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  • 特開-開閉作業工具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124467
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】開閉作業工具
(51)【国際特許分類】
   B26B 17/00 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
B26B17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028239
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】391013634
【氏名又は名称】株式会社ツノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】角田 健二
(72)【発明者】
【氏名】野水 弘裕
(72)【発明者】
【氏名】石井 圭太
【テーマコード(参考)】
3C065
【Fターム(参考)】
3C065AA07
3C065BA21
3C065FA06
3C065GA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来にない作用効果を発揮する非常に実用的な開閉作業工具を提供することを目的とする。
【解決手段】工具本体1の基端側に握持操作部1Aを有し、先端側に前記握持操作部1Aの握持操作により開閉して切断作業をする切断作業部1Bを有する開閉作業工具であって、前記工具本体1の一側面には平坦面部2が設けられ、この平坦面部2には棒状の被切断線材50が前記切断作業部1Bで切断作業をするのに適正であるか否かを確認する適正線材表示部4が設けられたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体の基端側に握持操作部を有し、先端側に前記握持操作部の握持操作により開閉して切断作業をする切断作業部を有する開閉作業工具であって、前記工具本体の一側面には平坦面部が設けられ、この平坦面部には棒状の被切断線材が前記切断作業部で切断作業をするのに適正であるか否かを確認する適正線材表示部が設けられ、この適正線材表示部は、前記被切断線材をあてがうことで該被切断線材の径が材質に基づいて設定された径よりも大きいか否かを目視確認可能な所定幅の表示であることを特徴とする開閉作業工具。
【請求項2】
請求項1記載の開閉作業工具において、前記適正線材表示部の所定幅は、材質に基づいて設定された前記被切断線材の実物の直径であることを特徴とする開閉作業工具。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の開閉作業工具において、幅の異なる前記被切断線材に対応した複数の前記適正線材表示部が設けられていることを特徴とする開閉作業工具。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の開閉作業工具において、前記適正線材表示部には前記被切断線材の材質を表示する材質名表示が設けられていることを特徴とする開閉作業工具。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の開閉作業工具において、前記適正線材表示部には前記被切断線材の実物の直径数値表示が設けられていることを特徴とする開閉作業工具。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の開閉作業工具において、前記工具本体は、先端に第一作用部を有し基端に第一握持部を有する第一半体と、先端に第二作用部を有し基端に第二握持部を有する第二半体とを交叉枢着して構成されており、前記第一半体と前記第二半体との交差枢着部に前記平坦面部が設けられていることを特徴とする開閉作業工具。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の開閉作業工具において、前記適正線材表示部は、前記平坦部にレーザーにより刻設されていることを特徴とする開閉作業工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉作業工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、例えばピアノ線や針金などの棒状の被切断線材を切断するための工具として、特許文献1,2に開示される開閉作業工具(以下、従来例という。)を提案している。
【0003】
この従来例は、工具本体の基端側に握持操作部を有し、先端側に握持操作部の握持操作により開閉して切断作業をする切断作業部を有するものであり、具体的には、工具本体は、先端に第一作用部を有し基端に第一握持部を有する第一半体と、先端に第二作用部を有し基端に第二握持部を有する第二半体とを交叉枢着して構成されたものであり、第一作用部及び第二作用部の対向内縁夫々には刃が設けられ、握持操作部(第一握持部及び第二握持部)の握持操作により切断作業部(第一作用部及び第二作用部)で被切断線材を挟んで切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5289513号公報
【特許文献2】特許第5972934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例は、構造や大きさが異なる種々のタイプが用意され、そのタイプごとに切断対象となる被切断線材(材質に基づいた適正な径を有し、刃が破損せずに切断可能な被切断線材)が設定されており、例えば販売時の台紙には適正の被切断線材が表記されている。
【0006】
しかしながら、従来例を使用する場合、前述した台紙を持ち歩いてその都度確認しながら作業を行うユーザーは少なく、誤って適正外の被切断線材を切断しようとして刃を破損させてしまうケースが多いという問題点がある。
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みなされたもので、従来にない作用効果を発揮する非常に実用的な開閉作業工具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
工具本体1の基端側に握持操作部1Aを有し、先端側に前記握持操作部1Aの握持操作により開閉して切断作業をする切断作業部1Bを有する開閉作業工具であって、前記工具本体1の一側面には平坦面部2が設けられ、この平坦面部2には棒状の被切断線材50が前記切断作業部1Bで切断作業をするのに適正であるか否かを確認する適正線材表示部4が設けられ、この適正線材表示部4は、前記被切断線材50をあてがうことで該被切断線材50の径が材質に基づいて設定された径よりも大きいか否かを目視確認可能な所定幅の表示であることを特徴とする開閉作業工具に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の開閉作業工具において、前記適正線材表示部4の所定幅は、材質に基づいて設定された前記被切断線材50の実物の直径であることを特徴とする開閉作業工具に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の開閉作業工具において、幅の異なる前記被切断線材50に対応した複数の前記適正線材表示部4が設けられていることを特徴とする開閉作業工具に係るものである。
【0012】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の開閉作業工具において、前記適正線材表示部4には前記被切断線材50の材質を表示する材質名表示4aが設けられていることを特徴とする開閉作業工具に係るものである。
【0013】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の開閉作業工具において、前記適正線材表示部4には前記被切断線材50の実物の直径数値表示4bが設けられていることを特徴とする開閉作業工具に係るものである。
【0014】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の開閉作業工具において、前記工具本体1は、先端に第一作用部1a’を有し基端に第一握持部1b’を有する第一半体1’と、先端に第二作用部1a”を有し基端に第二握持部1b”を有する第二半体1”とを交叉枢着して構成されており、前記第一半体1’と前記第二半体1”との交差枢着部1dに前記平坦面部2が設けられていることを特徴とする開閉作業工具に係るものである。
【0015】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の開閉作業工具において、前記適正線材表示部4は、前記平坦部2にレーザーにより刻設されていることを特徴とする開閉作業工具に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、被切断線材が切断作業をするのに適正であるか否かを簡易且つ確実に確認することができ、ひいては切断作業部の破損を可及的に防止することができるなど、従来にない作用効果を発揮する非常に実用的な開閉作業工具となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例を示す正面図である。
図2】本実施例の要部の斜視図である。
図3】本実施例の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
本発明を用いて被切断線材50を切断する場合、工具本体1に設けられた適正線材表示部4に被切断線材50をあてがうと、この被切断線材50の径が材質に基づいて設定された径よりも大きいか否かを目視確認できる。
【0020】
従って、被切断線材50が切断作業をするのに適正であるか否かを簡易且つ確実に確認することができ、ひいては切断作業部1Bの破損を可及的に防止することができる。
【0021】
また、適正線材表示部4は、工具本体1の一側面に設けられた平坦面部2に設けられている為、被切断線材50を良好にあてがうことができ、よって、被切断線材50が適正か否かを適確に目視確認可能となる。
【実施例0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、工具本体1の基端側に握持操作部1Aを有し、先端側に握持操作部1Aの握持操作により開閉して切断作業をする切断作業部1Bを有する開閉作業工具であって、工具本体1は、先端に第一作用部1a’を有し基端に第一握持部1b’を有する第一半体1’と、先端に第二作用部1a”を有し基端に第二握持部1b”を有する第二半体1”とを交叉枢着して構成されたものである。
【0024】
更に具体的には、図1に図示したように適宜な金属製の一対の長尺板状半体(第一半体1’及び第二半体1”)を設け、この第一半体1’及び第二半体1”夫々の先端寄りの部位を軸部材1bを介して枢着し、この第一半体1’と第二半体1”との交差枢着部1dよりも基端側の部位夫々に合成樹脂製のグリップ3を被覆した握持部(第一握持部1b’及び第二握持部1b”)を設け、一方、交差枢着部1dよりも先端側の部位に作用部(第一作用部1a’及び第二作用部1a”)を設け、本実施例では、第一作用部1a’及び第二作用部1a”の対向内縁夫々には刃が設けられ、握持操作部1A(第一握持部1b’及び第二握持部1b”)の握持操作により切断作業部1B(第一作用部1a’及び第二作用部1a”)で被切断線材50を挟んで切断するように構成されている。
【0025】
尚、本実施例は、第一作用部1a’及び第二作用部1a”夫々の対向部位に刃を設けたニッパーとして構成したが、刃の他に平坦状の挟持面を並設したペンチとして構成しても良いなど、本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用するものである。
【0026】
また、本実施例は、工具本体1の一側面にして第一半体1’と前記第二半体1”との交差枢着部1d(軸部材1bの周辺部位まで含む領域部)に所定面積を有する平坦面部2が設けられ、この平坦面部2には棒状の被切断線材50が切断作業部1Bで切断作業をするのに適正であるか否かを確認する適正線材表示部4が設けられている。
【0027】
尚、本実施例で言う「切断作業をするのに適正」とは、被切断線材50を切断可能か、切断可能だとしても刃が破損するから不適当かなどを指す意味である。
【0028】
この適正線材表示部4は、図1に図示したように被切断線材50の輪郭をなす線図形を設けて構成されており、被切断線材50をあてがうことで該被切断線材50の径が材質に基づいて設定された径よりも大きいか否かを目視確認可能な所定幅の表示であり、この適正線材表示部4の所定幅は、材質に基づいて設定された被切断線材50の実物の直径(実寸の上限直径)である。
【0029】
本実施例では、幅の異なる被切断線材50に対応した複数(3つ)の適正線材表示部4が設けられており、また、この適正線材表示部4夫々の近傍位置には、被切断線材50の材質を表示する材質名表示4a及び被切断線材50の径を表示する直径数値表示4bが設けられている。
【0030】
具体的には、図1に図示したように最小幅の適正線材表示部4の近傍位置には、材質名表示4aとしての「ピアノ線」及び直径数値表示4bとしての「1.2」(単位はmm)が設けられ、中間幅の適正線材表示部4の近傍位置には、材質名表示4aとしての「ステンレス線」及び直径数値表示4bとしての「1.6」(単位はmm)が設けられ、最大幅の適正線材表示部4の近傍位置には、材質名表示4aとしての「針金」及び直径数値表示4bとしての「3.2」(単位はmm)が設けられている。尚、この他にも切断対象となる被切断線材50の材質としては、「銅線」や「番線」などがある。
【0031】
また、本実施例では、前述した適正線材表示部4,材質名表示4a及び直径数値表示4bは、前述した平坦面部2の表面にレーザー光線を照射するレーザーマーク加工により刻設されている。尚、適正線材表示部4は、凹溝状となるように凹設しても良いし、被切断線材50の特徴をとらえた色やデザインを施しても良い。
【0032】
本実施例は上述のように構成したから、被切断線材50を切断する場合、工具本体1に設けられた適正線材表示部4に被切断線材50をあてがうと、この被切断線材50の径が材質に基づいて設定された径よりも大きいか否かを目視確認できる。
【0033】
よって、本実施例によれば、被切断線材50が切断作業をするのに適正であるか否かを簡易且つ確実に確認することができ、ひいては切断作業部1Bの破損を可及的に防止することができる。
【0034】
また、本実施例は、適正線材表示部4は、工具本体1の一側面に設けられた平坦面部2に設けられている為、被切断線材50を良好にあてがうことができ、よって、被切断線材50が適正か否かを適確に目視確認可能となる。
【0035】
また、本実施例は、適正線材表示部4の所定幅は、材質に基づいて設定された被切断線材50の実物の直径であるから、前述した作用効果を確実に奏することになる。
【0036】
また、本実施例は、適正線材表示部4の所定幅は、材質に基づいて設定された被切断線材50の実物の上限直径であるから、この点においても前述した作用効果を確実に奏することになる。
【0037】
また、本実施例は、幅の異なる前記被切断線材50に対応した複数の適正線材表示部4が設けられているから、より一層使い易いものとなる。
【0038】
また、本実施例は、適正線材表示部4には材質名表示4a及び被切断線材50の実物の直径数値表示4bが設けられているから、この点においても前述した作用効果を確実に奏することになる。
【0039】
また、本実施例は、適正線材表示部4は、平坦部2にレーザーにより刻設されているから、簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れることになる。
【0040】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0041】
1 工具本体
1A 握持操作部
1B 切断作業部
1’ 第一半体
1” 第二半体
1a’ 第一作用部
1b’ 第一握持部
1” 第二半体
1a” 第二作用部
1b” 第二握持部
1d 交差枢着部
2 平坦面部
4 適正線材表示部
4a 材質名表示
4b 直径数値表示
50 被切断線材
図1
図2
図3