離間して設けられている。各突片53は、各リング52の厚さ方向に延びるとともに、孔521に挿通されている。
【0079】
本実施形態では、例えば、ボタン機構55aは、ユーザ側から見て各キャスター5Aの左方向(-Y方向)側に設けられている。ボタン機構55bは、ユーザ側から見て各キャスター5Aの前方向(+X方向)側に設けられている。ボタン機構55cは、ユーザ側から見て各キャスター5Aの右方向(+Y方向)側に設けられている。ボタン機構55dは、ユーザ側から見て各キャスター5Aの後方向(-X方向)側に設けられている。
【0080】
各ボタン機構55a,55b,55c,55dの操作部材550は、第1実施形態のボタン機構55と同様に、ユーザの操作により各リング52をベース部2に対して回転させる。また、各ボタン機構55a,55b,55c,55dの操作部材550は、前後方向もしくは左右方向に互いに離間して設けられている。例えば、ボタン機構55cの操作部材550は、ボタン機構55aの操作部材550から左右方向に離間している。なお、本実施形態においてボタン機構55aの操作部材550は、第1の操作部材の一例であり、ボタン機構55cの操作部材550は、第2の操作部材の一例である。
【0081】
本実施形態において、内部空間27と連通空間28とは、筐体56に設けられる。このため、筐体56は、ボール51と、二つのリング52と、八つの突片53と、二つのベルト54と、を覆っている。
【0082】
ベース部2の内部に、四つの収容空間20が設けられる。各収容空間20は、底面22に連通するとともに、対応するキャスター5Aを収容する。筐体56は収容空間20の内面201とは接触しておらず、筐体56と内面201との間には若干隙間が空いている。筐体56はベース部2の内面201に囲まれている。
【0083】
各ボタン機構55a,55b,55c,55dの操作ボタン551は、筐体56と内面201との間に配置される。操作ボタン551は、内面201に接触しても良いし、内面201から若干離間していても良い。
【0084】
例えば、ノートブック型コンピュータ1Aを右方向に移動させる場合、ユーザはベース部2を右方向にスライドさせる。この時、ボール51は各ベルト54によって回転を制限されているため、その場に留まろうとする。
【0085】
ボール51がその場に留まるため、キャスター5Aもその場に留まる。当該キャスター5Aに対し、ベース部2が右方向に移動する。これにより、ノートブック型コンピュータ1Aの移動方向と反対方向である左側に設けられたボタン機構55aの操作ボタン551が、ベース部2の内面201に押下される。以下、第1実施形態と同様の流れで各キャスター5Aの固定状態が解除される。なお、右方向以外の三方向に移動させる場合も、同様の流れでキャスター5Aの固定状態が解除される。
【0086】
以上のように、各キャスター5Aは、当該キャスター5Aに対してベース部2が前後方向もしくは左右方向に移動させられることによりボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。前後方向および左右方向は、上面21に沿う方向である。
【0087】
本実施形態では、ユーザがベース部2を前後方向もしくは左右方向に移動させると、複数のキャスター5Aの固定状態が解除される。すなわち、ユーザの一つの操作(ベース部2の移動)により、複数のキャスター5Aが一時にボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることができる。
【0088】
以上のように、本実施形態のキャスター5Aは、当該キャスター5Aに対してベース部2が前後方向もしくは左右方向に移動させられることにより、ボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。これにより、ユーザはボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに容易に切り替えることができる。
【0089】
また、本実施形態では、キャスター5Aは、ボタン機構55aの操作部材550のみならず、ボタン機構55cの操作部材550を有する。ボタン機構55cの操作部材550は、ボタン機構55aの操作部材550から離間するとともに、ユーザの操作によりリング52をベース部2に対して回転させる。リング52は、ボタン機構55aおよびボタン機構55cのうち少なくとも一方の操作部材550がユーザに操作されることで回転し、ベルト54をボール51に接触する状態とボール51から離間する状態とに切り替えるように弾性変形させることが可能である。
【0090】
すなわち、ユーザは、ボタン機構55aおよびボタン機構55cのうち任意の一方の操作部材550を操作することで、ボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることができる。従って、ノートブック型コンピュータ1Aは、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態では、ノートブック型コンピュータ1Aは、複数のキャスター5Aを備える。複数のキャスター5Aは、ユーザの一つの操作によりボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。
【0092】
すなわち、ユーザは、複数のキャスター5Aのボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに一つの操作により一度に切り替えることが可能である。従って、ノートブック型コンピュータ1Aは、容易に移動可能にされることができ、当該ノートブック型コンピュータ1Aの使用時及び移動時における使用者の負担を軽減することができる。
【0093】
<変形例>
図8は、第2実施形態のキャスター5Aの変形例の平面図である。第2実施形態のボタン機構55の数は四つであったが、これに限らない。例えば、
図8に示すように、キャスター5Aのボタン機構55の数は二つであっても良い。
【0094】
キャスター5Aの変形例は、前記第2実施形態と同様に、当該キャスター5Aに対してベース部2が左右方向に移動させられることにより、ボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに切り替えることが可能である。これにより、ユーザはボール51を転動可能な状態と転動を制限された状態とに容易に切り替えることができる。
【0095】
以上の実施形態において、ボール51が転動体の一例である。しかし、転動体は、ローラのような他の転動体であっても良い。また、以上の実施形態において、ベルト54が弾性体の一例である。しかし、弾性体は、ゴム製のブロックのような他の弾性体であっても良い。
【0096】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0097】
1、1A ノートブック型コンピュータ
2 ベース部(第1の部分)
21 上面(第1の面)
22 底面(第2の面)
23 側面(外面)
24 キーボード
3 ヒンジ
4 画面表示部(第2の部分)
42 ディスプレイ
5、5A、6 キャスター
51 ボール(転動体)
52 リング(回転部材)
54 ベルト(弾性体)
54a 第1の取付部
54b 第2の取付部
550 操作部材(第1の操作部材、第2の操作部材)
551 操作ボタン(ボタン)