IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人横浜国立大学の特許一覧 ▶ 株式会社インターネットイニシアティブの特許一覧

特開2023-124488通信品質推定装置、通信品質推定方法、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124488
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】通信品質推定装置、通信品質推定方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20230830BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20230830BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230830BHJP
   H04L 43/0888 20220101ALI20230830BHJP
【FI】
H04W24/08
H04B17/309
H04W84/12
H04L43/0888
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028275
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(71)【出願人】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 友
(72)【発明者】
【氏名】大石 恭弘
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD34
5K067EE10
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】通信品質の測定において、より短時間でより精度良く通信品質を推定する通信品質推定装置を提供する。
【解決手段】無線通信を行う装置間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知する。ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測する。ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う装置間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知する検知手段と、
前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測する計測手段と、
前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、前記無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報を出力する出力手段と、
を備える通信品質推定装置。
【請求項2】
前記計測手段は、前記ビーコン信号の検知数を、当該検知数の前記ビーコン信号の計測時間で除して算出して前記単位時間当たりの検知数を算出する
請求項1に記載の通信品質推定装置。
【請求項3】
前記無線通信を行う装置の利用状況に応じた計測時間を決定する計測時間決定手段と、
を備える請求項2に記載の通信品質推定装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を、前記無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報として出力する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の通信品質推定装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて単位時間当たりのデータ伝送量のスケールに変換し、前記単位時間当たりのデータ伝送量のスケールを、前記無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報として出力する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の通信品質推定装置。
【請求項6】
前記無線通信を行う装置のうちの一方の装置は、アクセスポイントの機能を有する無線通信装置である
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の通信品質推定装置。
【請求項7】
無線通信を行う装置間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知し、
前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測し、
前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、前記無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報を出力する
通信品質推定方法。
【請求項8】
通信品質推定装置のコンピュータを、
無線通信を行う装置間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知する検知手段、
前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測する計測手段、
前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、前記無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報を出力する出力手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信品質推定装置、通信品質推定方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANの親機との通信品質を推定するために受信信号強度の指標であるRSSI(Received Signal Strength Indicator)値を利用することがある。例えば、携帯端末を利用するユーザは、RSSI値に基づいてRSSI値が大きい順に表示されたアクセスポイント装置を通信接続先と選択することが多い。このようにRSSI値は、通信品質を確認するための指標となっている。ここで、通信品質をパッシブ推定する技術が、非特許文献1、非特許文献2に開示されている。
【0003】
非特許文献1には、無線LAN親機が定期的に送信するビーコン信号の遅延から通信品質をパッシブに推定する技術が開示されている。
【0004】
非特許文献2には、無線LAN子機が送信するヌルフレームの再送率から通信品質をパッシブに推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】S.Vasudevan、他4名、“Facilitating Access Point Selection in IEEE802.11 Wireless Networks”、USENIX Association、「5th ACM SICGOMM Conference on Internet Measurement - IMC ’05, Berkeley,California 2005」、p.293-298
【非特許文献2】NAOKI ISHIKAWA、他2名、“Nulls in the Air: Passive and Low-Complexity QoS Estimation Method for a Large-Scale Wi-Fi Network Based on Null Function Data Frames”、「IEEE Access VOLUME7,2019」、2019年2月28日、p.28581-28591
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような通信品質の測定において、無線通信を行う装置の通信を傍受して短時間でより精度良く通信品質を推定する技術の提供が望まれている。
【0007】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する通信品質推定装置、通信品質推定方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、通信品質推定装置は、無線通信を行う装置間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知する検知手段と、前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測する計測手段と、前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、前記無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報を出力する出力手段と、を備える。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、通信品質推定方法は、無線通信を行う装置間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知し、前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測し、前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、前記無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報を出力する。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、通信品質推定装置のコンピュータを、無線通信を行う装置間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知する検知手段、前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測する計測手段、前記ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、前記無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報を出力する出力手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線通信を行う装置の通信を傍受して短時間でより精度良く、無線通信を行う装置との通信における通信品質を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態による通信品質推定装置の機能を備えた通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態による端末装置のハードウェア構成図である。
図3】第一実施形態による端末装置の機能ブロックを示す図である。
図4】第一実施形態による端末装置の処理フローを示す図である。
図5】本実施形態による出力部の出力情報の例を示す第一の図である。
図6】本実施形態による出力部の出力情報の例を示す第二の図である。
図7】本実施形態による出力部の出力情報の例を示す第三の図である。
図8】本実施形態による出力部の出力情報の例を示す第四の図である。
図9】本実施形態による通信システムによる実験結果の例を示す第一の図である。
図10】他の通信システムによる実験結果の例を示す第一の図である。
図11】他の通信システムによる実験結果の例を示す第二の図である。
図12】通信品質の各実験結果における計測結果と実効スループットの相関係数と計測時間Tとの関係を示す図である。
図13】第二実施形態によるAP装置の機能ブロック図である。
図14】第二実施形態によるAP装置2の処理フローを示す図である。
図15】通信負荷をかけた状態における第一の実施例を示す図である。
図16】第一の実施例における通信品質の計測時間Tと、異なる通信品質の測定態様における各計測結果とデータダウンロードの実効スループットの相関係数の関係を示す図である。
図17】通信負荷をかけた状態における第二の実施例を示す図である。
図18】第二の実施例における、異なる通信品質の測定態様における各計測結果とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、通信品質の計測時間Tとの関係を示す図である。
図19】通信負荷をかけた状態における第二の実施例を示す図である。
図20】第三の実施例における、異なる通信品質の測定態様における各計測結果とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、通信品質の計測時間Tとの関係を示す図である。
図21】第三の実施例における、異なる通信品質の測定態様における各計測結果とデータアップロードの実効スループットの相関係数と、通信品質の計測時間Tとの関係を示す図である。
図22】通信品質推定装置の最小構成を示す図である。
図23】最小構成の通信品質推定装置における処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による通信品質推定装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による通信品質推定装置10の機能を備えた通信システム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように通信システムは、端末装置1とアクセスポイント装置2(以下、AP装置2と呼ぶ)とが無線通信接続することにより構成されている。AP装置2は無線LANの規格(IEEE802.11)に対応するWi-Fi(登録商標)を用いて端末装置1と無線による通信接続を行う。AP装置2は、端末装置1から送信された情報を他の通信装置に中継する。またAP装置2は、他の通信装置から送信された情報を端末装置1に中継する。Wi-Fi(登録商標)では、AP装置2が0.1024秒毎にスケジュールしてビーコン信号を送信することを規定している。端末装置1はビーコン信号を受信する。端末装置1は、通信品質推定装置10の機能を備える。端末装置1は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、サーバ装置などであってよい。
【0014】
なお本実施形態においてAP装置2は、無線LANの規格(IEEE802.11)に対応するWi-Fi(登録商標)を用いて端末装置1と無線による通信接続を行うものとするが、AP装置2はビーコン信号を送信する他の通信規格を用いて端末装置1と無線による通信接続を行ってもよい。またはAP装置2はビーコン信号と同様に、定期的にスケジュールされて送信する信号を送信するものであってよい。この場合、端末装置1は、AP装置2から定期的にスケジュールされて送信する信号をパッシブに傍受して、その信号をビーコン信号と同様に扱って以下の処理を行ってもよい。
【0015】
図2は端末装置のハードウェア構成図である。
図2が示すように端末装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、通信モジュール105、記憶装置106等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。なおAP装置2も、同様のハードウェアを備えてよい。
【0016】
<第一実施形態>
図3は第一実施形態による端末装置の機能ブロックを示す図である。
図3で示すように、端末装置1(通信品質推定装置10)は、予め記憶する通信品質推定プログラムを実行する。これにより端末装置1は、受信部11、計測部12、計測時間決定部13、出力部14の各機能を発揮する。
【0017】
受信部11は、無線通信を行う端末装置1とAP装置2の間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知する。
計測部12は、ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測する。
計測時間決定部13は、通信装置の利用状況に応じた計測時間を決定する。
出力部14は、ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、端末装置1とAP装置2の間の通信品質に関する情報を出力する。
【0018】
このように通信品質推定装置10の機能を備えた端末装置1は、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数を通信品質として出力する。このような処理により、端末装置1は、AP装置2との間の通信品質の測定において、より短時間でより精度良く通信品質を推定する。
【0019】
図4は第一実施形態による端末装置の処理フローを示す図である。
次に、端末装置1の処理フローを順を追って説明する。
AP装置2が送信する無線信号の到達範囲に入った端末装置1は、AP装置2との通信の通信圏内に入ったことを検知する(ステップS101)。この通信圏内に入ったことの検知は、公知の技術を用いてよい。一例として端末装置1の受信部11は、RSSI値が閾値以上となった場合に、そのRSSI値が閾値以上となった無線通信を行うAP装置2の通信圏内に入ったと検知してもよい。端末装置1の受信部11は、他の処理によりAP装置2の通信圏内に入ったと検知してもよい。
【0020】
端末装置1は、AP装置2の通信圏内に入ったことを検知すると、AP装置2から送信されるビーコン信号の受信を検知する(ステップS102)。ビーコン信号は、例えば、ビーコン信号のデータフレームにおける所定のデータ領域に情報としてビーコン信号であることの種別の情報が記録されている。受信部11は、ビーコン信号の受信を検知すると、ビーコン信号を受信したことを計測部12に出力する。
【0021】
計測部12は、計測時間決定部13が決定した計測時間Tの間にビーコン信号を受信した回数nをカウントする(ステップS103)。なお計測時間決定部13の決定する計測時間Tは、予め端末装置1に記録された時間であってもよいし、AP装置2から送信された何らかの信号に含まれる情報であってもよい。または、端末装置1が、RSSI値やその他の情報から推定した時間の情報であってもよい。計測時間Tが固定の場合には、端末装置1に計測時間決定部23の機能が端末装置1に備わらなくてもよい。計測部12は、式(1)を用いて、計測時間Tの間にビーコン信号を受信した回数nを、計測時間で除することにより、単位時間当たりのビーコン信号の受信回数Cbを算出する(ステップS104)。計測部12は、単位時間当たりのビーコン信号の受信回数Cbを、出力部14へ出力する。
【0022】
【数1】
【0023】
図5は本実施形態による出力部の出力情報の例を示す第一の図である。
図6は本実施形態による出力部の出力情報の例を示す第二の図である。
図7は本実施形態による出力部の出力情報の例を示す第三の図である。
図8は本実施形態による出力部の出力情報の例を示す第四の図である。
出力部14は、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbを、AP装置2との間の通信品質に関する情報として出力する(ステップS105)。例えば出力部14は、端末装置1のディスプレイに、AP装置2との通信の良し悪しの通信状態を示すアイコンaの横に、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbを出力する(図5参照)。出力部14は、端末装置1のディスプレイに、AP装置2との通信の良し悪しの通信状態を示す情報として、単にビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbを出力するようにしてもよい(図6参照)。端末装置1を利用するユーザは、このビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbが多いほど、AP装置2との間の通信品質が良いと判定する。
【0024】
端末装置1の出力部14は、近傍の数メートルから数十メートルの範囲に複数のAP装置2が存在する場合、それら複数のAP装置2の通信圏内に入ったことを検知した場合には、通信圏内にある全てのAP装置2の通信状態を示す情報として各単位時間当たりの受信回数Cbを算出する。出力部14は、AP装置の名称等の識別子に紐づけて、各AP装置2の送信するビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbを、AP装置2ごとに表示するようにしてもよい。
【0025】
または出力部14は、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数を、データ伝送量のスケールに変換して出力するようにしてもよい。例えば出力部14は、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数に、単位時間当たりのデータ伝送量のスケールに変換するための係数を乗じて、データ伝送量のスケールに準じた情報に変換する。より具体的には、出力部14は、ビーコン信号の単位時間当たりの受信するCbに、スケール変換係数Kを乗じて、単位時間当たりのデータ送信量(0mbps~10mbps/0mbps~100mbpsなど)に変換して、その単位時間当たりのデータ送信量を、通信品質に関する情報として出力するようにしてもよい。この場合も出力部14は、ディスプレイに表示されたAP装置2の名称等の識別子や、AP装置2との通信の良し悪しの通信状態を示すアイコンの横に、通信品質に関する情報として当該データ送信量を出力するようにしてもよい(図7参照)。また出力部14は、その単位時間当たりのデータ送信量をインジケータにより表示してもよい(図8参照)。
【0026】
図9は、通信システムによる実験結果の例を示す第一の図である。
図9は、例えば、端末装置1における計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb(Beacon count[/s])の計測結果と、その時のAP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との関係を実験によって計測したデータを示す。なおAP装置2における実効スループットは、図9のグラフ中縦軸の0.0が0mbps、1.0が10mbpsを示す。計測時間を0.1秒~0.9秒、1秒~10秒と変化させて、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbと、その時のAP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量)との関係を実験によって計測したところ、図9が示すように、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbと、その時のAP装置2における実効スループットとの相関係数は0.874、p値は0.005以下と相関に関して有意な数値が得られた。
【0027】
図10は、他の通信システムによる実験結果の例を示す第一の図である。
図10は、非特許文献1の技術に関連して平均ビーコン信号送信間隔の計測結果と、AP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との関係を実験によって計測した場合のデータである。なおAP装置2における実効スループットは、図10のグラフ中縦軸の0.0が0mbps、1.0が10mbpsを示す。計測時間を0.1秒~0.9秒、1秒~10秒と変化させて、平均ビーコン信号送信間隔と、AP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量)との関係を実験によって計測したところ、図10が示すように、平均ビーコン信号送信間隔と、その時のAP装置2における実効スループットとの相関係数は-0.839、p値は0.005以下となった。つまり、図9で示す計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbと、その時のAP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量)との相関がより有意であることが分かる。
【0028】
図11は、他の通信システムによる実験結果の例を示す第二の図である。
図10は、非特許文献2の技術に関連して無線LAN子機が送信するヌルフレーム(NFDF;Null Function Data frame)の再送率(NFDF retry rate)の計測結果と、AP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との関係を実験によって計測した場合のデータである。なおAP装置2における実効スループットは、図11のグラフ中縦軸の0.0が0mbps、1.0が10mbpsを示す。計測時間を0.1秒~0.9秒、1秒~10秒と変化させて、平均ビーコン信号送信間隔と、AP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量)との関係を実験によって計測したところ、図11が示すように、ヌルフレーム(NFDF)の再送率と、その時のAP装置2における実効スループットとの相関係数は-0.136、p値は0.020となった。つまり、図9で示す計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbと、その時のAP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量)との相関がより有意であることが分かる。
【0029】
図12は、各実験結果における計測結果と実効スループットの相関係数と通信品質の計測時間Tとの関係を示す図である。
図9図10図11で示した実験結果に基づいて、各実験結果における計測結果と実効スループットの相関係数(Correlation coefficient)と通信品質の測定における計測時間T(Measurement intervals[s])との関係を示す。
【0030】
実線(Beacon count)が図9で示す実験結果に基づく、計測結果(ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb)と実効スループットの相関係数と計測時間Tとの関係を示す。点線(Beacon interval)が図10で示す実験結果に基づく、計測結果(平均ビーコン信号送信間隔)と実効スループットの相関係数と計測時間Tとの関係を示す。一点鎖線(NFDF retry rate)が図11で示す実験結果に基づく、計測結果(ヌルフレーム(NFDF)の再送率)と実効スループットの相関係数と計測時間Tとの関係を示す。計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb(Beacon count[/s])と、その時のAP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との関係を実験によって計測したデータに基づく手法(図9の結果)が、最も短い時間(10-1秒=0.1秒)でも、実効スループットとの相関の高いデータ(ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb)を得ることができる。
【0031】
つまり本実施形態による、通信品質推定装置10の機能を備えた端末装置1は、より短時間で、より良い精度の通信品質を検出することができる。
【0032】
また本実施形態による、通信品質推定装置10の機能を備えた端末装置1によれば、無線通信にデータ送信等の負荷をかけることなくAP装置2との間の無線通信における通信品質を検出することができる。
【0033】
また本実施形態による、通信品質推定装置10の機能を備えた端末装置1によれば、アクセスポイント装置における使用チャネルが意図せずに自動変更されるような場合にも、単位時間当たりのビーコン信号の受信回数に基づいて、即時に通信品質の悪化を検出することができる。
【0034】
<第二実施形態>
図13は、第二実施形態によるAP装置の機能ブロック図である。
第一実施形態では、端末装置1が通信品質推定装置10の機能を有する場合の例を示した。しかしながら、通信品質推定装置10の機能を、AP装置2が備えていてもよい。
【0035】
図13で示すように、第二実施形態によるAP装置2は、予め記憶する通信品質推定プログラムを実行する。これによりAP装置2は、アクセスポイント機能部21(以下、AP機能部21と呼ぶ)の機能の他に、通信品質推定の機能として、計測部22、計測時間決定部23、出力部24の各機能を発揮する。
【0036】
AP機能部21は、通信接続先の通信装置となる端末装置1へのビーコン信号の送信を検出する。
計測部22は、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数を計測する。計測部22は、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数を、当該受信回数のビーコン信号の計測時間で除することによりビーコン信号の単位時間当たりの受信回数を算出する。
計測時間決定部23は、通信装置の利用状況に応じた計測時間を決定する。
出力部24は、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数に基づいて、自装置(AP装置2)の通信品質に関する情報を出力する。
【0037】
このように通信品質推定装置10の機能を備えたAP装置2は、ビーコン信号の単位時間当たりの送信回数を通信品質として出力する。このような処理により、AP装置2は自装置の通信品質の測定において、より短時間でより精度良く自装置の他装置との無線通信における通信品質を推定する。
【0038】
図14は、第二実施形態によるAP装置2の処理フローを示す図である。
次に、AP装置2の処理フローを順を追って説明する。
AP装置2のAP機能部21は、自装置におけるビーコン信号の送信を検知する(ステップS201)。AP機能部21は、ビーコン信号の送信を検知すると、ビーコン信号を送信したことを計測部22に出力する。
【0039】
計測部22は、計測時間決定部13が決定した計測時間Tの間に自装置の送信するビーコン信号の送信回数nをカウントする(ステップS202)。なお計測時間決定部13の決定する計測時間Tは、予めAP装置2に記録された時間であってもよいし、端末装置1やその他の計測装置やサーバ装置等から送信された何らかの信号に含まれる情報であってもよい。または、端末装置1が、RSSI値やその他の情報から推定した時間の情報を、端末装置1やその他の計測装置、サーバ装置から受信した情報であってもよい。なお計測時間Tが固定の場合には、AP装置2に計測時間決定部23の機能が備わらなくてもよい。計測部22は、式(2)を用いて、計測時間Tの間にビーコン信号を送信した回数nを、計測時間で除することにより、単位時間当たりのビーコン信号の送信回数Cbを算出する(ステップS203)。計測部22は、単位時間当たりのビーコン信号の送信回数Cbを、出力部24へ出力する。
【0040】
【数2】
【0041】
出力部24は、ビーコン信号の単位時間当たりの送信回数Cbを、現在の自装置の通信品質に関する情報として出力する(ステップS204)。例えば出力部14は、自装置に備わるディスプレイなどの表示部や、端末装置1、計測装置、サーバ装置などに送信するようにしてもよい。AP装置2のディスプレイに通信品質に関する情報を出力する場合には、AP装置2の出力部24は、他の自装置にアクセスする端末装置1等との通信の良し悪しの通信状態を示すアイコンの横に、ビーコン信号の単位時間当たりの送信回数Cbを出力してもよい。出力部24は、自装置のディスプレイに、端末装置1等との通信の良し悪しの通信状態を示す情報として、単にビーコン信号の単位時間当たりの送信回数Cbを出力するようにしてもよい。AP装置2を確認するユーザは、このビーコン信号の単位時間当たりの送信回数Cbが多いほど、AP装置2との間の通信品質が良いと判定する。
【0042】
または出力部24は、ビーコン信号の単位時間当たりの送信回数Cbを、データ伝送量のスケールに変換して出力するようにしてもよい。例えば出力部24は、ビーコン信号の単位時間当たりの送信回数に、単位時間当たりのデータ伝送量のスケールに変換するための係数を乗じて、データ伝送量のスケールに準じた情報に変換する。より具体的には、出力部24は、ビーコン信号の単位時間当たりの送信回数Cbに、スケール変換係数Kを乗じて、単位時間当たりのデータ送信量(0mbps~10mbps/0mbps~100mbpsなど)に変換して、その単位時間当たりのデータ送信量を、通信品質に関する情報として出力するようにしてもよい。この場合も出力部24は、通信の良し悪しの通信状態を示すアイコンの横に、通信品質に関する情報として当該データ送信量を出力するようにしてもよい。これらの通信品質に関する情報の出力態様は、第一の実施形態における図5図8で説明した態様と同様であって良い。
【0043】
<第一の実施例>
図15は通信負荷をかけた状態における第一の実施例を示す図である。
図15の例では、通信システム100が、AP装置2とAP装置2に無線通信接続する端末装置1の他、通信実施端末装置3、負荷データ受信装置4、負荷データ送信装置5、観測装置6が、AP装置2に無線通信接続している。この状態で、第一の実施例では、負荷データ受信装置4が単位時間あたりに大量のデータをダウンロードして、AP装置2にダウンロード負荷をかけている。なお二台の通信実施端末装置3はAP装置2を中継してインターネットなどのAP装置2をゲートウェイとして外部の通信装置と通信しているものとする。この状態で、端末装置1がAP装置2と無線通信接続してAP装置2との間のデータダウンロードの通信品質を推定する。または観測装置6が通信品質推定装置10としての機能を有しており、AP装置2と無線通信接続してAP装置2との間のデータダウンロードの通信品質を推定してもよい。
【0044】
図16は、第一の実施例における通信品質の計測時間Tと、異なる通信品質の測定態様における各計測結果とデータダウンロードの実効スループットの相関係数の関係を示す図である。
実線(Beacon count)が、図15で示すシステムの負荷状態における、計測結果(ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb)とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
点線(Beacon interval)が、図15で示すシステムの負荷状態における、計測結果(平均ビーコン信号送信間隔)とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
一点鎖線(NFDF retry rate)が、図15で示すシステムの負荷状態における、計測結果(ヌルフレーム(NFDF)の再送率)とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
【0045】
第一の実施例において、負荷データ受信装置4が単位時間あたりに大量のデータをダウンロードして、AP装置2にダウンロード負荷をかけている状態である。このような状態においても、計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb(Beacon count[/s])と、その時のAP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との関係の相関は高く、より短時間で、より良い精度の通信品質を検出することができることが分かる。
【0046】
<第二の実施例>
図17は通信負荷をかけた状態における第二の実施例を示す図である。
図17の例では、通信システム100が、AP装置2とAP装置2に無線通信接続する端末装置1の他、通信実施端末装置3、負荷データ受信装置4、負荷データ送信装置5、観測装置6が、AP装置2に無線通信接続している。この状態で、第一の実施例では、負荷データ送信装置5が単位時間あたりに大量のデータをアップロードして、AP装置2にアップロード負荷をかけている。なお二台の通信実施端末装置3はAP装置2を中継してインターネットなどのAP装置2をゲートウェイとして外部の通信装置と通信しているものとする。この状態で、端末装置1がAP装置2と無線通信接続してAP装置2との間のデータアップロードの通信品質を推定する。または観測装置6が通信品質推定装置10としての機能を有しており、AP装置2と無線通信接続してAP装置2との間のデータアップロードの通信品質を推定してもよい。
【0047】
図18は、第二の実施例における、異なる通信品質の測定態様における各計測結果とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、通信品質の計測時間Tとの関係を示す図である。
実線(Beacon count)が、図17で示すシステムの負荷状態における、計測結果(ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb)とデータアップロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
点線(Beacon interval)が、図17で示すシステムの負荷状態における、計測結果(平均ビーコン信号送信間隔)とデータアップロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
一点鎖線(NFDF retry rate)が、図17で示すシステムの負荷状態における、計測結果(ヌルフレーム(NFDF)の再送率)とデータアップロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
【0048】
第二の実施例において、負荷データ送信装置5が単位時間あたりに大量のデータをアップロードして、AP装置2にアップロード負荷をかけている状態である。このような状態においても、計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb(Beacon count[/s])と、その時のAP装置2における実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との関係の相関は高く、他の結果と比較してより短時間で、より良い精度の通信品質を検出することができることが分かる。
【0049】
<第三の実施例>
図19は通信負荷をかけた状態における第二の実施例を示す図である。
図19の例では、通信システム100が、AP装置2とAP装置2に無線通信接続する端末装置1の他、通信実施端末装置3、負荷データ受信装置4、負荷データ送信装置5、観測装置6が、AP装置2に無線通信接続している。この状態で、第二の実施例では、負荷データ受信装置4が単位時間あたりに大量のデータをダウンロードし、かつ負荷データ送信装置5が単位時間あたりに大量のデータをアップロードして、AP装置2にダウンロード負荷とアップロード負荷をかけている。なお図15同様に、二台の通信実施端末装置3はAP装置2を中継してインターネットなどのAP装置2をゲートウェイとして外部の通信装置と通信しているものとする。この状態で、端末装置1がAP装置2と無線通信接続してAP装置2との間のデータアップロードとデータアップロードの各通信品質を推定する。または観測装置6が通信品質推定装置10としての機能を有しており、AP装置2と無線通信接続してAP装置2との間のデータアップロードとデータアップロードの各通信品質を推定してもよい。
【0050】
図20は、第三の実施例における、異なる通信品質の測定態様における各計測結果とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、通信品質の計測時間Tとの関係を示す図である。
実線(Beacon count)が、図19で示すシステムの負荷状態における、計測結果(ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb)とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
点線(Beacon interval)が、図19で示すシステムの負荷状態における、計測結果(平均ビーコン信号送信間隔)とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
一点鎖線(NFDF retry rate)が、図19で示すシステムの負荷状態における、計測結果(ヌルフレーム(NFDF)の再送率)とデータダウンロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
【0051】
第三の実施例において、負荷データ受信装置4が単位時間あたりに大量のデータをダウンロードし、かつ負荷データ送信装置5が単位時間あたりに大量のデータをアップロードして、AP装置2にダウンロード負荷とアップロード負荷をかけている状態である。このような状態においても、計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb(Beacon count[/s])と、その時のAP装置2におけるデータダウンロードの実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との関係の相関は高く、他の結果と比較してより短時間で、より良い精度の通信品質を検出することができることが分かる。
【0052】
図21は、第三の実施例における、異なる通信品質の測定態様における各計測結果とデータアップロードの実効スループットの相関係数と、通信品質の計測時間Tとの関係を示す図である。
実線(Beacon count)が、図19で示すシステムの負荷状態における、計測結果(ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb)とデータアップロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
点線(Beacon interval)が、図19で示すシステムの負荷状態における、計測結果(平均ビーコン信号送信間隔)とデータアップロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
一点鎖線(NFDF retry rate)が、図19で示すシステムの負荷状態における、計測結果(ヌルフレーム(NFDF)の再送率)とアップダウンロードの実効スループットの相関係数と、計測時間Tとの関係を示す。
【0053】
第三の実施例において、負荷データ受信装置4が単位時間あたりに大量のデータをダウンロードし、かつ負荷データ送信装置5が単位時間あたりに大量のデータをアップロードして、AP装置2にダウンロード負荷とアップロード負荷をかけている状態である。このような状態においても、計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb(Beacon count[/s])と、その時のAP装置2におけるデータアップロードの実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との関係の相関は高く、他の結果と比較してより短時間で、より良い精度の通信品質を検出することができることが分かる。
【0054】
なお、図20図21から分かるように、通信システム100の負荷状態に応じて、計測時間Tに応じたビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cb(Beacon count[/s])と、その時のAP装置2におけるデータアップロードの実効スループット(単位時間当たりの伝送量;Effective throughput[byte/s])との相関係数は変化する。例えば図20の結果では、計測時間が0.1秒程度の場合、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbと、その時のAP装置2におけるデータアップロードの実効スループットとの相関係数は0.2近傍と他の結果よりも高いものの値としては低い。他方、図20の結果では、計測時間が1秒を越えると、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbと、その時のAP装置2におけるデータアップロードの実効スループットとの相関係数は0.5以上となり、他の結果よりも高いと共に、値としても評価のできる値となる。つまり、このように通信システム100の負荷状態によって、計測時間に応じて、ビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbと、その時のAP装置2におけるデータアップロードの実効スループットとの相関係数が変動する。従って、通信品質推定装置10の機能を有する端末装置1の計測時間決定部13や、AP装置2の計測時間決定部23は、通信システムの負荷状態に基づいて、計測時間を可変に決定するようにしてもよい。
【0055】
例えば、AP装置2の計測時間決定部23は、単位時間当たりのデータダウンロード負荷(mbps)と、単位時間当たりのデータアップロード負荷(mbps)が共に閾値以上である場合(図19の例の場合)には、計測時間Tを1秒(10秒)以上に設定する。また、AP装置2の計測時間決定部23は、単位時間当たりのデータダウンロード負荷(mbps)のみが閾値以上である場合(図15の例の場合)には、計測時間Tを1秒(10秒)近傍に設定する。AP装置2はこの設定した計測時間Tを端末装置1に通知して、端末装置1がその計測時間Tを用いてビーコン信号の単位時間当たりの受信回数Cbを算出するようにしてもよい。または端末装置1が、AP装置2から負荷状態に関する情報を取得できれば、端末装置1の計測時間決定部13が、計測時間Tを同様に設定してもよい。
【0056】
図22は通信品質推定装置の最小構成を示す図である。
図23は最小構成の通信品質推定装置における処理フローを示す図である。
通信品質推定装置10(端末装置1やAP装置2)は、少なくとも、検知手段151と、計測手段152と、出力手段153と、を備える。
【0057】
検知手段151は、無線通信を行う装置間で送信が予めスケジュールされるビーコン信号の送信を検知する(ステップS191)。
計測手段152は、ビーコン信号の単位時間当たりの検知数を計測する(ステップS192)。
出力手段153は、ビーコン信号の単位時間当たりの検知数に基づいて、無線通信を行う装置間の通信品質に関する情報を出力する(ステップS193)。
【0058】
上述の通信品質推定装置10は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0059】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1・・・端末装置
2・・・AP装置(無線通信装置)
3・・・通信実施端末装置
4・・・負荷データ受信装置
5・・・負荷データ送信装置
6・・・観測装置
10・・・通信品質推定装置
11・・・受信部(検知手段)
12,22・・・計測部(計測手段)
13,23・・・計測時間決定部(計測時間決定手段)
14,24・・・出力部(出力手段)
21・・・AP機能部(検知手段)
151・・・検知手段
152・・・計測手段
153・・・出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23