(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124482
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 50/70 20160101AFI20230830BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230830BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230830BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20230830BHJP
【FI】
H02J50/70
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028266
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智和
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲平
(72)【発明者】
【氏名】武田 重郎
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】電磁波が生体に及ぼす影響と、生体の表面電位が受電アンテナに及ぼす影響とを軽減する。
【解決手段】ウェアラブルデバイス20は、非接触給電システム15の一部を構成する受電装置21と、受電装置21から供給される電力により作動する駆動部26とを備える。受電装置21は、非接触給電システム15の送電装置16から送信され、かつ電磁波からなる電力伝送信号を受信する受電アンテナ22と、受電アンテナ22により受信された電力伝送信号を直流電力に変換する受電変換部23と、駆動部26に接続され、かつ受電変換部23により変換された直流電力を蓄電する受電蓄電部24と、受電装置21の制御を司る受電制御部25とを備える。さらに、生体10における被装着部11の体表12に接触する接触部28と、受電アンテナ22との間には、電磁波を遮蔽するシート本体部32を備えるフレキシブルシート31が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触部を有し、かつ前記接触部を体表に接触させた状態で生体の被装着部に装着されるウェアラブルデバイスであり、
非接触給電システムの一部を構成する受電装置と、前記受電装置から供給される電力により作動する駆動部とを備え、
前記受電装置は、前記非接触給電システムの送電装置から送信され、かつ電磁波からなる電力伝送信号を受信する受電アンテナと、前記受電アンテナにより受信された電力伝送信号を直流電力に変換する受電変換部と、前記駆動部に接続され、かつ前記受電変換部により変換された直流電力を蓄電する受電蓄電部と、前記受電装置の制御を司る受電制御部とを備え、
さらに、前記接触部と前記受電アンテナとの間には、前記電磁波を遮蔽するシート本体部を備えるフレキシブルシートが設けられているウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記フレキシブルシートは、導電性材料により形成され、かつ前記受電アンテナが接続される導電部を備えている請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記受電変換部、前記受電制御部及び前記受電蓄電部の少なくとも1つは、前記接触部と前記フレキシブルシートとの間に配置されている請求項1又は2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記接触部は粘着パッドにより構成されている請求項1~3のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体表に接触した状態で生体に装着されるウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
送電装置から受電装置に対して、電磁波からなる電力伝送信号を用いた非接触給電を行なう非接触給電システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、送電装置から電力伝送信号が送信される。この電力伝送信号は受電装置の受電アンテナによって受信される。受電アンテナにより受信された電力伝送信号は、受電変換部によって直流電力に変換され、受電蓄電部に蓄電されるか、もしくは受電装置回路内で消費される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記非接触給電システムが、例えば、体表に接触した状態で生体に装着されるウェアラブルデバイスに適用される場合、構造の制約上、受電アンテナが生体に対し密着するように配置される可能性がある。
【0005】
この場合、電磁波の暴露による生体への影響が懸念される。また、受電アンテナの特性は、周囲の電界から強く影響を受ける。そのため、体表に密着した受電アンテナが、生体の表面電位(帯電電位)の影響を受け、受電アンテナの性能、例えば、受電利得が安定しなくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するウェアラブルデバイスは、接触部を有し、かつ前記接触部を体表に接触させた状態で生体の被装着部に装着されるウェアラブルデバイスであり、非接触給電システムの一部を構成する受電装置と、前記受電装置から供給される電力により作動する駆動部とを備え、前記受電装置は、前記非接触給電システムの送電装置から送信され、かつ電磁波からなる電力伝送信号を受信する受電アンテナと、前記受電アンテナにより受信された電力伝送信号を直流電力に変換する受電変換部と、前記駆動部に接続され、かつ前記受電変換部により変換された直流電力を蓄電する受電蓄電部と、前記受電装置の制御を司る受電制御部とを備え、さらに、前記接触部と前記受電アンテナとの間には、前記電磁波を遮蔽するシート本体部を備えるフレキシブルシートが設けられている。
【0007】
上記の構成によれば、非接触給電システムの送電装置からは、電磁波からなる電力伝送信号が、ウェアラブルデバイスにおける受電装置の受電アンテナに向けて送信される。送信された電力伝送信号のうち、受電アンテナで受電されなかったものは、フレキシブルシートのシート本体部によって遮蔽される。すなわち、シート本体部では、電磁波が反射、吸収、多重反射等によって減衰される。その結果、上記のように遮蔽される分、生体に侵入する電磁波が少なくなって、電磁波が生体に及ぼす影響が軽減される。また、生体の体表の電界が受電アンテナに及ぼす影響がシート本体部によって軽減される。
【0008】
上記ウェアラブルデバイスにおいて、前記フレキシブルシートは、導電性材料により形成され、かつ前記受電アンテナが接続される導電部を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、受電アンテナは導電部に電気的に接続される。
【0009】
また、導電性材料によって形成された導電部は、電磁波の遮蔽能を有する。そのため、受電アンテナで受電されなかった電磁波の一部は、導電部で反射される。その反射された電磁波の一部が受電アンテナへ再入力されることで、受電電力を上昇させる場合がある。また、生体の体表の電界が受電アンテナに及ぼす影響が、導電部によっても軽減される。
【0010】
上記ウェアラブルデバイスにおいて、前記受電変換部、前記受電制御部及び前記受電蓄電部の少なくとも1つは、前記接触部と前記フレキシブルシートとの間に配置されていることが好ましい。
【0011】
ここで、受電変換部、受電制御部及び受電蓄電部のそれぞれは、少なからず金属を含んでいる。金属は、電磁波を遮蔽する性質を有している。
従って、上記の構成によれば、受電変換部、受電制御部及び受電蓄電部のうち、接触部とフレキシブルシートとの間に配置されたものによっても、電磁波が遮蔽される。そのため、生体に吸収される電磁波がさらに少なくなり、電磁波が生体に及ぼす影響が一層軽減される。また、生体の表面電位が受電アンテナに及ぼす影響が一層軽減される。
【0012】
上記ウェアラブルデバイスにおいて、前記接触部は粘着パッドにより構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、粘着パッドからなる接触部が被装着部の体表に貼り付けられることにより、ウェアラブルデバイスが体表に接触した状態で被装着部に装着される。被装着部が動いても、粘着パッドは体表に安定的に接触した状態を維持することで、電気的特性を安定化させる効果がある。
【発明の効果】
【0013】
上記ウェアラブルデバイスによれば、電磁波が生体に及ぼす影響と、生体の表面電位が受電アンテナに及ぼす影響とを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態におけるウェアラブルデバイスの概念図である。
【
図2】同実施形態における非接触給電システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、ウェアラブルデバイスの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ウェアラブルデバイス20は、接触部28を有し、かつ同接触部28を体表12に接触させた状態で、人体等の生体10に装着されるデバイスである。生体10においてウェアラブルデバイス20が装着される被装着部11としては、例えば、手、手首、指、腕、耳、首、頭、足等が挙げられる。ウェアラブルデバイス20には、スマートウォッチ、スマートグラス等といったいわゆるウェアラブル端末が含まれる。そのほかにも、ウェアラブルデバイス20には、生体10の体温、心拍数、血圧、血中酸素濃度等、生体10の健康管理に関する管理項目を測定するセンサ機能を有するデバイスが含まれる。さらに、ウェアラブルデバイス20には、皮膚ガスを計測するセンサ、血流センサ、発汗センサ等も含まれる。
【0016】
ウェアラブルデバイス20は、受電装置21、駆動部26及び筐体27を備えている。受電装置21は、非接触給電システム15の一部を構成している。駆動部26は、ウェアラブルデバイス20が有する機能、例えば上記センサ機能等を発揮する部分であり、受電装置21から供給される電力により作動する。筐体27は、ウェアラブルデバイス20の外殻部分を構成しており、上記受電装置21及び駆動部26を覆っている。上記接触部28は粘着パッドによって構成されており、筐体27の外面に対し、接着等により固定されている。接触部28は、被装着部11の体表12に対し、剥離及び貼り付けを繰り返し行なうことが可能である。
【0017】
[非接触給電システム15の全体構成]
図1及び
図2に示すように、非接触給電システム15は、上記受電装置21に加え、送電装置16を備えている。送電装置16は、例えば、受電装置21に対して電力伝送信号を用いた非接触給電により電力を給電する。詳しくは、非接触給電システム15では、非接触給電のためのマイクロ波方式を用いた無線による電力伝送が行なわれる。すなわち、受電装置21の受電アンテナ22と、送電装置16の送電アンテナ17との間で、非接触給電のための電力伝送信号の送受信が行なわれる。このとき、送電アンテナ17から受電アンテナ22に向けて電力伝送信号が送信される。マイクロ波とは、1mm~1m(300MHz~300GHz)の波長を有する電磁波である。
【0018】
なお、非接触給電システム15に適用される無線による電力伝送方式(非接触電力伝送方式)は、マイクロ波方式に限られず、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界共鳴方式、レーザ等を利用した方式であってもよい。
【0019】
[受電装置21の構成]
図2に示すように、受電装置21は、上述した受電アンテナ22に加え、受電変換部23、受電蓄電部24、給電端子24a及び受電制御部25を備えている。
【0020】
受電アンテナ22は、送電装置16との各種通信に用いられる。受電アンテナ22は、送電装置16から送信された電力伝送信号を受信可能に構成されている。
本実施形態では、受電アンテナ22として、平面アンテナの一種であるパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナとも呼ばれる)が用いられている。パッチアンテナは、誘電体基板を、厚み方向における両側からグランド板とパッチ状の素子とによって挟んだ構造を有している。パッチアンテナは、より高い電力を受けることのできる、すなわち、利得の高いタイプのアンテナである。本実施形態では、パッチアンテナとして、柔軟性を有するものが用いられている。
【0021】
受電変換部23は、受電アンテナ22によって受信された電力伝送信号を直流電力に変換する。受電変換部23の具体的態様は任意であるが、同受電変換部23は、例えば整流回路、平滑回路等を含んでいる。
【0022】
受電蓄電部24は、受電変換部23により変換された直流電力を蓄電する。受電装置21は、受電蓄電部24が蓄電する電力によって動作する。本実施形態では、受電蓄電部24として、フレキシブルな材料によってシート状に形成され、かつ柔軟性を有していて、曲げやすく伸縮しやすいものが用いられている。なお、受電アンテナ22によって受信された電力伝送信号は、上記のように、受電蓄電部24に蓄電されるか、もしくは受電装置回路内で消費される。
【0023】
給電端子24aは、受電蓄電部24に接続されている。給電端子24aは、駆動部26に接続可能に構成されている。駆動部26は、給電端子24aに接続されることにより、同給電端子24aを介して受電蓄電部24に電気的に接続される。受電蓄電部24に蓄電されている電力が、給電端子24aを介して駆動部26に給電される。
【0024】
受電制御部25は、受電装置21の制御を司る。受電制御部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit )等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitry を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、受電装置21が備えるHDD(Hard Disk Drive )、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体を備える記憶装置(図示略)に予め格納されていてもよい。
【0025】
[フレキシブルシート31]
図1に示すように、ウェアラブルデバイス20は、さらに、筐体27の内部にフレキシブルシート31を備えている。フレキシブルシート31は、上記接触部28と受電アンテナ22との間に配置されている。フレキシブルシート31の主要部は、柔軟で撓みやすいシート本体部32によって構成されている。シート本体部32としては、電磁波を遮蔽(シールド)する性能を有するものが用いられている。
【0026】
フレキシブルシート31は、さらに、導電性材料により形成された導電部33を備えている。導電部33はシート本体部32上に積層されている。上述した受電アンテナ22は、上記導電部33を介してシート本体部32上に形成されている。
【0027】
なお、図示はしないが、上記導電部33は、シート本体部32を厚み方向に貫通して、又はシート本体部32を迂回して、受電変換部23等に対し電気的に接続されている。
[受電変換部23、受電制御部25及び受電蓄電部24の配置について]
ウェアラブルデバイス20では、接触部28とフレキシブルシート31との間に、制御基板35及び上記受電蓄電部24が配置されている。上述した受電変換部23及び受電制御部25は、それぞれ制御基板35を構成する部分として、同制御基板35に含まれている。
【0028】
なお、ウェアラブルデバイス20において、回路を適切に機能させるための絶縁(機能絶縁)、感電から保護するための絶縁(基礎絶縁)が要求される箇所は、絶縁材料によって形成されている。
【0029】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
<(1)被装着部11に対するウェアラブルデバイス20の装着について>
ウェアラブルデバイス20が被装着部11に装着される場合には、同ウェアラブルデバイス20が同被装着部11の体表12に合った形状となるように撓ませられる。
【0030】
(1-1)ここで、ウェアラブルデバイス20では、フレキシブルシート31のシート本体部32及び受電アンテナ22が柔軟性を有している。これに加え、受電蓄電部24もまた、シート状をなしていて、柔軟性を有している。そのため、上記受電アンテナ22、シート本体部32及び受電蓄電部24を、被装着部11における体表12の曲率に合わせて撓ませることが容易である。この点で、本実施形態では、ウェアラブルデバイス20の被装着部11に対する装着性を高めることができる。
【0031】
(1-2)次に、上記のように撓ませられたウェアラブルデバイス20が、粘着パッドによって構成された接触部28において、被装着部11の体表12に貼り付けられる。そのため、ウェアラブルデバイス20を被装着部11に簡単に装着することができる。
【0032】
また、上記貼り付けにより、ウェアラブルデバイス20を、被装着部11に対し接触した状態で装着することができる。従って、被装着部11が動いても、接触部28が体表12に安定的に接触した状態を維持することで、電気的特性を安定化させることができる。駆動部26は、センサ機能を安定して発揮することができる。
【0033】
(1-3)粘着パッドからなる接触部28を体表12から剥がすことで、ウェアラブルデバイス20を被装着部11から取り外すことができる。その後に、接触部28を体表12に貼り付けることにより、ウェアラブルデバイス20を被装着部11に対し再び装着することができる。さらに、上記剥離及び貼り付けを繰り返すことができる。
【0034】
<(2)電磁波による生体10への影響軽減について>
送電装置16の送電アンテナ17からは、電磁波からなる電力伝送信号が、受電装置21の受電アンテナ22に向けて送信される。送信された電力伝送信号の一部は受電アンテナ22によって受信される。受信された電力伝送信号は、受電変換部23によって直流電力に変換される。この直流電力は受電蓄電部24によって蓄電される。駆動部26は、受電蓄電部24に蓄電されている電力によって作動する。
【0035】
(2-1)受電アンテナ22で受電されなかった電力伝送信号の一部は、フレキシブルシート31のシート本体部32によって遮蔽(シールド)される。すなわち、シート本体部32では、電磁波が反射、吸収、多重反射等によって減衰される。その結果、電磁波が上記のように遮蔽される分、生体10に侵入する電磁波が少なくなる。電磁波が生体10に及ぼす影響を軽減できる。
【0036】
(2-2)また、導電性材料によって形成された導電部33は、電磁波の遮蔽能を有する。そのため、受電アンテナ22で受電されなかった電磁波の一部は、導電部33で反射される。その反射された電磁波の一部が受電アンテナ22へ再入力されることで、受電電力を上昇させる場合がある。
【0037】
また、導電部33での電磁波の上記反射により、生体10に侵入する電磁波をさらに少なくし、電磁波が生体10に及ぼす影響をさらに軽減することができる。
(2-3)ここで、受電変換部23、受電制御部25及び受電蓄電部24のそれぞれは、少なからず金属を含んでいる。金属は、電磁波を遮蔽する性質を有している。
【0038】
この点、本実施形態では、受電変換部23、受電制御部25及び受電蓄電部24が、接触部28とフレキシブルシート31との間に配置されている。
そのため、フレキシブルシート31におけるシート本体部32及び導電部33に加え、受電変換部23、受電制御部25及び受電蓄電部24によっても電磁波を遮蔽することができる。
【0039】
従って、生体10に吸収される電磁波を一層少なくし、電磁波が生体10に及ぼす影響を一層軽減することができる。
<(3)生体10の表面電位による受電アンテナ22への影響軽減について>
(3-1)また、上記のように、被装着部11の体表12と受電アンテナ22との間に配置されたフレキシブルシート31のシート本体部32は、上記体表12の電界が受電アンテナ22に及ぼす影響を小さくする。
【0040】
そのため、受電アンテナ22が電力伝送信号を受信する性能が、体表12の電界から影響を受けるのを抑制することができる。帯電した生体10が受電アンテナ22の利得に及ぼす影響を小さくし、安定した受電が可能となる。
【0041】
(3-2)フレキシブルシート31の導電部33もまた、被装着部11の体表12の電界が受電アンテナ22に及ぼす影響を軽減する。接触部28とフレキシブルシート31との間に配置された受電変換部23、受電制御部25及び受電蓄電部24についても同様の効果が得られる。そのため、帯電した生体10が受電アンテナ22の利得に及ぼす影響をさらに小さくし、より安定した受電が可能となる。
【0042】
<(4)その他の事項について>
(4-1)本実施形態では、受電アンテナ22が導電部33を介してシート本体部32上に積層されていて、受電アンテナ22とフレキシブルシート31とが一体になっている。そのため、受電アンテナ22及びフレキシブルシート31の両者を1つの部品として扱うことができ、扱いやすさの向上を図ることができる。
【0043】
[変形例]
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0044】
<受電アンテナ22について>
・受電アンテナ22としては、より高い電力を受けやすいパッチアンテナが適しているが、他のタイプ、例えば、逆F型アンテナが用いられてもよい。
【0045】
パッチアンテナは、受信する電波(具体的には電力伝送信号)の波長、誘電体基板の誘電率、厚さ等によってサイズが決まる。そのため、ウェアラブルデバイス20のサイズによっては、パッチアンテナを受電アンテナ22として採用できないことが起り得る。そういった場合には、一般的に使用されている逆F型のアンテナが受電アンテナ22として用いられてもよい。
【0046】
<受電変換部23、受電制御部25及び受電蓄電部24の配置について>
・受電変換部23、受電制御部25及び受電蓄電部24の少なくとも1つは、接触部28とフレキシブルシート31との間とは異なる箇所、例えば、フレキシブルシート31の側方に配置されてもよい。
【0047】
・受電変換部23、受電制御部25及び受電蓄電部24の少なくとも2つは、接触部28とフレキシブルシート31との間で、又は外で、互いに積層された状態で配置されてもよい。
【0048】
<その他の事項>
・フレキシブルシート31のシート本体部32を基材(基板)として機能させることが可能である。この場合、受電変換部23及び受電制御部25の各構成部品を、シート本体部32に直接実装すれば、基板を省略することが可能となる。
【0049】
・ウェアラブルデバイス20の被装着部11への装着は、上記実施形態のように接触部28を粘着パッドによって構成し、これを体表12に貼り付けることによって行うことができる。しかし、接触部28の剥離及び貼り付けを繰り返すと、粘着パッドの粘着力が低下するおそれがある。そこで、腕時計を手首に装着する時計ベルトのようなベルトと粘着パッドとが併用されてもよい。
【0050】
また、ウェアラブルデバイス20を被装着部11に装着する手段として、粘着パッドに代えて上記ベルトが用いられてもよい。この場合、筐体27の一部が接触部28とされてもよい。また、粘着性を有しないパッドが、上記粘着パッドに代えて用いられ、これが接触部28とされてもよい。
【0051】
・受電変換部23を構成する部品、受電制御部25を構成する部品、及び受電蓄電部24を、互いに離間させた状態でフレキシブルシート31のシート本体部32上に配置する。フレキシブルシート31において、隣り合う部品間となる箇所を、同フレキシブルシート31の厚み方向に屈曲し得る屈曲可能部としてもよい。
【0052】
このようにすることで、ウェアラブルデバイス20が全体として可撓性を有することとなる。
ウェアラブルデバイス20を、被装着部11の外形形状に合わせて屈曲可能部において屈曲させる。すると、ウェアラブルデバイス20の全体が、被装着部11の形状に沿った形状となる。そのため、ウェアラブルデバイス20の被装着部11に対する装着感が向上する。
【符号の説明】
【0053】
10…生体
11…被装着部
12…体表
15…非接触給電システム
16…送電装置
20…ウェアラブルデバイス
21…受電装置
22…受電アンテナ
23…受電変換部
24…受電蓄電部
25…受電制御部
26…駆動部
28…接触部
31…フレキシブルシート
32…シート本体部
33…導電部