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▶ 日東精工株式会社の特許一覧

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  • 特開-給袋装置およびこれを備えた包装機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124502
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】給袋装置およびこれを備えた包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/18 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
B65B43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028294
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】段 良雄
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BA02
3E030BB02
3E030BC02
3E030DA02
3E030EB02
3E030GA02
3E030GA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比較的安価に製造可能な包装機の提供。
【解決手段】水平姿勢の袋を複数枚積層して貯留するマガジン31と、前記マガジン31から袋Hを吸着保持する吸着部33と、前記吸着部33に駆動源37の駆動を伝達するとともに、吸着部33の運動方向を適宜変換し、吸着部に保持された袋を次工程へ供給するカム機構とを備える給袋装置において、前記カム機構は、吸着部33をマガジン31上で昇降させる昇降運動、旋回軸32を中心に吸着部33を旋回させる旋回運動、および吸着部を前後に移動させて袋Hを次工程に供給する前後運動に変換するように構成されていることを特徴とする給袋装置による。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平姿勢の袋を複数枚積層して貯留するマガジンと、
前記マガジンから袋を吸着保持する吸着部と、
前記吸着部に駆動源の駆動を伝達するとともに、吸着部の運動方向を適宜変換し、吸着部に保持された袋を次工程へ供給するカム機構とを備える給袋装置において、
前記カム機構は、吸着部をマガジン上で昇降させる昇降運動、旋回軸を中心に吸着部を旋回させる旋回運動、および吸着部を前後に移動させて袋を次工程に供給する前後運動に変換するように構成されていることを特徴とする給袋装置。
【請求項2】
前記カム機構は、
前記吸着部に設けられるカムフォロアと、
前記カムフォロアが嵌合し、吸着部の昇降運動、旋回運動および前後運動の軌跡を形成する固定カム溝が形成された固定カムと、
前記固定カムと対向する位置で前記駆動源の駆動に伴って昇降可能に設けられ、前記カムフォロアが嵌合し、吸着部の前後運動軌跡を形成する可動カム溝が形成された可動カムとから構成され、
前記固定カムの固定カム溝において、前後運動軌跡を形成する部分は、水平溝に形成される一方、前記可動カムの可動カム溝には、傾斜溝が形成され、カムフォロアがこれら水平溝および傾斜溝に嵌合する状態で可動カムを昇降させたとき、カムフォロアは、これら溝に案内されて吸着部が前後運動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の給袋装置。
【請求項3】
前記駆動源が電動アクチュエータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給袋装置。
【請求項4】
前記可動カムの可動カム溝には、上方に開口する開口溝が形成されており、可動カムは、前記カムフォロアと離脱可能に構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の給袋装置
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れかに記載された給袋装置を備えた包装機。
【請求項6】
前記給袋装置から袋を受け取り把持する把持機構を有し、当該把持機構は、回転テーブルに複数個配置されていることを特徴とする請求項5に記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋を供給する給袋装置および、この給袋装置によって供給された袋に対して所望ワークを収容する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装機において、袋を供給する給袋装置として、特許文献1に記載の包装機に使用された給袋装置等が知られている。この給袋装置は、所定の袋を水平姿勢に多数積層した状態で貯留可能なマガジンと、このマガジン上に待機する吸着部と、この吸着部を移動させるパッド駆動部を備えており、このパッド駆動部は、吸着部を昇降させるシリンダと、前記吸着部を所定の旋回軸を中心に旋回させるスイングシリンダとから構成されていた。このため、吸着部は、前記シリンダの駆動を受けて昇降することで、マガジンから袋を取り出すとともに、スイングシリンダの駆動を受けて旋回駆動することで、袋を水平姿勢から開口部を上方に向けた鉛直姿勢まで旋回させることが可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5016275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装機は、前述のように昇降駆動源と旋回駆動源の両方が必要であるため、制御が複雑になるとともに装置が高額になる等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、一つの駆動源で袋を供給可能な給袋装置の提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、水平姿勢の袋を複数枚積層して貯留するマガジンと、前記マガジンから袋を吸着保持する吸着部と、前記吸着部に駆動源の駆動を伝達するとともに、吸着部の運動方向を適宜変換し、吸着部に保持された袋を次工程へ供給するカム機構とを備える給袋装置において、前記カム機構は、吸着部をマガジン上で昇降させる昇降運動、旋回軸を中心に吸着部を旋回させる旋回運動、および吸着部を前後に移動させて袋を次工程に供給する前後運動に変換するように構成されていることを特徴とする。なお、前記カム機構は、前記吸着部に設けられるカムフォロアと、前記カムフォロアが嵌合し、吸着部の昇降運動、旋回運動および前後運動の軌跡を形成する固定カム溝が形成された固定カムと、前記固定カムと対向する位置で前記駆動源の駆動に伴って昇降可能に設けられ、前記カムフォロアが嵌合し、吸着部の前後運動軌跡を形成する可動カム溝が形成された可動カムとから構成され、前記固定カムの固定カム溝において、前後運動軌跡を形成する部分は、水平溝に形成される一方、前記可動カムの可動カム溝には、傾斜溝が形成され、カムフォロアがこれら水平溝および傾斜溝に嵌合する状態で可動カムを昇降させたとき、カムフォロアは、これら溝に案内されて吸着部が前後運動するように構成されていることが好ましい。また、前記駆動源が電動アクチュエータであることが好ましい。さらに、前記可動カムの可動カム溝には、上方に開口する開口溝が形成されており、可動カムは、前記カムフォロアと離脱可能に構成されていることが好ましい。
【0006】
また、本発明の第2の目的は、上記給袋装置を備える包装機の提供を目的とする。なお、前記給袋装置から袋を受け取り把持する把持機構を有し、当該把持機構は、回転テーブルに複数個配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の包装機は、昇降駆動源の昇降運動を吸着部の昇降運動と旋回運動と前進運動とに変換するカム機構を備えており、一つの昇降駆動源の駆動のみにて袋を次工程に供給することができる。これにより、従来の包装機のように複数個の駆動源を制御する必要がなくなり、容易に制御できる等の利点がある。なお、カム機構は、吸着部と連動するカムフォロアおよびこのカムフォロアと嵌合する固定カムおよび可動カムであるため、比較的安価に製造可能等の利点もある。また、前記昇降駆動源が電動アクチュエータであり、吸着部の停止位置をこまめに調節することが可能となるため、次工程と干渉しない位置で袋および吸着部を待機させ、サイクルタイムを短くできる等の利点もある。さらに前記可動カムに開口溝が形成され、可動カムとカム部材とが離脱可能に構成されているため、吸着部がマガジン内の袋を過度に押圧すること等が防止される。このため、吸着部や袋の破損が防止される等の利点もある。
【0008】
また、上記給袋装置を備えた包装機は、上述のように給袋装置が一つの駆動源で制御でき、制御が用意となるため、安価に製造出来る等の利点がある。なお、吸着部が前進する構造のため、把持機構が回転テーブルの回転に従い回転する包装機であっても、吸着部および袋が把持機構に干渉することを防止でき、確実に袋を受け渡せる等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る包装機の構造を示す平面概略図である。
図2図1の状態から次の状態へ移行する動作を示す平面概略図である。
図3】本発明に係る給袋装置の構造を示す要部拡大一部断面側面図である。
図4図3の状態から次の状態へ移行する動作を示す要部拡大一部断面側面図である。
図5図4の状態から次の状態へ移行する動作を示す要部拡大一部断面側面図である。
図6】本発明に係る給袋装置の構造を示す要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。図1および図2において10は、矩形の袋Hに所定のワークを収容する包装機10である。この包装機10は、図1に示すように基台11上に固定された駆動モータ12と、この駆動モータ12の駆動を受けて間欠回転可能な回転テーブル13とを備えている。また、回転テーブル13には、袋Hを把持する把持機構20が複数組円周方向に沿って所定の間隔で設けられており、前記基台11上には、図1に示すように前記回転テーブル13による把持機構20の間欠回転停止位置に袋Hを供給する給袋装置30と、袋Hを開口する開口機構40と、開口された袋H内にワークを収容する投入機構50と、ワークを内包する袋Hの開口部を閉鎖する封止機構60と、開口部が閉鎖された袋Hを排出する排出シュート70とが配設されている。さらに、包装機10は、制御部(図示せず)を備えており、この制御部により各機構の駆動が制御されている。
【0011】
前記袋Hは、その一辺を開口可能にした矩形の平袋であり、内部にワークを貯留可能な容量に設定されている。この袋Hは、アルミニウムからなる外層と、熱可塑性樹脂の一例であるポリプロピレンからなる内層からなる二層構造を成しており、加熱されることで内層のポリプロピレンが溶着され、当該加熱箇所を封止可能に構成されている。
【0012】
前記把持機構20は、それぞれ袋Hの側方縁部を把持する一対の把持爪21、21を備えており、この把持爪21、21は、所定の把持爪開閉機構の駆動を受けて開閉可能に構成されている。
【0013】
前記給袋装置30は、図3に示すように前記袋Hを貯留可能なマガジン31を備えている。このマガジン31は、上方に開口した箱形状に構成されており、その内部には、水平姿勢の袋Hが複数枚積層して貯留されている。このマガジン31の上方には、水平方向に延びる旋回軸32が設けられており、この旋回軸32には、吸着部33が旋回可能に吊下支持されている。この吸着部33は、前記旋回軸32に支持されるスライドテーブル331を有しており、このスライドテーブル331は、その摺動部332が前記旋回軸32と接近、離反する方向に摺動するように配置されている。この摺動部332には、袋Hを吸着保持可能な吸着パッド34が装着されており、この吸着パッド34には、供給用吸気手段(図示せず)が連続している。このため、供給用吸気手段が作動することにより、吸着パッド34に袋Hを吸着保持できる。なお、袋Hは、後述する給袋装置30の旋回駆動により開口部が上方を向くよう、マガジン31では、開口部が前方に向くよう揃えられている。
【0014】
また、前記吸着部33には、図6に示すように前記旋回軸32と平行に配されるカムフォロア35が設けられている。このカムフォロア35は、前記スライドテーブル331の摺動部332に連結しており、前記吸着パッド34と一定の間隔を保持するよう構成されている。さらに、給袋装置30は、前記カムフォロア35と嵌合する固定カム36およびカムフォロア35を昇降させる昇降駆動源37とを有している。この固定カム36には、前記カムフォロア35の長手方向寸法より薄く構成された板状部材であり、カムフォロア35と嵌合する固定カム溝361が貫通形成されている。この固定カム溝361は、上下方向に延びる鉛直溝362と、この鉛直溝362の上端に連続し、上方に向かうにつれ徐々に前方(回転テーブル13の径方向内側)に向かい湾曲する湾曲溝363と、この湾曲溝363の上端部に連続し、前方に延びる水平溝364とから構成されている。しかも、前記昇降駆動源37の可動部には、可動カム38が連結されている。この可動カム38は、前記固定カム36と対向するように配置された板状部材であり、この可動カム38にも、カムフォロア35と嵌合する可動カム溝381が形成されている。この可動カム溝381は、前記固定カム溝361の鉛直溝362と重複する位置に形成され、上側に向かい開口する開口溝382と、この開口溝382の前方に連続し、前方に向かうに連れて徐々に下方に向かい傾斜する傾斜溝383とから構成されている。
【0015】
上記構造のため、昇降駆動源37が可動部を下降させた状態では、スライドテーブル331等の自重によりカムフォロア35は、固定カム溝361に沿って下降し、前記吸着パッド34がマガジン31内最上位の袋Hに当接する一方、昇降駆動源37が可動カム38を上昇させると、可動カム38の開口溝382がカムフォロア35に当接し、これを上方に押し上げる。これにより、カムフォロア35が固定カム溝361に沿って上昇することで図3の二点鎖線に示すようにスライドテーブル331の摺動部332および吸着パッド34が上昇するとともに、図4に示すようにスライドテーブル331が水平方向を向くようまで旋回する。その後、昇降駆動源37がさらに可動カム38を上昇させると、図5に示すようにカムフォロア35が可動カム溝381の傾斜溝383および前記固定カム溝361の水平溝364に沿って前進し、これに連結されたスライドテーブル331の摺動部332および吸着パッド34を前進させる。このように、カムフォロア35に嵌合して吸着部33の昇降運動、旋回運動および前後運動の軌跡を形成する固定カム溝361が形成された固定カム36に対して、カムフォロア35と嵌合して吸着部33の前後運動軌跡を形成する可動カム溝381が形成された可動カム38を昇降させることで、一つの昇降駆動源37の駆動で吸着部33を昇降運動、旋回運動および前後運動させることが可能となる。なお、前記昇降駆動源37は、可動部の上昇停止位置を調節可能に構成された電動アクチュエータであり、前記制御部からの信号に従い、可動部および可動カム38が前記カムフォロア35を前方に押し出す量を調節可能に構成されている。
【0016】
前記開口機構40は、前記把持機構20とほぼ同じ高さに設けられており、前記把持爪21,21に把持された袋Hの表裏面それぞれに当接する一対の開口用吸着パッド41,41およびこの開口用吸着パッド41,41を袋Hと直交方向に往復駆動させるパッド開口駆動部(図示せず)を備える。開口用吸着パッド41には、開口用吸気手段(図示せず)が連続しており、この開口用吸気手段が作動することにより、開口用吸着パッド41が袋Hを吸着可能となる。
【0017】
前記投入機構50は、前記把持機構20より、上側に設けられた投入シュート51と、この投入シュート51を昇降させる投入駆動部(図示せず)とから構成されている。この投入シュート51の上側には、外部の部品供給装置(図示せず)が連続しており、部品供給装置から供給された部品を任意の個数ずつ袋H内に供給可能に構成されている。
【0018】
前記封止機構60は、袋Hの開口箇所付近を挟持するよう配置された一対のヒータ部材61,61と、このヒータ部材61,61を袋Hと直交方向に往復駆動させる封止駆動部(図示せず)とから構成されており、このヒータ部材61,61は、通電すると袋Hを溶着可能な温度にまで加熱されるように構成されている。
【0019】
前記排出シュート70は、前記袋Hに対して十分な広さを有する中空筒状部材から構成されており、その上側開口端が前記把持機構20に把持された袋Hより下方に位置するよう配設されている。
【0020】
次に、上記のように構成された包装機10の作用を説明する。
図3に示すように吸着パッド34がマガジン31内の最上位の袋Hに当接している状態で駆動信号が入力されると、制御部は、前記把持爪開閉機構を作動させて把持爪21を開口するとともに、前記吸気手段を駆動させて吸着パッド34に袋Hを吸着保持させる。吸着パッド34が袋Hを吸着すると、前記昇降駆動源37が駆動して、可動カム38を上昇させる。これにより、当該可動カム38に押し上げられたカムフォロア35が前記固定カム溝361に沿って上昇するため、図3の二点鎖線に示すように吸着パッド34および袋Hがカムフォロア35に連動して上昇および旋回駆動する。この時、カムフォロア35は、固定カム溝361の湾曲溝363に沿って上側斜め前側に移動するため、可動カム38との当接箇所が開口溝382から傾斜溝383側に移動する。結果、図4に示すようにカムフォロア35が前記固定カム溝361の湾曲溝363に到達した際、カムフォロア35は、可動カム38の傾斜溝383と当接する。よって、昇降駆動源37がさらに可動カム38を上昇させるため、水平溝364および傾斜溝383に沿って前進することが可能となる。図5および図6に示すように吸着パッド34および袋Hが前進して前方に待機する把持機構20に袋Hを供給可能となる。このように固定カム36および可動カム38の両方を備えており、昇降駆動源37一つで吸着パッド34を昇降、旋回、前進させることが可能であるため、制御が容易になり、比較的安価に製造することが可能となる。同時に吸着パッド34を前進させるための直進駆動源が不要となり、従来の供給装置より吸着パッド34周辺が小さい構成となるため、装置を小さくすることが可能となる。また、昇降駆動源37が前記可動カム38の上昇停止位置を調節可能な電動アクチュエータであり、カムフォロア35を前方に押し出す量をこまめに制御できるため、段替え作業等における位置調整が容易となり、作業者の負担を減らすことも可能となる。
【0021】
上述のように袋Hが供給されると、制御部は、前記把持爪開閉機構を逆方向に作動させて、把持爪21を閉じる。把持爪21が閉鎖して袋Hの両側縁部が把持されると、制御部は、前記供給用吸気手段の駆動を停止するとともに、前記昇降駆動源37を逆駆動させて可動カム38を下降させる。これにより、前記吸着パッド34は、マガジン31内最上位の袋Hに当接するまで下降して停止する。この時、可動カム溝381に開口溝382が形成されているため、吸着パッド34が袋Hと当接して停止すると、可動カム38がカムフォロア35と離間することができる。このため、当該吸着パッド34および袋Hには、スライドテーブル331の摺動部332等の自重以外の力、例えば、昇降駆動源37による下向き推力等が付与されない。このように、袋Hや吸着パッド34に過度な下向き推力が付与されないため、吸着パッド34が破損したり、袋Hに皺が付いたりすること等を防止出来る。同時にマガジン31内に残留する袋Hの枚数に合わせて昇降駆動源37の下降停止位置を調節する必要および、マガジン31内に残留する袋Hの枚数に関わらず最上位の袋Hの高さ等を一定に調節する機構等を備える必要がなくなり、給袋装置30の制御等を簡易化できる。また、昇降駆動源37が前記可動カム38の上昇停止位置を調節可能な電動アクチュエータであり、カムフォロア35を前方に押し出す量をこまめに制御できるため、段替え作業等における位置調整が容易となり、作業者の負担を減らすことが可能となる。
【0022】
上述のように吸着パッド34が袋から離れた後、制御部は、回転テーブル13を回転させて、把持機構20および袋Hを開口機構40に向かい移動させる。把持爪21が開口機構40と相対する位置に達すると、制御部は、回転テーブル13を停止させるとともに、前記開口駆動部を駆動させ、開口用吸着パッド41,41を互いに接近させる。互いに接近した開口用吸着パッド41,41が袋Hの表裏面それぞれに当接すると、制御部は、前記開口用吸気手段が駆動させるとともにパッド開口駆動部を再度駆動させて開口用吸着パッド41,41を互いに離反させる。これにより、袋Hは、表裏面がそれぞれ異なる方向に引っ張られて開口する。制御部は、袋Hが開口すると、前記開口用吸気手段を停止させるとともに、開口用吸着パッド41,41を袋Hから外す。制御部は、開口用吸着パッド41,41が袋Hから外れると、回転テーブル13を再度回転させ、把持機構20および袋Hを投入機構50に向かい移動させる。
【0023】
制御部は把持爪21が投入機構50の下方に達すると回転テーブル13を停止させるとともに、前記投入駆動部を駆動させて、投入シュート51を袋Hの開口部に挿入する。投入シュート51が袋Hに挿入されると、前記部品供給装置が駆動し、袋H内に部品を投入する。部品が所定量投入されると、制御部は、投入駆動源を複動させて投入シュート51を袋Hから抜去し、回転テーブル13を再度回転させ、把持機構20および袋Hを封止機構60に向かい移動させる。その後、移動する把持爪21が封止機構60の下方に達すると制御部は回転テーブル13を停止させるとともに、前記封止駆動部を駆動させてヒータ部材61,61互いに接近させる。このように互いに接近したヒータ部材61,61が袋Hの表裏面それぞれに当接することで、袋Hの開口部付近がヒータ部材61,61の熱で溶着される。その後、制御部は、封止駆動部を複動させて、ヒータ部材61,61を袋Hの表裏面から離反させるとともに、回転テーブル13を再度回転させ、把持機構20および袋Hを排出シュート70に向かい移動させる。把持爪21が排出シュート70の上方に達すると制御部は回転テーブル13を停止させるとともに、前記把持爪開閉機構を駆動させる。これにより、把持爪21が開かれ、袋Hが排出シュート70内に落下する。その後制御部は、回転テーブル13を再度回転させ、把持機構20を給袋装置30に向かい移動させ、次段の袋Hを受け取る。
【0024】
なお、本発明に係る給袋装置30は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、給袋装置30は、回転テーブル13の回転に従い袋Hを移載する構造の包装機10に限らず、特許文献1に示されるように給袋装置30が袋Hを供給した位置で袋Hの開口およびワークの収容を行う包装機(図示せず)等、他の構成の包装機に適用されても良い。なお、特許文献1に示されるような包装機の場合、吸着パッド34に対向配置されるように開口用の吸着パッドを別途設け、当該開口用の吸着パッドが袋を吸着した後に前記昇降駆動源37が可動カム38を下降させるように構成されていても良い。これにより、吸着パッド34が後退するため、袋を開口させることが可能となる。
【0025】
また、カムフォロア35と、前記固定カム36および可動カム38からなるカム機構は、包装機や、袋等の大きさ等に合わせて変更されることが好ましい。また、給袋装置30は、吸着パッド34が次段の袋Hに当接後、再度、吸気手段および昇降駆動源37を駆動させて次段の袋Hを把持機構20付近まで搬送していても良い。この際、昇降駆動源37は、吸着パッド34および袋H等が次段の把持機構20に緩衝しないよう所定の位置で停止することが好ましい。このように次段の把持機構20が到着する前に袋Hを待機させることで袋Hの供給時間を短縮することが可能でサイクルタイムを向上させることができる。
【符号の説明】
【0026】
10 … 包装機
13 … 回転テーブル
20 … 把持機構
30 … 給袋装置
31 … マガジン
32 … 旋回軸
33 … 吸着部
34 … 吸着パッド
35 … カムフォロア
36 … 固定カム
361… 固定カム溝
37 … 供給用昇降駆動源
38 … 可動カム
381… 可動カム溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6