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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124476
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ゴルフ練習用の台
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
A63B69/36 511A
A63B69/36 512A
A63B69/36 511H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028258
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】520112885
【氏名又は名称】株式会社貴翔
(71)【出願人】
【識別番号】513054680
【氏名又は名称】大國段ボール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】草場 翔
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 一光
(57)【要約】
【課題】設置や収納も行いやすく安定性が高い、ゴルフ練習用の台を提供することを目的とする。
【解決手段】段ボールの紙幅方向を台10の高さ方向として、前記段ボールのライナーを貼り合わせた台10であり、配置面に接する高さを有する第一の段ボール部21と、第一の段ボール部21よりも台10の裏面102までの高さが低い第二の段ボール部31と、台10の底部に設けられた溝部4とを、有し、第一の段ボール部21と、第二の段ボール部31とが交互に貼り合わせられた部分を有する、ゴルフ練習用の台10。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールの紙幅方向を台の高さ方向として、前記段ボールのライナーを貼り合わせた台であり、
台の配置面までの高さを有する第一の段ボール部と、
前記第一の段ボール部よりも台の裏面までの高さが低い第二の段ボール部と、
前記第一の段ボール部の台の底部側に設けられた溝部とを、有し、
前記第一の段ボール部と、前記第二の段ボール部とが交互に貼り合わせられた部分を有する、
ゴルフ練習用の台。
【請求項2】
前記第二の段ボール部が、台の裏面側が波状である、請求項1に記載の台。
【請求項3】
高さが、5cm以上であり、幅が30cm以上、長さが60cm以上である、請求項1または2に記載の台。
【請求項4】
前記第一の段ボール部が、段ボールの流れ方向で幅が異なることで、配置面に置いたとき傾斜する、請求項1~3のいずれかに記載の台。
【請求項5】
表面に配置されたパターマットと、表面に開口したカップ用の開口部と、表面に設けられた弧状の溝部とを有する、パター練習用である、請求項1~4のいずれかに記載の台。
【請求項6】
幅60cm以上、長さ90cm以上の、スイング練習用である、請求項1~4のいずれかに記載の台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ練習用の台に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフの練習などのために、いわゆるパターマットやグリーンマットなどとよばれるマットが市販されている。ゴルフのパットは、カップにボールをいれることから、練習用のマットにもカップが設けられており、ボールが落下するように設計されている。
【0003】
ゴルフボールの大きさは、42.67mm以上と規定されている。このため、ゴルフボールがカップに入って落ちるためには、カップをこの高さ以上のものとして設計する必要がある。しかし、マット自体は薄い帯状のものが多い。このため、カップのところだけ高い、部分的に傾斜した形状とされていることが多い。このような形状だと、カップ周辺のボールの挙動が、その傾斜による影響を大きく受けるため、実際のグリーンでのパットとの差が大きくなる。一方で、マット全体をカップと同じ高さにすると、狭い幅のマットだと、マットだけが高い位置となり、パットの練習をする使用者は段違いのところで打つことになってしまう。
【0004】
ゴルフ練習用の設備や専門の店舗などでは、そもそも部屋全体などに広くパター練習用のグリーン形状としている場合もある。しかし、これらは専用の設備として設計しているため実施できるものであり、木材などで組み上げた常時据え置きのものとなっている。このような設備は、そのために相当広い場所や工事も必要となり広く普及するために適したものではない。
【0005】
一方で、近年、国際的なスポーツイベントなどでも取り上げられたように、限定的な使用機会や、緊急時の備蓄用として、段ボールを用いたベッドなどが用いられている。これは、一般的には木材やプラスチックなどで設計されていたようなベッドのような構造体を、比較的軽くて組み立てや解体が行いやすい段ボールを利用して製造したものである。ベッドのように人が寝る用途のときは、段ボールを格子状に組み、その上に適宜、板状部材や、マットレスなどを配置している。しかし、このような格子状の形状では、その上を、繰り返し人が歩いて移動することを想定していないため、踏み込んだりすると板状部材が陥没したりするおそれがある。
【0006】
段ボールの利用にあたっては前述のような課題も存在するが、段ボールをマットとして利用することも一部検討されている。特許文献1は、複数の段ボールを用いた段ボール製の競技用マットであり、前記段ボールのライナー同士を貼り合わせ、前記段ボールの紙巾方向がマット厚方向となることを特徴とする競技用マットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-146206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、ゴルフ練習用などのために、木材などで専用の設備の台を準備する負担は大きい。段ボールを用いた場合も、人が頻繁に歩いたりするような用途では格子状に段ボールを用いた構造では壊れやすいおそれがある。
【0009】
特許文献1のように、段ボールを用いたものも開示されている。しかし、段ボールで台を製造した場合も、使用者が同じ高さに立てるスタンスのための幅を確保し、十分な練習強度を期待できる長さとして、さらにカップの高さなども考慮した大きさとすると、段ボールを敷き詰めるものとなるため相当に重量が重くなり、設置や収納するときに不便なものとなる。また、台の様々な場所を踏むと揺れるような不安定なものとなってしまう場合もある。
【0010】
係る状況下、本発明は、設置や収納も行いやすく安定性が高い、ゴルフ練習用の台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0012】
<1> 段ボールの紙幅方向を台の高さ方向として、前記段ボールのライナーを貼り合わせた台であり、
台の配置面までの高さを有する第一の段ボール部と、
前記第一の段ボール部よりも台の裏面までの高さが低い第二の段ボール部と、
前記第一の段ボール部の台の底部側に設けられた溝部とを、有し、
前記第一の段ボール部と、前記第二の段ボール部とが交互に貼り合わせられた部分を有する、
ゴルフ練習用の台。
<2> 前記第二の段ボール部が、台の裏面側が波状である、前記<1>に記載の台。
<3> 高さが、5cm以上であり、幅が30cm以上、長さが60cm以上である、前記<1>または<2>に記載の台。
<4> 前記第一の段ボール部が、段ボールの流れ方向で幅が異なることで、配置面に置いたとき傾斜する、前記<1>~<3>のいずれかに記載の台。
<5> 表面に配置されたパターマットと、表面に開口したカップ用の開口部と、表面に設けられた弧状の溝部とを有する、パター練習用である前記<1>~<4>のいずれかに記載の台。
<6> 幅60cm以上、長さ90cm以上の、スイング練習用である、前記<1>~<4>のいずれかに記載の台。
【発明の効果】
【0013】
本発明の台は、設置や収納も行いやすく安定性が高く、ゴルフ練習用などに適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】段ボールの形状を説明するための概要図である。
図2】本発明に係る台の形状を説明するための概要図である。
図3】本発明に係る台を製造するための段ボールの形状を説明するための図である。
図4】本発明に係る台を製造するための段ボールの形状を説明するための図である。
図5】本発明に係る台を製造するための段ボールの形状を説明するための図である。
図6】本発明に係る台を収納のために積み上げた状態を示す図である。
図7】本発明に係る台を使用状態に合わせて改良した変形例である。
図8】本発明に係る台の製造例を示す像である。
図9】本発明に係る台の製造例を示す像である。
図10】本発明に係る台の製造例を示す像である。
図11】本発明に係る台の製造例を収納するために積み上げた例を示す像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0016】
[本発明の台]
本発明の台は、段ボールの紙幅方向を台の高さ方向として、前記段ボールのライナーを貼り合わせた台であり、台の配置面に接する高さを有する第一の段ボール部と、前記第一の段ボール部よりも台の裏面までの高さが低い第二の段ボール部と、前記第一の段ボール部の台の底部側に設けられた溝部とを、有し、前記第一の段ボール部と、前記第二の段ボール部とが交互に貼り合わせられた部分を有する、ゴルフ練習用の台である。
【0017】
本発明の台は、第二の段ボール部を設けることで段ボールの使用量も減らすことができ、軽量化でき、設置や収納も行いやすいものとなる。また、段ボールの紙幅方向を高さ方向に沿うものとしているため、中芯が鉛直方向に立った状態で使用することになり、繰り返し任意の場所を踏んでも壊れにくい。さらに、第二の段ボール部や、第一の段ボールに設けられている溝部により、複数の位置が使用する地面や床などの配置面に確実に接することで、安定性が高いものとなる。このため、所定の面積を占めるように配置したパター練習用や、ゴルフ練習場などで傾斜台とするなど、ゴルフ練習用などに適している。
【0018】
[段ボール]
図1は、段ボールの形状を説明するための概要図である。段ボールは、ライナー間に、波状の中芯を配置して貼り合わせたものである。図1に示すように、段ボールは、図1の左右のように製造時にライナーや中芯を送る方向と沿う方向を流れ方向という。また、図1の奥行方向のように、段ボールの流れ方向と直交するライナーや中芯の幅方向を、紙幅方向という。また、図1の上下のように流れ方向と紙幅方向と直交する方向は厚み方向という。
【0019】
段ボールは、一般的には包装用などとして用いられ、厚み方向にものが接するように用いることが多いが、押しつぶす力に対しては、紙幅方向が最も強度が高い。本発明の台は、この段ボールの紙幅方向が、台の高さ方向となるように用いる。
【0020】
本発明に用いる段ボールは、このような紙幅方向を高さ方向として、貼り合わせて使用できる状態のものを適宜用いることができる。段ボールは、強度を十分に発揮しやすく、一方で第一の段ボール部と、第二の段ボール部との高さの違いの調製や、溝部の形成などの加工が行いやすいものを用いることが好ましい。このため、両面段ボールや、複両面段ボールなどを用いることが好ましい。
【0021】
[本発明の台]
図2は、本発明に係る台の形状を説明するための概要図である。台10は、第一の段ボール部21と、第二の段ボール部31を有する。第一の段ボール部21には、溝部4が設けられている。台10は、図2における左右のX方向を幅方向、図2の奥行のY方向を長さ方向、図2の上下のZ方向を高さ方向という。高さ方向の上側の面が台10の表面101であり、高さ方向の下側の面が、使用時の床や地面などの配置面側となる、裏面102である。
【0022】
台10は、段ボールの紙幅方向を台の高さ方向として、段ボールのライナーを貼り合わせたものである。台10の幅方向であるX方向は、段ボールの厚み方向に相当する。台10の長さ方向であるY方向は、段ボールの流れ方向に相当する。台10の高さ方向であるZ方向は、段ボールの紙幅方向に相当する。
【0023】
台10は、使用時には、この台の上に人が乗って使用することができる。台10は、一部前述のように段ボールの紙幅方向が高さ方向となっており、段ボールを貼り合わせていることで、いずれの位置を踏んでも優れた強度を有する。
【0024】
台10の表面101は、第一の段ボール部21と第二の段ボール部31の段ボールの端部を揃えて貼り合わせることで、滑らかな面となる。この表面101を使用者が乗る場所とすることができる。また、表面101は、パター練習用のグリーン面に相当する面として用いることもできる。また、表面101は、傾斜台などとして、スイングのスタンスをとる場所やボールを置くライに相当する面として用いることもできる。
【0025】
台10の裏面102側は、台10を使う場所の床や地面などの配置面に接する側となる。裏面102は、第一の段ボール部21と第二の段ボール部31との高さの違いによる段差や、第一の段ボール部21の溝部により、複数の凹凸が生じたものとなる、このため少なくとも2点接地以上するものとなり、複数の個所で常時接するものとなる。そして、2点接地以上等できることで、使用時の安定性が向上する。
【0026】
一般的には、裏面102側を平坦にしたほうが、単に高さをそろえた段ボールを貼り合わせることで容易に製造することができると考えられる。しかし、単に平坦なものとして製造すると、製造時の切断精度や、使用に伴う変形などで、配置面に常時接するところは最も高さが高い1点のみとなり、その他の設置場所は表面の負荷、すなわち、使用者が立っている場所や、他の部材の取付状況などにより変位する。この状態では、台の上を歩いたときなどに、揺れるような状態となり不安定である。また、段ボールを敷き詰める状態となるため、使用材料も多く、重さも重くなる。本発明はこのような課題を解決することができる台である。
【0027】
[第一の段ボール部21]
台10は、第一の段ボール部21を有する。第一の段ボール部21は、配置面までの高さを有する。すなわち第二の段ボール部31よりも高い。このため、第一の段ボール部21は、配置面に接するものとなる。
【0028】
第一の段ボール部21の高さは、4cm以上であることが好ましい。より好ましくは、5cm以上や、6cm以上、8cm以上である。高さの上限は特に設けなくてもよく、使用場所や、全体の大きさ、傾斜の程度などに応じて、適宜設定される。一方で過剰に大きくする必要性は低く、高くするほど使用材料が増えて重くなるため、25cm以下や、20cm以下、18cm以下、15cm以下のような上限を設けてもよい。
【0029】
第一の段ボール部21の高さは、平坦な台とするために所定の高さで平行としてもよい。また、後述もするように傾斜するものとしてもよく、長さ方向の両端や、その内部などで、異なる高さとしてもよい。
【0030】
[溝部4]
第一の段ボール部21は、台10の底面側となる台の裏面102側に設けられた溝部4を設けている。溝部4は、台10の長さ方向、段ボールの流れ方向に設けられる。溝部4は1か所設ければ、溝部4は配置面に接することが無い。よって、その両側の高さが高いものとなり、配置面に少なくとも2点接地するものとなる。溝部4は、わずかな高さの差でも非接地部となる。より確実に設置しない部分となるように台10における高さ方向に5mm以上や、10mm以上、15mm以上とすることができる。過剰に溝部4を大きくする必要はなく、強度が低下する部分となる恐れがあるため、台10の全体の高さにもよるが、40mm以下や、35mm以下、30mm以下としてもよい。溝の形状は角が尖ったものとすると、その角が起点となり壊れやすくなる場合があるため、鈍角で形成したものや、角を弧で形成したものとすることが好ましい。
【0031】
[第二の段ボール部31]
台10は、第二の段ボール部31を有する。第二の段ボール部31は、第一の段ボール部21よりも台10の裏面102側の高さが低い。すなわち、第二の段ボール部31は、台10を使用するとき、配置面に接しない高さで設計される。
【0032】
第二の段ボール部31の表面101側は、第一の段ボール部21の高さ方向の上端側と同程度の位置となるように設計して、表面101に滑らかな面を形成するものとする。これにより、平坦な面や、傾斜面として、安定する足場とすることができる。
【0033】
第二の段ボール部31は、第一の段ボール部21よりも高さが低いものであればよい。第一の段ボール部21との高さの差は、少なすぎると、台10を十分に軽量化することができなかったり、接地点を確保できずに不安定になったりする恐れがある。これらの観点から、第一の段ボール部21と第二の段ボール部31との高さの差は、10mm以上や、15mm以上、20mm以上とすることができる。
【0034】
一方で、第二の段ボール部31自体の高さが低すぎると、第二の段ボール部31の位置での強度が低くなるおそれがある。このため、第二の段ボール部31自体の高さを、15mm以上や、20mm以上、25mm以上とすることが好ましい。
【0035】
[裏面側の形状]
第二の段ボール部31は、台10の裏面102側の形状は平坦なものでもよいが、波状のものとすることが好ましい(図3参照)。第二の段ボール部31の裏面102側の形状が、段ボールの流れ方向に直線状でそろったものとすると、台10の幅方向の応力が分散せず、一方で、裏面102側で第一の段ボール部21と接着せず抑える力や拘束する力が働かない部分があるため、台10の裏面102側が幅方向に広がってしまう場合がある。第二の段ボール部31の裏面102側である段ボールの流れ方向を、波状とすると、第二の段ボール部31が配置されている位置間でも、接着力などが分散するものとなり、台10が幅方向に広がることを防止することができる。
【0036】
[貼り合わせ]
台10は、第一の段ボール部21と、第二の段ボール部31とが交互に貼り合わせられた部分を有している。これは、図2に示すように、第一の段ボール部21と、第二の段ボール部31とをそれぞれ1枚ずつ貼り合わせたものでもよいし、2枚ずつや、3枚ずつとしてもよい。また、台10における位置に応じて、交互に貼り合わせる頻度を変えてもよいし、第一の段ボール部21を2枚(または1枚)に、第二の段ボール部31を1枚(または2枚)のように枚数を変えてもよい。また、台10の全体を、交互に貼り合わせたものとしてもよいし、その一部を交互に貼り合わせたものとしてもよい。
【0037】
図3は、本発明に係る台を製造するための段ボールの形状を説明するための図である。ここでは、第一の段ボール部21とするための第一の段ボール211(図3中段)と、第二の段ボール部31とするための第二の段ボール311(図3上段)とを貼り合わせる(図3下段)。それぞれの段ボール部に応じた形状に予め切断し、これらを貼り合わせていくことで、台10を設計する。このとき、第二の段ボール311の上端と、第一の段ボール211の上端をそろえて貼り合わせて、この上端を、台10の表面側の滑らかな面とする。一方、第二の段ボール311は、第一の段ボール211よりも段ボールとしての紙幅方向が短いものとして切断されているため、貼り合わせたとき、台10の裏面側に達さないものとなる。第二の段ボール311は、このように、裏面側は波状のものとすることが好ましい。
【0038】
図4は、本発明に係る台を製造するための段ボールの形状を説明するための図である。ここでは、第一の段ボール部21とするための第一の段ボール212と、第二の段ボール部31とするための段ボール312とを貼り合わせる。また、傾斜台とするために、第一の段ボール211は、段ボールの紙幅方向、台10としたときの長さ方向で、高さが異なるものとしている。このように、第一の段ボール21を切断する形状や、その上端に第二の段ボール312をそろえるように切断する形状とすることで、任意の傾斜を安定した形状として得ることができる。
【0039】
図5は、本発明に係る台を製造するための段ボールの形状を説明するための図である。ここでは、第一の段ボール部21とするための第一の段ボール213と、第二の段ボール部31とするための段ボール313とを貼り合わせる。これは、傾斜をさせるための形状であり、かつ、第二の段ボール313の下端側を波状としたものである。すなわち、図3図4で説明した例を組み合わせたものである。
【0040】
図5に図示するように、第一の段ボール213の流れ方向(台としたときの長さ方向)の高さを変更できる。図5における第一の段ボール213の左端の高さは、高さh1である。右端の高さは、高さh2である。長さは、長さL1である。このような、高さh1、高さh2、長さL1を調整することで、わずかな傾斜も安定して設計できる。特に、ゴルフのパター練習用のグリーンは、傾斜1度程度や、場合によってはそれ未満のごくわずかな傾斜でも、ボールの動きは非常に大きな影響を受ける。この1度程度の傾斜の台を安定して製造することは非常に難しい。しかし、本発明によれば、このように、わずかな傾斜も、高さや長さに基づく三角関数から計算して安定して製造することができる。
【0041】
台の傾斜の設計にあたっては、図5を例にすると、tanθ=Δh/L1を用いることができる。例えば、傾斜を1度としたい場合、tan(1°)=約0.0175である。このため、L1を1mとする場合、Δh(=h2-h1)は、1m*0.0175=0.0175m=17.5mmである。よって、h1を100mm(10cm)とする場合、h2を、117.5mm(11.75cm)とすれば、1度の傾斜の台とすることができる。
【0042】
[ゴルフ用の台]
本発明の台は、ゴルフ練習用の台として用いることができる。ゴルフでは、グリーンを想定したマットや、傾斜でのスイングを想定したスイング用の台など、その練習でも、平坦な場や、設計された傾斜が求められる。また、その台の上に立って、これらのための動作を行う。本発明によればこれらに適した台を提供することができる。
【0043】
台10の幅や高さ、長さは、台10の高さは、用途や、傾斜の程度、使用する場所の広さなどに応じて設計できる。幅や長さ特に上限を設けなくてもよいが、一定の大きさのものを並べて配置することで広くすることができ、過剰に大きいと重くなるため、適宜、上限を設けてもよい。
【0044】
台10の高さ(図2のZ方向)は、5cm以上とすることができる。ゴルフのパター練習用とする場合、ボールをカップに入れることができるものとしたい需要がある。ボールは約4cmあるため、これを収容できるカップとするために5cm以上が好ましい。また、第一の段ボール部21と、第二の段ボール部31との高さの差を設けて、双方の強度を維持するためにも、5cm以上が好ましい。より好ましくは、6cm以上や、7cm以上、8cm以上とすることができる。台10の高さは、実質、第一の段ボール部21の高さにより調製できる。
【0045】
台の幅(図2のX方向)は、30cm以上とすることが好ましい。台の幅は、第一の段ボール部21と、第二の段ボール部31の貼合せ枚数(繰り返し回数)で調整する事ができる。台の幅は、40cm以上が好ましく、45cm以上としてもよい。台の幅は、120cm以下や、100cm以下、90cm以下としてもよい。
【0046】
台の長さ(図2のY方向)は、60cm以上であることが好ましい。台の長さは、段ボールの流れ方向の切断する長さで調整することができ、長いものにしやすい。長さは、70cm以上や、80cm以上、90cm以上とすることができる。また、長さは、150cm以下や、120cm以下、100cm以下としてもよい。
【0047】
[傾斜]
台10は、配置面に対して、傾斜したものとすることができる。本発明の台は、室内での使用にも適している。室内の床などは基本的には水平に設計されている。ここに、パター練習用に傾斜を設けたい場合、本発明の台は適している。第一の段ボール部21が、段ボールの流れ方向で、段ボールの紙幅方向の幅、すなわち台とするときの高さが異なることで、配置面に置いたとき傾斜するものとすることができる。
【0048】
図6は、本発明に係る台を収納のために積み上げた状態を示す図である。本発明の台は、大きさに対して、軽量である。一方で、特に高さ方向(段ボールの紙幅方向)に十分な強度を有している。このため、使用時に、並べて使用し、使用しない保管時や、運搬時などの収納するときは、容易に積み上げておくことができる。このとき、傾斜台として設計している場合も、図6の左列のようにそれぞれの台の傾斜の角度をそろえておき、向きを互い違いにすることで、安定して直立するように保管もできる。平坦なものは図6の右列のようにそのままや、適宜互い違いに積み上げることができる。
【0049】
[パター用の台]
図7は、本発明に係る台を使用状態に合わせて改良した変形例である。この台11は、特にパター練習用に変形したものである。台11は、カップ用に開口部51が設けられている。開口部51は、ゴルフ用のカップをはめ込んで用いることができ、さらに、適宜、フラッグなどを立てられるものとしてもよい。また、図7の手前側から開口部51を狙ってボールを打ち、外れてオーバーしたとき、ボールを留めるための溝部52や、さらにそれを超えたときに台から落ちないように板状部材による留部53を設けている。さらに、台11の手前側に、補強部61を設けている。本発明の台は、段ボールを主たる部材として作製されており、端の方は水分などの環境の影響や、踏んだときの影響が大きくなりやすいため、これらを保護するために、端に補強部61を設けることが特に有効である。
【0050】
台11は、その表面の上に、パターマットを配置して、パター練習用のものとして用いることができる。パターマットは使用時に都度置いてもよいし、予め貼り付けて一体化してもよい。マットは、開口部51の位置に合わせて開口したものを用いることができる。台11は、パター練習用としたときに、広い幅を得ることができる。このため、従来の狭いパターマットでラインが簡単に把握できるものと異なり、本発明の台11は、ラインを自ら読み、パットを打つ練習に適している。また、傾斜を利用して、フックラインやスライスライン、下りラインや上りライン、またこれらの組み合わせなどを容易に調製することができる。
【0051】
[スイング練習用の台]
台10は、幅60cm以上、長さ90cm以上のものとすることができる。このような大きさの台10は、ゴルフスイングのためのスタンスを取りやすく、スイング練習用にも適している。傾斜の有無やその程度は任意のものとしてよい。傾斜させる場合、15度以下や、10度以下、5度以下程度などとすることもでき、1度以上や2度以上、3度以上としてもよい。このような台は、ゴルフのショットや、アプローチの練習用などに適している。一般的なゴルフ練習場では難しい、つま先上がりや、つま先下がり、左足上がり、左足下がりのような典型的な傾斜やこれらの複合的な傾斜などとなるように製造することができる。
【0052】
このように本発明の台は、特にゴルフ練習で求められるような、パターマットと同じ面に立ってカップに入れることができるグリーンのような練習用や、様々なライやスタンスを想定した傾斜の場面でのスイングの練習などに適している。また本発明の台は、軽量で安価に製造でき、かつ、使用時には容易に組み合わせて展開して、収納時はコンパクトに積み上げることもできる。
【0053】
[製造例]
以下、製造例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の製造例に限定されるものではない。
【0054】
本発明の台を、ゴルフ練習用、特に、パター練習用に製造した。図8は、本発明に係る台の製造例を示す像である。図8の左上は、台の平面視(Z方向)した像である。図8の左下は台を正面視(X方向)した像である。図8の右上は台を側面視(Y方向)した像である。この台は、幅(X方向)が約47.5cmであり、長さ方向(Y方向)が約95cmである。高さは、表面を水平方向に対して傾斜させるために、図8左下に示す台を正面視したときに、左端が約11cm、右端が約9cmで2cmの差があり、直線状に傾斜している。このため、約1.5度の傾斜が生じる。段ボールは厚み約5mmと厚み約3mmのWフルートの総厚み約8mmの段ボールを用いて、第一の段ボールと第二の段ボールとして切断したものを1枚ごとに交互に貼り合わせた。
【0055】
第一の段ボール部には溝部は約15m程度の溝部を設けている。第二の段ボールは、台の表面側は直線状にカットして、裏面側は波状にカットしている。長さ90cmの間に約2.5周期の正弦波様の波状とし、第二の段ボールの最も高さが低いところは表面から2.5cm、最も高さが高いところは表面から6.5cmとし、高さの差は4cmのものとした。これを基本単位の台とした。
【0056】
さらに、図8に示す台は、基本単位の台に、中央付近に直径約10.5cmの表面から見下ろしたときに円となる筒状の開口部を設けた。この開口部は、パット用の容器をはめ込んでカップとしてもよいし、カップとして用いないときは、この形状に合わせた埋め込み部材をはめ込んでもよい。なお、カップを設けない台の場合はこの開口部は不要なため設けないでもよい。このように設計した台は、形状も安定したものであった。
【0057】
図9は、本発明に係る台の製造例を示す像である。ここでは、1.5度の傾斜を有するグリーンとするために、図7に示すものや、これに準じる台を複数配置している。図8の右側が高く、左側が低い傾斜となる、約1.5度の傾斜となるように台を並べ、長さ方向(図8における左右)が約2.85m、幅方向(図8における奥行方向)が約2.85mとなるように配置した。すなわち、図7に示す台を、奥行方向に6枚配置している。なお、両端にはカップ用の開口部を備えたものを配置して、内側は開口部が無いものを配置した。また左右方向には、同様に図9の左側に向けて徐々に傾斜が下がるように、高さを変更した台を作成し配置した。このように組み合わせた台は、図9の奥行方向に手前から奥にボールを打つと、フックラインとなる。また、奥から手前に打つとスライスラインとなる。左から右に打つと上りラインとなり、右から左に打つと下りラインとなる。
【0058】
図10は、本発明に係る台の製造例を示す像である。図8に示す台の上に、グリーンマットを敷いた状態の例である。ここでは、最も右側の列にグリーンマットを置いた例である。なお、このグリーンマットは、さらに、台の上、全面に設けて用いてもよい。
【0059】
また、この図10では、カップようにグリーンマットにも孔が設けられており、台の開口部にはカップをはめ込み、フラッグを立てている。このように、本発明に係る台は、2.7m×2.7m程度の室内用などでは一般的な市販品よりも相当広い。また、パットを打つ使用者がボールと同じ面に立って繰り返し使用できる。さらに、台のどこに使用者が立っても揺れなどが生じず安定しており、安価で入手しやすい台を提供することができる。
【0060】
図11は、本発明に係る台の製造例を収納するために積み上げた例を示す像である。ここでは、4段を積み上げた状態である。本発明の台は、使用しない保管時や搬送時は、解体して、コンパクトに積み上げることができる。また、軽量なため、これらの操作を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の台は、ゴルフの練習などに利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0062】
10、11 台
101 表面
102 裏面
21 第一の段ボール部
211、212 第一の段ボール
31 第二の段ボール部
311、312、313 第二の段ボール
4 溝部
51 開口部
52 溝部
53 留部
61 補強部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11