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特開2023-124472目地プレートの支持構造及び目地プレート支持部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124472
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】目地プレートの支持構造及び目地プレート支持部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028251
(22)【出願日】2022-02-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DH31
2E001FA18
2E001GA13
2E001GA42
2E001LA18
2E001PA03
2E001PA05
2E001PA11
2E001PA12
(57)【要約】

【課題】地震時に目地プレートがせり上がった際に、躯体の床面を傷つけることなく支持できる目地プレートの支持構造及び目地プレート支持部材を提供すること。
【解決手段】一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第2の目地プレート支持部の前記目地部の反対側の端部に形成された乗り上げ傾斜面と、前記乗り上げ傾斜面に連続するように形成され、前記目地プレートを支持可能な目地プレート受け部とで構成され、前記目地プレート受け部は左右方向に所定の長さを有し、かつ、少なくともその一部が前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、
前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第2の目地プレート支持部の前記目地部の反対側の端部に形成された乗り上げ傾斜面と、前記乗り上げ傾斜面に連続するように形成され、前記目地プレートを支持可能な目地プレート受け部とで構成され、
前記目地プレート受け部は、少なくともその一部が前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されている目地プレートの支持構造。
【請求項2】
前記目地プレート受け部は、前記乗り上げ傾斜面に連続する水平支持部と、前記水平支持部に傾斜面を介して連続し、前記水平支持部よりも上方に位置する上方支持部とで構成され、少なくとも前記上方支持部が前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の目地プレートの支持構造。
【請求項3】
前記第2の目地プレート支持部の少なくとも一部、前記乗り上げ傾斜面及び前記目地プレート受け部の少なくとも一部は、目地プレート支持部材によって覆われていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の目地プレートの支持構造。
【請求項4】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、
前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部及び前記第2の目地プレート支持部の前記目地部の反対側の端部にそれぞれ形成された乗り上げ傾斜面と、前記乗り上げ傾斜面にそれぞれ連続するように形成され、前記目地プレートを支持可能な目地プレート受け部とで構成され、
前記目地プレート受け部は、少なくともその一部が前記一方の躯体の床面及び他方の躯体の床面よりも上方に形成されている目地プレートの支持構造。
【請求項5】
前記目地プレート受け部は、前記乗り上げ傾斜面に連続する水平支持部と、前記水平支持部に傾斜面を介して連続し、前記水平支持部よりも上方に位置する上方支持部とで構成され、少なくとも前記上方支持部が前記一方の躯体の床面及び前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の目地プレートの支持構造。
【請求項6】
前記第1の目地プレート支持部の少なくとも一部、前記第2の目地プレート支持部の少なくとも一部、前記乗り上げ傾斜面及び前記目地プレート受け部の少なくとも一部は、目地プレート支持部材によって覆われていることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載の目地プレートの支持構造。
【請求項7】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持し、地震時には目地プレートの端部が乗り上げる乗り上げ傾斜面及び乗り上げ傾斜面に連続するように形成された目地プレート受け部を有する目地プレート支持部に設けられる目地プレート支持部材であって、
前記目地プレート支持部の少なくとも一部の上面を覆うベース部と、前記乗り上げ傾斜面の上面を覆う傾斜部と、少なくとも前記目地プレート受け部の一部の上面を覆う受け部とで構成され、前記受け部は、前記目地プレート支持部が形成された躯体の床面よりも上方に位置するように形成されている目地プレート支持部材。
【請求項8】
前記受け部は、前記傾斜部に連続する水平部と、前記水平部に傾斜面を介して連続し、前記水平部よりも上方に位置するピローとで構成され、少なくとも前記ピローが前記一方の躯体の床面及び前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項7の目地プレート支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は躯体の間の目地部を塞ぐ床用の目地プレートを支持する目地プレートの支持構造及び目地プレート支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の躯体と他方の躯体の床面間の目地部を塞ぐ床用目地装置を支持する目地プレートの支持構造としては、例えば「目地部を介して設けられた左右の躯体の一方の躯体に形成された目地プレート支持凹部と、他方の躯体に形成された目地プレートスライド支持凹部と、一端部が前記目地プレート支持凹部に支持され、他端部が前記目地プレートスライド支持凹部にスライド移動可能に支持される構造又は1対の目地プレートスライド支持凹部を用い、中央維持装置によって目地プレートを目地部の中央に位置させるもの」が知られている(特許文献1)。
【0003】
このような床用目地装置では、地震によって目地部が狭くなり、目地プレートがせり上がった場合に、目地プレートの底面が躯体の床面に擦れ、躯体の床面に擦り傷をつけたり、破損させるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6051268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、地震時に目地プレートがせり上がった際に、躯体の床面を傷つけることなく支持できる目地プレートの支持構造及び目地プレート支持部材を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の目地プレートの支持構造は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第2の目地プレート支持部の前記目地部の反対側の端部に形成された乗り上げ傾斜面と、前記乗り上げ傾斜面に連続するように形成され、前記目地プレートを支持可能な目地プレート受け部とで構成され、前記目地プレート受け部は、少なくともその一部が前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の目地プレートの支持構造の前記目地プレート受け部は、前記乗り上げ傾斜面に連続する水平支持部と、前記水平支持部に傾斜面を介して連続し、前記水平支持部よりも上方に位置する上方支持部とで構成され、少なくとも前記上方支持部が前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の目地プレートの支持構造の前記第2の目地プレート支持部の少なくとも一部、前記乗り上げ傾斜面及び前記目地プレート受け部の少なくとも一部は、目地プレート支持部材によって覆われていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の目地プレートの支持構造は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部及び前記第2の目地プレート支持部の前記目地部の反対側の端部にそれぞれ形成された乗り上げ傾斜面と、前記乗り上げ傾斜面にそれぞれ連続するように形成され、前記目地プレートを支持可能な目地プレート受け部とで構成され、前記目地プレート受け部は、少なくともその一部が前記一方の躯体の床面及び他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の目地プレートの支持構造の前記目地プレート受け部は、前記乗り上げ傾斜面に連続する水平支持部と、前記水平支持部に傾斜面を介して連続し、前記水平支持部よりも上方に位置する上方支持部とで構成され、少なくとも前記上方支持部が前記一方の躯体の床面及び前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の目地プレートの支持構造の前記第1の目地プレート支持部の少なくとも一部、前記第2の目地プレート支持部の少なくとも一部、前記乗り上げ傾斜面及び前記目地プレート受け部の少なくとも一部は、目地プレート支持部材によって覆われていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の目地プレート支持部材は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持し、地震時には目地プレートの端部が乗り上げる乗り上げ傾斜面及び乗り上げ傾斜面に連続するように形成された目地プレート受け部を有する目地プレート支持部に設けられる目地プレート支持部材であって、前記目地プレート支持部の少なくとも一部の上面を覆うベース部と、前記乗り上げ傾斜面の上面を覆う傾斜部と、少なくとも前記目地プレート受け部の一部の上面を覆う受け部とで構成され、前記受け部は、前記目地プレート支持部が形成された躯体の床面よりも上方に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の目地プレート支持部材の前記受け部は、前記傾斜部に連続する水平部と、前記水平部に傾斜面を介して連続し、前記水平部よりも上方に位置するピローとで構成され、少なくとも前記ピローが前記一方の躯体の床面及び前記他方の躯体の床面よりも上方に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1、請求項4及び請求項7に記載の各発明においては、地震時には目地プレートの端部が乗り上げる乗り上げ傾斜面及び乗り上げ傾斜面に連続するように形成された目地プレート受け部を有する、又はこれらを覆うベース部、傾斜部及び受け部を有するので、地震時に目地プレートによって躯体の床面が傷つく又は破損することを確実に防止することができる。
(2)請求項2、請求項5及び請求項8に記載の各発明においても、前記(1)と同様の作用効果を得られるとともに、上方支持部又はピローにより、より確実に地震時に目地プレートによって躯体の床面が傷つく又は破損することを確実に防止することができる。
(3)請求項3及び請求項6に記載の各発明においても、前記(1)~(2)と同様の作用効果を得られるとともに、目地プレート支持部材を設けることにより、躯体の床面だけでなく目地プレート支持部の傷や破損も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1乃至図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至図14は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態の目地プレート支持構造の平面図。
図2図1の2-2線に沿う断面図。
図3】第1の実施形態の目地プレート支持部材の説明図。
図4】目地プレートを配置した状態の平面図。
図5図4の5-5線に沿う断面図。
図6】地震で目地部が狭くなった状態の説明図。
図7】地震で目地部が広くなった状態の説明図。
図8】第2の実施形態の目地プレート支持構造の平面図。
図9図8の9-9線に沿う断面図。
図10】第2の実施形態の目地プレート支持部材の説明図。
図11】目地プレートを配置した状態の平面図。
図12図11の12-12線に沿う断面図。
図13】地震で目地部が狭くなった状態の説明図。
図14】地震で目地部が広くなった状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1乃至図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は一方の躯体3と他方の躯体4と目地部2を塞ぐ床用の目地プレート5を支持する目地プレート支持構造である。
なお、左右方向とは図1における左右方向であり、前後方向とは図1における上(後)下(前)方向をいい、上下方向とは図2における上下方向をいう。また正面視は、図2を基準とする。
【0019】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0020】
この目地プレート支持構造1は、例えば図1及び図2に示すように、前記一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部6と、前記他方の躯体4に設けられた第2の目地プレート支持部7と、前記第1の目地プレート支持部6及び前記第2の目地プレート支持部7の前記目地部2の反対側の端部にそれぞれ形成された乗り上げ傾斜面8と、前記乗り上げ傾斜面8にそれぞれ連続するように形成され、目地プレート5を支持可能な目地プレート受け部9とで構成されている。
【0021】
一方の躯体3の床面には、凹所状の第1の目地プレート支持部6が設けられており、他方の躯体4の床面にも前記第1の目地プレート支持部6と同様の構成(略左右対称となるような構成)の第2の目地プレート支持部7が形成されている。この第1の目地プレート支持部6及び第2の目地プレート支持部7の目地部2と反対側の端部には、前述のように目地部2が狭くなった際に目地プレート5が乗り上げる乗り上げ傾斜面8と、この乗り上げ傾斜面8に連続し、目地プレート5が乗り上げた際に、目地プレート5を略水平状態で支持できる目地プレート受け部9がそれぞれ形成されている。
【0022】
この目地プレート受け部9は、本実施形態では、前記乗り上げ傾斜面8に連続する水平支持部10と、前記水平支持部10に傾斜面11を介して連続し、前記水平支持部10よりも上方に位置する上方支持部12とで構成されており、少なくとも前記上方支持部12が前記一方の躯体3の床面3aや他方の躯体4の床面4bよりも上方(高い位置)に形成されている。
【0023】
また、本実施形態では、前記第1の目地プレート支持部6の一部、前記第2の目地プレート支持部7の一部、前記乗り上げ傾斜面8及び前記目地プレート受け部9は、金属製の目地プレート支持部材13によって覆われている。
【0024】
目地プレート支持部材13は、金属板で形成されており、図3に示すように、前記第1の目地プレート支持部6の少なくとも一部又は前記第2の目地プレート支持部7の少なくとも一部を覆うベース部14と、前記乗り上げ傾斜面8の上面を覆う傾斜部15と、少なくとも前記目地プレート受け部9の一部の上面を覆う受け部16とで構成されている。
【0025】
前記受け部16は、前記目地プレート支持部6、7が形成された左右の躯体3、4の床面3a、4aよりも上方に位置するように形成されている。
【0026】
また、本実施形態では、前記上方支持部12の上面を覆うことができるように、前記受け部16は、前記傾斜部15に連続する水平部17と、前記水平部17に傾斜面17aを介して連続し、前記水平部よりも上方に位置し、前記上方支持部12をカバーするピロー18とで構成されている。なお、本実施形態では、上方支持部12から床面3a、4aまでも覆えるように、ピロー18から連続するように下方へ延在する側壁部18aを有している。
【0027】
この目地プレート支持部材13は、前後方向の寸法は目地プレート支持部6、7と略同一になるよう形成される又は複数この目地プレート支持部材13を前後方向に隙間なく配置することが望ましい。このように配置することにより、目地プレート支持部6、7、乗り上げ傾斜面8及び目地プレート受け部9を隙間なくカバーすることができ、これらの部位の破損等を防止することができる。
【0028】
このような目地プレート受け部9を形成することにより、一方の躯体3や他方の躯体4の床面3b、4bに人工芝等が敷設されていた場合であっても、せり上がった目地プレート5は目地プレート受け部9の上を左右方向にスライド移動するため、人工芝や化粧板等の躯体の床面3b、4bを傷つけることがない。
【0029】
また、前述したような目地プレート支持部材13をさらに設けることにより、目地プレート支持部6、7や乗り上げ傾斜面8、目地プレート受け部9を傷つけてしまったり、破損等が生じることを防止することができる。
【0030】
目地プレート5は、公知の目地プレート5を使用することができ、本実施形態では、浅皿状の目地プレート本体19と、前記目地プレート本体19に充填されたセメントやモルタル等の充填部材20と、前記充填部材20の上部を覆うように設けられた化粧部材21と、目地プレート本体19の両端部にヒンジ部材22を介して設けられたカバープレート23とで構成されている。
【0031】
この目地プレート5を用いて目地部2を塞ぐ場合には、図4及び図5に示すように、一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部6で目地プレート5の一端部を支持するとともに、他方の躯体4に設けられた第2の目地プレート支持部7で目地プレート5の他端部を支持し、目地プレート5の左右方向の略中央部を目地部2の左右方向の略中央部に位置させる中央維持装置24を配設する。
【0032】
中央維持装置24としては、本実施形態ではリンク機構を用いているが、ラックピニオンを用いたもの等、公知の中央維持装置24を用いることができる。
【0033】
目地プレート5を配置した状態で、地震で左右の躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、図6に示すように、目地プレート5の両端部が第1の目地プレート支持部6及び第2の目地プレート支持部7の乗り上げ傾斜面8により、目地プレート5が略水平状態を保ったまま略垂直に上方にせり上がり、目地プレート受け部9上を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。このとき、目地プレート5は左右の躯体3、4の床面3a、4aよりも上方に設けられた目地プレート受け部9(本実施形態では目地プレート受け部9の上方支持部12をカバーするピロー18)の上を左右方向にスライド移動するため、床面3a、4aを目地プレート5の底面で傷つけることを確実に防止できる。
【0034】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、図7に示すように、目地プレート5の両端部が第1の目地プレート支持部6及び第2の目地プレート支持部7を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0035】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8乃至図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
図8乃至図14に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方の躯体3に乗り上げ傾斜面を有さない第1の目地プレート支持部6Aするとともに、上方支持部12を有さない略平坦な目地プレート受け部9を有する第2の目地プレート支持部7Aを形成し、この第2の目地プレート支持部7Aを、ピロー18を有さず傾斜部15に連続する水平部17のみで形成される受け部16を有する目地プレート支持部材13Aを用いてカバーし、この目地プレート支持部6Aで一端部側にカバープレートを有さない目地プレート5Aの一端部を支持し、地震時には目地プレート5Aの他端部のみが上方にせり上がるようにした点で、このような目地プレート支持構造1Aや目地プレート支持部材13Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0037】
本実施形態の第1の目地プレート支持部6Aは、図8及び図9に示すように、一方の躯体3の目地部側の壁面付近に形成され、目地プレート5Aの一端部付近を支持する凹所状の部位で、目地プレート5Aを取り付けるための係止杭25が前後方向に複数個固定されている。なお、一方の躯体3の壁面にアングル状の金具を固定し、第1の目地プレート支持部6Aとしてもよい。
【0038】
本実施形態の目地プレート支持部材13Aは、図10に示すように、前記第1の目地プレート支持部6の少なくとも一部又は前記第2の目地プレート支持部7の少なくとも一部を覆うベース部14と、前記乗り上げ傾斜面8の上面を覆う傾斜部15と、少なくとも前記目地プレート受け部9の一部の上面を覆う水平部17のみからなる受け部16Aとで構成されている。前記受け部16Aは、前記目地プレート支持部6、7が形成された左右の躯体3、4の床面3a、4aよりも上方に位置するように形成されている。
【0039】
目地プレート5Aは、浅皿状の目地プレート本体19と、目地プレート本体19の一端部側の両側部に儲けられ、前記係止杭25が挿入される杭ケース26と、目地プレート本体19の底面に設けられたせり上げ片27と、前記目地プレート本体19に充填されたセメントやモルタル等の充填部材20と、前記充填部材20の上部を覆うように設けられた化粧部材21と、目地プレート本体19の両端部にヒンジ部材22を介して設けられたカバープレート23とで構成されている。
【0040】
この目地プレート5Aを配置する場合には、図11及び図12に示すように、係止杭25を杭ケース26に挿入し、目地プレート5Aの一端部付近を第1の目地プレート支持部6Aで支持するとともに、他端部を第2の目地プレート支持部7で支持する。
【0041】
ところで、本実施形態では目地プレート5Aの一端部に係止杭25を挿入して係止しているが、アングル状の金具を固定して第1の目地プレート支持部6Aとし、この目地プレート支持部6Aを貫通し、上下方向に摺動可能なピン等の取付部材を目地プレート5Aの一端部に固定してもよい。
【0042】
目地プレート5Aを配置した状態で、地震で左右の躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、図13に示すように、目地プレート5Aの他端部が第2の目地プレート支持部7Aの乗り上げ傾斜面8及びせり上げ片27により上方にせり上がり、目地プレート受け部9上を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。このとき、目地プレート5は左右の躯体3、4の床面3a、4aよりも上方に設けられた目地プレート受け部9(本実施形態では目地プレート受け部9の水平支持部10をカバーする水平部17)の上を左右方向にスライド移動するため、床面3a、4aを目地プレート5の底面で傷つけることを確実に防止できる。
【0043】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、図14に示すように、目地プレート5の両端部が第1の目地プレート支持部6及び第2の目地プレート支持部7を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0044】
なお、本発明の第1の実施形態の第1及び第2の目地プレート支持部を第2の実施形態の第2の目地プレート支持部のような形状に形成してもよいし、第2の実施形態の第2の目地プレート支持部を第1の実施形態の第1及び第2の目地プレート支持部のような形状としてもよい。また、目地プレート支持部材も目地プレート支持部の形状に対応したものを用いることができる。
【0045】
また、第1及び第2の目地プレート支持部に目地プレート支持部材を用いない目地プレートの支持構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は目地プレートを支持する構造物を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0047】
1、1A:目地プレートの支持構造、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5、5A:目地プレート、 6、6A:第1の目地プレート支持部、
7:第2の目地プレート支持部、 8:乗り上げ傾斜面、
9:目地プレート受け部、 10:水平支持部、
11:傾斜面、 12:上方支持部、
13、13A:目地プレート支持部材、14:ベース部、
15:傾斜部、 16、16A:受け部、
17:水平部、 18:ピロー、
19:目地プレート本体、 20:充填部材、
21:化粧部材、 22:ヒンジ部材、
23:カバープレート、 24:中央維持装置、
25:係止杭、 26:杭ケース、
27:せり上げ片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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