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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124474
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20230830BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20230830BHJP
   B65D 53/08 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B65D51/22 110
B65D47/08 130
B65D53/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028255
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA03
3E084BA09
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC03
3E084EA04
3E084EC03
3E084FA03
3E084FC07
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB06
3E084GB08
3E084GB12
3E084GB17
3E084KB01
3E084LA18
3E084LA24
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】注出口を閉塞するシール蓋を容易に剥離できるヒンジキャップを提供する。
【解決手段】容器体100の口頸部102に装着する装着筒4の上端に頂壁10を付設し、この頂壁10から注出部20を立設したキャップ本体2と、前記頂壁10と向かい合う天板32の周端側から垂下する蓋周壁40の一端を、ヒンジ8を介して前記装着筒4の上端側に連結させた上蓋30と、前記注出部20の上端に開口する注出口Aを密閉するシール蓋50とを具備する。前記天板32には、前記頂壁10のうちで前記注出部20の立設箇所eの上側に位置する連通口38を開口する。前記シール蓋50の外側部分52は、前記天板32の表面に設定された貼付領域Pに剥離不能に接着され、シール蓋の内側部分54は、前記注出部20の上端面22に密着されているとともに、上蓋30の開蓋操作により当該上端面22から剥離可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(100)の口頸部(102)に装着する装着筒(4)の上端に頂壁(10)を付設し、かつこの頂壁(10)から注出部(20)を立設したキャップ本体(2)と、
前記頂壁(10)と向かい合う天板(32)の周端側から垂下する蓋周壁(40)の一端を、ヒンジ(8)を介して前記装着筒(4)の上端側に連結させた上蓋(30)と、
前記注出部(20)の上端に開口する注出口(A)を密閉するシール蓋(50)と、
を具備するヒンジキャップにおいて、
前記天板(32)には、前記頂壁(10)のうちで前記注出部(20)の立設箇所(e)の上側に位置する連通口(38)が開口されており、
上方から見て、前記シール蓋(50)の外側部分(52)は、前記天板(32)の表面に設定された貼付領域(P)に剥離不能に接着されており、かつ、前記シール蓋の内側部分(54)は、前記注出部(20)の上端面(22)に密着されているとともに、前記上蓋(30)の開蓋操作により当該上端面(22)から剥離可能に形成されていることを特徴とする、ヒンジキャップ。
【請求項2】
前記貼付領域(P)は、前記天板(32)の上面に前記連通口(38)を囲む周状に設定された領域であるとともに、
前記シール蓋(50)は、一枚のシート材として形成されており、
前記注出部(20)の上端面(22)は、側方から見て前記連通口(38)の高さ付近に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記天板(32)には、前記連通口(38)を囲む周状底面(35)を有する凹陥部(34)が形成されており、
前記シール蓋(50)は前記凹陥部(34)内に収納されており、
前記周状底面(35)を前記貼付領域(P)として前記シール蓋(50)の外側部分(52)に接着させたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記連通口(38)の口縁部から、前記注出部(20)の外面へ嵌合する内筒(48)が垂設されており、これら内筒(48)と注出部(20)との間にシール手段(S)が形成されたことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
前記シール蓋(50)の外側部分(52)が前記天板(32)の貼付領域(P)へ、また前記シール蓋の内側部分(54)が注出部(20)の上端面(22)へそれぞれ溶着されており、
かつ前記天板(32)の貼付領域(P)の溶着部分面積を、前記注出部(20)の上端面(22)の溶着面積より大きくした請求項1から請求項4のいずれかに記載のヒンジキャップ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップ、具体的には容器体の口頸部へ装着され、内容物の注出に使用されるヒンジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のヒンジキャップとして、口頸部の上面を覆う天板に注出口を開口したキャップ本体と、このキャップ本体の一端にヒンジを介して連結した上蓋と、前記注出口を密閉するシール用フィルム(シール蓋)からなるものが知られていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4580049号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のヒンジキャップでは、使用する前に注出口からシール蓋を剥がす作業が必要であり、面倒であった。
また剥がしたシール蓋がゴミとして散らかってしまい、間違って意図しない場所に混入させてしまう可能性があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、注出口を閉塞するシール蓋を容易に剥離できるヒンジキャップを提供することである。
本発明の第2の目的は、剥離されたシール蓋がゴミとなることを回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体100の口頸部102に装着する装着筒4の上端に頂壁10を付設し、かつこの頂壁10から注出部20を立設したキャップ本体2と、
前記頂壁10と向かい合う天板32の周端側から垂下する蓋周壁40の一端を、ヒンジ8を介して前記装着筒4の上端側に連結させた上蓋30と、
前記注出部20の上端に開口する注出口Aを密閉するシール蓋50と、
を具備するヒンジキャップにおいて、
前記天板32には、前記頂壁10のうちで前記注出部20の立設箇所eの上側に位置する連通口38が開口されており、
上方から見て、前記シール蓋50の外側部分52は、前記天板32の表面に設定された貼付領域Pに剥離不能に接着されており、かつ、前記シール蓋の内側部分54は、前記注出部20の上端面22に密着されているとともに、前記上蓋30の開蓋操作により当該上端面22から剥離可能に形成されている。
【0007】
本手段では、図1(A)に示す如く、頂壁10から注出部20を立設するキャップ本体2に、ヒンジ8を介して上蓋30を連結するとともに、前記注出部20の上端に開口する注出口Aをシール蓋50で密閉している。
前記天板32には、少なくとも前記頂壁10から注出部20を立設した箇所(注出部立設箇所e)の上側に位置させて、連通口38が開口されている。
前記シール蓋50のうちの上方から見た外側部分52は、前記天板32の表面の適所(貼付領域P)に剥離不能に接着されている。また、前記シール蓋のうちの上方から見た内側部分54は、前記注出部20の上端面22に密着されているとともに、前記上蓋30の開蓋操作により当該上端面22から剥離可能に形成されている。
この構造によれば、上蓋30の開蓋操作により前記注出部20からシール蓋50が除去されるので使い勝手がよい。
またシール蓋50は前記開蓋操作の後も上蓋30に付着した状態のままであるからゴミにならない。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記貼付領域Pは、前記天板32の上面に前記連通口38を囲む周状に設定された領域であるとともに、
前記シール蓋50は、一枚のシート材として形成されており、
前記注出部20の上端面22は、側方から見て前記連通口38の高さ付近に配置されている。
【0009】
本手段では、図1(A)に示す如く、前記注出部20の上端面22は、側方から見て前記連通口38の高さ付近に配置されている。
この構造によれば、前記シール蓋50を前記注出部20の上端面22及び天板32の貼付領域Pの双方に亘って、ほぼ一動作で貼付することができ、貼付作業が容易である。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記天板32には、前記連通口38を囲む周状底面35を有する凹陥部34が形成されており、
前記シール蓋50は前記凹陥部34内に収納されており、
前記周状底面35を前記貼付領域Pとして前記シール蓋50の外側部分52に接着させている。
【0011】
本手段では、図1(B)に示す如く、シール蓋50を前記凹陥部34内に収納させている。
この構造によれば、シール蓋50を他物との接触から保護することができる。
また、前記凹陥部34の周状底面35を前記シール蓋50の外側部分52に接着させている。
これにより、前記上蓋30に対してシール蓋50をより確実に接着することができる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記連通口38の口縁部から、前記注出部20の外面へ嵌合する内筒48が垂設されており、これら内筒48と注出部20との間にシール手段Sが形成されている。
【0013】
本手段では、図1に示す如く、前記連通口38の口縁部から、前記注出部20の外面へ嵌合する内筒48が垂設されており、これら内筒48と注出部20との間にシール手段Sが形成された。
この構造によれば、シール性能が向上する。
【0014】
第5の手段は、第1の手段から第4の手段のいずれかを有し、かつ前記シール蓋50の外側部分52が前記天板32の貼付領域Pへ、また前記シール蓋の内側部分54が注出部20の上端面22へそれぞれ溶着されており、
かつ前記天板32の貼付領域Pの溶着部分面積を、前記注出部20の上端面22の溶着面積より大きくした。
【0015】
本手段では、前記シール蓋50の外側部分52が前記天板32の貼付領域Pへ、また前記シール蓋の内側部分54が注出部20の上端面22へそれぞれ溶着されているとともに、前記天板32の貼付領域Pの溶着部分面積を、前記注出部20の上端面22の溶着面積より大きくしている。
この構造によれば、貼付領域Pへの外側部分52の接着力が、前記注出部20の上端面22への内側部分54の接着力より大である構成を簡易にかつ的確に設計することができ、開蓋操作時の注出部20からのシール蓋の剥離を確実に実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、注出口を閉塞するシール蓋を容易に剥離することができる。
また本発明によれば、剥離されたシール蓋がゴミとして散らかることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るヒンジキャップの断面図であり、同図(A)は当該ヒンジキャップの全体図、同図(B)はヒンジキャップの要部の拡大図である。
図2図1に示すヒンジキャップの開蓋操作の説明図である。
図3図1に示すヒンジキャップの製造段階を示す図であり、同図(A)は、当該キャップの成形段階を、同図(B)は、成形されたヒンジキャップにシール蓋を装着する前の段階を、同図(C)は、シール蓋を装着した段階をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から図3は、本発明の実施形態に係るヒンジキャップを示している。このヒンジキャップは、キャップ本体2と上蓋30とシール蓋50とで構成されている。
【0019】
キャップ本体2は、容器体100の口頸部102に装着する装着筒4の上端に頂壁10を付設してなり、かつこの頂壁10から注出部20を立設している。
なお、図示例の注出部は筒形状である。
【0020】
前記装着筒4は、本実施形態では、前記口頸部102の外面に嵌着されている。
図示例の装着筒4は、図1(A)に示す如く、大内径の下方筒部4aと小内径の上方筒部4bとからなり、前記装着筒4(図示例では下方筒部4a)の内面に、前記口頸部102の外面に係止させるための係止突条6を周設している。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
また装着筒4の上端部はヒンジ8を介して前記上蓋30に一体的に連結されている。
このヒンジ8と反対側では、前記装着筒4の外面には、凹み9が形成されている。この凹み9の上方には後述の指掛け部42が配置されている。
【0021】
前記頂壁10は、前記口頸部102の上面を覆うように、前記装着筒4の上端の全周に連結されている。
前記頂壁10の外周には、図1(A)に示す如く外方向きで環状の係合段部12が形成されており、当該係合段部12には、後述の蓋周壁40へ係止させるための係合突条13が周設されている。
前記頂壁10の下面からは、前記口頸部102の内面に液密に嵌着させる嵌合周壁14が垂設されている。
また頂壁10の下面には、前記嵌合周壁14及び装着筒4の間に位置させて、当該装着筒4に内面に沿った環状溝16が周設されている。
また前記頂壁10の上面には、前記注出部20の下端部(根元部分)に沿って環状凹部18が形成されている。
【0022】
前記注出部20は、本実施形態において平坦な水平面である上端面22を有し、この上端面22に後述のシール蓋50を密着できるように形成されている。そして、前記上端面22の内側に、注出口Aが開口されている。
図示例では、前記注出部20は前記頂壁10の中心部に配置されているが、当該注出部20を立設させる箇所(立設箇所eという)の位置は適宜変更することができる。
また前記注出部20の上端面22は、図1(B)に示すように、側方から見て後述の連通口38の高さ付近に配置されている。
図示例では、連通口38を囲む後述の凹陥部34の周状底面35と、注出部20の上端面22とが同じ高さになるように配置されている。
本実施形態の注出部20は、図1(A)に示す如く、大径で直筒状の下側筒部20aから、上端小径のテーパ状である中間部20bを介して、小径でほぼ直筒状の上側筒部20cを起立してなる。もっとも、これらの構造は適宜変更することができる。
前記下側筒部20aの形状も任意であるが、例えば円筒状に形成することができる。
前記下側筒部20aの外面には後述の内筒48が嵌合されている。前記中間部20b及び上側筒部20cの筒径及び筒長は、これら中間部20b又は上側筒部20cが図2に示す円弧C内から大きくはみ出すことの無いように設計する。
前記円弧Cは、ヒンジ8を中心として前記内筒48の下端49が描く軌跡を表す。
こうすることで、同図に示す開蓋操作の際に前記内筒48が前記中間部20b又は上側筒部20cに当たって開蓋操作を妨げることを回避している。
また本実施形態では、前記上側筒部20cに、縮径部24が周設されており、この縮径部24の内側に形成される注出孔26の上端を、前述の注出口Aとしている。
図示例では、前記縮径部24として、前記上側筒部20cの内面から、上下方向に肉厚の環状リブを付設している。もっとも、これらの構造は適宜変更するものとし、前記縮径部24は省略することができる。
【0023】
前記注出部20の上端面22は、後述の凹陥部34の周状底面35の高さ付近に配置されている。
具体的には、本実施形態では、前記注出部20の上端面22及び凹陥部34の周状底面35の高さが同じとなるように、これら上端面22及び周状底面35を、側方から見て、図1(B)に示す仮想の水平線Lの上に配置している。
もっとも、図示はしないが、前記注出部20の上端面22を、凹陥部34の周状底面35より低く配置してもよい。
【0024】
上蓋30は、天板32の周端側から蓋周壁40を垂設させてなり、この蓋周壁40の一端を、前記ヒンジ8を介して前記キャップ本体2に連結させている。
これらキャップ本体2及び上蓋30は例えば合成樹脂材で形成することができる。
図示例では、前記キャップ本体2及び上蓋30は、薄肉のヒンジ8を介して一体に成形されており、具体的には図3(A)に示す展開状態で成形されたものである。
【0025】
前記蓋周壁40は、図1(A)に示す如く、図示例において、その内面に周設された係合受部44及び当接リブ46を有する。
前記係合受部44は、蓋周壁40の下端部に配置され、閉蓋状態において前記係合突条13とかみ合うように形成されている。
前記当接リブ46は、前記係合受部44より僅かに上側に付設され、前記頂壁10の外周部分の上に当接している。
また前記蓋周壁40の外面には、前記ヒンジ8の反対側に位置させて、指掛け部42が付設されている。
【0026】
前記天板32は、前記頂壁10と向かい合うように前記蓋周壁40に連設されており、当該天板32の一部は連通口38を形成させてなる。
図示例の天板32は、水平板部として形成されている。
前記連通口38は、前記注出口Aを外部へ連通させるための部位であって、前記注出部20の上方に配置されており、図示例では前記天板32の中心部に形成されている。
前記連通口38は、閉蓋状態においては、前記シール蓋50で覆われている。
前記連通口38の平面形状は任意であるが、好適な一例として、円形状にすることができる。
【0027】
前記天板32の上面には、前記連通口38の周囲に位置させて、前記シール蓋50を収納させるための凹陥部34が形成されている。
前記凹陥部34は、周囲の天板部分より垂直面である段差部36を介して陥没されてなり、その段差部36の内側に、前記連通口38を囲む水平な平坦面である周状底面35を有する。そして、前記周状底面35の全体を、後述のシール蓋50の外周部52を貼付させるための領域としている。この領域を「貼付領域」と称し、符号Pで表す。
この構造は適宜変更することができ、周状底面35の全体をシール蓋50に貼着させなくてもよい。
なお、「周状」とは、少なくとも連通口38の周縁全体を囲む形状であればよく、例えば円環形状やリング形状が該当するが、これらに限定されない。
また、図示例の凹陥部34の深さは、図1に示す如く、口述のシール蓋50の厚みより大きい。こうすることにより、シール蓋50の全体が凹陥部34の内部に収納されるから、例えば本発明のヒンジキャップを床に落としたときに、床面にシール蓋50が当たることを回避できる。
なお、前記天板32の上面に凹陥部を設けることを省略し、水平面である天板32の上面の全部又は一部(例えば連通口38の周囲の部分)を貼付領域Pとしてもよい。この場合には、注出部20の上端面22は、天板32の上面とは面一となるようにするとよい。
【0028】
前記連通口38からは、前記注出部20の外面に嵌合させるための内筒48が垂設されている。図示例の内筒48は、小内径で厚肉の上半筒部48aと、大外径で薄肉の下半筒部48bからなる。この内筒48(図示例では下半筒部48b)の内面には、シール手段Sである環状の内リブを周設しており、この内リブを前記注出部20の下側筒部20aの外面に液密に圧接している。
もっとも、シール手段Sは、これら内筒48と注出部20との間に形成されていれば、どのような構造でもよく、例えば注出部20の外面に付設した環状の外リブを前記内筒48の内面に圧接させた構造でもよい。
後述の如く、前記注出口Aはシール蓋50によって密閉されるので、シール手段Sを形成することにより、注出口Aから前記装着筒4及び前記蓋周壁40の間を経由して外部へ至る径路を2箇所で遮断することができ、シール性が向上する。
【0029】
図示例では、前記内筒48の下端と前記頂壁10との間には、隙間Gを設けることにより、衝撃吸収作用を持たせている。
前記隙間Gは、例えばキャップを装着した容器が床に落下したときに、落下時の衝撃等により前記天板32が変形しても、前記内筒48の下端49は、前記頂壁10の上面に当接して、それ以上の変形を阻止することができる。
これにより、後述する如く、前記注出部20の上端面22と前記の凹陥部34の周状底面35との間に張設されたシール蓋50への、衝撃による影響を回避できる。
図示例の前記内筒48は、頂壁10の上面の高さ付近まで垂下するとともに、当該頂壁10側に注出部20の根元を囲む前記環状凹部18を周設することにより、この環状凹部18の内面と前記内筒48の下端49との間に、前記隙間Gを確保している。
もっとも、前記内筒48の筒長を短くすることにより、前記隙間Gを確保してもよい。
【0030】
シール蓋50は、前記注出口Aを密閉する役割を有し、好ましくは、一枚のシート材(フィルムを含む)として形成されている。
なお、本明細書において、「シート材」とは、シート形状の物を言い、フィルムを含むものとする。
シール蓋50であるシート材は、注出部20の上端面22と前記の凹陥部34の周状底面35との間に張設されている。
具体的には、当該シール蓋50の上方から見た外側部分(外周部52)は、前述の貼付領域Pである周状底面35の全体に接着されており、かつ、前記シール蓋50の上方から見た内側部分(中心部54)は前記注出部20の上端面22に接着されている。
本実施形態では、前記シール蓋50の外周部52及び中心部54を、ともに熱溶着により、対応する被接着箇所に密着させている。もっとも、シール蓋の役割及び機能を達成できれば別の接着方法を用いても構わない。
前記貼付領域(凹陥部34の周状底面35)に対する外周部52の接着力は、前記注出部20の上端面22に対する内周部54の接着力より大であるものとする。
そのために、本実施形態においては、凹陥部34の周状底面35の溶着部分面積を、注出部20の上端面22の溶着部分面積より大としている。
この構成とすることにより、図2に示す開蓋操作において、前記シール蓋50の中心部54が前記注出部20の上端面22から剥離するとともに、前記シール蓋50の外周部52は前記天板32の貼付領域Pに接着したままで剥離しないようにすることができる。
これにより、前記シール蓋50は、開蓋位置へ回転する上蓋30側へ移行する。
【0031】
図示例の構成では、前記シール蓋の中心部54は、前記注出部20の上端面22の全周に亘って密着されているとともに、当該シール蓋50の外周部52も、前記周状底面35の全周に亘って密閉されている。
これにより、注出口Aから前記シール蓋50の周端と段差部36の間を経由して外部へ至る径路を2箇所で遮断することができ、シール性が向上する。
【0032】
シール蓋50は、アルミや紙などからなる積層シートとすることができる。
また本実施形態において、前記シール蓋50は、バリアフィルムとして形成されている。
バリアフィルムは、NYとEVOHとLLDPEとの積層構造(例えば、外層をNY、中間層をEVOH、内層をLLDPEとする構造)、或いはPETとEVOHとLLDPEとの積層構造(例えば、外層をPET、中間層をEVOH、内層をLLDPEとする構造)とすることができる。
ここで、NYはナイロンを、EVOHはエバールを、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene)を、PETはポリエチレンテレフタレートを、それぞれ意味する。
なお、EVOHに代えてアルミニウムを採用してもよい。
また、前記シール蓋50は、上蓋30及びキャップ本体2と同材質である樹脂にシール材をインサートしたものを使用してもよい。
【0033】
前記構成において、シール蓋50をキャップ本体2及び上蓋30に装着する作業を、図3を用いて説明する。
まず、キャップ本体2及びシール蓋50を、図3(A)に示すように180°開放された状態で成形する。
次に、図3(B)に示すように、前記キャップ本体2に対して前記上蓋30を閉蓋し、次に、前記シール蓋50を前記上蓋30の凹陥部34内に収納する。
前述の通り、凹陥部34の周状底面35と注出部20の上端面22とはほぼ同じ高さ(図示例では全く同じ高さ)であるから、単にシール蓋50の外周部52を前記周状底面35に置くだけで、当該シール蓋50の中心部54が前記注出部20の上端面22に当接(或いは近接)した状態となる。
この状態から、前記シール蓋50の外周部52を前記凹陥部34の周状底面35に、またシール蓋50の中心部54を前記注出部20の上端面22に対してそれぞれ熱溶着する接着作業を行う。
そうすると、図3(C)に示すようにシール蓋50の装着が完了する。
【0034】
前記注出口Aの密閉状態を解消するためには、図1の状態から、指掛け部42に指を掛けて、図2に示すように、ヒンジ8を中心に前記上蓋30を開方向へ回転させる。
そうすると、上蓋30の凹陥部34内へのシール蓋50の外周部52の接着を維持したままで、前記シール蓋50の中心部54と前記注出部20の上端面22との接着が破れ、これら中心部54と上端面22とが分離する。
これにより、前記シール蓋50が上蓋30側へ移行される。
【0035】
前記構成及び作用によれば、前記上蓋30の開蓋操作により前記注出部20からシール蓋50が除去されるので使い勝手がよい。
またシール蓋50は前記開蓋操作の後も上蓋30に付着した状態のままであるからゴミにならない。
また前記注出部20の上端面22は、側方から見て前記連通口38の高さ付近に配置されているから、前記シール蓋50を前記注出部20の上端面22及び天板32の貼付領域Pの双方に亘って貼付することが容易である。
またシール蓋50を前記凹陥部34内に収納させたから、シール蓋50を他物との接触から保護することができる。
また前記連通口38の口縁部から、前記注出部20の外面へ嵌合する内筒48が垂設されており、これら内筒48と注出部20との間にシール手段Sが形成されているから、シール性能が向上する。
また前記天板32の貼付領域Pの溶着部分面積を、前記注出部20の上端面22の溶着面積より大きくしたから、貼付領域Pへの外側部分52の接着力が、前記注出部20の上端面22への内側部分54の接着力より大である構成を簡易にかつ的確に設計できる。
【符号の説明】
【0036】
2…キャップ本体 4…装着筒 4a…下方筒部 4b…上方筒部
6…係止突条 8…ヒンジ 9…凹み
10…頂壁 12…係合段部 13…係合突条 14…嵌合周壁 16…環状溝
18…環状凹部 20…注出部 20a…下側筒部 20b…中間部
20c…上側筒部 22…上端面 24…縮径部(環状リブ) 26…注出孔
30…上蓋 32…天板 34…凹陥部 35…周状底面 36…段差部
38…連通口
40…蓋周壁 42…指掛け部 44…係合受部 46…当接リブ
48…内筒 48a…上半筒部 48b…下半筒部 49…下端
50…シール蓋 52…外側部分(外周部) 54…内側部分(中心部)
100…容器体 102…口頸部
A…注出口 C…円弧 e…立設箇所 G…間隙 L…仮想水平線
P…貼付領域 S…シール手段




図1
図2
図3