(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124457
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】アシスト自転車
(51)【国際特許分類】
B62K 15/00 20060101AFI20230830BHJP
B62M 6/55 20100101ALI20230830BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20230830BHJP
B62J 43/13 20200101ALI20230830BHJP
B62J 43/28 20200101ALI20230830BHJP
【FI】
B62K15/00
B62M6/55
B62M6/90
B62J43/13
B62J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028225
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】398016669
【氏名又は名称】株式会社宝島社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】高杉 純一
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BA08
3D212BB05
3D212BB24
3D212BB42
3D212BB53
3D212BB63
3D212BN05
(57)【要約】
【目的】
折り畳み状態が極めてコンパクトで、安定した状態で運転することができ、折り畳み作業を簡単にできるアシスト自転車とすること。
【構成】急傾斜状の前支柱1の上端にはハンドル2を取り付け、前支柱1の下端にはフロントフォーク12を介して小型前輪71を軸支し、斜め状の中央支柱3の上端は前支柱1 の中間箇所に固着し、中央支柱3の下端にはリアフォーク34を介して小型後輪72を軸支し、中央支柱3の中間箇所に急傾斜状を保持するように後支柱4が取り付けられ、その上端にサドル5が固着され、後支柱4下端箇所よりの中央支柱3の中間箇所には、アシスト電動機61が備えられる。アシスト電動機61にはペダル66が備えられ、チェーン65を介して小型後輪72に伝達しつつ走行可能に構成され、折り畳み時には、中央支柱3と前支柱1とで逆V字状とし、中央支柱3と後支柱4とでV字状としてそれぞれ折り曲げて収納可能に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急傾斜状の前支柱の上端にはハンドルを取り付け、前記前支柱の下端にはフロントフォークを介して小型前輪を軸支し、斜め状の中央支柱の上端は前記前支柱 の中間箇所に固着し、前記中央支柱の下端にはリアフォークを介して小型後輪を軸支してなり、前記中央支柱の中間箇所に急傾斜状を保持するように後支柱が取 り付けられ、該後支柱の上端にはサドルが固着され、前記後支柱下端箇所よりの前記 中央支柱の中間箇所には、アシスト用のアシスト電動機が備えられてなる電動アシスト自転車において前記アシスト電動機にはペダルが備えられ、該ペダルの駆動力をチェーンを介して前記小型後輪に伝達しつつ走行可能に構成され、折り畳み時には、前記中央支柱と前記前支柱とで逆V字状に、該中央支柱と前記後支柱とでV字状にそれぞれ折り曲げて収納可能に構成されてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項2】
請求項1に記載のアシスト自転車において、前記アシスト電動機は前記中央支柱の中間箇所 内部に内蔵されつつその外観としてはモノコック状に膨出形成されてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、折り畳み時には、前記中央支柱の上端 の取付箇所の2つの内の1箇所を外して、前記前支柱と前記中央支柱を逆V字状に折り曲げてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項に記載のアシスト自転車において、折り畳み時には、前記中央支柱の 中間箇所と前記後支柱の下端箇所とを外して、該後支柱と前記中央支柱とをV字状に折り曲げてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のアシスト自転車において、前記前支柱は前記中央支柱に前支柱支持具を介して連結され、該前支柱支持具は前記前支柱を摺動自在且つ固定される構成としてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のアシスト自転車において、前記後支柱は、揺動する後支柱支持具にて前記中央支柱に連結され、前記後支柱は前記後支柱支持具が締付及び締付解除にて摺動且つ固定され、前記後支柱の下端は、前記中央支柱に形成された前記後支柱の受部に支持固定されてなることを特徴とするアシスト自転車。
【請求項7】
請求項6に記載のアシスト自転車において、前記受部は前記中央支柱に形成された有底円筒状の凹みの穴形状としてなることを特徴とするアシスト自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み状態が極めてコンパクトであり、且つ安定した状態で運転することができ、折り畳み作業を簡単にすることができる電動によるアシスト自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳みができる自転車は種々存在する。その多くのものとして、前後方向の中間箇所に枢支部が存在し、該枢支部を介して水平方向に折り曲げするタイプが多い。その代表的なものとして特許文献1を上げた。また、前後方向の中間箇所に折り曲げ部が存在し、該折り曲げ部を介して垂直面上で折り曲げるタイプも存在する。その代表的なものとして特許文献2を上げた。特許文献1及び特許文献2を含めて、従来の折り畳みタイプは、折り畳み作業が面倒で、且つ折り畳み状態も不安定なものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-123913号公報
【特許文献2】特開2016-159720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、特許文献1に示すような折り畳み形式のものは、その構造を単純にすることができるものが多い。しかし、折り畳み状態としてもその体積は大きく、収納場所が大きくなる欠点があった。また、特許文献2に示すような折り畳み形式のものは、その折り畳み状態の体積を小さくすることができるが、折り畳み構造が複雑となり、折り畳み作業が面倒なものとなる。本発明の目的は、迅速な折り畳みが可能で、折り畳み状態をコンパクトな状態とし、収納場所を小さくして、省スペース化を実現できる電動によるアシスト自転車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、急傾斜状の前支柱の上端にはハンドルを取り付け、前記前支柱の下端にはフロントフォークを介して小型前輪を軸支し、斜め状の中央支柱の上端は前記前支柱 の中間箇所に固着し、前記中央支柱の下端にはリアフォークを介して小型後輪を軸支してなり、前記中央支柱の中間箇所に急傾斜状を保持するように後支柱が取 り付けられ、該後支柱の上端にはサドルが固着され、前記後支柱下端箇所よりの前記 中央支柱の中間箇所には、アシスト用のアシスト電動機が備えられてなる電動によるアシスト自転車において前記アシスト電動機にはペダルが備えられ、該ペダルの駆動力をチェーンを介して前記小型後輪に伝達しつつ走行可能に構成され、折り畳み時には、前記中央支柱と前記前支柱とで逆V字状に、該中央支柱と前記後支柱とでV字状にそれぞれ折り曲げて収納可能に構成されてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。
【0006】
請求項2の発明を、請求項1に記載のアシスト自転車において、前記アシスト電動機は前記中央支柱の中間箇所 内部に内蔵されつつその外観としてはモノコック状に膨出形成されてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載のアシスト自転車において、折り畳み時には、前記中央支柱の上端 の取付箇所の2つの内の1箇所を外して、前記前支柱と前記中央支柱を逆V字状に折り曲げてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。
【0007】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項に記載のアシスト自転車において、折り畳み時には、前記中央支柱の 中間箇所と前記後支柱の下端箇所とを外して、該後支柱と前記中央支柱とをV字状に折り曲げてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のアシスト自転車において、前記前支柱は前記中央支柱に前支柱支持具を介して連結され、該前支柱支持具は前記前支柱を摺動自在且つ固定される構成としてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。
【0008】
請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のアシスト自転車において、前記後支柱は、揺動する後支柱支持具にて前記中央支柱に連結され、前記後支柱は前記後支柱支持具が締付及び締付解除にて摺動且つ固定され、前記後支柱の下端は、前記中央支柱に形成された前記後支柱の受部に支持固定されてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより、上記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項6に記載のアシスト自転車において、前記受部は前記中央支柱に形成された有底円筒状の凹みの穴形状としてなることを特徴とするアシスト自転車としたことにより上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、前記 中央支柱3の中間箇所には、アシスト用のアシスト電動機が備えられたことにより、自転車を安定した走行ができ、コンパクトにまとめることができる。そして、折り畳み時には、前記中央支柱と前記前支柱とで逆V字状にすることで、小型前輪と小型後輪とを中央支柱の下方に位置させ、収納状態を安定させることができる。また、中央支柱と後支柱とでV字状に折り曲げることで、より一層コンパクトな外形とし、収納に好適となる。
【0010】
さらに、繰り返し述べることになるが、折り畳み時においては、前記中央支柱と前記前支柱とで逆V字状とし、中央支柱と後支柱とでV字状に折り曲げることで、本発明の電動によるアシスト自転車の折り畳み状態は、小型前輪と小型後輪とが前後方向において一列状に配列されることで、壁等に安定した状態で立て掛けることができ、収納場所の省スペースも実現できる。
【0011】
請求項2の発明では、前記アシスト電動機は前記中央支柱の中間箇所 内部に内蔵されつつその外観としてはモノコック状に膨出形成されたことにより、中央支柱によってアシスト電動機が外部からの衝撃に耐え得るように保護される。また、アシスト電動機が中央支柱に内蔵されることにより、自転車のデザインを極めて良好とすることができる。
【0012】
請求項3の発明では、折り畳み時には、前記中央支柱の上端 の取付箇所の2つの内1箇所を外して、前記前支柱と前記中央支柱を逆V字状に折り曲げできる構成としたことで、折り畳み作業をより一層、簡易且つ迅速にできる。請求項4の発明では、折り畳み時には、前記中央支柱の 中間箇所と前記後支柱の下端箇所とを外して、該後支柱と前記中央支柱とをV字状に折り 曲げてなる構成により、自転車の走行状態時では強固な構造にでき、収納作業時では、簡単にできる。
【0013】
請求項5の発明では、前記前支柱1は前記中央支柱3に前支柱支持具を介して連結され、該前支柱支持具は前記前支柱を摺動自在且つ固定される構成としたことにより、折り畳みを簡単にできる。請求項6の発明では、前記後支柱は、揺動する後支柱支持具にて前記中央支柱に連結され、前記後支柱は前記後支柱支持具が締付及び締付解除にて摺動且つ固定され、前記後支柱の下端は、前記中央支柱3に形成された前記後支柱の受部に支持固定されることにより、走行状態に組み立てたときには、自転車は極めて強固となり、折り畳み作業時では、簡単にできる。
【0014】
請求項7の発明では、前記受部は前記中央支柱に形成された有底円筒状の凹みの穴形状としたことにより、本発明の電動によるアシスト自転車の組立完了状態では、後支柱の軸管部下端を極めて安定した状態で支持することができ、運転者の乗り姿勢及び運転を極めて安定したものにできる。また、折り畳み作業でも、後支柱の軸管部を受部から簡単に取り外すことができ、折り畳み作業を極めて簡単且つ迅速にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)は本発明におけるアシスト自転車の組立完了状態及び走行状態を示す側面図、(B)は本発明におけるアシスト自転車の折り畳み状態を示す側面図。
【
図2】(A)は中央支柱を中心に示し且つ一部省略した要部側面図、(B)は(A)の平面図、(C)は中央支柱の斜視図、(D)は中央支柱内に収納されたアシスト電動機の斜視図、(E)は(A)の一部省略したY1-Y1矢視断面図、(F)は(A)の一部省略したY2-Y2矢視断面図である。
【
図3】(A)は前支柱と小型前輪箇所の一部省略した側面図、(B)は(A)の(α)部における軸管部の要部拡大図、(C)は前支柱支持具の斜視図、(D)は前支柱の軸管部と前支柱支持具とが相互に摺動する状態を示す一部省略した側面図、(E)は(A)のX1-X1矢視拡大断面図である。
【
図4】(A)は中央支柱と後支柱と小型後輪の構成を示す一部断面且つ省略した側面図、(B)は(A)の一部省略したX2-X2矢視拡大断面図、(C)は中央支柱の受部から後支柱軸管部下端を抜き出した状態の一部省略した要部側面図、(D)は中央支柱と後支柱とをV字状に折り曲げた状態の要部側面図である。
【
図5】(A)乃至(D)は組立完了状態から折り畳み状態とする過程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本発明の電動によるアシスト自転車は、折り畳みができる電動によるアシスト自転車である。本発明の電動によるアシスト自転車は、主に、前支柱1と、中央支柱3と、小型前輪71と、後支柱4、アシスト電動機61及び蓄電池62等を備えたものである(
図1参照)。
図1(A)は本発明の電動によるアシスト自転車の組立完了した状態つまり走行可能な状態の側面図であり、
図1(B)は本発明の電動によるアシスト自転車の折り畳み状態の側面図である。前支柱1は、軸管部11とフロントフォーク12とを有し、軸管部11の下端にはフロントフォーク12が設けられ、該フロントフォーク12に小型前輪71が軸支装着されている。
【0017】
前支柱1の軸管部11は、鋼管製又は中空円管であり、その材質は金属であり、具体的には鋼材,鉄,ステンレス,アルミニウム等である。フロンフォーク12は、略逆「U」字形状の二股状であり、幅方向に挟持脚片12a,12aを有するものである。両挟持脚片12a,12aに小型前輪71が回動自在に軸支されている。
【0018】
本発明における電動によるアシスト自転車に使用される小型前輪71及び後述する小型後輪72は、通常の自転車の車輪よりも小径のものである。具体的には、小型前輪71及び小型後輪72は共に8インチのものが使用されている。また、小型前輪71及び小型後輪72は、前記サイズに限定されるものではなく、8インチを超えるもの、又は8インチ未満のサイズの小型前輪71及び小型後輪72を使用しても構わない。
【0019】
前支柱1は、外径が約40ミリ程度のものである。前支柱1は、自転車組立状態(走行状態)では、急傾斜状に設定される。軸管部11の上端側にハンドル2が取り付けられている。該ハンドル2は、折り畳みができるものとしているが、固定タイプのものであっても構わない。ハンドル2の折り畳み構造は、具体的には右腕部と左腕部が締付具を緩めることによって下方に折り畳む構成となっている。
【0020】
また、ハンドル2の高さ位置は、調整することができる構造とすることもある。具体的には、特に図示しないが、ハンドル2に、接続用の軸部材が設けられ、該軸部材は前記軸管部11の中空部に挿入する構成とし、つまり伸縮状構造としたものである。そして、ビス,ボルト等の固着具にてハンドル2を所望の高さ位置に固定することができるようにしたものである。
【0021】
次に、中央支柱3は、自転車組立状態(走行状態)では、水平状態に近い斜め状に設置されるものである(
図1参照)。該中央支柱3の上端は、前記前支柱 1の中間箇所に連結固着される。該中央支柱3は、外観,外形及び構造としては、略モノコック状に構成され、前後方向の中央箇所が上下幅方向に膨出形成されており、前方筐体部31と、後方筐体部32とを有している。前方筐体部31と後方筐体部32は前後方向に連続して構成されている(
図2参照)。
【0022】
ここで、中央支柱3におけるモノコック状の構造とは、一体構造物、殻構造物であり、外側部材によって内部が空洞となる構造体のことである。中央支柱3の内部には、後述するアシスト電動機61及び蓄電池62等の装備品が内装されるスペース(空洞)が備わった殻状体の部材或いは複数の室内を備えた筐体が一体化された部材である。
【0023】
図2(C)は、中央支柱3の斜視図であって、その構造が略モノコック状であることを示している。
図2(E)は、中央支柱3の前方筐体部31の蓄電池62の収納スペースを示す前後方向に直交する断面図であり、
図2(F)は、中央支柱3の後方筐体部32のアシスト電動機61の収納スペースを示す前後方向に直交する断面図である。このように、中央支柱3の構造を略モノコック状とすることで、中央支柱3自体をコンパクトな形状にすることができ、アシスト電動機61及び蓄電池62の装着及び収納を効率的に行うことができる。
【0024】
前方筐体部31は略直方体状の筐体であり、内部に空間を有し、蓄電池(バッテリー)62を収納できる構成となっている(
図2参照)。また、前方筐体部31は、後述する前支柱支持具13を介して前記前支柱1と連結される〔
図1,
図2(A),(B),
図3参照〕。前方筐体部31は、底面,側面を備えた筐体で、蓄電池62を収納したときの上カバー部31aが備えられている〔
図2(E)参照〕。該上カバー部31aは、ボルト等の固着具にて前方筐体部31の上部開口に被せられるようにして固定される。
【0025】
後方筐体部32は、側面より見て楕円形状の筐体をなしており、内部にアシスト電動機61が収納されている(
図2参照)。換言すると、該アシスト電動機61は、前記中央支柱3の中間箇所 内部に内蔵されつつ、その外観としてはモノコック状の構造で、膨出形成されたものとなる〔
図2(A)~(C)及び(F)参照〕。アシスト電動機61には、アシスト駆動軸61aが備えられ、後方筐体部32から幅方向両側から外方に突出している。
【0026】
両前記アシスト駆動軸61aには、ペダル66が装着され、また、一方のアシスト駆動軸61aには、主スプロケット63が装着される。そこで、アシスト駆動軸61aには、外ネジ,内ネジ,スプライン,キー溝等の機械加工が施されており、アシスト駆動軸61aに、ペダル66,主スプロケット63が装着し易い構造となっている。
【0027】
後方筐体部32に収納されたアシスト電動機61は、その幅方向両側面は後方筐体部32の幅方向両側面より露出している〔
図2(A),(C),(F)参照〕。ここで、後方筐体部32は、幅方向両側面が、ボルト,ビス等により着脱自在となる側面カバー部32aを有しており、アシスト電動機61の保守や交換等が必要な場合に前記側面カバー部32aを取り外して、アシスト電動機61の保守又は交換を行うことができる。また、側面カバー部32aには、アシスト電動機61の一部が露出するための開口が形成されることもある。
【0028】
また、特に図示しないが、アシスト電動機61はその全部が後方筐体部32に収納され、両アシスト駆動軸61a,61aのみが後方筐体部32から突出又は露出する構成とすることもある。中央支柱3の後方筐体部32の後方端且つ下端には、リアフォーク34が固着されている。該リアフォーク34は、具体的には2つのリア挟持脚片34a,34aにより構成されており、二股状とした両該リア挟持脚片34a,34aによって小型後輪72が軸支装着されている〔
図2(B)参照〕。
【0029】
前記後方筐体部32に収納されたアシスト電動機61のアシスト駆動軸61a,61aの一方には、前述したようにチェーン機構を構成する主スプロケット63が取り付けられる。そして小型後輪72には、従スプロケット64が備えられ、一般の自転車と同様に主スプロケット63と従スプロケット64との間にチェーン65が掛け渡されている〔
図1(A)参照〕。さらに、後方筐体部32に収納されたアシスト電動機61の両アシスト駆動軸61a,61aにペダル66,66がそれぞれ装着されており、ペダル66,66を回転させる人力に対してアシスト電動機61がアシストする構成となっている。
【0030】
前記中央支柱3の前方筐体部31と前記前支柱1とは、前支柱支持具13によって連結されている(
図3参照)。該前支柱支持具13は、前支柱1の軸管部11を包持状に挟持する挟持本体部13aと、挟持締付片13bと、締付具13cと連結部13dとを有する。挟持本体部13aは、スリット状の離間部を備え、該離間部の両端に挟持締付片13b,13bが形成される。そして、両該挟持締付片13b,13bには、それぞれに貫通孔h1が形成されており、両該貫通孔h1,h1にボルト・ナットからなる締付具13cのボルトが挿通し、ナットによって両挟持締付片13b,13bが締付け又は締付け解除が行われる〔
図2(B),
図3参照〕。
【0031】
挟持本体部13aは、その内部が円形状であり、該挟持本体部13aが前支柱1の軸管部11を挟持状態で支持する役目をなすものである(
図3参照)。そして、挟持本体部13aは、軸管部11を包持状に挟持した状態で、軸管部11と相互に軸長方向に沿って摺動する〔
図3(D),
図5参照〕。前記締付具13cは、具体的にはボルト・ナットから構成される〔
図2(B),
図3(E)参照〕。締付具13cのナットは、挟持締付片13bの貫通孔h1箇所に溶接固着される構成としてもよい。また、締付具13cは、ボルトのみからなり、ナットは使用しないものであり、両挟持締付片13b,13bのうち一方は、貫通孔h1に内ネジが形成され、ボルトのネジ軸と螺合する構成となっている。
【0032】
該締付具13cによる前支柱支持具13と軸管部11との締付け(ロック)及び締付解除(ロック解除)により、前記挟持本体部13aの内径を小さくしたり、大きくする構成となる。これによって、前支柱支持具13が軸管部11を摺動できるようにしたり、本発明のアシスト自転車の組立(走行可能)状態では、前支柱支持具13と軸管部11とが締付具13cによって固定状態となる。
【0033】
また、別の締付具13cの実施形態として、特に図示しないが、偏芯カムクランプレバーを使用する構造も存在する。そして、偏芯カムクランプレバーとして締付具13cのレバー操作により、挟持本体部13aの内径を小さくしたり、大きくする構成としてもかまわない。なお、偏芯カムクランプレバーは、後支柱4における締付具42cの実施形態として
図4(B)に示されているので参照されたい。
【0034】
前支柱支持具13の連結部13dは、中央支柱3の前方筐体部31との連結を行う役目をなす部位である(
図3参照)。中央支柱3の前方筐体部31には、幅方向両側に連結腕部35,35が前方筐体部31の前方から突出するように設けられている〔
図2(A),(B),(C),
図3(E)参照〕。両連結腕部35,35は前記前支柱1の前支柱支持具13の連結部13dと上下に2つの連結箇所で連結具13eによって連結されている。
【0035】
それぞれの中央支柱3の連結腕部35と、前支柱1の連結部13dにはそれぞれに上下2つの連結箇所が設けられ、連結部13dには上下2つの貫通孔h2,h2が形成され、連結腕部35には貫通孔h3,h3が形成されている。本発明のアシスト自転車が組立完了状態のときには、連結腕部35の貫通孔h3,h3と、前支柱連結支持部13の連結部13dとの上下2つの連結箇所には、2組のボルト・ナットからなる連結具13e,13eのボルトが前記貫通孔h3,h3と貫通孔h2,h2に挿通し、ナットによって連結されている。
【0036】
連結腕部35と連結部13dとの上方に位置する連結箇所は、折り畳み作業時には、ボルト・ナットからなる連結具13e,13eが前記貫通孔h3,h3と貫通孔h2,h2から外されて、下方の連結具13eのみが前記貫通孔h3,h3と貫通孔h2,h2に残される。そして、下方の連結具13eと前記貫通孔h3,h3と貫通孔h2,h2箇所が前連結枢支部13pとなり、前支柱1と中央支柱3とが前連結枢支部13pを中心として折り畳み時には、相互に回動自在とし、逆V字状に折り曲げができる構造となる〔
図3(D)参照〕。
【0037】
そして、本発明の電動によるアシスト自転車を折り畳み状態とするときには、連結腕部35と連結部13dとの上下2つの連結箇所において、上方のボルト・ナットからなる連結具13e,13eが外され、下方の連結箇所のみにボルト・ナットからなる連結具13eが備えられる。そして、この下方の連結箇所が、前支柱1と中央支柱3とが相互に垂直面上を回動自在となる前連結枢支部13pとなっている。
【0038】
前支柱1と中央支柱3とは、前支柱支持具13を介して連結されており、上方の連結箇所からボルト・ナットからなる連結具13eを分離し、下方の連結箇所である前連結枢支部13pを折り曲げ中心点として前支柱1と中央支柱3とは略逆「V」字状に折り曲げて屈曲させることができる〔
図3(D)参照〕。この逆「V」字状の折り曲げ構造は後述するアシスト自転車の折り畳み及び組立の工程の一部となる。
【0039】
次に、後支柱4は、前記中央支柱3の中間箇所である後方筐体部32の後端付近に、急傾斜状を保持するようにして取り付けられている(
図1,
図2,
図4参照)。後支柱4の上端にはサドル5が取り付けられており、後支柱4は、軸管部41と後支柱支持具42とを有している。
【0040】
後支柱支持具42は、後支柱4の軸管部41を包持状に挟持する挟持本体部42aと、挟持締付片42bと、締付具42cと連結部42dとを有する。挟持本体部42aは、スリット状の離間部を備え、該離間部の両端に挟持締付片42b,42bが形成され、該挟持締付片42b,42bに貫通孔h4,h4がそれぞれ形成され、貫通孔h4,h4にボルト・ナットから構成される締付具42cが装着されている〔
図4(B)参照〕。
【0041】
挟持本体部42aは、その内部が円形状であり、該挟持本体部42aが後支柱4の軸管部41を包持状に挟持状態で支持する役目をなすものである。そして、挟持本体部42aは、軸管部41を挟持した状態で、該軸管部41と相互に軸長方向に沿って摺動する(
図4参照)。前記締付具42cは、具体的にはボルト・ナットから構成されるものであるが、偏芯カムクランプレバーが使用されることもある〔
図4(B)参照〕。
【0042】
締付具42cとして使用される偏芯カムクランプレバーは、レバーを操作することにより、カム部が両挟持締付片42b,42b同士を近接させたり離間させることができ、これにより、挟持本体部42aの内径を小さくしたり、大きくすることができる〔
図4(B)参照〕。締付具42cとして使用される偏芯カムクランプレバーについて説明する。ここで、偏芯カムクランプレバーに符号43を付して説明するが、締付具42cと偏芯カムクランプレバー43は同一概念の部材である。
【0043】
偏芯カムクランプレバー43は、締付軸部43aと、レバー43bと、カム部43cと、枢支ピン43dとを有する。レバー43bとカム部43cは一体化されている。カム部43cは二股状とし、該二股部分に締付軸部43aの軸端部分が挿通され、締付軸部43aとカム部43cとが枢支ピン43dによって枢支連結される。枢支ピン43dは、カム部43cの中心から偏芯した位置に挿通される。つまり、枢支ピン43dとカム部43cの各外端の間隔は一定ではなく、変化する構成である。レバー43bの回動操作により、カム部43cは締付軸部43aに対して回動する構造である。締付軸部43aは軸端に大径状のストッパを有している。
【0044】
そして、締付軸部43aが両挟持締付片42b,42bの貫通孔h4,h4に挿通し、ストッパによって締付軸部43aが貫通孔h4,h4から外れないようになっている。カム部43cには前記枢支ピン43dが挿通されており、カム部43cの回動角度によって、カム部43cが当接する挟持締付片42bに対する押圧力が大小に変化する。
【0045】
レバー43bの回動操作によって、両挟持締付片42b,42bが接近したり離間することができ、これによって、挟持本体部42aの内径を小さくしたり、大きくすることができ、挟持本体部42aによる軸管部41に対する締付及び締付解除ができるものである。なお、前記前支柱1における前支柱連結支持部13の締付具13cについても、偏芯カムクランプレバーを使用してもよい。
【0046】
締付具42cの締付け(ロック)及び締付解除(ロック解除)により、前記挟持本体部42aの内径を小さくしたり、大きくする構成となり、前支柱支持具42が軸管部41を摺動し、自転車の組立(走行可能)状態及び折り畳み状態で前支柱支持具42と軸管部41とが固定する。また、締付具42cとして、前記偏芯カムクランプレバーを使用した場合では、レバー操作により、挟持本体部42aの内径を小さくしたり、大きくする構成としてもかまわない。
【0047】
後支柱支持具42の連結部42dは、中央支柱3の後方筐体部32の後方側との連結を行う役目をなす部位である。連結部42dには貫通孔h5が形成されている。中央支柱3の後方筐体部32の後方側上面には、幅方向両側に連結突起36,36が後方筐体部32の上方に突出するように設けられている〔
図2(A)~(C),
図4参照〕。
【0048】
連結突起36,36には貫通孔h6が形成されている。両連結突起36,36の貫通孔h6と、後支柱支持具42の連結部42dの貫通孔h5にはボルト・ナットによる連結具42eのボルトが挿通されナットにより締付固定されると共にこの連結箇所は後連結枢支部42pとしての役目をなすものである。後連結枢支部42pは、折り畳み時には、中央支柱3と後支柱4とが相互に回動自在となり、中央支柱3と後支柱4とが略V字状に折り曲げられるときの折り曲げ中心となる。
【0049】
後支柱4と中央支柱3とは、後支柱支持具42を介して連結されており、前記後連結枢支部42pを介して後支柱4と中央支柱3とは、略「V」字状に折り曲げて屈曲させることができる〔
図4(D)参照〕。この「V」字状の折り曲げ構造は後述するアシスト自転車の折り畳み及び組立の工程の一部となる。
【0050】
中央支柱3の後方筐体部32の後方側には、受部37が設けられている〔
図2(A)~(C),
図4等参照〕。該受部37は、後支柱4の軸管部41の下端箇所を受ける部位である。本発明の電動によるアシスト自転車組立完了状態では、前記受部37は、後支柱4の軸管部41の下端箇所を受けて、中央支柱3上に後支柱4を急傾斜状に支持固定する役目をなす部位である〔
図2(A),
図4(A)参照〕。
【0051】
受部37は、中央支柱3の後方筐体部32後方側に有底円筒状の凹み部の穴形状として形成されたものである。後支柱4の軸管部41の下端が挿入するようになっている〔
図2(A),
図4(A)参照〕。さらに具体的には、穴形状とした受部37には底面37aが設けられており、該底面37aと穴開口との間に円筒内周部37bが形成されている(
図4参照)。
【0052】
そして後支柱4の軸管部41の下端が穴形状とした受部37に挿入すると、軸管部41の下端が底面37aに当接し、軸管部41の下端付近は前記円筒内周部37bによって支持される。これによって、本発明のアシスト自転車の組立完了状態では、後支柱4及びサドル5は極めて強固に支持され、運転者の乗り状態及び運転を安定させることができる。
【0053】
また、受部37の別の実施形態として、特に図示しないが、中空状の軸管部41の下端から内周に挿入する突起状の受部37とした実施形態も存在する。さらに、中央支柱3の後方筐体部32の後方側上面に環状突起を設け、後支柱4の軸管部41の下端が挿入して支持固定する構成とした実施形態も存在する。
【0054】
次に、本発明のアシスト自転車を組立状態から折り畳み状態とする工程を
図5に基づいて説明する。まず、
図5(A)は組立状態つまり走行できる状態である。この状態から、前支柱1の前支柱支持具13と中央支柱3との連結箇所において、上方側のボルト・ナットからなる連結具13eを外し、上方の連結箇所を分離、下方の連結箇所は連結具13eを装着したままとする。
【0055】
これによって、前支柱1と中央支柱3とは、前支柱支持具13の下方連結箇所となる前連結枢支部13pによって、相互に回動自在となる。また、前支柱支持具13の挟持本体部13aは、締付具13cによる締め付(ロック)解除を行い、挟持本体部13aによる軸管部11の締め付けを緩め、前支柱支持具13と軸管部11とが相互に軸長方向に摺動自在となる状態にしておく。
【0056】
前支柱1と中央支柱3とを前連結枢支部13pを介して略逆「V」字状となるように折り曲げて屈曲させる。このとき、前支柱1の軸管部11は略垂直状となるように設定すると、作業が行い易くなる〔
図5(B)参照〕。前支柱1と中央支柱3とを逆「V」字状となるように折り曲げる工程において、前支柱支持具13は、軸管部11を下方から上方に向けて摺動移動する〔
図5(C)参照〕。
【0057】
次に、後支柱4の後支柱支持具42を締付具42cによる締付(ロック)解除を行うことで、後支柱4における軸管部41と後支柱支持具42とが相互に摺動する状態となる。そして、軸管部41を軸長方向に摺動させて、軸管部41を受部37から離間(分離)し、中央支柱3に対して後支柱4の揺動が自由となる。これによって、中央支柱3と後支柱4とは、前記後連結枢支部42pを折り曲げ中心点として略「V」字形状に折り曲げて屈曲させることができ〔
図5(C)参照〕、自転車の折り畳みが完了する〔
図5(D)参照〕。
【0058】
前記前支柱1の軸管部11は、下方付近に前支柱支持具13の挟持本体部13aの下方への移動が停止させる、位置規制段部11aが形成されることもある〔
図3(B)参照〕。位置規制段部11aは、前支柱支持具13が軸管部11の下方に下がり過ぎないように規制する役目をなす部位である。位置規制段部11aによって、前支柱支持具13は、軸管部11の下方で位置を固定され自転車組立及び走行時の安定を確保することができる。
【0059】
以上に述べた本発明の電動によるアシスト自転車の構成及び折り畳み構造を概説すると、急傾斜状の前支柱1の上端にはハンドル2を取り付け、前記前支柱1の下端にはフロントフォーク12を介して小型前輪71を軸支し、斜め状の中央支柱3の上端は前記前支柱1 の中間箇所に固着し、前記中央支柱3の下端にはリアフォーク34を介して小型後輪72を軸支してなり、前記中央支柱3の中間箇所に急傾斜状を保持するように後支柱4が取り付けられ、該後支柱4の上端にはサドル5が固着され、前記後支柱4下端箇所よりの前記 中央支柱3の中間箇所には、アシスト用のアシスト電動機61が備えられた構造である。
【0060】
そして、本発明の電動によるアシスト自転車において前記アシスト電動機61にはペダル66が備えられ、該ペダル66の駆動力を、チェーン65を介して前記小型後輪72に伝達しつつ走行可能に構成され、折り畳み時には、前記中央支柱3と前記前支柱1とで逆V字状となるように折り曲げ、該中央支柱3と前記後支柱4と折り曲げてV字状とし、収納可能に構成されるものである。
【0061】
前記アシスト電動機61は、前記中央支柱3の中間箇所 内部に内蔵されつつ、該中央支柱3の外観としてはモノコック状に膨出形成されたものである。また、アシスト自転車の折り畳み時には、前記中央支柱3の上端 の前支柱支持具13との取付箇所の2つの内の1箇所を外して、前記前支柱1と前記中央支柱3を折り曲げて逆V字状にできる構造となる。
【0062】
さらに、折り畳み時には、前記中央支柱3の 中間箇所と前記後支柱4の下端箇所とを外して、該後支柱4と前記中央支柱3とを折り曲げてV字状にできる構造となる。前記前支柱1は、前記中央支柱3に前支柱支持具13を介して連結され、該前支柱支持具13は前記前支柱1を摺動自在且つ固定される構成としている。
【0063】
前記後支柱4は、揺動する後支柱支持具42にて前記中央支柱3に連結され、前記後支柱4は前記後支柱支持具42が締付及び締付解除にて摺動且つ固定され、前記後支柱4の下端は、前記中央支柱3に形成された前記後支柱4の受部37に支持固定される構造である。前記受部37の具体例として、前記中央支柱3に形成された有底の穴部とする。
【0064】
なお、本発明の電動によるアシスト自転車において、小型前輪71及び小型後輪72にはブレーキ装置が装着され、ハンドル2には、前記ブレーキ装置を操作するブレーキレバーが装着されている。前記ブレーキ装置及び前記ブレーキレバーは、図面では省略されている。
【符号の説明】
【0065】
1…前支柱、12…フロントフォーク、2…ハンドル、3…中央支柱、
34…リアフォーク、37…受部、4…後支柱、5…サドル、61…アシスト電動機、
65…チェーン、66…ペダル、71…小型前輪、72…小型後輪。